北城恪太郎の発言 (少子高齢社会に関する調査会)

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○参考人(北城恪太郎君) 北城でございます。
 私、現在、経済同友会の代表幹事を務めておりますが、この少子化の問題について、経済同友会では二〇〇四年に人口減少社会を考える委員会をつくりまして、リクルートの前会長の河野会長の下で委員会を行ってまいりました。その中で提言を出させていただいておりますが、特に少子化の問題に関しては、子供を産み育てたいという人たちが既にいる中で、どういう制約があって実際には子供を産み育てることに結び付いてないかというようなことを中心にいろいろ議論をしてまいりましたので、それを御紹介させていただきたいと思います。
 お手元の資料に、少子高齢化社会と企業の役割という資料を配付させていただいておりますが、最初に経済同友会の今お話ししました提言のお話をさせていただいた上で、企業もこの少子化の問題に関係するところがたくさんありますので、企業の役割についても私どもの会社の例を取って御紹介させていただきます。
 最初に、二ページ目に、少子化の問題を考えるに当たって、まずそれぞれの家庭がどのように今の生活について満足をしているかということを聞いておるんですが、これは一九四〇年代生まれ、いわゆる六十歳前後の人々、家庭、六〇年代生まれが四十歳前後、それから八〇年代生まれというのは二十歳前後、前後五歳ぐらいがありますが、この人たち約二千名に対してアンケートを取った結果ですが、これによりますと、未婚者と既婚者に関していいますと、結婚している家庭の人たちの方が現在の生活に対する満足度は高い、六九%が満足をしていると。一方、未婚の人たちは四三%ということで、結婚している人たちは今の生活に満足をしていると。それから、四〇年代生まれの六十歳前後の人たちの方が現在の生活には満足が高い、どちらかというと若い人たちの方が満足が低いと。また、子供の数を見てみますと、子供がいない、子供の数がゼロの家庭よりも子供の数が二人、三人、子供を持っている家庭の方が現在の生活に対しては満足をしているということもありますので、長期的にやはり結婚し子供を持つということが満足につながるんだと、こういう価値観を社会の中に伝えていくことが必要ではないかというふうに思います。
 一方、次のページ、三ページですが、価値観についていろいろ質問しています。特に、結婚とか、あるいは子育て等に関する質問をしておるんですが、これ、グラフで三本の棒がありますけれども、一番左が大体六十歳代の人たちの意見、真ん中の折れ線のグラフが四十歳前後、そして黒いグラフが二十歳前後の人たちの意見ですが、これを見ますと、明らかに六十歳前後、我々の世代の価値観と四十歳代あるいは二十歳代の価値観に違いがあると。これは、結婚に関して、あるいは養子とか人工授精とかいろんなことに関して、我々の世代と若い世代とに価値観の差がある。特に、家事、育児に対して夫婦は平等に分担をすべきであるとか男性の育児休暇と、こういった問題に関しては、これはまた二十代と四十代と六十代で大きく違うということで、特に最近は、より子育てに父親、男性の参画を求めるという価値観があるということです。
 それから四ページ目は、結婚をした家庭では大体二人以上の子供を持っている例が多いということのようですが、一方で、結婚をしていないということが少子化の一つの大きな理由になっていると思いますが、なぜ結婚をしないかということも質問していまして、これは四十歳代で結婚をしていない人たちが答えた数字なんですが、真ん中の方に、結婚により失うコストを指摘する声が多いと。特に女性の場合には、結婚して家庭を持つことによって自分の仕事が続けられない、あるいは家庭の家事等で時間を使われることを嫌うというようなこともありますので、これから、結婚することの価値というようなことも若い世代に伝えていかなければならないんではないかと。
 特に、今日の主題であります少子化の問題についての意見が出ているのは五ページでして、これは家庭を持っていて、子育てをしよう、あるいは子供をこれから産みたいというふうに考えている人々が、どういう理由があって子供を産むあるいは育てるということができないかということで、何を求めているかということを聞いたものなんですが、六〇年代生まれ、これは四十歳代ですから、ある程度経済的に豊かな層になっていると思いますが、八〇年代生まれということは二十歳前後、十五歳から二十五歳ですから、これから結婚し子供を育てようという世代だと思いますが、この世代で子供を育てない、育てることの制約事項としては第一に経済的な問題が一番大きいと。特に、育児手当とか乳幼児の医療費の補助が欲しいという経済的な支援を求めていると。これが八八・六%ということで、四十歳代に比べて、六〇年代生まれに比べて八〇年代生まれの方が、要するに若い層の方が経済的な理由を非常に大きく言っていると。
