畑直之の発言 (環境委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○畑参考人 おはようございます。畑でございます。
私の所属しております気候ネットワークにつきましては、皆様のお手元に、きょうは青い、こういうニュースレターを配らせていただいております。地球温暖化問題に取り組んでおります環境NGOでございます。御参考までにごらんいただければと思います。
私の意見は、お手元に配らせていただきましたレジュメに沿ってお話をさせていただきたいと思いますので、そちらの方をごらんいただければと思います。
それではまず、本日の審議にかかっております地球温暖化対策推進法の改正案についてでございます。
ここでは、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度、これが導入されるということで、これは、基本的にもちろんいいことでありますけれども、当然のことであって、遅過ぎたくらいかなというふうに思っております。それについて幾つか申し上げさせていただきたいのですが、まず公表の中身とその方法についてです。
排出量のデータは、事業者から報告される種類別の量も公表するようにしていただきたいというふうに思います。この本制度のエネルギー起源CO2の部分は省エネ法の定期報告制度によるわけですが、省エネ法では、化石燃料の種類別の使用量、重油ですとか石炭ですとか、そういったものは経済産業省に報告されているわけでございます。したがって、この制度でも、燃料種類別の排出量も公表するようにすべきと考えます。
それから、新しい部分であります代替フロン等三ガス、HFC、PFCについては、地球温暖化係数の違う物質が幾つかありますので、それぞれに報告される仕組みになると考えられますので、その種類別についても公表するようにしていただきたいというふうに思います。
それから次に、データの公表についてですが、法案には書かれておりませんけれども、公表されるのは企業別などに集計されたデータというふうに伺っております。ですけれども、これは、データはコンピューターでデータベース化して保管されるでしょうから、公表は容易でしょうし、もともと公表対象であり公表可能なはずなのに、なぜ事業所単位のデータがこのような面倒な開示請求が必要なのかというのが、少し腑に落ちません。ぜひ、事業所単位のデータも開示請求なしで最初から見られるような形にしていただきたいというふうに考えます。仮に開示請求が必要な仕組みとなるとしても、開示請求を行ったのに事業所単位のデータが開示されないということはないようにしていただきたいというふうに思います。
それから次に、いわゆる企業秘密の扱いについてでございますけれども、温室効果ガスの排出量が企業秘密に該当するというのは、さまざまな分野を見ても、常識的には余り考えにくいのではないかと思います。先ほどPFCの例というようなお話もございましたけれども、企業秘密に該当するかどうかについては、やはりきちんとした基準を設定して、公表を原則とした厳格なものとしていただきたいというふうに思います。
PRTR法、いわゆる化学物質の排出量の把握管理の法律においては、行政手続法で秘密情報の審査基準というものが設けられておりますので、そのような厳格なものにしていただければというふうに思っております。
また、企業秘密となる場合でも、もとの情報を主務大臣も持つような仕組みとすべきではないかというふうに考えております。
続きまして、先ほどから議論に上っていますこの法律も含めて、地球温暖化防止のための京都議定書目標達成計画について幾つか意見を申し上げさせていただきます。
まず、策定過程等についてですが、まず一点目としましては、京都議定書目標達成計画の案の策定においては、従来の政策、ここでは、一九九〇年地球温暖化防止行動計画、その後、九八年、二〇〇二年と地球温暖化対策推進大綱があったわけですけれども、これの政策がやはり不十分であったということで、現在まで日本の二酸化炭素排出量がふえ続けているということに対する従来の政策の分析とか総括、反省というのをきちんと行うべきであろうということであります。
それから次に、策定過程についてでありますが、これについては、開かれた部分も従前よりは多少はありますけれども、どちらかといえば、やはり情報公開が不十分な中で行われているということは変わっていないのではないかと思います。市民参加といえば、非常に形式的な審議会のパブリックコメント、意見募集だけでありますし、国会の審議はおろか、承認も必要ないということであります。
特に、今回の達成計画案に対する意見募集は、通常いろいろな意見募集は一カ月程度なわけですが、その半分の二週間と極めて短いものでありました。これは、いかにパブコメといわれるものが形式的で、政府が市民の意見を真摯に反映するつもりがないのかということを示していると思わざるを得ないですね。
温暖化対策というのは、実施においてすべての主体の参加が必要で、一部の大企業とか一部の市民だけがやればいいという話ではありませんから、策定過程におけるこのような参加の欠如は大きな問題だと考えております。
次に、内容についてであります。
まず、全体に、この達成計画の案は六%ぎりぎりという形で組み立てられていますので、どこか一部でもうまくいかないと、その分だけ直ちに外国から買ってくる京都メカニズムでカバーせざるを得ないという形になっていますので、もっと余裕を持って確実に達成できる全体構成とすべきだろうというふうに考えます。
次に、全体の目標の数値は、そこの表一に示したものになっているわけですが、基本的に、森林吸収源と京都メカニズムに合わせて五・五%を依存し、国内削減分はマイナス〇・五%にすぎないという点は従来の大綱と同じでありまして、率先して国内で削減して先進国としての責任を果たすというものにはなっていないという点で大変残念に思います。エネルギー起源CO2の目標については、むしろ、従前はマイナス二%だったものをプラス〇・六%に大幅に緩めてしまった、後退したという面もあるかと思います。
