少子高齢社会に関する調査会

2005-02-16 参議院 全81発言

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会議録情報#0
平成十七年二月十六日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     小川 勝也君     高橋 千秋君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         清水嘉与子君
    理 事
                中島 啓雄君
                中原  爽君
                山谷えり子君
                神本美恵子君
                羽田雄一郎君
                山本 香苗君
    委 員
                岩城 光英君
                荻原 健司君
                坂本由紀子君
                岡崎トミ子君
                加藤 敏幸君
                高橋 千秋君
                柳澤 光美君
                山本 孝史君
                蓮   舫君
                山本  保君
                鰐淵 洋子君
                小林美恵子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       お茶の水女子大
       学名誉教授    袖井 孝子君
       東京学芸大学教
       育学部教授    山田 昌弘君
       国立成育医療セ
       ンター名誉総長  松尾 宣武君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
 (「少子高齢社会への対応の在り方について」
 のうち少子化の要因及び社会・経済への影響に
 関する件)
    ─────────────
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清水嘉与子#1
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十五日、小川勝也さんが委員を辞任され、その補欠として高橋千秋さんが選任されました。
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清水嘉与子#2
○会長(清水嘉与子君) 少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題といたします。
 本日は、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お茶の水女子大学名誉教授袖井孝子さん、東京学芸大学教育学部教授山田昌弘さん、国立成育医療センター名誉総長松尾宣武さんに参考人として御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところを本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 参考人の方々から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、少子化の要因及び社会・経済への影響に関する件につきまして忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方でございますけれども、まず、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと思います。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、袖井参考人からお願いいたします。袖井参考人、どうぞ。
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袖井孝子#3
○参考人(袖井孝子君) 袖井でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、少子化の要因とその社会経済的なインパクトということですが、私に頼まれましたのは主としてその要因の方というふうに理解しておりまして、特に、なぜ結婚をしない、若者が結婚しないかという辺りのことをお話ししたいと思います。
 少子化につきましては、私は幾つか書いたりしゃべったりしているんですが、本当の関心というのはむしろ既婚女性の就業継続と出産行動というところにありまして、未婚者の方は、これは続いてお話しになる山田先生の守備範囲なのでちょっと今遠慮しておりまして、今日お話しするところはちょっと私の思い付き的なところがございまして、ちょっと専門の山田先生に後で訂正していただかなければいけないかなというふうに思っております。
 一応レジュメをお配りしてありますので、それに沿ってお話ししたいと思うんですが、この調査会、少子高齢化ということですけれども、やはり今一番問題なのは少子化という出生率の低下だと思います。
 既に皆様御存じですけれども、お配りした資料の図の一というのに「日本の出生数の推移」というのがございますが、そのグラフでお分かりのように、第二次大戦後、三回ぐらい出生率の低下ということがあったんですね。
 その一つは、第一の低下がベビーブームの直後から五〇年代前半ぐらいまでに起こって、これはもうすごい下がり方で、合計特殊出生率が二分の一になったんですね。でも、このときは日本が経済的に大変で、第二次大戦で本当にダメージを受けまして、そして生活も苦しい、食料もない。食べていかれないということで、夫婦が出産を抑制した。政府としても、保健所を中心にして家族計画を推進したり、あるいは優生保護法を改正して経済条項を入れて中絶をしやすくしたというようなことで物すごい勢いで下がって、一番ピークのときが五〇年代前半なんですけれども、生まれる赤ちゃんと中絶される赤ちゃんとがほぼ同じぐらいというすごいことだったんです。これ、やみ中絶を入れると中絶される赤ちゃんの方が多いんではないかと言われたぐらいだったんですね。ただ、そのころはもう本当に出生率の低下はウエルカムだったんで別に大騒ぎもしなくて、ああ結構ですという感じだったんですね。
 その後、ずっと五〇年代半ばから七〇年代半ばまでほぼ合計特殊出生率が二ぐらいで安定していて、非常に安定していたということですね。夫婦に子供二人という、俗に言う標準世帯というのがこの辺で確立したんですけれども、そういういい時代が二十年ぐらい続きまして、七〇年代の後半あるいは末ごろからじりじりと出生率が下がり始めた。このころからちょっと日本経済も低迷期に入ってくるわけなんですが、この七〇年代終わりから八〇年代ぐらいまでは未婚化、晩婚化が原因と言われたんですね。ですから、いずれは結婚するだろうと。この時代は、結婚した夫婦について見ると大体二人産んでいましたので、いずれ結婚するだろうと、今ちょっと遅れているだけだというようなことが言われていて、余りまだ危機感なかったんですね。
 ところが、九〇年代に入って、特に騒がれたのが一九八九年の合計特殊出生率が九〇年に発表になって、一・五七と言われて一・五七ショックになったんですが、九〇年代に入って、特に九〇年代後半ぐらいから危機感が高まって、少子高齢化というよりも少子人口減少社会と言われるようになって、このまま行くと日本人口が減ってしまうと言われたんですね。この辺のところの理由は、未婚化、晩婚化ではなくて非婚化という、結婚しない人が増えてきているとか、それから夫婦当たりの出生児数も二を切るようになってきたということで非常に危機感が高まってきて、少子化社会対策基本法なんというのもできたり、それから政府、各省庁挙げて少子化対策に力を入れるということになったわけでございます。
 なぜ一番、原因はやはり結婚しない、未婚化、晩婚化あるいは非婚化か分かりませんが、なぜ結婚しないかというのを大きく二つに分けて考えたいと思います。
 一つは、主体的あるいは本人側の要因あるいは需要側の要因ということで、一つはやっぱり結婚の必要性とか魅力とかメリットが少なくなってきたということですね。これまでの結婚というのは、男性は身の回りの世話を期待する。いわゆる男性は生活自立ができないということで、お手伝いさん代わり、そういう身の回りのお世話をしてもらわないと生きていかれないということがあったんですけれども、最近では、家庭電化製品もできて、コンビニもあります、二十四時間営業のコンビニもありますし、クリーニングもあるし、家事サービスも普及したということで、身の回りの世話をしてもらわなくても暮らしていけるということになったんですね。
 それから、女性について申しますと、これまでは、やはり経済力がなかったので相手に経済力を期待していたんですね。ですから、二十年か三十年ぐらい前ですかね、未婚女性に調査すると、配偶者に何を期待するかというと、やはり経済力とか生活力というのが一番だったんですが、そういうのは、大体経済力が付いてきて、すべてうまくいっているとは言えませんけれども、やはり雇用機会均等法とかいろんなのができまして、経済的自立の可能性が出てきた。ですから、一人でも食べていかれるとか、無理して結婚をする必要もないんではないかということですね。
