川井田幸一の発言 (農林水産委員会)

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○参考人(川井田幸一君) おはようございます。
 私は、鹿児島県農協連中央会の川井田でございます。
 本日、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。私は無論、鹿児島、沖縄両県のJAグループ、生産者にとりまして大変有り難いことと心から感謝を申し上げます。岩城農林水産委員会委員長を始め、理事並びに委員の先生方に衷心より厚く御礼を申し上げます。
 また、かねてより、私どもサトウキビ、カンショの生産振興と生産者の経営安定に多大な御配慮、御指導を賜っておりますこと、この場をおかりしまして改めて御礼を申し上げます。本当にありがとうございます。
 本日は、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律案に関し意見を述べたいと存じます。
 砂糖及びカンショの作物政策の見直しに当たりましては、農林水産省が平成十六年八月に砂糖及びでん粉に関する検討会を設置し、平成十七年三月に政策の基本方向を取りまとめましたが、私は、この検討会に委員として参画をし、地域農業の基幹作物であり、地域経済社会で重要な位置を占めておりますサトウキビとカンショを守り育てる政策をつくるべきだと強く主張してまいったところでございます。そして、取りまとめられました基本方向は、私ども生産者側の意見が十分に取り入れられたものであると理解をいたしております。
 この法律案は、この基本方向を踏まえ、かつ、その後の産地側との協議、検討を重ねた内容に即したものと判断をいたしておりますので、基本的には賛成するものでございます。
 しかしながら、十九年度からの新たなサトウキビ及びでん粉原料用カンショの品目別経営安定対策への移行に当たって、サトウキビで約三万戸、カンショで約一万五千戸の生産者を始め、関係者が幾つかの点において将来への不安を持っているところでございます。
 これらの点につきまして意見を申し上げますが、生産者がこれからも意欲と希望を持って生産を続けられる政策となりますように、国会での十分な審議を心からお願いをする次第でございます。
 まず、サトウキビについてでございますが、第一に、最低生産者価格を廃止し、新たに生産条件格差を補う交付金を交付する制度となるわけでございますが、生産者の手取り水準がどうなるのか、最も不安に思っているところでございます。
 申すまでもなく、現行の手取りは、最低生産者価格関連対策も含め、トン当たり二万四百七十円となっておりますが、販売価格の生産者手取り分と交付金を合わせ、現行の手取り水準を確保することが生産者の経営安定とサトウキビの増産を図る上で必要不可欠であると思っております。
 第二に、新たな経営安定対策による交付金の交付対象者の問題でございます。
 対象者が絞られ、サトウキビ作りができないのではないかという小規模な生産者の声が現場にございます。
 現在、サトウキビ一戸当たりの収穫面積は一ヘクタール未満が七割強と零細であり、かつ高齢化が進んでいるという問題を抱えてございます。今後、産地において認定農業者の育成や規模拡大、作業受託組織の育成などの取組を加速させていく考えでございますが、新しい制度において零細農家が対象にならないと、鹿児島県の南西諸島の耕地面積約五割強、沖縄県で約六割強に作付けされているサトウキビの作付面積が減り、また、両県合わせて約二百三十億円とも言われるサトウキビ粗生産額が大きく減少することになり、結果として島に住めなくなるということも懸念されます。
 鹿児島県では、平成二十一年の生産目標を平成十六年に比べ八万トン増の五十八万五千トン、また沖縄県では平成二十一年の生産目標を平成十六年に比べ十八万トン増の八十六万五千トンの増産計画を立てております。この生産計画を支える多数の零細農家が頑張れますように、鹿児島県の南西諸島並びに沖縄県の現状と歴史的経緯を十分認識した上で、対象要件の特認の設定と担い手の確保状況を踏まえた特認期間の設定を強く要望するものでございます。
 第三に、交付金の支払時期がどうなるのかという不安が根強くございます。
 新たな制度においては、生産者の交付申請に基づき、農畜産業振興機構が交付業務を行うことになっております。現在は、工場受入れ後、遅くとも一週間以内に生産者に支払っております。また、サトウキビの収穫期は十二月から四月であり、営農面は無論、生産者の生活設計面でもサトウキビ収入は重要となっております。担い手農家ほど支払時期が遅くなることの影響は大でありますので、何とぞ二週間程度で支払われるような対応方を切にお願いを申し上げたいと存じます。
 次に、でん粉原料用カンショについてでございます。
 第一に、現行の行政価格制度を廃止し、新たな経営安定対策に移行するわけでございますが、サトウキビと同様に、生産者の手取り水準がどうなるかが問題であります。現行の手取りは、関連価格対策を含め、トン当たり三万一千六百六十円となっております。この現行水準の確保が生産者の営農意欲を喚起する上で必要不可欠でございます。