このエネルギー起源CO2ですとか、この後触れますが、代替フロン等三ガスの目標を強化すれば、現在森林吸収と京都メカニズムで五・五%の分を四%は減らして、一・五%まで依存を減らすことが可能だというふうに考えております。
次に、京都メカニズムについてですけれども、達成計画の案の中では京都メカニズムは一・六%というふうになっているわけですが、それ以外に、既にエネルギー起源CO2の対策の中で電力のCO2排出原単位の低減の一部として京都メカニズムを使うということが明記されております。これは一・六%の要するに外ということになっておりますが、これはやはりできるだけ国内で目標を達成するということで、京都メカニズムは一・六%を上限とし、特に、エネルギー起源CO2の計画案ではプラス〇・六%の目標になっている区分の部分に関しましては、京都メカニズムは用いないで国内削減に限るべきであろうというふうに考えます。
次に、代替フロンの目標についてですが、これはその次の三ページの右上の方に図一というグラフをつけてございますけれども、現在まで非常に減っているにもかかわらず、達成計画案では、二〇一〇年に向けてV字型に大幅に増加を容認するという形になっております。これは、代替フロンについては、現時点からふやさないという目標値にすればマイナス二%まで引き下げることができると考えます。
それから次に、エネルギー起源CO2に関する経済成長率、それから原発の設備利用率の問題に関してでございます。
エネルギー起源CO2の各部門の目標は、三ページの表二のようになってございますが、そこで、一つは経済成長率の設定を途中で変更しているということがあります。ことしの一月の閣議決定があって、その策定過程の途中で下方修正されたわけですけれども、それが表三ということでお示ししているものです。
これ自体の是非をとやかく言うものではございませんけれども、経済が上向いたからといって目標達成が危うくなることがないように、余裕を持って目標を達成できる計画の組み立てにすべきだろうということであります。
それから次に、原発の設備利用率に関しては、目標達成計画案に出てきます八七から八八%という数字は、過去に一度も達成したことがない非常に高いものであります。これは、最初の大綱のときに、原発二十基増設という、絶対に実現不可能なものが含まれていたのですが、ほとんどそれと同じことであろうというふうに考えます。原発の設備利用率の引き上げは、やはり安全性の確保が前提であり、それが示されない限りは行うべきではないですから、目標達成を危うくするような極めて高い数字で数字合わせをするということは改めて、安全に配慮した、余裕を持った設備利用率とすべきであるというふうに考えております。
次に、三ページの一番下のところから、産業部門の目標を強化すべきだろうということであります。これは、次の四ページの方に参りますが、一部産業界の方などが、産業部門は努力してCO2排出量を横ばいに抑えているというふうにおっしゃいますが、そこの表五でお示ししましたけれども、二〇〇二年までの変化を見てみますと、生産量、生産指数は約八%減っているのに対して、CO2排出量は横ばいであって、生産減と同程度には減っていないわけです。つまり、効率は悪化しているということで、横ばいは努力の結果というより生産減のおかげであるというふうに言えますので、この八・六%削減というのは自然減程度でありますから、もっと目標の強化が図れるだろうというふうに考えております。
ただ、誤解のないように申し上げますが、私は日本の企業の努力を否定するものではありませんが、むしろこういったことを進めることで、省エネ、自然エネルギー等の分野、日本企業の競争力も増して、日本の経済にもプラスになるというふうに考えております。
最後に、政策についてでございます。
肝心なのは、やはり数字合わせではなくて削減対策を推し進める政策、規制ですとか経済的手法等の裏づけであるということで考えるんですが、達成計画案のその部分は残念ながら非常に弱いということであります。具体化されているのは、本日審議をされている地球温暖化対策推進法の改正、それから運輸部門の事業者等に計画策定等を課す省エネ法の改正、それから流通効率化の法案にとどまっているわけです。この達成計画案では、政策手法の総動員という言葉が出てきますが、残念ながら実態はそのようになっておらず、政策の裏づけが非常に乏しいというふうに考えます。
私はそこに幾つか挙げてございますが、炭素税、環境税、石炭火力発電の抑制策、それから住宅、建築物の断熱基準の規制化、機器や住宅の性能表示の義務化、代替フロン等三ガスの使用規制といった実効性の高い政策措置が入っていないわけですけれども、こういうものを早急に入れていくべきだろうというふうに考えます。特に炭素税、環境税については、規制が及びにくい民生、運輸部門を含め、すべての主体に課税による価格インセンティブ効果で削減を促すことができる必要不可欠な政策だと考えます。達成計画案では、「検討を進めていくべき課題」というふうにされておりますが、これではやはり不十分だというふうに思います。
国内で削減を余裕を持って確実に達成していくというためには、政策の実効性を抜本的に強化することが急務であるというふうに考えます。達成計画案に盛り込まれていない実効性の高いこれらの政策措置を、仮に達成計画がこのまま決定されても、その内容にかかわらず、早急に実施に移していただきたいというふうに考えます。
それに際しては、国会の議員の皆様方のリーダーシップですね、ぜひ政府を叱咤して、こういった政策を早急に進めていただければというふうに考えます。
以上でございます。