予算委員会公聴会
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会
会議録情報#0
平成十九年二月二十一日(水曜日)
午前九時開議
出席委員
委員長 金子 一義君
理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君
理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君
理事 萩山 教嚴君 理事 森 英介君
理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君
理事 赤松 正雄君
安次富 修君 井上 喜一君
稲田 朋美君 上野賢一郎君
臼井日出男君 遠藤 武彦君
小野寺五典君 大島 理森君
大塚 拓君 大野 功統君
河井 克行君 河村 建夫君
倉田 雅年君 佐藤 剛男君
笹川 堯君 中馬 弘毅君
中野 清君 西村 康稔君
馳 浩君 深谷 隆司君
細田 博之君 増原 義剛君
三ッ林隆志君 三ッ矢憲生君
三原 朝彦君 宮下 一郎君
村田 吉隆君 岩國 哲人君
小川 淳也君 大串 博志君
逢坂 誠二君 岡田 克也君
川内 博史君 寺田 学君
中井 洽君 原口 一博君
馬淵 澄夫君 前原 誠司君
松木 謙公君 森本 哲生君
江田 康幸君 大口 善徳君
丸谷 佳織君 赤嶺 政賢君
穀田 恵二君 佐々木憲昭君
阿部 知子君 重野 安正君
糸川 正晃君
…………………………………
公述人
(慶應義塾大学経済学部教授)
(株式会社富士通総研経済研究所理事長) 島田 晴雄君
公述人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 逢見 直人君
公述人
(株式会社日本総合研究所調査部長) 湯元 健治君
公述人
(労働相談サポートデスク相談員) 芝 威君
公述人
(関西大学大学院会計研究科教授) 宮本 勝浩君
公述人
(夕張青年会議所直前理事長)
(北寿産業株式会社常務取締役) 柳沼 伸幸君
公述人
(大阪商工会議所副会頭) 小池 俊二君
公述人
(全国労働組合総連合事務局長) 小田川義和君
予算委員会専門員 清土 恒雄君
—————————————
委員の異動
二月二十一日
辞任 補欠選任
西村 康稔君 上野賢一郎君
深谷 隆司君 安次富 修君
三原 朝彦君 村田 吉隆君
岩國 哲人君 森本 哲生君
岡田 克也君 逢坂 誠二君
大口 善徳君 江田 康幸君
佐々木憲昭君 赤嶺 政賢君
阿部 知子君 重野 安正君
同日
辞任 補欠選任
安次富 修君 大塚 拓君
上野賢一郎君 西村 康稔君
村田 吉隆君 三原 朝彦君
逢坂 誠二君 寺田 学君
森本 哲生君 岩國 哲人君
江田 康幸君 大口 善徳君
赤嶺 政賢君 穀田 恵二君
重野 安正君 阿部 知子君
同日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 深谷 隆司君
寺田 学君 岡田 克也君
穀田 恵二君 佐々木憲昭君
—————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成十九年度一般会計予算
平成十九年度特別会計予算
平成十九年度政府関係機関予算
————◇—————
この発言だけを見る →午前九時開議
出席委員
委員長 金子 一義君
理事 斉藤斗志二君 理事 実川 幸夫君
理事 杉浦 正健君 理事 園田 博之君
理事 萩山 教嚴君 理事 森 英介君
理事 枝野 幸男君 理事 中川 正春君
理事 赤松 正雄君
安次富 修君 井上 喜一君
稲田 朋美君 上野賢一郎君
臼井日出男君 遠藤 武彦君
小野寺五典君 大島 理森君
大塚 拓君 大野 功統君
河井 克行君 河村 建夫君
倉田 雅年君 佐藤 剛男君
笹川 堯君 中馬 弘毅君
中野 清君 西村 康稔君
馳 浩君 深谷 隆司君
細田 博之君 増原 義剛君
三ッ林隆志君 三ッ矢憲生君
三原 朝彦君 宮下 一郎君
村田 吉隆君 岩國 哲人君
小川 淳也君 大串 博志君
逢坂 誠二君 岡田 克也君
川内 博史君 寺田 学君
中井 洽君 原口 一博君
馬淵 澄夫君 前原 誠司君
松木 謙公君 森本 哲生君
江田 康幸君 大口 善徳君
丸谷 佳織君 赤嶺 政賢君
穀田 恵二君 佐々木憲昭君
阿部 知子君 重野 安正君
糸川 正晃君
…………………………………
公述人
(慶應義塾大学経済学部教授)
(株式会社富士通総研経済研究所理事長) 島田 晴雄君
公述人
(日本労働組合総連合会副事務局長) 逢見 直人君
公述人
(株式会社日本総合研究所調査部長) 湯元 健治君
公述人
(労働相談サポートデスク相談員) 芝 威君
公述人
(関西大学大学院会計研究科教授) 宮本 勝浩君
公述人
(夕張青年会議所直前理事長)
(北寿産業株式会社常務取締役) 柳沼 伸幸君
公述人
(大阪商工会議所副会頭) 小池 俊二君
公述人
(全国労働組合総連合事務局長) 小田川義和君
予算委員会専門員 清土 恒雄君
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委員の異動
二月二十一日
辞任 補欠選任
西村 康稔君 上野賢一郎君
深谷 隆司君 安次富 修君
三原 朝彦君 村田 吉隆君
岩國 哲人君 森本 哲生君
岡田 克也君 逢坂 誠二君
大口 善徳君 江田 康幸君
佐々木憲昭君 赤嶺 政賢君
阿部 知子君 重野 安正君
同日
辞任 補欠選任
安次富 修君 大塚 拓君
上野賢一郎君 西村 康稔君
村田 吉隆君 三原 朝彦君
逢坂 誠二君 寺田 学君
森本 哲生君 岩國 哲人君
江田 康幸君 大口 善徳君
赤嶺 政賢君 穀田 恵二君
重野 安正君 阿部 知子君
同日
辞任 補欠選任
大塚 拓君 深谷 隆司君
寺田 学君 岡田 克也君
穀田 恵二君 佐々木憲昭君
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本日の公聴会で意見を聞いた案件
平成十九年度一般会計予算
平成十九年度特別会計予算
平成十九年度政府関係機関予算
————◇—————
金
金子一義#1
○金子委員長 これより会議を開きます。
平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございました。平成十九年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず島田公述人、次に逢見公述人、次に湯元公述人、次に芝公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、島田公述人にお願いいたします。
この発言だけを見る →平成十九年度一般会計予算、平成十九年度特別会計予算、平成十九年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
この際、公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席をいただき、まことにありがとうございました。平成十九年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
御意見を賜る順序といたしましては、まず島田公述人、次に逢見公述人、次に湯元公述人、次に芝公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
それでは、島田公述人にお願いいたします。
島
島田晴雄#2
○島田公述人 島田でございます。公述をさせていただきます。
二〇〇七年度予算は、八十二・九兆ということで案がつくられておりますが、これは今年度、大変景気が向上いたしまして、七・六兆円の税の増収があったわけですね。その増収はありましたけれども、歳出は今年度に比べて〇・六兆増ということで、一口で言えば財政再建型の予算ということが言えると思います。大変手がたいお仕事をなさったというふうに思います。
そのおかげで、二〇一一年度の黒字化目標、いろいろなシミュレーションがありますけれども、楽観ケースでは、増税なしでも実現できるのではないかということも視野に入ってきたということで、健全な予算設定だと思います。
それから、安倍政権は幾つか特徴的な政策を打ち出しておられますが、教育、これは学力調査とか学校評価、わずかですけれどもつけておられる。また、再チャレンジ、子育て支援といったところでめり張りをつけておられますが、額は小さいんですけれども、それぞれやっておられるということだと思います。
社会保障については、自然増六千億円ということはそのまま認めておられますけれども、ただ、雇用保険の国庫負担分の削減というのを思い切ってなさったので緊縮予算ですね。中小企業対策、科学技術、情報化、控え目な額でもって質を高めようということで、一口で言えば、大変手がたい財政再建型の予算ではないかというふうに思います。
ただ、きょう、私はせっかくの時間をいただきましたので、これからの日本経済の長期の展望をいたしました場合に、非常に大きな課題が我々の眼前にある。それは何かというと、人口が減っていく、高齢化していく、経済社会は成熟化していく、そういう中で、新しい活力、繁栄の手がかりをどうつかむかということですね。このままでは労働力が非常に不足していって高コスト経済になってしまう、そういうおそれが強いわけですね。
私は、今こそ労働の側面に大いに注力すべきだというふうに思います。上げ潮戦略ということを言っておられますし、成長力の底上げということを強調されておられるのは大変適切だと思いますが、この成長力を底上げする基盤というのは何をおいても人材資源でございますから、そこらについて一言申し上げたいと思います。
キーワードは、労働の質を高めることも重要なんですが、それより雇用の質を高めるということがはるかに重要だ、私は、これは先生方にぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですね。つまり、同じ労働者でも、雇用の質、つまり資本設備とか働き方とか市場環境とかが整いますと、何割も生産性を高めることができる。わかりやすく言えば、自転車で通勤しなさいというのに対して、車を一台与えるから頑張りなさいと言ったら、全然生産性が上がるわけですね。ですから、むしろ、労働の質そのものも大切だけれども、もっと大切なのは雇用の質だ。同じ労働者がもっと生産性を上げて、もっと楽しく暮らせるという工夫があるので、その点について申し上げたいと思います。
これのキーワードになるのは生産性なんですね。生産性ということで考えますと、日本の経済構造は三重構造になっていると思います。一つは、大変頑張っている国際級の企業ですね、トヨタとかソニーとかありますが、これはスポーツでいえば金メダルがとれるような企業ですね。それから、ほとんどの物づくり、製造業というのは頑張っていて、そこそこ国際級なんですね。ところが、大変恐縮なんですけれども、それ以外の第三次産業とか第一次産業の大部分は、まことに恐縮なんですが、物すごく生産性が低いんですね。この部分の生産性を上げる、雇用の質を高めることによって生産性を上げるということで、日本経済の高齢成熟化・人口縮小社会に十分対応していけるということをきょうは申し上げたいと思います。
ちょっと御参考のために数字を申し上げますが、日本では、全就業者が約六千四百万人おられるわけですが、サービス業が二千百七十万人、卸売、小売が千八十万人、建設、建築が五百五十九万人、農林水産が三百三十四万人で、合わせると四千百万人ぐらい、この部分の大部分が大変生産性が低いんですね。なぜ生産性が低いかというと、原因は構造的な要因です。幾つか申し上げますが、これらの業界では、業界の競争体質が極めて弱い、非競争体質ですね。情報が不透明だ、それから政府の保護があちこちに入っている、そして効率経営が不在だということです。
例えば建築、建設の分野なんかをとりますと、実は大変生産性が低くて、欧米諸国に比べると、同じような家でも値段が随分高いんですね。資材価格というのは一、二割しかございませんので、ソフトのところが非常に生産性が低いということです。その結果何が起きているかというと、価格がばらばらなんですね。
例えば、リフォームをするときに、幾つかの業者に相みつをとってみたらすぐわかりますけれども、百万円でいいというのと三百万円でいいというのがばらばらに分布します。何でこんなことがまかり通るのかというと、情報開示が不十分で、競争が不十分なために、三百万の業者が平気で生存するということなんですね。競争が行き渡ってきますと、全部百万円のところへ収れんします。ということは、生産性が上がる、そして勤労者の所得が上がる可能性が出てくるわけで、そういうことが必要なんですね。これは、農業でも医療などのようなサービス業でも、同じようなことが見られます。
ですから、そうしたら、どういうことをすればいいのかというと、規制の改革ですけれども、規制は競争を促進すると同時に、ただ、競争を促進するといろいろなことが起きてくるわけですね。ですから、厳正な評価、厳正な監査というのは同時にやらなきゃいけない、とかくそこが手抜きになるものですから、規制改革の効果が生きないんですけれども。
建設の談合禁止は当たり前のことですけれども、建築でコンストラクションマネジメントというような業種が日本にはないんですけれども、そういうこともしなきゃいけませんし、流通でいうと、卸売が多段階過ぎる、小売がいかにも生産性が低過ぎる、零細企業が多過ぎる、それから情報化、Eコマース、ああいうものをもっと徹底する必要がある。農業でいいますと、土地の集約化、流動化、土地利用の改革。例えば、何十年前に線引きした市街化調整区域に手が入らないなんということが今でもあるわけですね。
それから、農業は本来は知識集約型産業なので、効率化と技術革新をもっと進めていけば輸出農業も可能になる、こういうことでございます。大いにそのあたりを政策的に取り組んでいってもらいたいと思うんですね。それから、株式会社のような企業の参入、あるいは人材のもっと徹底的な教育ということでやっていく必要がある。
サービス業は、雑多な、いろいろな業種がありますけれども、大きい分野でいうと医療が非常に大きな分野だと思うんですね。これは、三時間待って三分医療とか、全国の一万の病院の大部分が破綻に近いとか、ユーザーもお医者様も政府もみんな困っているわけですね。
何がいけないかというと、これは仕組みが悪いんです。基本的に言うと、幾つかありますけれども、一番大きいのがやはり診療報酬だと思いますね。診療報酬が出来高払いになっているということが生産性を低くしている大きな理由で、ベッド数が多いのもその理由ですね。本当は包括標準日払いのようなものを入れなければいけないんですが、このためには、医療の膨大なデータベースを分析するという基本的なインフラが必要ですね。しかも、的確な評価をするというようなインフラがないとできませんが、そういうことをすれば、相当効率的で質の高い医療というのが可能になる。あるいは、レセプトの電子化、総合デジタル化、これはなかなか雇用問題も絡んで難しいんですけれども、こういうことを断行すればさま変わりになる。
医療の経営も大変問題があって、一万ぐらいある病院の八割ぐらいが破綻に近いんですけれども、実はそのうちの七割が公立病院なんですね。ですから、この辺は病院管理が徹底していない。いろいろなことがあります。一つの例を申し上げましたけれども、サービス業はこういうことが多いわけですね。
医療というのは、本来は成長産業なんですね。日本はほとんどが公的でカバーされておりますけれども、実は、民間部門を大きくすることによって、高齢社会のいいサービスをすることによって経済が成長する、そういうことができる。そのためには、自由診療、混合診療を大いに認めていくというようなことが必要ですし、先端医療あるいは健康づくり医療というようなことがございまして、実は、我々の目前に高齢成熟社会を控えて、やるべきことは非常にあるわけですね。ぜひ、この予算をキックオフにして、本格的に突っ込んでいただきたいな。
予算の額じゃないんですね。今私が申し上げているような物の考え方、要するに、同じ人々でも生産性が上げられるんだ、そのためには仕組みをよくするんだ、徹底的な改革をして、監査もし、情報開示もさせる、こういう取り組みをしていただきたいと思います。
それから二番目のポイントですけれども、格差縮小と再チャレンジ支援ということなんです。
格差論がいろいろ言われておりますけれども、基本的には、これはもう古今東西あらゆるデータを私も専門ですからずっと見ているんですけれども、成長期には格差が縮小します、不況期、停滞期には格差が拡大します。つまり、成長期には底上げが起きていく、停滞すると底が下がりますので格差が広がる。これは、短期でも長期でも法則と言っていいと思います。
小泉改革が格差を拡大したというのは、全くこれは逆のことなんですね。小泉改革は成長のために徹底的な構造改革をして成長路線に乗せたというのは何人も否定できないことだと思いますが、それが格差を縮める最大の戦略なんですね。ですから、小泉改革が格差を拡大したというのは的外れの批判でございます。
中長期的な傾向値でいいますと、長期的な格差拡大の背景というのは、実は高齢化なんですね。高齢者というのは、長い人生の間、格差が自分の世代内で広がりますから、そういう方々がふえていくということが格差を拡大させる。短期的に実は今、格差が拡大、ジニ係数その他で見られるんですけれども、これはある種のラグ効果だと思います。バブル崩壊後の経済低迷の効果が遅行指標で残っているものですから、今、短期的に格差が拡大するということは部分的にあります。
ということで、改革と成長こそが格差を縮める王道だということはぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですが、ただ、そうはいいながらも、経済機会に恵まれないでこぼれていく人がいらっしゃるんですね。ここは我々、徹底的に支援する、あるいは救済するということだと思います。一般的な格差論ではないんですね、本当に恵まれない方々がいらっしゃいますから。
ところが、先生方にぜひこれはお願いしたいんですけれども、経済機会に恵まれないというのは、雇用機会に恵まれない、教育訓練機会に恵まれない、そういう方々がどこに、どれだけ、どういう形で分布しているかというのを掌握していないんですね、この国は。私も一生懸命やりましたけれども、ぜひ先生方にお願いしたいのは、例えば、今失業者は二百四十四万人いるということが労働力調査で出ているわけですけれども、雇用保険事業統計で、職業安定所が雇用保険を出している人、受給者は六十一万人しかいないんですね。あとの百八十万人はどうなっているんですか。金の切れ目が縁の切れ目で、業務統計で押さえられていない人はどこへ行っているかわからないんですよ。ですから、この中にフリーターがいたりニートがいたりというようですけれども、実はわかっていません。
私は、これは専門ですから徹底的にやったんだけれども、ではどうすればできるかというと、具体的には、例えば労働力調査に雇用保険に関する項目が入っておりません。ですから、今もらっているんですか、先月までもらっていたんですか、最初からもらっていないんですかというような質問とか、今どういう所得をもらっているんですかというような質問、だれから仕送りを受けているんですかというような質問を入れておけば、これはつながる。そんなこともしないで、余り言いませんけれども、何が再チャレンジかということなんですよ。基本的に、実態をしっかり掌握してから政策を立てていただきたいと思う。
つい最近も、その実態掌握のことはやらないとどなたかおっしゃったというのが新聞記事に出ていて仰天したんですけれども、やはり問題だと思います。短期でやらなければならないことはあるんです。しかし、中長期で腰を据えてしっかり横綱相撲をとらなきゃいかぬ。そうしなければ、先進国の中でこれはみっともない姿ですね。
それから、フリーターと俗に言っていますけれども、内閣府が数年前に四百十七万いる、厚生労働省は、いや、そうじゃないんだ、二百一万なんだと。何を言っているんですか。国民はわからないですよ、こんなこと言われたら。それから、ニートが内閣府は八十五万という、厚生労働省は六十四万、それは家事手伝いの女の人を入れなかったからと。これは多少理由がありますけれども、こういうことはもっとしっかり、何がニートで何がフリーターなのか。
それから、生活保護ですけれども、今百四十七万人おられるんですが、これは働くと生活保護給付が削減されますから、それでは全くインセンティブにならない。一体どういう人が何を望んでいて、どんな生活をしたいのか、そういう特別調査、緊急調査を幾つかやりつつ、再チャレンジに挑んでいただきたいと思います。
それから、フリーターがふえているから正規雇用を義務化した方がいいというような議論もあれこれ聞かれるんですけれども、私は、はっきり申し上げますが、これは逆効果になると思います。
なぜかというと、そもそも、表面単価は派遣や請負は高いんですよ。しかし、トータルコストの企業負担は正規雇用の方が高いんですね。国際競争の中でやむにやまれず雇用の多様化を図ってきているわけです。また、短時間就労の方がいいという人も若干はいらっしゃいますけれども、そういう状況があるのはいいとは言いませんけれども、そこで例えば正規雇用を義務化するというようなことをしますと、雇用が海外に逃げますね。元も子もなくなる。ですから、これは大いに研究する必要があって、答えは、雇用を多様化するということの中から、人々の実力相応の給料を払うという仕掛けをつくっていかなければいかぬと思います。
それから、最後に一つ申し上げたいのは、人口が極端に減ってまいります。今一億二千八百万ほど人口がありますけれども、四十三年後、つまり二〇五〇年、働く人の一世代ですよね、一世代のうちに、昨年の人口推計ですと、中位推計で九千五百万人、下位推計で八千九百万人になるというのが発表されていますね。今まで二十五年間、中位推計というのは当たったためしがないので、下位推計の方へ近づくのかなという嫌な予感がいたしますけれども、そうしますと、三千三百万人から三千八百万人の人口がこの日本列島から消えるわけですね、一世代内で。どこで消えるかというと、東京とか横浜とか滋賀や沖縄は消えないと言われていますが、ほかは激減するわけです。
そうすると、地方は機能不全に陥るんですね。地方というのは人材と食料の供給源ですから、地方が疲弊すれば大都会も成り立たないわけでございまして、人口そのものが減っていくことは構わないんですけれども、いい分布で、健全な分布で減っていくということをしなければいけない。
ところが、日本は共産主義国じゃありませんから、それをどう図るかというと、人々が本当は実現したいことがあるんですね。それは、高齢成熟社会ですから、皆さん健康な生活をしたい。健康の最大の条件は何かというと、きれいな空気ときれいな水とストレスがないということです。ということは、地方にその条件が十分あるんですね。大都会には余りないんですね。ただ、それだけじゃ人は来ません。ですから、観光とか生活産業サービスとか、きめの細かいサービスをしていただくということで人を集めることができるんですね。
実は、新聞記事を一つ書きましたが、きょう先生方のお手元に新聞記事を届けてございますけれども、「地方の活路 熟年移住に」、二枚目ですけれども、これは全国でいろいろな自治体が頑張っています、人を誘致しようとして。ただ、ばらばらにやっているので国民的な流れになっていないということで、最後に一つ申し上げたいのは、ばらばらにやらないで、大きな流れにするような工夫を官民こぞってやる必要があるんじゃないかというふうに思います。
例えば、官でいいますと、国土交通省は二地域居住と言っていますし、農林水産省はグリーンツーリズム、就農支援、経産省は集客交流、総務省も調査に入りました。ばらばらにやっているんですけれども、そういうことですよというのを各県の県庁や自治体が受けとめるとどういうことになるかというと、余りにばらばらに来て、何をやっているかわからないんですね。非常に対応に困っています。
ですから、これはやはり官邸の役割だと思うんですね。官邸が、そういう時代になったんだと。戦後数十年間、東京に行こう、東京に行こうといって人が集まって、経済発展して、そしてアメリカに輸出をして、その上がりをもらって、それを全国各地に交付金でまいて発展するというのが戦後の発展モデルです。その時代が終わって、世界の工場は中国になりつつある、日本には高付加価値の物づくりが残る。しかし、人々は働いたので相当の貯蓄を持っているけれども、高齢化していて健康が非常に心配だというときに、地方に行くとすばらしい健康のできる環境がありますよ、建物はもう四分の一、五分の一、生活費も半額ぐらいでできますよ、老後の生活のめどが立ちますよというような情報がまだ伝わっていない。
これを伝えるのは企業だと私は思うんですね。つまり、戦後ずっと人々が都会に集中したのは、企業が人が欲しくて、金のわらじを履いて全国各地へ、集まって東京へ行けばいいんだよと言ったので、人々が集まってきたわけですね。今はそうではなくて、みんな働いて多少お疲れになっているわけですから、地方に行くとこんないいチャンスがありますよというのを企業がどんどん言う。そうすると人が動きます。動けば企業は必ずもうかります、旅行社も交通も自動車も何もかも。
ですから、企業、社会が寄ってたかってそういう動きをする、ネットをつくる、情報を流す。それを官邸が中心になって、これが次の時代の戦略なんですよというふうにしていただきますと、人々が健康を求めて人口配分が健全になりますから、日本はいい循環に動くようになるんですね。
そういうことでございまして、私が今申し上げているのは、ほとんど予算のかからない話ばかりです。私は、予算さえつければ仕事は終わるという考え方は余り賛成じゃなくて、予算をつけて仕事が終わるという考え方は麻薬ですよね。補助金は毒薬だと思っていますので、そういうことをしない。
物の考え方を政府はしっかり言って、民の動きを支援する。しかし、しっかりと情報の開示、監督管理はするということで、日本を健全な国にしてもらいたい。今、そういうところへ一歩確実に踏み出すときが来ている。
