少子高齢社会に関する調査会

2006-02-22 参議院 全59発言

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会議録情報#0
平成十八年二月二十二日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         清水嘉与子君
    理 事
                岸  宏一君
                中原  爽君
                円 より子君
                森 ゆうこ君
                鰐淵 洋子君
    委 員
                狩野  安君
                川口 順子君
                後藤 博子君
                坂本由紀子君
                中村 博彦君
                朝日 俊弘君
                加藤 敏幸君
                下田 敦子君
                羽田雄一郎君
                林 久美子君
                松下 新平君
                蓮   舫君
                山本  保君
                小林美恵子君
                荒井 広幸君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        岩波 成行君
   参考人
       社団法人経済同
       友会代表幹事
       日本アイ・ビー
       ・エム株式会社
       代表取締役会長  北城恪太郎君
       株式会社エトワ
       ール海渡取締役
       人事部長     有賀 俊文君
       日本労働組合総
       連合会副事務局
       長        逢見 直人君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○少子高齢社会に関する調査
 (「少子高齢社会への対応の在り方について」
 のうち少子高齢社会の課題と対策に関する件)
    ─────────────
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清水嘉与子#1
○会長(清水嘉与子君) ただいまから少子高齢社会に関する調査会を開会いたします。
 少子高齢社会に関する調査のうち、「少子高齢社会への対応の在り方について」を議題といたします。
 本日は、少子高齢社会の課題と対策に関する件について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、社団法人経済同友会代表幹事・日本アイ・ビー・エム株式会社代表取締役会長北城恪太郎さん、株式会社エトワール海渡取締役人事部長有賀俊文さん、日本労働組合総連合会副事務局長逢見直人さんに参考人として御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様方に一言ごあいさつ申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして誠にありがとうございました。
 参考人の皆様方から、「少子高齢社会への対応の在り方について」のうち、少子高齢社会の課題と対策に関する件につきまして忌憚のない御意見をお述べいただきまして、調査の参考にいたしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますけれども、まず、参考人の皆様方からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めたいと存じます。
 なお、質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていきたいと存じます。
 また、意見の陳述、質疑及び答弁のいずれも着席のままで結構でございます。
 それでは、北城参考人からお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。
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北城恪太郎#2
○参考人(北城恪太郎君) 北城でございます。
 私、現在、経済同友会の代表幹事を務めておりますが、この少子化の問題について、経済同友会では二〇〇四年に人口減少社会を考える委員会をつくりまして、リクルートの前会長の河野会長の下で委員会を行ってまいりました。その中で提言を出させていただいておりますが、特に少子化の問題に関しては、子供を産み育てたいという人たちが既にいる中で、どういう制約があって実際には子供を産み育てることに結び付いてないかというようなことを中心にいろいろ議論をしてまいりましたので、それを御紹介させていただきたいと思います。
 お手元の資料に、少子高齢化社会と企業の役割という資料を配付させていただいておりますが、最初に経済同友会の今お話ししました提言のお話をさせていただいた上で、企業もこの少子化の問題に関係するところがたくさんありますので、企業の役割についても私どもの会社の例を取って御紹介させていただきます。
 最初に、二ページ目に、少子化の問題を考えるに当たって、まずそれぞれの家庭がどのように今の生活について満足をしているかということを聞いておるんですが、これは一九四〇年代生まれ、いわゆる六十歳前後の人々、家庭、六〇年代生まれが四十歳前後、それから八〇年代生まれというのは二十歳前後、前後五歳ぐらいがありますが、この人たち約二千名に対してアンケートを取った結果ですが、これによりますと、未婚者と既婚者に関していいますと、結婚している家庭の人たちの方が現在の生活に対する満足度は高い、六九%が満足をしていると。一方、未婚の人たちは四三%ということで、結婚している人たちは今の生活に満足をしていると。それから、四〇年代生まれの六十歳前後の人たちの方が現在の生活には満足が高い、どちらかというと若い人たちの方が満足が低いと。また、子供の数を見てみますと、子供がいない、子供の数がゼロの家庭よりも子供の数が二人、三人、子供を持っている家庭の方が現在の生活に対しては満足をしているということもありますので、長期的にやはり結婚し子供を持つということが満足につながるんだと、こういう価値観を社会の中に伝えていくことが必要ではないかというふうに思います。
 一方、次のページ、三ページですが、価値観についていろいろ質問しています。特に、結婚とか、あるいは子育て等に関する質問をしておるんですが、これ、グラフで三本の棒がありますけれども、一番左が大体六十歳代の人たちの意見、真ん中の折れ線のグラフが四十歳前後、そして黒いグラフが二十歳前後の人たちの意見ですが、これを見ますと、明らかに六十歳前後、我々の世代の価値観と四十歳代あるいは二十歳代の価値観に違いがあると。これは、結婚に関して、あるいは養子とか人工授精とかいろんなことに関して、我々の世代と若い世代とに価値観の差がある。特に、家事、育児に対して夫婦は平等に分担をすべきであるとか男性の育児休暇と、こういった問題に関しては、これはまた二十代と四十代と六十代で大きく違うということで、特に最近は、より子育てに父親、男性の参画を求めるという価値観があるということです。
 それから四ページ目は、結婚をした家庭では大体二人以上の子供を持っている例が多いということのようですが、一方で、結婚をしていないということが少子化の一つの大きな理由になっていると思いますが、なぜ結婚をしないかということも質問していまして、これは四十歳代で結婚をしていない人たちが答えた数字なんですが、真ん中の方に、結婚により失うコストを指摘する声が多いと。特に女性の場合には、結婚して家庭を持つことによって自分の仕事が続けられない、あるいは家庭の家事等で時間を使われることを嫌うというようなこともありますので、これから、結婚することの価値というようなことも若い世代に伝えていかなければならないんではないかと。
 特に、今日の主題であります少子化の問題についての意見が出ているのは五ページでして、これは家庭を持っていて、子育てをしよう、あるいは子供をこれから産みたいというふうに考えている人々が、どういう理由があって子供を産むあるいは育てるということができないかということで、何を求めているかということを聞いたものなんですが、六〇年代生まれ、これは四十歳代ですから、ある程度経済的に豊かな層になっていると思いますが、八〇年代生まれということは二十歳前後、十五歳から二十五歳ですから、これから結婚し子供を育てようという世代だと思いますが、この世代で子供を育てない、育てることの制約事項としては第一に経済的な問題が一番大きいと。特に、育児手当とか乳幼児の医療費の補助が欲しいという経済的な支援を求めていると。これが八八・六%ということで、四十歳代に比べて、六〇年代生まれに比べて八〇年代生まれの方が、要するに若い層の方が経済的な理由を非常に大きく言っていると。
 それから、出産に関する費用を削減してほしい。あるいは、保育料、託児料金が安くなることを求めるという声と。これは単に料金が安いだけではなくて、託児サービスが十分得られること。これは順位で六番目とか七番目に書いていますが、保育所の不足、近くにない、待っていても入れない、こういったことを緩和してほしい。あるいは、保育所のサービス時間の拡大を求める等、経済的な理由もありますし、また保育園等に入るのがなかなか難しい、したがって子供を産み育てることが難しいと。
