遠藤乙彦の発言 (本会議)
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○遠藤乙彦君 公明党の遠藤乙彦です。
私は、公明党を代表し、ただいま議題となりました駐留軍等の再編の円滑な実施に関する特別措置法案につきまして、防衛大臣並びに外務大臣に対し質問を行います。(拍手)
質問に入る前に、去る三月十一日、十二日の両日にわたり、安全保障委員会の理事会メンバーにより、在沖縄海兵隊の移転先であるグアム島の現地視察を行い、私も参加いたしました。限られた時間内のものでありましたが、百聞は一見にしかず、有益な視察であったと思いますので、まずその所感を申し述べたいと思います。
総括的に申し上げれば、グアムへの海兵隊移転は、抑止力の維持の点で問題はなく、沖縄の負担を軽減し、グアム島の振興、発展に資し、今後の日米同盟協力関係の信頼性、有効性の強化につながり得る一石二鳥、三鳥の施策と思われ、ぜひとも成功させる必要があることを強く感じてまいりました。
グアム島は、東アジアを視野に入れながら、遠過ぎずまた近過ぎず、一定の距離を置いて、緊張を高めることなく緊急展開能力を集積して、抑止力を維持するという観点からは絶妙の地政学的、戦略的位置にあります。近年、このことが再評価され、米軍再編の中でも、グアム島は特に重要な戦略拠点の一つとして位置づけをされ、今後、拡充強化される方向にあります。
また、これは現地視察をして初めて理解できたことですが、グアム島は、沖縄とは異なり、基地はあっても基地問題はないということも重要な点であります。グアム島は淡路島と同じくらいの面積に約十六万人の人口を有していますが、ほとんど島の中央部に集中して住んでいます。他方、基地は、アプラ海軍基地及びアンダーセン空軍基地という広大な基地がありますが、いずれも島の外れにあり、民間地区とは離れているため、いわゆる基地問題は存在しません。
グアム島のほとんど唯一の産業は観光産業であり、年間百二十万人と言われる観光客の八割は日本人観光客に依存している状況ですが、島の観光産業の展望は必ずしもよくはなく、今後安定した基地経済への依存度を高めることは、グアム島の財政事情の改善や雇用機会の確保にとり賢明な選択であると考えられます。
カマチョ・グアム島知事にもお会いし、意見を聞きましたが、海兵隊員八千人、家族九千人、合計一万七千人は島の人口の一〇%を超えるものであり、この受け入れは、インフラ整備等の課題はあるが、グアム島の成長、発展の機会としてとらえており、歓迎している、島民の理解を得つつ本件をサポートしていきたいとの発言がありました。
他方、島のインフラは、六〇年代から七〇年代にかけてつくられたものであり、老朽化し、能力が不足しており、電気、ガス、飲料水の供給、排水処理、廃棄物処理等かなり大規模な投資が必要であり、大きな課題であります。
また、グアム島の面積の三割は国防省及びグアム島政府所有地であり、海兵隊移転先での住宅建設等も、土地代はかからないはずであり、費用の積算根拠については改めて精査が必要であり、今後、タックスペイヤーである国民に対する十分な説明責任を果たす必要があることを強く感じました。
グアム島には、今後、高性能無人偵察機のグローバルホークも配備される予定の由でありますが、このような偵察能力強化と緊急展開能力の集積は、抑止力の維持という点のみならず、アジア太平洋地域における自然災害の際の緊急援助能力という点でも大きな可能性を意味しております。津波や地震、昨今の異常気象からくるハリケーンや台風の頻発等にかんがみれば、災害救助に向けてあらゆる資源、手段を活用すべきでありましょう。我が国としてはこのような視点から建設的な提案を行うことも検討すべきと考えております。
以上、所感を述べましたが、外務大臣及び防衛大臣の御意見があればお聞かせいただければと思います。
続いて、法案に関する質問に入らせていただきます。
第一に、法案の背景、前提となっているトランスフォーメーション、いわゆる米軍再編並びにグローバル・ポスチャー・レビュー、全世界の米軍配置見直しの本質を政府としてどう認識しておられるのか、またそのことにより我が国の安全保障体制がどのように変化するのかについての基本認識を伺いたいと思います。
第二に、法案では、再編交付金の段階的交付という仕組みが採用されていますが、この点については、巷間、交付金を使って自治体に負担の受け入れを強いるためのあめとむちではないかとの批判が寄せられております。政府がこのような仕組みを導入した理由について伺います。
第三に、グアム島移転経費について、我が国が総額六十億九千万ドルを負担することが日米間で合意されております。このうち、家族住宅、基地内のインフラ向けの三十二億九千万ドルについては、国際協力銀行による出資、融資で行い、いずれ家賃収入などにより回収可能になるとの説明がなされております。政府として、国際協力銀行を通じた出資、融資が何年程度で回収されると見積もっておられるのか、また不良債権化するリスクについてどうお考えか、政府の答弁をお聞きいたします。
第四に、在日米軍再編、特に海兵隊のグアム移転は、沖縄の負担を軽減するものとして歓迎される一方、再編事業の進展に伴い、沖縄米軍基地で働く九千名近い日本人労働者のうち、余剰人員が三千名以上に上るのではないかとの見方が広がり、現地では将来に対する不安が広まっております。国の政策に伴って大量の失業者が発生し、地域経済に悪影響を与えるような事態は、何としても避けなければなりません。政府としては、本法案に基づき、具体的にいかなる技能教育を講じようとしているのか、また再就職あっせんなど雇用不安に対する具体的施策についてどのように考えているのか、政府の考えを答弁いただきたい。
第五に、最も憂慮されることですが、沖縄県を初め岩国市、座間市、在日米軍再編のかなめとなる自治体における受け入れ合意がいまだに得られておりません。まさに防衛省移行が実現した今こそ、防衛省の組織と能力をフルに発揮して、地元への説明、調整に最大限の努力を傾注し、関係自治体の受け入れ合意が得られることを切に希望するものでありますが、地元との調整の見通しとそれに取り組む決意について、防衛大臣の答弁を求めます。
最後に、本件法案は抑止力の維持にかかわるものでありますが、抑止は安全保障問題のコインの一面であり、もう一つの面は、言うまでもなく対話であります。抑止なき対話も、対話なき抑止も平和の維持に失敗してきたこと、抑止と対話の賢明なバランスこそ持続的な平和の構造を構築する基本であることは、歴史の教えるところであります。
昨年九月三十日に行われた公明党大会で採択された新宣言において、我が国はアジアとの共生、統合を進めるとともに太平洋のかけ橋となることを目指すべきことを打ち出しております。二十一世紀のアジア太平洋地域において、我が国としてどのような安全保障対話を進めていくのか、日米と中国との戦略対話と信頼醸成、ASEAN地域フォーラムの活用、六カ国協議における北東アジア安全保障メカニズム等についてどのように考えておられるのか、外務大臣並びに防衛大臣の御見解をお聞きして、私の質問を終わります。
以上です。(拍手)
〔国務大臣久間章生君登壇〕