花嶋正孝の発言 (環境委員会)

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○花嶋参考人 花嶋でございます。
 私は、昨年末まで環境省の中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会長を務め、今回、廃棄物処理法の改正案につながる審議の取りまとめを行ってまいりました。本日は、これまでの一連の審議に廃棄物・リサイクル部会の部会長として携わった立場から、今回の取りまとめを行うに至った経緯、その中で提議した制度改正の概要と今後の課題について説明し、御審議の参考に供したいと思っております。
 まず最初に、廃棄物の現状に関する背景データを簡単に紹介します。
 お手元の資料一、我が国の廃棄物処理の現状をごらんください。
 廃棄物の排出量は、依然として高水準で推移しております。一般廃棄物は年間五千万トン、産業廃棄物は約四億トン排出されており、ここ数年ほぼ横ばいの状態でございます。したがって、廃棄物の発生抑制、いわゆるリデュースは、残念ながら十分進んでいない状況でございます。一方、廃棄物の最終処分場については、住民の不信感もありまして、新規に埋め立てすることは極めて困難という状況が続いております。その結果、最終処分場の残余容量は、一般廃棄物十三・一年分、産業廃棄物では四・五年分しかなく、依然として非常に逼迫した状態が続いております。このような状況の中、残念ながら、不法投棄事案の発生に歯どめがかかっておらず、不法投棄される廃棄物の量も減少しておりません。
 このような深刻な状況を背景に、中央環境審議会でも継続して審議を重ね、制度改正が必要な点などにつき意見具申を行ってきました。これをもとに、昨年、一昨年と連続して廃棄物処理法の改正を行っていただいたところでございます。
 審議会における今回の制度的な検討に際しても、一連の廃棄物処理改正の効果について検討を加え、既に一定の効果を上げていることを確認してまいりました。
 具体的には、平成十五年の改正においては、欠格要件に該当した場合の許可の取り消しを義務化することにより、悪質な業者の排除を徹底するというようなことがございます。その結果として、例えば、許可の取り消しの義務化により、改正法施行後の許可取り消し件数が大きく増加して、悪質業者の排除が進んでおります。それから、自動二輪メーカーやパソコンメーカーなど、広域的なリサイクルを推進する業者の大臣認定が着実に増加しております。
 同様に、平成十六年の改正におきましては、硫酸ピッチの不正処理を禁止するとともに、不法投棄をさらに早い段階で規制するため、不法投棄を目的とした収集運搬に対する罰則を適用する。その結果として、昨年八月には不法投棄目的の収集運搬の罪が初めて適用されたのを皮切りに、相次いで適用事例が報告されており、その効果が早くもあらわれ始めております。
 このように、これまでの法律改正による効果が着実に発揮されている一方、昨年も重大な事案が発生し、廃棄物処理をめぐる新たな課題が提起されております。具体的には、昨年三月、我が国最大規模の不法投棄事案が岐阜市で発覚したのに続き、我が国企業が中国に輸出した廃プラスチックに再生利用できないものが混入していたため、我が国からのプラスチックの輸入が昨年五月から停止され、いまだ開始されない事態が続いております。
 そこで、審議会では、これら事案を含めて最近の廃棄物処理をめぐる状況を改めて点検したところ、制度改正を必要とする課題があり、早急な対応が必要との判断に至りました。そのため、審議を行った結果として資料二の廃棄物・リサイクル部会としての取りまとめを行い、これをもとに廃棄物処理法の改正案を早急に国会に提出するよう環境省にお願いした次第でございます。
 部会としての結論は、資料二にございますが、まず最初に「大規模不法投棄事案への対応」として、産業廃棄物にかかわる事務を行う行政主体の見直しと、産業廃棄物管理票、いわゆるマニフェスト制度の強化が盛り込まれております。
 行政主体の見直しについては、二ページにありますように、これまでの数次の法改正により、廃棄物の不適正処理を監視し、規制するための法律上の規定は格段に強化された一方、都道府県知事と同じ立場でその事務を行う保健所設置市の一部では、必ずしも十分な体制を整えていないという現状があります。従来、地域密着型の公衆衛生行政の範疇にあるものとして、保健所設置市は都道府県と対等の立場で産業廃棄物に関する事務を行ってきましたが、広域化する産業廃棄物の問題は、むしろ生活環境保全の性格が強くなっており、保健所設置市がこれを行うことが制度的には合理的と言えなくなっているとの認識でございます。