まず人材を大切にする。人に、ただただ働けとか訓練しろとか言うことじゃなくて、雇用の質を高める時代に入ったんだというふうに思います。
どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →二〇〇七年度予算は、八十二・九兆ということで案がつくられておりますが、これは今年度、大変景気が向上いたしまして、七・六兆円の税の増収があったわけですね。その増収はありましたけれども、歳出は今年度に比べて〇・六兆増ということで、一口で言えば財政再建型の予算ということが言えると思います。大変手がたいお仕事をなさったというふうに思います。
そのおかげで、二〇一一年度の黒字化目標、いろいろなシミュレーションがありますけれども、楽観ケースでは、増税なしでも実現できるのではないかということも視野に入ってきたということで、健全な予算設定だと思います。
それから、安倍政権は幾つか特徴的な政策を打ち出しておられますが、教育、これは学力調査とか学校評価、わずかですけれどもつけておられる。また、再チャレンジ、子育て支援といったところでめり張りをつけておられますが、額は小さいんですけれども、それぞれやっておられるということだと思います。
社会保障については、自然増六千億円ということはそのまま認めておられますけれども、ただ、雇用保険の国庫負担分の削減というのを思い切ってなさったので緊縮予算ですね。中小企業対策、科学技術、情報化、控え目な額でもって質を高めようということで、一口で言えば、大変手がたい財政再建型の予算ではないかというふうに思います。
ただ、きょう、私はせっかくの時間をいただきましたので、これからの日本経済の長期の展望をいたしました場合に、非常に大きな課題が我々の眼前にある。それは何かというと、人口が減っていく、高齢化していく、経済社会は成熟化していく、そういう中で、新しい活力、繁栄の手がかりをどうつかむかということですね。このままでは労働力が非常に不足していって高コスト経済になってしまう、そういうおそれが強いわけですね。
私は、今こそ労働の側面に大いに注力すべきだというふうに思います。上げ潮戦略ということを言っておられますし、成長力の底上げということを強調されておられるのは大変適切だと思いますが、この成長力を底上げする基盤というのは何をおいても人材資源でございますから、そこらについて一言申し上げたいと思います。
キーワードは、労働の質を高めることも重要なんですが、それより雇用の質を高めるということがはるかに重要だ、私は、これは先生方にぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですね。つまり、同じ労働者でも、雇用の質、つまり資本設備とか働き方とか市場環境とかが整いますと、何割も生産性を高めることができる。わかりやすく言えば、自転車で通勤しなさいというのに対して、車を一台与えるから頑張りなさいと言ったら、全然生産性が上がるわけですね。ですから、むしろ、労働の質そのものも大切だけれども、もっと大切なのは雇用の質だ。同じ労働者がもっと生産性を上げて、もっと楽しく暮らせるという工夫があるので、その点について申し上げたいと思います。
これのキーワードになるのは生産性なんですね。生産性ということで考えますと、日本の経済構造は三重構造になっていると思います。一つは、大変頑張っている国際級の企業ですね、トヨタとかソニーとかありますが、これはスポーツでいえば金メダルがとれるような企業ですね。それから、ほとんどの物づくり、製造業というのは頑張っていて、そこそこ国際級なんですね。ところが、大変恐縮なんですけれども、それ以外の第三次産業とか第一次産業の大部分は、まことに恐縮なんですが、物すごく生産性が低いんですね。この部分の生産性を上げる、雇用の質を高めることによって生産性を上げるということで、日本経済の高齢成熟化・人口縮小社会に十分対応していけるということをきょうは申し上げたいと思います。
ちょっと御参考のために数字を申し上げますが、日本では、全就業者が約六千四百万人おられるわけですが、サービス業が二千百七十万人、卸売、小売が千八十万人、建設、建築が五百五十九万人、農林水産が三百三十四万人で、合わせると四千百万人ぐらい、この部分の大部分が大変生産性が低いんですね。なぜ生産性が低いかというと、原因は構造的な要因です。幾つか申し上げますが、これらの業界では、業界の競争体質が極めて弱い、非競争体質ですね。情報が不透明だ、それから政府の保護があちこちに入っている、そして効率経営が不在だということです。
例えば建築、建設の分野なんかをとりますと、実は大変生産性が低くて、欧米諸国に比べると、同じような家でも値段が随分高いんですね。資材価格というのは一、二割しかございませんので、ソフトのところが非常に生産性が低いということです。その結果何が起きているかというと、価格がばらばらなんですね。
例えば、リフォームをするときに、幾つかの業者に相みつをとってみたらすぐわかりますけれども、百万円でいいというのと三百万円でいいというのがばらばらに分布します。何でこんなことがまかり通るのかというと、情報開示が不十分で、競争が不十分なために、三百万の業者が平気で生存するということなんですね。競争が行き渡ってきますと、全部百万円のところへ収れんします。ということは、生産性が上がる、そして勤労者の所得が上がる可能性が出てくるわけで、そういうことが必要なんですね。これは、農業でも医療などのようなサービス業でも、同じようなことが見られます。
ですから、そうしたら、どういうことをすればいいのかというと、規制の改革ですけれども、規制は競争を促進すると同時に、ただ、競争を促進するといろいろなことが起きてくるわけですね。ですから、厳正な評価、厳正な監査というのは同時にやらなきゃいけない、とかくそこが手抜きになるものですから、規制改革の効果が生きないんですけれども。
建設の談合禁止は当たり前のことですけれども、建築でコンストラクションマネジメントというような業種が日本にはないんですけれども、そういうこともしなきゃいけませんし、流通でいうと、卸売が多段階過ぎる、小売がいかにも生産性が低過ぎる、零細企業が多過ぎる、それから情報化、Eコマース、ああいうものをもっと徹底する必要がある。農業でいいますと、土地の集約化、流動化、土地利用の改革。例えば、何十年前に線引きした市街化調整区域に手が入らないなんということが今でもあるわけですね。
それから、農業は本来は知識集約型産業なので、効率化と技術革新をもっと進めていけば輸出農業も可能になる、こういうことでございます。大いにそのあたりを政策的に取り組んでいってもらいたいと思うんですね。それから、株式会社のような企業の参入、あるいは人材のもっと徹底的な教育ということでやっていく必要がある。
サービス業は、雑多な、いろいろな業種がありますけれども、大きい分野でいうと医療が非常に大きな分野だと思うんですね。これは、三時間待って三分医療とか、全国の一万の病院の大部分が破綻に近いとか、ユーザーもお医者様も政府もみんな困っているわけですね。
何がいけないかというと、これは仕組みが悪いんです。基本的に言うと、幾つかありますけれども、一番大きいのがやはり診療報酬だと思いますね。診療報酬が出来高払いになっているということが生産性を低くしている大きな理由で、ベッド数が多いのもその理由ですね。本当は包括標準日払いのようなものを入れなければいけないんですが、このためには、医療の膨大なデータベースを分析するという基本的なインフラが必要ですね。しかも、的確な評価をするというようなインフラがないとできませんが、そういうことをすれば、相当効率的で質の高い医療というのが可能になる。あるいは、レセプトの電子化、総合デジタル化、これはなかなか雇用問題も絡んで難しいんですけれども、こういうことを断行すればさま変わりになる。
医療の経営も大変問題があって、一万ぐらいある病院の八割ぐらいが破綻に近いんですけれども、実はそのうちの七割が公立病院なんですね。ですから、この辺は病院管理が徹底していない。いろいろなことがあります。一つの例を申し上げましたけれども、サービス業はこういうことが多いわけですね。
医療というのは、本来は成長産業なんですね。日本はほとんどが公的でカバーされておりますけれども、実は、民間部門を大きくすることによって、高齢社会のいいサービスをすることによって経済が成長する、そういうことができる。そのためには、自由診療、混合診療を大いに認めていくというようなことが必要ですし、先端医療あるいは健康づくり医療というようなことがございまして、実は、我々の目前に高齢成熟社会を控えて、やるべきことは非常にあるわけですね。ぜひ、この予算をキックオフにして、本格的に突っ込んでいただきたいな。
予算の額じゃないんですね。今私が申し上げているような物の考え方、要するに、同じ人々でも生産性が上げられるんだ、そのためには仕組みをよくするんだ、徹底的な改革をして、監査もし、情報開示もさせる、こういう取り組みをしていただきたいと思います。
それから二番目のポイントですけれども、格差縮小と再チャレンジ支援ということなんです。
格差論がいろいろ言われておりますけれども、基本的には、これはもう古今東西あらゆるデータを私も専門ですからずっと見ているんですけれども、成長期には格差が縮小します、不況期、停滞期には格差が拡大します。つまり、成長期には底上げが起きていく、停滞すると底が下がりますので格差が広がる。これは、短期でも長期でも法則と言っていいと思います。
小泉改革が格差を拡大したというのは、全くこれは逆のことなんですね。小泉改革は成長のために徹底的な構造改革をして成長路線に乗せたというのは何人も否定できないことだと思いますが、それが格差を縮める最大の戦略なんですね。ですから、小泉改革が格差を拡大したというのは的外れの批判でございます。
中長期的な傾向値でいいますと、長期的な格差拡大の背景というのは、実は高齢化なんですね。高齢者というのは、長い人生の間、格差が自分の世代内で広がりますから、そういう方々がふえていくということが格差を拡大させる。短期的に実は今、格差が拡大、ジニ係数その他で見られるんですけれども、これはある種のラグ効果だと思います。バブル崩壊後の経済低迷の効果が遅行指標で残っているものですから、今、短期的に格差が拡大するということは部分的にあります。
ということで、改革と成長こそが格差を縮める王道だということはぜひ念頭に置いていただきたいと思うんですが、ただ、そうはいいながらも、経済機会に恵まれないでこぼれていく人がいらっしゃるんですね。ここは我々、徹底的に支援する、あるいは救済するということだと思います。一般的な格差論ではないんですね、本当に恵まれない方々がいらっしゃいますから。
ところが、先生方にぜひこれはお願いしたいんですけれども、経済機会に恵まれないというのは、雇用機会に恵まれない、教育訓練機会に恵まれない、そういう方々がどこに、どれだけ、どういう形で分布しているかというのを掌握していないんですね、この国は。私も一生懸命やりましたけれども、ぜひ先生方にお願いしたいのは、例えば、今失業者は二百四十四万人いるということが労働力調査で出ているわけですけれども、雇用保険事業統計で、職業安定所が雇用保険を出している人、受給者は六十一万人しかいないんですね。あとの百八十万人はどうなっているんですか。金の切れ目が縁の切れ目で、業務統計で押さえられていない人はどこへ行っているかわからないんですよ。ですから、この中にフリーターがいたりニートがいたりというようですけれども、実はわかっていません。
私は、これは専門ですから徹底的にやったんだけれども、ではどうすればできるかというと、具体的には、例えば労働力調査に雇用保険に関する項目が入っておりません。ですから、今もらっているんですか、先月までもらっていたんですか、最初からもらっていないんですかというような質問とか、今どういう所得をもらっているんですかというような質問、だれから仕送りを受けているんですかというような質問を入れておけば、これはつながる。そんなこともしないで、余り言いませんけれども、何が再チャレンジかということなんですよ。基本的に、実態をしっかり掌握してから政策を立てていただきたいと思う。
つい最近も、その実態掌握のことはやらないとどなたかおっしゃったというのが新聞記事に出ていて仰天したんですけれども、やはり問題だと思います。短期でやらなければならないことはあるんです。しかし、中長期で腰を据えてしっかり横綱相撲をとらなきゃいかぬ。そうしなければ、先進国の中でこれはみっともない姿ですね。
それから、フリーターと俗に言っていますけれども、内閣府が数年前に四百十七万いる、厚生労働省は、いや、そうじゃないんだ、二百一万なんだと。何を言っているんですか。国民はわからないですよ、こんなこと言われたら。それから、ニートが内閣府は八十五万という、厚生労働省は六十四万、それは家事手伝いの女の人を入れなかったからと。これは多少理由がありますけれども、こういうことはもっとしっかり、何がニートで何がフリーターなのか。
それから、生活保護ですけれども、今百四十七万人おられるんですが、これは働くと生活保護給付が削減されますから、それでは全くインセンティブにならない。一体どういう人が何を望んでいて、どんな生活をしたいのか、そういう特別調査、緊急調査を幾つかやりつつ、再チャレンジに挑んでいただきたいと思います。
それから、フリーターがふえているから正規雇用を義務化した方がいいというような議論もあれこれ聞かれるんですけれども、私は、はっきり申し上げますが、これは逆効果になると思います。
なぜかというと、そもそも、表面単価は派遣や請負は高いんですよ。しかし、トータルコストの企業負担は正規雇用の方が高いんですね。国際競争の中でやむにやまれず雇用の多様化を図ってきているわけです。また、短時間就労の方がいいという人も若干はいらっしゃいますけれども、そういう状況があるのはいいとは言いませんけれども、そこで例えば正規雇用を義務化するというようなことをしますと、雇用が海外に逃げますね。元も子もなくなる。ですから、これは大いに研究する必要があって、答えは、雇用を多様化するということの中から、人々の実力相応の給料を払うという仕掛けをつくっていかなければいかぬと思います。
それから、最後に一つ申し上げたいのは、人口が極端に減ってまいります。今一億二千八百万ほど人口がありますけれども、四十三年後、つまり二〇五〇年、働く人の一世代ですよね、一世代のうちに、昨年の人口推計ですと、中位推計で九千五百万人、下位推計で八千九百万人になるというのが発表されていますね。今まで二十五年間、中位推計というのは当たったためしがないので、下位推計の方へ近づくのかなという嫌な予感がいたしますけれども、そうしますと、三千三百万人から三千八百万人の人口がこの日本列島から消えるわけですね、一世代内で。どこで消えるかというと、東京とか横浜とか滋賀や沖縄は消えないと言われていますが、ほかは激減するわけです。
そうすると、地方は機能不全に陥るんですね。地方というのは人材と食料の供給源ですから、地方が疲弊すれば大都会も成り立たないわけでございまして、人口そのものが減っていくことは構わないんですけれども、いい分布で、健全な分布で減っていくということをしなければいけない。
ところが、日本は共産主義国じゃありませんから、それをどう図るかというと、人々が本当は実現したいことがあるんですね。それは、高齢成熟社会ですから、皆さん健康な生活をしたい。健康の最大の条件は何かというと、きれいな空気ときれいな水とストレスがないということです。ということは、地方にその条件が十分あるんですね。大都会には余りないんですね。ただ、それだけじゃ人は来ません。ですから、観光とか生活産業サービスとか、きめの細かいサービスをしていただくということで人を集めることができるんですね。
実は、新聞記事を一つ書きましたが、きょう先生方のお手元に新聞記事を届けてございますけれども、「地方の活路 熟年移住に」、二枚目ですけれども、これは全国でいろいろな自治体が頑張っています、人を誘致しようとして。ただ、ばらばらにやっているので国民的な流れになっていないということで、最後に一つ申し上げたいのは、ばらばらにやらないで、大きな流れにするような工夫を官民こぞってやる必要があるんじゃないかというふうに思います。
例えば、官でいいますと、国土交通省は二地域居住と言っていますし、農林水産省はグリーンツーリズム、就農支援、経産省は集客交流、総務省も調査に入りました。ばらばらにやっているんですけれども、そういうことですよというのを各県の県庁や自治体が受けとめるとどういうことになるかというと、余りにばらばらに来て、何をやっているかわからないんですね。非常に対応に困っています。
ですから、これはやはり官邸の役割だと思うんですね。官邸が、そういう時代になったんだと。戦後数十年間、東京に行こう、東京に行こうといって人が集まって、経済発展して、そしてアメリカに輸出をして、その上がりをもらって、それを全国各地に交付金でまいて発展するというのが戦後の発展モデルです。その時代が終わって、世界の工場は中国になりつつある、日本には高付加価値の物づくりが残る。しかし、人々は働いたので相当の貯蓄を持っているけれども、高齢化していて健康が非常に心配だというときに、地方に行くとすばらしい健康のできる環境がありますよ、建物はもう四分の一、五分の一、生活費も半額ぐらいでできますよ、老後の生活のめどが立ちますよというような情報がまだ伝わっていない。
これを伝えるのは企業だと私は思うんですね。つまり、戦後ずっと人々が都会に集中したのは、企業が人が欲しくて、金のわらじを履いて全国各地へ、集まって東京へ行けばいいんだよと言ったので、人々が集まってきたわけですね。今はそうではなくて、みんな働いて多少お疲れになっているわけですから、地方に行くとこんないいチャンスがありますよというのを企業がどんどん言う。そうすると人が動きます。動けば企業は必ずもうかります、旅行社も交通も自動車も何もかも。
ですから、企業、社会が寄ってたかってそういう動きをする、ネットをつくる、情報を流す。それを官邸が中心になって、これが次の時代の戦略なんですよというふうにしていただきますと、人々が健康を求めて人口配分が健全になりますから、日本はいい循環に動くようになるんですね。
そういうことでございまして、私が今申し上げているのは、ほとんど予算のかからない話ばかりです。私は、予算さえつければ仕事は終わるという考え方は余り賛成じゃなくて、予算をつけて仕事が終わるという考え方は麻薬ですよね。補助金は毒薬だと思っていますので、そういうことをしない。
物の考え方を政府はしっかり言って、民の動きを支援する。しかし、しっかりと情報の開示、監督管理はするということで、日本を健全な国にしてもらいたい。今、そういうところへ一歩確実に踏み出すときが来ている。
まず人材を大切にする。人に、ただただ働けとか訓練しろとか言うことじゃなくて、雇用の質を高める時代に入ったんだというふうに思います。
どうもありがとうございました。拍手
金
逢
逢見直人#4
○逢見公述人 おはようございます。連合で副事務局長を務めております逢見です。
本日は、働く者の立場から、実感なき景気回復の中で拡大している格差をめぐる認識、考え方について発言をいたします。お手元に資料を用意しておりますので、逐次参考にしながら発言をしてまいりたいと思います。
特に、格差の中で、家計部門に対する相応の成果配分がなされていないといった分配構造のゆがみや、働き方のルールが改悪される、あるいは安心と安全を担保するはずの社会保障が切り崩されているといったことで、生活不安が高まっているのではないかということを考えておりまして、今後、日本が不安と不信の社会となっていくことを大変懸念しております。こうした社会に陥らないためにとるべき政策の視点についても述べさせていただきますので、予算委員会における審議においてぜひとも反映していただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
まず、実感なき景気回復と拡大する格差の問題であります。
日本経済はイザナギ景気を超える長期回復局面にありますが、私ども働く者にとってはその実感はありません。従来の景気回復過程では、大企業の収益改善が中小企業そして家計に波及しておりましたけれども、資料の一ページにございますように、今回はそのような過程をたどっておりません。分配構造にもひずみが生じており、株主配当や役員報酬が大幅に伸びたのに対し、勤労者の賃金はいまだ十年前の水準と変わっておりません。
また、勤労者所得の中でも、正規雇用とパート、派遣などの雇用形態の違いによる格差が拡大していることはだれもが認識されていることと思いますし、また、地域間の景気回復度合いのばらつきも生じております。地域間、産業間、企業規模間、雇用形態間で二極化や格差拡大が顕著になっているというのも、明らかだと思います。
こうした行き過ぎた配分のゆがみは政策で是正すべきというふうに考えますが、現状の政策はむしろ配分のゆがみを助長しているように思えます。
例えば、今回の予算編成において、法人については減価償却制度の改正等による減税、株主に対しては証券優遇税制の延長を行う一方で、個人については定率減税の全廃が行われております。所得税については、過去に最高税率が引き下げられ、累進性が弱まっていることもあり、資料二ページにございますように、税制による所得再分配機能が抑えられております。さらに、私ども働く者にとっては、毎年の社会保険料の引き上げ、医療費などの自己負担の増加による負担増が現在も続いております。
一方で、給付面に目を転じてみますと、生活保護については老齢加算に続いて母子加算が削減されますし、雇用に対する国の責任を示す雇用保険の国庫負担についても一定割合の引き下げが行われます。また、昨今の医療改革の一環として、保険で受けられるリハビリ医療に上限日数が設けられ、生きるためのリハビリすら切り捨てられたという指摘もなされております。このような予算編成が果たして格差是正に効果があるのかどうか、大変心配するところであります。
私は、昨年のこの場におきましても格差が拡大しているということを申し上げました。当時の政府の認識は、格差は見せかけのものという認識だったかと思います。現在、格差拡大が問題であるということは国民的にも認識されたと思います。また、安倍総理もこの予算委員会で、格差から逃げているわけではないと発言されたと聞いておりますし、政府は成長力底上げ戦略を打ち出して格差問題を取り上げていることからも、格差拡大については一応の認識を示されていると理解しております。
しかしながら、こうした政府からの発信があったとしても、それがどれだけ平成十九年度予算に反映しているのか、私どもの目から見れば、はっきりしたものにはなっていないように思います。
富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという経済理論をトリクルダウン理論というそうです。上げ潮戦略によって景気拡大を促すということを否定するものではありませんが、先ほど申し上げたとおり、配分構造にゆがみがある中で、このトリクルダウンが起こることをただ待つだけでは、政策としては不十分ではないかと思います。
景気が底を打って回復基調に転じて以降、例えて言いますと、タンクに水はたまっておりますが、働く者への蛇口が開いていない、開いているのは企業や株主への蛇口だけという状況ではないかと思います。働く者にとっては、いつ蛇口があくのか待ちくたびれているというのが素直な実感ではないかと思います。
次に、働き方について申し上げます。
有効求人倍率が一倍を超えるなど、雇用失業情勢は全体として改善したと指摘されています。しかし、その雇用増の多くは、パートや派遣、請負など非正規雇用であります。非正規雇用は、雇用労働者全体の二割から三割超へと、この十年間で大きく増加しました。また、失業者の三割が長期失業者であるということも忘れてはなりません。
こうした中で、私ども、いろいろな労働相談を受けておりますけれども、社会保険に入れてもらえない、安全衛生に関する教育をしてもらっていない、派遣で仕事をしているけれども将来が見えない、賃金は最低賃金の水準に張りついたままで、働いても働いても生活が楽にならないという声が寄せられています。また、雇用保険の給付が切れても再就職先が見つからないという失業者にとって、生活保護の給付対象になるまで何の所得保障もないという現実もあります。これらの非正規を中心とした雇用の問題を解決することが今求められていると思います。
経営者がパートや派遣、契約労働者を雇用する最大の理由は、いわゆる正社員より人件費が安く、雇用調整が容易だと考えているからであります。資料の三ページをごらんいただきますと明らかなように、人件費の格差が歴然としております。正社員比率を引き下げた企業の八割が人件費総額を削減できたとしている調査結果もあります。
正社員を解雇した後に、パートや派遣、契約労働者を雇用したり、あなたの半分の人件費で雇用できる労働者がいる、いつでも取りかえがきくという理由で雇用の不安定化や労働条件の引き下げを強要されるという、雇用形態の格差を逆手にとった、そしてそれを企業利益の源泉にする、そういう経営者もおりまして、こうした労働相談もふえております。
資料の四ページのところに、個別労働紛争の増加の状況、そして、その中の個別労働紛争の内訳を記載しておりますが、解雇、労働条件の引き下げといった紛争が極めて多いということが、この中でも見てとれます。さらには、人件費削減のために法を犯す偽装請負の問題も明るみになっております。
私たちは、格差をゼロにすべきだとか、あるいは格差が一切あってはならないということを言っているわけではありません。所得格差が拡大し、著しいものになっていったときに、その格差が固定化してしまったら、果たしてそういう社会は、安心して暮らせる、あるいは安心して働ける社会なのかということを心配しているわけであります。残念ながら、貧困層が相当の数になっているということはさまざまなデータによって明らかであり、そういう兆候は既にあらわれていると思います。
資料の五ページ目をごらんいただきたいと思います。年収二百万円以下の世帯が増加しています。二〇〇四年は一八・七%、一九九八年と比較して四・五%ふえております。また、ストック面で見ても、貯蓄のない世帯も増加しております。十年前に一〇%であった貯蓄なし世帯は、二〇〇六年には二二・九%と倍増し、四世帯に一世帯が貯蓄のない世帯となっています。