 それから、行動や生き方の自由が失われる。これは国立社会保障・人口問題研究所が五年置きぐらいに行っている独身者の調査で必ず出てくるんですね。これが男女とも一番たくさん占めています。ですから、本当に自由が失われるのか、あるいは自由が失われると思っているのか分かりませんが、これが一番大きな理由として挙げられています。
 それから、三番目としては、女性にとっては結婚によって失うものが大きいということで、一つは機会費用ということで、結婚、出産による退職ないし配置転換によって賃金の低下やキャリアの中断が起こってしまうということですね。これは生涯賃金について見ますとかなりの、三千万とか何か、かなり大きな数になってしまうということです。
 それから、仕事と家庭の両立が困難で、これはずっと言われていますけれども、なかなか解決しなくて、仕事も家庭もの二重負担になっているということで、仕事と家庭の両立支援ということが厚生労働省、旧厚生省を中心にずっと十年以上も叫ばれてきたけれども、なかなか解決しないです。
 それから二番目に、結婚に対する社会的圧力の低下ということで、結婚して家庭を持って一人前ということではなくなって、していなくてもいいんではないかということですね。今、小泉首相ずっとお一人ですけれども、別にだれも変だとは思いませんので、構わないんじゃないのという感じですね。
 それから、親や周囲の先輩たちの結婚生活が魅力的ではない。これは若い世代からかなりそういうことが言われております。
 それから、親もあえて結婚を勧めないということ。これは自分の結婚がハッピーではないということとか、やっぱり親子の相互依存関係が非常に心地よいということで、山田先生がパラサイトシングルというお言葉を作られましたけれども、親の方も子供にパラサイトしていて非常に心身ともに心地よいという、そういう状態が続いていると思います。
 それからもう一つは、これは私が外国なんかへ行ったりして感じたんですが、一人でも困らないのが日本の社会ではないか。欧米はカップル文化なんですね。それで、キリスト教に基づく異性愛を社会的な基礎単位とするというような感じがありまして、どこへ行っても一人だととても居心地が悪いんですよね。例えばレストランとか何か、一人だと非常に悪い席に連れていかれちゃうとか、それから、一人で何か音楽会とかショーなんかに行きにくい。ところが、日本は全然構わない社会で、とても居心地がいいし、むしろ最近のマスメディア、女性誌などは一人でも泊まれる宿とか一人でも困らないバーとか、そういうのを宣伝しているんですね。ですから、こういうのもやはり非婚化を促進しているんじゃないかと思いますが、カップルでなくてもちっとも構わないという、これは日本の特色です。
 それから六番目。これは私もちょっと自信がないんですが、性的欲求の低下ないし異常な性欲というふうなことを書きましたけれども、最近の子供、幼児さんの誘拐、殺人というようなそういう事件もありまして、大人の女性と付き合えない男性が増えているのではないかということと、それから、外国の方に日本の少子化現象について話しますと、なぜなのかって聞かれるんですね。若い男性がそういう性的欲求がないのかって聞かれて、さあと言うよりない、しか分からないんですが、非常にこれは不思議だって言われます。多分、その原因として、ストレスとか環境ホルモンとかビデオやゲームの影響とか何か考えられると思いますが、こういうことは本当にちゃんとお金を出して調査研究した方がいいんではないかなと思います。
 それから次に、なぜ結婚できないのか、客観的ないし供給側の要因、あるいは環境的な要因ですけれども、生涯未婚を望む人は少ないんですけれども、未婚率は上昇しているということで、これは表の一とか二にありますように、ずっと、いずれ結婚するつもりという人が、減ってはいるけど九割近くあるわけなんで、一生結婚するつもりはないという人は少ないんですよね。それから、表の二辺りに、ある程度の年齢までには結婚するつもりという人がいて、適当な相手が見付かるのを待っているという状態なので、生涯未婚という人は余り、少ないんですね。
 その原因として、一つは適齢期人口のアンバランスということですが、これはやはり女性が男性より二、三歳年下ということを考えれば、出生率がどんどん下がっていっていますので、どうしても男の方が人口があぶれる、余るということになるんですが、年齢差にこだわらなければこれは問題がないんですよね。スポーツ選手など年上の奥さんをもらっていますんで、この辺のところは余り問題じゃないと思うんです。
 それから二番目は、結婚相手に求める条件のミスマッチ、これがかなり大きいと思います。高学歴女性と学歴の低い男性とが結婚難になっていますが、やはり相手に求めるものが与えられない。高学歴女性はやはり自分と同程度の人を求めるし、学歴の低い男性は優しい気のよく付く奥さんを求めるということで、なかなかうまくいかないということになります。
 それから三番目として、恋愛結婚が増加してきて、結婚市場において勝ち残れない人、つまり負け犬が増えてきたということで、これは図の二をごらんいただきますと、ちょっと右肩上がりに三角形になって、これが恋愛結婚、右肩下がりの黒い丸が見合い結婚ですが、大体一九六〇年ごろに逆転しておりまして、今は圧倒的に恋愛結婚なんですね。ですから、恋愛結婚というのは結婚市場における自由競争なわけですから、これに勝ち残れない人ができてきてしまう。だから、むしろ見合い結婚が多かった時代の方がだれかが世話してくれるということで結婚するチャンスがあったんですが、いわゆる強い人が勝ち残っていくという形です。
 それから、もう一つ興味深いのは、出会いの場が少なくなっているということで、これは同じ図の二のグラフを見ていただけると分かると思うんですが、一つは、日本では学縁婚といいますか、学校で知り合って結婚するということが非常に少ないんです。アメリカなどはハイスクールの同級生と結婚する、ハイスクールとか大学の同級生と結婚するというのがかなり多いんですね。カーターさんとかニクソンさんなんかもそうでした。ところが日本は、高校は受験競争でクラスメートはライバルですし、大学はサークル活動や学生運動が衰退してきたということで意外に知り合うチャンスがない。かつては、学生運動が盛んだったころは、運動の中で知り合って恋に落ちて結ばれるというケースもあったんですが、今は余りそういうチャンスもないんです。
 それからもう一つ、職場結婚が減ってきたということで、日本では職場結婚が非常に多いというのが諸外国との違いで、これも外国の人から見ると不思議で、職場というのはお金を稼ぐところなのに何やっているんだとかいって外国の人に言われるんですが、このグラフごらんになりますと、ずっとこの黒いところで、一番多かったのは一九九〇年から九四年で、三六%あるので一番多かったんですが、それがこのところ減ってきている。つまり、これは不況によって仕事が過密化してきて、そんなのんびり恋を語っている暇がないとか、それから、正規職員をどんどん減らしていますので、非正規の人が増えてきてなかなか出会いのチャンスもない。それから、企業内福利厚生制度が縮小して社員旅行とか運動会なんか減らしているということで出会いの場が少なくなるということで、日本の恋愛結婚の場であった職場結婚というのがなくなってきているということがあります。
 それから、五番目としては、仲介役が減ってきて、まあ見合いですね、お見合い結婚をする人が減ってきた。かつてはプロの仲人というのもいましたし、それから近所のおばさんとか親戚のおじさんとかが寄ってたかって結婚したくないような人までさせちゃったということで、大体八〇年代ぐらいまでは日本人の大部分が一度は結婚するという社会だったんですけれども、だんだんそれが少なくなってきている。
 それからもう一つは、日本的な経営の終えんに伴う職場の上司のあっせんが減ってきたということで、御存じのように日本は経営家族主義と言われて、本当に経営家族主義とか経営一家主義ということで、その中でかなり結婚もその中に組み込まれていたんですね。ですから、上司の方が自分の娘とかあるいは自分のめいとか親戚の娘をできのいい部下にくっ付けると、そういうようなことがありました。
 私の学生のころなども大学の先生の中にもかなりそういう方いらっしゃって、恩師の娘を押し付けられてとかいって非常に大変だというふうな方ありまして、そして、その恩師の方が定年になるとその後ポストをいただくという、金日成さんみたいな社会になっていたんですが、それがなくなって、今はやっぱりノーと言う人が増えてきたようですね、見込みのある弟子に声を掛けても。それから、そういうこともしなくなっちゃったということで、ますます結婚できなくなってきたということです。
 最後に、どうしたら良いか。どうしたら良いかというのは、特にその主語を付けなかったんですが、少子化対策としてどうしたらいいかということだと思います。
 行政主導による出会いの場の設定というのが、自治体が幾つかやっているんですが、ほとんど効果がないんです。バーベキューパーティーやったり、あご足付きでスキー旅行やったりしても、女性たちが来て、ちゃっかり遊んで、はい、さようならというのが多いんで、これはほとんど効果ない。ですから、基本的には結婚や家族に対する考え方とかあるいは社会全体を変えないと、この今の非婚化現象、解消しないんじゃないかと思います。
 一つは、結婚とか家族の在り方をもうちょっとフレキシブルに考えたらいいんじゃないかということで、今は日本では法律婚重視ですけれども、それをもうちょっとフリーに考えて、法律婚であろうと事実婚であろうと同等の権利を保障するということ、あるいは夫婦別姓とか血縁主義のこだわりを捨てるということで、もうちょっとフレキシブルに考えていいんじゃないか。北欧などでは生まれる赤ちゃんの半分強が未婚の母から生まれておりますし、こういうことをもう少しフレキシブルに考えれば、今、十代の中絶かなり多いんですが、中絶しなくて済むんではないかと思います。