 そこで、保健所設置市になれば自動的に産業廃棄物に関する事務を行うという現行の制度を見直し、ほかの環境法と同様、事務を行う体制が整備できる市を廃棄物処理法の政令で指定する制度に改めるべきとの結論を得たものでございます。
 この改正内容については、部会審議においても、地方分権に逆行するのではないかとか、業務を行う意欲のある保健所設置市から一方的に引き揚げるのは望ましくはないのではないかといった指摘がありました。しかし、十分な体制の整備ができない自治体に事務を行わせることは、かえって地方分権の趣旨に反するものでもあり、また、現に事務を行っている保健所設置市については、その意向を十分踏まえて判断することを確認し、部会の了承を得たものです。
 次に、マニフェスト制度の強化についてですが、三ページにありますように、大規模不法投棄事案において、産業廃棄物の組織的な横流しと、これを隠ぺいするためのマニフェスト不正行為が後を絶たないのが現状であります。これに対して、現行のマニフェスト違反に対する罰則は五十万円以下の罰金であり、これを強化すべきとの意見が強かったことを踏まえて、罰則の強化を盛り込んだものであります。
 さらに、排出事業者責任の追及には、運搬や処分を受託した業者に対してもマニフェストを保存させることが必要であり、また、マニフェスト制度の徹底には、都道府県知事の勧告に従わない場合に公表できるようにするなどの措置が必要であり、制度全体の実効性を高める内容を盛り込んでおります。
 次に、廃棄物の無確認輸出への対応です。
 三ページにもありますように、現行の規制内容では、輸出通関手続の段階でこれを発見しても罪に問えないことが最大の問題と認識しています。そこで、このような無確認輸出の未遂の段階でも確実に罪を問うことによって抑制効果を高めるため、未遂罪と予備罪を新しく創設し、さらに、無確認輸出の罰則を不法投棄並みに厳しくする内容を盛り込んでおります。
 最後に、悪質な業者を排除し廃棄物処理に対する信頼性を向上させる観点から、その他の制度上の問題についても検討し、具体的な対応を図るべき点をまとめたものです。
 例えば、四ページにありますように、埋め立て終了後の最終処分について適正な維持管理を確保する有効な手段として、維持管理積立金制度があります。この制度が施行される以前に埋め立てが開始された施設は制度の対象となっておりません。しかし、そのような施設においても、適切な維持管理がなされず問題になっている事案が生じていることから、今回の制度の対象に追加することが適切と整理されております。
 また、四ページから五ページにありますように、罰則適用上の問題点や現行許可制度の問題点を点検した結果として、罰則の強化の必要な措置を盛り込んでおります。
 以上のような内容を受けて、今回提出されております改正法案は、部会として提案を漏れなく網羅していただいており、今後の廃棄物行政にとって非常に大きな力となるものと考えております。審議会の審議に携わった一人としても、ぜひ早期に成立させていただきたく心からお願いいたします。
 今回の部会の取りまとめでは、五ページの最後にありますように、今回の制度改正以外の施策についてもあわせて推進していくことが重要であり、これを最後の課題として取りまとめます。
 具体的には、地方自治体の実務体制の充実や処理業者の優良化の推進、電子マニフェストの普及促進等の課題を含めた諸課題について、全体として着実な進展が図られるよう、さまざまな政策手法を活用して対策の強化、推進を図るべきことを指摘しております。また、その際には、特に運用面で支援施策の充実を図るとともに、対策の進捗状況のモニタリングと評価並びに情報公開を通じ、対策の評価、見直しを継続することが重要となります。
 そして、悪質な違法行為に対する厳正な処置を徹底するため、廃棄物行政分野における長期的な展望に立つ人材の育成を含めた人事上の考慮、関係行政機関相互の連携、環境関連NPOとの連携などによる監視体制の強化も重要な点として指摘しております。
 今回の法改正とあわせてこれら施策が総合的に講じられることによって、不法投棄などの事案の根絶と循環型社会の構築が一層推進されることを期待するものであります。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 花嶋正孝

speaker_id: 32857

日付: 2005-04-05

院: 衆議院

会議名: 環境委員会