西田吉宏の発言 (国際問題に関する調査会)
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○会長(西田吉宏君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
まず、先般、当調査会の委員を中心とする議員団が海外に派遣をされましたので、この際、派遣議員団の団長を務めました私から報告をいたします。
昨年十二月十日から十六日までの七日間、EUの統合と拡大等に関する実情調査並びにチェコ共和国及びベルギー王国の政治経済事情等視察のため、市川一朗君、南野知惠子君、直嶋正行君、前田武志君、澤雄二君、そして私、西田吉宏の六名が参議院から派遣をされました。
我が国は、米国、EUに次ぐ極となり得る東アジアを念頭に共同体構築に向けた検討や議論を重ねてきております。このような観点から、二度の世界大戦を通じて欧州各国が戦い、対立している状況に終止符を打つべく、共同体の創設を目指し、半世紀を掛けて現在のEUをつくり上げてきた経験と様々な課題や変化を調査することは、本調査会等における東アジア共同体構想に関する議論の一助となり、さらに我が国の東アジアにおける外交を展開していく上で参考になり得るものと考えます。
このような視点から、EUの執行機関である欧州委員会本部並びにEUの原加盟国であるベルギー及び新規加盟国で著しい発展を遂げているチェコを訪問し、EUの現状と課題等について積極的な意見交換を行ってまいりました。
現行EUを創設しようとした一義的目的は、欧州各国の平和と安定と自由であり、特に国民にとってこれらは重要であって、その観点から、EUは周辺国とも安定と友好の関係を維持していこうとしているとの説明がなされました。また、EU域内人口は四億五千万人に達しているが、これらの人々の歴史、文化、言語、宗教等は異なっているが、うまく融合している、世界には様々な経済圏、文化圏があり、種々の対立やテロの問題も出ているが、民主国家を標榜するEUの融合は一つのモデルになるのではないかとの意見が共通の価値観を有しているあかしとして印象に残りました。
現在、二十五か国に統合、拡大をしたEUは、世界の一極を占める米国に追い付く努力をしており、EU政策のキーワードを経済成長と雇用創出に置いておりますが、一昨年五月に新規に加盟した十か国も欧州への復帰を果たすとともに、EU加盟による経済活性化を期待している面がうかがえました。
EUは、統合、拡大、深化、すなわち深まりを遂げる一方、欧州憲法条約の批准延期、中期財政予算をめぐる大国間同士の確執、拡大への疑問などの問題も惹起されておりますが、ベルギーの欧州担当国務大臣は、各国の国民に対してEUのアプローチを理解してもらう努力を重ね、EUは何を目指していくべきか、欧州とは何かを議論していきたい、また、EU域内の経済強化をしていく上で拡大が良い結果を生んでおり、経済発展は小国だけが利益を受けているばかりでなく、大国の国々にも利益になっている、結果として大国も小国も平等であることを忘れてはならないと説明しておられました。欧州委員会の高官もこれらの課題を乗り越える意思を表明しておりましたが、拡大にはイスラム国家であり、人口も多いトルコとの交渉が難しい問題であるとの認識も示されました。
チェコの第一外務次官との意見交換では、政府外交レベルでは話せないテーマ、事項を議会外交、議員外交で協議できるという意味で議会レベルでの外交を歓迎したい、また、日本、チェコ両国の結び付きを深めていきたいとの考えが表明されました。特に、日本のチェコへの投資はドイツに次いで多く、日本に対する期待が大きいと感じました。これに関連しますが、チェコでは百五十八社の日系企業が進出をしており、派遣団一行も自動車の合弁会社を視察をし、我が国企業の欧州における雇用と経済発展に寄与している実情を確認できました。
最後に、今回のEUの拡大と統合等の実情調査において、EUの課題の一つになっている少子高齢化問題がありますが、EUではチェコを含め出生率が低く、少子化、これに伴う高齢化が経済成長との関連で問題となっております。欧州委員会の経済・財務担当高官は、EU圏の総人口は減っていく傾向にあり、その結果、労働人口も高齢化していくだろう、年金の問題を考えると高齢者と女性の雇用率は高まると予測をしているとのことでありました。雇用政策面では、若年労働者の雇用創出を考えると同時に、退職年齢の延長も念頭に入れていかねばならないとのことであります。また、チェコの財務担当高官は、社会保障政策面で子供のいる世帯の女性に対する年金の優遇、義務付けられている私的年金への税の補助等の措置を実施ないしは検討しているとのことでございました。
以上が今回の調査概要報告でありますが、EU拡大・深化について課題があっても乗り越えるという欧州委員会事務局幹部の信念がうかがえると同時に、ASEANを中心として我が国も検討している東アジア共同体との相違性も認識でき、今後の議論に参考となる示唆が多くあったと考えております。
簡単ではありますが、これで私の報告を終わらせていただきたいと思います。御清聴ありがとうございました。
以上でございます。
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