田中直毅の発言 (予算委員会公聴会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○田中公述人 戦後の日本政府が何をやってきたのか、そして、自民党を中心とした、政府を担ってきた諸政党の代表者の人々がどういう考え方であったのか、いろいろ考えることがございます。
 亡くなりました渡辺美智雄先生が、小さな親切大きな迷惑というふうに言われたことがございまして、確かに政治家は法で親切心を発揮しなければいけないといろいろ頑張るんだけれども、よくよく考えてみたら政府財政に大きな穴をあけてしまった。このあけた穴がどうなるのかという点については、なかなか政治家は思い浮かばないものだ、小さな親切運動にも限度があるのではないかと渡辺先生が言われたことを、私は今でも記憶しております。
 ということは、戦後保守政治の真ん中におられた方でも、やはり今のままの政府の支出あるいは政府のあり方には限度が来ているという御自覚があったんだと思います。一九九〇年代に入ってからの御発言でございましたけれども、私は、やはりそういうものかなというふうに理解しております。
 それからいきますと、現在、それからもう十年以上経過いたしておりますが、今日の医療保険と介護保険をとりましても、公費負担が入っております。国債の発行によって四割以上のカバーをしているわけですから、次世代に対する負担で、歳出の四割以上を負担している中で、そして公費助成が行われなければ医療保険も介護保険も持続しないということは、現在の世代が孫や子供のクレジットカードで保険料の支払いをしているのと同じだということでございます。
 これを続けますと、次の世代の人たちは、我々の前の世代は一体どういうツケを回してくれたんだということになろうかと思います。現在の状況は、そういう意味において、残念ながら、世代間において財政赤字あるいは将来に対するツケ回しを行っている財政構造全般に対する不信感が非常に強いということだと思います。ここから、やはり政府の役割はもう少し絞り込まなければいけないという議論になるんだろうと私は思います。
 お尋ねの中で、弱者をどう定義するのかということは、私は非常に重要なことだと思います。戦後政治の中では、弱者と政策上定義されたわけではありませんが、ただ、こういう分野には優先的に財政資金を回した方がいいと思われるものを非常に包括的に決めてきたという経緯があると私は思っております。
 例えば、中山間地はどうだろうという問題があります。あるいは半島はどうか、あるいは離島はどうだろう。それはやはり、離島ならば、半島ならば、あるいは中山間地ならば、政策優遇の何かが行われるべきだ、こういう考え方もございました。あるいは中小企業、あるいは農業というと、これはもう助成の対象である、何らかの支援をしなければいけないということになっております。
 しかし、本当にそれでいいのだろうかという問題がございます。民間事業所の統計を見ますと、事業所の規模が百人未満で、ちょうど、我々働いている人の半ばでございます。百人以下というのは間違いなく中小企業だと思いますので、中小企業振興といえば、では民間事業所で働いている人の半分がそもそも何か助成されたい、政府が手を差し伸べなければいけない対象なのかといえば、それはちょっとバランスを欠いた議論だということになろうかと思いますし、そのこと自身、たとえ五十人規模の事業所に働いている人でも、何かほかのタックスペイヤーから助成をいただくということを是としない方もいっぱいあるわけです。
 ということは、例えば農業とか中小企業、これは職業とか規模でございますが、あるいは住んでいる地域によって、包括的に何か支援をしなければいけないという仕組み、それはまさに小さな親切運動の結果つくり上げてきたものだと思いますけれども、もう一度見直すべきではないかということでございます。
 そこを見直したときから、政府が支援の対象としなければいけない真の弱者が浮かび上がってくるというふうに思っておりまして、これは諸論、あらゆる分野において議論をしていただく以外ありませんけれども、私は、みなし弱者という仕組みを小さな親切運動がつくり上げてきたおかげで、とりわけ将来世代が大きな迷惑をこうむっている。ここに、政府の役割の限定と、それから真の弱者を、この高度文明国家、市民国家においてもう一度、しかし支援を受けなければいけない弱者がおられることは事実ですから、そこに政府の施策を絞り込むべきだというふうに思っております。
    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕

発言情報

speech_id: 116405262X00120060224_012

発言者: 田中直毅

speaker_id: 8956

日付: 2006-02-24

院: 衆議院

会議名: 予算委員会公聴会