山田昌弘の発言 (少子高齢社会に関する調査会)

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○参考人(山田昌弘君) 私は、その袖井先生が感じているような現象がなぜ今の時点で起こってしまったのかなというのを考えてきたわけですけれども、ちょっと本の中に希望というキーワードを出したんですけれども、努力が報われるという体験なり、努力が報われるという見通しが今の若い人にはなかなか付きにくい社会になってしまったというふうに分析しています。
 まず一つは、袖井先生もおっしゃいましたけれども、やはり親へのパラサイト化というものがどんどん進んできて、やはり人のお金で学ぼうったってなかなか一生懸命になれないわけですね。つまり、アメリカの大学の水準が非常に高くて、日本の大学の水準が低いというのは、アメリカはたとえ相当の親が余裕があったとしても自分で学費を稼いで、足りない分を、奨学金を取って足りない分を親から出してもらうぐらいのつもりでいますから、それはこれだけ自分で身銭を切って出しているんだからこれだけのことを学ばなきゃいけないとか、自分の将来を考えなきゃいけないというふうにやはり一生懸命になります。日本は、大学どころか、大学院の費用まで親が何とかなるんじゃないかといって出してしまう。留学の費用も、とにかく外国へ出しゃ何とかなるんじゃないかと思って何百万親が出してしまって、結局日本人同士でほとんど買物しているみたいな留学生、海外に留学生が多くなったと聞きます。
 やはり、そうですね、親ももう少し厳しいといえばなんですが、もうちょっとエピソード絡みで話しますけれども、受講票を、子供が熱出したからといって大学に母親が受講票を出しにくるというのが出てきているわけですよ、実際に。かわいそう、娘、息子からこういう今日が締切りだと聞いていますので私が出しに来ましたというようなのが、聞いてみたら私立ではそんなのしょっちゅうだよという話も聞くわけで、つまり、そこまで親が面倒を見続けているというのは、やはり自立を促進してないというのが一つあると思います。
 あと、教育の面に関しても、袖井先生は何も受験勉強がと言いますけれども、私、受験勉強は結構良かったと思うんですね。それは、努力して、一生懸命やって、競争に勝ち抜けば将来が見えるというような見通しが付いたという意味で、かつ机の上に何時間も何時間も勉強して我慢強く、忍耐強く物事を成し遂げれば最終的に合格、そして次の上のいい企業に入れるというようなインセンティブがあったと思うんです。今はとにかくそういう、学校では競争をなくして、みんなとにかくどこかに入れますからというふうにやると、勉強のしがい、努力のしがい、競争のしがいというのがなくなってしまっている。
 そして、あとは袖井先生と一緒なんですけれども、もっと実社会はこうなっているということをやはりもう本当に、小学校とは言わないまでも、中学校、高校から、実社会は実は競争があって厳しい社会なんだよということを中学、高校ぐらいから教えていく必要があると思うんですね。つまり、いきなり学校を放り出されたときに、これからは市場競争で自己責任でやっていきなさいといっても、いや、学校の中にいるときはそういう厳しい訓練を受けていない、家庭の中では親が全部やってくれるという中でいきなり実社会に出てしまっては、それは楽な方がいいやとか引きこもったりとか、そういう人が出てくると思うんですね。
 だから、まあただ親の態度をどう変えるかというちょっと難しい問題が非常にあるんで、多少の意識啓発が必要かと思いますし、学校でのもう少し実社会が厳しいんだよということをプログラムの中に組み入れるとか、そういうことは効果的ではないかと思っております。

発言情報

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発言者: 山田昌弘

speaker_id: 27219

日付: 2005-02-16

院: 参議院

会議名: 少子高齢社会に関する調査会