 日本の場合、江戸末期とか明治時代は離婚も再婚も盛んでしたし、未婚の母や養子も多かったということで、法律婚にこだわって入籍の時期が早まったのは高度経済成長期以降くらいなんですね。これは別に昔の日本人が非常に今の北欧のようにリベラルだったというわけではなくて、そういうことはほとんど関係なかったということなんですね。ですから、未婚であろうと非婚であろうと、生活には余りかかわりがないということとか、それから子供が、乳幼児死亡率が高かったので子供が育つのを見届けてから、子供ですね、出生届を出すなんということだったわけなんですが、もう少しこれを自由に考えれば出生率は少しは上がるのかなと思います。
 それから、二と三はほとんど同じですけれども、安心して暮らせる社会あるいは将来に不安のない社会を作るということで、私は日本の若者が結婚しないのは先が見えないからじゃないかと思うんですね。
 内閣府などがやっている青少年の国際比較調査見ますと、日本の若者の将来不安、非常に高いんですよね。諸外国に比べて非常に高い。その理由は将来に対して夢が持てないからで、詳しく聞くと、社会保障制度ですね。特に年金の不安感、つまり自分たちが年取ったときにもらえない、年金もらえないんじゃないかというような不安とか、それから、どうせ生きていても将来いいことがないんではないか、それなら今を楽しもうとか、かなりせつな的になっているんですね。それから、今日の新聞などを見ますと、社会保障なんかでもう本当に、若い世代と高齢というか六十以上とでもう愕然とするぐらいの格差がある。こういう現実を突き付けられると、とてももう結婚して子供を産みたいなんて思わないんじゃないかと思うんです。
 それからもう一つは、敗者復活を可能にするような社会になったらいいと思うんですね。つまり、日本の場合、いったん失敗するとなかなか戻れない。戻るというか、スタートするときに一段低いところから出なくちゃいけないんですね。ですから、仕事を失っても離婚してもやり直しの利くような社会、あるいは脱落者を差別しないような社会ですね、あるいは性差別、年齢差別のない社会ということを書きましたけれども、特に女性なんかの場合はいったん仕事を辞めると元のキャリアトラックに戻れないということがあって、それが結婚しないというところにもつながっているような気がしますので、もう少しその辺ができる、例えばアメリカなどはかなりそれができるんですね。結構子育て中家庭に入る人が多いんですけれども、でもまた戻れるということがあるので、この辺が変われば結婚も増えるのかなと思うんです。
 つまるところ言えば、こういう社会を作っていただくのは政治あるいは政治家の責任ではないかというふうに思っておりますので、皆様方に是非頑張っていただきたい。もちろん国民の責務でもありますけれども、やはりこのシステムを変えていくのは政治の力だと思うんですね。ですから、やはりどういう社会を構築していくかということを明確なビジョンを持っていただいて、それに向かって大胆に、こんなことを言っちゃいけないけど、ちまちまとした構造改革ではなくてベーシックな構造改革を私は心から望んでおります。
 以上でございます。
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清水嘉与子#4
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、山田参考人にお願いいたします。山田参考人。
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山田昌弘#5
○参考人(山田昌弘君) 東京学芸大学の山田昌弘でございます。今日はお呼びいただきまして、どうもありがとうございます。
 私は、袖井先生の、同じく家族社会学というのをやっておりまして、ただ私は経済的な面から家族を見てみたい、つまりお金の面から家族を見てみるとどうなるかというのをずっと考えて調査してきてまいりました。最近、私の本は社会学のコーナーというよりも経済本のコーナーに置かれることが多くなってきたのですが、社会学をベースにしております。
 まず、袖井先生の続きということにもなるんですが、特に若者調査を私はやっておりますので、今の若者の状況というものを皆様に知っていただきたいというのが一つの思いです。
 昔は若者代表として発言していたんですけれども、もう私も四十七歳になったんで、もう若者代表とは、先生、勝ち組の方、逃げ切り勝ち組の方ですよなんて言われる世代なんですけれども、若者はどう感じているかというのをなるべく代弁してやっていきたいと思います。
 まず、レジュメに従って進めさせていただきますが、まず子供を産み育てる経済的条件というのを考えてみますと、袖井先生の図にもありましたけれども、結婚したいとか子供を持ちたいという欲求は決して弱まっていない。これは私が若者調査なりした実感でもありますし、統計的にも、先ほど見たように、未婚者の九割ぐらいは結婚したい、さらに結婚しなくても子供を持ちたいと思っている人は結構、結構というか更にいるということです。だから、ほとんどの人は結婚して子供を持ちたいという欲求は弱まっていないと考えていいと思います。
 よく個人化とか言いますけれども、一人でずっとやっていきたいと思っている人は今の若者でも少なくて、むしろ信頼できる関係性というのは、この個人化している世の中でますます大切になっている。だけれども持てない。私、先日、ペットを家族とみなして生活する人々の調査の本を出したんですけれども、余り売れなかったんですけれども、いや、もう家族よりもペットの方が信頼できますよと、裏切らないしとか、子供や奥さんは帰ってきても、あなたお帰りと言うだけだけれども、ペットの犬の何々は玄関を開けた途端に私のところにばっと抱き付いてきてくれるとか、そういうようなことを言っていますので、子供の代わりにペットがなっちゃまずいんですけれども、実際そういう欲求が強くなっているということは実感できます。
 しかし、お金と相手がいなければ子供は生まれてこないわけです。つまり、子供が欲しくても、将来的に育てる、育てていくお金がなければ産まないし産めないし産みたくないと思っているわけです。つまり、私が受けてきた以上のお金を掛けられる経済的条件を整えなければ、産んだら子供がかわいそうだというふうに言う若者にも何人も出会いました。つまり、子供を愛するから産まない、産めない、こんな経済条件で育てたらかわいそうだから産めないという人も出てきているわけです。
 さらに、相手がいなければ生まれないわけで、先ほど袖井先生が事実婚などが増えればというふうにおっしゃいましたけれども、事実婚したくても相手がいなければ同棲も事実婚もできないわけです。国立社会保障・人口問題研究所の調査では、やはりここ十五年間の間で恋人も異性の友人もいない若者がどんどん増えているんですね。つまり、結婚しなくなったから恋人がいる人が増えたんだろうと考えるのは、実はそうではなかった。実は、配偶者もいなければ、異性の友人も、欲しくてもですよ、欲しくてもできない人が多くなってきているというのがあります。
 結婚・出産の条件というのを考えてみますと、結婚・出産後に期待する生活水準、いや、これぐらいの生活ができれば子供を産んでみたいなという生活水準と、じゃ自分たちでどれだけ稼げるかなと思う将来見通しを比べてみて、ああこれぐらい稼げるから結婚して子供が産めるんだろうというふうに思えれば産むわけです。
 ポイントは、結婚後に期待する生活水準は、未婚者がどれだけの生活水準をしているかに連動しているわけです。つまり、戦前、物が何もない時代は、結婚しても何もなくても全然構わないわけですけれども、今の若者は、後で私がパラサイトシングルと言うように、もう車も持っている、年に何回も海外旅行に行っているというような状態が当たり前になってしまいましたので、結婚して生活水準が下がるというのは、それは耐え難い選択になるわけです。そして、その反面、カップルが稼ぎ出せる将来見通しというものが、今度は若者が将来どれぐらい収入を稼げるかというところに依存するわけです。
 そういう観点から戦後の出生率の変化というものを見てみますと、高度成長期は大体ほとんどの人が結婚して、子供の数も二・二人と安定していた。それは、もちろん結婚に期待する生活水準も上昇しましたが、それと同時に男性の収入も増大していたから、その期待する水準以上に生活ができるから子供が産めていたわけです。
 しかし、オイルショック後、出生率が低下します。それは、結婚に期待する生活水準は逆にどんどん上昇するんだけれども、男性の収入の伸びが鈍化している。そのために未婚化、晩婚化で結婚を先送りするという人が増えたので出生率が低下した。そしてさらに、一九九〇年代後半には、結婚に期待する生活水準は変化がなくても、将来の所得見通しというものがどんどん不安定化している。そうすると、ますます出生率の低下は加速するということを私は思っています。つまり、高度成長期というのは、夫は仕事、妻は家事ですね。妻は家事で豊かな生活を築くというのが若者の目標であり、実際にそれは実現していったわけです。それは、結婚前の生活が豊かでなかったというのが一つの条件です。もう一つの条件は、ほとんどすべての若年男性の収入が上がり続けることが期待できたというのが第二の条件です。
 しかし、安定成長期に入ると、結婚の先送り、親に基本的な生活条件を依存してリッチに生活を楽しむ未婚者というものが現れてきました。親も豊かになったので、子供に豊かさを享受させようと思うわけです。そうすると、結婚前の生活、結婚する前の生活というのが相当豊かになっていますので、結婚して豊かになるというような夢を見にくくなったわけです。
