田中直毅の発言 (予算委員会公聴会)
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○田中公述人 日本経済の先行きについて非常に悲観論が広がりましたときに、日本で投資が起きるかどうか、あるいは新しい職場を本当に生み出すことができるのかどうか、これが問われたことがございます。
ちょうどそのときは、我が国の賃金水準が、ドル建てで見て、世界で見て第一等の、平均賃金でございますが、そういう立場であります。そうしますと、もし新たに日本で職場が生まれるとすると、創造と挑戦が企業のどこかで起きていなければ新しい職場は生まれないだろうという理解が国民的に広がったんだと思います。
そうしますと、その創造と挑戦にかける、そこに自分の時間を投入して企業経営を行う、あるいはそのために一生懸命努力をするということになりますと、そういう人たちは、どういう動機といいましょうか、名誉がいただけるのか所得がいただけるのか、あるいは自分自身の仕事の達成感なのか、いろいろあると思いますが、やはりそこには何らかの形のものが要るのだろうというふうに考えたのだと思います。
そのときに、やはりだれでもかれでもこの創造と挑戦に取り組めるわけではない。もっと言えば、自分の時間と自分の能力をそれにつぎ込むということはリスクを負うことでございますから、心理的な負担まで、疲労感まで、だれでも負担できることではないことをお願いしないと、新しい職場を生み出す力というのは社会の内部から生まれないという理解が広がったんだと思います。
ここから幾つかの実際上の取り決めといいますか、国会で幾つかの法案が通りました。例えば、最高限界所得税率が五〇%になりましたのは小渕政権のときでございます。これが通ったのは、やはり、もう少し余分に働くときに、六五%取られて、残るのが三五%じゃなというのと、五〇%は税金だけれども五〇%は手元に残る、そういうバランスなんですけれども、五〇対五〇、五公五民は一応取り上げるべき筋だなと。そして、国際的にも限界最高所得税率は、地方税、国税合わせてでございますが、五〇%程度という国が多いわけですから、これが基準かというので入ったのだと私は思っております。
それから、金融所得について、例えば配当所得を通常ならば二〇%取るところを、現在一〇%でございます。これは確かに、配当所得について源泉分離一〇%というのは優遇し過ぎだという意見が国民の中に上がったとしても不思議はないと私は思っておるのですが、ただ、あの時期なぜこれが通ったかというと、株価の上昇を通じて意欲ある企業分野に資金が回る仕組みをつくらないと日本で職場をつくり出すことはできないぞという理解が国民の間に強かったから、あのとき、一応特則としてではございますが、配当所得一〇%、源泉徴収課税というのが通りました。それは、我が国の置かれたつらさの中で、そうした手段を投入してでも、我が国の職場を何としてでもふやすという国会の意思が結集されたものだと私は思っております。
ただ、どうにか日本経済、立ち上がってまいりまして、しばらくはうまくいきそうでございますので、例えば配当所得について、この一〇%を二〇%という本則にまで戻す時期が近づいているということだと思います。
格差はなぜ生まれたのかというときに、我々は確かに、高い所得を上げる人に対して、最高限界所得税率五〇%にしたときに、弁護士さんならもう一件歯を食いしばってやってください、百万円余分に入ったら五十万円はお手元に残りますということを認めたんだと思います。
このことについて、多分、国民的理解は、五公五民はいいのかな、これは受け入れるべき筋のことだというのが私の理解でございます、もちろんいろいろ意見があることは承知の上で。その範囲でいうと、多少所得の高い、創造と挑戦に取り組んでいる人たちに、その税引き後の勤労所得を与えることは、私はほぼ認められていると思います。
ただし、金融資産について言いますと、これは過去に、あるいは相続を通じて得られたものですから、現在ただいまからいくと、金融資産所得二〇%という本則に戻すべきだという意見が多分強まっているように思いますし、私は、もし意見を求められれば、配当の一〇%というのは二〇%の本則に戻すべきだというふうに思います。そういうことが一つの流れかというふうに思います。
それから、求人、求職、要するに常用雇用の問題は極めて重要でありまして、日本経済が回復してまいりましたので、常用雇用をふやそうとする動きが企業の中に強まっております。
そういう意味では、求人活動と求職活動のバランスは、求人を心がけておられる企業がどんどんふえているんですが、実際には、数値の上では有効求人・求職倍率は一を上回ってきているんですが、雇えないと言っているんですね、企業は。それは、こういう条件でというか、こういうことを備えた人がいれば欲しいんだけれども、求職で来ていただく中にそういう人を見つけられない。だから、依然として求人という広告を出し続けながら実際には未充足な職場がいっぱいあるというのが現実ですので、どうやってそこに橋をかけるのか。そこが橋がかかれば、雇用形態が、パートとか派遣から常用雇用にもっと円滑に移る。
そういう意味では、比較的所得の低い方の所得を改善するためには、求められている労働にふさわしい訓練が受けられる仕組みを社会全体としてどうやってつくるのか、それはやはり個別に考えるべきテーマに既になっているんだと思います。ミスマッチの数は極めて多い、未充足な求人が物すごくふえているということに焦点を当てると、ここには国政上の何らかの施策が施されてしかるべきだというふうに思います。
〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