 さらに、男性が休暇を取りにくいとか、そういった職場環境の問題もありますし、子供が熱を出したときに何か帰りにくい、あるいは仕事を持続して勤めることが難しいというようなことがあるようですが、子供を実際に産みたい人に産める環境をつくることが非常に重要だということからしますと、経済的な理由、それから保育園の整備等が必要ではないかということで、今お話ししたことをもう少し詳しく書いたのが七ページです。
 子供が欲しいと思ったときに障害となることは何かということで、一九八〇年代生まれ、二十歳代の人たちは経済的な理由が一番大きいと、子供を産むというときに障害になっているのは。一方、四十歳代の人々に見てみますと、子供が三人以上いる夫婦では確かに経済的な理由が四七%というふうに大きくなっていますが、一方で、子供の数がゼロとか一人の人はそう経済的な理由が大きな障害とは言っていない。ということは、特に若い世代にとっては経済的な理由が大きいということなんで、経済的な問題、特に児童手当を含めて、あるいは出産手当等の経済的な問題に対する対策というのは効果があるんではないかということ。
 それから八ページ目に、多様な保育サービスが受けられることを求めている人たちが多いわけですけれども、現在、厚生労働省様の方で、保育所の施設の運営主体、設置主体の緩和等、できるだけ民間もこういう保育サービスに参入できるようにという方向は出されているようなんですが、実態は、東京を中心として幾つかの自治体では民間の保育園の運営ができるようになっていますが、多くの自治体では、国としての方針としては民間の保育所が運営できるというふうになっていますが、実態は認可されないと。また、実際は、公営の保育所あるいは社会福祉法人の保育所に対して公的な支援があるがために民間の保育所がなかなか運営できないということなんで、保育施設の充実といったときに、こういう公営とか社会福祉法人へ支出、国からのお金が出るあるいは地方自治体からのお金が出るということが一方で民間の独立した経営を難しくしているということなんで、できればこういった保育園の補助というのはバウチャー制のような保育券のような形で親に支給をして、その支給券を利用して民間で自分の好ましいと思われるような保育園に行ける形で、二十四時間保育、延長保育、多様なサービスを安い価格で提供できるような体制が要るんではないかと。したがって、大きく予算を増やすというよりも、規制をなくして、そして民間主体でこういった保育サービスを提供することによって、本当に保育に必要な家庭が利用できる体制が取れるんではないかというふうに思っています。
 それから九ページの方は、職場の環境で、女性が働き続けるということが私は望ましいと思いますし、子供を産んでも退職をしてしまうと再就職というのは非常に難しいですから、本来は、子供を産んで、退職しないで、一年なら一年育児休暇を取って、その後働く形が望ましいと思いますし、余り長く育児休暇を取ってしまうと企業の現在の仕事から余りにも離れてしまうということもありますので、なおかつ、いろんな女性に聞いてみますと、余り育児だけに集中するとそれがストレスになるということで、逆に仕事の場に出た方がストレスがないということもあるようですので、育児休暇の期間を長くするというよりも、一年ぐらい、二年でもいいと思いますが、一年ぐらいの育児休暇の後は仕事の場に出れるような職場環境を整備する、保育所の整備もそうなんですが。
 現実に子供を産んでいる家庭に関して、もう一人子供が欲しいと思いますかという質問に対して、一九六〇年代の男性、いわゆる四十歳代の男性は、子供の数がゼロ、一人、二人ぐらいまではもう一人子供が欲しいという声の方が大きいと。欲しいかあるいはどちらとも言えないという声が多いんですが、三人目になるともう子供は欲しくないという声が六〇%なんですが、女性の場合には、子供一人のところでもうこれ以上欲しくないというのが四五%なんですが、二人になると六九%の女性がもう子供をもう一人は余計には欲しくないと言っているんで、ここら辺、男性と女性で子供がもう一人欲しいかということに対しての価値観の違いがある。それだけ女性への負荷が高いということもあると思いますので、ここら辺、職場環境あるいは子育ての環境を整備していくというのが大事ではないかと思います。
 十ページ以降は少し簡単に、私どもの会社でどういうことを行ってこういった子育て支援を行っているかということをお話ししますが、十一ページに、一つはワーク・ライフ・バランスの促進、特に、多様な働き方ができるような、これは育児に限りませんが、介護を始めとして多様な勤務形態が取れるようにしてあげる必要がある。多様なといった場合には、時間的な制約とそれから空間、場所等の制約をできるだけ少なくして、社員が多様な価値観の下に仕事をできる体制をつくって、女性が退職をせずに子育てをしながらキャリアを追求できるような制度をつくっております。
 十二ページがその具体策ですが、一つは時間の柔軟性を取るための制度で、フレックスタイム、出勤時間の自由度を持つ、あるいは短時間勤務制度、これは後ほどお話ししますが、週三日働くとか四日働くということもできるようにしていますし、裁量労働制度、産前産後の休暇、それから育児休暇、私どもは二歳までは育児休暇を取れるようにしていますが、先ほどお話ししたように、一年ぐらいで残りは出社するか、あるいは、後ほどお話ししますけれども、在宅勤務等の形を取って仕事に何らかの形で接点を持っている方がいいとは思います。それから、育児時間で少し勤務時間を短くする。そのほか介護休職、一年間休職することができる。看護休職、教育休職、その他いろいろな制度を設けています。
 一方で、空間の自由度ということでは、在宅勤務、e—ワーク制度といっておりますが、インターネット等のネットワークとパソコン、そして携帯電話を利用することによって在宅勤務、あるいは自分の本来所属する事務所とは違う近くの事務所に出ていって仕事をするというサテライトオフィス、あるいはモバイルオフィスというふうなことを取り入れて空間的な自由度も持たしております。
 十三ページがこの在宅勤務等のe—ワーク制度ですが、できるだけ仕事を続けられることができるように、特に、勤続一年以上で、業務の性格上自宅で勤務が可能な人はこの在宅勤務を取っていいということにしていまして、一週間全部在宅勤務でもいいですし、週一日でも二日でも家にいながら仕事ができれば、特に私どもIT産業の場合にはパソコンとネットワークがあればほとんどの仕事が在宅でできるということで、あとは電話会議等の参加で、事務所にいないでも仕事ができる、あるいは週に一回、二回の出社でできるということで、現在私どもこの対象になっている社員一万八千人ほどおりますが、一般職では五百人ぐらい、専門職、管理職では千五百名がこのe—ワーク制度を利用して、週に一日、二日あるいは一週間、在宅で勤務を取っております。
 もう一つは、短時間勤務制度という制度を持っていまして、育児、介護等のいろんな理由で一時的に通常勤務が難しい社員に対しては、一日の勤務時間を短くして週五日勤める、あるいは週三日働く、週四日働くというふうなことで短時間勤務を認めておりまして、必要がなくなればまた元の通常勤務に戻る。ただし、処遇は、勤務時間が八〇%の場合には給与は七割、そのほかに福利厚生等は通常の勤務と同じように支給するというふうなことで短時間勤務もできるようにしておりまして、これは今、先ほどの一万八千人の社員のうち五十名ぐらいがこの短時間勤務を取っておりますが、男性は四名ぐらいで、ほとんどは女性がこの短時間勤務を取っていると。
 産休なども男性も取れることにしておるんですが、大体年に七十人ぐらい出産等がありますので、大体常時百三、四十名が育児休暇を取っていますが、女性が大体百三十とか百四十名ぐらい取っているんですが、男性は二〇〇三年で二人、四年で四人、二〇〇五年で二人。男性はほとんど取りませんが、しかし、取ってもいいということで、現実に取っている人もいますし、出産のときに男性に特別有給休暇等を与えていますので、三日ですが、出産の。それ以外にも大体休暇はたくさん残っていますから、休暇を取っていいという制度を適用しています。
 このような制度によって女性がキャリアを追い続けることができる職場をつくることによって、経済的にも子育てが可能になりますし、さらに、会社を辞めないということで、多少子育ての間に十分な勤務ができなくても、それ以降、我々能力主義、成果主義で反映していますので、会社でのキャリアに不利になることのないというふうな制度をつくって、女性が活躍できる社会をつくることで少子化の問題にも対処しているところでございます。
 以上、御紹介させていただきました。どうもありがとうございました。
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清水嘉与子#3
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、有賀参考人にお願いいたします。有賀参考人、どうぞ。
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有賀俊文#4
○参考人(有賀俊文君) ただいま御紹介いただきましたエトワール海渡の有賀と申します。よろしくお願い申し上げます。何分不慣れなものですから、少しげたを履かして聞いていただければ有り難いと思いますので、よろしくお願いします。
 まず一番最初に、エトワール海渡というのはそれほど知られている会社ではないので、どういう会社かというのを少し御説明さしていただいて、その後で私どもの取組というのを御説明するような形を取らしていただきます。
 エトワール海渡というのは、実は日本橋の馬喰町という、古くからの問屋街と言われているところにございます会社でございます。今も百年ぐらい続いている卸売業というところでございます。卸売業というのはメーカーから物を調達して小売業の皆さんに仕入れていただいて、それを小売業の方たちが消費者に買っていただくと、そういう中での中間流通という役割を果たしているというふうに思っております。
