山本恒夫の発言 (教育基本法に関する特別委員会)
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○参考人(山本恒夫君) 山本でございます。今日はこういう機会をお与えくださいまして、ありがとうございました。
私は、生涯学習関係の研究をしております。今回のこの法案につきましては、教育基本法案につきましてですが、時代の変化の激しい中で大事なことを盛り込んでくださっておりますので、私は賛成でございます。
生涯学習のところを中心にお話しさせていただきますが、お手元に資料をお届けしてあるかと思います。その一、「生涯学習について」の頭では法案の条文を少し引いておりますけれども、「国民一人一人が、」「その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。」と。これは生涯学習社会のことを言っているわけでございまして、私どもは、やはり教育はこのような生涯学習社会の基盤の上に築かれる必要があるというふうに思っております。
この生涯学習社会につきましては、昭和五十六年の中教審答申「生涯教育について」の中で、学歴社会から学習社会へ転換を図るということが言われております。その後、臨教審で生涯学習社会ということが言われまして、以後ずっと生涯学習社会の建設、実現ということが言われているわけですが、国におかれましても、また地方でも、少しずつ進めるという漸進的アプローチでこの生涯学習を支援する仕組みをつくってきていると思います。しかし、これからますます流動化が進みますから、更にこの整備を加速化する必要があるかと思います。この場合に、例えば各地の自治体なんかですと、せっかくそれを進めようとしても教育基本法にないと、そういうところに法的根拠がないと言われることが多いわけでございまして、この際、是非その法的根拠を与えていただきたいというふうに思っているわけでございます。
お手元の資料のその下ですが、それではどんな仕組みにしていったらいいのかということになるわけですけれども、三点ほどございます。
一つ、この生涯学習社会を実現していくための仕組みとしては、一つは学習機会の選択援助の仕組みと。学習機会がたくさんございます。ですから、それについての生涯学習支援情報を提供する、学習相談を充実させていく。情報提供の方は大分進んできましたけれども、学習相談の方はまだまだ整備が進んでおりません。こういう仕組みを整備していく。
二番目が、学習機会等の提供の仕組みでございます。学校教育、社会教育などとしてございますが、それの学習機会、学習コンテンツの提供システムを整備していく必要がありますが、この中の学習コンテンツはちょっと説明をさせていただきたいと思います。
どういうことかといいますと、例えば放送大学で今衛星系で授業をやっていますけれども、それは録画されて取っておきますと後で使えます。そういうものが学習コンテンツですし、来年の四月からインターネットだけでオンディマンドの授業を行うという大学が開設されるようでございますが、実は八洲学園大学はそれよりも早く、平成十六年にオンディマンドではなくてライブでインターネットで授業をする大学として開設しました。ただし、ここはテキスト履修というのがございます。ですから、テキスト履修とそれからライブ配信というのを併用しているわけでございますが、ライブ配信はトラブルが多くて非常に難しいんですけれども、一年半掛けまして大体安定化に成功しました。ですから、これからいろんな大学でやりやすくなっていくかなと思いますが、その中で一日大体三十こまぐらいの授業があります。それを蓄積しているわけです。経営者の方は、これを何十年と蓄積すれば大変な財産になると言っております。そういうものが学習コンテンツの中にはあるということを一言申し上げておきたいと思います。
それから、その次の学習成果の認定、それから認証サービスの仕組みですが、これは評価にかかわってきますので希望する場合のみのサービスということになりますが、修了証とか単位とか免状とか資格等の付与でございます。これはその条文にございます学習成果を適切に生かすための資料、何か資料がないと社会では認めてもらえません。一生懸命地域で勉強していても、勉強しましたというだけでは認めてもらえませんので、そういう勉強したことを認証する何かの資料が必要という意味でございます。
これについては、その下にございますけれども、一九九九年のケルン・サミットのケルン憲章とか、その後のG8の教育大臣会議議長サマリーでも、生涯学習教育というのは社会における流動性へのパスポートになると言っているわけでございまして、そういうパスポートにしていくためにもこういう資料が必要と。これは整備が遅れてきましたけれども、今中教審の生涯学習分科会の方でいろいろ検討してくださっております。これらの三つの仕組みを整備していく、それを促進する必要があると思います。
そういう点で賛成でございますが、二番目、家庭教育について。新たに入りました条文でございますけれども、家庭教育につきましては二つありまして、時間がありませんので一項目めは省略して、二項目めに「家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずる」とございます。この中の情報を提供するというところはやはり非常に大事だろうと思います。家庭の教育機能が低下している今日では非常に重要だと思いますが、一つの例を挙げたいと思います。
私のところに結婚して二年目ぐらいのある夫婦がやってまいりまして、子供ができたので喜んで来たわけでございます。そして話しているうちに、しばらくしたら赤ちゃんがしゃっくりを始めたわけですね。そうしたら、若いお母さん、もう子供ができて喜んでいるんですけれども、そのお母さんが何を言ったかというと、先生、お水を下さいと言ったんです。ところが、私は共働きで親と一緒に住んでいまして、親からいろんなことを教わりながら子供を育てていますから、ちょっと待ってと、おしめを見てくださいと言ったわけです。もう皆さんお笑いになっていますけれども、若い人は分かりません。開けてみて、ぬれていたんですよ。それを取り替えたらしゃっくりは止まったんです。
これは、今までだったらば次々と世代を伝わっていきますから当たり前の話なんです。それが分からない。ですから、そういうことをもういろいろ情報として伝えていく必要があります。今、地域でもそういうことを盛んにやるようになってきているので、ますますその点を進めていただきたいというようなことがございます。
それから、その次の現行法の「社会教育」、第七条ですが、その中に「家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。」とあります。なぜ家庭教育が社会教育のここに入っているのかというのは、やはりその時代の要請があったわけでございます。
その下にございますが、戦後の日本では六三制の義務教育について保護者の理解を得ることが問題であったと。大問題だったようでございます。我々はまだ新制中学の四回生で入ったばっかりですから受ける側としてしか分かりませんけれども、大変な問題でした。で、これをどうするか。結局、PTAにお願いしたりとか、それから社会教育でこの理解を保護者の方に図るということをやったわけでございます。そのために、この現行の教育基本法では、社会教育の一番大事なところは家庭教育というようなことでここに入っているという話を当時のこういう関係の法律を作っていた方々からお聞きしております。
しかし、時代が変わりまして学校をめぐる教育問題というのは変化してまいりまして、もうそれは言わずもがなと思いますが、今や学校、家庭、地域住民等の連携が必要ということで、第十三条にそういう条項を入れていただいておりますけれども、これは非常に大事なことだと思います。
したがって、社会教育から家庭教育を切り離すと同時に、こういうことで連携協力を図るという考えは大変良いと思っておりますので、これについても法的にしっかりした根拠を与えていただきたいというところでございます。
私の方で用意してまいりました第一回目の意見陳述は以上でございます。