長江啓泰の発言 (内閣委員会)
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○長江参考人 おはようございます。
現在、提出されています道路交通法の一部改正に関する法律案に関しまして、これが成立の運びになるよう望んでおります。
この件につきましては、参考人としての陳述理由とその考え方を述べさせていただきたいと思います。
もう既に御承知だと思いますが、車社会あるいは国民皆免許時代を迎えた今では、運転そのものが国民生活と密着した生活行動となっております。しかし、モータリゼーションの進展というのは、生活の利便性を図るための諸施策が必要であると同時に、影の部分とも言えます交通事故を抑止し、安全、安心な交通社会の構築もまた必要であることは論をまたないところだと言えます。
交通安全対策と申しますのは、御承知のように、三Eから構成されると言われております。すなわち、エデュケーションの教育、それからエンフォースメントの規制、それにエンジニアリングの技術、こういうことを意味するわけですが、実は、これらはお互いに連携を図り、交通安全確保という同一目的に向けて進められる、いわば一種のシステムであると言えます。
御存じのように、そのシステムというのは、どれか一つがよければすべてがよくなるという話ではなくて、システム全体のいわゆる限界といいますか、あるいはその効果といいますか、そういうものは、基本的にはそのシステムを構成している要素、すなわち、ここで言うと三Eですが、これの中の一番低いところで決まる、こういうふうに言われております。
生活様式あるいは社会的規範や個人の規範の変化に応じて、最も適した三Eを常に見直し、これを推進するということは重要な要件でもありますし、コンプライアンスプログラムにとって不可欠なものであると言えます。しかし、現実面では、教育、規制というものは往々にして後追いになりがちであると言われております。罰則や法規制の整合も時代の流れに追いつかないことは決して珍しいものではないという事実もあります。
今回、提案されております、第一の、悪質、危険運転者対策の推進を図るための規定の整備、あるいは、第五番目のその他については、従来の法律、罰則の整合を図り、悪質、危険な運転というものを防止することを目指すものと理解しております。もちろん、罰則の強化あるいは厳罰化だけで抑止効果が持続し得ないということは当然でありますが、法の網をくぐり抜ける行為は許されず、真の規範意識を確立するための安全教育と相まって、安全、円滑な交通社会を実現するための大きなインパクトになることは間違いないところだと考えております。
それから、第二番目の高齢運転者対策等の推進を図るための規定の整備は、今後ますます高齢化社会が進展する中で、安全に運転ができ、生活が営めるための防衛策として提案されたものであります。これらの施行に当たっては、人権、プライバシーへの配慮を十分にする必要があるというふうに思いますが、同時に、未然に運転不適格者を発見する、いわば早期発見のための法制化でもあると思っております。
高齢化社会、特に運転者の高齢化社会というのは、日本は世界で群を抜いております。したがって、いわゆる運転者の高齢化の問題について世界にその前例を見ようとしてもなかなか見当たらないというのが現状だと思います。同時に、日本も初めて出会うようなことでございますので、したがって、これを進めながら、どういうふうな形をしていったらいいのかと考えることが本来だと思います。
それから、表示の義務づけの点については、最近の車というのは、安全まくらというのがシートの後ろについております。前の人がどんな人で、どんな運転をするかということが非常にわからない、わからないと後続の車はいらいらする、そういうふうな意味でいうと、いわゆる高齢者あるいは聴力障害者の方々が運転しているんですよということを表示するということは、ドライバー間同士でのいわゆるあつれきを減少させるということで非常に有効だろう、こんなふうに考えております。
第三に、自転車利用者対策の推進を図るための規定の整備、これは、これまで自動車運転者に対する対策に力点が置かれ過ぎていた感じがあります。自転車利用者といういわば個人のモビリティーのある意味ではマジョリティーである自転車利用者に対して目を向けた法整備であると思います。ここでも大切なことは、取り締まりありきではなく、いかに指導しやすい法整備と、自転車も一人前の車両であり、交通社会におけるパートナーの一人として行動できるための意識づけが必要であるということの教育あるいは広報が必要であるということは言うまでもありません。
第四の被害軽減対策の推進を図るための法整備については、前席のシートベルトの効果に疑いがないにもかかわりませず、後席シートベルトの装着率が上がらない現状を踏まえた規定の整備であり、時宜を得たものと理解をしております。
いずれにしましても、法規の適切な整備は必要であり、厳罰化も重要でありますが、同時に、二度と事故、違反を起こさないための問題意識の形成、あるいは行動変容、協力、協調が実践できるいわゆる規範確立という個人個人の心への働きかけにも力点を置いてほしいと考えております。
以上の事由によりまして、現在審議されておられます提出法案が成立する運びになることを望んでおります。
以上でございます。(拍手)