 どちらかというと、いろいろな商品を扱っているんですが、考え方としてやはり、格好いい言い方をさしていただければ、なくても困らないけどあれば楽しいものを提供していこうというような考え方でございます。ですから、生活必需品というよりは、あると面白いよねっていうような、決して高いものという意味ではなくて、少し部屋に置いたら部屋が明るくなるねとかというような、そういう部分、品物を通して、ありきたりな言葉ですけど、気持ちの満足を消費者の方が感じてくれたらいいなというふうな形をさしていただいております。
 その中で、普通卸売業と申しますと、各小売店の店頭に出向いて、営業の人間が出向いていって、セールスして、新商品を紹介したり御注文を承ったりっていうふうにして、日本全国の小売業の方に行く費用、時間、そういうものを卸側が負担していく場合が多いんですが、私どもの場合は逆でございまして、日本橋の馬喰町に幾つかの建物がございまして、そこに日本全国から自分のお店で売るものを仕入れに来てくださいという形を取らしていただいています。ですから、逆に言うとちょっと生意気な会社でございまして、費用と時間はお客さん、小売屋さんが負担してくださいという形でございます。ですから、逆に、何か魅力がないと、わざわざ北海道から、九州から、沖縄からというふうにいらしていただけないものですから、そこの部分が一番、私どもが生き残っていくためでは肝要な部分だと思っております。
 そんな中で、取引先は北海道から沖縄まで約二万五千店ぐらいございますけれども、その中で、いらっしゃる方は本当に、北海道からというと月に一遍とかそういう形に、近いと毎日来る方というのがいらっしゃいますけれども、定期を持ってうちの会社に通ってくるという方がいてびっくりしたことがあるんですけれども、そういうように、地域によってはそういう形でございます。
 そういうような中で、扱っているものというのは、日本の中でいえば百貨店、小売屋さんで売っているような消費財だったら大体のものが置いてあるということになります。ですから、私どもでは、その中でどういう売り方をするかというと、あの建物の中を、倉庫じゃなくて売場を構成しております。売場を構成して商品をディスプレーして現物も置いてある。その中に入れる方が、消費者ではなくて小売業の経営者ないしは従業員だということになります。そこで自分の店に向いているものを仕入れていただくと。そこでお客様に情報を与えたり、情報をいただいたり、商品をお勧めしたりするという役割が営業部の人間ということになります。
 もう一つの両輪はバイヤーでございまして、メーカーから物を買わしていただいている、いい商品を仕入れさしていただくという意味ではメーカーと相対するバイヤーというのが大きな柱だというふうに考えております。
 その中で、私どもでは社員というのは約九百名強おるんですが、約七割弱が女性という会社でございます。三割が男性ということでございます。これは実は私が入った三十年近く前から同じような社員構成でございまして、それが当たり前で来ておるものですから、私自身は別に女性が多い会社でというのは余り抵抗はなかったんですけれども、人事に来てみて、いろいろな企業の方に会うと、やはり非常に異常な会社なんだというのがちょっとよく分かったというのが実際のところでございますけれども。
 実は、私が入ったころの営業本部長というのは女性でございまして、もう昭和二十何年にお入りになった方だったんで、その方には僕徹底的に怒られたことがございまして、もう実は、こんな場で言っていいのかどうか分かりません、上司に怒られたことがございまして、何くそと思ったこともございますけれども。やはり女性でも、やっぱり自分より能力上だ、経験も上だというふうに納得できてしまいますと、それは余り抵抗がないというのが私の経験上のことでございます。そういうような全体的な構成の会社だということを御認識の上で、私どもの取組というのを申し上げたいと思います。
 私どもでよく、こういう場にお呼びいただいたのも恐らくということなんですけれども、表彰の中で、東京都の労働局長賞をいただいたファミリー・フレンドリー企業という両立支援をやっている企業という表彰がございまして、それで数年前に私どももそれをいただかしていただいたんですけれども、それが、一つはやはり、企業の中に社内保育園を持っているということが一つの要因だろうと思います。社内保育園、そのままエトワール保育園と言っているんですけれども、社内保育園、じゃどんな保育園だということを少し御説明と取組を話さしていただきます。
 実は、この社内保育園ができたのは昭和五十二年、一九七七年でございますから、今年でちょうど二十九年目ということでずっと続けさしていただいております。何でつくったんだと申しますと、そのころというのは私まだぺいぺいだったんで全然分からないんですけれども、聞いた話でございますけれども、簡単に申し上げますと、そのころから先ほど申し上げたように女性社員が多かった。やはりそのころはどうしても女性社員が結婚で退職をする、ましてや残っても出産だったらまず退職をすると、そういう時代であったみたいでございます。その中でやはり優秀な社員が、優秀な女性社員が実はいまして、そういう人をどうにか人事の方としても残す手だてはないかという話を聞いたときに、御本人に聞いたときに、どうして辞めなきゃいけないのと聞いたときに、まあ一言、保育園ないからというふうに言われてしまったんですね。
 それを人事の方で聞きまして、今私どもの会長をやっておりますけれども、そのとき常務だったんですけど、常務に報告をしたら、じゃ、つくればいいじゃないかって、すごい簡単に言われちゃったみたいなんですね。じゃ、つくればいいんだったらつくってみようよということで、つくるのには実は一年近く要したんですね、いろいろな公立の保育園に見学に行ったり、全く知識がなかったんで、そういうところを調べて。そして、実は馬喰町に幾つか建物がございまして、その中で旧売場として使っていたところがございまして、ちょうどいいからそこを使っちゃおうよということでつくったのが始まりでございます。ですから、一番最初にできたときは預かった園児は二人だったそうです。もう本当にちっちゃいながらも徐々に徐々にやっていったということでございます。
 後年今の、そのつくった常務、今の会長に聞きましたところ、そういうのってどういう秘訣ですかって聞いたら、こう申しておりました。やっぱり大物ねらいしないことだよって、できることからちょっとずつやればいいんだよっていうふうに言っていました。現実に見て、私どもの保育園というのは、まあ昔使っていた建物ですから、そんなに真新しいビルではございませんけれども、その中に本当に一つの部屋をつくって、その中に園児を全部お預かりしているというような形でございます。
 現在はと申しますと、現在はどうしても保育園というのは面積で定員が決まりますものですから、私どもでは十八名というのが限界でございますので、十八名ということでお預かりさしていただきます。もちろん入る資格は私どもの社員の子供であることということでございますが、その中で保育士は実は今六名おります。ちょっと異様に多いじゃないかって言われる場合があるんですね、一人三名という計算で我々はやっているんですけれども、実はやっぱりちっちゃい子なので、やっぱり両手でつなげたり目で見える範囲だけでしか預からないと。預からないというか、それだけの保育士が絶対必要だということがございましたんで保育士が六名、それに給食制度を取っておりますんで調理師を一名ということで運営をさせていただいております。
 お預かりさせていただいているのは、実際には十か月児以降ということで、十か月児以降から三歳までということでございます。通常、今までですと、六歳までというような就学をする前までというのがあるんですが、逆に十八名という定員で考えますと、実は六で割ってしまいますと一学年三人しかお預かりできないと。これは逆に不公平になりますもんですから、逆に三歳までということでさせていただいています。
 もう一方で、三歳までにさせていただいている理由がもう一つございまして、実は六歳までお預かりして小学校に、地元の小学校に入るというのは友達もできないだろうと。要するに、四歳以降であれば、地元の保育園等に通っていただいてやっぱり友達もつくったりお母さん同士のコミュニケーションもしていただいて、そして小学校に通う方がベストではないだろうかというふうに我々としては考えたものですから、三歳までというような限界点を設けさせていただいております。
 ただ、非常に難しい問題として今ございますのは、どうしても六人ずつというんで、最初は預かったのは二名だと申し上げましたけれども、だんだんだんだんやはり増えてまいりまして、結局六名以上の実は入りたいという申込みが来るように近年なっております。その場合の問題がすごくございまして、どうしても六名ですから、これはもう本当に申し訳ないんですが抽せんをさせていただいているというような形になるわけですけれども。ですから、私の今一番つらい仕事は抽せんに漏れたよと言うことでございます。入れる方はそのままそれでよろしいんでございますけれども、入れない方というのは、そうすると第二段階として地元の公立保育園を探す、それで駄目であれば私立の保育園ないしは無認可の保育園を探すというようなことになってまいります。そうすると、もちろん費用負担の問題であるとか、そういうところでやはりいろいろな問題が出てくるだろうというふうに考えております。
 ですから、その辺のところは私どもとしてはこれからどうしていくかという課題でございます。今までみたいに定員以上にならなければもうみんなオッケーですよというふうにできたんですけれども、今は申し訳ございませんというふうな状態が少しございます。
 現実に今、保育園で預かっているお子さんが今十八名と申しましたけれども、それ以外に私どもでは産休、育休、出産休暇、育児休暇という方が、女性社員が七割と申しましたけれども、常に大体十五人から二十人ですか、一人出てくると一人産休に入るという。えっ、またできちゃったのという、本当にそのくらいで、そういうくらい、もしかすると頻繁にということでは出ています。
