山名靖英の発言 (憲法調査会)
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○山名委員 公明党の山名靖英でございます。
今日まで五年、憲法調査会の皆さんには大変な論議を続けてこられまして、心から敬意を表する次第です。また、きょうは発言の機会を与えていただきまして、御礼を申し上げます。
それではまず、第七章の「財政」の問題から端的に申し上げたいと思います。
まず、八十四条の課税につきましては、現行法におきましては「租税」、こういう言葉を使っております。租税となれば、すべての税目を網羅するという意味になるわけでありますが、これからの地方公共団体の自主課税、課税の自主権ということを考えていく際には、やはりここは、その税目と区別をするという意味から国税、こういう言葉を使った方がいいのではないか、まず一点そのように考えております。
さらに、八十六条の予算につきましては、私も、現行の単年度主義の予算編成につきましては、やはり、駆け込み執行、こういう弊害等も出ておりますし、かなり硬直的な予算編成システムになっている、こういう意味合いから、複数年度予算、こういったシステムを導入すべきではないか、このように思う次第でございます。
九十一条の財政状況の報告等につきましては、国の財政運営に企業会計を導入いたしまして、一層国民にわかりやすく、明確な国の財政運営についての情報公開、これに資する、こういうことでの企業会計導入をしてはどうかと考えております。
九十条の会計検査院につきましては、会計検査院をむしろ国会に帰属をさせまして、内閣、内閣総理大臣にその改善措置を勧告することができる、こういったシステムの導入を図ってはどうか、このように思っております。
次に、第八章の「地方自治」の観点でございますが、御承知のように、戦後六十年近くたちまして、地方自治をめぐるこういう実態も状況も大きく変化をしてきております。今、地方分権一括法の制定の中で、まさに地方分権は着実に実行段階に入っておりまして、目下、いわば市町村合併の推進、こういったことが喫緊の最重要テーマでございます。合併による市町村の行財政基盤の充実、これは、分権時代にふさわしい地方自治体をつくる上で極めて重要であり、また望ましいものではないか、こういうふうに思っております。
しかし一方、地方自治の実体論からいいますと、それぞれの地域社会における連帯感、あるいは協働、ともに働こう、協力し合って働こうという精神、さらには地域の文化、芸術、伝統、こういったものに対する住民の意識というのが極めて薄くなってきている、こういった懸念も一方であるところでございまして、そういった意味では、今、この憲法論議を通じて地方自治をいま一度見直していく、大転換を図っていくという意味からも、私は意義あることではないかと思っております。
そこで、特に憲法のこの第八章、ここでは、九十二条で基本的な原則をうたい、九十三条で住民自治をうたい、九十四条で団体自治をうたい、九十五条で国との関係、こういった四条五項目、こういったことで規定をしているわけでありますが、基本的原則というこの観点、すなわち地方自治の本旨、この意味、内容というものがいま一つ明確ではないのではないか。
当初、この憲法草案のときには、地方自治の基本精神を的確に表現するという言葉がなかなか見つからなかったというふうにも聞いていますけれども、当時のいわゆる市町村、町村というあり方のそういう時代から、今はまさに、近代都市、広域地方自治体等に当たる府県の現在の状況を見ても、こういった地方自治の本旨という、意味がもう一つ明確ではない言葉というのは余りなじまないのではないかというふうに思っております。
当然、団体自治あるいは住民自治、これを根幹にしているということは、自明の理として当初制定されたとは思いますけれども、であるならば、いま少し、地方分権的要素なりあるいは民主主義的要素を含めたこういった表現については、明確な表現にすべきではないか、こういうふうに思います。
それとともに、先ほど申しましたように、地方分権をさらに進めていく上において、やはり、憲法上もこういった地方分権の規定というものをさらに明確に設けるべきではないかというふうに思っております。現行地方分権推進法あるいは地方自治法等の改正によりまして、それぞれの地方の自立性あるいは自主性というものは極めてハイレベルな形で規定はされているわけでありますが、憲法上、地方分権の理念というものを明確にしていく、さらには国と地方の役割、こういうことに関してもやはりいま一歩強化していくべきではないかというふうに思う次第でございます。
さらに、国と地方の関係の観点から申し上げますと、共通の目的である国民、住民福祉の増進、これに向かって相互に協力する関係、こういう表現、こういったことが私は大事じゃないかというふうに思っている次第でございます。さらには、地方の税財政のあり方につきまして、国の責務として、地方自治体の健全な運営を支援して地方の自立性を高めていく、地方に負担を転嫁することを禁ずる、ここまでやはりうたうべきではないかというふうに思っております。
そういう意味では、国と地方の役割分担に応じた地方税財源の確保を図る規定というものをやはり設けるべきではないかと思う次第であります。
さらに、課税自主権の問題でありますけれども、地方自治法なり地方税法におきましては、この課税自主権という問題からいろいろと取り組みをしているわけでありますが、ここには「法律の定めるところによつて、」こういう表現を使っておりまして、これは、言いかえれば、地方の自由度あるいは自立性というものを一定制限をしている、こういうことにもなるわけであります。
私は、現在の地方財政の実態からいっても、今後、この課税自主権を憲法上も明記をした上で地方の税財源の確保というものを図っていかなきゃならないわけでありますが、ある意味では、全国知事会等でも論議があったようでありますが、既に地方においては主要な税源はもう法定化されている、財源をこの課税自主権の活用で生み出すということは極めて困難であるというような論議もあったようでございまして、ある意味で否定的でもございます。
しかしながら、これからの地方の自主性、自立性、そして国と地方の役割、そういう観点、そして受益と負担、こういう観点から考えても、それぞれ地域住民がみずからの責任において税目を決め、税率を決め、そして、住民と行政が向かい合って新たな福祉行政のさらなる増進に力を相互に発揮していく、こういう観点から課税自主権の保障というものはある意味で必要ではないかというふうに思っている次第でございます。
さらには、現行の交付税制度につきましては、これからの地方自治体のあり方として、やはり一定の保障機能、調整機能、こういった意味では必要ではありますけれども、いま一歩進めて、財政調整制度というものを新たに設けてはどうか、こういうふうに思っている次第でございます。
羅列的に申し上げましたけれども、今後の取り組みをよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。