資料六、七ページをごらんいただきたいと思います。生活保護世帯は二〇〇六年度には百七万世帯となり、十年前の九六年度と比較して七割もふえております。また、自治体から援助を受ける児童生徒が百三十八万人、ここ五年間で四割も増加しております。
このほか、国民健康保険料の長期滞納のために保険証が使用できないいわゆる無保険者も、四年間で三倍の三十万世帯になっているなど、深刻な実態を挙げれば切りがありません。
資料の八ページをごらんください。現在、ワーキングプアと言われているような貧困層も含め、非正規労働者が全労働者の三分の一まで増大しています。これら労働者や地域の零細事業者などは、極めて低い所得に加えて、厚生年金や健康保険にも加入できず、国民年金や国民健康保険の保険料も負担できない層が増大しています。まさに、非正規労働、低所得ゆえに、我が国のセーフティーネットの中核をなす社会保険制度から排除されてしまっています。その中にはフリーター、ニートや長期失業者、障害者、母子世帯、高齢の単身者なども含まれます。
これら低所得、貧困層に対し、福祉の最後のとりでと言われている生活保護制度は、稼働年齢や親族からの支援など厳しい受給要件になっておりまして、本来の機能を果たしておりません。極めて残念ながら、今や刑務所が福祉の最後のとりで化しているとの指摘もあります。受刑者の中には高齢者、慢性疾患者、外国人等も多くいることから、現実はそのとおりだと思います。まさに、雇用ネット、社会保険ネット、公的扶助ネットによる社会的セーフティーネットが機能不全に陥っていると言わざるを得ません。
こうした中で、この間、社会保障分野ではたび重なる給付削減と負担増が繰り返されてきました。二〇〇三年の健保法改正による窓口の三割負担、二〇〇四年の年金改正における年金水準の大幅な引き下げと毎年の保険料アップ、二〇〇五年の介護保険法改正や障害者自立支援法の制定による高齢者、障害者の自己負担増、そして、昨年二〇〇六年の医療制度改正における高齢者の自己負担増などが繰り返されております。
さらに、所得税の定率減税の廃止や年金課税の強化が加わり、低所得の勤労国民、高齢者、障害者は極めて重い負担を強いられています。その結果、障害福祉サービスの利用抑制、医療の受診抑制によって、かえって症状が重度化してしまう人が出てきているという指摘もあります。
以上のような例からも、既に社会的な不安は高まっており、格差拡大に歯どめをかけ、貧困対策となる有効な政策を打ち出すことができなければ、やがては社会の質の劣化、システムの崩壊という事態を招来することになります。
私たちは市場経済を通じてさまざまな恩恵を受けております。したがって、競争そのものを否定するわけではありません。しかし、競争によって生じる格差が固定化し、次世代までそれが引き継がれること、そして、格差が社会的に許容できる範囲を超えて二極化し、貧困層が普通の生活すらできない水準になってしまうようでは、これは公正な社会とは言えませんし、安心、安全な社会とも言えません。市場競争に対応するルールの確立と社会的セーフティーネットの形成が必要となります。
格差是正のためには、まず、機会の平等が保障されなければならないと考えます。競争のスタートラインは平等でなければなりませんし、競争のスタートでハンディのある人には社会的な支援策が必要です。
資料九ページにOECDの調査を載せておりますが、我が国のGDPに占める教育費の割合というのは、OECD各国の平均を大きく下回っております。それが基礎学力の低下にもつながっているものと思います。教育機会均等は、あらゆる施策に優先すべきものではないかと思います。
また、就労機会もできる限り均等である必要があると思います。今、自由な働き方にすべき、あるいはできる限り労働分野の規制はなくした方がいいという議論がありますが、その裏には、ルールを外して自由な働き方を求める一方的な論理が潜んでいるような気がいたします。均等待遇や差別禁止といった働き方のルールは、国際的にもスタンダードなものとなっているものであります。経済財政諮問会議において労働ビッグバンというものがテーマに上がっておりますが、ルールを破壊することではなく再構築することが必要だと思います。
以上のような前提を踏まえ、大きく三つの政策が必要だというふうに考えております。
第一は、行き過ぎた非正規雇用化の流れを反転させ、正規雇用化を促進することです。
労働者の職業能力は仕事を通じて高まっていくものです。日本の長期雇用システムがこの職業能力開発の役割を担い、経済社会の発展や安定の基礎になっていたことを私たちはいま一度再評価し、そして、非正規雇用で働く若者を正規雇用の場に乗せていく施策が必要だと思います。
さらに、多様な雇用、就業形態間における均等待遇の原則が必要です。どのような雇用、就業形態であっても、フルタイムで働けばみずからの生活を支えていけることを目指し、社会・労働保険も適用されるようにすべきであります。これらの施策がなければ、非正規雇用は社会保険も含めたコストの安い労働力として、その拡大には歯どめがかからないでありましょう。
第二は、セーフティーネットの再構築です。
積極的な雇用労働政策と積極的な社会保障政策への転換が不可欠です。そのため、パート労働者等の均等待遇の実現、障害者雇用の促進、フリーター、ニート、母子世帯等への就労支援の充実、最低賃金の大幅引き上げなどが必要です。
資料の十ページに、法定最低賃金の国際比較を載せております。最低賃金については、今アメリカで引き上げが決まり、この点線の部分ですが、七ドル二十五セントになるということが今議会で、既に下院は通ったというふうに聞いておりますが、そういうふうに見ますと、日本の最低賃金は国際的に見ても極めて低い水準であります。憲法で保障された健康で文化的な水準というのをどのように考えるか、国際的に見ても遜色のない水準に引き上げて、実効ある改正とする必要があると思います。
また、パート労働者を対象とした均等待遇、差別禁止の法制化も重要です。当然、社会保険、労働保険の完全適用は前提とならなければなりません。
長期失業者やワーキングプアなどへの就労支援と連携した新たな経済的支援などを積極的に検討すべきです。そして、住宅保障や住宅手当の新設などを含め、生活保護制度について、福祉の最後のとりでとしての機能を十分発揮できるような見直しも必要です。
二極化の固定化を防止するために、だれもが排除されない社会の実現、つまり、仕事を通じた社会参加と所得保障、社会的サービスの積極的な統合、いわゆるソーシャルインクルージョン政策を実現すべきであります。
こうしたことに加え、医療、介護、年金そして子育て支援について、制度の抜本的な見直しを通じて、安心、安全、公正な社会を実現することが喫緊の課題となります。
第三は、所得の分配のゆがみを是正するために、所得再分配機能を強化することです。税金が高いと活力が低下するという一部の主張によって、所得税等のフラット化や資産、財産収入への課税の軽減を行い、所得の再分配機能を弱めてきたことが、格差が拡大し、低所得、生活困窮層が増加した要因の一つだからであります。
サラリーマンをねらい撃ちにした、取りやすいところから取るという安易な増税ではなく、応能負担を原則とした、公平で透明な税制改革を実現することが急務だと思います。
これまで進めてきた税のフラット化を見直し、最高税率をもとに戻し、所得再分配機能を強化すべきであります。
以上で私の意見陳述を終わります。拍手
この発言だけを見る →本日は、働く者の立場から、実感なき景気回復の中で拡大している格差をめぐる認識、考え方について発言をいたします。お手元に資料を用意しておりますので、逐次参考にしながら発言をしてまいりたいと思います。
特に、格差の中で、家計部門に対する相応の成果配分がなされていないといった分配構造のゆがみや、働き方のルールが改悪される、あるいは安心と安全を担保するはずの社会保障が切り崩されているといったことで、生活不安が高まっているのではないかということを考えておりまして、今後、日本が不安と不信の社会となっていくことを大変懸念しております。こうした社会に陥らないためにとるべき政策の視点についても述べさせていただきますので、予算委員会における審議においてぜひとも反映していただきますよう、お願い申し上げる次第でございます。
まず、実感なき景気回復と拡大する格差の問題であります。
日本経済はイザナギ景気を超える長期回復局面にありますが、私ども働く者にとってはその実感はありません。従来の景気回復過程では、大企業の収益改善が中小企業そして家計に波及しておりましたけれども、資料の一ページにございますように、今回はそのような過程をたどっておりません。分配構造にもひずみが生じており、株主配当や役員報酬が大幅に伸びたのに対し、勤労者の賃金はいまだ十年前の水準と変わっておりません。
また、勤労者所得の中でも、正規雇用とパート、派遣などの雇用形態の違いによる格差が拡大していることはだれもが認識されていることと思いますし、また、地域間の景気回復度合いのばらつきも生じております。地域間、産業間、企業規模間、雇用形態間で二極化や格差拡大が顕著になっているというのも、明らかだと思います。
こうした行き過ぎた配分のゆがみは政策で是正すべきというふうに考えますが、現状の政策はむしろ配分のゆがみを助長しているように思えます。
例えば、今回の予算編成において、法人については減価償却制度の改正等による減税、株主に対しては証券優遇税制の延長を行う一方で、個人については定率減税の全廃が行われております。所得税については、過去に最高税率が引き下げられ、累進性が弱まっていることもあり、資料二ページにございますように、税制による所得再分配機能が抑えられております。さらに、私ども働く者にとっては、毎年の社会保険料の引き上げ、医療費などの自己負担の増加による負担増が現在も続いております。
一方で、給付面に目を転じてみますと、生活保護については老齢加算に続いて母子加算が削減されますし、雇用に対する国の責任を示す雇用保険の国庫負担についても一定割合の引き下げが行われます。また、昨今の医療改革の一環として、保険で受けられるリハビリ医療に上限日数が設けられ、生きるためのリハビリすら切り捨てられたという指摘もなされております。このような予算編成が果たして格差是正に効果があるのかどうか、大変心配するところであります。
私は、昨年のこの場におきましても格差が拡大しているということを申し上げました。当時の政府の認識は、格差は見せかけのものという認識だったかと思います。現在、格差拡大が問題であるということは国民的にも認識されたと思います。また、安倍総理もこの予算委員会で、格差から逃げているわけではないと発言されたと聞いておりますし、政府は成長力底上げ戦略を打ち出して格差問題を取り上げていることからも、格差拡大については一応の認識を示されていると理解しております。
しかしながら、こうした政府からの発信があったとしても、それがどれだけ平成十九年度予算に反映しているのか、私どもの目から見れば、はっきりしたものにはなっていないように思います。
富める者が富めば、貧しい者にも自然に富が浸透するという経済理論をトリクルダウン理論というそうです。上げ潮戦略によって景気拡大を促すということを否定するものではありませんが、先ほど申し上げたとおり、配分構造にゆがみがある中で、このトリクルダウンが起こることをただ待つだけでは、政策としては不十分ではないかと思います。
景気が底を打って回復基調に転じて以降、例えて言いますと、タンクに水はたまっておりますが、働く者への蛇口が開いていない、開いているのは企業や株主への蛇口だけという状況ではないかと思います。働く者にとっては、いつ蛇口があくのか待ちくたびれているというのが素直な実感ではないかと思います。
次に、働き方について申し上げます。
有効求人倍率が一倍を超えるなど、雇用失業情勢は全体として改善したと指摘されています。しかし、その雇用増の多くは、パートや派遣、請負など非正規雇用であります。非正規雇用は、雇用労働者全体の二割から三割超へと、この十年間で大きく増加しました。また、失業者の三割が長期失業者であるということも忘れてはなりません。
こうした中で、私ども、いろいろな労働相談を受けておりますけれども、社会保険に入れてもらえない、安全衛生に関する教育をしてもらっていない、派遣で仕事をしているけれども将来が見えない、賃金は最低賃金の水準に張りついたままで、働いても働いても生活が楽にならないという声が寄せられています。また、雇用保険の給付が切れても再就職先が見つからないという失業者にとって、生活保護の給付対象になるまで何の所得保障もないという現実もあります。これらの非正規を中心とした雇用の問題を解決することが今求められていると思います。
経営者がパートや派遣、契約労働者を雇用する最大の理由は、いわゆる正社員より人件費が安く、雇用調整が容易だと考えているからであります。資料の三ページをごらんいただきますと明らかなように、人件費の格差が歴然としております。正社員比率を引き下げた企業の八割が人件費総額を削減できたとしている調査結果もあります。
正社員を解雇した後に、パートや派遣、契約労働者を雇用したり、あなたの半分の人件費で雇用できる労働者がいる、いつでも取りかえがきくという理由で雇用の不安定化や労働条件の引き下げを強要されるという、雇用形態の格差を逆手にとった、そしてそれを企業利益の源泉にする、そういう経営者もおりまして、こうした労働相談もふえております。
資料の四ページのところに、個別労働紛争の増加の状況、そして、その中の個別労働紛争の内訳を記載しておりますが、解雇、労働条件の引き下げといった紛争が極めて多いということが、この中でも見てとれます。さらには、人件費削減のために法を犯す偽装請負の問題も明るみになっております。
私たちは、格差をゼロにすべきだとか、あるいは格差が一切あってはならないということを言っているわけではありません。所得格差が拡大し、著しいものになっていったときに、その格差が固定化してしまったら、果たしてそういう社会は、安心して暮らせる、あるいは安心して働ける社会なのかということを心配しているわけであります。残念ながら、貧困層が相当の数になっているということはさまざまなデータによって明らかであり、そういう兆候は既にあらわれていると思います。
資料の五ページ目をごらんいただきたいと思います。年収二百万円以下の世帯が増加しています。二〇〇四年は一八・七%、一九九八年と比較して四・五%ふえております。また、ストック面で見ても、貯蓄のない世帯も増加しております。十年前に一〇%であった貯蓄なし世帯は、二〇〇六年には二二・九%と倍増し、四世帯に一世帯が貯蓄のない世帯となっています。
資料六、七ページをごらんいただきたいと思います。生活保護世帯は二〇〇六年度には百七万世帯となり、十年前の九六年度と比較して七割もふえております。また、自治体から援助を受ける児童生徒が百三十八万人、ここ五年間で四割も増加しております。
このほか、国民健康保険料の長期滞納のために保険証が使用できないいわゆる無保険者も、四年間で三倍の三十万世帯になっているなど、深刻な実態を挙げれば切りがありません。
資料の八ページをごらんください。現在、ワーキングプアと言われているような貧困層も含め、非正規労働者が全労働者の三分の一まで増大しています。これら労働者や地域の零細事業者などは、極めて低い所得に加えて、厚生年金や健康保険にも加入できず、国民年金や国民健康保険の保険料も負担できない層が増大しています。まさに、非正規労働、低所得ゆえに、我が国のセーフティーネットの中核をなす社会保険制度から排除されてしまっています。その中にはフリーター、ニートや長期失業者、障害者、母子世帯、高齢の単身者なども含まれます。
これら低所得、貧困層に対し、福祉の最後のとりでと言われている生活保護制度は、稼働年齢や親族からの支援など厳しい受給要件になっておりまして、本来の機能を果たしておりません。極めて残念ながら、今や刑務所が福祉の最後のとりで化しているとの指摘もあります。受刑者の中には高齢者、慢性疾患者、外国人等も多くいることから、現実はそのとおりだと思います。まさに、雇用ネット、社会保険ネット、公的扶助ネットによる社会的セーフティーネットが機能不全に陥っていると言わざるを得ません。
こうした中で、この間、社会保障分野ではたび重なる給付削減と負担増が繰り返されてきました。二〇〇三年の健保法改正による窓口の三割負担、二〇〇四年の年金改正における年金水準の大幅な引き下げと毎年の保険料アップ、二〇〇五年の介護保険法改正や障害者自立支援法の制定による高齢者、障害者の自己負担増、そして、昨年二〇〇六年の医療制度改正における高齢者の自己負担増などが繰り返されております。
さらに、所得税の定率減税の廃止や年金課税の強化が加わり、低所得の勤労国民、高齢者、障害者は極めて重い負担を強いられています。その結果、障害福祉サービスの利用抑制、医療の受診抑制によって、かえって症状が重度化してしまう人が出てきているという指摘もあります。
以上のような例からも、既に社会的な不安は高まっており、格差拡大に歯どめをかけ、貧困対策となる有効な政策を打ち出すことができなければ、やがては社会の質の劣化、システムの崩壊という事態を招来することになります。
私たちは市場経済を通じてさまざまな恩恵を受けております。したがって、競争そのものを否定するわけではありません。しかし、競争によって生じる格差が固定化し、次世代までそれが引き継がれること、そして、格差が社会的に許容できる範囲を超えて二極化し、貧困層が普通の生活すらできない水準になってしまうようでは、これは公正な社会とは言えませんし、安心、安全な社会とも言えません。市場競争に対応するルールの確立と社会的セーフティーネットの形成が必要となります。
格差是正のためには、まず、機会の平等が保障されなければならないと考えます。競争のスタートラインは平等でなければなりませんし、競争のスタートでハンディのある人には社会的な支援策が必要です。
資料九ページにOECDの調査を載せておりますが、我が国のGDPに占める教育費の割合というのは、OECD各国の平均を大きく下回っております。それが基礎学力の低下にもつながっているものと思います。教育機会均等は、あらゆる施策に優先すべきものではないかと思います。
また、就労機会もできる限り均等である必要があると思います。今、自由な働き方にすべき、あるいはできる限り労働分野の規制はなくした方がいいという議論がありますが、その裏には、ルールを外して自由な働き方を求める一方的な論理が潜んでいるような気がいたします。均等待遇や差別禁止といった働き方のルールは、国際的にもスタンダードなものとなっているものであります。経済財政諮問会議において労働ビッグバンというものがテーマに上がっておりますが、ルールを破壊することではなく再構築することが必要だと思います。
以上のような前提を踏まえ、大きく三つの政策が必要だというふうに考えております。
第一は、行き過ぎた非正規雇用化の流れを反転させ、正規雇用化を促進することです。
労働者の職業能力は仕事を通じて高まっていくものです。日本の長期雇用システムがこの職業能力開発の役割を担い、経済社会の発展や安定の基礎になっていたことを私たちはいま一度再評価し、そして、非正規雇用で働く若者を正規雇用の場に乗せていく施策が必要だと思います。
さらに、多様な雇用、就業形態間における均等待遇の原則が必要です。どのような雇用、就業形態であっても、フルタイムで働けばみずからの生活を支えていけることを目指し、社会・労働保険も適用されるようにすべきであります。これらの施策がなければ、非正規雇用は社会保険も含めたコストの安い労働力として、その拡大には歯どめがかからないでありましょう。
第二は、セーフティーネットの再構築です。
積極的な雇用労働政策と積極的な社会保障政策への転換が不可欠です。そのため、パート労働者等の均等待遇の実現、障害者雇用の促進、フリーター、ニート、母子世帯等への就労支援の充実、最低賃金の大幅引き上げなどが必要です。
資料の十ページに、法定最低賃金の国際比較を載せております。最低賃金については、今アメリカで引き上げが決まり、この点線の部分ですが、七ドル二十五セントになるということが今議会で、既に下院は通ったというふうに聞いておりますが、そういうふうに見ますと、日本の最低賃金は国際的に見ても極めて低い水準であります。憲法で保障された健康で文化的な水準というのをどのように考えるか、国際的に見ても遜色のない水準に引き上げて、実効ある改正とする必要があると思います。
また、パート労働者を対象とした均等待遇、差別禁止の法制化も重要です。当然、社会保険、労働保険の完全適用は前提とならなければなりません。
長期失業者やワーキングプアなどへの就労支援と連携した新たな経済的支援などを積極的に検討すべきです。そして、住宅保障や住宅手当の新設などを含め、生活保護制度について、福祉の最後のとりでとしての機能を十分発揮できるような見直しも必要です。
二極化の固定化を防止するために、だれもが排除されない社会の実現、つまり、仕事を通じた社会参加と所得保障、社会的サービスの積極的な統合、いわゆるソーシャルインクルージョン政策を実現すべきであります。
こうしたことに加え、医療、介護、年金そして子育て支援について、制度の抜本的な見直しを通じて、安心、安全、公正な社会を実現することが喫緊の課題となります。
第三は、所得の分配のゆがみを是正するために、所得再分配機能を強化することです。税金が高いと活力が低下するという一部の主張によって、所得税等のフラット化や資産、財産収入への課税の軽減を行い、所得の再分配機能を弱めてきたことが、格差が拡大し、低所得、生活困窮層が増加した要因の一つだからであります。
サラリーマンをねらい撃ちにした、取りやすいところから取るという安易な増税ではなく、応能負担を原則とした、公平で透明な税制改革を実現することが急務だと思います。
これまで進めてきた税のフラット化を見直し、最高税率をもとに戻し、所得再分配機能を強化すべきであります。
以上で私の意見陳述を終わります。拍手
金
湯
湯元健治#6
○湯元公述人 日本総研の湯元でございます。
本日、このような場で意見発表の機会をちょうだいいたしましたことをまことに光栄に存じております。
私の方からは、民間エコノミストの立場から、平成十九年度の予算をどう評価しているかという点に加えまして、中長期的な観点から見た財政健全化の課題を中心に申し述べたいと存じます。
お手元の資料をお開きいただければと思います。
まず、平成十九年度予算の評価ということですが、政府の財政健全化目標、二〇一一年度までにいわゆるプライマリーバランスを黒字化させるという目標がございます。この目標に向けまして、初年度、それなりに好調なスタートを切ったのではないかというふうに思います。
十九年度の新規国債発行額、このグラフにございますとおり二十五兆四千億ということで、前年度比四兆五千億、過去最大の減額幅を実現しました。それから、実はこれに交付税特別会計の償還費というのを含めてみますと、実質的には六兆三千億の財政健全化が実現されたという形になっております。また、国債依存度も三〇・七%ということで、三年連続の低下を記録しております。
それから、目標となっておりますプライマリーバランスでございますけれども、国のプライマリーバランス、十九年度予算でマイナスの四兆四千億の赤字でございます。これは、前年度が十一兆二千億の赤字でございますので、これと比べますとプラス六・八兆円、七兆円近いプライマリーバランスの改善が実現しておるということでございます。
そして、この最大の要因は何かということで見てまいりますと、先ほど御指摘もございましたが、大幅な税収の増加、これが七兆六千億あるということでありまして、内訳は書いてございませんが、定率減税の半減等がございましたので、増収が一兆二千億程度ありますけれども、その他大半は、景気の回復あるいは企業業績の回復に伴います所得税、法人税収の増加というものが寄与している、所得税が三兆八千億、それから法人税が三兆三千億の増加になっておるということでございます。ちなみに、所得税の方は、雇用、賃金の回復が緩やかなもとで増加をしている理由というのは、株価の上昇等に伴いますキャピタルゲインや配当の増加、こういったものがかなりの程度寄与しているというふうに考えております。
それから一方、歳出の方でございますけれども、これは次の三ページのところをごらんいただければと思います。
税収の増加がプライマリーバランス赤字の、かなりの部分を占めるということでありますが、歳出削減の方も、基本的に、昨年六月に決定しました骨太方針二〇〇六、これに沿って歳出の抑制、削減が進められてきているというふうに認識をしております。
この骨太方針二〇〇六では、御案内のとおりかと思いますが、向こう五年間の名目経済成長率を平均三%、それから税収の経済成長に対する弾性値を一・一、こういう前提を置きまして計算をした場合に、社会保障や公務員人件費、公共事業、こういったものを中心に、総額で十一兆四千億から十四兆三千億の歳出削減を実施する、これが中期的な方針であったわけでございます。ただ、この中で示されましたのは、現実に不足する財源、これは要対応額という形で示されておりますが、これが十六兆五千億ございまして、この対比で見ますと、これだけの歳出削減を行いましても、なお二兆二千億円から五兆一千億円、消費税率換算で申し上げますと一%から二%に相当する財源が不足する、こういった試算が示されたわけであります。
この十九年度予算で、この骨太方針とあわせて、各分野ごとの歳出削減がどうなったかということを見てまいりますと、公共事業関係費では三・五%の削減ということで、これは骨太方針、マイナス一からマイナス三という方針でしたが、これを上回る削減率になっております。それから、社会保障、これは骨太方針で一兆六千億、五年間で一兆六千億ですから、年平均にしますと二千二百億ということで、ちょうど年平均ペースで抑えている。それから、公務員人件費につきましては、これも地方で四千億の削減、国家公務員についても削減の方向性が示されているということで、骨太方針に沿った動きだろうと思います。その他、ODA、防衛費等ございますけれども、これもおおむね骨太方針に沿う削減内容になっているかと思います。
