逢見直人の発言 (行政改革に関する特別委員会)

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○逢見参考人 おはようございます。連合で副事務局長をしております逢見です。よろしくお願いいたします。
 本日は、政府が提出いたしました行革推進法案並びに市場化テスト法案につきまして意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 最初に、公共サービスのあり方について意見を申し述べたいと思います。
 核家族化や雇用就労形態の多様化、地域コミュニティーの弱まりなどによって個人のリスクが高まっており、将来不安が蔓延しております。こうした時代であるからこそ、公共、パブリックの機能は重要性を増しており、公共サービスの果たす役割を明確にし、機能させることが必要であると考えております。
 公共サービスは、国民の生活の質を確保し、企業が有効に活動するための基盤でもありますから、社会的インフラと社会的セーフティーネットの確立によって、国民に安心と安全を提供できるものでなければなりません。ただし、公共サービスは、すべて官が行うというものとは考えておりません。国、地方自治体、公益法人やNPO、民間企業など、多様な提供主体によるベストミックスによって、ニーズに応じた豊かなサービスが効率的に提供される必要があります。
 政府が提出している行革推進法案は、削減数値目標ありきという印象が免れないと感じております。政府が言う簡素で効率的な政府というのが何を指標としているのか、明らかではありません。国民に安心、安全な社会を提供するための公共とは何か、これを再定義して、それをいかに効率的に提供できるかを考えるべきではないかと思います。
 市場万能主義あるいはリスク対応の個人化という流れの中で、さまざまな格差が拡大しており、国民の不安感が増しております。にもかかわらず、法案第二条では、国民生活の安全については配慮という表現がなされておりますが、これは配慮ではなく、安全の確保であるべきだと思います。国民、利用者にとってのサービスの質という数値化できない重要な観点について抜け落ちていることについても問題であると考えております。
 これらを踏まえまして、歳出の削減、改革については、まず、国民に安心、安全、信頼を保障する政府と公共サービスを確立することを基本目的に置くべきであります。その上で、それを実現するために、硬直的な予算配分を抜本的に見直し、特別会計の改革、政策、事業に関する厳格な検証と政策評価、不要不急の事業や不適正な支出の見直しを通じて歳出改革を行い、無駄があれば着実に削減していく、このことが必要だと思います。これは、最初に削減目標ありきというものとは手法が全く異なるものであると考えております。
 次に、法案の個別課題について何点か意見を申し述べたいと思います。
 最初に、独立行政法人の見直しについてであります。
 独立行政法人につきましては、財務内容を含めた情報公開や経営責任の明確化を徹底し、加えて、公正取引や労働法制を遵守しつつ、経費の透明化と事務の効率化を進めることが基本であると思います。
 法案では非特定独立行政法人の人件費についても五%削減義務づけの対象となっておりますが、非特定独立行政法人の制度設計の基本に照らし、労使交渉による賃金制度、水準、定員改廃の決定を最大限尊重すべきだと思います。
 独立行政法人等の融資業務の見直しに当たっては、特に教育、雇用、中小企業などに関する分野については、その効果や、廃止を行った際の影響に関し、定量的な判断だけではなく、特にそうした社会的なセーフティーネットを必要とする低所得者や中小企業事業者への影響を十分踏まえた上で、慎重に検討すべきだと考えます。
 次に、特別会計改革でございます。
 特別会計の改革に当たっては、第一に、仕組みを簡素化してわかりやすい構造にすること、第二に、毎年見直しを行ってその財務活動を国民にわかりやすく明示すること、第三に、原則として時限立法化し、役割を終えた特別会計は原則として廃止あるいは縮小を促すこと、この三つを前提に行うべきと考えます。
 特別会計は多岐にわたりますが、ここでは特に労働保険特別会計の見直しについて意見を申し上げたいと思います。
