鹿野道彦の発言 (憲法調査会)

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○鹿野委員 前文をどうするかというふうな本日はテーマでございますけれども、基本的に、我が国の憲法におきましても、この前文に、いわゆる平和宣言、そして民主主義を宣言してきたというふうなことは大きな意味を持つものであったと思っております。そういう意味で、これからも、この国際社会において目指す方向というものと、どういう日本の国をつくっていくかということを示していくという意味では、前文があった方がいいのではないか、こういう考え方であります。
 ただ、どういう前文にするかということを考えたときに、それぞれ他の国と比較したときに、例えば、アメリカとかイギリスとかドイツとかというふうな国においては前文を持たない。他の国でも、あったとしても非常にシンプルなものである。長い前文は、社会主義国家、イスラム教を中心とした宗教国家である。こういうふうなことを考えたときに、根本規範に沿ったところの、いわゆる余り長くない、むしろシンプルな方がいいのではないか、こういう考え方に立ちます。
 そこで、いわゆる我が国の基本三原則、これは大きな評価をされているところでありますけれども、いわゆる国民主権と基本的人権と平和主義。ただ、この基本的な三原則が自主的に具現化されてきたのかどうかということをやはり検証する必要があると思います。そして、この三原則が具現化されるようにするには、どういう書き込みをしていくかということも検討していく大きなポイントではないかと思っております。
 例えば、国民主権。果たして実態はそうなのか。国民主権であるならば、当然民主導でなければならない。しかし現実は、我が国は果たして官主導でなしに民主導なのかどうか。このことは本当にきちっと検証しなきゃならないことでもあります。また、違憲審査というものが果たしてどうであったのか。あるいは、主権在民、国民主権ということならば、直接住民の意思というものが反映されてきたのかどうかというこのような点を、やはり、具現化されてきたのかどうかということも含めて、具現化されるにはどうするかということを、もう一度申し上げますけれども、前文にどう書き込むかというふうなことに結びつけていく必要があると思います。
 基本的人権にいたしましても、もう一国の問題ではなくなりました。もう国際スタンダードになってきたわけであります。国際社会と提携をして、そしてこの人権をどう守っていくかというふうなことも考えていかなきゃなりません。
 平和主義。この平和主義といっても、もういわゆる一国平和主義というのはあり得ないわけでありまして、どうやってこの世界の安定を保っていくか、それには貧困と隷属というふうなものをなくすること、これが真の平和が訪れることだということを考えたときに、我が日本の国がどう国際社会に貢献をしていくか。日本の国は、言うまでもなく、ヨーロッパ各国と比較しても、人口、面積あるいはGDP、どの数字を取り上げても大きな国であるということを、それだけ国際社会において影響を持つ国であるということを、それだけ責任と使命を負っている国なんだというふうなことをもう一度やはり確認する必要があるんではないか、こういう認識であります。
 それからもう一点は、現在の価値観だけではなしに、遠い将来の価値観というものも含めて、高い理想というものを持ってしかるべきだと思います。このことによって我が日本の国民も誇りを持つことができるものと思っております。
 そのことを考えたときに、この地球の中におけるこの日本の国であります。地球をどう守っていくか、資源すなわちこの地球をどうやってみんなで分け合っていくか、大自然とどうやって共生していくか。億という年月をかけて悠久の循環が繰り返されてきた、このことを考えたときに、この営みというものは一瞬もとめられるということはないという考え方に立っていかなきゃなりません。
 また、民族や宗教、イデオロギーの対立を超えて、お互いに平和を、生活を分かち合っていくというふうな道を探っていかなきゃならないわけであります。このためにも、すなわち貧困と隷属をなくすというこの土台をどうつくっていくかというふうなところにも意識をしながら、この前文にどう盛り込んでいくかというふうなことを検討していく必要があると思います。
 また、国内におきましても、日本の持つ大事なものがあるわけであります。すぐれた価値観であります。例えば、聖徳太子、福沢諭吉のその訴えた基本的な考え方。聖徳太子は、御承知のとおりに、和というものを強く求められました。しかし、聖徳太子の言っている和というものは、ただ単になあなあで丸くおさめていくということではなしに、本当にこの社会に平和をつくっていこうという考え方であったわけであります。また、福沢諭吉は、個人の自立がなければ我が国の真の独立はないんだということを強調されました。依存心をなくしていこう、本当に独立した人間をつくっていく、そのことによって新しいこの日本がつくられていくということにもなるわけであります。
 ともすれば依存の文化が生まれてきたこの戦後、これまで、追いつけ追い越せというこの中央集権体制ではなしに、新しい時代に対応する分権型の社会、いわゆる民主化につながるところのその分権型の社会というものをつくっていく、こういうふうなこともどう盛り込んでいくかというふうなことは大変重要なポイントであると思います。
 すなわち、国際社会において、日本の国において、安定と安心をしっかりと確立をし平和をつくっていくんだ、この気概というふうなものがこの前文に書き込まれていいのではないか、こんな考え方に立ちます。その際に、やはりできるだけ、我が国の憲法のその前文ということになりますならば、わかりやすい表現であるべきだ、こう考えます。

発言情報

speech_id: 116204184X00420050224_004

発言者: 鹿野道彦

speaker_id: 34883

日付: 2005-02-24

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会