一般会計以外のところでも、特別会計の改革によりまして剰余金一兆八千億を一般会計に繰り入れるという、一般会計の税収増の一因にもなっておるわけであります。それから、特別会計の歳出削減が七千億という形で、特別会計の改革の効果も出ております。それから、道路特定財源につきましては、一般財源化が千八百億強、強化されたということで、十八年度補正も入れますと三千億円強の国債減額が実現する形になっております。それから、地方交付税は、一般会計の入り口ベースでは四千億の増加という形になっておりますが、実際地方が受け取る出口ベースでは七千億の減少になっているということであります。それから、地方財政計画の方も、一般歳出で八千億の削減、それから投資的経費でも三%の削減というものを実現しております。それから、財政投融資計画でも五・六%、規模的にはもうピークの三五%の水準になってきているということでございまして、これまで政府が目指してきました小さく効率的な政府の実現に向けて少しずつ前に歩を進めている状況かというふうに考えております。
そういう中で、歳出面、予算措置として重点配分措置三千十億円、それから税制改正関係で四千八十億円の各種減税措置も盛り込まれるということで、トータルで七千億強、成長力強化に向けた予算配分が行われているというふうに考えております。ある意味では、税制改正を含めまして、財政健全化ということと成長力強化というのは車の両輪としてやっていかないといけない課題でございますけれども、それに対してこういう形での配分がなされたということであります。
実際、税収がここまで好調ですと、私ども民間の立場から見てまいりますと、かなり歳出増加圧力が増していくのではないかという懸念を持っていたわけでございますけれども、現実的には、いわゆるばらまき予算ということには陥らず、財政規律をしっかりときかせた予算になったのではないかなというふうに見ております。
十九年度というのは、景気も回復してきて税収増加も見込めるということで、非常に今の局面がいい局面に当たっているということもあるかと思います。しかしながら、中長期的に見ました場合に、このような動きがずっと持続するかどうかということについては、私は余り過度に楽観的に見ることはできないのではないかと思います。
十九年度予算の姿だけを見ますと、このまま順調にいきますと、二〇一一年度プライマリーバランス黒字化というのは一年やそこら前倒し、あるいは、不足する財源であります部分、消費税を引き上げないといけないのではないかというようなことも言われておりましたけれども、これは引き上げなしでできるのではないか、こういう見方も強まってきたわけでありますけれども、もう少し現実を見てまいりますと、それほど簡単に達成できるような状況ではないかというふうに考えておるわけであります。
ちなみに、内閣府が参考試算として出しております「日本経済の進路と戦略」という中で、二つの成長のシナリオ、そして、それぞれの成長につきまして二つの歳出削減シナリオを組み合わせた四つのシナリオを提示しているわけでありますけれども、この中で一番目指している最も望ましいケースというのが、新成長経済移行ケースの中の歳出削減Aというものであります。
この新成長経済移行ケースというのは、いわゆる生産性の引き上げ、それから女性や高齢者も含めた労働力率、働く人の割合を引き上げる、こういったことによりまして、日本経済の持っている潜在的な成長力を二〇一一年度にかけまして大幅に引き上げるということ、これを前提としておるわけであります。
実際に、このままこういった政策が実現しませんと、潜在成長力は、人口減少、少子高齢化の影響によりまして、二〇一一年度には一%程度まで下がっていく。足元は一・六%という水準でございますけれども、〇・五%程度下がっていってしまう。これをさまざまな政策努力によって二・四%に引き上げる、こういう前提であり、あるいは目標が設定されておるわけであります。
そして、歳出削減の方も、ケースAと申しますのは、骨太方針の中で、より大幅な歳出削減、十四兆三千億という金額の削減を実現していく。こういうこと両方ができて初めて、この基礎的財政収支の対名目GDP比が黒字になるという試算結果になっておるわけであります。歳出削減が少しでも少なくなる、あるいは成長シナリオが実現しないということになりますと、二〇一一年度でも基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字は実現が難しい、こういう形になっておるわけであります。
この目標とします新成長経済移行ケース、ここは、下に少し詳しく年度別の前提値、経済予測の前提値等を入れておりますけれども、名目経済成長率でごらんいただきますと、二〇〇六年度のところ、ちょっと資料で二・二というふうに書いてありまして、間違えておりまして恐縮でございます、一・五%、実績見込みでありますけれども。この一・五%の名目成長率を二〇一一年度にかけまして徐々に高めていく、そして一一年度には三・九%、四%近い名目成長率を達成していくということが前提となっておるわけであります。実際に実質成長率も、二〇〇六年度の一・九から二〇一一年度二・五ということで、〇・五%ポイント程度高目。それから、いわゆる物価でございます。消費者物価やGDPデフレーターのところをごらんいただきましても、足元ゼロないし若干マイナスというところから、二〇一一年度には消費者物価で一・九、GDPデフレーターで一・三ということで、かなりの上昇を見込むような経済に持っていく、これが基本的な前提になっているかと思います。
こういう高い経済成長自体が本当に、少子高齢化、人口減少が続く中で実現可能かということで、いろいろな面から疑問視されている部分もあろうかと思います。恐らく、これを実現するためには、先ほどの前提にもございましたとおり、生産性を飛躍的に引き上げるということが必要になってくるわけでありまして、その意味で、イノベーションというものをどんどん促進していく、さらには、アジアの高成長を取り込んでいくオープンという政策、この二つで高成長を追求していくという戦略を今政府はとろうとしているのかと思いますけれども、これは私も極めて重要な課題であろうかと思います。これが実現できませんと、財政の健全化というのもかなり難しいということになるわけであります。しかも、これは、それほど簡単に実現できる課題でもないという意味では、非常にチャレンジングな課題でありまして、さまざまな方策を追求していく必要があろうかと思っております。
財政面に話を戻させていただきますと、さらに二〇〇九年度からは基礎年金の国庫負担の引き上げというものがあるわけでございまして、このための財源不足額は、消費税換算で申しますと約一%強の財源が不足してくるという事態がこの途中にございます。それから、プライマリーバランスの改善、黒字化というのはある意味では財政健全化の第一歩の目標にすぎないということで、プライマリーバランスの次に改善していく次の目標というのは、増大していきます政府債務残高の対GDP比、日本では一五〇%という水準で、先進国の中で突出して高い水準にあるわけでございますけれども、この比率を安定的に引き下げていくということが次の目標として視野に入ってきつつあるわけであります。
そして、この目標を実現するためにはどの程度の努力が必要かということを申し上げますと、結論からいいますと、プライマリーバランス、小幅の黒字ではまだ足りないということでありまして、GDP対比で見ました黒字幅というのは二%近い規模に持っていかないと難しいということであります。
実は、この二%という根拠自体は、いろいろな経済前提、経済成長率と名目の長期金利の水準というのをどう考えるかによって変わってくるものでありますから、必ずしも固定的、確定的に考えるということはできませんけれども、日本の過去の経済成長率と金利の関係から見ますと、一%強、長期金利の方が高いという状況が出てきておりまして、それを前提に今の足元の債務残高のレベルを勘案しますと、二%近い黒字が必要という結論になるわけでございます。
ちなみに、このGDP比二%というのは、五百兆の二%で十兆円、現在価格で十兆円ということでございますから、消費税換算をしますと四%レベルの、追加的な、二〇一一年度にプライマリーバランス黒字を達成した後も、さらに消費税換算で四%規模に相当する財政改善が必要になってくるというような状況にあるわけであります。
そういう意味で、どういった形で財源を図るかというのはこれからいろいろな御議論をしていただくことになる重要なテーマだろうと思いますが、私自身は、将来的に消費税の引き上げというものを含めました、特に社会保障の安定財源の確保というのはもう避けることのできない重要な課題ではないかというふうに考えております。
そして、その点で、最後の五ページ目でございますけれども、消費税の引き上げに関しまして私の考えておることを申し述べたいと思います。
まず、増税というのは非常に国民からアレルギーの強い、特に消費税などは逆進性が強くて、反対、批判も根強いということでございますけれども、私は、一口に増税と申しましても、今の大きな財政赤字を減らしていくために増税が必要だというロジックと、それから社会保障が、これから少子高齢化、特に団塊世代は二〇一二年以降、六十五歳以降に入っていくということがございますので、それ以降の財政状況は非常に社会保障の財源が不足してくるわけでございますけれども、これを賄うための増税、この二つは本来峻別して考えるべきではないかというふうに考えております。
と申しますのは、何のために増税をするのかといったときに、国民の理解あるいは納得度というのが違うであろう。それから、経済へのインパクトも、これはなかなか理論的、実証的に分析することは難しいんですが、異なってくる可能性があるのではないかなと思うわけであります。
特に、財政赤字が大きいので増税をするというのは、無駄な歳出、非効率な歳出がまだ残っている中で、あるいは税制も含めまして不公平な部分が残っている、そういったものがある中で増税に踏み切るということは、国民の反発が非常に大きくなるおそれがあります。それから、景気へのインパクトという点でも、基本的に、財政赤字削減のための増税というのは、家計部門から政府部門が所得を吸収するという形になりますので、せっかくふえた雇用者所得のかなりの部分が政府部門に吸収される。これは、それなりのインパクトが出るわけであります。
他方、社会保障のための増税というのは、当然、国民の理解、納得度、それは相対的に高いと思います。この経済広報センターの行ったアンケート調査でも、消費税を活用した間接税方式に移行すべきであるという回答が過半を占めている形になっているわけであります。そして、景気へのインパクトという面でも、実際には家計部門に対して社会保障給付という形で、取った分が還元されているということでありまして、付加価値税が一五%から二〇%という高い水準にあるヨーロッパ諸国で経済ががたがたになっているというようなことではないわけでありまして、水準自体が影響を与えているわけではなくて、それを何に使うかということが非常に大事なポイントではないかと思います。
そういう意味で、私は、この消費税というものを社会保障目的に充当するということがこれから重要な課題になってくるのではないかと思っております。もちろん、社会保障で目的税化するということについて、メリットだけではなくデメリット等もあるかと思います。どんどん安定財源が確保されて社会保障が膨張して財政が硬直化をしていく、あるいは、既得権益化が進んで社会保障の抑制や効率化のインセンティブが働かなくなってくる、こういうデメリットもあるわけでございますから、このデメリットを最小化する形でメリットを最大限に生かしていく、そういった工夫が必要なんだろうと思います。
私は個人的に、消費税を将来的に引き上げるための条件として三つ考えておりますけれども、一つは、やはり歳出の無駄、非効率、これを徹底的に排除していかないといけないだろう。予算の問題で申し上げますと、例えば、予算の金額だけが前年度の予算と対比で比較をされて、次の予算を決める要因になっているわけでありますけれども、実は、決算とか補正後予算との対比でやはり見ていく、それで次の年度の予算を決めていくということが必要なのではないかと思います。
例えばで申しますと、社会保障という分野でも自然増を抑制すべく毎年度予算の抑制が行われておりますけれども、実際に決算ベースで見ますと、過去五年間の累計で四兆六千億、予算ベースを上回っているような形、年平均で九千億ということですので、実際にはなかなか抑えたことになっていないといったような姿もあるわけでございます。
それから、二番目として、クロヨン、益税に代表されます不公平税制の是正、これが大事かと思います。
そして、三番目。先ほど言いましたデメリットを最小化しつつメリットを生かす方策として、これは一案でございますけれども、社会保障のスリム化、効率化と消費税率というものをセットで議論していただいて、消費税そのものは将来的に上限というものを、ある程度法定するのか、ただ明示するだけにとどめるか、いろいろな考え方がありますけれども、消費税の上限を定めて、その上限を超えそうな状況になる場合には、社会保障制度の改革を行って、抑制、スリム化をしていく、こういった制度設計をビルトインすることが非常に重要なのではないかと思う次第でございます。
ぜひ、各党、国会におかれましても、こういった点に関しまして精力的な議論をしていただくことをお願いして、私の説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →本日、このような場で意見発表の機会をちょうだいいたしましたことをまことに光栄に存じております。
私の方からは、民間エコノミストの立場から、平成十九年度の予算をどう評価しているかという点に加えまして、中長期的な観点から見た財政健全化の課題を中心に申し述べたいと存じます。
お手元の資料をお開きいただければと思います。
まず、平成十九年度予算の評価ということですが、政府の財政健全化目標、二〇一一年度までにいわゆるプライマリーバランスを黒字化させるという目標がございます。この目標に向けまして、初年度、それなりに好調なスタートを切ったのではないかというふうに思います。
十九年度の新規国債発行額、このグラフにございますとおり二十五兆四千億ということで、前年度比四兆五千億、過去最大の減額幅を実現しました。それから、実はこれに交付税特別会計の償還費というのを含めてみますと、実質的には六兆三千億の財政健全化が実現されたという形になっております。また、国債依存度も三〇・七%ということで、三年連続の低下を記録しております。
それから、目標となっておりますプライマリーバランスでございますけれども、国のプライマリーバランス、十九年度予算でマイナスの四兆四千億の赤字でございます。これは、前年度が十一兆二千億の赤字でございますので、これと比べますとプラス六・八兆円、七兆円近いプライマリーバランスの改善が実現しておるということでございます。
そして、この最大の要因は何かということで見てまいりますと、先ほど御指摘もございましたが、大幅な税収の増加、これが七兆六千億あるということでありまして、内訳は書いてございませんが、定率減税の半減等がございましたので、増収が一兆二千億程度ありますけれども、その他大半は、景気の回復あるいは企業業績の回復に伴います所得税、法人税収の増加というものが寄与している、所得税が三兆八千億、それから法人税が三兆三千億の増加になっておるということでございます。ちなみに、所得税の方は、雇用、賃金の回復が緩やかなもとで増加をしている理由というのは、株価の上昇等に伴いますキャピタルゲインや配当の増加、こういったものがかなりの程度寄与しているというふうに考えております。
それから一方、歳出の方でございますけれども、これは次の三ページのところをごらんいただければと思います。
税収の増加がプライマリーバランス赤字の、かなりの部分を占めるということでありますが、歳出削減の方も、基本的に、昨年六月に決定しました骨太方針二〇〇六、これに沿って歳出の抑制、削減が進められてきているというふうに認識をしております。
この骨太方針二〇〇六では、御案内のとおりかと思いますが、向こう五年間の名目経済成長率を平均三%、それから税収の経済成長に対する弾性値を一・一、こういう前提を置きまして計算をした場合に、社会保障や公務員人件費、公共事業、こういったものを中心に、総額で十一兆四千億から十四兆三千億の歳出削減を実施する、これが中期的な方針であったわけでございます。ただ、この中で示されましたのは、現実に不足する財源、これは要対応額という形で示されておりますが、これが十六兆五千億ございまして、この対比で見ますと、これだけの歳出削減を行いましても、なお二兆二千億円から五兆一千億円、消費税率換算で申し上げますと一%から二%に相当する財源が不足する、こういった試算が示されたわけであります。
この十九年度予算で、この骨太方針とあわせて、各分野ごとの歳出削減がどうなったかということを見てまいりますと、公共事業関係費では三・五%の削減ということで、これは骨太方針、マイナス一からマイナス三という方針でしたが、これを上回る削減率になっております。それから、社会保障、これは骨太方針で一兆六千億、五年間で一兆六千億ですから、年平均にしますと二千二百億ということで、ちょうど年平均ペースで抑えている。それから、公務員人件費につきましては、これも地方で四千億の削減、国家公務員についても削減の方向性が示されているということで、骨太方針に沿った動きだろうと思います。その他、ODA、防衛費等ございますけれども、これもおおむね骨太方針に沿う削減内容になっているかと思います。
一般会計以外のところでも、特別会計の改革によりまして剰余金一兆八千億を一般会計に繰り入れるという、一般会計の税収増の一因にもなっておるわけであります。それから、特別会計の歳出削減が七千億という形で、特別会計の改革の効果も出ております。それから、道路特定財源につきましては、一般財源化が千八百億強、強化されたということで、十八年度補正も入れますと三千億円強の国債減額が実現する形になっております。それから、地方交付税は、一般会計の入り口ベースでは四千億の増加という形になっておりますが、実際地方が受け取る出口ベースでは七千億の減少になっているということであります。それから、地方財政計画の方も、一般歳出で八千億の削減、それから投資的経費でも三%の削減というものを実現しております。それから、財政投融資計画でも五・六%、規模的にはもうピークの三五%の水準になってきているということでございまして、これまで政府が目指してきました小さく効率的な政府の実現に向けて少しずつ前に歩を進めている状況かというふうに考えております。
そういう中で、歳出面、予算措置として重点配分措置三千十億円、それから税制改正関係で四千八十億円の各種減税措置も盛り込まれるということで、トータルで七千億強、成長力強化に向けた予算配分が行われているというふうに考えております。ある意味では、税制改正を含めまして、財政健全化ということと成長力強化というのは車の両輪としてやっていかないといけない課題でございますけれども、それに対してこういう形での配分がなされたということであります。
実際、税収がここまで好調ですと、私ども民間の立場から見てまいりますと、かなり歳出増加圧力が増していくのではないかという懸念を持っていたわけでございますけれども、現実的には、いわゆるばらまき予算ということには陥らず、財政規律をしっかりときかせた予算になったのではないかなというふうに見ております。
十九年度というのは、景気も回復してきて税収増加も見込めるということで、非常に今の局面がいい局面に当たっているということもあるかと思います。しかしながら、中長期的に見ました場合に、このような動きがずっと持続するかどうかということについては、私は余り過度に楽観的に見ることはできないのではないかと思います。
十九年度予算の姿だけを見ますと、このまま順調にいきますと、二〇一一年度プライマリーバランス黒字化というのは一年やそこら前倒し、あるいは、不足する財源であります部分、消費税を引き上げないといけないのではないかというようなことも言われておりましたけれども、これは引き上げなしでできるのではないか、こういう見方も強まってきたわけでありますけれども、もう少し現実を見てまいりますと、それほど簡単に達成できるような状況ではないかというふうに考えておるわけであります。
ちなみに、内閣府が参考試算として出しております「日本経済の進路と戦略」という中で、二つの成長のシナリオ、そして、それぞれの成長につきまして二つの歳出削減シナリオを組み合わせた四つのシナリオを提示しているわけでありますけれども、この中で一番目指している最も望ましいケースというのが、新成長経済移行ケースの中の歳出削減Aというものであります。
この新成長経済移行ケースというのは、いわゆる生産性の引き上げ、それから女性や高齢者も含めた労働力率、働く人の割合を引き上げる、こういったことによりまして、日本経済の持っている潜在的な成長力を二〇一一年度にかけまして大幅に引き上げるということ、これを前提としておるわけであります。
実際に、このままこういった政策が実現しませんと、潜在成長力は、人口減少、少子高齢化の影響によりまして、二〇一一年度には一%程度まで下がっていく。足元は一・六%という水準でございますけれども、〇・五%程度下がっていってしまう。これをさまざまな政策努力によって二・四%に引き上げる、こういう前提であり、あるいは目標が設定されておるわけであります。
そして、歳出削減の方も、ケースAと申しますのは、骨太方針の中で、より大幅な歳出削減、十四兆三千億という金額の削減を実現していく。こういうこと両方ができて初めて、この基礎的財政収支の対名目GDP比が黒字になるという試算結果になっておるわけであります。歳出削減が少しでも少なくなる、あるいは成長シナリオが実現しないということになりますと、二〇一一年度でも基礎的財政収支、プライマリーバランスの黒字は実現が難しい、こういう形になっておるわけであります。
この目標とします新成長経済移行ケース、ここは、下に少し詳しく年度別の前提値、経済予測の前提値等を入れておりますけれども、名目経済成長率でごらんいただきますと、二〇〇六年度のところ、ちょっと資料で二・二というふうに書いてありまして、間違えておりまして恐縮でございます、一・五%、実績見込みでありますけれども。この一・五%の名目成長率を二〇一一年度にかけまして徐々に高めていく、そして一一年度には三・九%、四%近い名目成長率を達成していくということが前提となっておるわけであります。実際に実質成長率も、二〇〇六年度の一・九から二〇一一年度二・五ということで、〇・五%ポイント程度高目。それから、いわゆる物価でございます。消費者物価やGDPデフレーターのところをごらんいただきましても、足元ゼロないし若干マイナスというところから、二〇一一年度には消費者物価で一・九、GDPデフレーターで一・三ということで、かなりの上昇を見込むような経済に持っていく、これが基本的な前提になっているかと思います。
こういう高い経済成長自体が本当に、少子高齢化、人口減少が続く中で実現可能かということで、いろいろな面から疑問視されている部分もあろうかと思います。恐らく、これを実現するためには、先ほどの前提にもございましたとおり、生産性を飛躍的に引き上げるということが必要になってくるわけでありまして、その意味で、イノベーションというものをどんどん促進していく、さらには、アジアの高成長を取り込んでいくオープンという政策、この二つで高成長を追求していくという戦略を今政府はとろうとしているのかと思いますけれども、これは私も極めて重要な課題であろうかと思います。これが実現できませんと、財政の健全化というのもかなり難しいということになるわけであります。しかも、これは、それほど簡単に実現できる課題でもないという意味では、非常にチャレンジングな課題でありまして、さまざまな方策を追求していく必要があろうかと思っております。
財政面に話を戻させていただきますと、さらに二〇〇九年度からは基礎年金の国庫負担の引き上げというものがあるわけでございまして、このための財源不足額は、消費税換算で申しますと約一%強の財源が不足してくるという事態がこの途中にございます。それから、プライマリーバランスの改善、黒字化というのはある意味では財政健全化の第一歩の目標にすぎないということで、プライマリーバランスの次に改善していく次の目標というのは、増大していきます政府債務残高の対GDP比、日本では一五〇%という水準で、先進国の中で突出して高い水準にあるわけでございますけれども、この比率を安定的に引き下げていくということが次の目標として視野に入ってきつつあるわけであります。
そして、この目標を実現するためにはどの程度の努力が必要かということを申し上げますと、結論からいいますと、プライマリーバランス、小幅の黒字ではまだ足りないということでありまして、GDP対比で見ました黒字幅というのは二%近い規模に持っていかないと難しいということであります。
実は、この二%という根拠自体は、いろいろな経済前提、経済成長率と名目の長期金利の水準というのをどう考えるかによって変わってくるものでありますから、必ずしも固定的、確定的に考えるということはできませんけれども、日本の過去の経済成長率と金利の関係から見ますと、一%強、長期金利の方が高いという状況が出てきておりまして、それを前提に今の足元の債務残高のレベルを勘案しますと、二%近い黒字が必要という結論になるわけでございます。
ちなみに、このGDP比二%というのは、五百兆の二%で十兆円、現在価格で十兆円ということでございますから、消費税換算をしますと四%レベルの、追加的な、二〇一一年度にプライマリーバランス黒字を達成した後も、さらに消費税換算で四%規模に相当する財政改善が必要になってくるというような状況にあるわけであります。
そういう意味で、どういった形で財源を図るかというのはこれからいろいろな御議論をしていただくことになる重要なテーマだろうと思いますが、私自身は、将来的に消費税の引き上げというものを含めました、特に社会保障の安定財源の確保というのはもう避けることのできない重要な課題ではないかというふうに考えております。