 それから、出産に関する費用を削減してほしい。あるいは、保育料、託児料金が安くなることを求めるという声と。これは単に料金が安いだけではなくて、託児サービスが十分得られること。これは順位で六番目とか七番目に書いていますが、保育所の不足、近くにない、待っていても入れない、こういったことを緩和してほしい。あるいは、保育所のサービス時間の拡大を求める等、経済的な理由もありますし、また保育園等に入るのがなかなか難しい、したがって子供を産み育てることが難しいと。
 さらに、男性が休暇を取りにくいとか、そういった職場環境の問題もありますし、子供が熱を出したときに何か帰りにくい、あるいは仕事を持続して勤めることが難しいというようなことがあるようですが、子供を実際に産みたい人に産める環境をつくることが非常に重要だということからしますと、経済的な理由、それから保育園の整備等が必要ではないかということで、今お話ししたことをもう少し詳しく書いたのが七ページです。
 子供が欲しいと思ったときに障害となることは何かということで、一九八〇年代生まれ、二十歳代の人たちは経済的な理由が一番大きいと、子供を産むというときに障害になっているのは。一方、四十歳代の人々に見てみますと、子供が三人以上いる夫婦では確かに経済的な理由が四七%というふうに大きくなっていますが、一方で、子供の数がゼロとか一人の人はそう経済的な理由が大きな障害とは言っていない。ということは、特に若い世代にとっては経済的な理由が大きいということなんで、経済的な問題、特に児童手当を含めて、あるいは出産手当等の経済的な問題に対する対策というのは効果があるんではないかということ。
 それから八ページ目に、多様な保育サービスが受けられることを求めている人たちが多いわけですけれども、現在、厚生労働省様の方で、保育所の施設の運営主体、設置主体の緩和等、できるだけ民間もこういう保育サービスに参入できるようにという方向は出されているようなんですが、実態は、東京を中心として幾つかの自治体では民間の保育園の運営ができるようになっていますが、多くの自治体では、国としての方針としては民間の保育所が運営できるというふうになっていますが、実態は認可されないと。また、実際は、公営の保育所あるいは社会福祉法人の保育所に対して公的な支援があるがために民間の保育所がなかなか運営できないということなんで、保育施設の充実といったときに、こういう公営とか社会福祉法人へ支出、国からのお金が出るあるいは地方自治体からのお金が出るということが一方で民間の独立した経営を難しくしているということなんで、できればこういった保育園の補助というのはバウチャー制のような保育券のような形で親に支給をして、その支給券を利用して民間で自分の好ましいと思われるような保育園に行ける形で、二十四時間保育、延長保育、多様なサービスを安い価格で提供できるような体制が要るんではないかと。したがって、大きく予算を増やすというよりも、規制をなくして、そして民間主体でこういった保育サービスを提供することによって、本当に保育に必要な家庭が利用できる体制が取れるんではないかというふうに思っています。
 それから九ページの方は、職場の環境で、女性が働き続けるということが私は望ましいと思いますし、子供を産んでも退職をしてしまうと再就職というのは非常に難しいですから、本来は、子供を産んで、退職しないで、一年なら一年育児休暇を取って、その後働く形が望ましいと思いますし、余り長く育児休暇を取ってしまうと企業の現在の仕事から余りにも離れてしまうということもありますので、なおかつ、いろんな女性に聞いてみますと、余り育児だけに集中するとそれがストレスになるということで、逆に仕事の場に出た方がストレスがないということもあるようですので、育児休暇の期間を長くするというよりも、一年ぐらい、二年でもいいと思いますが、一年ぐらいの育児休暇の後は仕事の場に出れるような職場環境を整備する、保育所の整備もそうなんですが。
 現実に子供を産んでいる家庭に関して、もう一人子供が欲しいと思いますかという質問に対して、一九六〇年代の男性、いわゆる四十歳代の男性は、子供の数がゼロ、一人、二人ぐらいまではもう一人子供が欲しいという声の方が大きいと。欲しいかあるいはどちらとも言えないという声が多いんですが、三人目になるともう子供は欲しくないという声が六〇%なんですが、女性の場合には、子供一人のところでもうこれ以上欲しくないというのが四五%なんですが、二人になると六九%の女性がもう子供をもう一人は余計には欲しくないと言っているんで、ここら辺、男性と女性で子供がもう一人欲しいかということに対しての価値観の違いがある。それだけ女性への負荷が高いということもあると思いますので、ここら辺、職場環境あるいは子育ての環境を整備していくというのが大事ではないかと思います。