 下に一九七三年と九七年の暮らしに対する満足感の年齢別グラフを挙げておきましたけれども、七三年は、若いころは生活に対する満足度が少なくて年を取るに従って満足度が多くなる。こういう状況だと、若者は結婚して子供を産んで豊かになっていこうという期待を持って結婚できるわけです。しかし、九七年は未婚者が多くなりましたので、若い人が一番満足をしていて、子育て期の四十歳、四十代の人が、特に四十代男性、私の世代ですね、私の世代が一番不満が高くなっているというような状況が出てきているわけです。それは、結婚に夢を抱けといっても、結婚して貧乏になるくらいだったらしばらく待ってみようと思う人が増えるのは、それは当然の話でございます、いつかは結婚するにしろということですね。
 第二の条件として、男性の収入の伸びが鈍化してきた、つまり将来豊かな生活ができるという見通しが徐々に鈍ってきたわけです。
 しかし、事態はそれだけでは済まず、やはり一九九〇年代後半からやはり統計的に二つの変化が出てきました。これは後でも述べます、袖井先生も述べましたけれども、一つは、今までは結婚したら二人の子供は産んでいたわけです、九〇年代前半ぐらいまでは。しかし、近年の厚生省の、厚生労働、社会保障・人口問題研究所の分析だと、九〇年後半から一人っ子が増え出してきた。別に戦後一人っ子が増え始めたわけではなくて、一九九〇年代後半から夫婦の間で持つ子供の数が減り始めた。
 第二点は、予定子供数が減り始めた。これも私、実は大きな変化だと思っています。以前は希望子供数と予定子供数、予定子供数、大体結婚したら二・何人産むというのは変わらなかったんですけれども、ここ五年の間に予定子供数が、何人予定するつもりかという子供数が減少傾向にある。これは何かやはり大きな変化があるというふうに私は考えたわけです。つまり、若者が稼ぎ出せる将来の収入の見通しが低下したということが一番大きい。
 それにはフリーター化とかがかかわってくるわけですけれども、これは私が厚生労働省の助成で東京と青森の調査を行った、左側の図はそうなんですけれども、将来日本社会は経済どうなるか。今以上に豊かになるという人は四%しかいないわけです。別に私がそう言ったわけではなくて、若者の四%しかいない。同じような豊かさが三一%、いや今より豊かじゃなくなっているというのが六四・五%いるわけです。じゃ、あなた自身はどうなるかというのがその一番下の図ですけれども、今以上に豊かになるという人も一四・二%いますけれども、今より豊かでなくなっているという人は、若者は四〇%しかいないわけです。こういう状況で安心して子供を経済的に育てていけるかというと、やはりそれは無理なわけです。
 そうすると、未婚化が更に進展してきます。つまり、酒井順子さんが、「負け犬の遠吠え」というのがありましたけれども、私が、パラサイトシングルの高齢化という現象が起きている。つまり、九〇年ごろまではいつかは結婚するんだけれどもと思っていたのが、未婚男性は、待っていてもおれの収入で嫁さんに来てくれる人がいない、なかなか収入が上がらない。未婚女性の方は、期待どおりの年収を稼ぐ未婚男性が現れない。
 それは現れないわけで、その一番下の図を見てください。これは青森と東京で先ほどの同じ調査なんですけれども、未婚女性はどれぐらいの収入を男性に期待するかというものと、実際に二十五歳から三十四歳までに未婚男性がどれぐらいの収入を稼いでいるかというものの比較の表です。青森では、何と未婚男性の四七・九%が年収二百万以下、二百万から四百万までが四九・六。つまり、逆に四百万以上稼ぐ青森の未婚男性は私の調査ですと二・六%、五十人に一人しかいないわけです。しかし、未婚女性の期待は、こだわらないという人も三〇%くらいいますけれども、四百万以上なきゃ嫌、六百万以上なきゃ嫌という人はそれぞれ三九・八、一三・六。つまり、まあざっくり言いますと、青森だと四百万以上の男性じゃなきゃ結婚をしないという人が二人に一人なのに、それを稼ぐ未婚男性は五十人に一人しかいないということですね。これはもう宝くじを当てるぐらいの確率でしか出会わないわけです。でも、いつかそういう人が現れるのかもしれないと思いながら、待ちながら三十、四十になってしまっているというのが負け犬の実は実情なわけです。
 それは東京でも、東京ではもちろん未婚男性の収入も増えますけれども、それ以上に未婚女性の期待も高まりますので、事態は余り変わっていないということです。
 先ほど袖井先生が、高学歴の女性と学歴が低い男性が特に三十代になると未婚者が多くなってくると言いましたけれども、私、学歴というよりも、やはり収入が安定してない男性が、未婚者は少ない。いや、若者の収入こんな少なくないと思っていらっしゃる先生いると思いますけれども、収入の高い男性はもう既に結婚しちゃっているわけですよ。結婚しちゃっているから、未婚男性の年収は、低い男性が残っているわけなんですね。
 このままだとなかなか、ミスマッチが起きているわけですから、私は、あるところというか専業主夫を増やせばここら辺は解消できるのかな、つまり高学歴の女性がフリーターの男性と結婚するというのを逆に増やさなければ三十代の結婚というのは増えないというのは、これはデータを見れば、事実を見れば明らかでございます。
 次には、結婚している夫婦の産み控えで、先ほど言ったように既婚女性出生率の低下、予定子供数の低下があるわけですが、これはどういう要因かなというのを同じデータを使って検証したんですが、これは今度は既婚者で調べたんですけれども、やっぱり今以上に豊かになると考えている人は今後産もうとする子供の数が青森も東京も増える。しかし、今よりも豊かでなくなっていると思う結婚している人は今後産もうとする子供の数が減るというのは状況があるわけです。
 つまり、今後、ではどういう問題が予想されるかといいますと、まず、少子化と経済停滞のスパイラルが続くのではないか。経済的縮小、若者の雇用が悪化、若者の将来見通しが悪化、結婚、出産先送り、経済的縮小というマイナスのスパイラルが出てくるのは非常に懸念しています。
 第二番目には、パラサイトシングルの不良債権化という問題が起きています。
 私のたまたま「希望格差社会」という本が結構支持をいただいて売れているんですが、なぜ売れているのかというと、自分は取りあえず豊かだけれども、自分の子供がフリーターやニートやパラサイトシングルになってしまったらどうしようと思う中高年男性にどうも売れてるらしいということが言われていました。つまりそれは、中高年の人本人はいいかもしれないけれども、やっぱり自分の子供がどうなってしまうかというのは心配です。
 実際にそういうケースが現れてきまして、いつか結婚できると思って親にパラサイトしている不安定な雇用の女性、親が亡くなったとき年金にパラサイトできなくなると生活手段がなくなるわけです。おととしに長野県で、親が亡くなったんだけれども、亡くなってないことに、届けを出さずに親の年金で生活をしていたという事件が発覚しました。実は、今後こういう問題がどんどん起きてくると思います。
 結婚相手が見付からない不安定雇用の男性というものも出てくると思います。企業社会が悪いといいますけれども、結局企業で安定した雇用の下にいるというのは精神的な安定をもたらしていました。つまり、職場に仲間がいるということがいろいろな問題行動を起こすことを抑制しているわけですけれども、不安定雇用が増えてきますと、職場にも仲間はいない、家族もいないとなると、社会的孤立が生じてしまうわけです。そうしていきますと、ある人はニートになったり引きこもったり、ある人は問題行動を起こしたりするということが増えてくるわけです。
 さらに、これはこの次の松尾先生のところに少しつながることですけれども、日本はいわゆるできちゃった結婚は約十五万組です。もう結婚が今大体七十万組強ぐらいですので、五組に一組は子供ができたという理由で結婚をしているカップルなわけです。そこでは経済的に不安定な層がかなり含まれています、これ。
 私、毎日新聞の人口調査会で実際にできちゃった結婚をした人とそうじゃない人の比較調査をしましたら、やはりできちゃった結婚をした人は夫の収入が低いというようなデータが出てました。そうすると、私、東京都の児童福祉審議会の委員をやって虐待家庭の審議をしているんですけれども、やはり若くしてできちゃった結婚をして夫が失業しちゃってという中で子供の虐待が起きている。これはもちろん印象ですけれども。つまり、もう将来、生活してても生活の見通しがない、子供は邪魔だとかいうふうなことが起きているんだと思います。
 ただもちろん、韓国で今出生率が強力に低下、すごく低下しているのは、韓国ではできちゃった結婚はない、ほとんどないと言われているので、逆に出生率を押し上げているという側面もあるんですけれども、不安定な中で出生率を押し上げるのもまた問題かと思います。
 ちょっと、もう一分ぐらいしかなくなりましたので、何ができるのかということで、昔に戻ることはできない。つまり、男は仕事、女性は家事で豊かな生活を目指すというのはもう無理なんですね。それは、子育てに期待する生活水準が高く、それが男の収入では維持できないということは明白なわけです。
 じゃ、すべての男性に年功序列賃金、終身雇用の復活を図るのはもう今の経済情勢で無理なわけです。もちろん、となると、もう共働きで将来の生活の見通しを立てるという方策は基本的には正しいんですけれども、そもそも女性の雇用も二極化していまして、お金を稼ぐ女性もいればフリーター女性も大量にいるわけです。つまり、キャリア、共働きだとそれは豊かに見通しを持って生活できますが、そうでなければやはり不安定なまま留め置かれるわけです。