 この辺に関して申し上げれば、やはり会社がやはりそういうのが当たり前の形に今なって、結婚して子どもができたときは出産してまた復帰するんだよというのがエトワール海渡の場合には多分当たり前の姿で、前例者がいるんで気軽にそれができるというんですか、私もそうしようというような形にはなりつつあるのかなというふうに考えています。
 次に、時間短縮制度という、今の短縮勤務制度と全く同じでございますけれども、時間短縮制度というのを設けてあります。私どもの場合には、コア時間として、勤務時間というのは実働八時間、休憩、昼休み休憩一時間で九時間拘束ということで週四十時間という一般的な形なんでございますが、その中で、通常ですと九時から六時ぐらいまでが勤務時間になるんでございますけれども、時間短縮制度を利用させていただきますと、十時から四時までというのをコアタイムにさせていただいています。ですから、十時から四時までは必ず来てください、それが自分の都合でもし都合が良ければ、九時半からであるとか、又は四時ではなく四時半までとかというような形は、そこに関しては三十分単位でその方たちの判断にお任せをして取っていただいております。大体は復帰されたときは、一番最初は一年間は十時から四時が多いです。そして、子供が少し慣れてきたなと、保育園にも慣れてきたなというふうになるとお母様方も落ち着かれるんでしょうか、少し勤務時間を延ばしていただくというような形を取っていただいているというふうに思います。
 現実に申し上げますと、私どもで今、全社員に占める時間短縮勤務制度を利用している割合というのは、全社員の場合には約八%弱になりつつあります。八%と申しますと千人いると八十人ということになりますんで、だんだんだんだんちょっと大きな数字になりつつあるというのもあります。会社というのは、もちろんそういう人たちを優遇していかなきゃいけないという部分もありますが、もう一方で、それをすること、十時から四時までの勤務時間ですと、九時の始まりにはいない、六時の終わりにはいない。私どもみたいに、営業行為をやっておりますから、お客様相手ということになってきます。そうなった場合に、逆にその部分がフルタイム社員に来るという部分も少なからずあると思います。
 ですから、逆に今私自身としても気を使っているのは、その時短者又は育休を利用して復帰してきた人、そういう方たちも大切にしなければいけないんですけれども、もう一方で、そういう人たちを支えている人たち、それはもちろんフルタイムでも女性たくさんおります。そういう人たちに対しても、男性に対してもそうですけれども、やはり公平性のある、やはりお互いに痛いところはカバーし合うというようなことがやはりこれからとっても必要になってくるんだろうというふうに私自身は思っております。
 最後になりますけれども、こんな話をさせていただいていて本当に生意気でございますけれども、もう一つ保育園のことに関して言わせていただければ、調べてみますと、保育園で私どもの保育園に預ける方というのはどうしても通勤時間が一時間以内が多いです。というのは、逆に言えば、子供を満員電車に乗せて一時間半も通って社内保育園にというのはやはりどうしても、それがいいことか、子供のことを考えると、ということを考えると、やはり遠い人というのは地元の保育園。逆に言えば、地元の保育園も先ほどのお話にありましたようになかなかないので、下手をすると、やっと見付けたところが会社と反対方向の一駅先に行ってまず預けて、そしてまた電車で会社の方に向かう、また帰りも、お子さんを引取りに行くときに一駅先までというようなこともあり得ているというようなことはお聞きしております。
 そんなこんなでございますけれども、やはりこういうことを私どもでもやっていてすごく思いますのは、国とか公共の方のバックアップ、もちろん金銭的な部分、経済的な部分、とっても必要だとは私も思います。ただ、それだけで成るだろうかというと、それだけではなくて、一つは、やはりそういうふうに育児休暇を取りやすいというような一つの会社の、言葉では難しいですけれども、雰囲気であるとかそういうものをどうやって醸成していくかということ。そしてもう一つは、やはり育休後に働く方の、育休取得後に復帰される方のやはり仕事をやってやるぞというんですか、という意識というんですか、私どもでよく言うんですけれども、復帰いたしました、これから仕事でいろいろと迷惑掛けると思いますけれども、よろしくお願いしますって復帰するのは禁句なんです。これを言うと怒られるんですね。何て言いますかというと、これからそんな迷惑掛けるなと言われるんですね。そうじゃなくて、逆に、意気込みですよ、意気込みですけど、今まで以上に中身の濃い仕事しますからよろしくお願いしますと、そういう気持ちでやっぱり復帰をしてほしいということで、やはり国とそして会社、それからもう一つは夫であるだんなさんの理解、そして御本人の意気込み、これが全部一緒にならないとというような感じが実感としてわいております。
 以上でございます。どうも失礼いたしました。
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清水嘉与子#5
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 次に、逢見参考人にお願いいたします。逢見参考人、どうぞ。
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逢見直人#6
○参考人(逢見直人君) 逢見でございます。私は今、連合の副事務局長をしております。
 本日は次世代育成支援に関する企業の取組というテーマでございますが、これ、実施主体は企業でございます。しかしながら、この企業を構成する重要なステークホルダーである従業員、その従業員を組織する労働組合という立場で意見を述べる機会がいただけたというふうに感じておりますので、その立場からこのテーマに関して幾つかの意見を述べさしていただきます。
 お手元に私の名前が入っている資料を用意してございますので、これに沿って話をさしていただきます。
 まず、連合の出産、子育て支援に関する基本的考え方でございますが、結婚や出産は当事者の選択であり、国や行政が介入すべきではないことを基本に、子の養育の責任は第一義的には保護者にあり、もちろん国、社会の責務というのは子育てについてもあると思いますが、しかし、第一義的には保護者にあって、保護者が安心して産み育てられる条件や、子供が健やかに育つ環境を整備することが社会の責任であると、このように考えております。
 この観点に立って、だれもが安心して子供を産み育てられる環境を築いていくためには、一つは、出産、子育てにかかわる経済負担の軽減、そして二つ目には、雇用不安と所得格差の解消、そして三つ目には、ワーク・ライフ・バランスの促進、そして四点目に、国民的運動の展開が必要であるというふうに考えます。この順番に沿って幾つか意見を申し述べさしていただきます。
 まず、経済的負担の軽減でございますが、これは後ろの方に図がございますが、図一をごらんいただきたいと思います。これは、連合が昨年二月に行ったインターネットによる妊娠・出産費用に関する調査の一部でございます。ここで健康診査と出産費用の負担感について聞きましたところ、回答があったのは約三千名ですが、「やや負担に感じた」というのが五〇・七%、「とても負担が重く感じた」というのが三五・二%、合わせますと八五・九%の方が出産にかかわる費用を負担というふうに答えております。
 次に、図二、図三というのがありますが、大変申し訳ございませんが、図二と図三が同じ設問になっております。図二はこれで正しいんですが、図三は、出産費用の総額が合計幾らですかという設問でございます。
 図三にありますように、出産費用については三十五万円から四十万円と答えた方が二七・二%で最も多い。それから図二では、妊娠中と出産後の健康診査費用が幾らであったかということですが、これで十五万円以上と答えた人が最も多い。合計しますと五十万円以上掛かります。
 今月十日に閣議決定されました医療制度改革関連法案で、出産一時金については現行の三十万円から三十五万円に増額されることが提案されております。しかし、この調査結果で見ますように、まだまだ十分とは言えないと思います。連合はかねてから、健康診査料も含めて出産にかかわる費用は安心して安全に出産する医療体制を整備するためにも健康保険で賄うべきということを提言しております。これは直ちにはそうならないかもしれませんが、少なくともせめて出産一時金は四十万円程度まで引き上げていく必要があるというふうに思っております。
 出産費用以外にも保育料、特に一歳児の保育料は子育て世帯にとって大変大きな負担となっております。これは、次のページに表一というのがございますが、これは連合の保育ニーズに関する調査、二〇〇一年に実施したものでちょっと年数がたっておりますが、ここで希望する保育サービスについて選択していただいたものでございますが、六七・五%の方が保育料の引下げを国や自治体に対して望んでいます。
 政府は、現在、二〇〇九年までに保育所受入れ児童数を二百十五万人に拡大するということを目標にしていますが、保育所のキャパの拡大ということももちろん必要でございますが、保育料につきましても保護者負担を現行の半額程度に引き下げていくべきではないかというふうに考えております。企業の中には子供が生まれたときに五十万円とか百万円とかいった出産一時金を支給するところもありますが、これは企業、非常に恵まれたところに働いている方たちであって、財政的に厳しい中小企業等ではこうした対応はできません。基本的には国や自治体が積極的に応援するべきであるというふうに考えております。
 第二に、少子化の大きな要因であります雇用不安と格差の解消の是正についてであります。
 平成十七年版の国民生活白書というのを図四で引用さしていただいております。この平成十七年版の国民生活白書では、子育て世代をめぐる所得環境は若年層のパート、アルバイトを中心に極めて厳しいという見方を提起しております。
