国際問題に関する調査会
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会
会議録情報#0
平成十九年四月二十五日(水曜日)
午後二時開会
─────────────
委員の異動
二月二十八日
辞任 補欠選任
尾立 源幸君 若林 秀樹君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 田中 直紀君
理 事
加納 時男君
岸 信夫君
木俣 佳丈君
喜納 昌吉君
谷合 正明君
委 員
愛知 治郎君
山東 昭子君
末松 信介君
二之湯 智君
水落 敏栄君
犬塚 直史君
大石 正光君
工藤堅太郎君
富岡由紀夫君
直嶋 正行君
峰崎 直樹君
大門実紀史君
事務局側
第一特別調査室
長 三田 廣行君
政府参考人
外務大臣官房長 塩尻孝二郎君
外務省領事局長 谷崎 泰明君
防衛大臣官房長 西川 徹矢君
防衛省防衛政策
局長 大古 和雄君
防衛省運用企画
局長 山崎信之郎君
参考人
財団法人日本総
合研究所会長
株式会社三井物
産戦略研究所所
長 寺島 実郎君
放送大学教養学
部准教授 高橋 和夫君
─────────────
本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際問題に関する調査
(多極化時代における新たな日本外交について
)
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この発言だけを見る →午後二時開会
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委員の異動
二月二十八日
辞任 補欠選任
尾立 源幸君 若林 秀樹君
─────────────
出席者は左のとおり。
会 長 田中 直紀君
理 事
加納 時男君
岸 信夫君
木俣 佳丈君
喜納 昌吉君
谷合 正明君
委 員
愛知 治郎君
山東 昭子君
末松 信介君
二之湯 智君
水落 敏栄君
犬塚 直史君
大石 正光君
工藤堅太郎君
富岡由紀夫君
直嶋 正行君
峰崎 直樹君
大門実紀史君
事務局側
第一特別調査室
長 三田 廣行君
政府参考人
外務大臣官房長 塩尻孝二郎君
外務省領事局長 谷崎 泰明君
防衛大臣官房長 西川 徹矢君
防衛省防衛政策
局長 大古 和雄君
防衛省運用企画
局長 山崎信之郎君
参考人
財団法人日本総
合研究所会長
株式会社三井物
産戦略研究所所
長 寺島 実郎君
放送大学教養学
部准教授 高橋 和夫君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国際問題に関する調査
(多極化時代における新たな日本外交について
)
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田
田中直紀#1
○会長(田中直紀君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十八日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。
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この発言だけを見る →まず、委員の異動について御報告いたします。
去る二月二十八日、尾立源幸君が委員を辞任され、その補欠として若林秀樹君が選任されました。
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田
田中直紀#2
○会長(田中直紀君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国際問題に関する調査のため、本日の調査会に外務大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省領事局長谷崎泰明君、防衛大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君及び防衛省運用企画局長山崎信之郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →国際問題に関する調査のため、本日の調査会に外務大臣官房長塩尻孝二郎君、外務省領事局長谷崎泰明君、防衛大臣官房長西川徹矢君、防衛省防衛政策局長大古和雄君及び防衛省運用企画局長山崎信之郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
田
田
田中直紀#4
○会長(田中直紀君) 国際問題に関する調査を議題といたします。
本日は、まず、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、世界の潮流と日本の立場について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、財団法人日本総合研究所会長・株式会社三井物産戦略研究所所長寺島実郎参考人及び放送大学教養学部准教授高橋和夫参考人に御出席いただいております。
この際、一言ごあいさつ申し上げます。
両参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、本日は、世界の潮流と日本の立場について両参考人から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
議事の進め方でございますが、まず寺島参考人、高橋参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後三時五十分ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、寺島参考人から御意見をお述べいただきます。寺島参考人。
この発言だけを見る →本日は、まず、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、世界の潮流と日本の立場について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
本日は、財団法人日本総合研究所会長・株式会社三井物産戦略研究所所長寺島実郎参考人及び放送大学教養学部准教授高橋和夫参考人に御出席いただいております。
この際、一言ごあいさつ申し上げます。
両参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、本日は、世界の潮流と日本の立場について両参考人から忌憚のない御意見を賜りたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。
議事の進め方でございますが、まず寺島参考人、高橋参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後三時五十分ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、寺島参考人から御意見をお述べいただきます。寺島参考人。
寺
寺島実郎#5
○参考人(寺島実郎君) 寺島でございます。
三十分程度の話ですので、集中して私の意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元に世界潮流と日本の進路を考える基本資料というのを配っていただいております。これはレジュメとかではありません。私の話の、数字の裏付けのある話をということでお配りしている資料集のようなもので、必要と思われるところをさっと見ていただければと存じます。
まず、世界経済についてという一ページのところを見ながらお話をお聞きいただきたいんですけれども、申し上げたい論点は、世界同時好況の持続と潜在する不安ということについて、私の視点を申し上げたいと思います。
二十一世紀に入って六年が早くも経過して、最初に世界GDP実質成長率推移というメモがありますけれども、これは地球全体のGDPが実質どう動いたのかということがメモで書いてあります。九・一一の事件が起こった二〇〇一年、前年比一・八だったものがすうっと上がってきて、我々が生きてきたこの三年間ですね、二〇〇四年から三%台の実質成長を続ける世界という姿がそこに見えてくると思います。
世界全体が三%台の実質成長をするなんということは実は途方もない高いレベルの数字でして、二十世紀はアメリカの世紀だという表現がよくありますけれども、二十世紀、覇権国に近い状態にのし上がったアメリカが実現した年平均の実質成長率が二・一程度だったろうと推定されていますから、地球全体が前年比三%台の成長をするなんということは、過熱とも言えるような成長軌道の中を今世界は走っていると。
ジャーナリスティックな表現を好むエコノミストの中には、こういう表現をする人が出てきています。今世界は人類の歴史始まって以来の高成長の同時化というサイクルの中にあると。人類の歴史始まって以来と言うとえらい誇張した表現のように思えますが、あながち誇張とも言えないですね。三十年ぐらい前に、瞬間風速三%台ということもあったんです。ところが、アメリカとか日本が引っ張っているという状態の三%台だったんですけれども、現在、今我々が生きている状態というのは、ここで言う異様なまでの高成長の同時化という、つまりマイナス成長ゾーンがないという不思議な状況になっています。
BRICsの台頭によるすそ野の拡大と書いてありますけれども、要するに、ブラジル、ロシア、インド、チャイナの頭文字であるということは御存じのとおりなわけですけれども、牽引力が非常に多角化していてすそ野が拡大していると。最近、最後のSは複数のSではなくてサウスアフリカのSだなんということを言う人もいるぐらいで、とにかく世界おしなべてマイナス成長ゾーンがないと、そういう状況になっています。
そういう中で、その上に二〇〇七年に減速するのかというメモがありますけれども、今年世界経済どうなるのかということに関してコンセンサスの予測は三・三%というメモがあると思いますけど、コンセンサスというのは世界のエコノミストの平均的な予測値を毎月毎月国別に発表している機関です。つまり、大方のエコノミストこう見ていますよという数字だと考えればいいんですけれども、それが今年について今現在三・三%ぐらいの成長をするだろうという予測値を出してきています。去年が三・九で今年三・三というわけですから、世界経済減速するのかと。特にこの間、上海株式市場を引き金にして同時株安なんということが起こり掛けたときに、いよいよ同時好況の構造が反転して同時不況になるんじゃないかということを言う人もいたわけですけれども、今年三・三という数字をどういうふうにとらえるのかというのは非常に微妙なところであります。
同時不況に反転していく前兆だというふうにとらえるのか、あるいは巡航速度にソフトランディングしていく方向としてとらえるのか。世界経済の巡航速度、大体二・五から二%ぐらい台というのが大方の見方だと思いますけれども、三・三だって高過ぎるんだという議論があるわけです。このメモでいうと下から二段目のパラグラフに問われる三つのEなんという表現がありますけど、これは国際会議なんか出るとやたら出てくる表現で、三つのEのバランスが大切ですというある種の建前論なんですけれども、エコノミー、経済のEと、エンバイロンメント、環境のEと、エナジーですね、エネルギーのEはバランスが取れていなければいけませんという、ごもっともという話なんですが、その環境とエネルギーに配慮したら三%だって高過ぎるんだよという議論が一方にあって、巡航速度にソフトランディングしていくことが望ましいんだという考え方が存在します。
そういう中で世界経済、ここで確認しておきたいのは過熱とも言えるほどの成長の持続という局面にあるわけですけれども、なぜか非常に不安感を潜在させています。それはもちろん、後でも議論になるポリティカルな要素というものもあるわけですけれども。一つ確認したい数字が、一ページの真ん中ぐらいの米印になっているところに実体経済、つまり世界の実質GDPは今世紀に入って年率三・五%で成長しているという数字がそこに書いてありますけれども、物流ですね、世界貿易、物の流れは年率七%平均で世界貿易は拡大しています。
ところが、非常に興味深い数字だと僕は思って調べ直したわけですけれども、金融経済、これは世界のあらゆる株式市場の時価総額です。東京も上海もニューヨークもロンドンも合わせた時価総額、年率今世紀に入って一四%で時価総額は拡大しています。非常に興味深いというのは、ちょうど倍、倍、倍なんですね。実体経済は三・五%で伸びている、物流は七%で伸びていると、金融経済を象徴しているということなんですけれども、株式時価総額は年率一四%で拡大しているといいますから。この背景にある構造は何だということなんですね。つまり、一言で言うと実体経済をはるかに上回る金融経済の肥大化というやつが潜在する不安の大きな要素になっているということを私は申し上げておきたいわけです。
特にそのことが、今株で僕申し上げましたけれども、象徴的な形で展開しているのがこのエネルギー価格の高騰です。ここの問われる三つのEの②にエネルギー価格高騰の構造って書いてあるところがありますが、その中に先物原油価格バーレル六十ドルから七十ドル水準の怪って、怪しいっていう言葉をあえて使ってありますけれども、需給関係だけでは説明できない投機的な要素の顕在化という表現がここに書いてあると思います。
次のページの一番上に日本への原油入着価格というメモがありまして、これは日本の経済を議論するときのイロハのイとも言える数字でして、つまり、日本の港に幾らで石油がたどり着いているのかということを示す数字です。その円建てとドル建ての両方の数字がそこに書いてあります。
例えば、一九九九年、十七・二ドルバーレルという意味なんですけれども、一バーレル十七ドル二十セント払って日本の港に石油がたどり着いていたと。その年の円ドルレートで換算すると、日本経済は千九百二十八円払って一バーレルの石油を入手していたということになるわけですけれども、それが、直近のこれ二月の数字が書いてありますけれども、いっときほど、去年のピークのときほど高くはないけれども、バーレル五十五ドル二十二セント、円建てでは六千六百五十三円払って一バーレルという数字になっていますけど、まあざっくり言って九九年から比べて三倍に石油価格は高くなったということがそれで見て取れると思います。では、どうして石油価格は三倍にもなったんだという話なんですね、申し上げたいのは。
当然のことながら、この分野の専門家は、例えば中国に代表されるBRICsの石油需要の拡大とか、需要側の要因としてですね、それから供給側の要因として中東の地政学的不安、イラク戦争だとかサウジアラビアの潜在不安だとかというようなことを指摘しますけれども、実は需給関係だけでは説明できないようなエネルギー価格の動きになっています。その象徴が、申し上げたいのは、ここにWTIなる指標に内在する危うさという、WTIというものを説明すれば私の申し上げたい問題意識が伝わると思うんです。
これはニューヨークの石油市場、連日幾らになっているのかという先物指標として報道され続けていますけれども、必ずWTIでは六十何ドルとか、WTIでは五十ドル台に落ちたとかという報道が続いています。WTIのWTは言うまでもなくウエスト・テキサスの頭文字なんですね。つまり、ウエスト・テキサスとはヒューストンのことなんです。ヒューストン地域の石油価格というローカルな指標なんです。ところが、このローカルな指標だったはずのWTIなるものが、ニューヨークの商品市場に上場されてから話が変わってくるんですね。IT革命のパラドックスもあって、オンライントレードで物すごい勢いで石油の取引が拡大していきます。
三つの数字申し上げればお分かりいただけると思いますけど、WTIの実需、ヒューストン地域の石油の実際の需要は一日七十万バーレルです。世界の石油生産、昨年、OPEC、非OPECかかわらず、この世に生み出されたすべての石油は八千六百万バーレル・パー・デーです。一日当たり八千六百万バーレル。ところが、WTIという名前の下に取引されている石油は一日二億五千万バーレルから三億バーレルです。で、不思議だなという素朴な疑問というのが芽生えてきます。何で実需七十万のWTIが二億五千万から三億バーレルの取引を一日当たり行うのか。
分かりやすく言うと、オンライントレードという言葉ありますけれども、コンピューターの中を短期の資金が駆け巡る形で石油というものの商品の性格が変わったといいますか、要するに需要と供給の関係で価格が決まるなんという話ではなくて、マネーゲームの対象としての石油取引みたいなものが一気に拡大してきたというのがこの十年間ぐらいの大きな変化なんです。
そういう意味で、さっきは株式市場の話が、年平均一四%で拡大しているというお話ししましたけれども、今申し上げた石油の価格についても、世界の同時好況と言われる局面の中で何か不安定な、不安感を覚えざるを得ないというその構造の背景には、今申し上げた実体経済をはるかに上回る金融経済の肥大化というのがこの冷戦後のグローバル資本主義の一つの大きな特色になってきています。この辺りの制御という問題が、我々の一つの時代のテーマとして存在してきているということはまず間違いないということをまず最初の国際経済に関する視点として触れておきたいと、こういうことでございます。
それから二番目、話がぽんと飛ぶんですけれども、日本の貿易構造の変化と国土軸へのインパクトという話を申し上げたいと思います。
見ていただきたいのは五ページです。五ページの日本の貿易構造の変化というメモが、表のようなものがそこに書いてあるんです。
これは日本の輸出入の相手先をシンボリックに表にしたものなんですけれども、三、四年前まで日本人の常識とも言われた構図が大きく変わってきています。日本は通商国家であると、貿易で飯食っているんだと、貿易の相手先のナンバーワンは輸出も輸入もアメリカなんだというのが三、四年前まで常識だったんですね。ところが、それが一気に変わったと。一番まず大事な数字は、その表の一番下にア、イ、ウと小さい字で書いてあるところなんですけれども、日本の貿易総額、輸出入を足し合わせた貿易総額に占める対米貿易の比重、アメリカとの貿易の比重は、一番下のア、イ、ウなんですが、昨年の貿易統計が発表になりまして、一七・五%ということで、日本の貿易のわずか一七・五%を占めるにすぎないという構造に大きく変わってきています。
