市川昭午の発言 (教育再生に関する特別委員会)

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○市川参考人 市川でございます。
 本日は、このように私の意見を述べさせていただきまして、大変ありがとうございます。
 私は、公選制教育委員会のころから地方教育行政の調査研究に携わってまいりましたが、地方教育制度をいかに設計するかというのは大変難しい問題でございまして、絶対にこれがいいというようなシステムはなかなかつくりにくいと感じております。しかしながら、ここに参りました以上は、何がしかの意見を申し述べなければなりませんので、地方教育行政の基本理念、教育委員会の体制、それから地方自治体の首長さんと教育委員会の関係、それから都道府県と市町村の関係、国と地方の関係に分けて、順次申し上げたいと思います。
 まず、地方教育行政の基本理念はいかがなものであるべきかということでございますが、地域の実情に応じて教育の振興を図るということは言うまでもないことでございますが、いかなる内容の教育の振興を図るかということもまた大事なことではないかと思うわけでございます。いかなる内容の教育がいいかということは、これはそれぞれお考えが異なるかと思いますが、基本的に私は、国民の教育を受ける権利を保障する点において、国民ないしは住民に責任を持って行われることが肝心ではなかろうか、こう考えております。
 昨年改正されました教育基本法の十六条三項では、地方公共団体が主に担う役割は、その地域における教育の振興を図るために、その実情に応じた教育に関する施策を策定し、実施するということであり、国の主な役割は、教育の機会均等と教育水準の維持向上を図ることとなっておりますが、今回の改正法を見ますと、このいずれもが地方の分担のようにも書かれておりまして、この教育基本法と学校教育法の改正法案との関係がどうなっているのかということが若干わかりにくいところでございます。
 次に、教育委員会の執行体制をいかにして整備拡充するかということでございますが、世間から一番求められておりますのは、教育委員会の活性化ということで、これは以前から言われておることでございます。そのためには、法案にもありますように、教育委員の方々の自覚ということも大事でございましょうし、その権限の強化ということも大事ではございましょうが、狭い意味での教育委員会が事務局に対してなぜ影響力が乏しいかということは、これは非常勤であるとかいろいろな理由もございましょうけれども、もう一つは、一応法律上の権限はあるわけでございますが、私は、権威が少し足りないのではなかろうか、こう思うわけでございます。
 なぜ権威が足りないかといえば、事務局の職員も教育委員もいずれも任命制でございまして、その点では同じでございます。そういう点から申しますと、やはり教育委員に権限だけではなくて権威を持たせるためには公選制にする必要があるのではなかろうか。首長さんが権限と同時に権威を持っていらっしゃるのは、これはやはり公選、住民から選ばれてきた、授権されているというところにあるのではなかろうか、こう思うわけでございます。
 今日、世間ではレーマンコントロールを強化する必要があると言われております。確かにレーマンコントロールの原理を徹底することは大事でございますが、同時に、プロフェッショナルリーダーシップを確立するということも教育委員会制度の根本的な考え方でございまして、この両面が必要であるわけであります。
 そのためには事務局職員の専門性を高めるということも必要になってまいりますが、そういった点からいいますと、今回の改正案で市町村教育委員会に指導主事を置くことに努めるという規定がありますのは、理解できるところでございます。ただ、ここ十数年来の地方分権改革におきましては、いろいろな専門職員の必置制をなくしていくという基本方向にあるようでございまして、これとどのように調整されるのかという点が気にかかるところでございます。
 それから、改正案では、学識経験者の知見を活用して教育委員会の活動状況を点検、評価するということがございます。無論それも結構でございますが、単に学識経験者だけでなくて、保護者とか住民の知見を活用することもまた肝要であり、それによって初めて地域の実情に合った教育の振興が可能となるのではないかと考える次第でございます。
 三番目に、地方教育行政に関しましての首長と教育委員会の関係でございますが、この点で改正案はやや混乱しているような印象も受けます。それは、一方で教育委員会の権限を縮小し、他方では拡大しようとしているところでございます。
 文化、スポーツの事務を首長に移譲するという規定が一方にあり、それで、他方では、私立学校に関する首長の権限を教育委員会に移譲するかのごとき表現もあり、基本的に改正がどちらの方向を向いているのかという点が理解しかねるところでございます。将来的に、文化とスポーツだけでなくて、社会教育や生涯学習、施設設備などの権限も移譲されていくのか、そうなりますと、結局、教育委員会は学校委員会のようなものになっていく、スクールボードになっていくわけでございますが、そうなりますと民主党案に近づいていくような印象も受けるわけでございますが、その点いかがなものでございましょうか。
 四番目は、都道府県と市町村の関係でございますが、これは市町村の規模との関係があるわけでございまして、これは教育委員会制度発足以来の難問なのでございます。
 発足当時は一万ぐらいの市町村がございまして、それが昭和の大合併で三分の一に減り、それから、平成の大合併でさらに減ってきているわけでございます。しかしながら、なお弱小市町村というものが残っているわけでございまして、これとの関係で、行政能力とそれから民意の反映という、とかく矛盾し相克する関係をどう調整するかということが課題として残っているわけでございます。
 また、改正案では、市町村の教育委員に対して都道府県や文部科学省が研修を行うというようなことも規定してございます。研修をさせて悪いということはないでしょうが、ややもすれば、国、都道府県、市町村が上下関係にあるような印象も与えますし、そもそも、改めて研修する必要がないような教育委員を任命すべきではないかということも考えられるわけであります。
 最後に、国の地方に対する権限でございますが、改正案は、国の地方に対する権限を拡大する方向に基本的にあるんだろうと思います。地方分権改革によりまして削除されました諸権限が復活していくというような方向にあろうかと思うのでございますが、しかし、四十九条の改正は、現在地方自治法にもほとんど同じような規定があるわけでございまして、これで、地方自治法二百四十五条の五の規定でなぜだめなのかということがよく理解できません。
 それから、五十条は、さらに強い権限を国に持たせようということでございますが、しかしながら、地方自治法二百四十五条の三がうたっておりますように、地方の自主性及び自立性に配慮し、国及び都道府県の関与は必要な最小限度のものにすべきだということとの兼ね合いも必要かと思います。
 また、生徒等の生命身体を保護する必要が生じているような緊急事態に文部科学大臣が是正、改善の指示をしても、実際には間に合わないんじゃないか。それだけでなくて、文部科学省が関与してまいりますと、これは市町村から報告を上げ、さらに都道府県に報告を上げ、文部科学省に報告を上げていくわけでございますから、その事務にいろいろ振り回されまして、対応がかえっておくれることになるんじゃなかろうか、こんなふうにも考えるわけでございます。
 時間が参りましたので私の意見陳述はこの辺で終わりますが、民主党案なども大変興味深く読ませていただきましたが、時間の関係で意見は省略させていただきます。(拍手)
    〔中山(成)委員長代理退席、委員長着席〕

発言情報

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発言者: 市川昭午

speaker_id: 10997

日付: 2007-05-15

院: 衆議院

会議名: 教育再生に関する特別委員会