 雇用保険制度は、雇用面におけるセーフティーネットの中核を担っております。憲法二十七条は勤労権を規定しているわけですが、これを保障するものとして雇用保険制度があるというふうに私どもは考えております。雇用保険制度の国庫負担は、そういった国民に対する政府の雇用保障責任を具体化、具現化するものであり、単に財政面からのみ論じられるべきものではないと思います。
 雇用保険三事業が我が国の雇用対策の中心的な役割を担っているという現状からすれば、これを一般会計に移すことによって、果たして我が国の雇用対策全部を行うことができるのか、非常に不安であります。雇用対策には、働く人とその家族の生活がかかっており、景気の動向に対応した機動性が求められるものでありますので、特別会計で扱うべきと思います。
 労働福祉事業につきましては、廃止も含めた徹底的な見直しを行うとしております。確かに箱物など見直しが必要なものもありますが、労働福祉事業は、労働災害の被災労働者の円滑な社会復帰の促進や遺族の援護事業、最近問題になっておりますアスベスト対策、過労死・メンタルヘルス対策など、労働災害の防止事業も行っております。
 さらに、未払い賃金立てかえ払い制度も労働福祉事業として運営しておりますが、これは、企業が倒産した際に、賃金や退職金が未払いの状態にある労働者に対するセーフティーネットとなっております。これらの事業は労働者にとって必要不可欠なものであって、単にコストの感覚だけで廃止または見直しの対象とすべきものではないと思います。
 しかし、三事業については、政策効果が不明確なものあるいは無駄なものもありますので、個々の事業に関する調整や効率的な事業運営が十分になされていない点で問題があると考えております。その意味で、外部評価などチェック機能を強化し、抜本的な見直しを進めていくべきであると思います。
 次に、規制改革についてであります。
 規制行政や許認可行政については、認可に当たっての行政の裁量の余地が大きいなどの問題があり、不明確かつ不透明な許認可基準や参入規制など、裁量型行政を抜本的に見直していくことは当然であります。また、先端技術など、競争力強化や新たな雇用、産業の機会創出につながる分野についての規制緩和は積極的に行うべきであると考えます。
 しかし、現在、国民生活の安心、安全が問われていることを踏まえれば、国民、消費者の安全と健康の確保、環境保全、公正労働基準の維持など、社会の質にかかわる規制はむしろ強化すべきであると思います。
 この間、市場開放や自由化中心の規制改革が進む一方で、それらに伴う負の側面を回避、解消する社会的規制の検討が放置され、その結果、不安定で低賃金の労働が拡大してまいりました。社会の安定のベースである雇用労働の基盤が揺らいでしまっている。さらに、市民、国民の財産生命を脅かすような事件、事故も起こっており、事後チェック体制の甘さなどが社会的問題になっていることを軽視すべきではないと思います。このような規制改革がもたらした影の部分を重視し、規制改革された結果に対する検証システムが必要であると考えます。
 次に、市場化テスト法についてであります。
 市場化テスト法案については、公共サービスの質を確保した上で、より効率化を図る必要があります。その観点からいえば、サービス、事業のあり方や評価の仕方など、本質的な議論が行われていないことは極めて残念であります。
 最近、一部の雑誌等において、この間の行革・規制改革論議に着目し、盛んに、官業開放で生まれるビジネスチャンスをあおる論調が見られます。あらゆる公共サービスを営利目的の事業に変質させるための手段としての市場化テストであってはならないと思います。このことを基本的な視点に据えないと、結果として、参入したがっている事業者のための改革となってしまって国民のための行政改革にならないという、本来の意義に反することになりかねないと思います。
 このようなことから、市場化テストに当たっては、良質な公共サービスの安定的な供給と確保、ユーザー、国民によるコントロールが担保されるための制度、そして、公共サービスに従事する者がひとしく仕事に誇りが持てる雇用労働条件の担保の三つの原則を最低維持すべきであります。
 次に、総人件費改革についてであります。
