清水嘉与子の発言 (少子高齢社会に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○会長(清水嘉与子君) 少子高齢社会に関する調査を議題といたします。
 まず、先般、本院から、ノルウェー王国、フランス共和国及びドイツ連邦共和国における少子高齢社会に関する実情調査並びに各国の政治経済事情等の視察のため海外視察が行われました。
 その調査結果につきましては、既に議院運営委員会に報告されておりますけれども、本調査会の調査に資するため、派遣議員であります私から便宜報告を行います。
 平成十七年度重要事項調査第三班は、平成十七年十一月二十七日から十二月六日までの十日間、ノルウェー、フランス及びドイツにおける少子化対策を中心に調査を行いました。
 派遣議員団は、中島啓雄議員、山谷えり子議員、羽田雄一郎議員、柳澤光美議員、小林美恵子議員及び私、清水嘉与子の六名であります。
 ノルウェーにおきましては、まず、国会の家族・文化委員会副委員長と懇談。パパクオータ制に基づいて父親に義務付けられている五週間の育児休業取得期間を今後四年間で十週間まで延ばしていきたい。男性の育児休業取得率は九〇%に達している。事実婚であっても法律婚と同様の育児休業等の権利を認めている等の見解が示されました。
 次に、児童家族省からは、十月に発足した新政権においては、特に男女共同参画の推進により出生率を高めるという政策を取っていく予定である。男女が平等で同じ価値で労働することが子供を産むことの安心感にもつながり、ひいては企業の競争力を高めることにもなる。公的、民間を問わず、保育施設への国からの助成は公平である。保育施設運営費の八〇%は国及び地方からの助成であり、両親の負担は二〇%を超えないという上限がある等の見解が示されました。
 次に、子供オンブッドを訪問。一九八一年に世界で最初に子供オンブッドが設置されており、子供は社会が持つ重要な資産の一つであるとの認識の下、子供に関する文書や情報をすべて入手、閲覧できる権利を持ち、必要な提言を行うなどにより子供の福祉向上に努力している。オンブッドは公募の中から選ばれ、国王が任命し、任期は四年であるとのことでありました。
 また、育児支援を積極的に進めているGEヘルスケアを訪問。造影剤を製造している同社は、女性に限らず男性を含めた全従業員がその能力を発揮できるよう就業環境の整備に努力しており、育児休業取得に伴う国民保険からの手当と給与の差額を補てんしているとのことでありました。
 さらに、サーゲネ区にあるマリダルス・バイエン保育園を訪問。同区で保育を必要としている子供は一〇〇%入園しており、また入園基準として、心身に障害を持つ子供が最優先されるとのことでありました。
 次に、フランスにおきましては、まず、家族政策に関してフランスの家族を代表する権限を持つ唯一の団体であるフランス家族問題全国連合を訪問。同連合は年一回開催することが法律で義務付けられている全国家族会議にも参加、家族問題全国連合と全国家族会議という存在は他国も活用できるのではないか。保育予算及び家族関係給付費はGDPの三%を占めている。第一子からの家族手当支給の代わりに、乳幼児迎え入れ手当を導入し、託児所や保育ママなどの保育費用を補助している等の見解が示されました。
 次に、家族問題省庁間連絡会議は家族問題担当大臣の下にある行政組織であり、家族政策の柱は保育政策と子供のいる家族に対する税の優遇である。保育施設については、特に企業への協力を促しており、企業内託児所などの投資に対して五十万ユーロを上限としてタックスクレジットを設けている。父親の育児休業取得率は二%にすぎないが、これは休業中の家族給付と休業前の給与の差が大きいためである。女性の場合、三年も休業すると復職しにくいことから、三年間の育児休業制度と並行して、家族給付を高くし、育児休業は一年間という新たな提案をしている等の見解が示されました。
 また、企業内託児所を持つクレディ・リヨネ銀行を訪問。独自の家族政策としては、六歳までの子供を持つ従業員に一日当たり五・一五ユーロの補助金を出したり、子供の保育施設等への送迎のためにフレックスタイムを導入しているとのことでありました。
 さらに、児童心理学者のドルト氏により、一九七九年に設立されたメゾンベルトを訪問。同施設は、子供の精神的障害発生の予防と子供及び親の社会化のために、三歳までの子供及びその親等を対象とした保育関係施設であります。現在、フランスには同様の施設が百か所ぐらいあるとのことでありました。
 次に、ドイツではバイエルン州において調査を行い、まず、労働社会省では、今日、少子化ということを国民が真剣に受け止めるようになってきた。バイエルン州の子育て支援策は、経済的支援であり、保育事業の拡大であり、両親に対する子育てのための教育であり、さらには地域家族連合のプロジェクトである。二〇〇七年には、子育てのために父親あるいは母親が休業する場合に、一年間に限り、従前の所得の約七〇%を支給する父母手当を連邦政府が導入する予定であるとの見解が示されました。
 次いで、自分の赤ちゃんを何らかの理由で育てられない場合に施設に託す赤ちゃんポスト視察のため、ミュンヘン・シュヴァービング病院を訪問しました。
 同病院では、現在、母子ともにリスクの高い出産を避けるとともに、人工妊娠中絶の件数を減らすために、ベビーネストの設置と匿名出産の二つのプロジェクトを実施しており、ベビーネストは二〇〇二年二月に立ち上げられたものの、これまで預けられた赤ちゃんはいない。匿名出産はこれまで八人いたが、ここで匿名出産が認められていることがベビーネストの利用件数ゼロにつながっていると考えられる等の見解が示されました。
 最後は、家族のための地域連合イニシアティブについてでありますが、地域で家族に優しい社会づくりを行うために、二〇〇四年から全国で始められ、現在二百十四の地域連合がつくられています。我々が訪問したキルヒゼーオン市の地域連合は、二〇〇五年一月に立ち上げられ、市民のニーズ把握に基づいて新たな保育施設を造るとのことでありました。
 以上が訪問先の調査の概要でありますが、今回訪問した三か国のうち、ノルウェー及びフランスの合計特殊出生率は、それぞれ一・八一、一・九一と先進諸国の中でも高水準にある一方、ドイツにおいては一・三四と低水準にあります。しかし、これまで育児休暇や保育サービスが立ち後れていたドイツにおいても家族政策や仕事と家庭の両立に向けての努力が進められており、既に仕事と家庭の両立が進んでいるノルウェー及びフランスにおいても男女共同参画や家族政策の推進に更に力を入れていることがうかがえたところであります。出生率低下が進む我が国にとっても参考とすべき点は多かったと考えております。
 最後に、今回の調査に当たり、多大な御協力をいただいた関係者各位に対し、衷心より厚く御礼を申し上げて、報告を終わります。
    ─────────────

発言情報

speech_id: 116414534X00120060208_017

発言者: 清水嘉与子

speaker_id: 30696

日付: 2006-02-08

院: 参議院

会議名: 少子高齢社会に関する調査会