赤松正雄の発言 (憲法調査会)
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○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
私の方から、先ほど来お話が出ておるテーマですが、重ねて申し上げたいと思います。それは環境権の話でございます。
私は、一九四六年に制定された今のこの憲法というのは、すばらしいものを持った憲法である、非常に重要な役割を果たしてきた、こう思いますけれども、今、二十一世紀劈頭に当たって改めてこの憲法を見た場合に、一点、一点というかいろいろな意味で、きょうも、多少というか基本的な部分で見解がこの問題についても分かれておりますけれども、より国民的合意が得やすいと私が考えるテーマがこの環境権ではないか、こんなふうに思います。
それで、この環境権については、先ほど野田委員からの発言がありましたけれども、いわゆる新しい人権という格好で環境権を数えるというのは若干の誤解を呼ぶのではないかと思います。この調査会でもさまざまな学者の皆さんが参考意見を述べられる中で、いわゆる人権のインフレというふうなことを申された方がいらっしゃいますけれども、そういうことではなくて、むしろ、あえて誤解を恐れずに言うと、環境権は古い人権ではないのかという感じさえいたします。
つまり、忘れられている側面、かねて自然と共存してきた人間社会、とりわけ日本にはそういう側面が強いと思うんですけれども、今ここで新しく出てきたというよりも、もともとある、日本人が守ってきたそういう古い人権としての環境権といいますか、そういう側面。
それが、今、地球温暖化という大変な、地球全体が大きく直面している課題、これは人間だけではなくて、動物も含めた生きとし生けるものすべてに大きな挑戦として起こってきているこの地球温暖化という問題についてどう対応するかといったときに、先ほど来、環境権のことを憲法に入れるのはいかがかという御意見、よくわかります。
つまり、行政、立法、司法、こういう現行の法体系の中で、憲法にまで行く前の段階でいろいろやることは幾らでもあるじゃないかというふうな御意見もわかりますし、当然それはやっていかなければならないことだと思いますけれども、今、二十一世紀の冒頭で、こういう地球温暖化ということ、そして、地球全体が地球環境というものをしっかり守ろうという格好で機運が高まっている状況の中で、もし仮に一つだけ私たち日本国民が合意できる可能性がある、いろいろ意見が分かれている、なかなか大論争にこれからさまざまなテーマがなっていくと思いますけれども、一番急いで合意を得る必要があるし、また、それを得られやすいのがこの環境権の問題ではないかと思います。
例えば、一例具体例を申し上げますと、昨年は、極めて日本人にとって、私たちが住む日本国のこの環境について大きなる異変が起きた年、挑戦を受けた年、こんなふうな言い方ができるんじゃないかと思います。
それは台風の襲来というものに端を発したわけですけれども、簡単に言うと、川の異変、そして森の異変。川の異変と森の異変というのは、いろいろな意見が分かれるところですけれども、やはりここは、奥底に非常に深いものをはらんでいるというふうに私は思います。川の水位が下がってきている。かつて、奥山を大事にしてきた私たちの先達たちは、奥山を聖域として人間の手を入れるのを拒んできた。それが今どんどん破壊されている。
兵庫県と鳥取県の県境にある、大変に有名な氷ノ山のブナ林というのがあるわけですけれども、残念ながら鳥取県側はかなり破壊されてきた。兵庫の方もそんなに褒められた状況ではありませんけれども、かなりその辺の意識の違いというもので破壊の状況が違ってきているという、これは一例ですけれども、そういったことから川の水位が下がってきている。
つまり、杉やヒノキを植えている山が多い、森が多いということによって水の保有力は弱まってきているというふうなことから川に異変が起こり、森から哺乳類の大型動物が出てきているという現象も、単なる一時的な現象ではなくて、自然の大いなる警告である、こんなふうにとらえる見方が、少数でありますけれども厳然とあるといったふうなことも含めて、環境権という問題を、きちっと国民的合意を得られやすいテーマとして真剣に考えていく必要があるんじゃないか、そんなふうに思う次第でございます。
以上です。