では、一体日本はどこと貿易して飯を食っているんだという話になるわけですけれども、そこに大中華圏、アジア、中東というメモが書いてありますが、大中華圏というのは、語れば切りがないんですけれども、中国を本土単体の中国と考えないと。一種のバーチャルな世界の視点なんですけれども、連結の中国といいますか、要するに中国と香港、それに人口の七六%が中華系、華僑系の人によって占められているシンガポールとそれから台湾を、政治体制、イデオロギー体制の壁はあるけれども産業論的には有機的連携性を深めている一つのゾーンだと考えるという考え方が、英語で言うとグレーターチャイナ、大中華圏という視点でとらえられる概念なわけです。これは必ずしも便宜的な議論でもなく、足し算の議論でもありません。産業実態がそうなっています。
例えば、台湾問題が二十一世紀のアジアの大変大きな課題になってくるということは大いに予想されるわけですけれども、今、広域上海に台湾人という人が百万人移住して住んでいると言われています。何のためにというと、台湾企業が海外で受注したものを実際には上海付近に工場を立地して生産しているなんというパターンがもう当たり前のようになっています。したがって、中国のエレクトロニクス産業の輸出という統計のうち約半分は、実態は台湾企業が本土の中国に進出していった工場から世界に向けて輸出されているということが確認されています。
ということは、政治体制の壁というネックの問題と産業論的連携という問題が同時に進行しているというふうに考える必要があると思いますが、それが、グローバルに言えば海の中国と陸の中国の連携というやつで、つまり本土、陸の中国と華僑圏の中国、シンガポールも香港も台湾も海の中国なんですね、島なんです。そこには歴史的背景があって、大英帝国、インドで懲りて、マレー半島の領有に当たって、本土側にヘッドクオーターを置かずに突先の島にヘッドクオーターを置いたと。暴動が起こってもマネジメントしやすいように。そこに華僑という人たちが流れ込んで独特の経済文化圏をつくったと。
そういう流れの中で、今までは本土の中国と華僑圏の中国というのはせいぜい親類縁者に送金をするという程度の関係だったんですけれども、ここのところへ来て本土の中国の一〇%成長、改革・開放、華僑圏にとってもおいしい素材になり始めたと。本土の中国も、持続的発展のためには華僑圏をジャンプボードとして活用していった方がいいという視点が出てきて、海と陸の中国のシンクロナイゼーションというのが進んでいるんですね。そのために、大中華圏というのが絵そらごとではなくなってきていると。
事実、私が欧米を動いていて、日本についての質問よりも中国についての質問を受けることが大変最近多いわけですけれども、先週中国人がやってきたと、こういうビジネスモデルを提案していったけれども、あなたはどう思いますなんて意見聞かれることがあります。だれが訪ねてきたんだと聞き返すと、本土の中国の人が来たなんという例はまれで、専らシンガポール華僑とか香港華僑とか台湾企業がやってきて、本土の中国の企業を巻き込んでこういうビジネスをやりませんかという提案に来たということが圧倒的に多い。つまり、海と陸の連携という中で中国が必要以上に大きく見えるというのが、国際社会で中国の台頭ということが言われている大変大きな視点だろうと思います。
その大中華圏に日本の貿易の約三割が依存する時代が今来ています。アジアには四五・七ということで、五割にアジアとの貿易比重が迫っていると。一昨年よりもアジア大中華圏との貿易比重が少し下がった数字になっていますけれども、それはエネルギー価格の高騰を背景にして中東との貿易比重が高まったことのしわ寄せを受けてなっているわけですけれども、我々の頭の中に今置いとかなきゃいけないのは、対米貿易が二割を割ってもう一七・五まで来ていると。アジアとの貿易が五割に迫ってきているということは一つの事実認識として大変重いと、こう思っております。
それを背景にして、六ページのメモになりますけれども、貿易構造のアジアシフトに伴う物流の変化というメモがそこに書いてありますけれども、この太平洋側港湾の空洞化というところをごらんになりながら、問題意識をお伝えしたいわけですけれども、いっときの常識からすれば本当なのかと問い返したくなるぐらいなんですけれども、神戸の世界の港湾ランキングは三十二位まで落ちたというのがそこにメモに書いてありますけれども、横浜、神戸は通商国家日本のシンボルだったんですね。ところが、横浜二十七位、神戸三十二位というところまで世界ランキングで落ちてきたと。いっとき神戸は二位だったんですね、世界ランキングで。
今上位を占めているのはどういうところなんだということをごらんになっていただいたら、一位シンガポール、香港、上海、深セン、釜山、高雄と、私が先ほど大中華圏という言葉を使った地域の港が上位六位のうち五つを占めているんだということがお分かりになると思います。これは何も港だけが突出しているんではなくて、背景に大きな産業構造の変化が進行しているということを象徴しているわけです。
日本の神戸、横浜がかくも無残に後退している理由というのは、実は第五位の釜山に押されていまして、釜山トランシップというやつなんですね。つまり、例えば東北の仙台港の物流分析、四国の今治、松山なんかの物流分析見ても、今までは内航船で神戸につなぐだとか、東京湾内の港につなぐだとか、そこで基幹航路に乗せるという物流だったんですけれども、内航船のコストが高いと。港湾の効率が悪い、金が掛かる、時間が掛かるというんで釜山につなぐというのがどんどんどんどん太くなってきているんですね。それが釜山トランシップというやつで、釜山がハブ化し、自信付けた韓国は、釜山新港の開発を終え、釜山の西二百キロのところに光陽という新しい釜山の三倍のコンテナターミナルヤードの建設を終えて日本企業の誘致に動いてきています。したがいまして、この世界港湾ランキングの動きというのが象徴しているように、日本の、特に太平洋側の港湾が一気に空洞化してきたと。
②に書いてあることがより重要なんですけれども、日本海物流ということを申し上げたいんですが、日本の貿易構造だけが変わっているわけじゃないわけで、アメリカにとっても対日貿易よりも中国あるいは大中華圏との貿易の方が圧倒するようになったというのはもう事実なわけですけれども、日本人は、北米大陸と大中華圏の貿易がばんばん増えているということをイメージしたときに、鹿児島と上海の緯度がほぼ一緒ですから、鹿児島の南の太平洋を船が行き来しているんだろうというイメージ取りがちですけれども、違うんですね。今主力物流は日本海に入ってきているんです。函館と青森の間の津軽海峡を抜けていっているんですね、基幹航路の物流が。どうしてというと、地球儀をごらんになれば分かりますが、その方が二日早いんです。今、日本海はそういう意味では基幹航路のラッシュなんです。我々が気が付かないうちに日本の国土軸にも大きなインパクトが起こっています。
日本海港湾への物流のシフト、これは国土交通省が調べてくれた数字ですけれども、平成七年から十七年までの外貿のコンテナ貨物の年平均伸び率、全国平均四・六なのに日本海側沿海の十一港は一二・六だという勢いで伸びているということになっていますけれども、日本海側の十一港ってどこのことなのというと、例えば秋田、それから山形酒田、新潟、北陸三県の港、伏木富山、敦賀、金沢、京都舞鶴、それから境港というのは、日本海側の港湾というのは、スーパー中枢港湾一港もなく港湾の施設としては甚だ劣勢であるにもかかわらず、いつの間にか日本海物流に吸い出されるように、日本海側港湾への物流のシフトというのは日本の国内でも起こってきています。
事ほどさように、つまり日本の貿易構造の変化というのが日本の国土形成計画にまで大きな影響を与えるような時代が来ているということを確認しなければいけないと。安倍内閣もアジア・ゲートウエーというキーワードを使っておられますけれども、正に総合交通体系というものをアジアとの連携という視点で大きく考え直す必要があると。
特に、例えばこの③が書いてあるんで話題として触れておきますと、コンテナ船の超大型化というのが今進んでいまして、八千TEUを超す超大型タンカーの登場と書いてます。これは八千個のコンテナが積める大型タンカーという意味なんですけれども、八千個のコンテナが積める超大型タンカーというのは、郵船が登場させてきた飛鳥Ⅱという豪華客船がありますけれども、あれがほぼ戦艦大和と同じ五万トン級というんですけれども、その倍ですね。
十万トン級の超大型タンカーが二〇一一年までに二百八十六隻建造予定ということになっていますけれども、二〇〇三年に、ついこの間、初めて最初の船が登場してきたんですけれども、あっという間に国際物流を変えてきています。水深十六メートルが必要ということで、日本の港でこの八千TEU以上のコンテナ船が泊まれる港というのは現在の能力をもってしては二つしかないと、こう言われています。
それぐらい大きく国際物流が、アジアのダイナミズムに押し上げられるように大きく変わってきていると。それに対して、総合交通体系というものを組み立て直して向き合わなければいけないという状況に来ているということをこの二点目の論点として申し上げたいと。
それから三番目、アジア連携の必要性と必然性ということを話題にしておきたいわけですけれども、今アジアのGDPが世界GDPに占めるシェアは日本も含めて約二五%と、四分の一がアジアということに昨年の統計をベースにするとなっております。これが二〇五〇年までに世界GDPの五割をアジアが占める時代に向かって我々は生きていくというイマジネーションが大変重要だろうと思います。
実はこれ、一八二〇年ごろの推計というコンピューターシミュレーションの面白い数字があるんですけれども、今から二百年ぐらい前ですね。世界GDPの五割をアジアが占めていたという推計値が出てきます。インドと中国と日本をベースにして、世界GDPの五割をアジアが占めていた時代というのが二百年前に存在したと。
ところが、この二百年間、つまり産業革命以降の世界史の中で我々は西優位の歴史の中を生きてきたわけですけれども、これからの正に四十五年間でアジアのGDPが再び世界GDPの五割を占める時代に向かって変わっていくという時代を併走することになるだろうというのが、まずベーシックな問題意識です。となると、アジアの連携は得ですという、だから必要ですという文脈だけじゃなくて、様々な意味合いにおいてアジアとの連携というものについての視点、思想が必要になってくると、こう思います。
必要性と必然性ということをいうと、今申し上げたように、アジア連携、経済的に日本にとっても大変重要なインパクトを与えるだろうという意味で考えなきゃいけない部分とともに、もう一つ実は強調しておきたいのは、少子高齢化していく日本の社会、アジアのダイナミズムを吸収して日本をバイタライズするといいますか、活性化するという視点が物すごく重要になっています。
六ページに日本の人口構造の急速な成熟化というメモが一番下に書いてありますけど、これは、もう私が言うまでもなく、昨年十二月に厚生労働省が発表してきた最近の長期人口予測の数字がそこにメモで書いてありますけど、二〇四六年に一億人を割ると、日本の人口は。その前の予測では二〇五〇年と書いてあったんですけど、四年前倒しになったんですね。二一〇〇年には四千七百七十一万人に日本の人口はなるだろうというのを厚生労働省が中位予測、比較的楽観的な予測値として出してきています。
今から百年前、一九〇〇年ごろの、つまり二十世紀初頭の日本というのは四千四百万人だったんですね。したがって、百年前、四千四百万人の人口が、おととしピークアウトして、これから百年後に四千七百万人というわけですから、元のもくあみというのはこのためにある言葉みたいな話なんですけれども。
しかも、日本の人口には六十五歳人口比重というやつが、高齢化というのが絡み付いてくると。百年前、五%にすぎなかった六十五歳以上人口比重がおととし二割を超えたと。これから我々の団塊の世代というやつなんですけれども、十年以内に続々と六十五歳になってきて、二〇五〇年には三九・六%、つまり四割になっていると。つまり、今までの五十年は人口が五千万人増えたということを前提に成り立った様々なビジネスモデルも行政も、これは、これからの四十五年で人口が二千八百万人減るということを視界に入れる必要があると。しかも、人口に占める六十五歳人口が四割になるという、そういうことを視界に入れたときに、人口が減るからといって衰亡するわけではないけれども、高齢化するからといって衰亡するわけではないけれども、人口というのはやっぱり民族の勢いのメルクマールみたいな部分もありまして、アジアのダイナミズムとの連携の中でこの国をバイタライズさせていくという視点が大変重要になるだろうということと、それから、もう一点触れておきたいのは、環境問題はボーダレスということなんですけれども、環日本海の生態系だとかということを視界に入れたときに、日本だけが京都議定書をクリアすれば環境問題が解決するなんという話では当然ないわけで、中国の環境問題を何とかしなきゃいけないと。中国の一次エネルギー供給の七割がまだ石炭です。このことが酸性雨となって日本に襲い掛かっていると。中国の化学工場で事故が起これば、アムール川、ロシアを汚染し、雪解けとともにオホーツク海に迫ってきたなんということになって、中国の環境問題とエネルギー問題に向き合うということが、環境問題は特にボーダレス、シームレスですから大変重要になってくると。そういう意味合いにおいて、我々の腹の中に、アジア連携は必要でありかつ必然なんだという問題意識が大変重要だろうというふうに私は思っています。
そういう中で、私の申し上げたい四点目の論点は、時間が迫っていますので一言申し上げると、二十一世紀の日本外交の構想力ということを触れたかったわけですが、後でまた質疑の中で触れさしていただくことになると思いますけれども、世界潮流は全員参加型秩序に向かって変わってきていると。二極の冷戦の時代でもなく、確実に脱九・一一といいますか、九月十一日からの五年間の世界史の潮流から変化が起こってきていると。私は、日本外交のこれからの要件として二つの要件があるというふうに思っています。
一つは、同盟国であるアメリカをアジアから孤立させない役割、例えば欧州におけるイギリスが果たしているような、欧州の本土とアメリカとをつなぐ役割といいますか。それと二つ目には、中国を国際社会のルールに参画させる役割と。つまり、じりじりするようなゲームに付き合わされることになると思いますけれども、WTOに中国を加盟させたことはやはり日本にとってプラスだったんですね。今後も、知的所有権だとか環境問題において、中国を国際ルールに引き込んでいくということが、腹をくくって引き込んでいくということが国益であって、粘り強く中国を国際社会の建設的な参画者に引き寄せていく役割が日本の役割なんだというある種の覚悟が必要だろうというふうに思います。
以上、時間が参りましたので、私の申し上げたい論点をざっと申し上げたということで話を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →三十分程度の話ですので、集中して私の意見を述べさせていただきたいと思います。
お手元に世界潮流と日本の進路を考える基本資料というのを配っていただいております。これはレジュメとかではありません。私の話の、数字の裏付けのある話をということでお配りしている資料集のようなもので、必要と思われるところをさっと見ていただければと存じます。
まず、世界経済についてという一ページのところを見ながらお話をお聞きいただきたいんですけれども、申し上げたい論点は、世界同時好況の持続と潜在する不安ということについて、私の視点を申し上げたいと思います。
二十一世紀に入って六年が早くも経過して、最初に世界GDP実質成長率推移というメモがありますけれども、これは地球全体のGDPが実質どう動いたのかということがメモで書いてあります。九・一一の事件が起こった二〇〇一年、前年比一・八だったものがすうっと上がってきて、我々が生きてきたこの三年間ですね、二〇〇四年から三%台の実質成長を続ける世界という姿がそこに見えてくると思います。
世界全体が三%台の実質成長をするなんということは実は途方もない高いレベルの数字でして、二十世紀はアメリカの世紀だという表現がよくありますけれども、二十世紀、覇権国に近い状態にのし上がったアメリカが実現した年平均の実質成長率が二・一程度だったろうと推定されていますから、地球全体が前年比三%台の成長をするなんということは、過熱とも言えるような成長軌道の中を今世界は走っていると。
ジャーナリスティックな表現を好むエコノミストの中には、こういう表現をする人が出てきています。今世界は人類の歴史始まって以来の高成長の同時化というサイクルの中にあると。人類の歴史始まって以来と言うとえらい誇張した表現のように思えますが、あながち誇張とも言えないですね。三十年ぐらい前に、瞬間風速三%台ということもあったんです。ところが、アメリカとか日本が引っ張っているという状態の三%台だったんですけれども、現在、今我々が生きている状態というのは、ここで言う異様なまでの高成長の同時化という、つまりマイナス成長ゾーンがないという不思議な状況になっています。
BRICsの台頭によるすそ野の拡大と書いてありますけれども、要するに、ブラジル、ロシア、インド、チャイナの頭文字であるということは御存じのとおりなわけですけれども、牽引力が非常に多角化していてすそ野が拡大していると。最近、最後のSは複数のSではなくてサウスアフリカのSだなんということを言う人もいるぐらいで、とにかく世界おしなべてマイナス成長ゾーンがないと、そういう状況になっています。
そういう中で、その上に二〇〇七年に減速するのかというメモがありますけれども、今年世界経済どうなるのかということに関してコンセンサスの予測は三・三%というメモがあると思いますけど、コンセンサスというのは世界のエコノミストの平均的な予測値を毎月毎月国別に発表している機関です。つまり、大方のエコノミストこう見ていますよという数字だと考えればいいんですけれども、それが今年について今現在三・三%ぐらいの成長をするだろうという予測値を出してきています。去年が三・九で今年三・三というわけですから、世界経済減速するのかと。特にこの間、上海株式市場を引き金にして同時株安なんということが起こり掛けたときに、いよいよ同時好況の構造が反転して同時不況になるんじゃないかということを言う人もいたわけですけれども、今年三・三という数字をどういうふうにとらえるのかというのは非常に微妙なところであります。