 私ども連合は、歳出構造全体を抜本的に改革するのであれば、公務員の総人件費についても課題とならざるを得ないと認識しております。しかし、中長期的視点に立って、政府、自治体は、どのような政策、事務事業に重点を置くべきか、そのもとで公共サービスの水準や質を確保できる適正な公務員総額人件費とはどのようなものであるかという観点が必要なのではないかと思います。
 特に、政府、自治体が行う事務事業の中には、国民の安全に直接かかわるようなものが多いことに注意しなければなりません。食や住の安全、環境に対する国民の関心は極めて高いものがあります。一方、民間参入が進行、拡大する中で、ルールが適正に守られているのか、事後チェックがどうなっているのかなどが問われているような事件も起こっております。
 そのため、現在国民が求めるのは、安心、安全、信頼を国民に保障する行政と公共サービスであると認識すべきであり、事務事業の見直しに当たってはこのことを基本的視点に置くことが必要であります。
 また、労働組合としては、公務労働者であろうと民間労働者であろうと、雇用不安が惹起するような事態は避けなければならないと思います。連合は、当該の公務労働者がこの問題で強い不安感を持ち、士気にも影響しかねない状況にあることを指摘し、政府には万全の対策をとるよう強く要請したいと思います。
 政府は、総人件費改革に当たって、配置転換等その他の方法により雇用を確保するとの見解を表明しております。当該の職員が納得し、また、職場の士気低下につながらないような方策を確立し、当該組合と十分な交渉協議をしていただくよう要請したいと思います。
 次に、公務員制度改革であります。
 連合と傘下の公務組合は、新たな社会のニーズに適切にこたえる公務部門の改革と、そのもとでの公務員制度の抜本改革は、避けて通れない課題であると認識しております。折しも防衛施設庁における官製談合問題がまたもや再発し、天下りと深く結びついた政官業癒着の構造が改めて問われております。今こそ、公務部門、公務員制度の抜本改革を行うべきときであります。
 今必要なことは、公務員の働きがいやモラールを向上させ、多様な公共サービスの需要にこたえるための公務員制度をいかに構築するかであります。職員をサービスや事務事業の決定過程の各段階に参加させ、全体としてサービスの豊富化と効率化を図り、公正で公平な公共サービスの実現を図らなければなりません。そのためにも、公務に対する労働基本権の付与は必要であります。
 また、民間では、団体交渉とは別に労使協議制が普及、定着しており、公務分野においても、労使がパートナーとして話し合う労使協議制を導入することが求められています。これにより、労使が決定した事項については、双方が納税者と社会に対して説明責任を果たす体制を確立することが必要だと思います。
 公務員制度には、そのほかにも改革すべきことがたくさんあります。例えば、職階制を廃止して、仕事の種類、職務内容と責任範囲を明確化した新たな職務給制度を確立すること、公正、公平、透明で納得性のある新たな評価制度を確立すること、また、複線型人事システムを活用しながら定年まで勤務できるシステムを整備した上で、天下りに関する規制を強化、透明化することなど、さまざまな改革が必要です。
 一方、国連の国際労働機関であるILOの理事会が、三月二十九日に、日本の公務員案件に対し三回目の勧告を出しました。勧告は、公務員法制に関する改正が関係者間の協議を通じて早急に合意されるよう、関係者のさらなる努力を督励しております。政府が国際社会からの勧告を重く受けとめて、労働基本権の付与を明確にした改革を断行すべきと考えます。
 この間、連合は、政府と公務員制度改革に関する政労協議を続けており、既に、労働基本権を付与する公務員の範囲について検討を行う場を設置することについて合意しております。連合は、この間の政府の対応を評価し、合意内容について前進であると受けとめており、引き続き誠意を持って協議を続けていきたいと考えております。
 この検討の場については、何らか法律において設置を明記していただくことを強く要望し、私の参考人としての意見表明とさせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 逢見直人

speaker_id: 24513

日付: 2006-04-17

院: 衆議院

会議名: 行政改革に関する特別委員会