保岡興治の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)
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○保岡委員 ただいま議題となりました与党自由民主党及び公明党共同提出の日本国憲法の改正手続に関する法律案並びに民主党提出の日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案の両案に対する与党自由民主党及び公明党共同提出の併合修正案につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
国民投票法案については、一昨年九月に設置された本委員会におきまして、国会に提出される以前から、各会派からの意見表明、専門家を招致しての参考人質疑、委員間の自由討議など、さまざまな観点から活発な議論が繰り広げられてまいりました。
昨年には、これらの調査と並行して、理事懇談会において、憲法改正国民投票法制の是非を含めて、その具体的な制度設計に関する論点整理を合計七回にわたって行いました。
委員会における調査及び理事懇談会における論点整理の協議の時間は、総計で約五十時間に及んでおるところでございます。
それらの調査を踏まえて、昨年五月には、与党と民主党からそれぞれ国民投票法案が提出され、本委員会は両法律案の審査に全力を傾注してまいりました。より充実した審議をするために、本委員会のもとに小委員会を設置して、論点ごとに小委員会における参考人の意見表明、小委員と参考人との懇談、委員会における質疑を繰り返しました。
また、先週は中央公聴会、昨日は新潟、大阪での地方公聴会を開催いたしました。
これらを合わせますと、両法案に関する審査は約五十時間にも達しています。このようにこの法律案に関する調査審議時間は、総計で約百時間にも及びます。
私どもは、対案を提出された民主党のみならず、共産党、社民党、国民新党の御主張にも十分耳を傾けながら、真摯に対応し、よりよい御意見はそれらを踏まえて思い切って修正するという姿勢で臨んでまいりました。こうして議論を繰り返しているうちに、法案提出時に見られた与党案、民主党案の違いは、もうほとんどなくなったのであります。
そこで、私どもは、委員会における議論の到達点を修正案という条文の形で確認したいと考え、この修正案を提出した次第でございます。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、国民投票の対象についてですが、憲法改正国民投票と一般的な国民投票とでは、その本質を全く異にするものであり、その詳細な制度設計についてはさらに議論を深める必要があることから、今回は憲法改正国民投票法制に限定して制度設計を行うのが適当であると考えております。
しかし、憲法改正を要する問題等についての国民投票制度につきましては、議会制民主主義を基本とする現行憲法のもとにおいても検討に値するものと考えられます。
そこで、この憲法問題予備的国民投票とでも言い得る法制度を中心とした一般的国民投票制度については、この法律の公布後速やかに、その意義及び必要性の有無、具体的な制度設計のあり方について検討を行い、必要な措置を講ずる旨の検討条項を附則に置くことといたしております。
第二に、投票権者についてであります。
諸外国では成人年齢に合わせて十八歳以上の国民に投票権を与える例が非常に多いようでありますが、他方、投票権年齢や選挙権年齢及びそれらの基礎となっている民法の成人年齢を引き下げることは、我が国の他の法制度、社会的制度への影響が非常に大きいのであります。
そこで、これらのことを勘案し、投票権年齢を満十八年以上とした上で、この法律が施行されるまでの間に、満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができること等となるよう、公職選挙法、民法等について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとし、この法制上の措置が講ぜられて、満十八年以上満二十年未満の者が国政選挙に参加することができるまでの間、投票権年齢を満二十年以上とする旨の規定を附則に置くこととしております。
第三に、投票用紙への賛否の記載方法及び過半数の意義についてでございます。
この点については、投票人の意思を酌み取ることを重視する観点から、さらに検討を加え、あらかじめ投票用紙に印刷された賛成、反対の文字をマルで囲むこととし、無効票をできるだけ少なくする方式に変更した上で、賛成の投票数が賛成の投票数と反対の投票数の合計の二分の一を超えた場合に国民の承認があったものとしております。
第四に、国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲については、選管職員等に限ることとしております。
これは、本委員会での議論を通じて、憲法改正国民投票における意見表明は、主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは裁判官や検察官等の職種についている者でも同じように保障されるべきであると考えたからであります。
第五に、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の制限については、地位利用の範囲を明確にした上で存置することとしております。その上で、これに違反した場合にも罰則を設けないこととしております。
なお、以上の公務員の国民投票運動に関する制限に関連して、国は、この法律が施行されるまでの間に、公務員が国民投票に際して行う憲法改正に関する賛否の勧誘その他意見の表明が制限されることとならないよう、公務員の政治的行為の制限について定める国家公務員法、地方公務員法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる旨附則に規定することといたしております。
第六に、組織的多数人買収罪については、適用対象を最も悪質な部分に限定するため、勧誘行為を明示的なものに限定するとともに、投票に影響を与えるに足りる物品その他の利益という要件についても、多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限ると限定した上で存置することとしております。
第七に、国民投票における周知広報については、まず、国民投票公報には憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他参考となるべき事項に関するわかりやすい説明を記載することとしております。
また、説明会の開催の規定については、これを削除することといたしました。
テレビや新聞等における無料広告枠においても、賛成意見、反対意見を公正かつ平等に扱うこととしております。その上で、一般の団体については、無料枠の割り当てを受けた各政党等において、その一部を指名する一般の団体の利用に供する形で使用することができることが明確となるよう修正しました。
第八に、テレビ、ラジオにおける有料広告については、禁止期間を国民投票の期日前二週間に延長するとともに、放送事業者は、国民投票に関する放送については、放送法の規定の趣旨に留意するものとする旨の規定を設けることとしております。
最後に、この法律の施行期日及び憲法審査会の審査権限については、施行を公布の日から起算して三年を経過した日とするとともに、それまでの間は、憲法審査会は調査に専念することを明記することとしております。
以上が、この修正案を提出しました理由及びその内容の概要でございます。
今回提出しているこの修正案のほとんどは、本委員会における議論から導き出されたものでございます。
昨日の大阪地方公聴会では、民主党の元副議長の中野寛成氏が、憲法関連基本法の一つである国民投票法案の取りまとめに当たっては、与党は度量を、野党は良識を示すべきであるとの意見を述べられたと伺いました。私もこの言葉には共感を覚えます。この修正案は、私ども与党としての精いっぱいの度量を示したつもりでございます。この修正によって、憲法改正国民投票法案は、憲法改正の基本的手続を定める公正中立なルールとして、さらに十全なものになったと自負しております。
今までも野党の皆さんからは建設的な御意見をちょうだいしてまいりましたが、できますならば本修正案に賛成、あるいは本修正案を基礎としての共同提出に向けての調整など、どういう形でかは別として、皆様方の良識を示していただけるならば、私ども与党側としても、さらなる度量を示す余地があることを明確に述べておきたいと存じます。そして、今後とも、あるべき憲法改正国民投票法制の構築に向けて、より幅の広い合意形成を目指してまいりたいと思っております。
付言しますと、これまでの本委員会での御議論の成果を大切にしたいとの基本的姿勢に基づき、冒頭に申し上げたように、今回の修正案は併合修正という方式をとることによって、与党提出の法律案と民主党提出の法律案の両案に対する修正案とした次第であります。
何とぞ速やかに御賛同あらんことをお願い申し上げる次第でございます。