同時不況に反転していく前兆だというふうにとらえるのか、あるいは巡航速度にソフトランディングしていく方向としてとらえるのか。世界経済の巡航速度、大体二・五から二%ぐらい台というのが大方の見方だと思いますけれども、三・三だって高過ぎるんだという議論があるわけです。このメモでいうと下から二段目のパラグラフに問われる三つのEなんという表現がありますけど、これは国際会議なんか出るとやたら出てくる表現で、三つのEのバランスが大切ですというある種の建前論なんですけれども、エコノミー、経済のEと、エンバイロンメント、環境のEと、エナジーですね、エネルギーのEはバランスが取れていなければいけませんという、ごもっともという話なんですが、その環境とエネルギーに配慮したら三%だって高過ぎるんだよという議論が一方にあって、巡航速度にソフトランディングしていくことが望ましいんだという考え方が存在します。
そういう中で世界経済、ここで確認しておきたいのは過熱とも言えるほどの成長の持続という局面にあるわけですけれども、なぜか非常に不安感を潜在させています。それはもちろん、後でも議論になるポリティカルな要素というものもあるわけですけれども。一つ確認したい数字が、一ページの真ん中ぐらいの米印になっているところに実体経済、つまり世界の実質GDPは今世紀に入って年率三・五%で成長しているという数字がそこに書いてありますけれども、物流ですね、世界貿易、物の流れは年率七%平均で世界貿易は拡大しています。
ところが、非常に興味深い数字だと僕は思って調べ直したわけですけれども、金融経済、これは世界のあらゆる株式市場の時価総額です。東京も上海もニューヨークもロンドンも合わせた時価総額、年率今世紀に入って一四%で時価総額は拡大しています。非常に興味深いというのは、ちょうど倍、倍、倍なんですね。実体経済は三・五%で伸びている、物流は七%で伸びていると、金融経済を象徴しているということなんですけれども、株式時価総額は年率一四%で拡大しているといいますから。この背景にある構造は何だということなんですね。つまり、一言で言うと実体経済をはるかに上回る金融経済の肥大化というやつが潜在する不安の大きな要素になっているということを私は申し上げておきたいわけです。
特にそのことが、今株で僕申し上げましたけれども、象徴的な形で展開しているのがこのエネルギー価格の高騰です。ここの問われる三つのEの②にエネルギー価格高騰の構造って書いてあるところがありますが、その中に先物原油価格バーレル六十ドルから七十ドル水準の怪って、怪しいっていう言葉をあえて使ってありますけれども、需給関係だけでは説明できない投機的な要素の顕在化という表現がここに書いてあると思います。
次のページの一番上に日本への原油入着価格というメモがありまして、これは日本の経済を議論するときのイロハのイとも言える数字でして、つまり、日本の港に幾らで石油がたどり着いているのかということを示す数字です。その円建てとドル建ての両方の数字がそこに書いてあります。
例えば、一九九九年、十七・二ドルバーレルという意味なんですけれども、一バーレル十七ドル二十セント払って日本の港に石油がたどり着いていたと。その年の円ドルレートで換算すると、日本経済は千九百二十八円払って一バーレルの石油を入手していたということになるわけですけれども、それが、直近のこれ二月の数字が書いてありますけれども、いっときほど、去年のピークのときほど高くはないけれども、バーレル五十五ドル二十二セント、円建てでは六千六百五十三円払って一バーレルという数字になっていますけど、まあざっくり言って九九年から比べて三倍に石油価格は高くなったということがそれで見て取れると思います。では、どうして石油価格は三倍にもなったんだという話なんですね、申し上げたいのは。
当然のことながら、この分野の専門家は、例えば中国に代表されるBRICsの石油需要の拡大とか、需要側の要因としてですね、それから供給側の要因として中東の地政学的不安、イラク戦争だとかサウジアラビアの潜在不安だとかというようなことを指摘しますけれども、実は需給関係だけでは説明できないようなエネルギー価格の動きになっています。その象徴が、申し上げたいのは、ここにWTIなる指標に内在する危うさという、WTIというものを説明すれば私の申し上げたい問題意識が伝わると思うんです。
これはニューヨークの石油市場、連日幾らになっているのかという先物指標として報道され続けていますけれども、必ずWTIでは六十何ドルとか、WTIでは五十ドル台に落ちたとかという報道が続いています。WTIのWTは言うまでもなくウエスト・テキサスの頭文字なんですね。つまり、ウエスト・テキサスとはヒューストンのことなんです。ヒューストン地域の石油価格というローカルな指標なんです。ところが、このローカルな指標だったはずのWTIなるものが、ニューヨークの商品市場に上場されてから話が変わってくるんですね。IT革命のパラドックスもあって、オンライントレードで物すごい勢いで石油の取引が拡大していきます。
三つの数字申し上げればお分かりいただけると思いますけど、WTIの実需、ヒューストン地域の石油の実際の需要は一日七十万バーレルです。世界の石油生産、昨年、OPEC、非OPECかかわらず、この世に生み出されたすべての石油は八千六百万バーレル・パー・デーです。一日当たり八千六百万バーレル。ところが、WTIという名前の下に取引されている石油は一日二億五千万バーレルから三億バーレルです。で、不思議だなという素朴な疑問というのが芽生えてきます。何で実需七十万のWTIが二億五千万から三億バーレルの取引を一日当たり行うのか。
分かりやすく言うと、オンライントレードという言葉ありますけれども、コンピューターの中を短期の資金が駆け巡る形で石油というものの商品の性格が変わったといいますか、要するに需要と供給の関係で価格が決まるなんという話ではなくて、マネーゲームの対象としての石油取引みたいなものが一気に拡大してきたというのがこの十年間ぐらいの大きな変化なんです。
そういう意味で、さっきは株式市場の話が、年平均一四%で拡大しているというお話ししましたけれども、今申し上げた石油の価格についても、世界の同時好況と言われる局面の中で何か不安定な、不安感を覚えざるを得ないというその構造の背景には、今申し上げた実体経済をはるかに上回る金融経済の肥大化というのがこの冷戦後のグローバル資本主義の一つの大きな特色になってきています。この辺りの制御という問題が、我々の一つの時代のテーマとして存在してきているということはまず間違いないということをまず最初の国際経済に関する視点として触れておきたいと、こういうことでございます。
それから二番目、話がぽんと飛ぶんですけれども、日本の貿易構造の変化と国土軸へのインパクトという話を申し上げたいと思います。
見ていただきたいのは五ページです。五ページの日本の貿易構造の変化というメモが、表のようなものがそこに書いてあるんです。
これは日本の輸出入の相手先をシンボリックに表にしたものなんですけれども、三、四年前まで日本人の常識とも言われた構図が大きく変わってきています。日本は通商国家であると、貿易で飯食っているんだと、貿易の相手先のナンバーワンは輸出も輸入もアメリカなんだというのが三、四年前まで常識だったんですね。ところが、それが一気に変わったと。一番まず大事な数字は、その表の一番下にア、イ、ウと小さい字で書いてあるところなんですけれども、日本の貿易総額、輸出入を足し合わせた貿易総額に占める対米貿易の比重、アメリカとの貿易の比重は、一番下のア、イ、ウなんですが、昨年の貿易統計が発表になりまして、一七・五%ということで、日本の貿易のわずか一七・五%を占めるにすぎないという構造に大きく変わってきています。
では、一体日本はどこと貿易して飯を食っているんだという話になるわけですけれども、そこに大中華圏、アジア、中東というメモが書いてありますが、大中華圏というのは、語れば切りがないんですけれども、中国を本土単体の中国と考えないと。一種のバーチャルな世界の視点なんですけれども、連結の中国といいますか、要するに中国と香港、それに人口の七六%が中華系、華僑系の人によって占められているシンガポールとそれから台湾を、政治体制、イデオロギー体制の壁はあるけれども産業論的には有機的連携性を深めている一つのゾーンだと考えるという考え方が、英語で言うとグレーターチャイナ、大中華圏という視点でとらえられる概念なわけです。これは必ずしも便宜的な議論でもなく、足し算の議論でもありません。産業実態がそうなっています。
例えば、台湾問題が二十一世紀のアジアの大変大きな課題になってくるということは大いに予想されるわけですけれども、今、広域上海に台湾人という人が百万人移住して住んでいると言われています。何のためにというと、台湾企業が海外で受注したものを実際には上海付近に工場を立地して生産しているなんというパターンがもう当たり前のようになっています。したがって、中国のエレクトロニクス産業の輸出という統計のうち約半分は、実態は台湾企業が本土の中国に進出していった工場から世界に向けて輸出されているということが確認されています。
ということは、政治体制の壁というネックの問題と産業論的連携という問題が同時に進行しているというふうに考える必要があると思いますが、それが、グローバルに言えば海の中国と陸の中国の連携というやつで、つまり本土、陸の中国と華僑圏の中国、シンガポールも香港も台湾も海の中国なんですね、島なんです。そこには歴史的背景があって、大英帝国、インドで懲りて、マレー半島の領有に当たって、本土側にヘッドクオーターを置かずに突先の島にヘッドクオーターを置いたと。暴動が起こってもマネジメントしやすいように。そこに華僑という人たちが流れ込んで独特の経済文化圏をつくったと。
そういう流れの中で、今までは本土の中国と華僑圏の中国というのはせいぜい親類縁者に送金をするという程度の関係だったんですけれども、ここのところへ来て本土の中国の一〇%成長、改革・開放、華僑圏にとってもおいしい素材になり始めたと。本土の中国も、持続的発展のためには華僑圏をジャンプボードとして活用していった方がいいという視点が出てきて、海と陸の中国のシンクロナイゼーションというのが進んでいるんですね。そのために、大中華圏というのが絵そらごとではなくなってきていると。
事実、私が欧米を動いていて、日本についての質問よりも中国についての質問を受けることが大変最近多いわけですけれども、先週中国人がやってきたと、こういうビジネスモデルを提案していったけれども、あなたはどう思いますなんて意見聞かれることがあります。だれが訪ねてきたんだと聞き返すと、本土の中国の人が来たなんという例はまれで、専らシンガポール華僑とか香港華僑とか台湾企業がやってきて、本土の中国の企業を巻き込んでこういうビジネスをやりませんかという提案に来たということが圧倒的に多い。つまり、海と陸の連携という中で中国が必要以上に大きく見えるというのが、国際社会で中国の台頭ということが言われている大変大きな視点だろうと思います。
その大中華圏に日本の貿易の約三割が依存する時代が今来ています。アジアには四五・七ということで、五割にアジアとの貿易比重が迫っていると。一昨年よりもアジア大中華圏との貿易比重が少し下がった数字になっていますけれども、それはエネルギー価格の高騰を背景にして中東との貿易比重が高まったことのしわ寄せを受けてなっているわけですけれども、我々の頭の中に今置いとかなきゃいけないのは、対米貿易が二割を割ってもう一七・五まで来ていると。アジアとの貿易が五割に迫ってきているということは一つの事実認識として大変重いと、こう思っております。
それを背景にして、六ページのメモになりますけれども、貿易構造のアジアシフトに伴う物流の変化というメモがそこに書いてありますけれども、この太平洋側港湾の空洞化というところをごらんになりながら、問題意識をお伝えしたいわけですけれども、いっときの常識からすれば本当なのかと問い返したくなるぐらいなんですけれども、神戸の世界の港湾ランキングは三十二位まで落ちたというのがそこにメモに書いてありますけれども、横浜、神戸は通商国家日本のシンボルだったんですね。ところが、横浜二十七位、神戸三十二位というところまで世界ランキングで落ちてきたと。いっとき神戸は二位だったんですね、世界ランキングで。
今上位を占めているのはどういうところなんだということをごらんになっていただいたら、一位シンガポール、香港、上海、深セン、釜山、高雄と、私が先ほど大中華圏という言葉を使った地域の港が上位六位のうち五つを占めているんだということがお分かりになると思います。これは何も港だけが突出しているんではなくて、背景に大きな産業構造の変化が進行しているということを象徴しているわけです。
日本の神戸、横浜がかくも無残に後退している理由というのは、実は第五位の釜山に押されていまして、釜山トランシップというやつなんですね。つまり、例えば東北の仙台港の物流分析、四国の今治、松山なんかの物流分析見ても、今までは内航船で神戸につなぐだとか、東京湾内の港につなぐだとか、そこで基幹航路に乗せるという物流だったんですけれども、内航船のコストが高いと。港湾の効率が悪い、金が掛かる、時間が掛かるというんで釜山につなぐというのがどんどんどんどん太くなってきているんですね。それが釜山トランシップというやつで、釜山がハブ化し、自信付けた韓国は、釜山新港の開発を終え、釜山の西二百キロのところに光陽という新しい釜山の三倍のコンテナターミナルヤードの建設を終えて日本企業の誘致に動いてきています。したがいまして、この世界港湾ランキングの動きというのが象徴しているように、日本の、特に太平洋側の港湾が一気に空洞化してきたと。
②に書いてあることがより重要なんですけれども、日本海物流ということを申し上げたいんですが、日本の貿易構造だけが変わっているわけじゃないわけで、アメリカにとっても対日貿易よりも中国あるいは大中華圏との貿易の方が圧倒するようになったというのはもう事実なわけですけれども、日本人は、北米大陸と大中華圏の貿易がばんばん増えているということをイメージしたときに、鹿児島と上海の緯度がほぼ一緒ですから、鹿児島の南の太平洋を船が行き来しているんだろうというイメージ取りがちですけれども、違うんですね。今主力物流は日本海に入ってきているんです。函館と青森の間の津軽海峡を抜けていっているんですね、基幹航路の物流が。どうしてというと、地球儀をごらんになれば分かりますが、その方が二日早いんです。今、日本海はそういう意味では基幹航路のラッシュなんです。我々が気が付かないうちに日本の国土軸にも大きなインパクトが起こっています。
日本海港湾への物流のシフト、これは国土交通省が調べてくれた数字ですけれども、平成七年から十七年までの外貿のコンテナ貨物の年平均伸び率、全国平均四・六なのに日本海側沿海の十一港は一二・六だという勢いで伸びているということになっていますけれども、日本海側の十一港ってどこのことなのというと、例えば秋田、それから山形酒田、新潟、北陸三県の港、伏木富山、敦賀、金沢、京都舞鶴、それから境港というのは、日本海側の港湾というのは、スーパー中枢港湾一港もなく港湾の施設としては甚だ劣勢であるにもかかわらず、いつの間にか日本海物流に吸い出されるように、日本海側港湾への物流のシフトというのは日本の国内でも起こってきています。
事ほどさように、つまり日本の貿易構造の変化というのが日本の国土形成計画にまで大きな影響を与えるような時代が来ているということを確認しなければいけないと。安倍内閣もアジア・ゲートウエーというキーワードを使っておられますけれども、正に総合交通体系というものをアジアとの連携という視点で大きく考え直す必要があると。
特に、例えばこの③が書いてあるんで話題として触れておきますと、コンテナ船の超大型化というのが今進んでいまして、八千TEUを超す超大型タンカーの登場と書いてます。これは八千個のコンテナが積める大型タンカーという意味なんですけれども、八千個のコンテナが積める超大型タンカーというのは、郵船が登場させてきた飛鳥Ⅱという豪華客船がありますけれども、あれがほぼ戦艦大和と同じ五万トン級というんですけれども、その倍ですね。
十万トン級の超大型タンカーが二〇一一年までに二百八十六隻建造予定ということになっていますけれども、二〇〇三年に、ついこの間、初めて最初の船が登場してきたんですけれども、あっという間に国際物流を変えてきています。水深十六メートルが必要ということで、日本の港でこの八千TEU以上のコンテナ船が泊まれる港というのは現在の能力をもってしては二つしかないと、こう言われています。
それぐらい大きく国際物流が、アジアのダイナミズムに押し上げられるように大きく変わってきていると。それに対して、総合交通体系というものを組み立て直して向き合わなければいけないという状況に来ているということをこの二点目の論点として申し上げたいと。
それから三番目、アジア連携の必要性と必然性ということを話題にしておきたいわけですけれども、今アジアのGDPが世界GDPに占めるシェアは日本も含めて約二五%と、四分の一がアジアということに昨年の統計をベースにするとなっております。これが二〇五〇年までに世界GDPの五割をアジアが占める時代に向かって我々は生きていくというイマジネーションが大変重要だろうと思います。
実はこれ、一八二〇年ごろの推計というコンピューターシミュレーションの面白い数字があるんですけれども、今から二百年ぐらい前ですね。世界GDPの五割をアジアが占めていたという推計値が出てきます。インドと中国と日本をベースにして、世界GDPの五割をアジアが占めていた時代というのが二百年前に存在したと。
ところが、この二百年間、つまり産業革命以降の世界史の中で我々は西優位の歴史の中を生きてきたわけですけれども、これからの正に四十五年間でアジアのGDPが再び世界GDPの五割を占める時代に向かって変わっていくという時代を併走することになるだろうというのが、まずベーシックな問題意識です。となると、アジアの連携は得ですという、だから必要ですという文脈だけじゃなくて、様々な意味合いにおいてアジアとの連携というものについての視点、思想が必要になってくると、こう思います。
必要性と必然性ということをいうと、今申し上げたように、アジア連携、経済的に日本にとっても大変重要なインパクトを与えるだろうという意味で考えなきゃいけない部分とともに、もう一つ実は強調しておきたいのは、少子高齢化していく日本の社会、アジアのダイナミズムを吸収して日本をバイタライズするといいますか、活性化するという視点が物すごく重要になっています。
六ページに日本の人口構造の急速な成熟化というメモが一番下に書いてありますけど、これは、もう私が言うまでもなく、昨年十二月に厚生労働省が発表してきた最近の長期人口予測の数字がそこにメモで書いてありますけど、二〇四六年に一億人を割ると、日本の人口は。その前の予測では二〇五〇年と書いてあったんですけど、四年前倒しになったんですね。二一〇〇年には四千七百七十一万人に日本の人口はなるだろうというのを厚生労働省が中位予測、比較的楽観的な予測値として出してきています。
