富田俊基の発言 (行政改革に関する特別委員会)

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○富田参考人 参考人の御指名をいただきました中央大学の富田俊基です。行政改革推進法案について意見を申し述べさせていただきます。お手元に二種類、一枚ずつ資料を用意しておりますので、御参照ください。
 我が国の経済は、バブル崩壊後の設備、雇用、債務の三つの過剰を克服し、順調な拡大を続けております。民間部門が、需要の減少する部門から需要の増大する部門へと資源をシフトさせ、生産性の向上を図ってきた結果と言えます。
 二十一世紀のグローバル時代の企業は、情報通信技術を駆使し、徹底したコスト削減と飛躍的なサービスの質向上とを同時に達成し、多様化し高度化した消費者のニーズに対応を進めております。
 一方、公的部門にはこうした自律的な資源配分のダイナミズムは作用しないので、国民のニーズに対応できないばかりか、行政コストは増大の傾向をたどってきました。
 行政サービスのコスト削減、生産性向上には、財政事情のいかんにかかわらず、政治のリーダーシップによる行政改革が不可欠であります。このことから、今後の行政改革のよるべき規範を定める本法案の意義は極めて重要であります。特に、我が国財政が、第二次世界大戦末期を除いて明治以降の我が国の歴史において最悪の状態で、しかも、人口が減少し始め、急速な高齢化が進展する中で、簡素で効率的な政府に対する国民の期待には非常に大きいものがあります。まず官が身を切り、無駄を徹底的に省くことを国民は強く求めています。
 簡素で効率的な政府の実現には、国だけではなく、地方自治体や独立行政法人などを含めた公的部門全体の見直しが必要です。本法案も、総人件費改革、特別会計改革、独立行政法人改革、政策金融改革、資産・負債改革と、官全体をカバーしています。
 そこで、企業会計原則に準拠して作成された国の財務書類をごらんいただきながら、本法案についての私見をお聞きいただきたく存じます。
 まず総人件費改革ですが、国の行政機関定員の五%以上純減は、官の中心である政府自身が身を切ることによって、行政改革に対する政府の断固たる取り組み姿勢を国民に示すという象徴的な課題です。官僚の強い抵抗にめげることなく、絶対に実現する必要があります。定員削減は、省庁一律ではなく、行政ニーズの変化を織り込み、事業の主体について仕分けを行い、農林統計、北海道開発関係などで大胆な整理を行うこととされています。
 この国の定員純減を、財務書類の業務費用計算書で見ることにしましょう。
 国の人件費と退職給与引当金を合わせて十五年度決算で五兆六千億円、国の業務費用の四・六%相当です。このため、五%の定員削減と給与制度改革による人件費の削減額は年間数百億円程度にすぎません。また、業務を担う主体が国家公務員から独立行政法人の職員に移るだけでは、連結ベースの人件費の削減は、国民が期待するようには進みません。また、民間への単純なアウトソーシングでは、人件費が減った分、委託費がふえてしまいます。
 こうした抜け穴がないようにと、この法案は、独立行政法人等に対しても五年間で五%以上の総人件費削減への取り組みを定めています。その際、特に、中期目標期間が終了する独立行政法人については、国の歳出削減と自己収入の増加を図るという観点から、業務の廃止、縮小、重点化など、徹底した見直しを進めるべきであります。
 さらに、本法案は、地方公共団体に対しても厳格な職員数の管理を要請しています。職員数が三百万人を超え、給与が二十八・九兆円と巨額ですので、地方の総人件費改革の効果は大きく、地方財政の健全化と同時に、国の業務経費である地方交付税などの削減につながります。過去大幅にふえてきた地方公務員については、四・六%以上の純減確保と同時に、給与については、地域地域の民間給与の反映と、不適切な諸手当の廃止が求められます。
 次に、特別会計の改革についてです。
 三十一すべての特別会計について、それぞれの制度趣旨、事業の必要性にまでさかのぼり、個別論の検討を積み重ね、各特別会計の見直しの方針が定められました。もとより数合わせのための改革ではないのですが、この法案によって、特別会計の数は現行の二分の一から三分の一程度へと、明治二十三年の制度発足以来、最少の数となる見込みです。
 さらに、特別会計の会計情報を統一的に開示するとともに、五年ごとに設置の要否を見直すことも定められました。そして、平成十九年をめどに、各特別会計の改革を具体的に盛り込み、各特別会計法に定められた例外的な規定の整理のための法制上の措置が講じられることとなっています。
 特別会計の歳出規模は、グロスでは四百兆円を上回り、重複分を除いても二百兆円を超えているので大規模なスリム化が可能との指摘がしばしば見られますが、企業会計基準では、百兆円の国債の償還費は業務費用ではありませんし、その削減は日本国債のデフォルトを意味します。
