池田元久の発言 (本会議)

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○池田元久君 民主党の池田元久です。
 ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案並びに公債発行特例法案について、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)
 まず、安倍総理大臣に、現在大きな焦点となっています格差について、現状認識をお尋ねしたいと思います。
 安倍総理大臣は予算委員会等で、二十代、三十代の人たちには格差が増加している傾向があるとは述べました。しかし他方、格差があると感じている人たちや地域が存在すれば、そういうところにも光を当てていくと繰り返し述べております。極めてあいまいです。問題を正確に把握してこそ対策を立てることができます。格差の存在、拡大について総理大臣の考えは一体どうなのか、端的に示していただきたいと思います。
 安倍総理大臣は、経済が成長すれば、雇用の拡大と、非正規雇用者に正規雇用者への道を開いていく、また、格差の問題では、経済を下支えしている人たちの基盤を強化して上昇させていくと楽観的に述べています。
 果たしてそうでしょうか。成長が続けば雇用は拡大していくでしょう。しかし、非正規労働者や下支えをしている人々が取り残されることはないのでしょうか。むしろ現実は、ここ数年、正規労働者を非正規労働者に大きく置きかえることによって、企業を中心に景気が回復してきたのではないでしょうか。格差を軽視し、経済が成長すれば格差は解決できると幻想を振りまいてはいけないと思います。
 安倍総理大臣の成長戦略とか上げ潮路線とか、言葉は躍っております。不明確な点もありますが、どうやら減税と規制緩和で企業の競争力を高めることに重点を置いていると思われます。政権内部では、それを八〇年代のアメリカのレーガン政権のレーガノミクスになぞらえる者もおります。
 しかし、レーガノミクスは、大規模な減税を実行したものの、成長率は期待したほど上がらず、財政再建どころか財政赤字は拡大したという結果に終わっております。
 安倍総理大臣、あなたがとろうとする政策の道筋を示していただきたい。成長なくして財政再建なしなどと抽象的な表現ではなく、わかりやすく説明をしていただきたい。そして、その実現可能性もおっしゃっていただきたいと思います。
 さて、所得税、住民税の定率減税が廃止されて、ことし六月から一・七兆円の負担増、増税が行われる一方、提出された法案では、減価償却制度や同族会社向け税制の見直しなど、それだけで今年度五千五百億円余りの企業優遇の減税を行うことにしています。
 ここ四、五年、企業収益は上昇する一方、雇用者の報酬は総じて減少傾向にあって、対照的です。自公政権がサラリーマンに増税し、企業に減税するというのは、租税政策としてあべこべではないですか。格差是正に逆行するのではないか。説明をしていただきたいと思います。
 政府税調は答申で、今後の検討課題として法人税の実効税率の引き下げを真っ先にうたう一方、与党税調は大綱で、〇七年度をめどに消費税を含む税体系の抜本的な改革に取り組むとしております。
 日本経団連の御手洗会長は、ことし初め提言を発表しました。その中で、法人税の実効税率を一〇%程度引き下げる、その一方で、財政再建のため、消費税を二%程度引き上げることを提言しています。金額にすれば、法人税の減税に必要な財源も消費税の増収額も四兆円余りで、ほぼ同額です。消費者、国民の負担で法人税の減税を行う勘定となります。これが美しい国を目指す財界指導者の考えでしょうか。
 御手洗会長は政府の経済財政諮問会議の議員です。安倍総理大臣、総理は御手洗氏の考えを支持されるのかどうか、明確な答えをいただきたいと思います。
 また、法人税の実効税率の引き下げと消費税の引き上げについてどう考えるのか、安倍総理大臣にお尋ねをしたいと思います。
 次に、個別の問題についてお尋ねをします。
 上場株式の配当と譲渡益の軽減税率が一年延長されます。この軽減措置は、〇三年当時、株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するために五年間の時限措置として導入されたものです。預貯金、債券などの利子には二〇%の税率がかかっていますが、株式の譲渡益と配当は一〇%に軽減されております。
 しかし、株式市場も低迷を脱し、不良債権も大方片がついた現在、軽減措置を延長する理由はほとんどありません。金持ちほど株式保有率が高いことから、軽減税率は金持ち優遇と批判をされております。また、利子所得者は大変不公平に感じていると思います。自民党幹部は、延長しないと株価は絶対に下がると言ったそうでありますが、これはまさにオオカミ少年のたぐいではないでしょうか。私は、激変緩和措置を講じた上で、軽減税率は直ちに廃止すべきだと思います。答弁をいただきたいと思います。
 次に、企業減税の内容を見ていきたいと思います。
 今年度のいわば目玉である減価償却制度の見直しでは、企業の設備、建物は現行の九五%から一〇〇%まで償却が認められることになります。しかし、一番恩恵を受けるのは、設備を多く持つ重厚長大の産業です。成長分野のソフト産業や中小企業への恩恵は少ないと見られます。その効果をどのように見込んでいるか、お伺いをしたいと思います。