今から百年前、一九〇〇年ごろの、つまり二十世紀初頭の日本というのは四千四百万人だったんですね。したがって、百年前、四千四百万人の人口が、おととしピークアウトして、これから百年後に四千七百万人というわけですから、元のもくあみというのはこのためにある言葉みたいな話なんですけれども。
しかも、日本の人口には六十五歳人口比重というやつが、高齢化というのが絡み付いてくると。百年前、五%にすぎなかった六十五歳以上人口比重がおととし二割を超えたと。これから我々の団塊の世代というやつなんですけれども、十年以内に続々と六十五歳になってきて、二〇五〇年には三九・六%、つまり四割になっていると。つまり、今までの五十年は人口が五千万人増えたということを前提に成り立った様々なビジネスモデルも行政も、これは、これからの四十五年で人口が二千八百万人減るということを視界に入れる必要があると。しかも、人口に占める六十五歳人口が四割になるという、そういうことを視界に入れたときに、人口が減るからといって衰亡するわけではないけれども、高齢化するからといって衰亡するわけではないけれども、人口というのはやっぱり民族の勢いのメルクマールみたいな部分もありまして、アジアのダイナミズムとの連携の中でこの国をバイタライズさせていくという視点が大変重要になるだろうということと、それから、もう一点触れておきたいのは、環境問題はボーダレスということなんですけれども、環日本海の生態系だとかということを視界に入れたときに、日本だけが京都議定書をクリアすれば環境問題が解決するなんという話では当然ないわけで、中国の環境問題を何とかしなきゃいけないと。中国の一次エネルギー供給の七割がまだ石炭です。このことが酸性雨となって日本に襲い掛かっていると。中国の化学工場で事故が起これば、アムール川、ロシアを汚染し、雪解けとともにオホーツク海に迫ってきたなんということになって、中国の環境問題とエネルギー問題に向き合うということが、環境問題は特にボーダレス、シームレスですから大変重要になってくると。そういう意味合いにおいて、我々の腹の中に、アジア連携は必要でありかつ必然なんだという問題意識が大変重要だろうというふうに私は思っています。
そういう中で、私の申し上げたい四点目の論点は、時間が迫っていますので一言申し上げると、二十一世紀の日本外交の構想力ということを触れたかったわけですが、後でまた質疑の中で触れさしていただくことになると思いますけれども、世界潮流は全員参加型秩序に向かって変わってきていると。二極の冷戦の時代でもなく、確実に脱九・一一といいますか、九月十一日からの五年間の世界史の潮流から変化が起こってきていると。私は、日本外交のこれからの要件として二つの要件があるというふうに思っています。
一つは、同盟国であるアメリカをアジアから孤立させない役割、例えば欧州におけるイギリスが果たしているような、欧州の本土とアメリカとをつなぐ役割といいますか。それと二つ目には、中国を国際社会のルールに参画させる役割と。つまり、じりじりするようなゲームに付き合わされることになると思いますけれども、WTOに中国を加盟させたことはやはり日本にとってプラスだったんですね。今後も、知的所有権だとか環境問題において、中国を国際ルールに引き込んでいくということが、腹をくくって引き込んでいくということが国益であって、粘り強く中国を国際社会の建設的な参画者に引き寄せていく役割が日本の役割なんだというある種の覚悟が必要だろうというふうに思います。
以上、時間が参りましたので、私の申し上げたい論点をざっと申し上げたということで話を終わりたいと思います。
どうもありがとうございました。
田
高
高橋和夫#7
○参考人(高橋和夫君) 高橋でございます。
世の中には運が悪いことというのがよくありまして、例えば、雄弁で知られる寺島さんの後でしゃべるというのは、何か都はるみが歌った後にカラオケのマイクが回ってくるようなもので、本当に今日は運が悪いと思っております。
最近の国際政治を考える上で、私は重要な数字が二つあると思っています。九と十一です。冷戦という時代が第二次大戦後ずっとあったわけで、ソ連とアメリカのぎりぎりとするような対立の時代があって、いつ本当にどちらかが核兵器のボタンを押して人類がそれとともに亡くなるかというような時代がずっとあったんですけれど、この冷戦というのが終わったのが、エリツィンさんの貢献もあるのかどうか知りませんけれど、一九八九年の十一月の九日で、ですから、イレブンとナインという言葉が非常に重要になります。それ以降、アメリカが唯一の超大国としてそびえ立っているわけです。
これを面白いと思うか面白くないと思うか、何と表現するかという議論はあろうかと思うんですけれど、取りあえず、ここでは一極覇権という言葉を使わせていただきました。このアメリカの一極覇権を支えるものは何かということになるんですけど、寺島さんは三つのEということを強調されたんで、私は負けないように四つのMということを言いたいと思います。
一つは、アメリカの軍事力、ミリタリーのMです。それから二つ目が、アメリカの経済力、金融力のM、マネーのM。そして三つ目が、アメリカという国が持っている、自分の国の主張を言い触らす力ですね、メディアのM。ニューヨークタイムズであれCNNであれ、いろんなメディアを持っているわけです。それから四つ目が、現在のアメリカの人口は三億人ですけれど、人の力ですね、マンパワー、女性も含めたマンパワーです。
これは、人口が先進工業諸国の中では珍しく増えているということが一つあるわけで、それからもう一つは、非常にある意味で競争力のある人材を世界から吸い寄せてしまうマンパワーと。だから、イチローも松井も松坂もみんなアメリカに行ってしまうという、そういうアメリカというシステムが持っている非常に力のある人にとっての魅力です。
そして四つ目は、このメディア、言い触らす力を持っていても何か言い触らすものを持っていなければ意味がないわけですけど、アメリカは、まあこれを何と表現していいか分からないんですけど、ソフトパワーというかカルチャーというかシビリゼーションというか、アメリカ的生活様式がいいんだと。ジャズを聴いてくれ、ミッキーマウスの漫画を見てくれ、マイケル・ジャクソンの音楽を聴いてくれという、そのメディアに乗せるソフトをたくさん持っている。まあ、これをカルチャー、文化あるいは文明、シビリゼーションという大げさな言葉で言うことも可能だと思うんですけれど、ですから、アメリカの外交力というのはこの四つのMとCで成り立っていると思うわけです。
第二次大戦が終わり、冷戦が終わって、イレブン・ナイン後のアメリカの一極覇権の時代がいつ揺さぶられたのかということになると、それは二〇〇一年の今度は九月十一日のナイン・イレブンだったと思うわけです。アルカイダの挑戦というのは非常に象徴的な挑戦だったと思います。
アルカイダが攻撃を掛けたのが、まずはアメリカのマネー、金融力を象徴するワールド・トレード・センター、二つのビル、ツインタワーズに対する攻撃を掛けてきます。それから、アメリカの軍事力を象徴する、ミリタリーを象徴するペンタゴンという建物に対して爆弾を仕掛けてくるという、突っ込んでくるということが起こります。それから、アメリカのメディアに対しても、これはアルカイダがやったのかだれがやったのか、依然として不明なんですけれど、炭疽菌がばらまかれると。アメリカが持っている三つのMに対する攻撃をアルカイダが仕掛けてきたということになります。
その結果何が起こるのかというと、一つは、アメリカという国が人の受入れに関して慎重にならざるを得ない。だから、これまでは第三世界で成績のいい子はみんなアメリカに留学したかったのに、イスラム諸国の子はしにくい、アラブ系の人はアメリカに入りにくいということで、アメリカが持っていたマンパワーという面では少し陰りがここに出てくる。
それからもう一つは、これは後の話ともつながってくるんですけれど、アメリカがアフガニスタンで戦争を戦う。このアフガニスタンの戦争に関してはかなり国際的なコンセンサスもあったんですけれど、イラクで戦争を戦う。このイラクの戦争に関しては、捕虜の虐待事件が出る、民間人の誤射事件が出るというようなことで、決してイラクは良くなっていない。だから、アメリカが掲げた自由とか民主主義とは何なんだと。これが、イラクの内戦を引き起こしたアメリカの価値とは何なんだということで、アメリカの社会が持っていたメッセージ性も弱まってくる。そういう意味では、アルカイダの引き起こした一連の展開が、アメリカが持っていた力すべてをある程度そぐ結果になったんではないかと思っています。
特に、そうしたことを強く思わせるのはもちろんイラクの状況で、アメリカ政府は内戦という言葉を避けておりますけれど、実質、シーア派とスンニ派が殺し合いをするという状況があって、これを内戦と呼ばなかったら内戦というのは何なんだというような状況にあって、この内戦を見て、やはりアメリカが掲げた中東の民主化、中東の自由化、そういったものがこういう結果をもたらしたんではないかということで、アメリカ社会が発していたメッセージ性がやはり傷付けられたというふうに思っているわけです。
もちろん、アメリカ政府が内戦という言葉を嫌うのは、内戦が起こっているということになれば、アメリカのこれまでの政策は失敗したということになるわけですし、内戦が起こっているということであれば、内戦であるならばイラク人の問題であって、なぜアメリカ人が付き合わないといけないんだ、とっとと早く帰ってくればいいじゃないかという議論になるわけで、内戦という言葉は使いたくないということがあるんですけれども。
もう一つは、日本語では内戦と言いますけれども、英語ではザ・シビルウオーと言います、シビルウオー。アメリカ人の頭の中で実はシビルウオーという言葉が聞こえたときに想像するのは、内戦なんですけれども、アメリカ史上最大の内戦、南北戦争を想像するわけです。アメリカ人にとってはザ・シビルウオーというのは南北戦争なわけです。
幕末から明治期にアメリカの歴史を日本語に翻訳した方は非常に想像力と言語力に富まれた方で、このザ・シビルウオーを内戦と訳したんでは日本人はぴんとこなかったんですけれども、南北戦争と言うと何か後醍醐天皇が出てきたり足利尊氏が出てきたり、日本人の意識としてはすぐ分かるということで南北戦争と日本語では呼ばれているんですけれども、英語ではザ・シビルウオー、ザが付く。これが最大のシビルウオー。
実は、アメリカ史においては、一番人が死んだ戦争は、今のイラク戦争でもなければアフガン戦争でもないしベトナム戦争でもないし朝鮮戦争でもないし第一次世界大戦でもないし第二次世界大戦でもなくて、この南北戦争で、六十万以上の方が亡くなっているわけです。当時の人口は、アメリカの人口はたった三千万かそこらのところですから、人口の二%ぐらいが亡くなっているんで、大ざっぱに言うと、今の人口で言えば三億の二%ですから六百万ぐらいの人が死んでいるというとんでもない数字になるわけで、アメリカの人にとっては戦争と言うと実は南北戦争なんですね。
日本人の最近学生さんを教えていて、戦後と言うと何か湾岸戦争後だったりイラク戦争後だったりする方がいるんですけれども、熊本とか鹿児島に行って戦争と言うと、何か薩摩の西南戦争のことを言っているおじいちゃん、おばあちゃんがまだ生きているという話を聞いたことがあるんですけれども、アメリカの人にとってはザ・シビルウオーというのはこの南北戦争で、本当にたくさんの人が死んだ戦争で、ザ・シビルウオーという言葉の持つ語感は非常に厳しい。ああ、もうそんなにひどい戦争なのかということで、今のアメリカ政府は認めたくないということだと思うわけです。
そういう意味では、アルカイダが引き起こしたことはペンタゴンとワールド・トレード・センターへの攻撃にすぎなかったんですけれども、それに対応する形でアメリカがしたことが、結局、アメリカが持っていたマンパワーの面、そしてもっと大きな面ではソフトパワーを大きく傷付けることになったんではないかというふうに見ています。
アメリカの力が、イラクでこれだけたくさんの兵士を失い、さらに現在、たくさんの負傷者を出し、多大の費用を使い、アメリカがかつてほどの圧倒的力を持っているという認識はもはやないわけで、寺島さんのお話にもありましたように、この勉強会のテーマでもある恐らく多極化という時代に入っているんだと思うわけです。
多極化と言うからには極はどこだということになれば、もちろん一つはロシアであります。ロシアのカムバックに関しては、これはプーチンの手腕なのか、あるいは石油と天然ガスの価格が急騰するという幸運の問題なのかは議論があろうかとは思いますけれども、ロシアがエネルギーをてこにしてその主張を強めてきているというのも明らかです。
それからもう一つは、中国の発展ということだと思います。この中国がどこまで大きくなるのか、あるいはこのまま大きくなり続けるのかということに関しては、中国を見られている方の間に御議論はあろうかと思うんですけれども、今の中国の大きさを否定する方はいらっしゃらないと思います。
同時にまた、もう一つのインドという巨大な存在、ちょっと取り上げてみただけでもあるわけです。
こうしたアメリカの一極覇権が緩んだ時代の中で日本は何をしていくのかということでありますけれども、アメリカの力の源泉が四つのMだとかCだとかいうお話をしましたけれども、それに倣いますと日本もそれなりの力を持っているわけで、それなりの力をどう使っていくかということを考えざるを得ない。
最初のミリタリーということに関しては、国民間のコンセンサスがございませんので、これをどう使うか、どうしていくかということに関しては発言を控えさせていただきますけれども、マネーの面、経済の面では、やはり下がってきたとはいえ多額のODAを出すだけの力を持っているわけであります。
これからどうしていくのかということになるんですけれども、私はODAということを考えるときに、あるいは日本の直接投資ということを考えるときに、これまではもちろんODAによってその国が発展するか、あるいはそれから二つ目は日本にとって国益であるか、あるいは環境はどうかというようなことを考えてきたんですけれど、やはりこれからは、もう既に一部ではこの動きは始まっているんですけど、このODAを出すことによって世界のエネルギーにはどういう影響があるのかという、環境アセスメントに倣ってエネルギーアセスメントというようなことを考える必要があるんではないかと思うわけです。
よく思うんですけれど、日本という国は第二次大戦後、非常に貧しい中からはい上がってここまで来たわけです。もちろん、国民の総意、努力ということがあったわけですけれど、日本のこの経済発展を支えたのは最初は石炭であり、その後は中東の石油だったわけです。
中東を旅行していますと、油田地帯があって、パイプラインというのがあって、実際パイプラインというのは非常に大きなパイプがあるわけですけれど、飛行機から見ていますとそのパイプラインというのはだんだんだんだん細くなってクモの糸みたいに見えるんですね。
それを見ていると芥川龍之介の「蜘蛛の糸」というお話を思い出すんですけれど、小学校のときに習ったお話を覚えているかどうか知らないんですけど、お釈迦様が天国から地獄を見ていたら、カンダタという男が非常に苦しんでいるのを見て、またお釈迦様はふびんに思ってあの人を助けてあげようというんで、データベースをたたいてカンダタは何かいいことをしてないかというので調べたら、カンダタは一生悪いことばっかりをしてきたんですが、たった一回、道を通っているときに、クモが歩いているのにそれがかわいそうだからって踏みつぶさずにまたいで通ったと。一回だけいいことをやっていると。じゃ、お釈迦様は助けてあげようということで、クモを連れてきて、クモの糸を地獄に垂らすわけです。カンダタはそのクモの糸を見付けて、あ、これに登っていこうということで上に登り始めるわけです。カンダタはかなり上の方に登ってきてひょいと下を見ると、ほかの罪人たちも地獄の住人たちもみんなこのクモの糸にすがって登ってきていると。クモの糸は細いのに、自分一人でも切れそうなのにほかの連中がぶら下がっちゃったら切れてしまうというので、カンダタは下に向かって、だれの糸だと思ってんだ、おまえら下りろ下りろと叫ぶと。仏様はそこで悲しい顔をされて、カンダタの上でクモの糸がぷっつり切れてカンダタは地獄に戻っちゃったというお話なんですけど。
私は日本という国がカンダタのように見えることがあるわけです。この中東の石油パイプラインにしがみついてずっと登ってきて、もちろんまだ天国には着いてないんですが、かなりいいところまでやってきた。国民が飢えなくていいところまでやってきた。
今、日本がやっていることはどういうことをやっているかというと、日本はカンダタほど悪じゃありませんで、世界じゅうにODAを配って、皆さん日本みたいにやりなさいと、日本みたいに経済発展しなさいと、そうしたら日本みたいに豊かになりますよと。その細いクモの糸にみんなぶら下がるように勧めているというのがこれまでの日本のODAだったんじゃないかなと思うわけです。もしかしたら日本が天国に着く前に切れてしまうんじゃないかと。日本の下で切れればいいんですけど、上で切れたらどうするんだろうかというのが実は私の心配でして。
日本の政策というのを見ていますと、右手は一生懸命、中東諸国と仲良くしてエネルギーを確保して石油を持ってこようということを一生懸命やっているんですけど、左手は一生懸命ODAをばらまいて、発電所を造りなさい、石油を燃やしなさい、自動車に乗りなさい、日本人みたいになりなさい、幸せでしょうといって、みんなに石油を燃やすようにけしかけてきた。何か日本の政策には一体性がなかったんじゃないか。
ですから、これからはやはり、この援助をすることが、この投資をすることが日本のエネルギー供給にどういう影響を長期的に与えるんだろうかということを考える必要があるんではないかと思っています。
二つ目のMです。マンパワーのお話なんですけれど、これは寺島さんの御紹介にもありましたし、昨年、国連からも報告書が出まして、日本の人口はこのままでは減っていくということが明らかなわけです。
やはり私は思うんですけれど、もう日本にはチョイスはなくて、ある程度外国人を日本に受け入れざるを得ないんじゃないかというように思っています。それが何割程度か何十%なのかということは、国民がどのくらい受け入れるかということで話し合っていく必要があるわけですけど、早い時期にこのコンセンサスを国民の間でまとめなければ、法的な整備がないままにどんどん外国人が入ってくるということになるのかなと思うわけです。
