井上郁美の発言 (内閣委員会)
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○井上参考人 私も、最初のみずからの事故の刑事裁判の時に、どうして過失犯としかとらえられないのかというふうなことを、何とか検察を説得しようと、控訴してもらおうというふうに思ったりしているときに、いろいろと知人を通じて、アメリカの例あるいはイギリスの例などを調べていただいたりしました。そうしましたら、やはり諸外国では、日本のような、道路交通法、刑法という二つの法律の体系そのものが非常に珍しい法で、飲酒運転による事故というのは、もうアクシデントという言葉は使っていない。私も間違えて、アメリカの方に対して、私の娘たちは飲酒運転の事故によって亡くなりましたと言ったら、今アクシデントという言葉を使いましたかというふうに聞かれたんですね。何というふうに言っているんですかと言ったら、飲酒運転による事故というのは、事故とは、うちの国では、アメリカでは言っていません、これは犯罪、クライムという言葉を使っていますというふうに、明らかにその言葉遣いからして、もう違う。
ですから、飲酒事故と言うと皆さん違和感を示されるというほど、言葉の使い方からして、また法律でのあり方、殺人罪、殺人罪にも幾つかの種類があるようですが、殺人という言葉が明確に使われるような、その法律名からして違うというふうな意味では、私たち、どうしても、飲酒あるいは本当に危険な運転によって人を死傷させているのにもかかわらず、今回、刑法も改正されましたが、なぜ法律の名前に過失という言葉が残ってしまうのだろうか。自動車運転をして悪質な例については七年まで科せられるようにしましたというふうに法務省は説明されましたが、それでも、どうして自動車運転致死傷罪ではなくて自動車運転過失致死傷罪というふうにその言葉が残ってしまうのだろうかというふうなことに対して、とても抵抗を持っております。
実際に、交通事故というのは、本当に、過失と故意の差というのは極めて境界があいまい。私たちも川口の事件を、初公判を傍聴したりしましたが、警察や検察、あるいは法務省は、裁判では確かにあれはわき見運転というふうに処されてしまうかもしれません。でも、半年間で百回も、もはやほとんど毎日のようにわき見運転。しかも、一秒、二秒、わき見運転をしているというのではなくて、そのまま、高速度のまま百メートルも走るというような運転をいつもいつもやっている。そして、あの川口での事故を起こす三カ月前には、同じようにウォークマンの操作をしていて追突事故を起こしてしまった。そんな常習的にわき見運転をしている事犯に対しても過失という名前の法律しかつけられないのか、使えないのかという意味では、御遺族でなくても、私たちが聞いていても、これは過失犯とは言えない。この前科、この運転癖、本当に危険な運転をしている被告に対して、法律はどうしてわき見イコール過失という言葉をつけてしまうのかというふうに思ったぐらいですから、飲酒運転になったら、これがどうしてすべて危険運転という言葉を使えないのかというところでは、まだまだこの国の法律、法律家の方々に頭を柔軟にしていただいて、諸外国の例あるいはその考え方、あるいは運用の面で柔軟な運用というふうなことも視野に入れて検討していただきたいなというふうに思います。