門川大作の発言 (教育再生に関する特別委員会)
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○門川参考人 おはようございます。京都市の教育長の門川でございます。
このような機会をいただきまして、ありがとうございます。また、国を挙げて教育再生を最重要視していただくことを本当に心強く思っております。
迷ったときは困難な道を選ぼう、今、京都の教育界で合い言葉にしております。一人一人の子供を徹底的に大切にする、一つ一つの学校を徹底的に大切にする、家庭訪問を大事にしよう、現場へ足を運ぼう。人間、ややもしますと楽な方を選んでしまいますが、あえて困難な方を選ぼう、いろいろな問題が起これば、制度の責任にせずに制度の限界まで挑戦しよう、タブーに挑戦しよう、そんな取り組みを、今熱意あふれる教職員が進めていただいております。
実は、きょうから京都市議会本会議が始まりまして、この参考人意見陳述の話をいただいたときにお断りしようかなとも思ったんです。与野党意見の対立する法案の審議に現職の教育長が意見を述べる、いささかのちゅうちょもございましたが、あえて私も自分に負荷をかけて、ここで勉強させていただきたい、そのように思って参加させていただきました。
また、今、教師に対する、学校に対する厳しいバッシングがございます。教育委員会のあり方も問われております。しかし、現場から見ておりまして、非常に困難な教育条件のもとで、課題が山積する中で、現場の多くの熱意あふれる教職員が懸命な努力をしております。朝から晩まで、校長先生、教頭先生なんかは土曜日も日曜日も、教育委員会も、全国で多くの方々が頑張っておられます。今、学校教育は大きく前進してきております。
私は、しばしば申しておりますが、子供の教育を悪くしようと思えば子供の前で先生の悪口を言えばいい、地域の学校を悪くしようと思えば地域で学校の批判をすればいい、確実に教育は悪くなります。今、日本じゅうでそんなことが起こっているんじゃないかなと危惧しております。頑張る教師を励ます、教職員のモチベーションを高める、そして教育者がたっとばれるような世の中にしなければ教育の未来はない、日本の未来はない、そのように思っています。そんな現場の悲鳴とも思えるものもここでお話しさせていただけたらありがたいな、そんなことを感じております。
おかげさんで、教育を大事にしていこう、あるいは美しい国づくり、環境問題、あるいは歴史と伝統を大事にしていこう、そんなことが大きな課題になってきました。国民の価値観も大きく変わってきたんじゃないかな、再認識されてきたんじゃないかな。そんなときに、歴史都市京都が果たすべき役割にも大きなものがあると思っています。
今、桝本市長を先頭に美しい京都をつくっていこう、そのために、この三月に景観条例などが通りました。都心部のビルの高さ、四十五メーターから三十一メーターに、三十一メーターは十五メーターに規制する、屋上の看板は全面禁止する、建物のデザインを規制する、あるいはお寺や神社の借景を守っていく。市民の大きな自己犠牲もあります。そうしたことをしながら、さらに国に対して国家戦略としての京都創生をお願いしていこう、そして、いつまでも日本に京都があってよかった、そんなことを実感していただける京都をつくっていこう、創生していこう、守っていこう、そんな取り組みが始まっています。
そうしたときに、私ども教育関係者の責任もなお重いと感じています。ハードも大事でありますけれども、美しいものを美しいと感じる子供たち、次世代を育成していかなければなりません。そのためにみずから行動しなければなりません。
先日の土曜日も朝七時から梅津北小学校というところで、子供、教職員、地域の方々みんなで二時間かけて便所掃除をしました。百人を超える子供たち、PTA、地域の方々が参加をしていただきました。便所を磨いて心を磨こう、便教会と言っています。便所の便に、キョウは教えるでしたけれども、教えるはちょっとおこがましいかな、鏡でもいいな、響くでもいいな、共にでもいいな、協力の協でもいいな、みんなが思いを込めて便教会、そんな取り組みが一歩一歩ですが進んでおります。
さて、教育改革であります。私は、最大のキーワードは当事者意識と参画行動であります。学校、家庭、地域、大学、経済界、企業、すべての大人が共に汗をする共汗関係が大事じゃないかな、そのためには大事なことが二つあるんじゃないかな。
一つは、学校現場、できるだけ子供に近いところに権限を移譲していく。人事の権限も予算の権限もできるだけ学校現場に移譲していく、そんな取り組みを進めております。同時に、現場に移譲するだけではだめ、そのときに教育委員会が適切な指導をするということも大事であります。一つはそういうことであります。
もう一点は、学校、家庭、地域の連携と協力であります。学校と家庭、地域が足りないところを批判する関係やなしに、足りないところをともに高め合うような関係にしていこう、そういうことであります。そのためには、情報を共有する、学校が説明責任を果たすということが大事であります。
情報の共有は課題意識の共有になる、さらにそれを行動の共有へと高めていく、そして評価も共有する、子育ての喜びも共有していく、そんな関係をつくっていこう。そのために、保護者、地域の代表が学校運営に参画する学校運営協議会を設置するコミュニティースクール、昨年度までに六十校に広がりました。学校からどんどん申請していただいて指名していきます。今年度中に百校を超える、小学校では半分以上の学校がコミュニティースクールになっていく、そんなことを進めております。
連携、連携といいます。しかし、学校に閉鎖的な体質があれば、教師に信頼されないような行動があれば、連携は生まれません。連携、連携というと、ややもしますと相手に物を求めます。しかし、まず連携とは自己変革であります。学校の閉鎖的な体質、教師の専門性を高めていく、そして同時に、地域の方々に、保護者の方々に、あなたは子供のために何ができますかということを大胆に提言していく。