そして、その点で、最後の五ページ目でございますけれども、消費税の引き上げに関しまして私の考えておることを申し述べたいと思います。
まず、増税というのは非常に国民からアレルギーの強い、特に消費税などは逆進性が強くて、反対、批判も根強いということでございますけれども、私は、一口に増税と申しましても、今の大きな財政赤字を減らしていくために増税が必要だというロジックと、それから社会保障が、これから少子高齢化、特に団塊世代は二〇一二年以降、六十五歳以降に入っていくということがございますので、それ以降の財政状況は非常に社会保障の財源が不足してくるわけでございますけれども、これを賄うための増税、この二つは本来峻別して考えるべきではないかというふうに考えております。
と申しますのは、何のために増税をするのかといったときに、国民の理解あるいは納得度というのが違うであろう。それから、経済へのインパクトも、これはなかなか理論的、実証的に分析することは難しいんですが、異なってくる可能性があるのではないかなと思うわけであります。
特に、財政赤字が大きいので増税をするというのは、無駄な歳出、非効率な歳出がまだ残っている中で、あるいは税制も含めまして不公平な部分が残っている、そういったものがある中で増税に踏み切るということは、国民の反発が非常に大きくなるおそれがあります。それから、景気へのインパクトという点でも、基本的に、財政赤字削減のための増税というのは、家計部門から政府部門が所得を吸収するという形になりますので、せっかくふえた雇用者所得のかなりの部分が政府部門に吸収される。これは、それなりのインパクトが出るわけであります。
他方、社会保障のための増税というのは、当然、国民の理解、納得度、それは相対的に高いと思います。この経済広報センターの行ったアンケート調査でも、消費税を活用した間接税方式に移行すべきであるという回答が過半を占めている形になっているわけであります。そして、景気へのインパクトという面でも、実際には家計部門に対して社会保障給付という形で、取った分が還元されているということでありまして、付加価値税が一五%から二〇%という高い水準にあるヨーロッパ諸国で経済ががたがたになっているというようなことではないわけでありまして、水準自体が影響を与えているわけではなくて、それを何に使うかということが非常に大事なポイントではないかと思います。
そういう意味で、私は、この消費税というものを社会保障目的に充当するということがこれから重要な課題になってくるのではないかと思っております。もちろん、社会保障で目的税化するということについて、メリットだけではなくデメリット等もあるかと思います。どんどん安定財源が確保されて社会保障が膨張して財政が硬直化をしていく、あるいは、既得権益化が進んで社会保障の抑制や効率化のインセンティブが働かなくなってくる、こういうデメリットもあるわけでございますから、このデメリットを最小化する形でメリットを最大限に生かしていく、そういった工夫が必要なんだろうと思います。
私は個人的に、消費税を将来的に引き上げるための条件として三つ考えておりますけれども、一つは、やはり歳出の無駄、非効率、これを徹底的に排除していかないといけないだろう。予算の問題で申し上げますと、例えば、予算の金額だけが前年度の予算と対比で比較をされて、次の予算を決める要因になっているわけでありますけれども、実は、決算とか補正後予算との対比でやはり見ていく、それで次の年度の予算を決めていくということが必要なのではないかと思います。
例えばで申しますと、社会保障という分野でも自然増を抑制すべく毎年度予算の抑制が行われておりますけれども、実際に決算ベースで見ますと、過去五年間の累計で四兆六千億、予算ベースを上回っているような形、年平均で九千億ということですので、実際にはなかなか抑えたことになっていないといったような姿もあるわけでございます。
それから、二番目として、クロヨン、益税に代表されます不公平税制の是正、これが大事かと思います。
そして、三番目。先ほど言いましたデメリットを最小化しつつメリットを生かす方策として、これは一案でございますけれども、社会保障のスリム化、効率化と消費税率というものをセットで議論していただいて、消費税そのものは将来的に上限というものを、ある程度法定するのか、ただ明示するだけにとどめるか、いろいろな考え方がありますけれども、消費税の上限を定めて、その上限を超えそうな状況になる場合には、社会保障制度の改革を行って、抑制、スリム化をしていく、こういった制度設計をビルトインすることが非常に重要なのではないかと思う次第でございます。
ぜひ、各党、国会におかれましても、こういった点に関しまして精力的な議論をしていただくことをお願いして、私の説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。拍手
金
芝
芝威#8
○芝公述人 芝でございます。
私の方からは、現在、雇用労働問題が非常にクローズアップをされておりますので、労働相談から見た職場の現状あるいは問題点につきまして述べさせていただいて、予算審議にぜひ反映をしていただければというふうに思っております。
現在、さまざまな労働行政機関、あるいはそれ以外の労働団体等で労働問題についての相談を受けておりますけれども、私は、東京都産業労働局の資料をもとに意見を述べまして、参考にしていただければというふうに思います。
そのほかに、先ほども少し出ました全国の労働局の労働相談についての状況なり、あるいは、裁判所におきます労働事件等の数字も極めて増大をしているわけですけれども、資料の方を見ていただければいいと思うのですけれども、年間の労働相談件数につきましては、現在約五万件の相談がありまして、その内容について見ていきたいというふうに思っております。
そこに十年の資料が載っておりますが、少し前の方、これより以前のことを申し上げますと、昭和六十年代につきましては、おおむね三万件程度の数字で推移をしておりました。それで、平成四年に三万七千件ということで二〇%ほど増加をいたしまして、御存じのように、バブル崩壊以降、ほぼ五万件台の数字で推移をしております。
次のページに、労働組合の有無別で見た労働相談件数がありますけれども、労働組合がない事業所からの相談が九割を超えておりまして、そういう意味で、いわゆる集団的労使関係よりも、個別的な労使関係の中からの相談が大半を占めているという状況がうかがえるというふうに思っております。
次に、男女別の相談件数を見てまいりますと、そこにありますように、おおむね五五対四五くらいの比率で推移をしております。
ただ、就労者の数字を男女別で見ますと女性の方が少ないわけですので、例えば千件当たりの数字等を見てみると女性の比率の方が高いというふうに思いまして、そういう意味で、職場で働いておられる女性の方が問題点を抱えているのではないかというふうに考えております。
次に、規模別で見た数字がございますが、下の円グラフを見ていただきたいのですけれども、代表的な相談項目であります三つ、賃金不払い、それから解雇、労働契約ということで見てみますと、賃金不払いにつきましては圧倒的に三十人未満の事業所で、三分の二近い数字を占めております。労働契約のところに行きますと、必ずしも三十人未満ということではなくて、それ以上の規模のところでも相談が来ているということが言えるかというふうに思います。
次に、産業別に見ました労働相談件数なんですけれども、東京の場合でいいますと、ほぼ七五%以上を第三次産業が占めておりまして、そういう意味では、製造業が比較的ウエートが高いところに比べまして、少しサービス業の数字が多くなるかなというふうに思っておりますけれども、一応、少しサービス業の中を詳しく見まして、そういう数字になっております。
次に、労働相談の内容につきまして、そこに六年間の数字を出しておりますけれども、解雇がずっと一位を占めております。解雇の相談というのは、必ずしも景気のいい悪いについて増減をするということなく、大体ずっと解雇の相談が一位を占めております。
二位につきましては賃金不払い、これは退職金ですとか一時金の問題も含めますけれども、賃金不払いの問題がバブル崩壊以降ずっと、二番目に多くなっております。
それから、三番目につきましては労働契約で、これは、労働契約の中身、あるいは、約束されていた労働契約が実際に入ってみたら違っていたというふうな感じの相談が三番目を占めております。
それで、四位のところに、ここ最近、退職の問題が出てきておりますが、これは解雇ではなくて、退職強要をされたとか、そういう項目についてなんです。これまで四位にありました賃金その他というのは主に賃上げだとか賃金水準の相談が多いんですけれども、これが、ここ最近ほとんど賃上げが行われていないということもありまして、非常に少なくなっております。
それから、特に最近の特色といたしましては、五番目のところに職場の嫌がらせというのが上がってきておりまして、最近、この項目につきまして非常に多くなっております。
次に、相談項目をそこにありますような形で分類しているわけなんですけれども、ここ最近の特色といいますか、私は四十年くらい相談をやっているんですけれども、その中で、労働組合や労使関係に関する相談が非常に少なくなっているということが特に言えるかと思います。
非常に高い項目としましては、そこにあります賃金不払い、解雇、それから雇いどめ、退職強要、退職というのを含めますと、ほぼこの三つが非常に高いウエートを占めているわけですけれども、その他の問題のところで、人間関係と職場の嫌がらせというのが次いで高いウエートを占めているというふうに考えております。
そのほかに、特別相談ということで、外国人の相談ですとか派遣労働者の相談、あるいはパートタイマーの方の相談についても分類をしておりますが、外国人の方の相談の中では、圧倒的に賃金不払いと解雇が多くなっております。
次に、派遣の方の相談につきまして言いますと、これはほとんど社会保険と労働保険の加入の問題、加入をしていないという問題が多くなっております。
次に、パートタイマーの方の相談が年間で約六千件くらいあるわけですけれども、ここの中では解雇と賃金不払いの問題が非常に高いウエートを占めております。
全体的な概況につきましては、そこに数字として挙げたような中身ですけれども、次に、最近の労働相談の事例の中から、非常に特徴的といいますか、そういう項目について、どういう内容かということについて幾つか例を挙げております。
労働契約法が、御存じのように制定の問題が検討されておりますが、こういう相談が非常に多くなっております。
このケースでいいますと、Aさんと仮にしておきますが、インターネットで募集広告を見て、企業規模が五十人くらいの食品業のところに採用になりまして、あるスーパーのコーヒーショップで働かれていたわけですが、賃金が約二十万円くらい。就業時間が、開店が十時ですので、十時の少し前から、閉店の八時半ですぐ帰れるということではなくて、実際は九時ごろまでかかっていたというふうに言われているんですが、その中で休憩が一時間予定をされております。お店ですから、彼のほかに数人のアルバイトの方と一緒に働いているわけですけれども、試用期間が三カ月ということで、試用期間を過ぎたら店長手当として三万円を支払うという約束で働き始めたんですけれども、六カ月経過をしましても手当が支給されませんでした。
それで、Aさんは、経理を担当されている社長の奥さんが専務ということですので、お店に見えたときに約束の店長手当を払ってほしいというふうに言われたようなんですが、翌日、社長さんが見えまして、実は、そんな約束はしていないということで、言った言わないの話になったわけです。そうすると、怒って解雇を通知されたということで、解雇の予告手当と、それから時間のところ、計算していただくとわかると思いますが、残業代が未払いになっておりますので、払ってほしいという相談でした。
どういうことかというと、労働契約を文書で交わされているということが非常に少ない。特に中小企業のところでは少なくなっておりまして、労働条件について約束と違うという相談は非常に多くあります。
率直に言いまして、言った言わないの話です。それから、インターネットの求人広告にも書いてありませんので、実は彼の前任者の方にどうだったかということを聞いてもらったんですが、実は店長手当は払われておりまして、ただし金額が一万円ということで、実際に三万円の約束があったのかどうかというのはちょっと疑問なところがあります。
結局、最終的には、店長手当については払っていただけませんでしたけれども、未払いの時間外労働を払ってほしいというふうに言いまして、約五十七万円だと思いますが、そういう金額を支払ってもらって、本人も、それだけ払ってもらったので店長手当については断念をするということになっております。
次に、就業規則の周知義務なんですけれども、Eさんは、サービス業で八十人くらいの企業に就職されていたわけです。ある年、四月に昇給するということになっていましたけれども、ありませんでしたので、上司に聞いたところ、二年前に就業規則を改定して、賃金の昇給の制度を改定したんだというふうに言われたそうなんですが、就業規則を見たことはないし、一方的に変更ができるのかということが相談の中身です。
これは御存じのように、フジ興産事件という最高裁の判例で、周知をしていない就業規則の効力については否定をされております。就業規則を改定される場合には、そこに書きましたように、従業員代表の方の意見書の添付なり、労働基準監督署への提出だとか、あるいは従業員の方への周知、これは法律でかなり詳しく決められているわけですけれども、それがないケースが非常に多くありまして、従業員の方が安心をして働くという意味では、そういう手続についてきちっとしていただく必要があるのではないかと思っております。
次に、不払い残業についてなんですが、こちらの方は、会社で人事労務関係を担当される方からの相談です。広告代理業で、マスコミ関係は非常に残業の多い業種でございまして、連日残業があるわけですけれども、残業料が一銭も払われていないということで、このDさんは以前ほかの会社で残業料をもらっていたということで、ある労務管理の講座に行ったときに残業不払いが多いというふうに言われたこともありまして、その点につきまして社長さんに話をされたら、じゃ、労務担当なんだから考えてみろというふうに言われて、労働基準法どおり支払うということで提案をされたそうなんです。社長さんの方は、営業マンの方だけ月三万円の営業手当を払うということで制度を変えられたようなんですが、その金額では実際の残業の恐らく五分の一くらいにしかならないのではないかというふうに言われています。
そういう意味で、残業の問題は、この間、不払い残業の問題も含めまして、非常にクローズアップをされておりますけれども、時間外労働を命ずるためには、時間外労働協定、通称三六協定というふうに言っておりますが、これを締結して労基署に届け出をする必要がありますが、その手続をとられていないケースというのが非常に多くあります。三六協定は免罰規定でございまして、三六協定を結んで届け出をすることによって罰則が免じられるわけですけれども、労働基準監督署が昨年のいわゆる不払い残業について勧告した金額だけでも二百三十数億円というふうに聞いておりまして、そういう面でいうと、不払い残業が非常に蔓延をしているという状況が明らかになっているのではないかというふうに思います。
次に、労働者派遣法の関係なんですけれども、この内容については、出版関係の六十人くらい、出版で六十人といいますと大体中堅クラスのところだというふうに思いますが、営業補助ということで派遣の方が、そこに書いておきましたように五人働かれているわけです。一人は十一年、二人は、少し違うんですけれども七年間くらい、一人が五年、一人は三年以上ということで働かれているそうなんです。
これは改正労働者派遣法で、一般的、臨時的な業務につきましては三年に延長されましたけれども、その際に、派遣先の使用者責任の強化ということで、いわゆる派遣労働者に対する雇用申し込み義務が創設をされています。経過措置もついているんですけれども、極めて長い期間、同じ方が同じ会社に派遣をされているということは、明らかに派遣法違反ということになるわけです。その際には労働組合の意見も聞くということに法律上はなっていますけれども、これは、直接雇用義務について現在話し合いをされています。
次に、時間の関係がありますので、最後のメンタルヘルスのところに参りたいと思います。
これは、メンタルヘルスの関係では非常に多いケースですけれども、大手金融機関に勤務されているFさんの場合でいいますと、非常に毎日のように残業がありまして、過密労働、時間の平均は、月の数字で約八十五時間残業をされている、そのほかに、ノルマがあったり、口うるさい上司の方に叱責をされたりということで、ストレスが原因で精神疾患、この方の場合はうつ病になりまして、病気療養中になっております。
会社の就業規則によりますと病気休職の期間は二年ということになっておりますが、休職期間が満了に近づくようになりますと、まず家族の方は、生活のことがありますので、何とか復職をしてほしいということを言われます。ところが、主治医の医師の方から言わせますと、同じ状況の職場に戻しますとまた病気が再発するのではないかということがあります。そういう形で、会社の方は、病気がきちっと治ったと医者が言うまで戻っては困るというふうに言われておりまして、問題なのは、このまま休職期間が過ぎますと自然退職ということになりますので、そのことについて心配で相談をされました。
私どもは、できれば病気休職期間を少し延ばしてもらえないかというお話をしたんですけれども、最終的にこの方の場合は、多少の退職金の上積みということで退職をされております。
こういう状況のもとで、私どもとしては、特にこのメンタルヘルスの問題では、やはり会社の方の安全配慮義務というものが非常に大切なのではないかというふうに考えております。
時間が参りましたので、結論として申し上げますが、現在さまざまな労働法制について検討されているようですが、ぜひこういう職場の現状を知っていただいて法改正の検討について行っていただきたいということが一点と、雇用労働条件の改善が特に今の状況のもとで大切なのではないかというふうに考えております。
それと、私ども労働相談を受けておりまして非常に感じますことは、現在あります労働法規について残念ながら守られていないケースが非常にありまして、そういう面で法律が遵守されるということが非常に大切なのではないかというふうに思っております。
それから最後に、ほかの方も意見を言われましたけれども、セーフティーネットの確立がぜひ必要だというふうに考えております。
以上の点を申し上げまして、私の意見にさせていただきます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私の方からは、現在、雇用労働問題が非常にクローズアップをされておりますので、労働相談から見た職場の現状あるいは問題点につきまして述べさせていただいて、予算審議にぜひ反映をしていただければというふうに思っております。
現在、さまざまな労働行政機関、あるいはそれ以外の労働団体等で労働問題についての相談を受けておりますけれども、私は、東京都産業労働局の資料をもとに意見を述べまして、参考にしていただければというふうに思います。
そのほかに、先ほども少し出ました全国の労働局の労働相談についての状況なり、あるいは、裁判所におきます労働事件等の数字も極めて増大をしているわけですけれども、資料の方を見ていただければいいと思うのですけれども、年間の労働相談件数につきましては、現在約五万件の相談がありまして、その内容について見ていきたいというふうに思っております。
そこに十年の資料が載っておりますが、少し前の方、これより以前のことを申し上げますと、昭和六十年代につきましては、おおむね三万件程度の数字で推移をしておりました。それで、平成四年に三万七千件ということで二〇%ほど増加をいたしまして、御存じのように、バブル崩壊以降、ほぼ五万件台の数字で推移をしております。
次のページに、労働組合の有無別で見た労働相談件数がありますけれども、労働組合がない事業所からの相談が九割を超えておりまして、そういう意味で、いわゆる集団的労使関係よりも、個別的な労使関係の中からの相談が大半を占めているという状況がうかがえるというふうに思っております。
次に、男女別の相談件数を見てまいりますと、そこにありますように、おおむね五五対四五くらいの比率で推移をしております。
ただ、就労者の数字を男女別で見ますと女性の方が少ないわけですので、例えば千件当たりの数字等を見てみると女性の比率の方が高いというふうに思いまして、そういう意味で、職場で働いておられる女性の方が問題点を抱えているのではないかというふうに考えております。
次に、規模別で見た数字がございますが、下の円グラフを見ていただきたいのですけれども、代表的な相談項目であります三つ、賃金不払い、それから解雇、労働契約ということで見てみますと、賃金不払いにつきましては圧倒的に三十人未満の事業所で、三分の二近い数字を占めております。労働契約のところに行きますと、必ずしも三十人未満ということではなくて、それ以上の規模のところでも相談が来ているということが言えるかというふうに思います。
次に、産業別に見ました労働相談件数なんですけれども、東京の場合でいいますと、ほぼ七五%以上を第三次産業が占めておりまして、そういう意味では、製造業が比較的ウエートが高いところに比べまして、少しサービス業の数字が多くなるかなというふうに思っておりますけれども、一応、少しサービス業の中を詳しく見まして、そういう数字になっております。
次に、労働相談の内容につきまして、そこに六年間の数字を出しておりますけれども、解雇がずっと一位を占めております。解雇の相談というのは、必ずしも景気のいい悪いについて増減をするということなく、大体ずっと解雇の相談が一位を占めております。
二位につきましては賃金不払い、これは退職金ですとか一時金の問題も含めますけれども、賃金不払いの問題がバブル崩壊以降ずっと、二番目に多くなっております。
それから、三番目につきましては労働契約で、これは、労働契約の中身、あるいは、約束されていた労働契約が実際に入ってみたら違っていたというふうな感じの相談が三番目を占めております。
それで、四位のところに、ここ最近、退職の問題が出てきておりますが、これは解雇ではなくて、退職強要をされたとか、そういう項目についてなんです。これまで四位にありました賃金その他というのは主に賃上げだとか賃金水準の相談が多いんですけれども、これが、ここ最近ほとんど賃上げが行われていないということもありまして、非常に少なくなっております。
それから、特に最近の特色といたしましては、五番目のところに職場の嫌がらせというのが上がってきておりまして、最近、この項目につきまして非常に多くなっております。
次に、相談項目をそこにありますような形で分類しているわけなんですけれども、ここ最近の特色といいますか、私は四十年くらい相談をやっているんですけれども、その中で、労働組合や労使関係に関する相談が非常に少なくなっているということが特に言えるかと思います。
非常に高い項目としましては、そこにあります賃金不払い、解雇、それから雇いどめ、退職強要、退職というのを含めますと、ほぼこの三つが非常に高いウエートを占めているわけですけれども、その他の問題のところで、人間関係と職場の嫌がらせというのが次いで高いウエートを占めているというふうに考えております。
そのほかに、特別相談ということで、外国人の相談ですとか派遣労働者の相談、あるいはパートタイマーの方の相談についても分類をしておりますが、外国人の方の相談の中では、圧倒的に賃金不払いと解雇が多くなっております。
次に、派遣の方の相談につきまして言いますと、これはほとんど社会保険と労働保険の加入の問題、加入をしていないという問題が多くなっております。
次に、パートタイマーの方の相談が年間で約六千件くらいあるわけですけれども、ここの中では解雇と賃金不払いの問題が非常に高いウエートを占めております。
全体的な概況につきましては、そこに数字として挙げたような中身ですけれども、次に、最近の労働相談の事例の中から、非常に特徴的といいますか、そういう項目について、どういう内容かということについて幾つか例を挙げております。
労働契約法が、御存じのように制定の問題が検討されておりますが、こういう相談が非常に多くなっております。
このケースでいいますと、Aさんと仮にしておきますが、インターネットで募集広告を見て、企業規模が五十人くらいの食品業のところに採用になりまして、あるスーパーのコーヒーショップで働かれていたわけですが、賃金が約二十万円くらい。就業時間が、開店が十時ですので、十時の少し前から、閉店の八時半ですぐ帰れるということではなくて、実際は九時ごろまでかかっていたというふうに言われているんですが、その中で休憩が一時間予定をされております。お店ですから、彼のほかに数人のアルバイトの方と一緒に働いているわけですけれども、試用期間が三カ月ということで、試用期間を過ぎたら店長手当として三万円を支払うという約束で働き始めたんですけれども、六カ月経過をしましても手当が支給されませんでした。
それで、Aさんは、経理を担当されている社長の奥さんが専務ということですので、お店に見えたときに約束の店長手当を払ってほしいというふうに言われたようなんですが、翌日、社長さんが見えまして、実は、そんな約束はしていないということで、言った言わないの話になったわけです。そうすると、怒って解雇を通知されたということで、解雇の予告手当と、それから時間のところ、計算していただくとわかると思いますが、残業代が未払いになっておりますので、払ってほしいという相談でした。
どういうことかというと、労働契約を文書で交わされているということが非常に少ない。特に中小企業のところでは少なくなっておりまして、労働条件について約束と違うという相談は非常に多くあります。
率直に言いまして、言った言わないの話です。それから、インターネットの求人広告にも書いてありませんので、実は彼の前任者の方にどうだったかということを聞いてもらったんですが、実は店長手当は払われておりまして、ただし金額が一万円ということで、実際に三万円の約束があったのかどうかというのはちょっと疑問なところがあります。