 逆に、保育所や育児休業というのは安定雇用の女性のみに当てはまりますが、ここまで雇用が不安定した中で育児休業といったって、それは正社員女性の特権になりつつあるわけです。だから、まず就職をさせた後に育児休業なり保育所の整備というのを両方進めなきゃいけないという状況にあるわけです。
 だから問題は、若者の、特に不安定雇用の若者の将来の生活の見通しを立てられるようにする。准安定化するとか、資金給付、貸与、逆年金、出産一時金、マイナスの所得税といったような、親保険といったようなものが必要になっているというのは、少子化対策のために必要だと同時に、できちゃった結婚等不安定な中で子供を育てざるを得ない人、特に私、最近離婚の研究をやっているんですけれども、最近リストラ離婚が増えているんですね。つまり、男性がリストラされて失業したんで子供を連れて親の実家に帰ってくる。私が調査した中では、引退していた父親が娘と孫のために再雇用されて働き出したという例まであるんですけれども、離婚が増加というのもそういう側面が、まだ男性が収入を支えるという意識がなかなか離れないという側面もあるということはあると思います。
 あとは袖井先生の言っていることと同じ、ベーシックな改革というのがそうだと思います。私がガダルカナルと言っても御存じの方はもう少ないと思いますが、私、戦史オタクなので。つまり、戦力を逐次投入していったんでは、まあ負けてしまうと言ったらいいでしょうかね、別に私、戦争を肯定しているわけではありませんですが、二百三高地とかガダルカナルみたいにちまちまと戦力を投入していったんでは、それは効果はなく吸収されていってしまうと、一気に対策を進めていかなくてはいけないと思っております。
 ちょっと長くなりましたが、ここで失礼さしていただきます。
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清水嘉与子#6
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、松尾参考人にお願いいたします。松尾参考人。
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松尾宣武#7
○参考人(松尾宣武君) 今日はお招きいただきまして大変ありがとうございます。ふだんいろいろ御指導いただいております清水委員長に厚く御礼申し上げます。
 私、小学校のときに国会の参観に来まして以来、国会の敷地に足を踏み入れましてすごく緊張しております。
 自分の専門は性の分化、分化というのはカルチャーではなくてディファレンシエーションというふうに、男と女がどうしてでき上がってくるかという、そういうことを専門にしております。この少子化の問題につきまして小児科医の存在感が非常に薄いということを責任を感じておりましたが、今日こういう発言の機会をいただきまして大変うれしく思っております。
 お手元のレジュメに従って話を進めさしていただきたいと思います。
 結論から申し上げまして、少子化対策として非常に有効な対策というのはないということを我々は認識して次世代に対する対策を考えなければいけないというふうに思います。一番まずい方法は、山田参考人もちょっと触れられましたが、効果のはっきりしないたくさんの対策を打って借金を次世代に先送りするということが一番少子化対策としてはまずいことだというふうに思います。
 最初に、少子化社会の意味と書きましたが、日本だけではなくて、すべての先進諸国が少子化社会を迎えているわけでございますけれども、単に子供が減るというだけではなくて、子供の質が低下するという現象がすべての先進国において同時進行しているということを我々は理解する必要があると思います。
 ここに我が国の子供の半数は心身不健康であるというふうに推測されると書きましたが、決してこれはオーバーな評価ではないというふうに思っております。ですから、数を増やすということよりも、子供の健康の質をどうやって確保するのかということに主眼を移すべきではないかというふうに思います。
 少子化の要因でございますが、いろいろな分析がされていることは確かでございますけれども、最も根幹の問題というのは、我々が子育てにそれほどの価値を見いだせなくなってしまったということだと思います。価値を見いだしていないというわけではございませんけれども、大きな価値を見いだせなくなった。
 これは岸田秀先生の表現で、育児思想というふうに彼は述べておられますけれども、昔は親孝行であるとか家の継続であるとかという、そういうかなり親の利己的な物の考え方が入っている、その育児の理由というのがあったわけでございますけれども、今はそういうものが完全になくなりましたので、育児に対して親が意味を見いだし得ないということが、どういうふうにこれに対応するかという問題がございますけれども、新しい育児思想をどういうふうに確立していくかということについて、もし時間があれば私の見解を述べたいと思いますけれども、その問題がございます。
 それから、家庭機能が極めて低下してきたということがあります。結婚したときに親としての準備性がない若者が多い、子供が生まれてもまだそういう状態にあるという人が多いわけでありまして、これは小児虐待でありますとか小児の非行であるとか、様々な子供の問題につながっていくということが言えると思います。
 少子対策でございますけれども、国や自治体が打ってきました少子対策というのは、すべて出生率の向上をどういうふうにして図るかということに視点が限定されているように思われます。私は子供の健康と幸せが確保されるために何が必要かということに是非視点を移していただきたいというふうに思います。特に、この実効ある少子対策というふうに、実効あるという言葉の意味についてこの調査会のコンセンサスが得られることを期待しております。
 子育てにおいて非常に重要なのは乳幼児期と思春期にあるということは、これは言をまたないことだと思いますけれども、この乳幼児期の重要性というものが非常に無視されておりますし、三歳神話というような非常に空虚な言葉が広まって、母親の重要性というのが非常に軽視されたということは小児科医として非常に残念に思っております。
 この乳幼児期の子育てにおきまして、母親が持っている偉大な力というのは、これは男子が代行できない部分が非常に多いわけでございますが、思春期の問題、思春期の親の責任としては、これは父親の果たす役割は大きいわけでございまして、乳幼児期は母親が主体になる、思春期は父親が主体になるというような役割分担というものを将来の我々の社会において考えなければいけない問題であるというふうに思います。
 仕事と家庭の両立でございますが、この問題は先進諸国がすべて共通して抱えている問題でございまして、すべての国において子供の健康障害がその結果起きていると。これはまず認めるところからスタートすべきで、これを昔に戻すということは不可能でございますけれども、仕事と家庭の両立というのは非常に困難なことだということをまず理解する必要があると思います。
 特に、キャリア女性に対する対策としては、復帰したときの支援パッケージというのを充実させるということは非常に重要であると思っておりますし、私、小児科医として、女性の小児科医が出産、子育てをした後の復帰ということについて学会で今取り組んでおりますけれども、こういうものをそれぞれの業界において考えていく必要があるというふうに思います。
 最後に、まとめでございますけれども、少なくとも二つの問題が大事ではないかというふうに思います。
 一つは、やはり社会的規範というのをもう一回取り戻していかないと、人間に自由に、自主性に任せるということをいたしますと、果てしなく社会が混乱していくというふうに思います。ですから、社会的規範をどうやって取り戻すかということを考える必要があると思います。
 第二点は、人間というものはどういう動物であるかということですね。人間性というものをもう少し我々は深く学ぶ必要があると思います。
 そこに書きましたが、我々の歴史がどういうものであったのか、それから人間の様々な行動がどういうふうに遺伝学的に制御されているのか、そして自己の形成というのがどういう社会心理学的な機序によって起きてくるのかということにつきまして、すべての大人がより深く理解、する必要がある、これがつまり親教育であるというふうに思っております。
 最後に、この「付」として書きましたが、我が国の医療計画というのは、子供という視点が完全に医療計画から脱落しております。これを是非取り戻す、見直す必要があるということで、これを私たち小児科医の重大な役割というふうに考えております。
 以上でございます。
 御清聴ありがとうございました。
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清水嘉与子#8
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時をめどにさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、多くの方が御発言できますよう、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに対する質問であるかお述べいただいて御質問いただきたいと思います。
 では、質疑のある方、どうぞ。
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中原爽#9
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 袖井先生に伺いたいと思います。
