星野進保の発言 (厚生労働委員会)
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○星野参考人 御紹介いただきました星野進保でございます。
本日は、医療制度改革関連法案の審議に当たりまして、こうした機会をお与えいただきまして、大変ありがたく思っております。
医療保険制度のあり方につきましては、今御紹介いただきましたように、私が部会長を務めております社会保障審議会医療保険部会におきまして、平成十五年七月十六日以降、延べ二十四回にわたり精力的に議論が行われました。これらの議論の経過を踏まえまして、医療保険制度のあり方につきまして、政府案に賛成の立場から発言させていただきます。
我が国の医療保険制度は、世界最長の平均寿命や高い保健医療水準を実現してきましたが、近年、急速な高齢化など、さまざまな環境変化に直面しております。
国民の健康、長寿という人間にとって一番大事な価値を実現するためには、国民の安心の基盤としての良質な医療を効率的に提供する体制の構築と、将来にわたる国民皆保険制度の堅持とが不可欠であると考えております。
そのためには、今後増大が見込まれる医療給付費の伸びを国民が負担可能な範囲とすることが必要となります。この医療費の適正化に当たっては、国民の生活の質の向上、医療の安全確保や質の向上を図ることを前提に行うことが必要であり、医療そのものを効率化し、医療費の伸びを徐々に適正化していく中長期的な方策を基本とすべきであると考えております。
そして、その中長期的な方策としては、生活習慣病の予防、入院から在宅医療まで切れ目のない形での地域の医療機能の分化、連携、医療と介護の両面にわたる地域ケア体制の推進といった取り組みを進める必要があると考えます。
医療費の適正化を進めるに当たっては、これらの中長期的な医療費適正化方策を中心に進めることが重要ですが、これらの効果はすぐにはあらわれません。このため、公的保険給付の内容、範囲の見直しを初めとする短期的な医療費適正化方策も組み合わせる必要があると考えます。
この公的保険給付の内容、範囲の見直しにおいては、過度の患者負担増は公的医療保険の意義を損なうおそれがあり、効果も一時的であることから、国民的合意を得ながら中長期的な方策を補完するものとして検討していくべきであると考えております。
今後、高齢化が進行し、高齢者の医療に要する費用の増加が見込まれる中では、現役世代がその負担に耐えられない状況になることが想像されます。このため、高齢者のうちでも現役世代と同じ所得水準を持っている方は、三割負担をするべきだと考えます。同級生の面倒をまずお互いに見合いながら、それで足りなければ息子や孫たちの世代に助けてもらう、そういう考え方が当たり前のように思えるからです。もちろん、低所得の方へは十分な配慮が必要であることは忘れてはなりません。
国民皆保険制度を堅持し、医療給付費の伸びを適正なものとするためには、中長期的な方策や短期的な方策といった個別の政策を積み重ねていくことが必要であるという考え方を述べさせていただきましたが、制度の持続性を維持するためには、保険運営を安定的なものにすることも重要になってきます。
我が国の医療保険制度体系は被用者保険と国保に大別できますが、特に国保を中心に財政状況の悪化が進んでおります。こうした財政状況の悪化に対処するため、被用者保険、国保それぞれについて、各保険者の歴史的経緯や実績を十分尊重しながら、保険者の財政基盤の安定を図るとともに、保険者としての機能を発揮しやすくするため、都道府県単位を軸とした再編統合を推進する必要があると考えます。
まず、国民皆保険制度の最後のとりでとしての役割を担っております国保についてですが、都道府県単位での保険運営を推進するため、各市町村における高額医療費の発生リスクを都道府県単位で分散させるとともに、保険財政運営の安定と保険料の平準化を促進する観点から、共同事業の拡充等を図る必要があると考えます。
次に、健保組合の再編統合についてですが、健保組合の自主性、自律性を尊重しつつ、同一都道府県内における健保組合の再編統合の受け皿として、企業、業種を超えて健保組合同士が合併して形成する地域型健保組合の設立を認めるべきであると考えております。
最後に、政管健保については、国保や健保組合とは逆に、全国一本の保険者として運営されてきましたが、被保険者等の保険料を負担する者の意見が反映されず、保険者機能を発揮できないという問題点がありました。こうしたことを踏まえまして、国とは切り離された全国単位の公法人において運営されるようにすべきであると考えます。
これまで、我が国の高齢者医療は老人保健制度を軸にしてまいりました。この老人保健制度は、高齢者がそれぞれの保険者に加入したまま、国保や被用者保険からの拠出金と公費をもとに市町村が運営するという方式をとっており、保険料の決定、徴収主体と給付主体が別であり、給付と負担の関係が不明確であるという指摘がなされてきました。
このため、今後の高齢者の医療制度については、高齢者からも保険料を徴収することにより、給付と負担の関係を明確にし、同時に、社会連帯による相互扶助の考え方に基づく国保や被用者保険からの支援、公費を財源とする独立した制度を創設すべきだと考えています。
そして、新たな高齢者医療制度を創設するに当たっては、その被保険者や運営主体をどうするかという問題が生じますが、高齢者の生活実態、経済的地位、心身の特性及び支え手をふやすなどの観点から、被保険者は七十五歳以上の者とすることが適当だと思います。また、保険リスクを軽減し、財政運営の安定化を図るためにはある程度の財政規模を有する必要があることを考慮すれば、運営主体は都道府県やそれと同等の規模を有するものとすることが望ましいと考えます。
以上、医療保険制度のあり方につきまして、個別政策の積み上げ方式による医療給付費の伸びの適正化、都道府県単位を軸とする保険者の再編統合、新たな高齢者医療制度の創設という三つの大きな柱に沿って発言をさせていただきました。
今後、団塊の世代が高齢化し、医療費の増大が見込まれております。給付と負担の均衡を図り、国民の安心の基盤である皆保険制度を堅持し、人口構造の変化に対応できる持続可能なシステムがつくり上げられますよう、政府の取り組みを期待いたします。
ありがとうございました。(拍手)