最近完結しました塩野七生さんの「ローマ人の物語」という本を見ていますけれども、私は何か昔からどうしてローマというのは大帝国をつくってずっと繁栄して、その前に帝国をつくっていたギリシャ人、アテネとかスパルタはすぐ滅びたんだろうという疑問を持っていたんですけれども、アテネとかスパルタの人はやっぱりアテネとかスパルタで生まれた人以外は受け入れなかったんですね。だから、アテネ人やスパルタ人は早い話が戦争が続けばだんだん人が少なくなって、そのうちいなくなっちゃって国力が落ちていった。ローマ人はどうしたのかというと、ローマ人は征服地の国民に、市民にローマ市民権を与えてどんどんどんどんローマ人を新たに生産して仲間に加えてローマ帝国というのをつくり上げて維持してきたわけですね。
日本はもちろんローマになるつもりもアテネになるつもりもないんですけれども、極端な例を考えると、アテネの道かローマの道かと。アテネの衰亡の道に行くのかローマの道に行くのかという今曲がり角に来ているようで、やはり若干アテネ寄りよりはローマ寄りの道を選ばざるを得ない。どのくらいローマ寄りの道を選ぶのかということは、これから国民で議論を深めていかないといけないという問題ではないかと思っています。
それから、三つ目のMなんですけれども、メディアの問題で、最近、私、ニューヨークに行きまして、ホテルでテレビを見ていたんですけれども、いつもはCNNとかBBCを見ているんですけれども、今回見ていたら、中国の国営放送が英語で二十四時間、ほぼ二十四時間ニュースを流し続けているわけです。実はインターネットで、例えば私、中東の専門ですから、イランとかサウジアラビアのことを見ていると、結構中国発のニュースというのがたくさんあるわけです。そういう意味では、もう明らかに日本の発信能力というのは中国に後れを取ってきているというのを思います。
実は、そういう意味ではこれまで日本の外交のお金の使い方を若干間違えてきたんではないかという気がいたします。やはり、こうした日本という国をどうやって売り込むんだと、発信するんだということにもう少しお金を使うべきかなと思っています。
実は、ワシントンに日本大使公邸というのがありまして、行くと本当に立派なシャンデリアのある大マンション、日本語の言うマンションではない、大マンションでして、納税者として今時こういうことをする必要があるんだろうかと、まだベルサイユ宮殿の外交をやっているんだろうかと。もちろん、エリートに訴えるためには日本の豊かさを示す必要はあるんですけれども、明治国家の日本であれば、地図上で日本という国がどこにあるか知らない人が多かったわけですから、こういうことは必要だったと思うんですけれども、今や、もはやそういう問題ではなくて、やはりエリートだけじゃなくて、アメリカの大衆に、イギリスの大衆に、ロシアの大衆にどう訴えていくかという問題で、そうなるとやはり、まあお金が無限にあればそれもいいんですけれども、ないんであれば、やはりお金の使い方を変えるべきじゃないかなというふうに思っております。皆様方の議員宿舎が立派過ぎるとか安過ぎるとか問題になっていますけれども、ワシントンの日本大使公邸に比べると、あんなものはウサギ小屋か掘っ建て小屋程度にしかならない。そんなにお金を、もちろんマクドナルドで外交やるわけにはいかないんですけれども、それほどの道具立てが要るんだろうかと納税者の立場としては思うわけです。
ですから、結論は、メディアということにもう少しお金を使っていただきたい。もちろんエリートに対する訴え掛けは重要なんですけれども、それ以上に日本のイメージをアメリカ人全体に、イギリス人全体に、ロシア人全体に、世界の人たち全体に訴えるということが必要なのではないかと思います。
特に今朝も思ったんですけれども、ロシアのエリツィンさんが亡くなって今日はお葬式だそうで、もうエリツィン死亡のニュースが流れるとともに、次に流れたニュースはというとクリントン前大統領が葬儀に参列なさると。それから、ブッシュお父さん元大統領も葬儀に参列なさる。日本からは駐モスクワの大使が参列なさると。もちろん日ロ関係いろんな問題を抱えていますけれども、やはりこういうときは日本の熱いメッセージを、日本がいかにロシアという国、問題はあっても隣国として大切にしているんだ、付き合っていこうとしているんだというメッセージを出すべきであって、どうして、もちろん安倍総理はお忙しいにしても、どうして元総理が一人ぐらい行かないのかと。日本で今一番余っているのは元総理大臣ではないかと私は思うんですけれども、一人も行かれないというのは、本当に皆さんそろって、何人も総理大臣は、アメリカだって元大統領、前大統領二人で行くわけですから、日本から、日本は領土の問題をめぐってロシアと付き合っていこうというわけですから、もっとたくさんの人を出したっておかしくないわけで、やっぱり外務当局の条件反射が足りない、世界のメディアにどう訴えるかという認識が足りないということを言わざるを得ないように思います。
最後に、外交のことをお話ししたんですけど、今日をどうするか、あしたをどうするかという問題はもちろんあるんですけれど、やはり優れた外交というのは優れた国民の見識の上にしか成り立たないわけですから、一番重要なことは、やっぱり長期的に重要なことは国民に外交を理解していただく、国民に日本の外交を支持していただくということが一番重要で、そのためにはやはり日本国民の、教員の立場からしてみますと、やはり世界情勢に関する知識の薄さ、少なさ、情けなさというのを強く感じます。
英語を早い段階から必修化しようというような議論もあるようですけれど、是非世界史をやはり必修化にすると。世界史を勉強していない少年少女は大学には入れないというぐらいの決意で世界史を勉強していただくということでなければ、世界の中で日本が生きていこうという中で、ヨーロッパのことを知らない、中国のことを知らない、朝鮮半島の歴史を知らないという国民に支えられた外交では余りにも厳しいと思います。
特に、今世界史を教える点で特に強化していただきたいのは、やはり宗教をしっかり教えてほしいと。どの宗教がいいとか悪いとかいう議論ではなくて、どの宗教はどういう教義で、その宗教の人たちはどういうことを大切にしていて、どういうことをしてはいけないというような、そういう文明のイロハのようなことを教えていただきたいと思います。
それから最後に、本当に最後なんですけれど、海外でいろんな人とお話しして、海外の新聞を読んでいて、日本の新聞を読んでいて一番違うなと思うのは、日本の新聞を読んでいると、北方領土はすぐ返ってくるんではないかというような印象を受けてしまったり、あるいは、もう来年あるいは再来年、近い将来に日本が安全保障理事会の常任理事国になれるんではないかというような印象を受けてしまうんですけれど。
もちろん、私は、北方領土は返ってきてほしいし、日本が安保理の常任理事国になれればすばらしいと思っている一人なんですけれど、でも実際、国連で各国の外交官、専門家と本音で話してみて、そんなことが起こると思っている人はこれまで私は会ったことがないわけです。そうした議論を国民に流し続けるというのは、ある意味で国民を欺いているんではないかというような気さえするわけです。
やはり、現実の厳しさというのはやはり政府は国民に伝える義務があるわけで、にもかかわらず努力をする義務はあるし、努力はしていただきたいんですけれど、日本の外交に、国民に対する説明、国民に対する正直さというものが若干私は欠けていたような気がしてなりません。
どうもありがとうございます。
この発言だけを見る →世の中には運が悪いことというのがよくありまして、例えば、雄弁で知られる寺島さんの後でしゃべるというのは、何か都はるみが歌った後にカラオケのマイクが回ってくるようなもので、本当に今日は運が悪いと思っております。
最近の国際政治を考える上で、私は重要な数字が二つあると思っています。九と十一です。冷戦という時代が第二次大戦後ずっとあったわけで、ソ連とアメリカのぎりぎりとするような対立の時代があって、いつ本当にどちらかが核兵器のボタンを押して人類がそれとともに亡くなるかというような時代がずっとあったんですけれど、この冷戦というのが終わったのが、エリツィンさんの貢献もあるのかどうか知りませんけれど、一九八九年の十一月の九日で、ですから、イレブンとナインという言葉が非常に重要になります。それ以降、アメリカが唯一の超大国としてそびえ立っているわけです。
これを面白いと思うか面白くないと思うか、何と表現するかという議論はあろうかと思うんですけれど、取りあえず、ここでは一極覇権という言葉を使わせていただきました。このアメリカの一極覇権を支えるものは何かということになるんですけど、寺島さんは三つのEということを強調されたんで、私は負けないように四つのMということを言いたいと思います。
一つは、アメリカの軍事力、ミリタリーのMです。それから二つ目が、アメリカの経済力、金融力のM、マネーのM。そして三つ目が、アメリカという国が持っている、自分の国の主張を言い触らす力ですね、メディアのM。ニューヨークタイムズであれCNNであれ、いろんなメディアを持っているわけです。それから四つ目が、現在のアメリカの人口は三億人ですけれど、人の力ですね、マンパワー、女性も含めたマンパワーです。
これは、人口が先進工業諸国の中では珍しく増えているということが一つあるわけで、それからもう一つは、非常にある意味で競争力のある人材を世界から吸い寄せてしまうマンパワーと。だから、イチローも松井も松坂もみんなアメリカに行ってしまうという、そういうアメリカというシステムが持っている非常に力のある人にとっての魅力です。
そして四つ目は、このメディア、言い触らす力を持っていても何か言い触らすものを持っていなければ意味がないわけですけど、アメリカは、まあこれを何と表現していいか分からないんですけど、ソフトパワーというかカルチャーというかシビリゼーションというか、アメリカ的生活様式がいいんだと。ジャズを聴いてくれ、ミッキーマウスの漫画を見てくれ、マイケル・ジャクソンの音楽を聴いてくれという、そのメディアに乗せるソフトをたくさん持っている。まあ、これをカルチャー、文化あるいは文明、シビリゼーションという大げさな言葉で言うことも可能だと思うんですけれど、ですから、アメリカの外交力というのはこの四つのMとCで成り立っていると思うわけです。
第二次大戦が終わり、冷戦が終わって、イレブン・ナイン後のアメリカの一極覇権の時代がいつ揺さぶられたのかということになると、それは二〇〇一年の今度は九月十一日のナイン・イレブンだったと思うわけです。アルカイダの挑戦というのは非常に象徴的な挑戦だったと思います。
アルカイダが攻撃を掛けたのが、まずはアメリカのマネー、金融力を象徴するワールド・トレード・センター、二つのビル、ツインタワーズに対する攻撃を掛けてきます。それから、アメリカの軍事力を象徴する、ミリタリーを象徴するペンタゴンという建物に対して爆弾を仕掛けてくるという、突っ込んでくるということが起こります。それから、アメリカのメディアに対しても、これはアルカイダがやったのかだれがやったのか、依然として不明なんですけれど、炭疽菌がばらまかれると。アメリカが持っている三つのMに対する攻撃をアルカイダが仕掛けてきたということになります。
その結果何が起こるのかというと、一つは、アメリカという国が人の受入れに関して慎重にならざるを得ない。だから、これまでは第三世界で成績のいい子はみんなアメリカに留学したかったのに、イスラム諸国の子はしにくい、アラブ系の人はアメリカに入りにくいということで、アメリカが持っていたマンパワーという面では少し陰りがここに出てくる。
それからもう一つは、これは後の話ともつながってくるんですけれど、アメリカがアフガニスタンで戦争を戦う。このアフガニスタンの戦争に関してはかなり国際的なコンセンサスもあったんですけれど、イラクで戦争を戦う。このイラクの戦争に関しては、捕虜の虐待事件が出る、民間人の誤射事件が出るというようなことで、決してイラクは良くなっていない。だから、アメリカが掲げた自由とか民主主義とは何なんだと。これが、イラクの内戦を引き起こしたアメリカの価値とは何なんだということで、アメリカの社会が持っていたメッセージ性も弱まってくる。そういう意味では、アルカイダの引き起こした一連の展開が、アメリカが持っていた力すべてをある程度そぐ結果になったんではないかと思っています。
特に、そうしたことを強く思わせるのはもちろんイラクの状況で、アメリカ政府は内戦という言葉を避けておりますけれど、実質、シーア派とスンニ派が殺し合いをするという状況があって、これを内戦と呼ばなかったら内戦というのは何なんだというような状況にあって、この内戦を見て、やはりアメリカが掲げた中東の民主化、中東の自由化、そういったものがこういう結果をもたらしたんではないかということで、アメリカ社会が発していたメッセージ性がやはり傷付けられたというふうに思っているわけです。
もちろん、アメリカ政府が内戦という言葉を嫌うのは、内戦が起こっているということになれば、アメリカのこれまでの政策は失敗したということになるわけですし、内戦が起こっているということであれば、内戦であるならばイラク人の問題であって、なぜアメリカ人が付き合わないといけないんだ、とっとと早く帰ってくればいいじゃないかという議論になるわけで、内戦という言葉は使いたくないということがあるんですけれども。
もう一つは、日本語では内戦と言いますけれども、英語ではザ・シビルウオーと言います、シビルウオー。アメリカ人の頭の中で実はシビルウオーという言葉が聞こえたときに想像するのは、内戦なんですけれども、アメリカ史上最大の内戦、南北戦争を想像するわけです。アメリカ人にとってはザ・シビルウオーというのは南北戦争なわけです。
幕末から明治期にアメリカの歴史を日本語に翻訳した方は非常に想像力と言語力に富まれた方で、このザ・シビルウオーを内戦と訳したんでは日本人はぴんとこなかったんですけれども、南北戦争と言うと何か後醍醐天皇が出てきたり足利尊氏が出てきたり、日本人の意識としてはすぐ分かるということで南北戦争と日本語では呼ばれているんですけれども、英語ではザ・シビルウオー、ザが付く。これが最大のシビルウオー。
実は、アメリカ史においては、一番人が死んだ戦争は、今のイラク戦争でもなければアフガン戦争でもないしベトナム戦争でもないし朝鮮戦争でもないし第一次世界大戦でもないし第二次世界大戦でもなくて、この南北戦争で、六十万以上の方が亡くなっているわけです。当時の人口は、アメリカの人口はたった三千万かそこらのところですから、人口の二%ぐらいが亡くなっているんで、大ざっぱに言うと、今の人口で言えば三億の二%ですから六百万ぐらいの人が死んでいるというとんでもない数字になるわけで、アメリカの人にとっては戦争と言うと実は南北戦争なんですね。
日本人の最近学生さんを教えていて、戦後と言うと何か湾岸戦争後だったりイラク戦争後だったりする方がいるんですけれども、熊本とか鹿児島に行って戦争と言うと、何か薩摩の西南戦争のことを言っているおじいちゃん、おばあちゃんがまだ生きているという話を聞いたことがあるんですけれども、アメリカの人にとってはザ・シビルウオーというのはこの南北戦争で、本当にたくさんの人が死んだ戦争で、ザ・シビルウオーという言葉の持つ語感は非常に厳しい。ああ、もうそんなにひどい戦争なのかということで、今のアメリカ政府は認めたくないということだと思うわけです。
そういう意味では、アルカイダが引き起こしたことはペンタゴンとワールド・トレード・センターへの攻撃にすぎなかったんですけれども、それに対応する形でアメリカがしたことが、結局、アメリカが持っていたマンパワーの面、そしてもっと大きな面ではソフトパワーを大きく傷付けることになったんではないかというふうに見ています。
アメリカの力が、イラクでこれだけたくさんの兵士を失い、さらに現在、たくさんの負傷者を出し、多大の費用を使い、アメリカがかつてほどの圧倒的力を持っているという認識はもはやないわけで、寺島さんのお話にもありましたように、この勉強会のテーマでもある恐らく多極化という時代に入っているんだと思うわけです。
多極化と言うからには極はどこだということになれば、もちろん一つはロシアであります。ロシアのカムバックに関しては、これはプーチンの手腕なのか、あるいは石油と天然ガスの価格が急騰するという幸運の問題なのかは議論があろうかとは思いますけれども、ロシアがエネルギーをてこにしてその主張を強めてきているというのも明らかです。
それからもう一つは、中国の発展ということだと思います。この中国がどこまで大きくなるのか、あるいはこのまま大きくなり続けるのかということに関しては、中国を見られている方の間に御議論はあろうかと思うんですけれども、今の中国の大きさを否定する方はいらっしゃらないと思います。
同時にまた、もう一つのインドという巨大な存在、ちょっと取り上げてみただけでもあるわけです。
こうしたアメリカの一極覇権が緩んだ時代の中で日本は何をしていくのかということでありますけれども、アメリカの力の源泉が四つのMだとかCだとかいうお話をしましたけれども、それに倣いますと日本もそれなりの力を持っているわけで、それなりの力をどう使っていくかということを考えざるを得ない。
最初のミリタリーということに関しては、国民間のコンセンサスがございませんので、これをどう使うか、どうしていくかということに関しては発言を控えさせていただきますけれども、マネーの面、経済の面では、やはり下がってきたとはいえ多額のODAを出すだけの力を持っているわけであります。
これからどうしていくのかということになるんですけれども、私はODAということを考えるときに、あるいは日本の直接投資ということを考えるときに、これまではもちろんODAによってその国が発展するか、あるいはそれから二つ目は日本にとって国益であるか、あるいは環境はどうかというようなことを考えてきたんですけれど、やはりこれからは、もう既に一部ではこの動きは始まっているんですけど、このODAを出すことによって世界のエネルギーにはどういう影響があるのかという、環境アセスメントに倣ってエネルギーアセスメントというようなことを考える必要があるんではないかと思うわけです。
よく思うんですけれど、日本という国は第二次大戦後、非常に貧しい中からはい上がってここまで来たわけです。もちろん、国民の総意、努力ということがあったわけですけれど、日本のこの経済発展を支えたのは最初は石炭であり、その後は中東の石油だったわけです。
中東を旅行していますと、油田地帯があって、パイプラインというのがあって、実際パイプラインというのは非常に大きなパイプがあるわけですけれど、飛行機から見ていますとそのパイプラインというのはだんだんだんだん細くなってクモの糸みたいに見えるんですね。
