渡辺博道の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)
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○副大臣(渡辺博道君) 経済産業副大臣の渡辺でございます。
成長なくして日本の未来はなしを掲げる安倍政権において、経済産業省は関係省庁と連携し、日本の経済の新たな成長に向けた成長戦略の策定、実施を進めてまいります。
本日は、本年七月に政府・与党で策定された経済成長戦略大綱の概要と今後の取組について御説明をさせていただきたいと存じます。
配付資料がございますが、この横長の配付資料でございます。
一ページ目でございますが、私の方から経済成長戦略大綱の基本的な考え方並びに経済成長の姿について説明をさせていただき、二ぺージ以降につきまして、具体的な施策につきましては鈴木経済産業政策局長から細かく説明をさせていただきたいと存じます。
まず一ページ目、一、基本的な考え方の項目に沿って説明をいたします。
昨今の経済回復によって経済の潮目に変化が見られます。左の下の図をごらんいただきたいと存じます。二〇〇三年以降、経済活性化によって企業の設備投資が進み八・四兆円、対前年に対して増加をしております。〇三、〇四年の対比でございます。企業の収益についても八・五兆円、従業員給与の増加につきましては六・四兆円。さらに、税収が増加をしておりまして、法人所得税が二十・六兆円となっております。これは経済活性化の成果が企業や家計に行き渡りつつあることを示していると思います。
今日、我が国は主要先進国の中でも財政状態が最悪の状態と言われており、大きな課題として財政再建がございます。財政再建というと、一九九〇年代の後半に財政再建を推進してまいりましたが、盛り上がっていた景気回復が途中で腰折れになり失敗したことは記憶に新しいところでございます。今回はその反省に基づき財政再建と経済成長を車の両輪として進めることにより、明るい兆しが出た日本の経済成長に水を差さない形で財政再建も経済成長も実現していこうということになりました。
また、現在我が国で最も深刻な課題の一つとして、主要先進国の中で初めて人口減少社会に入ったという点が挙げられます。人口が減るということは労働の需要と供給両面から大きな制約要因になります。
このページの真ん中でございますが、我が国の高齢化と人口減少というグラフでございます。ごらんをいただきたいと思います。赤い折れ線で示されたゼロ歳から十四歳人口比率が年々低下し、青い折れ線で示された六十五歳以上人口比率が年々増加し、急速な高齢化が読み取れます。また、棒グラフで示された総人口につきましても、二〇〇五年度以降徐々に減少をしております。
この難しい課題に直面しながら、その逆風をついて国富の増大をもたらす成長を実現していくため、大綱では生産性向上、技術革新、そしてアジア等海外のダイナミズムの三つを生かしていこうということに考えました。
まず、生産性向上でございますが、人口減少を前提としますと、人材の質を高めつつ効率的な経営を進めることで一人当たりの生産性をどれだけ高められるかという点が重要になってまいります。特に、サービス産業のように諸外国と比べて生産性が低い産業については、例えば産業全体にITの革新的な利用、活用を進めることで生産性の向上を図ることが可能と考えております。
二点目の技術革新でございますが、これはイノベーションとも言われますが、革新的な研究開発やそれを新しい製品、サービスに適用することでございますが、政府が主導し、産学官の連携による研究開発や国際標準化、知的財産の保護、活用等を促進していくことにより、我が国産業の国際競争力を高めていくことにつながります。このような取組により、我が国に世界最先端の産業を育て、世界のイノベーションセンターを目指していくことが重要でございます。
三点目でございます。
アジア等海外のダイナミズムについては、急速に成長するアジアなど近隣諸国の発展に貢献し、ともに成長するという関係を強化していく考えでございます。
右下の図をごらんいただきたいと思います。東アジア域内の工程間分業の進展の状況でございます。ここに示されているとおり、現に日本で生産した付加価値の高い中間財、例えば自動車部品や電子部品であります。これらを中国やASEANに輸出し、そしてその中間財を組み立てて最終財、それは先ほど申し上げたとおり自動車や家電製品などでありますけれども、これを生産して欧米に輸出するという三角貿易構造が我が国製造業の収益を支えております。
さらに、我が国企業が投資や取引など国境を越えた経済活動の促進やアジア域内での効率的な共同体制の構築に不可欠な環境の整備などを進め、日本国内の産業構造を生産性の高い分野にシフトさせつつ、海外の人材が日本で活躍し、海外企業が我が国に新しい技術、資金やアイデアを持ち込むことを進めてまいります。
これらの方向性に沿って、人口減少下でも経済成長は可能だという新しい日本型経済成長モデルを世界に示し、今後同様の課題に直面する諸外国にとって良き先例になりたいと考えております。同時に、国民に対しては、改革の先に明るい日本の未来があることを示していきたいと考えております。
経済成長戦略大綱の実現を確実なものにするため、今後十年間に取り組むべき施策を、短期一年、中期三年、長期十年の三つのフェーズに分けた工程表を作成するとともに、毎年度各施策の進捗状況をチェックし、必要に応じて見直しを行うことが明記されております。
また、予算面でありますが、政府全体で経済成長戦略大綱の実現に向けて、平成十九年度概算要求において三千億円規模の経済成長戦略推進要望が設けられました。経済産業省では、特に新規性の高い施策又は成長力の押し上げ効果の高い施策について三百六十三億円を要求しております。具体的には、次世代ロボットや次世代航空機のようなイノベーションを生み出す研究開発や、アジアの優秀な学生を日本国内の企業で受け入れる環境を整備するための人材交流事業などであります。
こうした基本的考え方に沿って次のページのような具体的な施策を進めていくわけでありますが、施策を示しただけでは多くの国民の皆様方には実感がわきにくいと思います。そこで、この大綱の施策を着実に実行した場合に視野に入る経済成長率の試算を紹介しております。右側のページの経済成長の姿をごらんをいただきたいと思います。今後十年間で年率二・二%以上の実質経済成長を視野にこの大綱の政策を実行すると位置付けております。
この二・二%以上の内訳は、技術革新による生産性向上で〇・二%、IT革新を通じた経営力強化、コンテンツ市場拡大等によって〇・四%、サービス産業革新を通じた生産性向上、重点サービス市場拡大等によって〇・四%以上、若者、女性、高齢者の労働参加率上昇、人材の質の向上等により〇・四%以上となっております。また、この年率二・二%という数字は小さく感じられるかもしれませんが、十年続くとそれなりの数字になると思います。
国全体でございますけれども、注のところに書いてございますが、国民総所得では年率二・四%という形で、同一人当たりに直しますと二・五%が視野に入ってまいります。これを数字的に一人当たりの実質的GNIに直しますと三割増えるということになりまして、これからの将来の所得の予測が見えるわけであります。
しかしながら、これらは努力をしないで達成できる数字ではなく、本格的な人口減少を迎えるまでの残された十年の間に、生産性を上げ、イノベーションを起こすため、あらゆる政策努力を集中する必要があることは言うまでもありません。このため、経済産業省としては、関係省庁や産業界などとも連携しつつ、経済成長戦略大綱を着実に実施、実行に移すとともに、更に新しい改革を盛り込んで、一層強化させていきたいと考えております。
私の方からは以上とさしていただきますが、次ページ、二ページ、三ページ以降につきましては鈴木局長より説明をさせていただきます。