 この図四は年齢層別に見たジニ係数の推移でございますが、一九八七年から二〇〇二年にかけての推移を見ますと、特に男性では三十四歳以下、女性では二十四歳以下で所得格差が拡大しています。男性の二十から二十四というのは、八七年の〇・一八六ポイントから〇・二二一ポイントまで上昇しております。ちょうどその子供を産み育てる世代のところで所得格差が拡大しているということでございます。
 この白書は、若年層の所得格差の拡大の要因がパート、アルバイトの割合が増加したためだと分析しております。パート、アルバイトは職種や労働時間によって所得が大きく違い、また正社員とパート、アルバイトの間での賃金に大きな格差があります。より多くの若者が不安定で比較的賃金の低い仕事に就くことで、若者の間の所得格差が拡大し、その中で低所得層が増えているという実態があるというふうに思います。
 次のページに図がございますが、図六をごらんください。
 これは一時間当たりの平均所定内賃金格差というのを一九九〇年から二〇〇四年まで見たものであります。男性のパート労働者の一時間当たりの平均賃金は二〇〇四年で千十二円、これは男性一般労働者の五〇・六%、女性の二〇〇四年のパート賃金は九百四円で、これは女性の一般労働者の四五・二%と、いずれも半分あるいは半分以下になっています。正社員とパート、アルバイトには転勤や残業の有無とかあるいは仕事上の責任の軽重などの差があって、賃金格差というのはそのような部分も反映しているわけですが、最近ではそういうような合理的な理由の付くものとそうではないものと、その説明ができないという部分も多くなっているんではないかと思います。
 左側に図五がありますが、これは連合が行った調査ですが、パートや派遣などの非典型労働者に同じ仕事をしている正社員がいるかということを尋ねたものでありますが、二一・九%が「同じ仕事・責任の正社員がいる」というふうに答えています。それから、二八・五%は「責任は違うが同じ仕事の正社員がいる」、一八・九%は「一部同じ仕事を行う正社員がいる」と回答しています。つまり、職場の中には、正社員とパート、アルバイトが同じ仕事あるいはその責任も同じという形で同じ職場でいるということも二割以上あるわけでありまして、こうなると、果たしてこの賃金格差というのは合理的説明が付くのかという問題が出てまいります。
 図七をごらんいただきたいと思います。
 これは正社員以外で働く理由は何かということを聞いたものですが、最も多いのは「正社員の仕事につけなかった」ということがあります。特に九〇年代、バブル崩壊以降、企業が正社員の採用をどんどん縮小してきたという中で、正社員の仕事に就けなかったという方が増えているんだというふうに思います。女性や若者が正社員として働くことを選択しないのは、必ずしも働く意思や能力にかかわる問題とは限りません。企業は労働コストを削減するために正社員からパート、アルバイトの置き換えを進めています。
 こうした状況を見ますと、均等な雇用機会が確保されるような労働市場への見直しを図るとともに、非典型雇用と正社員の合理性のない格差を徹底的に是正することが必要と思います。また、企業は、労働力の非典型化をどんどん進めるというだけではなくて、安定した雇用機会を若年層を中心に広く提供して、仕事を通して若者の自己実現や社会参画を積極的に後押しするべきであるというふうに思います。
 次に、ワーク・ライフ・バランスの促進についてであります。
 仕事をしながら子供を産み育てていく男女を支援していくためには、多様な働き方と組み合わせ、支援策が重要となっております。ただし、子育てに特化した施策だけでは、男性の長時間労働や柔軟性を欠いた働き方という現実の前では両立の負担が女性に偏る傾向が変わりません。子育てだけを聖域にしていると、子育てをしている労働者が働きやすくなっても、周囲の労働者がそのしわ寄せを受けるということになりかねません。
 図八をごらんいただきたいと思います。これは、週六十時間以上働く人の割合について一九九四年と二〇〇四年を比較したものであります。正に子育て世代の男性で長時間労働が多くなっています。三十歳から三十四歳の男性では一八・九から二二・二%、三十五歳から三十九歳の男性は一九・一から二四・〇%。週六十時間ということは、週休二日と考えますと、週五日間ほぼ半日職場にいるということになります。
 その下の表二にありますように、二〇〇四年に労働者が取得した年次有給休暇は一人平均八・五日、取得率は四七・四%でありまして、ここ年々、年次有給休暇の取得率が下がっております。正社員の数が減った分、残った正社員は仕事の量が増え、年休も取れないという状況が続いております。ますますそれが悪化していると。
 国連開発計画の人間開発報告では、表三にございますように、男女の一日の総労働時間に関する家事時間という調査をしていますが、日本の男性は一日の労働時間の中でわずか二十五分、七%しか家事や子育てに当てていないという結果がございます。ヨーロッパの中では、比較的、日本のように男性は職場、女性は家庭という役割が比較的はっきりしていると言われているドイツ、イタリアでも、まだまだ日本の方は極端に少ないということが分かります。
 しかし、日本の男性が生活よりも仕事を優先することを意識しているかというと、必ずしもそうではありません。前のページに戻りますが、図九で見ますと、三十代では、生活優先の働き方を希望する、どちらかといえば生活を優先あるいは生活を優先と合計しますと、仕事優先よりも多くなっています。生活を優先したいのはやまやまだけれども、しかし実際職場にいるとそういう環境ではないというのが現実ではないかと思います。こうした男性の長時間労働を是正しない限り、ワーク・ライフ・バランスが図られず、少子化に歯止めが掛からないと思います。
 女性が子育てと仕事を両立していける企業というのは、男女を問わず個々の生活を尊重しながら働くことを可能にする環境を有する企業であり、企業経営にとってプラスであるという考え方が企業の中、特に企業のトップの中に浸透しつつあると思っております。
 日本経団連が二〇〇六年版の経営労働政策委員会報告、私ども通称経労委報告と呼んでおりますが、その中で、労働時間や就労場所、休暇などについて多様な選択肢を提供、整備し、ダイバーシティー、人材の多様化を生かす経営戦略は、長期的に見て高い創造力を持つ人材を育成し、競争力の高い企業の基盤をつくることになるということが記載されております。正にワーク・ライフ・バランスの重要性が、特に企業の競争力を高めていくという点でも重要であるということが経労委報告によって認識されております。しかし、実際にワーク・ライフ・バランス施策を取っている企業というのはまだまだ一部であります。
 表四をごらんいただきたい、最後のページですが。
 育児のための短時間勤務制度やフレックスタイムを入れている企業というのは、二〇〇四年の調査で四一・九%、まだ全体の半分以下です。これは、二年前の二〇〇二年の調査と比べましても八ポイント以上減っております。子供が三歳以上になってもそういった制度のある企業を合計しますと二二・九%、四一・九の中の二二・九ですから、全体では九%程度にすぎません。ワーク・ライフ・バランスが重要であり長期的には企業の業績を向上していくことが分かっているけれども、しかし短期的にはそれが企業の利益に結び付かない、やはりコスト高になると、そう考える企業がまだまだ大半を占めているんではないかと思います。
 ワーク・ライフ・バランスを促進する企業の多くが女性を多く雇用する企業であったり、また、そこで提供する製品やサービスが市場において女性を対象としている企業であったりするのもそういうことが要因だと考えられます。
 妻の勤務先だけがワーク・ライフ・バランス施策を充実させている場合、夫の方の会社ではその必要性がなくなるという、言わばただ乗りといいますかフリーライドという問題も出てきます。そういう意味では、女性がたくさんいる会社だからワーク・ライフ・バランスを考えなきゃいけないという発想はやはりやめるべきではないかと思います。
 昨年四月には次世代育成支援対策推進法が施行されました。企業全体で子育て支援を前進させていくという点では大きな前進であります。
 連合も、二〇〇四年春に、労働組合が積極的に行動計画策定に関与するための手引というのを作成して、行動計画の労働協約化に向けて取り組んできました。今年の春季労働条件交渉においても、長時間労働の是正とワーク・ライフ・バランスの促進を重要なテーマの一つと位置付けております。その結果、各企業において、育児休業の取得率の向上ですとか育児休業取得者の職場復帰支援の充実とか管理職に対する教育啓発など、働き方の見直しに向けた取組が少しずつでありますが進んでまいりました。
 行動計画の策定は、三百人以下の企業については現在努力義務となっておりますが、中小企業や労働組合がない企業こそ行動計画によって次世代育成支援を推進していくべきであると。そういった意味で、政府は三百人以下の企業に対する指導も強化していくべきであると思います。
 行動計画を策定した旨を届け出て、そこで定めた目標を達成する等一定の要件を満たすと、次世代認定マークというのをその企業の広告や商品に使うことが許されていますが、果たしてこの次世代認定マークというのはどのぐらい一般に膾炙されているのかということでございますが、連合では先週の金曜日から、インターネットを使って、行動計画がどのぐらい社会的に認知されているかの調査をしています。
 まだ調査中ですが、昨日までで百十一名の回答がありました。認定マークについて正しく言い当てた人はそのうちの六十名、五四・一%。まだそこで、調査したばっかりの百十一名ですから、恐らく今のところは労働組合関係者の回答がほとんどだと思います、そこで五四・一%。これから一般の人が回答してくれるようになると更にこの認知率は下がっていくんじゃないかと思います。