 十ページ以降は少し簡単に、私どもの会社でどういうことを行ってこういった子育て支援を行っているかということをお話ししますが、十一ページに、一つはワーク・ライフ・バランスの促進、特に、多様な働き方ができるような、これは育児に限りませんが、介護を始めとして多様な勤務形態が取れるようにしてあげる必要がある。多様なといった場合には、時間的な制約とそれから空間、場所等の制約をできるだけ少なくして、社員が多様な価値観の下に仕事をできる体制をつくって、女性が退職をせずに子育てをしながらキャリアを追求できるような制度をつくっております。
 十二ページがその具体策ですが、一つは時間の柔軟性を取るための制度で、フレックスタイム、出勤時間の自由度を持つ、あるいは短時間勤務制度、これは後ほどお話ししますが、週三日働くとか四日働くということもできるようにしていますし、裁量労働制度、産前産後の休暇、それから育児休暇、私どもは二歳までは育児休暇を取れるようにしていますが、先ほどお話ししたように、一年ぐらいで残りは出社するか、あるいは、後ほどお話ししますけれども、在宅勤務等の形を取って仕事に何らかの形で接点を持っている方がいいとは思います。それから、育児時間で少し勤務時間を短くする。そのほか介護休職、一年間休職することができる。看護休職、教育休職、その他いろいろな制度を設けています。
 一方で、空間の自由度ということでは、在宅勤務、e—ワーク制度といっておりますが、インターネット等のネットワークとパソコン、そして携帯電話を利用することによって在宅勤務、あるいは自分の本来所属する事務所とは違う近くの事務所に出ていって仕事をするというサテライトオフィス、あるいはモバイルオフィスというふうなことを取り入れて空間的な自由度も持たしております。
 十三ページがこの在宅勤務等のe—ワーク制度ですが、できるだけ仕事を続けられることができるように、特に、勤続一年以上で、業務の性格上自宅で勤務が可能な人はこの在宅勤務を取っていいということにしていまして、一週間全部在宅勤務でもいいですし、週一日でも二日でも家にいながら仕事ができれば、特に私どもIT産業の場合にはパソコンとネットワークがあればほとんどの仕事が在宅でできるということで、あとは電話会議等の参加で、事務所にいないでも仕事ができる、あるいは週に一回、二回の出社でできるということで、現在私どもこの対象になっている社員一万八千人ほどおりますが、一般職では五百人ぐらい、専門職、管理職では千五百名がこのe—ワーク制度を利用して、週に一日、二日あるいは一週間、在宅で勤務を取っております。
 もう一つは、短時間勤務制度という制度を持っていまして、育児、介護等のいろんな理由で一時的に通常勤務が難しい社員に対しては、一日の勤務時間を短くして週五日勤める、あるいは週三日働く、週四日働くというふうなことで短時間勤務を認めておりまして、必要がなくなればまた元の通常勤務に戻る。ただし、処遇は、勤務時間が八〇%の場合には給与は七割、そのほかに福利厚生等は通常の勤務と同じように支給するというふうなことで短時間勤務もできるようにしておりまして、これは今、先ほどの一万八千人の社員のうち五十名ぐらいがこの短時間勤務を取っておりますが、男性は四名ぐらいで、ほとんどは女性がこの短時間勤務を取っていると。
 産休なども男性も取れることにしておるんですが、大体年に七十人ぐらい出産等がありますので、大体常時百三、四十名が育児休暇を取っていますが、女性が大体百三十とか百四十名ぐらい取っているんですが、男性は二〇〇三年で二人、四年で四人、二〇〇五年で二人。男性はほとんど取りませんが、しかし、取ってもいいということで、現実に取っている人もいますし、出産のときに男性に特別有給休暇等を与えていますので、三日ですが、出産の。それ以外にも大体休暇はたくさん残っていますから、休暇を取っていいという制度を適用しています。
 このような制度によって女性がキャリアを追い続けることができる職場をつくることによって、経済的にも子育てが可能になりますし、さらに、会社を辞めないということで、多少子育ての間に十分な勤務ができなくても、それ以降、我々能力主義、成果主義で反映していますので、会社でのキャリアに不利になることのないというふうな制度をつくって、女性が活躍できる社会をつくることで少子化の問題にも対処しているところでございます。
 以上、御紹介させていただきました。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 北城恪太郎

speaker_id: 7689

日付: 2006-02-22

院: 参議院

会議名: 少子高齢社会に関する調査会