内藤正光の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○内藤正光君 私は、民主党・新緑風会を代表して、伊吹文科大臣への問責決議案に対して賛成の立場で討論を行います。
 教育基本法が生まれてから六十年、日本社会も大きく変化し、これに対応するための教育基本法の改正は必要であると我々は考えますが、問題はその中身、内容にあります。
 私にも不思議に思えるのですが、今回、教育基本法の審議が佳境に入るに至って、次々に看過し得ない大きな教育に関する問題が起こってきました。タウンミーティングでのやらせ問題、いじめによる自殺の連鎖、高校の必修教科未履修問題と、いわゆる教育問題三点セットです。いずれも、今日、教育が陥っている問題点に深く根差したものとなっております。
 まず、タウンミーティングでのやらせ問題は、小泉政権及びそれを受け継いだ安倍政権に、教育基本法の改正を目指す資格が本当にあるのかという疑問を引き起こしました。
 小泉総理のときに、国民の声を聞きたいと始めたのがタウンミーティングでした。しかし、百七十四回のうち実に百五回ものタウンミーティングで主催者側から事前の発言依頼があったことが明らかになりました。
 さらに、そのうちの二十五回では発言者に謝礼まで手渡され、とりわけ教育問題をテーマに行った八回のうち五回においては、あらかじめ選んだ質問者に案文を渡し、これに沿って質問をしてほしいと依頼したことが明らかになりました。それだけではありません。何と御丁寧にも、棒読みにならないようにとか自分の意見を述べるようになど、テレビの演出まがいのことまで行っていたんです。やらせとは決して美しい言葉ではありませんが、これをやらせと言わずして何をやらせと言うんでしょうか。
 安倍総理は、愛国心教育など高邁な教育改革を掲げ、口を開けば、高い学力と規範意識を子供に身に付けさせたいと述べていますが、このようなことをやらせた文部科学省のどこに規範意識があるのでしょうか。法案を提出した文部科学省の責任者として、隗より始めよという言葉を是非かみしめていただきたいと思います。
 それだけではありません。例えば平成十六年五月十五日、松山市で開かれたタウンミーティングでは、参加者四百三十一名のうち実に百人もの方が文部科学省の依頼で県教委が動員した教育関係者であったことを始め、しばしばたくさんの動員がなされたことが明らかになっております。さらに、静岡県で行われたタウンミーティングでは、ハイヤーをわざわざ東京から呼ぶなど無駄遣いも甚だしい、そういった事実が次から次へと明らかになっております。
 また、国会の会期切れ直前にようやく調査結果を発表するというやり方そのものがこそくであり、その調査内容も、また、給与を返上して済ましますという責任の取り方も、決して国民の納得できるものではありません。法案を出し直すというのが正しい責任の取り方であると考えます。
 次に、高校の必修科目の履修漏れ問題も教育上の大きな問題を投げ掛けました。文部科学省のまとめでは、何と全国の六百六十三校で世界史を始め必修科目の履修漏れが見付かり、新たに補習が必要な三年生は十万四千二百二名にも上りました。
 政府は、未履修が七十時間以内であれば五十時間、七十時間を超えていても七十時間の履修で済ませることができるよう救済策を実行に移していますが、これは安易なびほう策にすぎません。
 というのも、これまで学校の指導に従って学習してきたにもかかわらず、受験を控えて忙しいこの時期に新たに補習を受けざるを得なくなった受験生はもちろんですが、正直に指導要領に沿った授業を受けてきた受験生たちも不公平感を抱かざるを得ない状況になっているからでございます。結果的にすべての受験生に迷惑を掛けた形に終わっているわけです。しかも、今の二年生以下に対しては今後どのように改善していくのか、文部科学省からは何一つ方針は示されてはおりません。
 そもそも文部科学省は、各地の教育委員会に出向などの形で常に人事交流をしており、こうした未履修の問題を知っていながら黙認してきた可能性が非常に高いと思われます。それでありながら、単に指導に従えという文部科学省の態度は到底理解できるものではありません。
 もう一つ深刻な教育問題は、いじめとそれに基づく自殺の問題です。非常に悲しいことですが、今年後半、いじめが原因と見られる子供の自殺が少なくとも五件相次いでおります。
 もちろん、どうすればいじめをなくすことができるかということは非常に難しい問題であり、私たちも簡単に有効な対策を打つことができるとは思ってはいません。しかし、明らかなことは、現在、そこまで子供たちが追い込まれているということであり、いやしくも教育に携わる人たちは全力でそれに立ち向かっていかなければなりません。しかし、その場合の指針を示すべき政府の教育基本法の改正案の一体どこに、どのように、こうした問題への対処が書かれているんでしょうか。基本法にはそのような細かいところまで書く必要がないとでも言うんでしょうか。
 いじめ自殺問題で明らかになったのは、それに真摯に立ち向かおうとしない教育委員会の無責任ぶりでした。この教育委員会の無責任ぶりは教科の未履修問題でも明らかになりましたが、現在の教育制度を考えるならば、実は無理からぬ事情もあります。現在の教育制度は、教育委員会と自治体、それに国の関係があいまいで、どこが責任を取るか分からないような制度になっているからです。これは現在の教育基本法の欠陥ですが、実は政府の改正案でもあいまいなままとなっているんです。これでどうやっていじめによる自殺の問題に対処していこうというんでしょうか。
 これに対して、私たち民主党は、いじめによる自殺の連鎖を予期していたわけではありませんが、現在の教育委員会制度の問題点を早くから理解し、今回の民主党の日本国教育基本法案及びそれを具体化する二つの法律によって、教育委員会制度を廃止するとともに、国と地方の新しい役割分担をきちんと書き込んでいるんです。
 しかし、政府は、これを一顧だにせず、現場の教育関係者からの声にもあえて耳をふさぎ、欠陥法案としての政府の改正案の成立に邁進してきたわけでございます。
 以上の理由によって、伊吹文科大臣の責任は重大であると考え、ただいま議題となっている伊吹大臣の問責決議案に賛成することを強く表明し、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 116515254X02020061215_007

発言者: 内藤正光

speaker_id: 6547

日付: 2006-12-15

院: 参議院

会議名: 本会議