それを見ていると芥川龍之介の「蜘蛛の糸」というお話を思い出すんですけれど、小学校のときに習ったお話を覚えているかどうか知らないんですけど、お釈迦様が天国から地獄を見ていたら、カンダタという男が非常に苦しんでいるのを見て、またお釈迦様はふびんに思ってあの人を助けてあげようというんで、データベースをたたいてカンダタは何かいいことをしてないかというので調べたら、カンダタは一生悪いことばっかりをしてきたんですが、たった一回、道を通っているときに、クモが歩いているのにそれがかわいそうだからって踏みつぶさずにまたいで通ったと。一回だけいいことをやっていると。じゃ、お釈迦様は助けてあげようということで、クモを連れてきて、クモの糸を地獄に垂らすわけです。カンダタはそのクモの糸を見付けて、あ、これに登っていこうということで上に登り始めるわけです。カンダタはかなり上の方に登ってきてひょいと下を見ると、ほかの罪人たちも地獄の住人たちもみんなこのクモの糸にすがって登ってきていると。クモの糸は細いのに、自分一人でも切れそうなのにほかの連中がぶら下がっちゃったら切れてしまうというので、カンダタは下に向かって、だれの糸だと思ってんだ、おまえら下りろ下りろと叫ぶと。仏様はそこで悲しい顔をされて、カンダタの上でクモの糸がぷっつり切れてカンダタは地獄に戻っちゃったというお話なんですけど。
私は日本という国がカンダタのように見えることがあるわけです。この中東の石油パイプラインにしがみついてずっと登ってきて、もちろんまだ天国には着いてないんですが、かなりいいところまでやってきた。国民が飢えなくていいところまでやってきた。
今、日本がやっていることはどういうことをやっているかというと、日本はカンダタほど悪じゃありませんで、世界じゅうにODAを配って、皆さん日本みたいにやりなさいと、日本みたいに経済発展しなさいと、そうしたら日本みたいに豊かになりますよと。その細いクモの糸にみんなぶら下がるように勧めているというのがこれまでの日本のODAだったんじゃないかなと思うわけです。もしかしたら日本が天国に着く前に切れてしまうんじゃないかと。日本の下で切れればいいんですけど、上で切れたらどうするんだろうかというのが実は私の心配でして。
日本の政策というのを見ていますと、右手は一生懸命、中東諸国と仲良くしてエネルギーを確保して石油を持ってこようということを一生懸命やっているんですけど、左手は一生懸命ODAをばらまいて、発電所を造りなさい、石油を燃やしなさい、自動車に乗りなさい、日本人みたいになりなさい、幸せでしょうといって、みんなに石油を燃やすようにけしかけてきた。何か日本の政策には一体性がなかったんじゃないか。
ですから、これからはやはり、この援助をすることが、この投資をすることが日本のエネルギー供給にどういう影響を長期的に与えるんだろうかということを考える必要があるんではないかと思っています。
二つ目のMです。マンパワーのお話なんですけれど、これは寺島さんの御紹介にもありましたし、昨年、国連からも報告書が出まして、日本の人口はこのままでは減っていくということが明らかなわけです。
やはり私は思うんですけれど、もう日本にはチョイスはなくて、ある程度外国人を日本に受け入れざるを得ないんじゃないかというように思っています。それが何割程度か何十%なのかということは、国民がどのくらい受け入れるかということで話し合っていく必要があるわけですけど、早い時期にこのコンセンサスを国民の間でまとめなければ、法的な整備がないままにどんどん外国人が入ってくるということになるのかなと思うわけです。
最近完結しました塩野七生さんの「ローマ人の物語」という本を見ていますけれども、私は何か昔からどうしてローマというのは大帝国をつくってずっと繁栄して、その前に帝国をつくっていたギリシャ人、アテネとかスパルタはすぐ滅びたんだろうという疑問を持っていたんですけれども、アテネとかスパルタの人はやっぱりアテネとかスパルタで生まれた人以外は受け入れなかったんですね。だから、アテネ人やスパルタ人は早い話が戦争が続けばだんだん人が少なくなって、そのうちいなくなっちゃって国力が落ちていった。ローマ人はどうしたのかというと、ローマ人は征服地の国民に、市民にローマ市民権を与えてどんどんどんどんローマ人を新たに生産して仲間に加えてローマ帝国というのをつくり上げて維持してきたわけですね。
日本はもちろんローマになるつもりもアテネになるつもりもないんですけれども、極端な例を考えると、アテネの道かローマの道かと。アテネの衰亡の道に行くのかローマの道に行くのかという今曲がり角に来ているようで、やはり若干アテネ寄りよりはローマ寄りの道を選ばざるを得ない。どのくらいローマ寄りの道を選ぶのかということは、これから国民で議論を深めていかないといけないという問題ではないかと思っています。
それから、三つ目のMなんですけれども、メディアの問題で、最近、私、ニューヨークに行きまして、ホテルでテレビを見ていたんですけれども、いつもはCNNとかBBCを見ているんですけれども、今回見ていたら、中国の国営放送が英語で二十四時間、ほぼ二十四時間ニュースを流し続けているわけです。実はインターネットで、例えば私、中東の専門ですから、イランとかサウジアラビアのことを見ていると、結構中国発のニュースというのがたくさんあるわけです。そういう意味では、もう明らかに日本の発信能力というのは中国に後れを取ってきているというのを思います。
実は、そういう意味ではこれまで日本の外交のお金の使い方を若干間違えてきたんではないかという気がいたします。やはり、こうした日本という国をどうやって売り込むんだと、発信するんだということにもう少しお金を使うべきかなと思っています。
実は、ワシントンに日本大使公邸というのがありまして、行くと本当に立派なシャンデリアのある大マンション、日本語の言うマンションではない、大マンションでして、納税者として今時こういうことをする必要があるんだろうかと、まだベルサイユ宮殿の外交をやっているんだろうかと。もちろん、エリートに訴えるためには日本の豊かさを示す必要はあるんですけれども、明治国家の日本であれば、地図上で日本という国がどこにあるか知らない人が多かったわけですから、こういうことは必要だったと思うんですけれども、今や、もはやそういう問題ではなくて、やはりエリートだけじゃなくて、アメリカの大衆に、イギリスの大衆に、ロシアの大衆にどう訴えていくかという問題で、そうなるとやはり、まあお金が無限にあればそれもいいんですけれども、ないんであれば、やはりお金の使い方を変えるべきじゃないかなというふうに思っております。皆様方の議員宿舎が立派過ぎるとか安過ぎるとか問題になっていますけれども、ワシントンの日本大使公邸に比べると、あんなものはウサギ小屋か掘っ建て小屋程度にしかならない。そんなにお金を、もちろんマクドナルドで外交やるわけにはいかないんですけれども、それほどの道具立てが要るんだろうかと納税者の立場としては思うわけです。
ですから、結論は、メディアということにもう少しお金を使っていただきたい。もちろんエリートに対する訴え掛けは重要なんですけれども、それ以上に日本のイメージをアメリカ人全体に、イギリス人全体に、ロシア人全体に、世界の人たち全体に訴えるということが必要なのではないかと思います。
特に今朝も思ったんですけれども、ロシアのエリツィンさんが亡くなって今日はお葬式だそうで、もうエリツィン死亡のニュースが流れるとともに、次に流れたニュースはというとクリントン前大統領が葬儀に参列なさると。それから、ブッシュお父さん元大統領も葬儀に参列なさる。日本からは駐モスクワの大使が参列なさると。もちろん日ロ関係いろんな問題を抱えていますけれども、やはりこういうときは日本の熱いメッセージを、日本がいかにロシアという国、問題はあっても隣国として大切にしているんだ、付き合っていこうとしているんだというメッセージを出すべきであって、どうして、もちろん安倍総理はお忙しいにしても、どうして元総理が一人ぐらい行かないのかと。日本で今一番余っているのは元総理大臣ではないかと私は思うんですけれども、一人も行かれないというのは、本当に皆さんそろって、何人も総理大臣は、アメリカだって元大統領、前大統領二人で行くわけですから、日本から、日本は領土の問題をめぐってロシアと付き合っていこうというわけですから、もっとたくさんの人を出したっておかしくないわけで、やっぱり外務当局の条件反射が足りない、世界のメディアにどう訴えるかという認識が足りないということを言わざるを得ないように思います。
最後に、外交のことをお話ししたんですけど、今日をどうするか、あしたをどうするかという問題はもちろんあるんですけれど、やはり優れた外交というのは優れた国民の見識の上にしか成り立たないわけですから、一番重要なことは、やっぱり長期的に重要なことは国民に外交を理解していただく、国民に日本の外交を支持していただくということが一番重要で、そのためにはやはり日本国民の、教員の立場からしてみますと、やはり世界情勢に関する知識の薄さ、少なさ、情けなさというのを強く感じます。
英語を早い段階から必修化しようというような議論もあるようですけれど、是非世界史をやはり必修化にすると。世界史を勉強していない少年少女は大学には入れないというぐらいの決意で世界史を勉強していただくということでなければ、世界の中で日本が生きていこうという中で、ヨーロッパのことを知らない、中国のことを知らない、朝鮮半島の歴史を知らないという国民に支えられた外交では余りにも厳しいと思います。
特に、今世界史を教える点で特に強化していただきたいのは、やはり宗教をしっかり教えてほしいと。どの宗教がいいとか悪いとかいう議論ではなくて、どの宗教はどういう教義で、その宗教の人たちはどういうことを大切にしていて、どういうことをしてはいけないというような、そういう文明のイロハのようなことを教えていただきたいと思います。
それから最後に、本当に最後なんですけれど、海外でいろんな人とお話しして、海外の新聞を読んでいて、日本の新聞を読んでいて一番違うなと思うのは、日本の新聞を読んでいると、北方領土はすぐ返ってくるんではないかというような印象を受けてしまったり、あるいは、もう来年あるいは再来年、近い将来に日本が安全保障理事会の常任理事国になれるんではないかというような印象を受けてしまうんですけれど。
もちろん、私は、北方領土は返ってきてほしいし、日本が安保理の常任理事国になれればすばらしいと思っている一人なんですけれど、でも実際、国連で各国の外交官、専門家と本音で話してみて、そんなことが起こると思っている人はこれまで私は会ったことがないわけです。そうした議論を国民に流し続けるというのは、ある意味で国民を欺いているんではないかというような気さえするわけです。
やはり、現実の厳しさというのはやはり政府は国民に伝える義務があるわけで、にもかかわらず努力をする義務はあるし、努力はしていただきたいんですけれど、日本の外交に、国民に対する説明、国民に対する正直さというものが若干私は欠けていたような気がしてなりません。
どうもありがとうございます。
田
田中直紀#8
○会長(田中直紀君) 寺島参考人、高橋参考人、大変ありがとうございました。
これより質疑を行います。
まず、委員各位のお許しをいただきまして、私から参考人に一問ずつ質問をさせていただきます。
寺島参考人にお伺いしますが、アジアのダイナミズムにつきまして、数字を挙げて大変参考になるお話をいただきました。その中で、アジアの連携につきましては大変重要な課題であるということで環境問題にも触れていただきましたが、金融、あるいはエネルギー、食料の問題もアジア諸国の相互依存ということが大変深まってきているのではないかと思います。我々、具体的に考えていかなきゃいけないわけでありますが、参考人から御示唆いただければと思っております。
また、高橋参考人からは、大変身近な政治行動のお話もいただきましたし、日本からの発信が非常に弱いと、こういう御指摘もいただきました。外国から見た日本というのが今どういうふうに見られておりますかということをちょっとお伺いしたいと思います。戦後六十年で、紛争に巻き込まれないで今日を迎えているわけでありますが、大変岐路に立っておるんではないかと思っております。そういう中で、いろいろ御指摘ありましたが、日本というものを諸外国からどういう印象を持って見られておるかと、そういうことをもう少し我々認識をしたいと思いますので、追加でお願いができればと思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →これより質疑を行います。
まず、委員各位のお許しをいただきまして、私から参考人に一問ずつ質問をさせていただきます。
寺島参考人にお伺いしますが、アジアのダイナミズムにつきまして、数字を挙げて大変参考になるお話をいただきました。その中で、アジアの連携につきましては大変重要な課題であるということで環境問題にも触れていただきましたが、金融、あるいはエネルギー、食料の問題もアジア諸国の相互依存ということが大変深まってきているのではないかと思います。我々、具体的に考えていかなきゃいけないわけでありますが、参考人から御示唆いただければと思っております。
また、高橋参考人からは、大変身近な政治行動のお話もいただきましたし、日本からの発信が非常に弱いと、こういう御指摘もいただきました。外国から見た日本というのが今どういうふうに見られておりますかということをちょっとお伺いしたいと思います。戦後六十年で、紛争に巻き込まれないで今日を迎えているわけでありますが、大変岐路に立っておるんではないかと思っております。そういう中で、いろいろ御指摘ありましたが、日本というものを諸外国からどういう印象を持って見られておるかと、そういうことをもう少し我々認識をしたいと思いますので、追加でお願いができればと思います。よろしくお願いします。
寺
寺島実郎#9
○参考人(寺島実郎君) それじゃ、私の方から。
アジアの連携、金融、エネルギー、食料というお話を今いただきましたけれども、まず、若干さっき言い忘れたことで確認しておきたいのが、八ページにユーラシアダイナミズムと書いてあるメモの一番最初にロシアの大ロシア主義への回帰と書いたところに、どうしてもこれからの議論に確認したい数字がございます。
これは、要するにロシアの石油生産のことが、先ほどの高橋さんのカムバックというやつの裏付けの数字なんですけれども、昨年のロシアの石油生産の速報値が出てきて、九百七十二万BDと。これはIEAが発表した数字のベースですけれども、分かりやすく言うと、サウジアラビアを追い抜いてロシアが世界一の産油国になったということなんですね。それから、もっとすごいのは、その下の米印なんですけど、天然ガスを石油換算した数字と原油の生産量を合わせたランキングで、もう二〇〇五年の段階で既にロシアが世界断トツの化石燃料の供給力を持つ国になってしまった。しかも、追い風のようにエネルギー価格が先ほどの話題のように高いと。ロシアが俄然、エネルギーをてこにエネルギー帝国主義という言葉が使われるぐらいよみがえるロシアというのを演出してきています、昨年のサンクトのサミットが象徴しているようにですね。
したがいまして、私、十日ほど前に極東ロシア、ウラジオストクに行ってきたんですけど、新潟からわずか一時間半のところにウラジオストクありますが、様変わりしてきています。いわゆるエネルギーモノカルチャーでもあるわけですけれども、新たないわゆる極東にまでお金を回す余裕が出てきたロシアという姿があそこに見えてきています。環日本海とかアジアとの連携とかと言うときに、実は極東ロシアというのが実はブラックボックスでして、中国だ、韓国だ、東南アジアだ、インドだというところが非常に大きな成長ゾーンとして意識されてきていたわけですけれども、二〇一二年のウラジオストクAPEC総会を想定して、極東ロシアに日本円で五千億円のプーチンはインフラ投資をするということを発表しまして、ここのところへ来て、やけに勢い付いてきています。
そういう意味合いでエネルギーというものにおけるアジアの連携ということを考えるときに、ロシアという視点を一つ加えておかなければいけないということを付言しておきたいと思います。
よくアジアの連携と言うときに、東アジア共同体と、小泉政権も東アジア共同体なんという言葉をよく使っていたんですけれども、これを絵そらごとにしないためにも、個別の課題ごとの段階的接近法というのが私大事だと思っていまして、つまり実利にかなった連携の具体的なテーマをきちっと明らかにしていくと。それが今、田中先生がおっしゃった正に金融、エネルギー、食料なんというのが一つの具体的なあれかと思いますが、例えば宮澤構想と言われたチェンマイ・イニシアチブ。おととしの春、中国であれだけ反日デモが吹き荒れていた直後の五月にイスタンブールでASEANプラス3の財務大臣会議というのが行われて、いわゆるチェンマイ・イニシアチブを四百億ドルから八百億ドルに拠出金を増やして、アジアの金融不安というものに対して立ち向かっていこうという、つまり通貨不安に立ち向かっていこうという通貨交換協定の充実というのが行われています。それには言うまでもなく中国も韓国も参加してですね。
したがって、私のメモの中にも書いてございますけれども、中国、韓国、日本で今外貨準備が合わせて二兆ドルを超すと言われています。アメリカの外貨準備、わずかに六百五十億ドルで、けたが違うよという状況になっているんですけど、アメリカは基軸通貨国ですから、外貨準備がなくても国家の信認に動揺はないとは言えますけれども、二兆ドルの外貨準備のうち仮に五%でもアジアの共同の目的のために使われるなんという仕組みができたならば、例えばアジア開発銀行なんかを窓口にして、アジアの広域連携のためにアジアの資金が環流するなんということがもし推進できたならば、省エネルギーのためとかあるいはアジアの広域連携のためにメコン川のデルタ開発だとか、あるいは中東から来ている石油の七割が日中韓に今来ていると言われていますけれども、みんなマラッカ海峡を通っているわけですけれども、例えばマレー半島横断運河のような大型のインフラのプロジェクトなんかにアジアの資金が回るなんという仕組みが出てきたら、アジア連携というのはより実態のあるものだというふうに認識される局面が来るんじゃないかと。
それから、当然のことながらこの二十一世紀の中国の食料という問題がアジアにとって大変重要な問題なわけで、中国をだれが食わせるのかなんて本まで出ていますけれども、食料の分野における連携、特に日本は、農業の技術においては寒冷地に米が取れるような技術をこれずっと開発してきて蓄積があります。そういうものをもってアジアの食料問題に向き合っていくなんということは大変重要だろうと思います。