結局、最終的には、店長手当については払っていただけませんでしたけれども、未払いの時間外労働を払ってほしいというふうに言いまして、約五十七万円だと思いますが、そういう金額を支払ってもらって、本人も、それだけ払ってもらったので店長手当については断念をするということになっております。
次に、就業規則の周知義務なんですけれども、Eさんは、サービス業で八十人くらいの企業に就職されていたわけです。ある年、四月に昇給するということになっていましたけれども、ありませんでしたので、上司に聞いたところ、二年前に就業規則を改定して、賃金の昇給の制度を改定したんだというふうに言われたそうなんですが、就業規則を見たことはないし、一方的に変更ができるのかということが相談の中身です。
これは御存じのように、フジ興産事件という最高裁の判例で、周知をしていない就業規則の効力については否定をされております。就業規則を改定される場合には、そこに書きましたように、従業員代表の方の意見書の添付なり、労働基準監督署への提出だとか、あるいは従業員の方への周知、これは法律でかなり詳しく決められているわけですけれども、それがないケースが非常に多くありまして、従業員の方が安心をして働くという意味では、そういう手続についてきちっとしていただく必要があるのではないかと思っております。
次に、不払い残業についてなんですが、こちらの方は、会社で人事労務関係を担当される方からの相談です。広告代理業で、マスコミ関係は非常に残業の多い業種でございまして、連日残業があるわけですけれども、残業料が一銭も払われていないということで、このDさんは以前ほかの会社で残業料をもらっていたということで、ある労務管理の講座に行ったときに残業不払いが多いというふうに言われたこともありまして、その点につきまして社長さんに話をされたら、じゃ、労務担当なんだから考えてみろというふうに言われて、労働基準法どおり支払うということで提案をされたそうなんです。社長さんの方は、営業マンの方だけ月三万円の営業手当を払うということで制度を変えられたようなんですが、その金額では実際の残業の恐らく五分の一くらいにしかならないのではないかというふうに言われています。
そういう意味で、残業の問題は、この間、不払い残業の問題も含めまして、非常にクローズアップをされておりますけれども、時間外労働を命ずるためには、時間外労働協定、通称三六協定というふうに言っておりますが、これを締結して労基署に届け出をする必要がありますが、その手続をとられていないケースというのが非常に多くあります。三六協定は免罰規定でございまして、三六協定を結んで届け出をすることによって罰則が免じられるわけですけれども、労働基準監督署が昨年のいわゆる不払い残業について勧告した金額だけでも二百三十数億円というふうに聞いておりまして、そういう面でいうと、不払い残業が非常に蔓延をしているという状況が明らかになっているのではないかというふうに思います。
次に、労働者派遣法の関係なんですけれども、この内容については、出版関係の六十人くらい、出版で六十人といいますと大体中堅クラスのところだというふうに思いますが、営業補助ということで派遣の方が、そこに書いておきましたように五人働かれているわけです。一人は十一年、二人は、少し違うんですけれども七年間くらい、一人が五年、一人は三年以上ということで働かれているそうなんです。
これは改正労働者派遣法で、一般的、臨時的な業務につきましては三年に延長されましたけれども、その際に、派遣先の使用者責任の強化ということで、いわゆる派遣労働者に対する雇用申し込み義務が創設をされています。経過措置もついているんですけれども、極めて長い期間、同じ方が同じ会社に派遣をされているということは、明らかに派遣法違反ということになるわけです。その際には労働組合の意見も聞くということに法律上はなっていますけれども、これは、直接雇用義務について現在話し合いをされています。
次に、時間の関係がありますので、最後のメンタルヘルスのところに参りたいと思います。
これは、メンタルヘルスの関係では非常に多いケースですけれども、大手金融機関に勤務されているFさんの場合でいいますと、非常に毎日のように残業がありまして、過密労働、時間の平均は、月の数字で約八十五時間残業をされている、そのほかに、ノルマがあったり、口うるさい上司の方に叱責をされたりということで、ストレスが原因で精神疾患、この方の場合はうつ病になりまして、病気療養中になっております。
会社の就業規則によりますと病気休職の期間は二年ということになっておりますが、休職期間が満了に近づくようになりますと、まず家族の方は、生活のことがありますので、何とか復職をしてほしいということを言われます。ところが、主治医の医師の方から言わせますと、同じ状況の職場に戻しますとまた病気が再発するのではないかということがあります。そういう形で、会社の方は、病気がきちっと治ったと医者が言うまで戻っては困るというふうに言われておりまして、問題なのは、このまま休職期間が過ぎますと自然退職ということになりますので、そのことについて心配で相談をされました。
私どもは、できれば病気休職期間を少し延ばしてもらえないかというお話をしたんですけれども、最終的にこの方の場合は、多少の退職金の上積みということで退職をされております。
こういう状況のもとで、私どもとしては、特にこのメンタルヘルスの問題では、やはり会社の方の安全配慮義務というものが非常に大切なのではないかというふうに考えております。
時間が参りましたので、結論として申し上げますが、現在さまざまな労働法制について検討されているようですが、ぜひこういう職場の現状を知っていただいて法改正の検討について行っていただきたいということが一点と、雇用労働条件の改善が特に今の状況のもとで大切なのではないかというふうに考えております。
それと、私ども労働相談を受けておりまして非常に感じますことは、現在あります労働法規について残念ながら守られていないケースが非常にありまして、そういう面で法律が遵守されるということが非常に大切なのではないかというふうに思っております。
それから最後に、ほかの方も意見を言われましたけれども、セーフティーネットの確立がぜひ必要だというふうに考えております。
以上の点を申し上げまして、私の意見にさせていただきます。ありがとうございました。拍手
金
金
河
河井克行#11
○河井委員 おはようございます。自由民主党の河井克行です。
まず初めに、公述人の皆様、きょうはありがとうございます。お忙しい中、こうして衆議院予算委員会公聴会にお出ましいただき、どの方も大変参考になる御意見をおっしゃっていただきました。ここにおります議員一同、しっかりと受けとめさせていただきたい、そのように存じております。まことにありがとうございます。
きょうは、私からは、特に慶應大学の島田晴雄先生と日本総研の湯元健治先生にいろいろと質問をさせていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いをいたします。
お二方から、おおむね今回の来年度予算案につきましては評価をするというお言葉をいただきまして、与党として大変心強く存じております。特に、島田先生からは明快にめり張りのあるお考えを示していただくことができまして、私も学生時代、先生の授業をまじめに聞いていたらもっといい人になっていたんじゃないかな、そのように感じるぐらいすばらしい御講義をちょうだいいたしました。また、湯元先生からは、実に緻密な分析をこの予算にしていただきまして、感謝をいたしております。
その上で、先ほど島田先生が、予算とは金額の多寡ではなく物の考え方をあらわすものだというお言葉をいただきまして、いや、すばらしいなと実は感じたんですね。本当にそのとおりで、政府や政治が国民の皆さんに、こういう来年度をつくっていくという物の考え方を示すんだ。その前提として、私は、新年度の政府予算案は、実はこれまでの年の予算案とは違う前提だと考えております。
一言で言いますと、二〇〇七年度という年は、団塊の世代が定年を本格的に迎える初年度である、日本の高齢化が目に見える形で、一人一人私たちが感じることができるようになる最初の年だということ。もう一つは、去年、当初の予測よりも早く人口減が明らかになりましたね。少子高齢化という言葉がありますけれども、これは本来別のものなんですね。少子化と高齢化というのは別のものが、日本国では急激に同時進行している、世界で珍しい状況に私たちは入ろうとしている。この少子高齢化を本格的に迎える最初の年だ。
そこで、島田先生に一つお尋ね申し上げたいのは、その中で、人口減少時代、地方の活性化をしなきゃいけないということをおっしゃいました。先生の関連のホームページを拝見しますと、恋人の聖地というプロジェクトの委員もされている。硬軟両面でいろいろと提言をしていらっしゃるということであります。地方は空気がきれい、水がきれい、すばらしい人が住んでいるし健康的だ、もっと地方に熟年の皆さんは住むべきだというふうに今御提言をいただきましたけれども、一方で、現実を見ますと、さっき先生が、サービス業、農業、林業、建設業、これは生産性が低い、非競争的な産業部門だとおっしゃいました。それが最も残っているのが地方なんですね。それから、健康の面でいいましても、医療の提供が今、地域、地方では逆にどんどん少なくなってきている。
私の出身は広島県でありますけれども、広島市の中でも中区というところがありまして、そこは人口がずっと減ってきた、ことし初めて十五年ぶりに人口がふえると予測がされています。新たな形での都心回帰が、これは広島だけじゃないと思うんですね、全国どこの大都市でも起こりつつある今、先生が先ほどおっしゃっていただいた提言を実行するためにはどういうふうなことが必要なのか、御示唆をいただければ幸いに存じます。
まず、それが一問目であります。よろしくお願いします。
〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
この発言だけを見る →まず初めに、公述人の皆様、きょうはありがとうございます。お忙しい中、こうして衆議院予算委員会公聴会にお出ましいただき、どの方も大変参考になる御意見をおっしゃっていただきました。ここにおります議員一同、しっかりと受けとめさせていただきたい、そのように存じております。まことにありがとうございます。
きょうは、私からは、特に慶應大学の島田晴雄先生と日本総研の湯元健治先生にいろいろと質問をさせていただきたいと存じますので、どうかよろしくお願いをいたします。
お二方から、おおむね今回の来年度予算案につきましては評価をするというお言葉をいただきまして、与党として大変心強く存じております。特に、島田先生からは明快にめり張りのあるお考えを示していただくことができまして、私も学生時代、先生の授業をまじめに聞いていたらもっといい人になっていたんじゃないかな、そのように感じるぐらいすばらしい御講義をちょうだいいたしました。また、湯元先生からは、実に緻密な分析をこの予算にしていただきまして、感謝をいたしております。
その上で、先ほど島田先生が、予算とは金額の多寡ではなく物の考え方をあらわすものだというお言葉をいただきまして、いや、すばらしいなと実は感じたんですね。本当にそのとおりで、政府や政治が国民の皆さんに、こういう来年度をつくっていくという物の考え方を示すんだ。その前提として、私は、新年度の政府予算案は、実はこれまでの年の予算案とは違う前提だと考えております。
一言で言いますと、二〇〇七年度という年は、団塊の世代が定年を本格的に迎える初年度である、日本の高齢化が目に見える形で、一人一人私たちが感じることができるようになる最初の年だということ。もう一つは、去年、当初の予測よりも早く人口減が明らかになりましたね。少子高齢化という言葉がありますけれども、これは本来別のものなんですね。少子化と高齢化というのは別のものが、日本国では急激に同時進行している、世界で珍しい状況に私たちは入ろうとしている。この少子高齢化を本格的に迎える最初の年だ。
そこで、島田先生に一つお尋ね申し上げたいのは、その中で、人口減少時代、地方の活性化をしなきゃいけないということをおっしゃいました。先生の関連のホームページを拝見しますと、恋人の聖地というプロジェクトの委員もされている。硬軟両面でいろいろと提言をしていらっしゃるということであります。地方は空気がきれい、水がきれい、すばらしい人が住んでいるし健康的だ、もっと地方に熟年の皆さんは住むべきだというふうに今御提言をいただきましたけれども、一方で、現実を見ますと、さっき先生が、サービス業、農業、林業、建設業、これは生産性が低い、非競争的な産業部門だとおっしゃいました。それが最も残っているのが地方なんですね。それから、健康の面でいいましても、医療の提供が今、地域、地方では逆にどんどん少なくなってきている。
私の出身は広島県でありますけれども、広島市の中でも中区というところがありまして、そこは人口がずっと減ってきた、ことし初めて十五年ぶりに人口がふえると予測がされています。新たな形での都心回帰が、これは広島だけじゃないと思うんですね、全国どこの大都市でも起こりつつある今、先生が先ほどおっしゃっていただいた提言を実行するためにはどういうふうなことが必要なのか、御示唆をいただければ幸いに存じます。
まず、それが一問目であります。よろしくお願いします。
〔委員長退席、森(英)委員長代理着席〕
島
島田晴雄#12
○島田公述人 河井先生から大変本質的な御質問をいただきまして、ありがとうございました。
日本が高齢成熟化に向かって人口が減っていく、そして、大都市を中心にして人口が集中していく地区と、それから地方の非常に過疎になっていく地域とのアンバランスが大変危険な問題をはらんでくると思うんですが、熟年の方々が地方に住めばいいんだという話は我々はできないわけですね、どこに住むかというのは御本人の選択ですから。ですから、我々がやはり大変注目しなくてはいけないのは、熟年、高年の方々はどういう生活をしたいとお考えになっているのかというのをまずしっかり把握する必要があるんですね。
北海道庁が二年前に東京で一万人調査というのをやりましたら、三割の方が北海道に住んでみたい、あとの三割の方は気候のいいときは行ってみたい、合わせれば三分の二の方が北海道に興味があるということがわかったものですから、道庁としては、限られた予算の中で相当なキャンペーンをして、今いろいろな事業が進んでいるんですけれども、これはやはり御本人の選択ですから。
恐らく、最大のキーワードは、健康で楽しい生活をしたい、そしてできればコストの安いところで暮らしたいという願望はあると思うんですね。それに全国各地の地方の方々がこたえていく必要があるので、一つは、さまざまな観光というのが今大変注目を浴びていますけれども、私は、戦略観光といいますか、ただ見に来ていただくというだけではなくて、しばらく滞在して、いろいろ学んでいただいたり参加していただいたり、あるいはいい家があったら探すというようなことで、定住につながるような観光というのを全国各地の地域が努力する必要がある。
そして、さっき、空気がきれいで水がきれいでストレスがないと言いましたけれども、それ自体は過疎地はみんなあるわけですね。それだけでは住めませんので、地域が来られた方々を温かく迎え入れて、大変便利な生活環境を提示するということが必要なんですね。私は、これを生活産業と言っています。
これは一つは、基本的なのは家ですけれども、家は新しい団地をつくる必要はないんですね。今、日本には四千七百万家計がありますが、家の数が五千四百万戸もあるんですね。多分、世界で家が一番余っている国だと思います。ですから、家に関する情報提供、住宅というのは半分サービス産業になってきていると思うんですが、そういうことを全国各地の人がよく踏まえまして、こんな空き家がある、こんな場所があるということですね。
それから、医療が大変手薄になってきているのは事実なんですね。これはなかなか、お医者さんも大変なんですけれども、全国各地の医療機関のあり方を見ますと、三分の二以上が公立病院なんですが、公立病院のかなりが破綻に近いんですね。これは、さっき申し上げたような経営改革もありますけれども、ワンストップトータルサービスで、今の日本の社会ですと、二十分も車に乗れば必ずどこかの病院に行くわけですから、どこかへ行って一回調べたら全部情報が集約できるというようなネットワーキングを努力される必要があるんですね。そういうことで努力している地方自治体も既にあらわれています。
そんなことで、医療とか介護とか住宅とか、そういう基本的な生活サービスの使いやすいものを整備して、いらしていただいたら、大変楽しくてコストが安くて健康的な生活ができますよ、そういう地域間競争の時代が来ていると思うんですね。そういう認識を全国各地の方々、持っている方も相当いますけれども、それを大きな運動にしていくというようなことができると、先生が今、どうしたら実現できるんだろうかという問いかけに対して、一片の政策で実現できるというものじゃないんですけれども、そういう民が中心で、官がそれを支えるというようなトータルなアプローチが重要なんだということを、私は、予算の中の考え方で大いに強調していただく。予算を伴うものじゃないんですけれども、考え方で、そういう社会に入ったんだということで、官邸を中心に大きく旗を振っていただくということが必要なのではないかと思います。
この発言だけを見る →日本が高齢成熟化に向かって人口が減っていく、そして、大都市を中心にして人口が集中していく地区と、それから地方の非常に過疎になっていく地域とのアンバランスが大変危険な問題をはらんでくると思うんですが、熟年の方々が地方に住めばいいんだという話は我々はできないわけですね、どこに住むかというのは御本人の選択ですから。ですから、我々がやはり大変注目しなくてはいけないのは、熟年、高年の方々はどういう生活をしたいとお考えになっているのかというのをまずしっかり把握する必要があるんですね。
北海道庁が二年前に東京で一万人調査というのをやりましたら、三割の方が北海道に住んでみたい、あとの三割の方は気候のいいときは行ってみたい、合わせれば三分の二の方が北海道に興味があるということがわかったものですから、道庁としては、限られた予算の中で相当なキャンペーンをして、今いろいろな事業が進んでいるんですけれども、これはやはり御本人の選択ですから。
恐らく、最大のキーワードは、健康で楽しい生活をしたい、そしてできればコストの安いところで暮らしたいという願望はあると思うんですね。それに全国各地の地方の方々がこたえていく必要があるので、一つは、さまざまな観光というのが今大変注目を浴びていますけれども、私は、戦略観光といいますか、ただ見に来ていただくというだけではなくて、しばらく滞在して、いろいろ学んでいただいたり参加していただいたり、あるいはいい家があったら探すというようなことで、定住につながるような観光というのを全国各地の地域が努力する必要がある。
そして、さっき、空気がきれいで水がきれいでストレスがないと言いましたけれども、それ自体は過疎地はみんなあるわけですね。それだけでは住めませんので、地域が来られた方々を温かく迎え入れて、大変便利な生活環境を提示するということが必要なんですね。私は、これを生活産業と言っています。
これは一つは、基本的なのは家ですけれども、家は新しい団地をつくる必要はないんですね。今、日本には四千七百万家計がありますが、家の数が五千四百万戸もあるんですね。多分、世界で家が一番余っている国だと思います。ですから、家に関する情報提供、住宅というのは半分サービス産業になってきていると思うんですが、そういうことを全国各地の人がよく踏まえまして、こんな空き家がある、こんな場所があるということですね。
それから、医療が大変手薄になってきているのは事実なんですね。これはなかなか、お医者さんも大変なんですけれども、全国各地の医療機関のあり方を見ますと、三分の二以上が公立病院なんですが、公立病院のかなりが破綻に近いんですね。これは、さっき申し上げたような経営改革もありますけれども、ワンストップトータルサービスで、今の日本の社会ですと、二十分も車に乗れば必ずどこかの病院に行くわけですから、どこかへ行って一回調べたら全部情報が集約できるというようなネットワーキングを努力される必要があるんですね。そういうことで努力している地方自治体も既にあらわれています。
そんなことで、医療とか介護とか住宅とか、そういう基本的な生活サービスの使いやすいものを整備して、いらしていただいたら、大変楽しくてコストが安くて健康的な生活ができますよ、そういう地域間競争の時代が来ていると思うんですね。そういう認識を全国各地の方々、持っている方も相当いますけれども、それを大きな運動にしていくというようなことができると、先生が今、どうしたら実現できるんだろうかという問いかけに対して、一片の政策で実現できるというものじゃないんですけれども、そういう民が中心で、官がそれを支えるというようなトータルなアプローチが重要なんだということを、私は、予算の中の考え方で大いに強調していただく。予算を伴うものじゃないんですけれども、考え方で、そういう社会に入ったんだということで、官邸を中心に大きく旗を振っていただくということが必要なのではないかと思います。
河
河井克行#13
○河井委員 ありがとうございます。
今、先生が、戦略的な観光とかいろいろな手だてを総合して実現を図っていくべきだということをおっしゃっていただきました。
私、実は、日本イタリア友好議員連盟の事務局を務めておりまして、イタリアっていい国なんですよね、本当に。一人当たりのGDPは確かに日本と比べると低いかもしれません。でも、本当に一人一人の方が豊かに生きていて、おいしいワインを飲んで、おいしい料理を食べて、夜遅くまで仲間と一緒に話をしながら、また出勤して、少し休憩して、また夜が始まるという。民主党の中井先生も有力な議員で、超党派でこの議連をやっておりまして、いつも一緒に、いろいろと御指導いただいておるんですけれども、別に日本がイタリアのようになれとは言いませんけれども、何か地方が、それぞれ独自性がある。
先生は随分海外の御経験がこれまで長かったというふうに伺っておりますけれども、ちょっとその辺で、何か御示唆をいただければありがたいと存じます。
この発言だけを見る →今、先生が、戦略的な観光とかいろいろな手だてを総合して実現を図っていくべきだということをおっしゃっていただきました。
私、実は、日本イタリア友好議員連盟の事務局を務めておりまして、イタリアっていい国なんですよね、本当に。一人当たりのGDPは確かに日本と比べると低いかもしれません。でも、本当に一人一人の方が豊かに生きていて、おいしいワインを飲んで、おいしい料理を食べて、夜遅くまで仲間と一緒に話をしながら、また出勤して、少し休憩して、また夜が始まるという。民主党の中井先生も有力な議員で、超党派でこの議連をやっておりまして、いつも一緒に、いろいろと御指導いただいておるんですけれども、別に日本がイタリアのようになれとは言いませんけれども、何か地方が、それぞれ独自性がある。
先生は随分海外の御経験がこれまで長かったというふうに伺っておりますけれども、ちょっとその辺で、何か御示唆をいただければありがたいと存じます。
島
島田晴雄#14
○島田公述人 この点は、ぜひ私も感想を申し上げたいと思っています。私も、ヨーロッパもアメリカも、いろいろな国々に暮らしておりましたので、まさにイタリーの魅力は、感ずること人後に落ちないと思うんですね。ワインも料理もお祭りも楽しいですけれども、私は最近、カンツォーネを習っておりまして、だれもが歌う、そういう楽しさがあるんですね。
それはそれなんですが、日本は、実は再発見する必要があると思います。日本の全国各地に参りますと、すばらしい生活資源、健康資源、観光資源を持っておられるんですけれども、地元の方々の自己認識がちょっと足りないんですね。
例えば、沖縄に行きますと、白い太陽と言います。太陽が真上にあるから白いんですけれども、沖縄の方は余りそれが好きじゃないらしくて、夜になると出てきてオリオンビールを飲んでいるというようなことがあるんですけれども、実は、これは、本土の人や北の地方の人にとってはお金で買えない宝ですね。
同じような、自分の持っているすばらしさというのがある。全国各地に行きますと、深い文化、歴史、食材、それからいろいろなお祭り、たくさんあるんですね。これは、観光のためにつくられているものというのは割に皮相なものが多いんですけれども、全国各地で生活者の楽しんでいる暮らし方。首都圏では、ゴルフに行くといったって一日がかりの仕事ですけれども、地方に行ったら、半日仕事をして、午後からゴルフして、普通の家族団らんができるというような生活がありますから、そういうものが実はヨーロッパのすばらしい、まあ田舎と言うと語弊があるかもしれませんが、カントリーライフなんですね。
ヨーロッパや諸外国にまさるとも劣らない、そういうものを日本はたくさん持っている。それを自己発見する、発信する、そういうことをして、大都会で大変忙しい、ストレスにまみれた生活をしている方々に伝える。これはやはり、私は企業がやることだと思うんです。そうやって魅力があって人が動いてくれば、企業は必ずもうかるわけですから、交通手段も旅行も住宅も。
ですから、民を中心にそういう運動を興して、それを国が認めて応援していくんだと。ですから、観光戦略とか、生活産業を充実させることだとか、地域が豊かになるように情報を徹底的に流す支援をするんだというようなことを、ぜひ考え方として強調していただければと思います。
この発言だけを見る →それはそれなんですが、日本は、実は再発見する必要があると思います。日本の全国各地に参りますと、すばらしい生活資源、健康資源、観光資源を持っておられるんですけれども、地元の方々の自己認識がちょっと足りないんですね。
例えば、沖縄に行きますと、白い太陽と言います。太陽が真上にあるから白いんですけれども、沖縄の方は余りそれが好きじゃないらしくて、夜になると出てきてオリオンビールを飲んでいるというようなことがあるんですけれども、実は、これは、本土の人や北の地方の人にとってはお金で買えない宝ですね。
