湯元健治の発言 (予算委員会公聴会)
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○湯元公述人 湯元でございます。
まず、河井先生の御指摘になられました経済や物価、足元、消費者物価でわずか〇・一%の上昇、それからGDPデフレーターでは、依然としてまだ前年対比で〇・五%のマイナス、こういう状況になっておるわけであります。
それから、名目経済成長率も、二〇〇六年度実績見込み一・五でございますが、二〇〇六暦年の実績が出ておりまして、これがまだ一・二%ということでございますので、基本的に、どういう状況になるとこれが上がっていく形になるのかというイメージを描きますと、これは名目でございますから、やはり企業部門で利益が出る、あるいは個人の所得が増加していく、賃金が増加していく、こういう局面になることが必要でございます。
そして企業の利益という意味では、ここ五年連続、増収増益。利益水準あるいは利益率を見ましても、バブル期のピークを超えるような高水準になってきている。問題は、この部分が家計部門に波及する度合いというのが、予想対比で見ますとまだ極めて緩やかな状況にとどまっているということだろうと思います。
そして、私は、もちろんこれは政策的になかなかいかないということであれば、いろいろな形で考える必要性というのはあるのかと思いますけれども、これまでの過去五年間、非常に日本経済、どん底に落ち込んだ局面からどうやってはい上がっていくのか、これは構造改革を進めていくことによってはい上がって、ここまで来たということであります。そして、この構造改革を進めるプロセスで、特に企業部門において三つの過剰と言われる人、物、金の過剰があった。この人、物、金の過剰をすべて正常な状況に戻してくる、このために十年ぐらいの期間を要したということでありまして、昨年の動きというのも、いま一つ家計部門に配分が回らなかったという点でありますけれども、これも私はかなり最終局面の方に来ているのではないかなという感じがいたします。
一つは、先ほど先生の御指摘になりました団塊世代というのが退職期を迎えるということでありまして、ここでかなり有能な技能や知識を持った労働者が退職、退出してまいります。企業にとりまして、今全体的に有効求人倍率が一・〇八倍という程度にとどまっていますけれども、実は、機械や電機や情報処理関係のところの技能労働者、専門職、技術職、こういったところに限って見ますと三倍から五倍といったような倍率になっているわけでありまして、企業が求める、欲する人材と現実に存在している人材の間にギャップが大きいということが大きな要因になっているかと思います。
したがいまして、まさに重要なことは、人材、能力開発、これは企業自身がやっていかないといけない部分もあるわけでありますけれども、そういうものを政策として側面から支えていく。
格差の問題ですとかいろいろなことが指摘されていますけれども、実際にこの結果としての差を、必要以上に落ちこぼれていく人たちはセーフティーネットという形で救っていくということは当然必要ですが、本来は、そのセーフティーネット以下に落ちていない人たちで、まだそれなりの不満を持っている方々が残っておりますので、こういう人たちにいかに能力を身につけさせるか。そしてそれは、この厳しいグローバル競争の中で、企業自身が実は人材に対していろいろな投資をして人を育成してきた。この機能が少し競争の中で、あるいは三つの過剰を削減するプロセスの中で弱まってきてしまっている、フリーター、ニートの問題なんかもそういうプロセスの中で出てきましたので。
方向として、今、景気の回復、経済成長の回復ということで、これは改善の方向に少しずつ向かっていると思いますし、これからの人材不足時代の本格的到来というのを考えますと、ある意味では、そういった能力、専門的知識を持っている人については相当な賃金を払ってでも獲得していく、こういう方向に行くと思いますが、これがもし十分にいかないということであれば、そういった人たちを早く、さらに大量につくっていく、いわゆるエンプロイアビリティー。これは、一つの会社で仕事をしていく能力ではなくて、どこの会社に行っても自分は自信を持ってこういう仕事ができるんだ、そしてその仕事がきちっと社会や会社から評価されていく、そしてさらにその評価されたものに見合った賃金がうまくもらえる、こういう仕組みに徐々にこれから切りかわっていこうとしておりますし、切りかわっていく方向になると思います。
したがいまして、今進められているような若者就業支援や再チャレンジ、あるいは底上げ戦略、こういうことをより具体的に実行していく。これが着実に実行されていけば、この内閣府の描くシナリオというのが実現できる可能性は、私はあると思います。現時点では、足元の現状と比べたときに、まだ非常に遠い目標というふうに見えますけれども、方向としては十分可能であるというふうに考えております。
それから、金利の問題ですけれども、これはこの内閣府の試算では、経済成長と金利というのはほぼ同じぐらいという見通しになっておりますので、これも望ましい方向、ベストシナリオとしてはこういう感じになるのがいいと思います。金利が上がったときの利払い負担の増加というのは経済成長による税収の増加で相殺されますので、その場合には余り財政に大きな影響はもたらさないということでありますけれども、過去の経験則、主要先進国も含めた一九八〇年代以降の平均的な金利の上昇と成長率を見ますと、やはり金利の上昇の方が高くなるというのが正常な経済状態では起きやすい現象であります。
ただ、今の状況というのは、世界的にも企業部門が金余り、キャッシュフローが非常に余剰になっておりますから、なかなかそれが資金需要とかそういうものを通じて金利上昇につながっていかない。経済成長と金利というのはさほど変わらない、同じぐらいの状態になっているということでありますけれども、将来的には、やはりそれが少しずつ変わってくる可能性、五年後とかそういう先までをにらみますと変わってくる可能性がありますので、逆に言いますと、今のうちから金利負担が大きくならないように債務残高を圧縮していく、この努力が必要であります。
これは、もちろん、プライマリーバランスの黒字化をして、黒字をふやしていくというのはかなり時間を要する話ですから、短期的にはやはりバランスシートというのをどんどん縮小して、それによって、例えば債務残高GDP比というのは昨年度の予算でも若干上昇率が鈍化するといったようなことが起きておりますので、特別会計の改革を初めとした、あるいは政府資産の圧縮を初めとした努力を進めていくということが、そういった金利上昇に備えるという意味でも極めて重要な課題ではないかと思っております。
ありがとうございます。