 一方、ベンチャー企業への投資に対する優遇税制、いわゆるエンジェル税制として、株式の譲渡益にかかる税額を半分にする特例を二年延長することや、対象となるベンチャー企業の要件を緩和することなどが盛り込まれています。しかし、九七年度に制度ができてから、エンジェル税制の対象となった会社の数は、直接株式投資で見ると九年間で八十三社にとどまっており、同様の制度を持つイギリスなどと比べて大変物足りない状況です。
 そこで、私は、株式譲渡損については期限をつけずに繰越控除を認めるとともに、他の所得との損益通算を認めるなど大幅な拡充をすべきだと思います。お考えを伺いたいと思います。
 次に、寄附金控除の控除対象限度額を総所得金額等の現行三〇%から四〇%に引き上げることにしていますが、これに関連して、〇一年から創設された認定NPO法人制度について触れたいと思います。
 非営利活動法人は、保健、福祉、環境保全を初め国際人道活動など、近年重要な役割を果たしています。しかし、寄附金控除の対象となる認定NPO法人は、日本全国でわずか五十一が認められているだけです。私も、年末にその数の少なさに驚きました。これは、全国の都道府県で認められた二万九千九百余りのNPO法人の〇・一七%にしかすぎません。認定法人が少ない理由をどのように認識しているのか、聞きたいと思います。
 また、認定NPO法人となるための要件が十一以上もあります。公益的活動に対する個人の寄附を促進するため、認定のハードルを下げるべきだと思います。お答えをいただきたいと思います。
 そもそも、税金を集める立場の国税庁が、税収を減らすことになるNPO法人の認定権限を持っていることに無理があると思います。税の観点ではなく、NPOの公益性を十分に検討できるほかの機関に認定権限を持たせるべきだと思いますが、どうでしょうか。事柄の性質上、財務大臣ではなくて、総理大臣のお考えを伺いたいと思います。(拍手)
 次に、年金についてお尋ねします。
 以前、予算委員会で、年金保険料の無駄遣いは戦後これまで、何と六・三兆円以上に上ることを明らかにいたしました。年金保険料は、九八年度から財政再建を理由に年金の事務費に充てられており、政府は〇八年から、国民年金法などを改正して、これを恒久化する方針です。年金保険料は年金給付にしか充当しないというこれまでの原則から逸脱しているわけで、財政が改善すればもとの原則に戻るのかどうか。また、事務費の節減状況を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、道路特定財源についてお尋ねをいたします。
 政府・与党は、昨年七月閣議決定されたいわゆる骨太の方針に基づき、道路特定財源の見直しについて年内に具体案をまとめることにしていました。しかし、政府・与党は、昨年十一月から十二月にかけて調整を行ったものの、具体的な結論は出せませんでした。そして、〇八年に所要の法改正を行うとして、またも問題を先送りにいたしました。
 この問題をめぐって、安倍総理大臣は、十一月三十日の経済財政諮問会議で、現行税率は維持しつつ、揮発油税を含めて道路特定財源を見直しの対象として改革したいと述べました。しかし、政府・与党の合意では、党内の反対に押されて、揮発油税の見直しは明記できませんでした。
 安倍総理大臣、総理は、どこが骨抜きになっているのかと強弁されたようでありますが、これが先送り、骨抜きでなくて何でしょうか。明快なお答えをいただきたいと思います。
 また、道路特定財源の大半を占める揮発油税の一般財源化についてこれからどのように進めるのか、総理の明確な考えを示していただきたいと思います。
 いずれにいたしましても、道路特定財源をめぐる今回の政府・与党の動きで、安倍内閣は、官邸主導どころか、それが腰砕けになり、迷走したと評されております。安倍総理大臣が強い指導力を示す場面はなく、総理のリーダーシップが問われていると思います。総理の考えをお聞きしたいと思います。(拍手)
 また、官邸といえば、最近、にわかづくりのプロジェクトチームや政策会議などが相次いでつくられています。役割も余り整理がつかない乱立状態で、与党の幹部からも危惧の声が出ております。また、教育問題では、政府の規制改革会議と教育再生会議が、文部科学省の教育委員会に対する権限をめぐって真っ向から対立しております。
 これらを見て、安倍内閣はしっかりと政権の運営ができるのか、その政権担当能力は大丈夫かと、私たち民主党、そして多くの国民は思わざるを得ません。安倍総理御自身の率直な考えをお伺いしたいと思います。
 以上の質問に対しまして、真っ正面から明確に答弁していただきますようお願いして、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣安倍晋三君登壇〕

発言情報

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発言者: 池田元久

speaker_id: 27942

日付: 2007-02-20

院: 衆議院

会議名: 本会議