同じような、自分の持っているすばらしさというのがある。全国各地に行きますと、深い文化、歴史、食材、それからいろいろなお祭り、たくさんあるんですね。これは、観光のためにつくられているものというのは割に皮相なものが多いんですけれども、全国各地で生活者の楽しんでいる暮らし方。首都圏では、ゴルフに行くといったって一日がかりの仕事ですけれども、地方に行ったら、半日仕事をして、午後からゴルフして、普通の家族団らんができるというような生活がありますから、そういうものが実はヨーロッパのすばらしい、まあ田舎と言うと語弊があるかもしれませんが、カントリーライフなんですね。
ヨーロッパや諸外国にまさるとも劣らない、そういうものを日本はたくさん持っている。それを自己発見する、発信する、そういうことをして、大都会で大変忙しい、ストレスにまみれた生活をしている方々に伝える。これはやはり、私は企業がやることだと思うんです。そうやって魅力があって人が動いてくれば、企業は必ずもうかるわけですから、交通手段も旅行も住宅も。
ですから、民を中心にそういう運動を興して、それを国が認めて応援していくんだと。ですから、観光戦略とか、生活産業を充実させることだとか、地域が豊かになるように情報を徹底的に流す支援をするんだというようなことを、ぜひ考え方として強調していただければと思います。
河
河井克行#15
○河井委員 もう一つ島田先生にお尋ねいたしたいです。
先ほど、成長が格差を縮めるということをおっしゃいました。本当にそのとおりなんですね。格差は不況のときに広がって、好況になれば縮んでくるんだと。ただ、今の日本の状態を見れば、それが少し時間おくれで、そういうふうな状況がおくれてきていると先ほどおっしゃいました。時間が余りなかったものですから簡潔におっしゃったんですけれども、もう少しこの部分、詳しくお考えをお示しいただけますでしょうか。
この発言だけを見る →先ほど、成長が格差を縮めるということをおっしゃいました。本当にそのとおりなんですね。格差は不況のときに広がって、好況になれば縮んでくるんだと。ただ、今の日本の状態を見れば、それが少し時間おくれで、そういうふうな状況がおくれてきていると先ほどおっしゃいました。時間が余りなかったものですから簡潔におっしゃったんですけれども、もう少しこの部分、詳しくお考えをお示しいただけますでしょうか。
島
島田晴雄#16
○島田公述人 私も、所得格差と経済変動の関係をずっと統計的にも研究しているんですけれども、これは、長期で見ても、中期で見ても、短期で見ても、ほぼ共通の傾向性が見られます。
長期で見ますと、経済発展するときは、停滞していますから格差が広がるんですけれども、しばらくたつと格差が縮んでまいります。あるいは、景気変動でもそうで、景気が悪化すると格差が拡大する。
理由は共通の理由なんですが、経済が停滞しているときというのは需要が少なくなりますから、競争条件の恵まれない労働者の方はうんと賃金、所得が落ちていくんですね。経済が発展してまいりますと、需要がどんどんふえてきて労働力が不足になりますから、枯渇してまいりますので、恵まれない方もそこの給料や所得が上がってくるので格差が縮む。これは共通法則だと思います。ですから、成長こそが格差を縮める最大の戦略だ、これはもうはっきり踏まえておいてよろしいと思うんです。
ただ、先ほど同時に申し上げたのは、しかし、世の中というのはそう単純じゃありませんで、いろいろな制度的、構造的理由で、そういう機会からこぼれる人がいるんですね。それをセーフティーネット、生活保護、最低賃金その他で支えていくのが近代国家です。
私がさっき、ぜひ先生方に頑張っていただきたいと思ったのは、だれがどのようにこぼれて、どんなところに苦しんでいるんだというデータが、実はまことに不十分なんです。統計が、労働力調査というのがありますけれども、これは、そういうことを発見できるような質問項目が入っておりません。特別調査というのがあって、時々有効な質問が入ることがあるんですけれども、もっとこれは、常時おやりになった方がいいし、就業構造基本調査というのは数年置きでございます。いろいろなものが数年置きですから、実態がよくわからないんですね。業務統計は、失業保険、雇用保険をもらっている人は確実に調べますけれども、縁が切れるともうわからない。
ですから、こぼれる方々が安心して暮らしていくということは非常に重要なので、どうなっているんだというのをやはりしっかり、大して予算はかからないんですから、本気でやっていただきたい。これは、来月、再来月に結果が出るというものじゃありませんけれども、政治ですから、来月、再来月に何か言わなきゃいかぬ、選挙もあることですし、そういうのはわかりますけれども、しかし、それと同時に、しっかり腰を据えた横綱相撲はとっておいてもらいたい。近代国家ですから、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →長期で見ますと、経済発展するときは、停滞していますから格差が広がるんですけれども、しばらくたつと格差が縮んでまいります。あるいは、景気変動でもそうで、景気が悪化すると格差が拡大する。
理由は共通の理由なんですが、経済が停滞しているときというのは需要が少なくなりますから、競争条件の恵まれない労働者の方はうんと賃金、所得が落ちていくんですね。経済が発展してまいりますと、需要がどんどんふえてきて労働力が不足になりますから、枯渇してまいりますので、恵まれない方もそこの給料や所得が上がってくるので格差が縮む。これは共通法則だと思います。ですから、成長こそが格差を縮める最大の戦略だ、これはもうはっきり踏まえておいてよろしいと思うんです。
ただ、先ほど同時に申し上げたのは、しかし、世の中というのはそう単純じゃありませんで、いろいろな制度的、構造的理由で、そういう機会からこぼれる人がいるんですね。それをセーフティーネット、生活保護、最低賃金その他で支えていくのが近代国家です。
私がさっき、ぜひ先生方に頑張っていただきたいと思ったのは、だれがどのようにこぼれて、どんなところに苦しんでいるんだというデータが、実はまことに不十分なんです。統計が、労働力調査というのがありますけれども、これは、そういうことを発見できるような質問項目が入っておりません。特別調査というのがあって、時々有効な質問が入ることがあるんですけれども、もっとこれは、常時おやりになった方がいいし、就業構造基本調査というのは数年置きでございます。いろいろなものが数年置きですから、実態がよくわからないんですね。業務統計は、失業保険、雇用保険をもらっている人は確実に調べますけれども、縁が切れるともうわからない。
ですから、こぼれる方々が安心して暮らしていくということは非常に重要なので、どうなっているんだというのをやはりしっかり、大して予算はかからないんですから、本気でやっていただきたい。これは、来月、再来月に結果が出るというものじゃありませんけれども、政治ですから、来月、再来月に何か言わなきゃいかぬ、選挙もあることですし、そういうのはわかりますけれども、しかし、それと同時に、しっかり腰を据えた横綱相撲はとっておいてもらいたい。近代国家ですから、頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
河
河井克行#17
○河井委員 ありがとうございます。
続きまして、日本総研の湯元先生にお願いいたします。
先生にお配りいただいた資料の四ページ、中長期の財政運営上の課題についてお触れをいただきました。この一、二年はいいけれども、その先がなかなか心配なんだということをおっしゃっていただきました。
その中で、内閣府の試算においては、名目成長率が二〇〇六年度の一・五%から徐々に上昇して、二〇一一年度に三・九%、これが一番理想の形だということをおっしゃっていただきましたけれども、これが実現するためにはなかなか容易じゃないよということをおっしゃいました。イノベーション、それからアジアとの本当に開かれた関係、経済関係ということであります、それは、私たち政治の立場でしっかりやっていかなくちゃいけないわけですけれども。
先生にお示しいただきたいことは、この間、物価のGDPデフレーターが、今は〇・四%マイナスの見通しですね、二〇〇六年度。この物価や賃金が、この内閣府の試算のとおり、うまいぐあいに順調に上昇していくという想定になるにはどのような経済環境が考えられるのか、それがまず一つです。
それから二つ目は、やはりこれが実現するためには、当然、成長率が上昇しますと金利も上昇をしていきます。その利払い費の増加が財政にどういう悪影響を与えることになるか、先生のお立場からお答えいただければと存じます。お願いします。
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先生にお配りいただいた資料の四ページ、中長期の財政運営上の課題についてお触れをいただきました。この一、二年はいいけれども、その先がなかなか心配なんだということをおっしゃっていただきました。
その中で、内閣府の試算においては、名目成長率が二〇〇六年度の一・五%から徐々に上昇して、二〇一一年度に三・九%、これが一番理想の形だということをおっしゃっていただきましたけれども、これが実現するためにはなかなか容易じゃないよということをおっしゃいました。イノベーション、それからアジアとの本当に開かれた関係、経済関係ということであります、それは、私たち政治の立場でしっかりやっていかなくちゃいけないわけですけれども。
先生にお示しいただきたいことは、この間、物価のGDPデフレーターが、今は〇・四%マイナスの見通しですね、二〇〇六年度。この物価や賃金が、この内閣府の試算のとおり、うまいぐあいに順調に上昇していくという想定になるにはどのような経済環境が考えられるのか、それがまず一つです。
それから二つ目は、やはりこれが実現するためには、当然、成長率が上昇しますと金利も上昇をしていきます。その利払い費の増加が財政にどういう悪影響を与えることになるか、先生のお立場からお答えいただければと存じます。お願いします。
湯
湯元健治#18
○湯元公述人 湯元でございます。
まず、河井先生の御指摘になられました経済や物価、足元、消費者物価でわずか〇・一%の上昇、それからGDPデフレーターでは、依然としてまだ前年対比で〇・五%のマイナス、こういう状況になっておるわけであります。
それから、名目経済成長率も、二〇〇六年度実績見込み一・五でございますが、二〇〇六暦年の実績が出ておりまして、これがまだ一・二%ということでございますので、基本的に、どういう状況になるとこれが上がっていく形になるのかというイメージを描きますと、これは名目でございますから、やはり企業部門で利益が出る、あるいは個人の所得が増加していく、賃金が増加していく、こういう局面になることが必要でございます。
そして企業の利益という意味では、ここ五年連続、増収増益。利益水準あるいは利益率を見ましても、バブル期のピークを超えるような高水準になってきている。問題は、この部分が家計部門に波及する度合いというのが、予想対比で見ますとまだ極めて緩やかな状況にとどまっているということだろうと思います。
そして、私は、もちろんこれは政策的になかなかいかないということであれば、いろいろな形で考える必要性というのはあるのかと思いますけれども、これまでの過去五年間、非常に日本経済、どん底に落ち込んだ局面からどうやってはい上がっていくのか、これは構造改革を進めていくことによってはい上がって、ここまで来たということであります。そして、この構造改革を進めるプロセスで、特に企業部門において三つの過剰と言われる人、物、金の過剰があった。この人、物、金の過剰をすべて正常な状況に戻してくる、このために十年ぐらいの期間を要したということでありまして、昨年の動きというのも、いま一つ家計部門に配分が回らなかったという点でありますけれども、これも私はかなり最終局面の方に来ているのではないかなという感じがいたします。
一つは、先ほど先生の御指摘になりました団塊世代というのが退職期を迎えるということでありまして、ここでかなり有能な技能や知識を持った労働者が退職、退出してまいります。企業にとりまして、今全体的に有効求人倍率が一・〇八倍という程度にとどまっていますけれども、実は、機械や電機や情報処理関係のところの技能労働者、専門職、技術職、こういったところに限って見ますと三倍から五倍といったような倍率になっているわけでありまして、企業が求める、欲する人材と現実に存在している人材の間にギャップが大きいということが大きな要因になっているかと思います。
したがいまして、まさに重要なことは、人材、能力開発、これは企業自身がやっていかないといけない部分もあるわけでありますけれども、そういうものを政策として側面から支えていく。
格差の問題ですとかいろいろなことが指摘されていますけれども、実際にこの結果としての差を、必要以上に落ちこぼれていく人たちはセーフティーネットという形で救っていくということは当然必要ですが、本来は、そのセーフティーネット以下に落ちていない人たちで、まだそれなりの不満を持っている方々が残っておりますので、こういう人たちにいかに能力を身につけさせるか。そしてそれは、この厳しいグローバル競争の中で、企業自身が実は人材に対していろいろな投資をして人を育成してきた。この機能が少し競争の中で、あるいは三つの過剰を削減するプロセスの中で弱まってきてしまっている、フリーター、ニートの問題なんかもそういうプロセスの中で出てきましたので。
方向として、今、景気の回復、経済成長の回復ということで、これは改善の方向に少しずつ向かっていると思いますし、これからの人材不足時代の本格的到来というのを考えますと、ある意味では、そういった能力、専門的知識を持っている人については相当な賃金を払ってでも獲得していく、こういう方向に行くと思いますが、これがもし十分にいかないということであれば、そういった人たちを早く、さらに大量につくっていく、いわゆるエンプロイアビリティー。これは、一つの会社で仕事をしていく能力ではなくて、どこの会社に行っても自分は自信を持ってこういう仕事ができるんだ、そしてその仕事がきちっと社会や会社から評価されていく、そしてさらにその評価されたものに見合った賃金がうまくもらえる、こういう仕組みに徐々にこれから切りかわっていこうとしておりますし、切りかわっていく方向になると思います。
したがいまして、今進められているような若者就業支援や再チャレンジ、あるいは底上げ戦略、こういうことをより具体的に実行していく。これが着実に実行されていけば、この内閣府の描くシナリオというのが実現できる可能性は、私はあると思います。現時点では、足元の現状と比べたときに、まだ非常に遠い目標というふうに見えますけれども、方向としては十分可能であるというふうに考えております。
それから、金利の問題ですけれども、これはこの内閣府の試算では、経済成長と金利というのはほぼ同じぐらいという見通しになっておりますので、これも望ましい方向、ベストシナリオとしてはこういう感じになるのがいいと思います。金利が上がったときの利払い負担の増加というのは経済成長による税収の増加で相殺されますので、その場合には余り財政に大きな影響はもたらさないということでありますけれども、過去の経験則、主要先進国も含めた一九八〇年代以降の平均的な金利の上昇と成長率を見ますと、やはり金利の上昇の方が高くなるというのが正常な経済状態では起きやすい現象であります。
ただ、今の状況というのは、世界的にも企業部門が金余り、キャッシュフローが非常に余剰になっておりますから、なかなかそれが資金需要とかそういうものを通じて金利上昇につながっていかない。経済成長と金利というのはさほど変わらない、同じぐらいの状態になっているということでありますけれども、将来的には、やはりそれが少しずつ変わってくる可能性、五年後とかそういう先までをにらみますと変わってくる可能性がありますので、逆に言いますと、今のうちから金利負担が大きくならないように債務残高を圧縮していく、この努力が必要であります。
これは、もちろん、プライマリーバランスの黒字化をして、黒字をふやしていくというのはかなり時間を要する話ですから、短期的にはやはりバランスシートというのをどんどん縮小して、それによって、例えば債務残高GDP比というのは昨年度の予算でも若干上昇率が鈍化するといったようなことが起きておりますので、特別会計の改革を初めとした、あるいは政府資産の圧縮を初めとした努力を進めていくということが、そういった金利上昇に備えるという意味でも極めて重要な課題ではないかと思っております。
ありがとうございます。
この発言だけを見る →まず、河井先生の御指摘になられました経済や物価、足元、消費者物価でわずか〇・一%の上昇、それからGDPデフレーターでは、依然としてまだ前年対比で〇・五%のマイナス、こういう状況になっておるわけであります。
それから、名目経済成長率も、二〇〇六年度実績見込み一・五でございますが、二〇〇六暦年の実績が出ておりまして、これがまだ一・二%ということでございますので、基本的に、どういう状況になるとこれが上がっていく形になるのかというイメージを描きますと、これは名目でございますから、やはり企業部門で利益が出る、あるいは個人の所得が増加していく、賃金が増加していく、こういう局面になることが必要でございます。
そして企業の利益という意味では、ここ五年連続、増収増益。利益水準あるいは利益率を見ましても、バブル期のピークを超えるような高水準になってきている。問題は、この部分が家計部門に波及する度合いというのが、予想対比で見ますとまだ極めて緩やかな状況にとどまっているということだろうと思います。
そして、私は、もちろんこれは政策的になかなかいかないということであれば、いろいろな形で考える必要性というのはあるのかと思いますけれども、これまでの過去五年間、非常に日本経済、どん底に落ち込んだ局面からどうやってはい上がっていくのか、これは構造改革を進めていくことによってはい上がって、ここまで来たということであります。そして、この構造改革を進めるプロセスで、特に企業部門において三つの過剰と言われる人、物、金の過剰があった。この人、物、金の過剰をすべて正常な状況に戻してくる、このために十年ぐらいの期間を要したということでありまして、昨年の動きというのも、いま一つ家計部門に配分が回らなかったという点でありますけれども、これも私はかなり最終局面の方に来ているのではないかなという感じがいたします。
一つは、先ほど先生の御指摘になりました団塊世代というのが退職期を迎えるということでありまして、ここでかなり有能な技能や知識を持った労働者が退職、退出してまいります。企業にとりまして、今全体的に有効求人倍率が一・〇八倍という程度にとどまっていますけれども、実は、機械や電機や情報処理関係のところの技能労働者、専門職、技術職、こういったところに限って見ますと三倍から五倍といったような倍率になっているわけでありまして、企業が求める、欲する人材と現実に存在している人材の間にギャップが大きいということが大きな要因になっているかと思います。
したがいまして、まさに重要なことは、人材、能力開発、これは企業自身がやっていかないといけない部分もあるわけでありますけれども、そういうものを政策として側面から支えていく。
格差の問題ですとかいろいろなことが指摘されていますけれども、実際にこの結果としての差を、必要以上に落ちこぼれていく人たちはセーフティーネットという形で救っていくということは当然必要ですが、本来は、そのセーフティーネット以下に落ちていない人たちで、まだそれなりの不満を持っている方々が残っておりますので、こういう人たちにいかに能力を身につけさせるか。そしてそれは、この厳しいグローバル競争の中で、企業自身が実は人材に対していろいろな投資をして人を育成してきた。この機能が少し競争の中で、あるいは三つの過剰を削減するプロセスの中で弱まってきてしまっている、フリーター、ニートの問題なんかもそういうプロセスの中で出てきましたので。
方向として、今、景気の回復、経済成長の回復ということで、これは改善の方向に少しずつ向かっていると思いますし、これからの人材不足時代の本格的到来というのを考えますと、ある意味では、そういった能力、専門的知識を持っている人については相当な賃金を払ってでも獲得していく、こういう方向に行くと思いますが、これがもし十分にいかないということであれば、そういった人たちを早く、さらに大量につくっていく、いわゆるエンプロイアビリティー。これは、一つの会社で仕事をしていく能力ではなくて、どこの会社に行っても自分は自信を持ってこういう仕事ができるんだ、そしてその仕事がきちっと社会や会社から評価されていく、そしてさらにその評価されたものに見合った賃金がうまくもらえる、こういう仕組みに徐々にこれから切りかわっていこうとしておりますし、切りかわっていく方向になると思います。
したがいまして、今進められているような若者就業支援や再チャレンジ、あるいは底上げ戦略、こういうことをより具体的に実行していく。これが着実に実行されていけば、この内閣府の描くシナリオというのが実現できる可能性は、私はあると思います。現時点では、足元の現状と比べたときに、まだ非常に遠い目標というふうに見えますけれども、方向としては十分可能であるというふうに考えております。
それから、金利の問題ですけれども、これはこの内閣府の試算では、経済成長と金利というのはほぼ同じぐらいという見通しになっておりますので、これも望ましい方向、ベストシナリオとしてはこういう感じになるのがいいと思います。金利が上がったときの利払い負担の増加というのは経済成長による税収の増加で相殺されますので、その場合には余り財政に大きな影響はもたらさないということでありますけれども、過去の経験則、主要先進国も含めた一九八〇年代以降の平均的な金利の上昇と成長率を見ますと、やはり金利の上昇の方が高くなるというのが正常な経済状態では起きやすい現象であります。
ただ、今の状況というのは、世界的にも企業部門が金余り、キャッシュフローが非常に余剰になっておりますから、なかなかそれが資金需要とかそういうものを通じて金利上昇につながっていかない。経済成長と金利というのはさほど変わらない、同じぐらいの状態になっているということでありますけれども、将来的には、やはりそれが少しずつ変わってくる可能性、五年後とかそういう先までをにらみますと変わってくる可能性がありますので、逆に言いますと、今のうちから金利負担が大きくならないように債務残高を圧縮していく、この努力が必要であります。
これは、もちろん、プライマリーバランスの黒字化をして、黒字をふやしていくというのはかなり時間を要する話ですから、短期的にはやはりバランスシートというのをどんどん縮小して、それによって、例えば債務残高GDP比というのは昨年度の予算でも若干上昇率が鈍化するといったようなことが起きておりますので、特別会計の改革を初めとした、あるいは政府資産の圧縮を初めとした努力を進めていくということが、そういった金利上昇に備えるという意味でも極めて重要な課題ではないかと思っております。
ありがとうございます。
河
河井克行#19
○河井委員 あと三分ほどありますので、最後に、再び島田晴雄先生にお願いいたします。
個人消費の今の足元の状態、そして行方について、余り楽観視を先生はされていないということでありますけれども、やはりこの部門が本格的に動いてくれないと、日本経済、先ほどからずっと話をしております底上げとか新成長経済移行ケースとか、そういったことになかなか結びついていかない。この個人消費の拡大、先生、何かお考えがあったらお願いします。
〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
この発言だけを見る →個人消費の今の足元の状態、そして行方について、余り楽観視を先生はされていないということでありますけれども、やはりこの部門が本格的に動いてくれないと、日本経済、先ほどからずっと話をしております底上げとか新成長経済移行ケースとか、そういったことになかなか結びついていかない。この個人消費の拡大、先生、何かお考えがあったらお願いします。
〔森(英)委員長代理退席、委員長着席〕
島
島田晴雄#20
○島田公述人 日本がバブル崩壊後、厳しいデフレを脱却しようという中で、企業が自己改革をして力をつけて、国際競争、これから日本の市場は飽和してまいりますから、成長分はほとんど海外に求めなきゃいかぬというような厳しい状況の中で、企業が頑張ってきたわけですね。
そうしますと、やはり中国のような国を見ますと、大変技術が進んできておりますけれども、依然として賃金は日本よりも二十分の一以下だ、そういうところと競争しなきゃならないわけですから、安易に賃上げできないという状況で来ているわけですね。その中でまた雇用も絞ってきているものですから、雇用不安もあって、なかなか家計が消費を、かつてのように出ていくということは難しい状況ですけれども、これは回復してくるのに相当時間がかかると思うんですね。徐々に徐々に、経済全体がよくなっていきませんと簡単にいかない。
もう一つ私は重要なことがあると思うのは、実は、人口が高齢化していまして、ますます多くの方々が高齢者、あるいは定年退職してまいりますよね。ことし六十を迎える方は二百二十六万人ですけれども、前後十年ぐらいを見ますと、定年退職される方は千万人ぐらいになってくるわけですね。そのうちの半分以上の方が大都市に住んでおられる。この方々の消費能力というのは非常に大きいんですね。ところが、この方々は、生活を安定し、安心したい、老後に備えたいといったときに、実は物価とか所得の多寡ということよりも、この人たちにちょうどいい多様な生活サービスの選択の余地が少ないんですね。
これは、日本は製造業は非常に頑張ってきましたけれども、生活産業、生活サービスというのはある意味では非常におくれていて、大部分が官製市場と言われるような単一的なものですから、人々の志向がもう非常に多様に、ライフスタイルが多様になっているときに、それでは不十分だ。これが私はある意味では構造的に、今後の高齢成熟社会の消費の力をもっと高めていくためには、そこの供給をもっともっと豊かにする必要があるんじゃないか。