 先生御説明いただいた資料の一番最後のページ、図二がございまして、結婚年齢別の夫婦の出会いのきっかけでありますが、サークル・クラブ、街中や旅先、アルバイト、職場、学校、友人・きょうだい、幼なじみ・隣人と、こうなっております。これはほとんど当事者、御本人たちがかかわっていることですけれども、あと結婚相談所とそれからお見合いという形であります。まあ結婚相談所も一種のお見合いということで見れば、三角形の恋愛結婚というのが幼なじみまでの自分が直接関与した問題で、これが伸びているということでありますが、結婚相談所とお見合いというのが、もう黒い丸印がどんどん減っているというカーブになっているわけですが、この中で、この結婚相談所という役割というのがこの図ではちょっと分かりかねるものですから、結婚相談所について、先生どのようなお考えをお持ちか、伺いたいと思います。
 それから、あと山田先生にお話を伺いたいんですけれども、先生の御説明ですと、年収六百万以上、少なくとも一千万でも収入があれば周りの未婚の女性がほっておかないという格好になるということだと思うんですけれども、これは今も昔も変わらない状況だと思うんですが、年収はあった方がいいわけであります。ないよりはあった方がいいということですから、まして美男子で背が高くて年収が一千万もありゃ、それはだれも周りの女性はほっておかないということになると思うんですが、このギャップを埋めることが、これは数字上ギャップが出るわけなんですけれども、これは今も昔も変わりないというふうに私思いますので、このギャップをどういうふうにして埋めるかということが、今の問題で、例えばフリーターが増えているというデータをお示しいただいているんですけれども、このフリーターが不安定な雇用だという形であれば、これは、現在、終身雇用制というものはなくなっている、しかし一部は定年を延長しようという動きもあるわけなんですね。ですから、こういう関係でもって、このフリーターというような形のものが増えながら、不安定雇用を政治が解消していくという必要性はもちろんあると思うんですけれども、この政治に期待する部分について、先生の御意見、何かございましたらお願い申し上げたい。
 それからもう一点、パラサイトシングルの高齢化でありますけれども、これは本人が高齢化することも含めて、その両親、寄生されている方も高齢化するわけですから、今後このパラサイトの状況が子供と親がともに高齢化していくと、行き着く先についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせいただきたい。
 以上でございます。
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清水嘉与子#10
○会長(清水嘉与子君) 袖井参考人、どうぞ。
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袖井孝子#11
○参考人(袖井孝子君) 結婚相談所ですが、戦後、第二次大戦後はかなり活躍したようですけれども、ほとんど今はやっているところが少ないと思いますね。
 ただ、この相談というか、あっせんについて申しますと、近年、ビジネスとして結婚あっせんするというのが非常に増えてきている。余り統計はよく分からないんですが、こう新聞広告の一面広告がツヴァイとか何か出るんで、あれだけやっているところを見ると、かなり増えているんじゃないかなと。
 ですから、やはり先ほどもお話ししましたように、御仲人というか、その出会いの場を設定する人がだんだんいなくなってきた代わりにそれがビジネスになってきているということで、その統計資料なども本当は欲しいんですけれども、結構職業別で、医者、弁護士グループとか、何とかに限るというようなふうに分けて、そしてその入会金とか参加費をかなり高く取っているということもありますので、私はこういう形態がこれから新しいというか、形での一種の見合いの場、見合い結婚という形で出てくるんじゃないかというふうに思っております。ですから、恋愛結婚が増えてきたとはいえ、見合いというのが一定程度ずっと残っていくというふうに私は考えております。
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山田昌弘#12
○参考人(山田昌弘君) まず、袖井委員に対する、質問に対してのちょっと補足でもよろしいですか。
 私、今、経済産業省で結婚産業研究会というのが立ち上がっていまして、そこで結婚産業の実態と優良なところを保護して、出会い系サイトみたいな、変だと言っちゃいけません。ちょっと変だと言うと語弊がありますが、ところを峻別しようというのがありますが、やはりそこで話されているのは、まずやはりミスマッチはなかなか解消しない。つまり、女性が望むような、収入が安定していて格好よくてというような男性がなかなか集まらないのが苦慮するというのがまず第一点でございます。
 あと第二点は、やはりここは強調したいんですが、結婚産業の中では、やはり中に参加しているうちに、そんな高い期待持ったって無理だなというのを分からせる機能があるというのが一つと、あとコミュニケーション下手な男性を教育してコミュニケーションを付けさせて何とか成功にこぎ着けるというのもやり始めているという話がありますので、そういうことにも多少、プラス、結婚難解消にはプラスにはなるのかなというふうに思っております。
 次に、私に対する中原先生の御質問なんですが、やっぱり今も昔も変わらない、それは年収は高い方がいいよということ、女性にとってですけれども。なんですけれども。やはり今と昔で変わったことというのは、昔は格差があったとしても量的な格差であったと。つまり、例えば中卒であっても企業に入ればそこそこに出世して、企業の中で課長、係長とか職長とかそういうところまでにはなれた。つまり、若い男性で企業に入っていれば、若しくは自営業であっても農業であっても、少なくとも安定して多少は収入が上がる期待が持てたということで結婚していったんだと思います。しかし今は、今のフリーターとか不安定なことが、いや、五年、十年後にはもう就職してうまくいくんだというふうな見通しがあればいいんでしょうけれども、今その見通しがない状態でほっておかれているというのが状態でございます。
 もちろん、企業の中でも、中核的で専門的な人は、企業は終身雇用、年功序列でやはり男性でも女性でも抱え込もうとするんですけれども、やはりそういうところからはじかれた若者、実はフリーターの女性も結婚しにくいというデータが最近出てきていまして、男性も、いや、どうせ共働きするんだったら収入の高い女性と共働きしたいというふうになって、フリーターであれば男性はもちろん女性であってもなかなか結婚相手としては選ばれにくい状況というのは何とかしなくてはいけないかなというふうに思っていますが、私もいろんな政府の委員等もしていろいろ提案とかもするんですけれども、なかなかうまい手がないのが現状でございます。
 ただ一つ、企業に終身雇用を復活しろというのは私は無理だと思います。だから、社会全体で、別に政府はやらなくてもいいわけですが、自治体なりコミュニティーなりNPOなり、そういうところで、少なくとも五年先、十年先にこれだけの収入があるんだという見通しが付くような方策というのが若い人は一番求めている。つまり、収入は高くなくてもいいから見通しを持ちたいというのが若い未婚者の願望でございました。
 で、パラサイトシングルが、ただ両親が高齢化するというのも大変なんですけれども、今の、まあこんなことを言うのもなんですが、今の六十、七十のパラサイトシングルの親たちの世代というのは年金的には最も恵まれている世代でございまして、親がたとえ介護状態になっても、親の年金が入っている限りパラサイトシングルは世話しながら暮らせるというふうに言うんですよ。だから、その不安定な雇用にいるパラサイトシングルたちが恐れているのは、その親が亡くなって年金が入らなくなったときに自分自身の生活が成り立てるのか、成り立つのかどうなのかという不安とともに暮らし始めている三十代、四十代の親同居未婚者というものが今後増え始めているというふうに私は判断しています。もちろん、全員がそうというわけではないですので、そういう人たちが何十万人というレベル、オーダーで出てくるというふうに思っております。
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中原爽#13
○中原爽君 ありがとうございました。
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清水嘉与子#14
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
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小林美恵子#15
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。
 私は、まず松尾先生にお伺いしたいんですけれども、小児の医療の体制という問題なんですけれども、私、もうそれは本当に少子化を考える上で大切だなというふうに思っております。それで、今小児科の医師が不足しているというような現状もあるかと思いますけれども、先生、その専門の現場におられまして、その不足を生み出している要因は一体どこにあるのかということと、そこをどこを変えれば改善できるかという、そういった御意見をひとつお聞きしたいというふうに思います。
