伊藤基隆の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)
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○伊藤基隆君 私は、発言する考えはないでここにいたんですが、皆さんの、最初の北岡さんから始まる意見陳述をずっと聞きまして、全員が一致していたと思うんですね、認識が。ある程度の違いというのは、それは立場立場の問題があってそうなっただけで、全体的にはテーマに対する認識は一致していたと。これは経済・産業・雇用調査会というけれども、私も今年から出てきて感じるのは、雇用調査会です。日本の社会問題で一番大変な格差問題の根幹にあるのがその雇用問題だという認識で、今日のそれぞれの会派の意見陳述からそれぞれ皆さんの意見も一致してきたと思うんです。それは、厳然たる事実があるからそういうことだと思うんです。
私は、ジニ指数の問題は、今から十年ぐらい前に経済企画庁、当時、経済企画庁だったと思うんですが、警告を発しました。ジニ指数が悪くなっていると。当時、一九九七年にアメリカの、クリントン政権だったんですが、クリントン大統領が経済報告の中で、こういうことを報告の中で言いました。かつて我が国はと、我が国とはアメリカ合衆国のことですが、我が国は国が豊かになるときあらゆる国民が一緒に豊かになった、しかし今は富める者と貧しき者がだんだん拡大していって二極化している、だからこれは経済政策の失敗だというふうに認識しているのだと、それを直さなきゃならない、そういうことを大統領が述べたわけです。しかし、その後の大統領選は民主党政権は実現しないで、政権が移行したわけですけれども、このクリントン大統領の警告というか反省というのは生きなかったと、アメリカで生きなかった。
しかし、今日私は本会議に出ていて、非常に劇的なというか、世の中を変える法律が提案されました。これに対する質疑も行われて、そこにおいでの浜田さんも質問なさいました。それは、今まで日本の、バイパスを造って郊外に展開するということと、そういう国の国土政策と大店法の規制を緩和することによって、日本の地方は、大都市以外の地方は、超大都市以外といいましょうか、それ以外は中心部が空洞化してきているのは皆さんのふるさとを見ればすぐお分かりでございますけれども、その政策を転換するという法律であります。遠からず、日本の状況というのは私は変わるだろうと、かなり大きく変わるんじゃないかと、時間は掛かるだろうけれども、そう余り時間は掛からないうちに変わっていくんじゃないかというふうに思います。
政府は、閣僚は壇上で今までの政策の誤りを表明しませんでした。しかし、法律が作られてくる中で、従来政策、国土政策の反省の上にというのが明確に示されてきたということを聞いております。これは画期的な本会議だったなというふうに思っていまして、そういうことからすれば、格差問題についても、国会自身が雇用関係の、特に派遣を、製造業に派遣することを認めたような、拡大しながら、それが原因となって所得格差が起こってきたと。所得格差が地域間の格差になって、大都市と地方の格差、日本に住む人々のあらゆる生活営為の格差が起こってきているわけで、単純なものではないと。
しかし、その根幹にある一番大きな原因は雇用の規制緩和によって起こったのが引き金になっているんじゃないかというふうに今日の皆さんのそれぞれの御意見が一致しておりました。
私は昨年はこの調査会にいませんで、今年から出て、一体どうなるのかなと最初思いましたら、何か漠然としたものをそれぞれ議論しているような感じでした。しかし、ここへ来て、なるほどな、皆さんは大したものだなと、ずっとそこに収れんさせてきたというふうに思います。ですから、北岡さんがおっしゃるように政治の問題ですから、政治の場できちんと解決しなければならない、そういう課題を私たちは与えられているんだろうと。
まあ所得格差が拡大始めたのは小泉政権のときからではありません。それより以前です。しかし、北岡さんの意見発表の中にあったとおり、最近急速に拡大しているということだけはだれしも実感として持っているんじゃないかということになれば、今この場にいる者はそれをどう改善するかというシステムチェンジをするための法律を用意しなきゃならないんじゃないかというふうに私は思います。ただ、この調査会が直接法律をということになるかならないかは私の考えの範疇にありませんけれども、そういうものが国会に課せられた役割でないかというふうに思います。
世の中というのは、最も根幹となるのは生活基盤、それぞれの生活基盤でありまして、一生懸命働いていれば、家族を養って、子供を教育して、ローンであっても家を建てるというところがみんなにあれば、それは社会の基盤というのは大きくなるというふうに思います。グローバル化の中で、IT化の中で状況が変わって、それに対応しなけりゃならないということもそれはあろうかと思うけれども、国力の根幹というのは国民が総出で働いていくという力が、意思が、希望があるかどうかというところにあることを考えると、雇用の問題の解決、男女不平等の解決ということはいち早く取り組むべき問題だと思います。
自己責任ということをよく言われますが、自己責任を貫徹するなどということはほとんどの人間にとって不可能であります。それは言葉では自己責任と言うけれども、自己責任を実行できる人間が一体幾人いるかとなると、それは非常に少ない数しかいないと。自己責任を負っている人というのは、自覚するか自覚していないかは別にして、社会的な責任、社会全体を守らなきゃならない責任も同時に持っているわけでありまして、そういうことからすれば大変厳しい課題なんだと。そうでなくて、一般的な努力をすれば、以上でなくても、努力をすれば生活の安定が得られるというものを、社会をかつての日本のように取り戻す必要があるだろうと。
また、私は、今日を招来した、要するに長い不景気を招来した根本には製造業の失敗ということはなかったと思います。繊維に象徴される、アメリカから日本へ、日本からアジアへという、そういう動きはあったと思いますけれども、金融業の失敗、金融政策の失敗が大きな力となって製造業を痛め付けたというのが実態だろうと。
今、製造業は非常に製品の高級化というかハイレベル化、高い技術でなきゃできない製品というところに日本の製造業は進みつつあって、これは到底アジアの及ばないところであって、アメリカさえも及ばないところなんで、これが成功を収めつつあるということを聞いております。いかなる状況下においても日本の製造業はそういう力で切り開いてきたと。
今、経済産業省副大臣も言いましたけれども、製造業の持っているパワーというのは、無資源、貿易立国の根本的なパワーであるけれども、世界の経済を動かしたグローバリズム、金融のグローバリズム、グローバリズムではなくて、アメリカンパワーというものに侵されたということをしっかりととらえていく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
これからの二十一世紀の問題点というのは、私は、社会的にどういうことが一番重要なのかというと、義理人情だと思っています。義理と人情と。義理人情というのは古めかしいように思うかもしれませんけど、連帯、助け合い、人間対人間の共感を高めていくということだろうと思います。そういうふうなところに我が調査会が取り組んだということは大変立派なことだったと。だれがこのテーマを選んだか全く知りませんけど、選んだ人は大変立派だった。それより立派なのが、ここまで到達させてきたこの調査会の議論だと思います。
是非これを一致結束して、格差是正、クリントン大統領がやろうとしたけどできなかったわけですが、今各党が同じことを言ったわけですから、是非そういうふうにしていただきたいと思います。