これは何かというと、やはり規制改革なんですね。医療だとか介護だとか、いろいろなところに民間企業の創意工夫がたくさん入る、あるいは外国からの投資もどんどん入って、こんな楽しい生活ができるんですよということを鼓舞していくということが、高齢成熟社会の新しい消費を高めていく根本的な一つの方向になるんじゃないか。ケインズの時代の考え方に我々はとらわれ過ぎていて、勤労者、所得、消費、こうなっていますけれども、勤労していない方の消費というのはもっともっと大きい可能性があるので、ぜひ構造的なシステム改革を考えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →そうしますと、やはり中国のような国を見ますと、大変技術が進んできておりますけれども、依然として賃金は日本よりも二十分の一以下だ、そういうところと競争しなきゃならないわけですから、安易に賃上げできないという状況で来ているわけですね。その中でまた雇用も絞ってきているものですから、雇用不安もあって、なかなか家計が消費を、かつてのように出ていくということは難しい状況ですけれども、これは回復してくるのに相当時間がかかると思うんですね。徐々に徐々に、経済全体がよくなっていきませんと簡単にいかない。
もう一つ私は重要なことがあると思うのは、実は、人口が高齢化していまして、ますます多くの方々が高齢者、あるいは定年退職してまいりますよね。ことし六十を迎える方は二百二十六万人ですけれども、前後十年ぐらいを見ますと、定年退職される方は千万人ぐらいになってくるわけですね。そのうちの半分以上の方が大都市に住んでおられる。この方々の消費能力というのは非常に大きいんですね。ところが、この方々は、生活を安定し、安心したい、老後に備えたいといったときに、実は物価とか所得の多寡ということよりも、この人たちにちょうどいい多様な生活サービスの選択の余地が少ないんですね。
これは、日本は製造業は非常に頑張ってきましたけれども、生活産業、生活サービスというのはある意味では非常におくれていて、大部分が官製市場と言われるような単一的なものですから、人々の志向がもう非常に多様に、ライフスタイルが多様になっているときに、それでは不十分だ。これが私はある意味では構造的に、今後の高齢成熟社会の消費の力をもっと高めていくためには、そこの供給をもっともっと豊かにする必要があるんじゃないか。
これは何かというと、やはり規制改革なんですね。医療だとか介護だとか、いろいろなところに民間企業の創意工夫がたくさん入る、あるいは外国からの投資もどんどん入って、こんな楽しい生活ができるんですよということを鼓舞していくということが、高齢成熟社会の新しい消費を高めていく根本的な一つの方向になるんじゃないか。ケインズの時代の考え方に我々はとらわれ過ぎていて、勤労者、所得、消費、こうなっていますけれども、勤労していない方の消費というのはもっともっと大きい可能性があるので、ぜひ構造的なシステム改革を考えていただきたいと思います。
河
金
大
大串博志#23
○大串委員 ありがとうございます。
きょうは公聴会ということで、公述人の方々にはお忙しいところ、それぞれの御経験、御識見を踏まえて、大変貴重かつ示唆に富むお話を聞かせていただきました。本日、私は民主党の立場からいろいろまた聞かせていただくわけでございますけれども、この場をおかりしまして、皆様の御協力に対して御礼を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。
本日参加していただきました公述人の皆様方は、本当に、経済、景気、そして今の格差、労働雇用という問題、社会保障等のセーフティーネットという問題に関しての経験者でいらっしゃいますし、そういう中で非常に示唆に富むなと思うこともたくさんあったわけでございます。できるだけ皆様に、時間の許す限り、いろいろ、それぞれにお話を聞かせていただけたらと思うのです。
まず、島田先生にちょっとお尋ねさせていただきたいと思うのですけれども、先ほどお話の中で、なるほどと思いました。格差問題が今言われておりますけれども、何が格差なのか。格差があるのかないのか、どういう点が問題、問題でない、あるいはより深刻に考える必要がある、あるいは少々プライオリティーを落としていい、いろいろな現状認識に基づいた上で格差問題を考えていかなければならない、そのとおりだと思うんですね。
この間、この予算委員会でも、底上げ戦略をつくっていく際の、ニート、フリーター、こういう方々をどう定義していくか、なかなかそこが難しいので、そういう定義に時間を割くよりも、とりあえず目の前の問題に対応するんだということで、定義の問題は時間がかかるので後送りしようというような御意見も政府の方から聞かれましたが、先ほど、格差の実態把握、政府においては非常におくれているんだというお話がありました。それはどのくらいおくれているのか、どのくらい難しいのか、できないものなのかどうか、その辺の実態のところをもう少し敷衍してお聞かせいただければというふうに思います。
この発言だけを見る →きょうは公聴会ということで、公述人の方々にはお忙しいところ、それぞれの御経験、御識見を踏まえて、大変貴重かつ示唆に富むお話を聞かせていただきました。本日、私は民主党の立場からいろいろまた聞かせていただくわけでございますけれども、この場をおかりしまして、皆様の御協力に対して御礼を申し上げさせていただきたいと思います。本当にありがとうございます。
本日参加していただきました公述人の皆様方は、本当に、経済、景気、そして今の格差、労働雇用という問題、社会保障等のセーフティーネットという問題に関しての経験者でいらっしゃいますし、そういう中で非常に示唆に富むなと思うこともたくさんあったわけでございます。できるだけ皆様に、時間の許す限り、いろいろ、それぞれにお話を聞かせていただけたらと思うのです。
まず、島田先生にちょっとお尋ねさせていただきたいと思うのですけれども、先ほどお話の中で、なるほどと思いました。格差問題が今言われておりますけれども、何が格差なのか。格差があるのかないのか、どういう点が問題、問題でない、あるいはより深刻に考える必要がある、あるいは少々プライオリティーを落としていい、いろいろな現状認識に基づいた上で格差問題を考えていかなければならない、そのとおりだと思うんですね。
この間、この予算委員会でも、底上げ戦略をつくっていく際の、ニート、フリーター、こういう方々をどう定義していくか、なかなかそこが難しいので、そういう定義に時間を割くよりも、とりあえず目の前の問題に対応するんだということで、定義の問題は時間がかかるので後送りしようというような御意見も政府の方から聞かれましたが、先ほど、格差の実態把握、政府においては非常におくれているんだというお話がありました。それはどのくらいおくれているのか、どのくらい難しいのか、できないものなのかどうか、その辺の実態のところをもう少し敷衍してお聞かせいただければというふうに思います。
島
島田晴雄#24
○島田公述人 ありがとうございます。
私は、成長こそが格差を縮小していく最大の戦略だと申し上げましたけれども、今般もう長期成長段階に入ってきて、緩やかですが、数年前は失業者は三百万人を超えておったわけですけれども、今は二百二十万人ぐらいですから、明らかに雇用機会がふえてきて、それは長期的に必ず格差を縮小していく結果につながるわけですね。そういうことで、これは基本で踏まえておく必要があると思います。
ただ、もう何度も繰り返し申し上げましたけれども、構造的、制度的、あるいはその他の条件で、経済機会に恵まれない人たちというのがどうしても出てくるんですね。セーフティーネットとして生活保護を受けておられる方が百七十万人ほどおられますけれども、それの実態をどう把握するかということで、実態把握はできるのかできないのか。私はできると思います。
労働力調査というのを毎月やっているわけですね。これが一番、我々は基本に使う調査ですけれども、数万件の世帯に順繰りに、いろいろローテーションしてサンプルをとっているわけですが、これに質問を、生活状況に関する質問あるいは雇用保険の受給状態に関する質問、二問ぐらい入れていただければ、いろいろなものがつながって見えてくるんですね。それから就業構造基本調査とか、一番ベーシックなのは国勢調査がありますけれども、これはインターバルが長いものですから、やはり機動的な調査に質問を工夫するといろいろなことの実態がわかるので、ぜひそれはやっていただきたいと思うのです。
それで、フリーターの定義がどうのこうのというのは余り生産的な議論じゃないんですけれども、しかし、かなりはっきりしていることは、バブル崩壊、デフレの中で、就職氷河期という時期があったわけです。十年ぐらい、とても若い人が苦労した時期がありました。このときに、雇用できなくてこぼれた人たちがいらっしゃるわけですね。フリーターと言われている人の中には管理が嫌だという人もいまして、それは相当数いるんでしょうけれども。いい雇用の機会につこうと思ったけれども、こぼれてどうしてもつけない。つけないまま、日本の雇用制度の、労働市場の状況の中ですと、ずっとこの人たちは恵まれないですね。
私は昔アメリカにいたときに、大不況のときに労働市場に出た人たちのコーホート分析というのをやりましたけれども、アメリカのような市場ですら一生不利になるんですよね。ですから、日本のような労働市場だともっと不利になると思いますので、どんな状況なのか、どういうふうにしたら再雇用できるのかというあたりは、しっかり一回研究する、これは不可能じゃないと思います。サンプリング調査でもいろいろなことができますから、ぜひおやりになって。
それから、氷河期にたまたま、たまたまというか運よく就職できた人は数が少ないんですね。成長が始まったものですから、今度はこの方々は、残業が延びるわ、サービス残業だとすり切れています。このままだと、貴重な労働力、家庭生活もまともに営めないような人が出てきていますから、この辺もしっかり調査しておいた方がいいのですね。
そういう、やはり対象をしっかり確認した上で最も有効な戦略を組むというのは、これは一カ月や二カ月じゃ出てこないと思いますけれども、労働力がどんどん減っていくという非常に大きな歴史的な展望にあるわけですから、もう宝ですから、やはり多少時間がかかっても、短期、中期、長期の戦略でしっかりやることが可能だと思います。よろしくお願いしたいと思います。
この発言だけを見る →私は、成長こそが格差を縮小していく最大の戦略だと申し上げましたけれども、今般もう長期成長段階に入ってきて、緩やかですが、数年前は失業者は三百万人を超えておったわけですけれども、今は二百二十万人ぐらいですから、明らかに雇用機会がふえてきて、それは長期的に必ず格差を縮小していく結果につながるわけですね。そういうことで、これは基本で踏まえておく必要があると思います。
ただ、もう何度も繰り返し申し上げましたけれども、構造的、制度的、あるいはその他の条件で、経済機会に恵まれない人たちというのがどうしても出てくるんですね。セーフティーネットとして生活保護を受けておられる方が百七十万人ほどおられますけれども、それの実態をどう把握するかということで、実態把握はできるのかできないのか。私はできると思います。
労働力調査というのを毎月やっているわけですね。これが一番、我々は基本に使う調査ですけれども、数万件の世帯に順繰りに、いろいろローテーションしてサンプルをとっているわけですが、これに質問を、生活状況に関する質問あるいは雇用保険の受給状態に関する質問、二問ぐらい入れていただければ、いろいろなものがつながって見えてくるんですね。それから就業構造基本調査とか、一番ベーシックなのは国勢調査がありますけれども、これはインターバルが長いものですから、やはり機動的な調査に質問を工夫するといろいろなことの実態がわかるので、ぜひそれはやっていただきたいと思うのです。
それで、フリーターの定義がどうのこうのというのは余り生産的な議論じゃないんですけれども、しかし、かなりはっきりしていることは、バブル崩壊、デフレの中で、就職氷河期という時期があったわけです。十年ぐらい、とても若い人が苦労した時期がありました。このときに、雇用できなくてこぼれた人たちがいらっしゃるわけですね。フリーターと言われている人の中には管理が嫌だという人もいまして、それは相当数いるんでしょうけれども。いい雇用の機会につこうと思ったけれども、こぼれてどうしてもつけない。つけないまま、日本の雇用制度の、労働市場の状況の中ですと、ずっとこの人たちは恵まれないですね。
私は昔アメリカにいたときに、大不況のときに労働市場に出た人たちのコーホート分析というのをやりましたけれども、アメリカのような市場ですら一生不利になるんですよね。ですから、日本のような労働市場だともっと不利になると思いますので、どんな状況なのか、どういうふうにしたら再雇用できるのかというあたりは、しっかり一回研究する、これは不可能じゃないと思います。サンプリング調査でもいろいろなことができますから、ぜひおやりになって。
それから、氷河期にたまたま、たまたまというか運よく就職できた人は数が少ないんですね。成長が始まったものですから、今度はこの方々は、残業が延びるわ、サービス残業だとすり切れています。このままだと、貴重な労働力、家庭生活もまともに営めないような人が出てきていますから、この辺もしっかり調査しておいた方がいいのですね。
そういう、やはり対象をしっかり確認した上で最も有効な戦略を組むというのは、これは一カ月や二カ月じゃ出てこないと思いますけれども、労働力がどんどん減っていくという非常に大きな歴史的な展望にあるわけですから、もう宝ですから、やはり多少時間がかかっても、短期、中期、長期の戦略でしっかりやることが可能だと思います。よろしくお願いしたいと思います。
大
大串博志#25
○大串委員 いま一問、島田先生にお尋ねしたいんですが、トリクルダウンセオリーですね、成長が格差の問題も含めて解決するということ。私も、二十年近く以前に役所に勤めていたときに、国際金融の世界で、IMFや世銀、先進国経済、途上国経済、いろいろ自分でも現地にも入り、見てきました。そういう中で、トリクルダウンセオリーというのはよく言われているセオリーですけれども、開発途上国、開発経済においては非常に聞かれる定義なんですね。
御案内のように、スティグリッツによると、アジアは、開発の段階はもう終わりつつある、アジアの奇跡は終わったんだということですけれども、開発経済、典型的には潜在成長力が六%、七%という経済が伸びていくとき、そういうところではトリクルダウンセオリーというのは非常にやはりきくと思うんです。六%、七%経済、十年で二倍ですから、所得倍増ですから、そういう経済であれば、その経済構造の中で波に乗った人、乗れなかった人も含めて、全体の底上げが果たされていくということは十分あり得る話だと思うんですが、日本の現在の状況、潜在成長率、一%、一%少しあるでしょうか、ないでしょうか。そういう中で、経済成長が進んでいくことによって、本当に、今おっしゃったような格差の問題も含めて、それだけで解決されていくのかという点において、私は疑問があるんですね。その辺に関してはいかがでしょうか。
この発言だけを見る →御案内のように、スティグリッツによると、アジアは、開発の段階はもう終わりつつある、アジアの奇跡は終わったんだということですけれども、開発経済、典型的には潜在成長力が六%、七%という経済が伸びていくとき、そういうところではトリクルダウンセオリーというのは非常にやはりきくと思うんです。六%、七%経済、十年で二倍ですから、所得倍増ですから、そういう経済であれば、その経済構造の中で波に乗った人、乗れなかった人も含めて、全体の底上げが果たされていくということは十分あり得る話だと思うんですが、日本の現在の状況、潜在成長率、一%、一%少しあるでしょうか、ないでしょうか。そういう中で、経済成長が進んでいくことによって、本当に、今おっしゃったような格差の問題も含めて、それだけで解決されていくのかという点において、私は疑問があるんですね。その辺に関してはいかがでしょうか。
島
島田晴雄#26
○島田公述人 やや繰り返しになるかと思いますけれども、数年前の日本経済の状況と今日を比べますと、失業者数も減りましたし、さまざまな雇用も明らかにふえているわけですね。それは、やがて所得の面でも格差の縮小という方向へ向かうと思うのです。現状はややタイムラグがありますから、ジニ係数で各世代別に調べると、やや格差が拡大するというようなことが見られる。世代別の中では縮小しているんですけれども、全体でちょっと広がっているというようなことが見えたりしますが、タイムラグの問題だと思いますね。そういうことが一つあるのです。
繰り返しになって恐縮ですが、そういう仕組みの中からこぼれ落ちる人がいるわけですね。さっき申し上げたフリーターの方もそうですし、ニートと言われている人の一部もそうでしょうし、生活保護世帯の中で、一生懸命働こうとするんだけれども、働くと生活保護支給がカットされちゃうという状況があるので、いわゆるインセンティブトラップに落ちている人とか、さまざまな人がいるわけですよね。あるいは中途退学者とか、そういう人たちは、やはり近代社会は救わなきゃいかぬ。
それを一番救えるにはどういう仕掛けがいいのかということなんですけれども、例えば、職業安定所がいろいろ支援をなさっていますけれども、実は企業が一番欲しいのはこういう情報なんですね、人々を雇うときには、あの人は本当はできるのかできないのかというような情報が一番欲しい。それは、公的な職業紹介機関では絶対出せない情報です。しかし、民間の職業紹介サービスはやっているんですね。
そういうような工夫一つとっても、では、雇い主ができると思うような訓練とか支援をどういうふうにしたらいいかという戦略が組めるはずなんですね。そういうきめの細かい民間のサービスがもっともっと盛んになるような仕掛けというのは政府としてはつくれるはずですから、やはり機会に恵まれない一部の方々が安心して暮らせる社会をつくらなきゃいけないと思うので、これは可能ですから、頑張っていただきたいと思います。
この発言だけを見る →繰り返しになって恐縮ですが、そういう仕組みの中からこぼれ落ちる人がいるわけですね。さっき申し上げたフリーターの方もそうですし、ニートと言われている人の一部もそうでしょうし、生活保護世帯の中で、一生懸命働こうとするんだけれども、働くと生活保護支給がカットされちゃうという状況があるので、いわゆるインセンティブトラップに落ちている人とか、さまざまな人がいるわけですよね。あるいは中途退学者とか、そういう人たちは、やはり近代社会は救わなきゃいかぬ。
それを一番救えるにはどういう仕掛けがいいのかということなんですけれども、例えば、職業安定所がいろいろ支援をなさっていますけれども、実は企業が一番欲しいのはこういう情報なんですね、人々を雇うときには、あの人は本当はできるのかできないのかというような情報が一番欲しい。それは、公的な職業紹介機関では絶対出せない情報です。しかし、民間の職業紹介サービスはやっているんですね。
そういうような工夫一つとっても、では、雇い主ができると思うような訓練とか支援をどういうふうにしたらいいかという戦略が組めるはずなんですね。そういうきめの細かい民間のサービスがもっともっと盛んになるような仕掛けというのは政府としてはつくれるはずですから、やはり機会に恵まれない一部の方々が安心して暮らせる社会をつくらなきゃいけないと思うので、これは可能ですから、頑張っていただきたいと思います。
大
大串博志#27
○大串委員 ありがとうございます。
恐らく、島田先生の御発言の中、繰り返しになるとおっしゃいましたけれども、成長は一つの格差をなくす源泉である、それは私も否定しません。パイが大きくなっていかないと分け与えるパイがないわけですから、それは否定しない。その中で、政府の役割というのが残るということであろうと思うんですね。
逢見公述人にもお尋ねしたいんですけれども、逢見公述人は、去年のこの場でも、格差の問題に関していろいろお話を聞かせていただきました。少しずつコンテクスト、状況は変わってきているとは思いますけれども、二年続けてこの格差の問題をここで聞かせていただいている、あるいは議論しなければならない状況にあるということ自体も、私は深刻だなというふうに思うわけでございます。
現在、格差があるかどうかという入り口の議論ですら、去年もありましたし、ことしのこの国会でも、格差があるのかどうか、格差を認めるのかどうかというような言葉の議論、まだ残っております。逢見公述人の方からは、先ほど御意見の中で、格差の拡大について、幾つか例示を含めて、格差はまだ依然として広がっている、あるいは存在し広がっているんだというお話がありましたけれども、この辺について、格差は今現状どうなっているのか、存在して広がっているのか、広がっているとするとどういうふうな深刻さを持っているのか、この辺について、いま一度になりますけれども、例示を踏まえてお聞かせいただければというふうに思います。
それから、格差というものを考える際に、恐らく、経済が伸びていって、経済の波に乗っている人はどんどん成長していく、これは私は、経済の活力という意味において、あっていいことだと思うし、あるべきだと思うのですね。でも、その格差がどういう意味の格差なのか。つまり、上の人も伸びているし下の人も伸びているけれども、その差が開いているので格差というのか。この場合だったらまだ深刻さは少ないんだと思うのです。逆にといいますか、そうではなくて、上の人は伸びているけれども下の人は逆に下がっていっている、こういうふうな状況で格差が広がっているんだったら、これは非常に深刻さが大きいんじゃないかと思うのです。
その辺も含めて、現在見られている中で、格差というのはどういう状況、動きになっているのか、お聞かせいただければというふうに思います。
この発言だけを見る →恐らく、島田先生の御発言の中、繰り返しになるとおっしゃいましたけれども、成長は一つの格差をなくす源泉である、それは私も否定しません。パイが大きくなっていかないと分け与えるパイがないわけですから、それは否定しない。その中で、政府の役割というのが残るということであろうと思うんですね。
逢見公述人にもお尋ねしたいんですけれども、逢見公述人は、去年のこの場でも、格差の問題に関していろいろお話を聞かせていただきました。少しずつコンテクスト、状況は変わってきているとは思いますけれども、二年続けてこの格差の問題をここで聞かせていただいている、あるいは議論しなければならない状況にあるということ自体も、私は深刻だなというふうに思うわけでございます。
現在、格差があるかどうかという入り口の議論ですら、去年もありましたし、ことしのこの国会でも、格差があるのかどうか、格差を認めるのかどうかというような言葉の議論、まだ残っております。逢見公述人の方からは、先ほど御意見の中で、格差の拡大について、幾つか例示を含めて、格差はまだ依然として広がっている、あるいは存在し広がっているんだというお話がありましたけれども、この辺について、格差は今現状どうなっているのか、存在して広がっているのか、広がっているとするとどういうふうな深刻さを持っているのか、この辺について、いま一度になりますけれども、例示を踏まえてお聞かせいただければというふうに思います。
それから、格差というものを考える際に、恐らく、経済が伸びていって、経済の波に乗っている人はどんどん成長していく、これは私は、経済の活力という意味において、あっていいことだと思うし、あるべきだと思うのですね。でも、その格差がどういう意味の格差なのか。つまり、上の人も伸びているし下の人も伸びているけれども、その差が開いているので格差というのか。この場合だったらまだ深刻さは少ないんだと思うのです。逆にといいますか、そうではなくて、上の人は伸びているけれども下の人は逆に下がっていっている、こういうふうな状況で格差が広がっているんだったら、これは非常に深刻さが大きいんじゃないかと思うのです。
その辺も含めて、現在見られている中で、格差というのはどういう状況、動きになっているのか、お聞かせいただければというふうに思います。
逢
逢見直人#28
○逢見公述人 お答えいたします。
格差が拡大しているということについて、私のお配りした資料の中にも幾つかのデータを載せておりますが、私が特に問題だと思っているのは低所得者がふえているということでありまして、そこが安定していて上位の人がふえているということであれば、そのこと自体は特に問題ではないと思いますが、低所得者がふえている。そうしたところについては、やはり政策的に積極的な支援策を打たなければいけないと思います。
特に、就労、働きたくても働けないという人たちがいます。これは失業者ですが、そのうち長期の失業者が全体で三分の一いる。全体として失業率は低下しているかもしれませんが、長期の失業者に対しては何らかの手を打つ必要があると思いますし、それから、子育て世代の女性。特に、シングルマザーという方たちは、職場に行って仕事をするということがなかなかできない、在宅で就労しなければ子育てができないという方たちがいます。そうした人たちはなかなか労働市場へのアクセスができないわけですから、そういうところへの政策的な支援が必要だと思いますし、それから、ニート。これは、学校にも行かず、働いてもいないという……
この発言だけを見る →格差が拡大しているということについて、私のお配りした資料の中にも幾つかのデータを載せておりますが、私が特に問題だと思っているのは低所得者がふえているということでありまして、そこが安定していて上位の人がふえているということであれば、そのこと自体は特に問題ではないと思いますが、低所得者がふえている。そうしたところについては、やはり政策的に積極的な支援策を打たなければいけないと思います。
特に、就労、働きたくても働けないという人たちがいます。これは失業者ですが、そのうち長期の失業者が全体で三分の一いる。全体として失業率は低下しているかもしれませんが、長期の失業者に対しては何らかの手を打つ必要があると思いますし、それから、子育て世代の女性。特に、シングルマザーという方たちは、職場に行って仕事をするということがなかなかできない、在宅で就労しなければ子育てができないという方たちがいます。そうした人たちはなかなか労働市場へのアクセスができないわけですから、そういうところへの政策的な支援が必要だと思いますし、それから、ニート。これは、学校にも行かず、働いてもいないという……
金