 それと、袖井先生と山田先生にお伺いしたいんですけれども、先生のお話をお伺いしていますと、共通してやっぱり少子化の要因に将来に対する不安があるというふうにお話があったというふうに思います。それはすごく重要な御指摘だなというふうに思いまして、その不安の解消にやっぱり政治の分野では乗り出さないといかぬ、ベーシックな改革が必要だというふうにおっしゃいましたけれども、本当にそういう立場にいる者としては、その解消に向けたものが大事だなというふうに思っています。
 そこでお伺いしたいんですけれども、袖井先生は、その将来不安をもたらしているその政策的、根本的要因はどこにあるのかというふうにお考えかなということと、それをどう取り除いていけばいいかということをひとつお聞きしたいんですね。
 山田先生には、収入の見通しが若い方にないというふうにおっしゃっていました。先ほど不安定雇用の問題もございましたけれども、その不安定雇用をやっぱり生み出している社会構造といいますか、というのがあるかなと思うんですけれども、その点でどういうふうに分析をされているかということをお聞きしたいというふうに思います。
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清水嘉与子#16
○会長(清水嘉与子君) では、松尾参考人からどうぞお願いします。
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松尾宣武#17
○参考人(松尾宣武君) 小林先生から小児科医が不足しているかどうかという御質問でございますが、小児人口当たりの小児科医の数という指標を取りますと、我が国の小児科医は決して不足しているということにはなりません。何が小児医療の場で混乱している一番大きな原因かといいますと、小児科医が勤務しております病院の数が極めて多いということが、たくさんいろんな問題がございますけれども、最大の問題であるというふうに認識しております。小児科医を集中させるということが必要不可欠だと思っております。
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清水嘉与子#18
○会長(清水嘉与子君) それでは、袖井参考人、どうぞ。
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袖井孝子#19
○参考人(袖井孝子君) 本当に将来不安、どこから来ているかというのはちょっと余り分からないんですけれども、私は一応社会保障とか年金などを専門にしていますが、やはりその一番最近端的に表れているのは、年金制度とか社会保障制度がやっぱり持続可能ではない、将来が見えないということで、やっぱり昨年年金改革が行われましたけれども、あれで本当にいけるんだろうかということが見えないわけですね。そして、本当に、例えばその年金をめぐる国会議員たちの未納、未加入の問題とか、それから社会保険庁のいろんなスキャンダルとか、いろんなそういうものが続々と出てくることによって、やはり日本の社会がどこへ行くのかがはっきり見えない、そして政治家に対する信頼が置けないという、そういうことなんですね。
 社会保障などについて申しますと、本当に私は個人的には一元化して、明確な、いいというか、完全所得比例のシステムにするのがいいと思いますが、そういうふうにする場合には、やはり北欧などで行われているような国民総背番号制にしなくてはできないと思うんですね。このいろんな税にしろ社会保険にしても、何か逃れている人、落ちこぼれている人が物すごく多いわけですよね。それを許している社会というものに対して、やはり安心が持てない、信頼が持てないんですよね。
 北欧などがなぜいいのか。私も非常に不思議で、北欧の方、スウェーデンとかデンマークとかフィンランドとかの方に聞いたんですね。そういう国民総背番号制、生まれたときに番号が付いちゃって、それが一生付きまとうというんですね。医療も教育も年金も全部それでいくというんで、そんなことして嫌じゃないのかってね。政府に管理されていて、のぞかれているようで嫌じゃないのかと聞いたら、そうではないと、誇りに思うと言うんですね。えっと思った。私は、日本人が例えば住基ネット一つにしてもあれだけ反対するというのは、政府というかお上が何をするか分からない。これで、あそこで、住基ネットというか、あれでさえあんなに反対して、例えば総背番号にして税や社会保険も全部統一的に把握するといったら物すごく反対ですよね。やはりそれは政治が信頼されていないからだと思うんですね。
 ですから、やはりもちろんベーシックな改革もすることが大切ですけれども、やはり政治家の方々もやっぱり国民一般のちゃんとルールに従ってちゃんとやっていっていただかないと、変なところでルール破りをして、政治家だから許されるみたいなところがある。やはり、これはとても、若者だけじゃないですけれども、国民一般の信頼が得られないというふうに思っております。
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山田昌弘#20
○参考人(山田昌弘君) 収入の見通し、不安定雇用がなぜ生み出されているのかというお話だと思うんですけれども、すごい専門家ではないのですが、やはりニューエコノミーと言われるような社会構造的な大変化というものが今全世界を覆っているというふうに考えています。つまり、不安定雇用が生み出されたのは日本だけではなくて、アメリカ、ヨーロッパでも生まれていて、それが大問題になっているわけです。
 日本で大問題にならなかったのは、私が言うパラサイトシングルで、親が子供を抱えてしまっているために若者のホームレスの群れがあふれるということが起きていないだけで、だから今対策を、親がまだ元気なうちに対策をしておかないと、将来に先送りされるというふうに私が強調しているところでございますが、基本的には物作り経済から、情報なりサービスなり知識なり、そういう新しい経済への転換が起こっている、その転換に制度等がなかなか追い付かない。別にこれは日本だけではなくてあらゆる先進国がなかなか追い付かないわけだと思います。
 つまり、物作りというのは、たくさんの人が一杯かかわって物を作るわけですから、企業に入って熟練をする、仕事を覚える、IT化されていなかったら商売関係を覚えるという意味で熟練が必要だったわけですけれども、今は、IT産業というのはコピーできますから、つまり単純にコピーができるということは、コピーの元を作る人とコピーしたりそのコピーを配る人というものの生産性がすごく拡大してしまうわけですね。ファストフードとかスーパーなどではマニュアルを作る人とマニュアルどおりに動く人の格差がやはり拡大していくというのは、これは産業構造の変化に伴う必然的な流れだと私は解釈しております。
 だから、あらゆる国、日本だけではなくてあらゆる先進国では、いかに生産性が低いままほうっておかれている若者を何とか多少なりとも見通しを立てられるような方策をするということに関しては様々な工夫をしている。もう日本でももちろんなされているわけですけれども、様々な工夫がなされていますが、この流れを止めることは不可能かと私は思っております。
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山本香苗#21
○山本香苗君 今日は大変貴重な御意見、三人の先生方、どうもありがとうございました。
 まず最初に、山田先生の方にお伺いしたいと思うんですけれども、非常に聞いておりまして納得するところもたくさんあるなとお伺いしていたわけなんですけれども、実際、自分の周りでいろいろ話を聞く中で、子供が欲しくても、結婚したくても相手がいなくちゃできないし、相手がいなければ生まれないわけで、また産めないわけでという話はいろいろ同世代の中で話をしていると出てまいります。
 そうした中で、育てるお金がなければ産まない、産めないという話ではございましたけれども、単にお金を渡したことによって産むというインセンティブがぱっと生まれるわけではないと思うんです。お金という中に多分物理的な何かいろいろと支援というものが入っていると思うんですけれども、具体的に、そのお金と言われたところでどういうものが頭の中に想像、考えていらっしゃるのか、もうちょっと詳しく教えていただきたいと思っております。
 袖井先生の方には、女性の就業形態ということで、御専門、いろいろと本を読ましていただきましたけれども、最近女性の中で派遣労働というものが大変多い。若い女性の方々は大抵派遣でということをよく言われるわけなんですけれども、そういう女性は今の少子化対策の中では余り恩恵を被るところがないわけですが、どこをどうやはりこれから改善していかなくちゃいけないか、すぐ手を打たなくちゃいけないのか、お考えか、お伺いしたいと思います。
 そして、松尾先生の方、最後、御説明の中で最後に小児科医の女性の方々が再就職のパッケージという話を今考えていらっしゃるということをお伺いしました。私の友人も小児科医で大変勤務の厳しい中働いているわけなんですけれども、こういう有能な女性がきちっと再就職できるようにいろいろとしなくちゃいけないけれども、結婚もできていないような状況ではあるんですが、具体的に今どこまでお考えなのか、検討状況についてお伺いしたいと思います。
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山田昌弘#22
○参考人(山田昌弘君) 確かにお金というとすごく抽象的で、ただお金を配ればいいというふうに受け取られがちなので、質問をしていただいて本当にありがとうございます。
 お金、ただ単に現金が欲しいとか、そういうことを私が言いたいのではなくて、何らかの形で将来的に子供を育てながら生活が成り立つ保証が欲しいというのがその私の言うお金の意味でございます。