 このため、左の表でごらんのように、一般会計と特別会計とを純計した国の業務費用は、十五年度決算で百二十三兆円です。このうち、施設費と事務費を除き直接国民に給付される五十兆円の社会保障給付や、地方交付税十九兆円、そして財政融資資金二十七兆円が極めて大きなウエートを占めていますが、これらは、行政改革の課題というよりも、社会保障制度改革、地方交付税制度改革そして財投改革として取り組まれるべき課題であります。
 本法案には、特別会計の廃止及び統合の推進に加えて、財政健全化への大きな寄与という点では、道路特定財源について一般財源化を図るという見直しの方向性が定められ、雇用三事業については廃止を含めた見直しが行われることなどが含まれていることに大きな意義があると思います。
 さらに、本法案には、将来の国民負担増の抑制に向けて、特別会計の資産、負債並びに剰余金、積立金の縮減によって、今後五年間で二十兆円程度の寄与を行うという目標が明記されております。
 政策金融改革では、その機能が明確に限定され、貸出残高も平成二十年度までにGDP比で半減することが明記されました。そして、政策金融機関は一つに統合され、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫は完全民営化、公営企業金融公庫は廃止を定めています。新政策金融機関については、改革の趣旨を踏まえて、政策の的確な遂行、国の関与のあり方、効率的な事業運営などについての制度設計が今後検討されねばなりません。
 完全民営化される機関については、これまでの経営資源を最大限活用した、持続可能な民間金融機関としてのビジネスモデルを確立し、企業価値を維持向上することによって、政府出資の売却収入に大きく寄与することが期待されます。
 次に、資産・債務改革について、お手元の貸借対照表で御確認ください。
 一般会計と特別会計で、十五年度末六百九十六兆円の資産があります。このうち、外為会計と年金運用資金そして公共用財産を除いた四百三十兆円について、十年間でGDP比を半減させるという長期的な目安を念頭に置きながら資産売却を促進することとされています。
 このため、資産としては二百九十兆円の貸付金が大きなウエートを占めておりますが、このうち財投残高は、既に財投改革によってピーク比で三〇%も減少しており、今後も、本法案を受けた政策金融改革の推進とともに貸付金は減少していくことが期待できます。
 また、貸付金の証券化の適否を検討することとされています。民間銀行は、自己資本比率規制をクリアしたり銀行本体よりも低い金利で資金を調達するために、証券化の手法を活用してきました。国も、財政健全化に資するものがあれば証券化の手法を用いるべきです。ただし、貸付金は、日本国内で最も信用力の高い財投債、つまり国債で調達されたものですので、証券化の適否については慎重な検討が必要です。
 次に、有形固定資産については、国民に行政サービスを供給することを目的に保有している道路、河川、港湾などの公共用財産百三十一兆円や防衛施設などの国有財産は、行政サービスを廃止しない限り売却することはできませんが、物納財産などの未利用国有地については売却可能な資産を徹底して売却し、さらに、一般庁舎、宿舎については効率的な活用を促進し、不用となる不動産の売却や、国以外の者に貸し付けることとされています。
 政府の資産として出資金が三十六兆円ありますが、このうち、日本郵政に加えて、本法案にある日本政策投資銀行、商工組合中央金庫を初め民営化法人や民営化が決定している法人への出資の売却収入は、国庫、つまり国民に返納すべきです。これらの資産売却収入などで普通国債残高を削減することによって、将来にわたる利払い費を抑制することができます。
 また、本法案は、地方公共団体に対して、資産、債務の実態把握と改革の推進を要請しています。
 このように、本法案は、国だけではなく公共部門全体について、フローだけではなくストックをも対象とした広範に及ぶ行政改革の確実な履行を担保するという重要な意味を持っています。とはいえ、行政改革で、社会保障制度を初めとする財政の持続可能性を確保できるものではありません。それには、行政改革と同時に歳出入一体改革を進めねばなりません。歳出入一体改革についての国民の理解を得るためにも、本法案を成立させ、行政改革をしっかりと推進すべきであります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 116404278X01120060417_002

発言者: 富田俊基

speaker_id: 4641

日付: 2006-04-17

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会