 この認定マークというインセンティブをせっかく作ったにもかかわらず、まだ企業もいま一つ本当の意味でこの認定マークを企業の競争優位として生かす、あるいは市場でもっとアピールするということが進んでいないんではないかと思います。むしろ、こういう認定マークをもらっていない企業が恥ずかしいと思うような社会を国民全体の運動としてつくっていくことが必要だと思います。
 そして最後に、国民運動の推進についてですが、一つは、連合として三百人以下の中小企業にも行動計画を策定していく、そして地域のネットワークという点も重要だと思います。連合としても、NPO法人などを設立して、子供の一時預かりとか、残業、出張まであるいは緊急のときの子供預かりといったものをサポートしておりますが、こうしたものを全国的に輪を広げていきたいと思っております。
 最後に、官民運動連携会議ですが、今までも、有識者会議とか国民会議とかいろんなものが少子化に関連して作られてきました。総理を会長とする少子化対応を推進する国民会議というのは、二〇〇四年九月以降開催されておりません。次年度からは官民運動連携会議というのが設置されるということでございます。省庁ごとの縦割りの施策を検証し、全国の子育て支援に関する情報を収集、発信する基地と位置付けるべきだと思います。そのために関係省庁あるいは民間出身の方も入った事務局を設置するなど、実効ある機関としてこの官民運動連携会議が実効性のある役割を発揮していくことを期待して、発言とさしていただきます。
 ありがとうございました。
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清水嘉与子#7
○会長(清水嘉与子君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見聴取を終わります。
 これより参考人に対する質疑を行います。質疑はおおむね午後四時までをめどとさせていただきます。
 なお、質疑者及び各参考人にお願い申し上げます。質疑及び御答弁の際は、挙手の上、会長の指名を受けてから御発言いただくようにお願いいたします。
 また、できるだけ多くの方に御発言いただきますように、一回の発言はおおむね三分程度とさせていただきます。
 なお、質疑の際は、最初にどなたに御質問ということを言っていただきたいと存じます。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 中原爽さん。
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中原爽#8
○中原爽君 自由民主党の中原でございます。
 連合の逢見参考人の方にお尋ねしようと思いますが、御提示いただきました資料の四ページ、図の八がございます。特にこの中で六十時間以上の労働時間のグラフ、特に男性の方が六十時間以上ということは、法定の時間数からもう二十時間もオーバーしているという状況なんですが、特にこの働き盛りの三十五歳から四十代にかけてオーバーしている時間があります。この時間について図の九の方と見比べてみますと、仕事の優先とかいろいろ書いてございますけれども、こういった形で男性が二十時間も労働時間をオーバーしているということについて、もちろんその時間に対応した超過勤務の手当なんかは出ているわけですが、それが収入につながっているということの意味でこういうような形のカーブが出てくるのかどうか、これを一つお聞きしたいと思います。
 それから、下の女性の方でありますけれども、これが三十五歳からずっとカーブが上がっておりまして、三十五時間未満の方ですけれども、このグラフについては、このカーブのところは要するに四十時間以下という形になってきますので、いわゆる短時間労働者、女性のですね、パートタイマーのグラフがこういう形になっているのかどうか、その二点、男性と女性につきましてお尋ねしたいと思います。
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清水嘉与子#9
○会長(清水嘉与子君) それでは、逢見参考人、どうぞ。
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逢見直人#10
○参考人(逢見直人君) ありがとうございます。
 週六十時間といいますと、法定四十時間ですから、プラスして二十時間、更に残業をしているということになるわけでございます。これは、以前はいわゆる収入目的といいますか、生活費の一部に残業手当が入っていて、端的に言うと、残業しないと食っていけないという人たちがいたという時代は確かにあったと思いますが、最近では、生活のために残業しなきゃいけないという、この図九を見ましても、現状は仕事をやっているんだけど、しかし希望としては生活をもっと優先したいんだと。特に若い二十代、三十代の方は決して好き好んで仕事しているわけじゃないというか、長時間職場にいるわけではないと。むしろ、やはり正社員がだんだん少なくなって、非常にリストラ効果があってスリム化した職場の中で、仕事やらないと追い付いていかないという中で、その長時間労働が余儀なくされているんではないかと思います。これが特にその職場の中で一番実務に近い三十代前半のところにしわ寄せが来ていると、そのことが子育て世代にとっての負担になっているんじゃないかと思います。
 女性の方の三十五時間未満が増えているというのは、確かにパート等の働き方が増えているということだと思いますが、ただこれは、総務省統計局の労働力調査というのは、これ実労働時間の調査ですから、パートタイム契約の人が多いとは思いますが、イコールこれがすべてそのパートタイムだというわけではありません。ただ、この間の経営のいわゆる雇用のポートフォリオ化のような形の中で、いわゆる女性についてはパートあるいは派遣といった非典型の人たちが増えてきているというのがこういった結果になって表れているんだと思います。
 以上です。
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清水嘉与子#11
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
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中原爽#12
○中原爽君 はい。ありがとうございました。
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清水嘉与子#13
○会長(清水嘉与子君) ほかに。
 林久美子さん。
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林久美子#14
○林久美子君 先生方、本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。民主党の林久美子でございます。
 まずは、北城先生にお伺いをさせていただきたいと思うんですけれども、先ほど御説明の資料の八ページの中で、保育サービスの部分に関しまして、保育園の補助の在り方につきましてバウチャー制がいいんじゃないかという御指摘をいただきました。このバウチャー制については、私たちも日々勉強会などを通じまして検討を重ねている最中ではあるんですけれども、もう少し先生のお考え、お詳しくお話をいただけると有り難いというふうに思います。
 それから、あと一点でございますけれども、連合の逢見先生にお伺いをさせていただきたいというふうに思います。
 先ほど、女性が多い職場だからワーク・ライフ・バランスではなくてというお話、大変私も正におっしゃるとおりであるなというふうに感銘を受けました。ただ一方で、なかなか男性の取得率が上がらないというのはすべてのところに共通する悩みでもあり、男性の取得率が上がってこそ初めてワーク・ライフ・バランスが実現するんであろうということは、本当にみんなの思っている思いだと思います。
 そこで、働く者の立場をよく知っていらっしゃる先生のお考えの中で、どのようにすれば男性の取得率が上がると、今最も実効性のある取組としてはどういうことが考えられるのか、御指導いただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
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清水嘉与子#15
○会長(清水嘉与子君) それでは、北城参考人からどうぞ。
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北城恪太郎#16
○参考人(北城恪太郎君) まず、バウチャー制ですが、保護者のニーズに適切に最もこたえるというのは、官が提供するサービスよりも民間が提供するサービスの方が消費者のニーズに柔軟にこたえることができるんじゃないか。そのニーズの中には延長保育もあるでしょうし、二十四時間保育もあるでしょうし、あるいは病気の子供を預かる方法もあるでしょうし、こういったサービスを提供することに関しては民間が最も効率的にサービスを提供できるんではないか。
 一方で、公営あるいは社会福祉法人等の分野に地方自治体等から支援金が出ていますと、支援金が出ているがゆえに公営施設の方が保育料が安くなってしまって、民間が競争に参入できないと。そうすると、よりよいサービスを柔軟に提供する民間が競争に参入できないということになってしまって、多くの公営ないしは社会福祉法人の場合には延長保育をほとんどしていない、あるいは二十四時間保育はしていないということで、職員の勤務を優先していると。なおかつ、処遇も民間の倍ぐらいの処遇をもらっているということですので、したがって、限られた原資で、財政的に厳しい中で最も効果的なサービスを、保育サービスを提供するためには、どこの保育園を選ぶかということに対しては保護者が決められると。要するに、保育園を割り当てられるんではなくて、最も優れた保育園を選べると。そして、保護者に渡されたそのバウチャー、利用券によって自分の希望する保育園を選ぶと。