 そうしますと、将来的に生活できる保証、それも別に生活保護のように、何もしなくてもお金があればいいということで私は全く思っていません。むしろ、そういう形を取りますと勤労意欲をなくしていくと思いますので、とにかく働き口があって、働いていたら普通に子供を育てて、子供をもし行けるなら高等教育に上げられる保証が欲しいということだと思います。
 だから、それはここからは政治的判断になるんだと思いますけれども、アングロサクソン、アメリカ、イギリス方式でいくか北欧方式でいくかの選択になってくると思います。
 つまり、北欧方式というのは、たとえ自分が失業しても、一時的に職を失っても、社会保障で何とか子供を育てられる。子供の教育費は国なり社会なり保険なりが払われるという安心の下で子供を産めるので、そこそこの出生率を保っているわけです。
 逆にアメリカは、それを市場で調達するということは、つまり、正規と非正規の区別が余りなく、年齢差別、性差別なく働けますので、とにかくある程度能力が付いていさえすればどこでも雇ってくれて、それ相応の賃金が得られるという保証が市場でなされている。そうすれば、一時的に職を辞めたとしても、また次に、能力、相当能力があれば雇ってくれるという見通しがある。つまり、市場が将来の生活できるということを保証している。
 日本の場合ですと、余りにも正社員と非正規社員の待遇が違いまして、正社員から非正規社員に移るのは簡単ですが、逆は非常に非常に難しいというところがあるので、そこのミスマッチが起こっているんだと思います。
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袖井孝子#23
○参考人(袖井孝子君) ちょうど今、山田先生が日本では非正規と正規の格差が大きいとおっしゃいましたけれども、正に女性の場合そうでして、女性は今、働いている、就業中の女性の半分以上が非正規なんですね。男性も非正規が増えてはいますけれども、でも七割強ぐらいが正規ですけれども、女性はもう半分以上が非正規なんです。ですから、今の労働政策が正規雇用者を対象にして作っているというのはとてもおかしいことだと、現実に合わないと思っております。
 非正規の女性、何が一番多いかというとパートが一番多いんですが、その次が派遣なんですね。それで、ここら辺もかなり格差が出てまいりまして、パートは既婚の中高年の、子育ての手が離れた女性が多いんですね、四十代から五十代ぐらいまで。そして派遣は、私も最近調べて驚いたんですけれども、意外に若くて高学歴の女性が多いんですよね。ですから、本当に何か才能の無駄遣いじゃないかななんていう気がしたんですよね。
 どういうふうにしたらいいかということですが、一つは、例えば育児休業など、今、正規の雇用者しか適用されない。最近ちょっと改正されまして、有期の雇用者にも適用すると言いましたけれども、ただこれも、就業継続が見込まれるということで、かなり条件を付けているわけですね。ですから、私は、本当に少子化対策とか子供が産み育てやすい社会を作るということであれば、正規の雇用者だけじゃなくて非正規の方も、そして自営業の方も全部本当に、育児休業中の所得保障だとか社会保険料の国庫負担とか、そういうふうにしていくべきだというふうに思っております。
 それから、私は厚労省の女性と年金検討会の座長をしたんですが、そのときに短時間労働者への厚生年金の適用ということを提言したんですが、厚労省の案でもかなり最後まで残っていたんですけれども、パート労働者に依存する依存度の大きいコンビニとかスーパーとか外食産業とか、そういう方たちの業種というか経営者の大反対で結局流れてしまったということなんですね。ですから、派遣に限らず、今こういうふうに雇用が非常に多様化しているので、正規の人だけを保護するんではなくて、むしろ、ちょっとどういうふうになるのか細かい技術的なことは分かりませんけれども、非正規の方の立場からいろんな、社会保障制度とか雇用保障とかいろんなものを考え直してはどうかというようなふうにも個人的には考えております。これはまだ思い付きの段階ですけれども。
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松尾宣武#24
○参考人(松尾宣武君) キャリア女性の育児、子育て後の職場復帰についての御質問でございますけれども、小児科医の場合は、一番大事なことは教育、再教育であるというふうに思います。再教育をやるメカニズムというのは今全くないんですけれども、やるべき主体はやはり各大学の教室にあるというふうに私は思っておりまして、それを細々と今までやってきました。それから、日本小児科学会もこの問題を重要課題の一つに取り上げておりまして、今日も厚生労働省でこれからその問題について会議が行われる予定になっております。
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清水嘉与子#25
○会長(清水嘉与子君) では、坂本さん、よろしいですか。
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坂本由紀子#26
○坂本由紀子君 自由民主党、坂本由紀子です。
 まず、松尾参考人にお伺いしたいのですが、親教育の必要性を御指摘されました。今、出産適齢期と申しましょうか、団塊のジュニアを始めとする若い人たちの親は恐らく、母親は専業主婦で子育てをしたのではないかと思いますので、そういう意味で、母親が間近にいて育った子供が今大きくなっている。その子たちが結婚しない、子供を産まないというようになってきていたり、あるいは親としての意識が欠けるところがあるというような問題があるかと思うんですが、そういう意味で、乳幼児期に必ず母親がそばにいなければ、しっかりとした子供が育たないと必ず言えるんだろうかというところに私はやや疑問を持っております。
 そして、特に今の若い人たちが自分たちで子供を十分に育てられないとすれば、それじゃ親の教育をしようということもありますけれども、同時に、親が家庭の中で育てる力が足りなければ、それを社会の側でサポートすることによってトータルとしての子育ての力をしっかりと作っていくということが有効ではないかと思うのですが、この点についていかがお考えでしょうかという点であります。
 それと、袖井参考人、山田参考人、ともに大学で若い人たちと御一緒しておられると思うんですが、今の若者について、将来への不安感を持っているというのが大きいのは御指摘のとおりですが、逆に、人生というのは自ら切り開いていくものであるという、自己の社会に対する決意というか、精神的な育ちの点においてやや甘いところがあるのではないか。何か社会がやってくれるとか、自分が自らやるよりも、そうでないことに対する不満が先に来ていて、育ちが遅いとすると、もっと学校時代に、社会に対する、社会に出る前にその辺の精神的な育ちをしっかりしていかないと、幾らいろいろな制度を整えても十分若者には有効に機能しないのではないか。例えば、非正規雇用のところの条件を同じにするというのもありますが、それだけで本当にいいんだろうか。例えば、社会に出るときに、自分の好きなときに働けるから派遣がいいとか、もっと気楽だからこれがいいとかいうようなことで、割合責任のない働き方を志向するようなところが若者の意識として気になるんですが、この点についてどうお感じになっているか、それぞれお伺いしたいと思います。
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清水嘉与子#27
○会長(清水嘉与子君) では、松尾参考人、どうぞ。
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松尾宣武#28
○参考人(松尾宣武君) 坂本先生の、親の役割というか、親の価値というか、そういうことに関する御質問だと思いますけれども、イギリスの精神医学者のウィニコットとか、それから、アメリカに後年移りましたけれども、マーラーという人たちの乳幼児精神医学の研究というのは、社会的に非行になった子供たちとかあるいは社会的に適応できなくなった子供たちの生活史を追跡することによって、その乳幼児期の母子関係に重大な問題があったということからこういう研究が進展したわけでございまして、最近ではアメリカのCDC、NIHが非常に多数の子供の長期追跡研究をやっておりまして、二年ほど前にその中間報告が出ましたけれども、やはり母親がどれだけ子供の要求にセンシティブに向かい合っているのかということが、子供の社会的適応に最も重要にかかわっているということを示しております。
 保育園に預けられた時間が長い、短いということも問題になるわけですけれども、その場合は、親が母親としてのセンシティブ、センシティビティーを欠いた場合に、長い他人による保育というのが非常に大きく影響するということで、結論的には、母親の価値ということがその研究によっては再認識されているというふうに思っております。したがって、親になるべき若い世代に対して、どれだけ家庭や親が子供の人格形成に影響を与え得るかということをよく教えるということが親教育の一番大事な柱だというふうに思っております。
 それでお答えになっているでしょうか。要するに、乳幼児の母親と子供のきずなというのは非常に強いものがあると。その人の将来の社会的性向に深くかかわっているということが示唆された研究成果であると思います。
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清水嘉与子#29
○会長(清水嘉与子君) 坂本さん、よろしいですか。
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