寺島実郎の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(寺島実郎君) 私、このイラン問題には大変深く、人生を左右されるぐらいかかわってきていまして、七九年のいわゆるイラン革命、ホメイニ革命が起こった後、私が長いことかかわってきた三井グループがイランで巨大な石油化学のプロジェクトを展開していて、これはもうカントリーリスクの典型的なプロジェクトとして、ハーバード・ビジネススクールでも革命と戦争に襲われたのろわれたようなプロジェクトというケーススタディーになっているわけですけれども、その関連でもってずっとイラン問題、ウオッチしてきていますけれども、一言で言うとこういうことだと思うんですね。
 アメリカの中東における最も大切な同盟国であるサウジアラビアとイスラエルにとっても、アメリカが今イラクでやっていることというのは、ぎょっとなるような、腰が引けるような展開になってきたわけですね。
 どういう意味かというと、アメリカが何とシーア派のイラクをつくろうとしているというか、サウジアラビアにしてみれば、イラン・イラク戦争のときにサダム・フセインを後ろから応援してまで向き合っていたイランが、つまりシーア派主導のイランが、限りなく影響力を高めていくイラクを何とアメリカがつくろうとしているというパラドックスに映るといいますか、したがって、今、アメリカとサウジアラビアの関係、もう非常に複雑になってきています。
 二十二年間ワシントンでサウジアラビアの大使をしていたバンダラ王子というのが約十六、七か月前にアメリカから戻ったんですけれども、二十二年ぶりに。新たに赴任した大使がわずか十五か月で帰任するなんというようなことが起こって、つまりサウジにしてみれば、ペルシャ湾の北側に巨大なシーア派のゾーンをつくろうとしているアメリカみたいに見えると。
 アメリカはつまり今何をやろうとしているかというと、限りなくイランの影響力を抑えながらシーア派主導のマリキ政権を支えていかなければいけないという複雑なゲームになっちゃっているわけですね。そうなると、イランの影響力を抑えるときの最大のポイントが、イランが国際社会に突き付けてきているのが北朝鮮と同じように核というカードなわけですけれども、この核というきばを抜く必要があると。そのためには、シンボリックにこの核施設を攻撃するというようなことさえ考えられるというのがおっしゃっている文脈の背景にあるストーリーなんですけれども。
 気を付けなきゃいけないのは、七九年にイラン革命が起こって以来、テヘランのアメリカ大使館が占拠されていた事件というのを思い出されると思いますけれども、アメリカはイランとの正式な国交関係を一切持たずに今日まで来ています。そこから日本とイランの関係とアメリカとイランの関係の違いがあるわけですけれども、今日現在も日本はイランに堂道大使を始めとする正式の大使館をずっとこの間も配置し続け、国交を保ってきています。ビジネスの分野でもイランに対して張り出しています。
 そういう流れの中で、事イランに関する情報についていえば、ワシントンでいろんな人と議論して感じますけれども、日本のイランに関する情報の厚みというのは大変なものなんですね。したがって、イランとアメリカとの関係の中で日本が果たし得るし、果たさなければいけない役割というのは大変にあるというふうに僕は思います。
 そういう中で、正におっしゃったように、イランというものが核施設攻撃なんというものを受けるなんということの事態が起これば、僕も、おっしゃるとおり、蓋然性としては九割九分あってはならないし、ないシナリオだろうと思うのです。だけれども、アメリカのイランに対する、ペンタゴンのちょっと屈折した気持ちというのは、七九年の後に人質救出作戦に失敗して以来、驚くほどイランに対する憎悪と屈折した怒りみたいなものを共有していますから、冷静な判断ができるかどうかということは疑問な部分が残ります。
 そういう意味で日本が果たす役割も大きいという意味なんですけれども、ペルシャ湾とかホルムズ海峡ということになってくると、日本の国民の多くはイラク問題は若干対岸の火事的な部分もあったわけですけれども、イランということになるとそういうわけにはいかないということで、俄然、中東に対する石油依存度の高さがペルシャ湾、ホルムズ海峡ということになると日本にとって大きくのし掛かってくると。したがって、このシナリオを避けるための努力、それから中東に新しい秩序を回復するための努力というのが大変求められると。
 その文脈の中で安倍さんもこのゴールデンウイークに掛けて行かれるんだろうというふうに認識していますけれども、その際、一言だけ申し上げたいのは、アメリカと利害を共有して中東問題にかかわるという選択肢を取るのか、アメリカともある種の適切な距離感を取りながら日本独自のスタンスで中東というものとかかわるのかというのを僕は世界は注目しているだろうというふうに思います。アメリカとの関係も大事にしながら、中東に対して日本が蓄積してきた今までの良好な関係というものをどう生かすのかがかぎになるだろうというふうに思います。

発言情報

speech_id: 116614308X00320070425_021

発言者: 寺島実郎

speaker_id: 12372

日付: 2007-04-25

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会