 一方、官の役割としては、それぞれの保育園が健全に運営されているかどうかということを評価し、それを公表するようなことは必要だと思うんですね。不健全な民間の保育園が出るということがあっても、それが情報として公開されなければ保護者はなかなか適切に選べないので、官の役割は、そのルールに基づいて適切な運営が行われているかどうかを管理するのは官がやった方がいいと思いますが、こういったサービスの提供を官が行うというのは、限られた財源を効果的に活用する方法としては問題があるんではないかということで、できるだけ規制をなくして民間が活躍できる場を提供していただくとともに、それが健全に運営されているかどうかを官が管理する方がいいんではないかというふうに思います。
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逢見直人#17
○参考人(逢見直人君) 男性の育児休業取得というのはなかなか難しい課題ではありますが、労働組合の立場では、次世代育成の行動計画の中に是非、この男性の育児休業取得率を上げるということを労使で協議して入れてほしいと。そのためにどのような障害があるのか、それぞれその企業の労使で話をしてその障害を取り除くようなそういう話合いをやってほしいということを言っております。
 私も、男性で育児休業を取得した方の話を伺ったことがあるんですが、やはり職場の中の風土といいますか日本の企業文化といいますか、そういうところで、男性が育児休業を取りたいんですということを職場の上司に言うと、えっという表情をされて、何でおまえがという、どうもそういうところがあるようでして、やはりそれが普通になるという職場風土というかあるいは上司の意識改革というか、そういうものが必要だと。
 それで、実際に男性が育児休業してみると、やっぱり楽しいというんですよね。まあ一年ちょっとですけれども、子育てということを自分で経験して、おむつを替えたりなんかしてやるとそれはそれで、最初は、えっ、そんなと思っていたけど、やってみると結構楽しいんだと。それを次の世代の人にも伝えて、そして育児休業を取りやすい職場の雰囲気、それから、そういうものを自分でも申出したい、次の世代にも送りたい雰囲気というかメッセージというか、そういうものがだんだん増えていくことによって徐々に男性の取得率というのが高まっていくんじゃないかなと思います。もうちょっと時間掛かるかもしれませんが、やはり着実に向上していく必要があると思います。
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清水嘉与子#18
○会長(清水嘉与子君) 林さん、よろしいですか。
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林久美子#19
○林久美子君 はい。ありがとうございました。
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清水嘉与子#20
○会長(清水嘉与子君) それでは、小林美恵子さん、どうぞ。
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小林美恵子#21
○小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。今日は、貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。
 私、まず北城参考人にお伺いしたいと思いますけれども、経済同友会の方では九八年にもたしか少子高齢社会への提言を行われたと思うんです。それからいきますと八年が経過したということになると思うんですけれども、残念ながら出生率はそれからも低下する一方でございまして、その点で、この間の点をどのように分析をされているのかというのが一点です。
 もう一点お聞きしたいのは、先ほど逢見参考人もおっしゃっておられましたけれども、いわゆる安定した雇用、若年層の雇用ですね、その重要性というのを御指摘があったと思うんですけれども、私も、この少子化の問題を考えますと、就業する以前の段階で若年層の雇用、正規の雇用をどうするかというのは本当に重大な問題だと思うんです。今回幾つかの御提言をされておられますけれども、その問題については企業としてどのようにお考えなのか、対応されるのかということを北城参考人にお伺いしたいと思います。
 もう一つ、有賀参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、社内保育園をつくられて、子育て支援で御奮闘されている様子が本当によく分かって、楽しい御報告だったなというふうに思っておりますけれども。
 そこで、私、お聞きしたいんですけど、いわゆるその社内保育所を御利用される従業員の方は第一希望で社内保育所を御利用されるのか、それともいわゆる地域の保育所との関係ではどうなのかということをまずお聞きしたいんですね。あと、そちらの保育園のことをお書きになった文章の中に、一昨年、たしか労務事業の論文の中でお書きになっていると思いますけれども、公立保育園と違い、規制もなく、自由にやれるというような御説明があったくだりがあるんです。その点について、具体的にどういうもので、それが子供の保育の質との関係でいくとどんなふうにお考えなのかなということをちょっとお聞きしたいと思います。
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清水嘉与子#22
○会長(清水嘉与子君) それでは、北城参考人からどうぞ。
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北城恪太郎#23
○参考人(北城恪太郎君) まず、少子化の問題については、いろいろな提言が出ておりますが、結果としてはなかなか成果を上げてない。これは、簡単な政策で一つこれを行えば成果が出るというものではなくて、いろいろな対策が必要だと思います。それは、経済的な問題、それから価値観の問題も含めて対応しなければならないと思うんですが、ただ、その中でまず子供を産み育てたいという人たちがいると、現実に。その人たちの制約を取ることがまず第一番の優先順位ではないか。子供を産む、産まないというのはそれぞれの家庭の価値判断ですが、そういう人たちの価値を変えていただくこともまた必要ですが、なかなかそれをすぐに政策として実行するのは難しいと思いますので、そういう意味では、まず子育てをしたいという人たちに対する支援策を充実する必要があると。
 で、現実にそれが十分できているかというと、先ほどの保育園の提供についても、多くの子育てをしている、まあ私どもの社員も保育園の問題が一番大きいと。会社の近くに、あるいは会社の中に保育園というのも一つなんですが、なかなかそこまで子供を連れていくことが難しいので、自分の家の近くで自由に預けたいけれども、なかなか待機児童の問題もあるし、それから柔軟性ですか、勤務時間が少し延びたときにも対応してもらえないというようなことで、やはり保育園の問題をまず解決すべき。
 それから、先ほどいろいろ連合の方からもお話ありました経済的な支援、出産費用の支援あるいは育児手当の充実。これは、育児手当等に関しては、これから財政が厳しい中で高齢者への年金その他の給付とどういうバランスをしていくかという検討は必要だと思いますが、急激な少子化は非常に大きな問題だとすれば、財政的にも政策的にも優先順位を高める必要があるんではないか。
 それから、企業の側としても、持続して勤務できる体制をつくらない限り、なかなか職場復帰そのものは難しいですから、したがって持続して勤務をするというような価値観を持つ必要がある。それは企業のトップが持ちませんとなかなか企業の経営は変わりませんので、企業のトップに対する啓蒙活動がまだまだ十分いっていないんではないかというように思います。
 それから、安定した雇用、特に若年層の雇用の問題ですが、これは企業の立場とそれから若者の考え方と両方に問題があると思いますが、企業の立場からすれば、本来若者の採用はしていきたいと。ところが、日本の労働慣行、非常に固定的で、処遇が高齢者になるに従って給与が上がっていくと、単調にですね。なおかつ、十分な成果を上げなくても、成果に応じた処遇であれば高齢者でも十分定年まで働いていただけるんですが、いろんな理由で成果以上の処遇を得ている高齢者の方が会社に残ってしまうと、その高齢者の雇用を守るために若年の採用を抑えたというのが企業の側にあると。特に、景気が悪かった段階で高齢者の雇用を守るために若年を採用しなかったという問題があるんで、ここら辺は、成果に応じて処遇をさしていただく形であれば、若年に限らず高齢者の雇用も推進ができると我々は思っています。
 一方、若者の意識としては、まず正社員で働くということが重要だというのを、これは教育あるいは家庭の中で価値観として与えていただきたいと。要するに、自分に合った仕事がなければその仕事が見付かるまで家にいていいというような価値観で親が子供に話しますとニート、フリーターになるおそれもありますし、まず仕事に就いてみなければ本当に仕事の面白さは分からないので、まず正社員として就職すると、何が何でも就職するという価値観を学生時代に与えていく必要がある。日本は豊かになってしまったために、親が正社員で働くことを子供に求めていない、あるいは学校教育でもそういう価値観を与えてないというふうに思うんで、そういう意味では、子供に対する職業観ということの教育の中で対応していく必要があると私は思っています。
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有賀俊文#24