おかげさんで、二万人を超える方々が、子供の安全確保、授業のサポート、障害のある子供のために、あるいは読書活動にといろいろ協力していただける、そんな関係が生まれてきております。
同時に、連携とは重なり合うことである。家庭、地域の教育力が低下した、嘆いていても始まりません。それをともに高め合う、重なり合って高まっていく、そんな環境をつくっていきたい、そんなことをやっています。
そのためにも、教師が変わらなきゃならない、指導力不足教員になってはいけないということで、いろいろなチームを組み、教員評価制度を導入し、頑張る先生を応援する。
この五年間で二千八百人の先生を表彰してきました。同時に、課題のある先生にはいろいろな研修プログラムをつくっていく。そして、それでも変わらない先生には、残念ではありますが、十年間で百四十五人、この五年間で九十五人の先生に教壇から去っていただきました。しかし、だめな先生はほんの一部です。多くの先生は頑張っている。そうした先生のモチベーションを高めていく、そのことが何よりも大事じゃないかな。
京都市では、小学校一、二年生、独自予算で既に三十五人学級をやっています。そしてことしから、義務教育の終了であります中学校三年、三十人学級に踏み切りました。オール京都市では、財政危機の中で三千人を超える職員の削減を行っております。しかし、教師はふやそう、そして教師の処遇の改善も大事であります。それらにつきましても、ぜひとも国会での御英断をお願いしたい、そのように考えております。
次に、学力であります。
ゆとり教育の見直しということが言われています。ゆとり教育という言葉自体、私は余り好ましい言葉でないと思います。誤解を与えます。しかし、この理念、画一と受け身から自立と創造へ、知識の量も大事ですけれども、それを生きて働く知恵に変えていかなきゃならない。そのためには体験が大切だ。そうした理念は不変のものだ。その理念が実現しなかったから、見直しであります。
そのために、教育条件の整備充実、教職員定数改善計画がストップしていますが、そういったこともふやさなきゃなりませんし、いろいろな条件整備、社会全体で受け入れていく社会総がかりの教育改革が重要ではないかと思っています。
同時に、学力も大事。みずみずしい感性もつくっていかなきゃならない。京都市では、国の基準の一〇%を超える授業時間数を確保しよう、そんなことで取り組みをしています。
教職員の人事異動は四月一日とおおむね決まったものでありますが、京都市では三月二十日に事実上発令しました。そして、異動した先生は三月二十六日には新しい学校に赴任して、新年度の準備をしていただきます。そして、毎年ですと四月の八日、九日が入学式、始業式ですが、ことしは、四月四日に入学式、そして五日始業式。桜の咲いている間に入学式ができる、地球温暖化で桜も早く咲きますから。これは副次効果でありますけれども、そんなことをしています。
また、桝本市長のマニフェストで、すべての小中学校の教室にクーラーがつきました。そんな中で教職員が、夏休みも短くしよう、さらには夏休みに補習をしよう、そんな取り組みも現場の熱意に支えられて進んでおります。
改正法案との関係でございますが、京都市では、既に保護者の代表が教育委員に参画しております。さらに、スポーツ行政や文化行政は市長部局において補助執行していただいています。一方、私立幼稚園、私立高校の行政は、教育委員会で補助執行しております。そして、オール京都市として、子育て支援やあるいはいろいろな生涯学習等々については、全庁的な体制をつくって進めております。ただ、学校行政については、政治的な中立が大事だということで、教育委員会が果たさなければならない役割が大事だと今思っています。
なお、評価が大事であります。京都市では、政策評価、施策評価、それから千三百項目にわたる事務事業評価を進めてきましたが、この五月市議会で行政評価条例が制定されようとしています。その中には、学校評価も条例化します。そして、適切な評価をしていく、そして改善をしていく、そんなことを今進めております。
地方分権か国の関与かということが論じられておりますが、私は、地方分権が基本であります。ただ、伝家の宝刀的なものも必要であります。同時に、そういったことが行使されないように、地方が主体性を発揮して頑張らなければならない、そんなことも感じております。
なお、教育条件の整備充実が何よりも大事であります。教職員は本当に苦労しております。教師のたっとばれるような社会をつくるために、教職員の処遇の改善、さらに教職員の増員をお願いしたいな。
京都の教育改革を進めておりまして、やはり現場主義が大事だな、同時に、教師の潜在能力を生かしていく、こうした地域の力とそれを融合させていく。今、堀川高校の奇跡というような本がベストセラーになっております。朝日新書であります。十年ほど前に本当に厳しい条件であった堀川高校が、今は四年連続で京都大学現役合格率がトップになる、そんな改革が進んでいます。堀川に続けと西京高校が、そしてことしは銅駝美術高校、十年前、現役で国公立大学進学はゼロでしたが、ことし、九十人の卒業生のうち三十一人が国公立大学に入りました。
教師の潜在能力を生かしていく、そういうことによって学校は変わります。現場を激励していただきたいな、同時に、教師も頑張っていかなければならないな。そのために、国の基準を上回る教職員を配置しています。今、教育が大事なときに、どうぞ国家政策として教師の処遇の改善、定数の改善にも取り組んでいただきたいなと思います。
同時に、厳しい社会環境であります。勝ち組、負け組というようなものができないように教育条件を整備していく、そんなこともぜひともお願いしたいな。謹んで皆さん方にお願いして、意見陳述にかえさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)