 第二に、新たな経営安定対策の対象についてでありますが、申すまでもなく、火山灰土壌地帯であり、かつ台風常襲地帯である鹿児島県にとって、カンショは代替作物のない極めて重要な作物でございます。しかしながら、一戸当たりの作付面積は五十アール程度と極めて零細であり、生産農家のうち認定農業者の占める割合も五%程度しかないという現状にございます。また、近年のしょうちゅうブームにより、しょうちゅう向けの原料が増えてまいりましたが、カンショの用途別仕分も、でん粉用のシェアを現状で四五%、平成二十一年度で四四%の現状維持を見込んでいるところでございます。今後とも、でん粉用カンショの位置付けは変わらないと考えております。今後、産地において認定農業者や作業受託組織の育成に全力を挙げていく考えでございますが、零細農家が支えている生産の現状を十分御認識された上で、サトウキビと同様の特認による対応を強く要望をいたします。
 第三に、交付金の支払時期の問題でございますが、サトウキビと同様の対応を切にお願いを申し上げます。
 次に、でん粉の抱き合わせ措置の廃止の問題でございます。この制度は故山中先生がおつくりになった措置でございまして、正に国産でん粉の生命線としての制度でございました。この抱き合わせ措置が廃止されることによって、国産でん粉の需要が確実に確保されるのかどうかという懸念がございます。場合によっては国産でん粉から輸入でん粉に需要がシフトする事態も想定され、でん粉工場は大きな在庫を抱えることになるのではないかと心配をいたしております。国産でん粉の自給率が現在一割強と低水準にある中で、新たな制度においても、国の責任において国産でん粉の確実な需要と販路を確保できる対策を講じていただきますように、よろしくお願いをいたしたいと存じます。
 最後に、新たな経営安定対策は環境変化に対応した仕組みとすることが重要と考えます。
 具体的には、WTO農業交渉やEPAにより国際規律が強化された場合や、砂糖及びでん粉の国内価格が変動した場合などにより生産条件格差が拡大した場合などにも的確に対応できる仕組みとし、このような場合にも生産者の所得が確保できることが重要であると考えます。また、輸入砂糖並びに輸入でん粉などの調整金を徴収し経営安定対策の財源に充てるとされておりますが、交渉によっては、市場アクセス水準が引き下げられ調整金水準の大幅な削減が求められた場合など、十分な対応が可能なのか心配いたしております。将来的にも安定した政策となるよう、万全の予算措置が必要と考えます。
 加えまして、原料作物は、甘蔗糖製造業者並びにでん粉製造業者あって生産が成り立っております。新たな制度においては、これら製造業者に対しても交付金による政策支援が行われるということであり、申すまでもなく生産者と事業者は車の両輪でございますので、この点につきましては大変感謝をいたしているところでございます。
 現在、甘蔗糖は鹿児島、沖縄両県で十五社十七工場体制、カンショでん粉は鹿児島県で二十八工場体制となっております。これらの製造事業者は合理化による製造コストの削減に努力を重ねておりますが、原料生産量の減による操業度の低下や小規模工場ゆえのコスト削減の限界という課題にも直面をいたしているところでございます。今後、製造業者は工場の再編も含め更なる合理化を求められることになりますが、交付金の水準によっては製造業者の経営に多大な影響を与え、場合によっては製造中止に追い込まれることも想定されますので、交付金の算定に当たっては十分な検討をお願いを申し上げます。
 以上、様々な意見を申し上げましたが、新たな政策を生産者が前向きにとらえ努力を重ねていくように政策誘導していくためには、生産者並びに関係者の不安を払拭し、円滑に新制度へ移行する環境を整えることが重要でございます。
 サトウキビ及びカンショは、全国的には極めてマイナーな作物でございます。鹿児島、沖縄両県にとって、ただ単にサトウキビから砂糖の原料を作る作物、また芋はでん粉を作る作物ということだけでなく、島の人々が今まで生きてきた、そして、今からもこれからもこれで生きていくという地域にとって最も重要な作物なのでございます。環境や国土保全の機能を持っている作物でもございますし、また長年にわたって地域の文化を支えてきた作物でございます。
 参議院農林水産委員会の下で産地の実情を十分踏まえていただき、努力した者が報われる政策となりますよう心からお願いを申し上げ、私の陳述とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

発言情報

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発言者: 川井田幸一

speaker_id: 29094

日付: 2006-06-08

院: 参議院

会議名: 農林水産委員会