その文脈で、先ほど高橋さんが情報ということを言っていましたけれども、非常に僕は参考になると思っているんですけど、フランスに、パリにアラブ世界研究所というのがあります。七三年の石油危機の翌年、構想を発表して二十年掛けてパリにアラブ世界研究所というのをフランスはつくったわけですけれども、六割フランスが金出して、四割、アラブ二十二か国に根回しして、我々が中東とかアラブとかエネルギーとか石油の情報を取ろうと思ったらどうしてもパリに行かざるを得ないという情報の磁場をつくっちゃったと。もちろんIEAの本部があることはありますけれども。そういう情報の磁場、磁力線の磁場ですね、その磁場を一体この国はどこまで持っているんだろうかということを考えたら、東アジアに関する情報さえ、例えばアメリカの情報に依存して生きていくような構図になっているというのは、私自身も情報の世界生きてきていますから痛感します。そういう中で、やはり粘り強くアジア太平洋の情報の集積力というものに向けてシンクタンクのようなものをしっかり育てるということも必要になってくるだろうと思います。
私自身、今、大阪でのアジア太平洋研究所構想というやつに、北ヤード開発に絡んだ構想に参画していますけれども、そういうたぐいのものを、やっぱり腰低くしてきちっとアジアの理解と協力を得て実現していくなんていうことが、日本にアジア太平洋の情報の磁場をつくるということが長い意味での国益につながるだろうというふうに思っております。
以上です。
この発言だけを見る →アジアの連携、金融、エネルギー、食料というお話を今いただきましたけれども、まず、若干さっき言い忘れたことで確認しておきたいのが、八ページにユーラシアダイナミズムと書いてあるメモの一番最初にロシアの大ロシア主義への回帰と書いたところに、どうしてもこれからの議論に確認したい数字がございます。
これは、要するにロシアの石油生産のことが、先ほどの高橋さんのカムバックというやつの裏付けの数字なんですけれども、昨年のロシアの石油生産の速報値が出てきて、九百七十二万BDと。これはIEAが発表した数字のベースですけれども、分かりやすく言うと、サウジアラビアを追い抜いてロシアが世界一の産油国になったということなんですね。それから、もっとすごいのは、その下の米印なんですけど、天然ガスを石油換算した数字と原油の生産量を合わせたランキングで、もう二〇〇五年の段階で既にロシアが世界断トツの化石燃料の供給力を持つ国になってしまった。しかも、追い風のようにエネルギー価格が先ほどの話題のように高いと。ロシアが俄然、エネルギーをてこにエネルギー帝国主義という言葉が使われるぐらいよみがえるロシアというのを演出してきています、昨年のサンクトのサミットが象徴しているようにですね。
したがいまして、私、十日ほど前に極東ロシア、ウラジオストクに行ってきたんですけど、新潟からわずか一時間半のところにウラジオストクありますが、様変わりしてきています。いわゆるエネルギーモノカルチャーでもあるわけですけれども、新たないわゆる極東にまでお金を回す余裕が出てきたロシアという姿があそこに見えてきています。環日本海とかアジアとの連携とかと言うときに、実は極東ロシアというのが実はブラックボックスでして、中国だ、韓国だ、東南アジアだ、インドだというところが非常に大きな成長ゾーンとして意識されてきていたわけですけれども、二〇一二年のウラジオストクAPEC総会を想定して、極東ロシアに日本円で五千億円のプーチンはインフラ投資をするということを発表しまして、ここのところへ来て、やけに勢い付いてきています。
そういう意味合いでエネルギーというものにおけるアジアの連携ということを考えるときに、ロシアという視点を一つ加えておかなければいけないということを付言しておきたいと思います。
よくアジアの連携と言うときに、東アジア共同体と、小泉政権も東アジア共同体なんという言葉をよく使っていたんですけれども、これを絵そらごとにしないためにも、個別の課題ごとの段階的接近法というのが私大事だと思っていまして、つまり実利にかなった連携の具体的なテーマをきちっと明らかにしていくと。それが今、田中先生がおっしゃった正に金融、エネルギー、食料なんというのが一つの具体的なあれかと思いますが、例えば宮澤構想と言われたチェンマイ・イニシアチブ。おととしの春、中国であれだけ反日デモが吹き荒れていた直後の五月にイスタンブールでASEANプラス3の財務大臣会議というのが行われて、いわゆるチェンマイ・イニシアチブを四百億ドルから八百億ドルに拠出金を増やして、アジアの金融不安というものに対して立ち向かっていこうという、つまり通貨不安に立ち向かっていこうという通貨交換協定の充実というのが行われています。それには言うまでもなく中国も韓国も参加してですね。
したがって、私のメモの中にも書いてございますけれども、中国、韓国、日本で今外貨準備が合わせて二兆ドルを超すと言われています。アメリカの外貨準備、わずかに六百五十億ドルで、けたが違うよという状況になっているんですけど、アメリカは基軸通貨国ですから、外貨準備がなくても国家の信認に動揺はないとは言えますけれども、二兆ドルの外貨準備のうち仮に五%でもアジアの共同の目的のために使われるなんという仕組みができたならば、例えばアジア開発銀行なんかを窓口にして、アジアの広域連携のためにアジアの資金が環流するなんということがもし推進できたならば、省エネルギーのためとかあるいはアジアの広域連携のためにメコン川のデルタ開発だとか、あるいは中東から来ている石油の七割が日中韓に今来ていると言われていますけれども、みんなマラッカ海峡を通っているわけですけれども、例えばマレー半島横断運河のような大型のインフラのプロジェクトなんかにアジアの資金が回るなんという仕組みが出てきたら、アジア連携というのはより実態のあるものだというふうに認識される局面が来るんじゃないかと。
それから、当然のことながらこの二十一世紀の中国の食料という問題がアジアにとって大変重要な問題なわけで、中国をだれが食わせるのかなんて本まで出ていますけれども、食料の分野における連携、特に日本は、農業の技術においては寒冷地に米が取れるような技術をこれずっと開発してきて蓄積があります。そういうものをもってアジアの食料問題に向き合っていくなんということは大変重要だろうと思います。
その文脈で、先ほど高橋さんが情報ということを言っていましたけれども、非常に僕は参考になると思っているんですけど、フランスに、パリにアラブ世界研究所というのがあります。七三年の石油危機の翌年、構想を発表して二十年掛けてパリにアラブ世界研究所というのをフランスはつくったわけですけれども、六割フランスが金出して、四割、アラブ二十二か国に根回しして、我々が中東とかアラブとかエネルギーとか石油の情報を取ろうと思ったらどうしてもパリに行かざるを得ないという情報の磁場をつくっちゃったと。もちろんIEAの本部があることはありますけれども。そういう情報の磁場、磁力線の磁場ですね、その磁場を一体この国はどこまで持っているんだろうかということを考えたら、東アジアに関する情報さえ、例えばアメリカの情報に依存して生きていくような構図になっているというのは、私自身も情報の世界生きてきていますから痛感します。そういう中で、やはり粘り強くアジア太平洋の情報の集積力というものに向けてシンクタンクのようなものをしっかり育てるということも必要になってくるだろうと思います。
私自身、今、大阪でのアジア太平洋研究所構想というやつに、北ヤード開発に絡んだ構想に参画していますけれども、そういうたぐいのものを、やっぱり腰低くしてきちっとアジアの理解と協力を得て実現していくなんていうことが、日本にアジア太平洋の情報の磁場をつくるということが長い意味での国益につながるだろうというふうに思っております。
以上です。
田
高
高橋和夫#11
○参考人(高橋和夫君) 日本はどう見えるかという、まあ世界各国いろんな立場があろうかと思うんですが、私は、まあ専門にしております中東のお話をちょっとさせていただきたいと思います。
実際、中東を旅行して、あるいは生活してみると、やはり日本人は非常に尊敬されて親近感を持たれて愛されていると思います。それはなぜなのかということを考えてみますと、一つはやはり日本の産業界がつくり出した家電製品、それから自動車など、もう本当に手に取ることができる形で日本があって、非常に品質がいいということだと思います。それから、余り日本人は意識することはないんですけれど、そうしたことと同時に、海水の淡水化プラントですとか発電所だとか病院だとかを日本の産業界の方々が造っていますんで、そうした面からも、インフラの面からも日本人が支えてくれたという意識はあると思います。まあそれが一番顕著なのはやはりイラクだと思うんですけれど、そうした親近感というものがあって尊敬の念を抱いていただいていると思います。
それからもう一つは、時間軸で見ますと、やはり中東諸国というのは、かつて欧米、ロシアの帝国主義の圧力を受けてきたわけですから、そういう中で日本が日露戦争でロシアを打ち破ったというのは、イランだとかトルコ、アフガニスタンなど、ロシアと国境線を接する国は特に親日感情を強く抱いています。それから、第二次大戦でも、少なくとも初期の段階は日本人はよく戦ったと、原爆を落とされてあんなひどい目に遭わされたんだけどまた努力で立ち上がったと、しかも日本人としてのアイデンティティーを維持していると。これは、中東の人たち、自分たちが産業を近代化する上でモデルとすべきは、やはり日本のようにアイデンティティーを維持しつつ、文化と伝統と誇りを維持しつつ近代化するんだと、日本こそモデルであるという議論は、特にインテリになればなるほど強いように思います。
そういう中で、最近中東の人とお話しして強く感じるのは、これは日本に対する期待と同時にアメリカに対する反発があるんだと思うんですけれど、どうして日本はもう少しアメリカに物を言ってくれないんだと、アメリカと距離を置いてくれないんだという声は中東の人の間で非常に強くあります。実際、日本にそれだけの力があるのかどうかということは別にして、日本人は中東では何にも悪いことこれまでしていないし、日本の武器で殺された中東の人は一人もいないし、アメリカの武器、ロシアの武器で中東の人は毎日死んでいるわけですけれど、日本の武器で死んでいる人は一人もいないわけで、そういう日本に対する期待というのがやはり強く最近は感じられます。
この発言だけを見る →実際、中東を旅行して、あるいは生活してみると、やはり日本人は非常に尊敬されて親近感を持たれて愛されていると思います。それはなぜなのかということを考えてみますと、一つはやはり日本の産業界がつくり出した家電製品、それから自動車など、もう本当に手に取ることができる形で日本があって、非常に品質がいいということだと思います。それから、余り日本人は意識することはないんですけれど、そうしたことと同時に、海水の淡水化プラントですとか発電所だとか病院だとかを日本の産業界の方々が造っていますんで、そうした面からも、インフラの面からも日本人が支えてくれたという意識はあると思います。まあそれが一番顕著なのはやはりイラクだと思うんですけれど、そうした親近感というものがあって尊敬の念を抱いていただいていると思います。
それからもう一つは、時間軸で見ますと、やはり中東諸国というのは、かつて欧米、ロシアの帝国主義の圧力を受けてきたわけですから、そういう中で日本が日露戦争でロシアを打ち破ったというのは、イランだとかトルコ、アフガニスタンなど、ロシアと国境線を接する国は特に親日感情を強く抱いています。それから、第二次大戦でも、少なくとも初期の段階は日本人はよく戦ったと、原爆を落とされてあんなひどい目に遭わされたんだけどまた努力で立ち上がったと、しかも日本人としてのアイデンティティーを維持していると。これは、中東の人たち、自分たちが産業を近代化する上でモデルとすべきは、やはり日本のようにアイデンティティーを維持しつつ、文化と伝統と誇りを維持しつつ近代化するんだと、日本こそモデルであるという議論は、特にインテリになればなるほど強いように思います。
そういう中で、最近中東の人とお話しして強く感じるのは、これは日本に対する期待と同時にアメリカに対する反発があるんだと思うんですけれど、どうして日本はもう少しアメリカに物を言ってくれないんだと、アメリカと距離を置いてくれないんだという声は中東の人の間で非常に強くあります。実際、日本にそれだけの力があるのかどうかということは別にして、日本人は中東では何にも悪いことこれまでしていないし、日本の武器で殺された中東の人は一人もいないし、アメリカの武器、ロシアの武器で中東の人は毎日死んでいるわけですけれど、日本の武器で死んでいる人は一人もいないわけで、そういう日本に対する期待というのがやはり強く最近は感じられます。
田
末
末松信介#13
○末松信介君 自民党の兵庫県選出の末松と申します。
今日は、寺島先生、高橋先生、大変有意義なお話をいただきましてありがとうございます。
寺島先生は予想していた話と違いまして、慌てて今想定の質問をちょっと変えましたんですけれども、岸先生から今日は厳しく質問せよという御指摘でありますのでさせていただきます。
さっき港の話が出てまして、私、神戸の選出なんです、出身なんですけれども、確かにトランシップの話がありましたけれども、今全国の港のコンテナの取扱量というのは千五百万トンなんですよね。上海は一港で二千二百万トンと、一年間で四百万トンぐらい増えていくと、統計を取る段階でも何百万も積んでいくと。日本は千五百万トンを更に六十二のコンテナ港で割っているという状態なんです。
じゃ、そこで何が起きているかといったら、もう絶対これコストの問題です。広島港で四十フィートコンテナを一個積んで神戸で載せ替えて北米に持っていったら、一個九万円と聞いているんですよね。それを広島港で積んで、先生の言われた釜山へ持っていって北米へ持っていったら、ちょっと時間掛かるけれども六万五千円なんです、二万五千円の差があると。これではますます差が開くと。
やはり人件費の問題と岸壁使用料の問題があります。これはもう致し方ない日本の一つの現在の宿命であると思うんですけれども、一番問題は何かといったら、港湾業者に聞いたら、平成八年ごろ、抜港、日本の港を抜いて荷物が向こうへ送られるようになったというときに、気が付いたときにシンガポールがトレードネットとかポートネットというのをやっていたと。それを早く取り入れるべきだったんですけれども、遅れてしまったということが一つの大きな理由になってしまっておるんですよね。
日本は今、スーパー中枢港湾進めていると。だけれども、それはそれでいいんですよね、大深度の十六メーターのバース造っていいんですけれども。要は、簡素化のためのIT化をしようというんですね。それは違うと、簡素化してIT化をせないかぬと。
やっぱり国際競争力を付けていく上で、日本の今のシステム見た場合、先生としてじれったいなと。このシステムというのは、日本にとっては良さそうなシステムであっても日本人を決して幸せにしていないというシステムというのは存在していると思うんですよ。国際会議も、数も恐らく世界で二十何位ぐらいまで落ちてきていると、開催数も。港以外に、空港もやっぱり政策もやってきていると。こういった国際競争力を保つ上で、先生としてじれったいなと思われる点、国土交通政策の前段として先生の思うところをちょっとお話ししていただきたいと思います。
それと、ちょっと時間はあれですけれども、先生が以前新聞に投稿されていて、夏目漱石のことなんか書かれていたこと、朝日新聞でしたかね、富士山は日本一だというようなことを言うようなああいう話というのは、もう今どき言うやつはいないという話で始まって、あれを読んで大変、僕なりに切り抜いておいていたんですけれども、アメリカに対して過剰依存、過剰の期待をしちゃいかぬと。アメリカとの関係では、もう未来は過去の延長線上には正にないということを気付かなきゃいかぬと。
先生おっしゃったように、対米貿易の比重を見ましても、これ、二〇〇四年が一八・六ですね。それが二〇〇六年には一七・五まで落ちてきておると。対中は、二〇〇四年で一六・五が、これはまた二〇〇六年には一七・〇まで上がってきているということで、肩を並べたと。だから、貿易でお互い助け合うというところはもう随分数が、数字が落ちてきておると。石油についても、アメリカはもう八割は自国の周りでこれを輸入しておるという問題もあります。
唯一先生がおっしゃるのは、大人の関係をつくれと書いておられますね、大人の関係をと。しかし、日米関係においては、ミサイル防衛構想もありますけれども、やはり日米同盟、この軍事的なお互いの、アメリカからの支援ということを考えた場合、大人の関係というのは、中も外も見ても、これはどういう関係をもって大人の関係と言える状態なのかということを先生に是非教えていただきたい。
最後に、先生には、集団的自衛権のことにつきまして先生はどのようにお考えか、この以上三点をお願いします。
高橋先生には、済みません、ちょっと三分延びまして。先生には、イスラムの先生、専門家で、ずっとテレビ拝見しているんですけれども、九月十一日以降、九・一一以降、イスラムに対して一面的な見方が広がっていると思うんですけれども、問題は原理主義など過激派をいかに拡大させないかという点でありますけれども、日本、西欧社会にとって一体何ができるんだろうかということを素朴に考えてしまうんですね。
ユーゴスラビアが、チトー大統領がいたと。あの国というのは元々、五民族四言語三宗教六共和国であった、モザイク国家ですよね。それがチトーが亡くなって共産主義というたがが外れてしまったら大混乱を来したと。しかし、今は国を分割することによって運営しておると。必ずしもイラクの民主化というのは、本当にこのスンニ派とかシーア派というのが存在して、混住していって統一ができるものかどうか。私もちょっとイラクの中の住民の状態って分からないんですけれども、分断国家というか、あえて民主化のために分割するということが、ガルブレイスさんがおっしゃっておられるように、これは可能なのかどうかということをお聞きしたいということです。それと、アメリカの政権が共和党から民主党に移った場合どう出るかということ。
以上です。
この発言だけを見る →今日は、寺島先生、高橋先生、大変有意義なお話をいただきましてありがとうございます。
寺島先生は予想していた話と違いまして、慌てて今想定の質問をちょっと変えましたんですけれども、岸先生から今日は厳しく質問せよという御指摘でありますのでさせていただきます。
さっき港の話が出てまして、私、神戸の選出なんです、出身なんですけれども、確かにトランシップの話がありましたけれども、今全国の港のコンテナの取扱量というのは千五百万トンなんですよね。上海は一港で二千二百万トンと、一年間で四百万トンぐらい増えていくと、統計を取る段階でも何百万も積んでいくと。日本は千五百万トンを更に六十二のコンテナ港で割っているという状態なんです。