○参考人(有賀俊文君) 一番最初の質問の、私どもの保育園に入園を希望するのは第一希望か地域のどちらかというような部分なんですけれども、基本的には、これは先ほど申し上げましたように、距離の問題が一番の重要度だと思っています。やはり連れて通える範囲だという、一時間ぐらいだったら子供を連れても大丈夫だという範囲であれば、第一希望に私どもを入れていただくという方が社員の中では多いと思います。
 ただ、やはり子供のことを考えて、どうしてもここでは無理だから地元だという判断、地域によって遠いところですとそういう判断をするという形が多いと思います。
 もう一方で、じゃ近くの一時間以内の人は第一希望でうちを希望するのはどうしてかといいますと、実は今、保育料というのが私どもの会社に預けた場合ゼロ円なんですね。これがいいかどうかもちょっと私として今課題で、曲がり角に来ています。最初はいいじゃないかとやっていたものなんですが、だんだんお断りする方が出てくるという問題になってきますと、不公平という部分がどうしても、地元の保育園に預ければ、公立ですと所得税の納めた額によって決まるんでばらばらですけど、大体三万五千円ぐらいから取られると、一か月、保育料は。それが無認可とかそういうところになりますと、一歳児だと五万五千円とかというのが結構ありますものですから、何のために働いているかよく分からないと言われるときが実はあるんですけれども、そういう部分がありますものですから、この無料というのはまたこれも先ほどの公平性という部分で、関して少し考え直さなきゃいけないかなというような部分はあります。
 また、公立のように規制もなくというのは、別に規制もなく天衣無縫にやっているというわけではございませんけれども、逆に言うと、私どもでは十八名しかいない、六人ずつしか一歳違いでいませんから、横の保育ではなくて縦で今やらしていただいて、縦というのは三歳と二歳と一歳がいてワングループをつくると、それに保育士が付くという形をやっております。そうすると、三歳の子は二歳の子の面倒を見るというんですか、そういうようなこともできてきますんで、どうしても年齢別に分けてしまうというよりもそれでいいのではないか。特に、一つの部屋で全員を育てていますので、そういう良さを生かしてやっていきたいというふうな形を取らしていただいているんで、規制もなくというのはちょっと誤解を招くような言い方でございますけれども、そういう形でございます。
 また、今、主任保母と、私どもの保母の、保育士のトップをしている者は当然公立の保育園でやはり就業経験がございまして、そういう経験がある方をまず一番最初に持ってきて、もう二十九年たちますから、ちょっともう年齢は上になってしまったんですけれども、その人間がずっと実はその保育園の一番トップとしてやっていただいているというような状況でございます。
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清水嘉与子#25
○会長(清水嘉与子君) よろしいですか。
 それでは、山本保さん。
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山本保#26
○山本保君 私、子育てというよりは、今日は、じゃ働き方についてまず北城さんにお聞きをして、できれば逢見さん、またもしあれば現場のことからということで有賀さんから、同じことについてお聞きしたいなと思っているんですが。
 非常に素朴に今日お聞きしていまして、さっきちょっと小林先生の質問にも出てきて、北城さんが言われた働き方の姿なんですが、今日お聞きしていまして、例えばダイバーシティーという言葉が出てまいりまして、それに、女性などの能力を生かすために様々な就業の仕方というものをつくってきたという例示もあった。それは非常にいいことだと言われつつ、片方でパートや派遣職員が増えているということはこれは良くないことだと。そのところを私、どう考えたらいいのかということをちょっとお聞きしたいんですよ。
 もちろん、出てきたもののそのニーズというか、それを生み出してきたものが違うとか、今の段階で目指しているものが全く目的のものが違うんじゃないかとか、そういうことは分かります。しかし、働く側からして、若い人の例えば働き方を見たとしたときには、そんなに大きな、片方は悪で片方は善であるというようなものじゃないんじゃないかなと思うんです。
 ですから、これをどういう形で統合的にといいますか、特に経済界としては本来やっぱり正社員の方が会社に対する貢献といいますか、忠勤度といいますか、愛着心というものも当然ある、多いわけですし、しかしながら、その中で多様な生き方、働き方ということも必要だという考え方もある。こういう中でどんな将来像をまず描いておられるのかということを北城さんにお聞きした上で、それについて、逢見さん、有賀さん、もし御意見があったらお聞かせいただきたいと思います。
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清水嘉与子#27
○会長(清水嘉与子君) それでは、まず北城参考人、どうぞ。
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北城恪太郎#28
○参考人(北城恪太郎君) まず、私どもの会社の制度で多様な働き方ができる制度を用意した背景としては、女性が中心ですけれども、男性も含めて正社員として一生働いていける形態を用意していきたいと。ただ、生活のサイクルの過程では全時間を企業の中で使うことはできない。介護とか育児とか、多様な社員のニーズにこたえることで、正社員として働き続けると。そして、成果を出せる社員については、そういう仕組みを用意することで優れた社員が私どもの会社で働いてくれるということを目的にしてますので、すべての制度は正社員としての勤務を要求しているものです。
 それから、正社員とパートの考え方ですが、実は私どもの会社でも短期間働いていただいている方がいるんですが、パートという言葉がいいのか派遣という言葉がいいのか、特に高度の専門職の場合には給料が正社員よりも高い例がかなりありまして、要するに雇用が安定しないので、短期間しか勤めないから逆に高い処遇でないと経済的に安定しないということで、正社員の方が雇用が保障されている、長期に保障されているがゆえに時間当たりの給与が低くてもいいんではないかということがあるわけですから、したがって、職種に応じていろいろな体系は違うと思いますが、いろんな条件によって同一労働同一賃金にはならないと思いますけれども、余りにも大きな差があること自体はかえっておかしいというふうに思います。
 ただ、この話をしますと、それではパートの給料だけを上げればいいというふうに誤解されるんですが、そうではなくて、同一労働が同一の賃金になるということは、正社員の給料を下げていくということも含めて全体のバランスになりますので、企業としては国際競争力のある形で経営をできませんと、結局経営が成り立たないということは社員の処遇もできませんので、いかに経済合理性のある制度をつくっていくかということで問題の解決を図らないとならないと思っています。
 基本は、成果に応じて処遇をするのであれば、基本的にはパートと正社員の例えば時間当たりの給与に大きな差がある必要はないと。場合によっては、パートとかいわゆる短期間不定期の雇用の方が高いことがあってもいいんではないかというふうに思います。
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逢見直人#29
○参考人(逢見直人君) 私ども連合としても、基本的には多様就労型の社会ということが望ましいと思っています。それは、女性とか高齢者とかそうした人たちがやはり働きやすい職場環境を提供すべきだし、それから男性は職場、女性は家庭というような役割、性的な役割バランスというものも変えていかなきゃいけないと思っています。そういう意味では、多様な働き方が選択できる社会というのは望ましいと思います。
 最近ちょっとこういう議論、下火になっていますが、数年前にはワークシェアリングについて労使でもいろいろ議論が高まって、連合と日本経団連の間でも労使間の合意をしたものがありますが、その中でも多様就労型のワークシェアリング社会をつくっていこうということがコンセンサスとしてでき上がっております。
 ただ、こうした多様就労な社会をつくっていくための前提は二つあって、一つは均等待遇原則というのがきちんと確立されていること、それからもう一つは、税、社会保険の制度がそのような働き方によって差別されていないことということが前提としてあるんですが、そこが実はまだ課題が残っているんではないかと思います。
 均等待遇については、いろいろ議論が高まってはいるんですが、さてこれを法律に明記すべきかどうかとなるとなかなかまだそこまでコンセンサスができてない。合理的な理由のある格差、これはある程度容認されると思いますが、しかしパートだからとかという形で全く合理的な理由がないのに差が付いている。これは、先ほどの図表であるように、正社員と全く同じ働き方、責任も同じなのに賃金が違うと、これはやっぱり説明が付かないだろうと思いますね。そういう部分について、やはり均等待遇という原則を入れることによって、それが合理的理由があるのかないのかということをきちんと検証し、説明責任が果たせるようにしなきゃいけない、こういう施策が一つ必要だと思います。
 それからもう一つは、税、社会保険ですが、これはたまたま働き方がパートだから正社員だからということで適用される社会保険の仕組みが違う、あるいは適用されなかったりするとか、税についても働き方によって控除があったりなかったりするというのはやはり変えなきゃいけない。
 これも議論はあるんですけれども、なかなか制度の改正に至るところになるとどうしても止まってしまうというところがあるんですが、是非こうした議論を進めていただいて、こうした障害を取り除いて、多様就労社会が日本でも根付くようにしていく必要があると思います。
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