じゃ、そこで何が起きているかといったら、もう絶対これコストの問題です。広島港で四十フィートコンテナを一個積んで神戸で載せ替えて北米に持っていったら、一個九万円と聞いているんですよね。それを広島港で積んで、先生の言われた釜山へ持っていって北米へ持っていったら、ちょっと時間掛かるけれども六万五千円なんです、二万五千円の差があると。これではますます差が開くと。
やはり人件費の問題と岸壁使用料の問題があります。これはもう致し方ない日本の一つの現在の宿命であると思うんですけれども、一番問題は何かといったら、港湾業者に聞いたら、平成八年ごろ、抜港、日本の港を抜いて荷物が向こうへ送られるようになったというときに、気が付いたときにシンガポールがトレードネットとかポートネットというのをやっていたと。それを早く取り入れるべきだったんですけれども、遅れてしまったということが一つの大きな理由になってしまっておるんですよね。
日本は今、スーパー中枢港湾進めていると。だけれども、それはそれでいいんですよね、大深度の十六メーターのバース造っていいんですけれども。要は、簡素化のためのIT化をしようというんですね。それは違うと、簡素化してIT化をせないかぬと。
やっぱり国際競争力を付けていく上で、日本の今のシステム見た場合、先生としてじれったいなと。このシステムというのは、日本にとっては良さそうなシステムであっても日本人を決して幸せにしていないというシステムというのは存在していると思うんですよ。国際会議も、数も恐らく世界で二十何位ぐらいまで落ちてきていると、開催数も。港以外に、空港もやっぱり政策もやってきていると。こういった国際競争力を保つ上で、先生としてじれったいなと思われる点、国土交通政策の前段として先生の思うところをちょっとお話ししていただきたいと思います。
それと、ちょっと時間はあれですけれども、先生が以前新聞に投稿されていて、夏目漱石のことなんか書かれていたこと、朝日新聞でしたかね、富士山は日本一だというようなことを言うようなああいう話というのは、もう今どき言うやつはいないという話で始まって、あれを読んで大変、僕なりに切り抜いておいていたんですけれども、アメリカに対して過剰依存、過剰の期待をしちゃいかぬと。アメリカとの関係では、もう未来は過去の延長線上には正にないということを気付かなきゃいかぬと。
先生おっしゃったように、対米貿易の比重を見ましても、これ、二〇〇四年が一八・六ですね。それが二〇〇六年には一七・五まで落ちてきておると。対中は、二〇〇四年で一六・五が、これはまた二〇〇六年には一七・〇まで上がってきているということで、肩を並べたと。だから、貿易でお互い助け合うというところはもう随分数が、数字が落ちてきておると。石油についても、アメリカはもう八割は自国の周りでこれを輸入しておるという問題もあります。
唯一先生がおっしゃるのは、大人の関係をつくれと書いておられますね、大人の関係をと。しかし、日米関係においては、ミサイル防衛構想もありますけれども、やはり日米同盟、この軍事的なお互いの、アメリカからの支援ということを考えた場合、大人の関係というのは、中も外も見ても、これはどういう関係をもって大人の関係と言える状態なのかということを先生に是非教えていただきたい。
最後に、先生には、集団的自衛権のことにつきまして先生はどのようにお考えか、この以上三点をお願いします。
高橋先生には、済みません、ちょっと三分延びまして。先生には、イスラムの先生、専門家で、ずっとテレビ拝見しているんですけれども、九月十一日以降、九・一一以降、イスラムに対して一面的な見方が広がっていると思うんですけれども、問題は原理主義など過激派をいかに拡大させないかという点でありますけれども、日本、西欧社会にとって一体何ができるんだろうかということを素朴に考えてしまうんですね。
ユーゴスラビアが、チトー大統領がいたと。あの国というのは元々、五民族四言語三宗教六共和国であった、モザイク国家ですよね。それがチトーが亡くなって共産主義というたがが外れてしまったら大混乱を来したと。しかし、今は国を分割することによって運営しておると。必ずしもイラクの民主化というのは、本当にこのスンニ派とかシーア派というのが存在して、混住していって統一ができるものかどうか。私もちょっとイラクの中の住民の状態って分からないんですけれども、分断国家というか、あえて民主化のために分割するということが、ガルブレイスさんがおっしゃっておられるように、これは可能なのかどうかということをお聞きしたいということです。それと、アメリカの政権が共和党から民主党に移った場合どう出るかということ。
以上です。
寺
寺島実郎#14
○参考人(寺島実郎君) じゃ、三点について簡潔に。
最初の港湾の関係なんですけれども、私は、もちろん今先生おっしゃったように、いらいらしなきゃいけないようなテーマというのがもう見えてきているというのがこの陸海空すべてですね、港湾、空港それからそれをつなぐ道路としてのネットワークということで。総合交通体系という言葉、さっき言葉使ったわけですけれども、アジアのダイナミズムを迎え撃つために、例えば日本海側と太平洋側を有機的につなぐという発想がこれから物すごく重要になってくると思います。
例えば、道路はもうこの際一切要らないなんという話じゃなくて、例えば三十年代の高度成長期に東京一極集中ですべて走った国として放射線状に造った高速道路、それを縦につなぐといいますか、例えば新潟からの関越道と中央高速と東名高速が全部東京でもって接点を持っているというような構図から脱却して、北陸自動車道と名古屋をつなぐあれもそうですけれども、これからのアジアの、特にユーラシアのダイナミズムを、環日本海構想を迎え撃つためには、縦につなぐという効率性というのは非常に重要になるし、それから空港、港湾の戦略的な整備、しかもそれも、さっきちらっと話題に出していたITを使った、RFIDなんかを使った効率的な運営だとか、二十四時間通関だとか、それから日本海側にも一つぐらいスーパー中枢港湾をとかですね、様々な戦略的視点がこれから日本に問い掛けられてくるだろうと。そういうことをやらないと、アジア・ゲートウエーなんて言ってみても絵そらごとになってしまうんではないかというのが、問題意識として強く持っているというのが一点目でございます。
それから、米国に対する過剰依存、過剰期待の構造なんですけれども、日本の二十世紀というのは日英同盟、それから日米同盟というものが二十世紀百年のうち七十五年間といいますか、四分の三を、戦争を挟んだ期間だけは別にして、二十世紀七十五年間四分の三、アングロサクソン同盟でうまくいったじゃないかという考え方の下に、そのアングロサクソン同盟に対する過剰なる評価というのが多分日本の国民の中に定着しているんだろうというふうに思います。
それが歴史の教訓として、アングロサクソン同盟のかつての効用というものを的確に評価するべき部分と、じゃそれが二十一世紀にそのままつながるんだろうかという二つの視点が非常に重要だと思っていまして、二十一世紀のゲームというのは、さっき申し上げたように、限りなく多参画といいますか、つまり多極化を通り越して、僕は全員参画型と言いますね、アフリカ、アジアの国々も、それぞれに自己主張してくる国に対して向き合っていかなきゃいけないと。
今までは冷戦の時代で、日米同盟を軸にアメリカとの信頼関係をベースに世界に向けて発言しているというゲームが成り立ったけれども、丸テーブルを囲むゲームになってくると。二極間、二極ゲームとか二国間ゲームというのは、労働組合と会社の交渉みたいなもので、日米通商摩擦が激しかったといっても、僕も正にその巻き込まれてきた世界へ行きましたけれども、百回も同じ相手と交渉しているうちに落としどころ見えてくるというゲームで、ところが今我々が向き合わなきゃいけないのは、インド人もユダヤ人もアフリカの人も丸テーブルを囲んでいる中で、あいつの言っているのは筋通っているなというものを、多国間のゲームの中で生きるためには、外交における理念性だとかそれから相対性みたいなものが物すごく重要になってくると。
そういうことを考えたときに、アメリカとの関係さえ踏み固めていれば二十一世紀も安心というゲームではなくなってきている。なぜならば、アメリカと中国の関係が非常に僕は象徴していると思いますけれども、もし今、日本が日米で連携して中国の脅威と向き合おうというゲームを組み立てようとしているんだったら、それは相当世界史の潮流から見てずれているというか、アメリカは、日本ももちろん同盟国として大事だけれども、これは政権のいかんにかかわらずということを腹に置いて言っているんですけれども、中国の存在感に対して嫌でもいわゆる関心を高めている状況といいますか、一つは二十一世紀の市場の魅力という、中国の市場の魅力、それから中国の脅威という、二重構造の中で中国に対する関心は嫌でも高まっていると。
したがって、日本も大事だけれども中国も大事という相対的なゲームの中でアメリカがアジア外交というものを組み立ててくることは間違いないと。そういう中で、日米関係をやはり大人の関係と私が言っている意味は、実は日米関係、僕もアメリカに十数年もいて日米関係の中を走ってきた人間ですけれども、軍事片肺同盟、日米同盟と言うけれども、例えば経済同盟に関してどういう軸になるものを持っているのかというと、既に韓国や中国までがアメリカと動き始めているようなFTA、つまり自由貿易協定のようなものさえ一つあるわけではなく、包括的な経済協定があるわけでもなく、今後やはり軍事関係においては日米の同盟関係を大事にしながらも適切な間合いという方向に向かっていく。
つまり、それは何を意味しているかというと、私のこれは一つの主張なわけですけれども、例えば地位協定をしっかりと見直して、九〇年代にドイツがやったように、つまりドイツにおける米軍基地の地位協定を見直していった、九三年に変えていったあの流れをつくり、段階的にであれ、つまり外国の基地がこの国の中に存在しているという状況でしょう。何もかつての反米とか嫌米なんという文脈ではなくて、段階的にもやっぱり基地を縮小していく、地位協定を日本の主体性を持って回復していくというゲームを組み立てないと、アジアの目線というときに、日本が主体的なアメリカに対して一つの主張を持っている国なんだろうかという目で見たときに、正にイラク戦争のときにそれを証明して見せたように、アメリカ周辺国ではないのかという印象を与えていることが僕は日本のこの五年間の国際社会における存在感を落としたということ、ASEANの外交官の人たちといろいろ議論していても、やはり残念ながらイラク戦争に、さっき高橋さんの話とつながるわけですけれども、日本が持っていた中東との関係、アメリカと中東との関係と日本と中東との関係は違うんですよね。
いかなる国にも武器輸出もしたことがない、軍事介入したことがないという唯一の先進国として、イラクの復興支援に適切な距離を取りながら参画するということはすごく大事だけれども、イラクを破壊し、攻撃した側に立ってイラク問題に関与するという姿勢から一歩距離を取れなかったのかというのが、例えばインドを始めとするアジアの国々の人たちの日本に対する目線だと思うんですね。
したがって、私が申し上げたいのは、軍事的には、段階的にであれ、日本の主体性を回復していくという問題意識をやっぱり強く持たなければ、国際社会の中で一かどの存在として認知されないということをまず考えなきゃいけないということと、経済関係においてはより踏み込んだ日米の関係をつくっていく、次々と構想を出していく、FTAからEPAでも結構なんですけれども、日米間にこそ、世界のGDPの四割を占めるわけですから、韓国や中国よりも先に自由貿易協定的なものを提示するぐらいの構想力が要るんじゃないかと。何も薄っぺらな意味での反米とか嫌米なんという次元の話じゃなくて、アメリカとの大人の関係というのはそういう文脈で発言しているんだということを、まあだらだらなるといけないので終わらせますけれども。
それから、集団的自衛権ですけれども、私は、いかなる国も自衛権を持ってない国なんというのはなくて、個別的だろうが集団的だろうが自衛権は持っていると。ただし、その自衛権をどういう形で発動するのかはそのときの正に国会を中心にした日本の政治的意思決定が判断すべきことで、ただ気を付けなきゃいけないのは、これは安倍政権が一体となってこのキーワードを使っているとは僕は思いませんけれども、例えば外務大臣が盛んに最近言われる日本外交のビジョンとして、自由と繁栄の弧という言い方をされていますよね、ビジョンとして。この話、非常に微妙で、聞きようによると、台頭するロシア、中国に対して自由と繁栄の弧で取り巻こうというふうなロジックにも見えてくるんですね、ある立場の人からすれば。
非常に微妙で、一番分かりやすく言うと、例えば台湾問題がこじれて、中国と台湾が軍事的に向き合うような瞬間が仮に起こったとした瞬間に、そうしたら日本外交はどういう価値判断で選択肢を取るだろうかと考えたときに、もし自由と繁栄の弧というんであれば、言うまでもなく自由な民主主義の仕組みを持っている台湾、それから繁栄を実現している台湾の側に立って日本は中国に対して向き合うというスタンスを取ろうとしているのかという文脈に受け止められますよね、自由と繁栄の弧ということをもし本当にその筋書どおり読むならばですよ。
となると、気を付けなきゃいけないのは、正についこの間まで、もう世界史的には結論が出た話だと思うんですけれども、ネオコンの人たちが言っていたロジックですね。つまり、アメリカの大事にする価値、自由と民主主義と経済的市場主義を世界に実現するために我々は戦うんだというあのネオコンの人が言っていたロジックと同じことを日本は言おうとしているのかという誤解さえ与えかねないですね。そうなってくると、下手間違うと、中国とロシアの連携機構である上海協力機構、それにインドがオブザーバー参加し、イランまでがオブザーバー参加しているようなユーラシアの新しいダイナミズムに対して、日米で連携して上海協力機構と向き合おうなんというようなことを言おうとしているのかなということを国際関係の世界で生きている人間はあの言葉の中にかぎ付けると思うんですね。
そういう中で、集団的自衛権なんということが議論されていくことが果たして選択肢を狭めないかということが私が申し上げたい論点だということだけで、お話をしておきたいと思います。
この発言だけを見る →最初の港湾の関係なんですけれども、私は、もちろん今先生おっしゃったように、いらいらしなきゃいけないようなテーマというのがもう見えてきているというのがこの陸海空すべてですね、港湾、空港それからそれをつなぐ道路としてのネットワークということで。総合交通体系という言葉、さっき言葉使ったわけですけれども、アジアのダイナミズムを迎え撃つために、例えば日本海側と太平洋側を有機的につなぐという発想がこれから物すごく重要になってくると思います。
例えば、道路はもうこの際一切要らないなんという話じゃなくて、例えば三十年代の高度成長期に東京一極集中ですべて走った国として放射線状に造った高速道路、それを縦につなぐといいますか、例えば新潟からの関越道と中央高速と東名高速が全部東京でもって接点を持っているというような構図から脱却して、北陸自動車道と名古屋をつなぐあれもそうですけれども、これからのアジアの、特にユーラシアのダイナミズムを、環日本海構想を迎え撃つためには、縦につなぐという効率性というのは非常に重要になるし、それから空港、港湾の戦略的な整備、しかもそれも、さっきちらっと話題に出していたITを使った、RFIDなんかを使った効率的な運営だとか、二十四時間通関だとか、それから日本海側にも一つぐらいスーパー中枢港湾をとかですね、様々な戦略的視点がこれから日本に問い掛けられてくるだろうと。そういうことをやらないと、アジア・ゲートウエーなんて言ってみても絵そらごとになってしまうんではないかというのが、問題意識として強く持っているというのが一点目でございます。
それから、米国に対する過剰依存、過剰期待の構造なんですけれども、日本の二十世紀というのは日英同盟、それから日米同盟というものが二十世紀百年のうち七十五年間といいますか、四分の三を、戦争を挟んだ期間だけは別にして、二十世紀七十五年間四分の三、アングロサクソン同盟でうまくいったじゃないかという考え方の下に、そのアングロサクソン同盟に対する過剰なる評価というのが多分日本の国民の中に定着しているんだろうというふうに思います。
それが歴史の教訓として、アングロサクソン同盟のかつての効用というものを的確に評価するべき部分と、じゃそれが二十一世紀にそのままつながるんだろうかという二つの視点が非常に重要だと思っていまして、二十一世紀のゲームというのは、さっき申し上げたように、限りなく多参画といいますか、つまり多極化を通り越して、僕は全員参画型と言いますね、アフリカ、アジアの国々も、それぞれに自己主張してくる国に対して向き合っていかなきゃいけないと。
今までは冷戦の時代で、日米同盟を軸にアメリカとの信頼関係をベースに世界に向けて発言しているというゲームが成り立ったけれども、丸テーブルを囲むゲームになってくると。二極間、二極ゲームとか二国間ゲームというのは、労働組合と会社の交渉みたいなもので、日米通商摩擦が激しかったといっても、僕も正にその巻き込まれてきた世界へ行きましたけれども、百回も同じ相手と交渉しているうちに落としどころ見えてくるというゲームで、ところが今我々が向き合わなきゃいけないのは、インド人もユダヤ人もアフリカの人も丸テーブルを囲んでいる中で、あいつの言っているのは筋通っているなというものを、多国間のゲームの中で生きるためには、外交における理念性だとかそれから相対性みたいなものが物すごく重要になってくると。
そういうことを考えたときに、アメリカとの関係さえ踏み固めていれば二十一世紀も安心というゲームではなくなってきている。なぜならば、アメリカと中国の関係が非常に僕は象徴していると思いますけれども、もし今、日本が日米で連携して中国の脅威と向き合おうというゲームを組み立てようとしているんだったら、それは相当世界史の潮流から見てずれているというか、アメリカは、日本ももちろん同盟国として大事だけれども、これは政権のいかんにかかわらずということを腹に置いて言っているんですけれども、中国の存在感に対して嫌でもいわゆる関心を高めている状況といいますか、一つは二十一世紀の市場の魅力という、中国の市場の魅力、それから中国の脅威という、二重構造の中で中国に対する関心は嫌でも高まっていると。
したがって、日本も大事だけれども中国も大事という相対的なゲームの中でアメリカがアジア外交というものを組み立ててくることは間違いないと。そういう中で、日米関係をやはり大人の関係と私が言っている意味は、実は日米関係、僕もアメリカに十数年もいて日米関係の中を走ってきた人間ですけれども、軍事片肺同盟、日米同盟と言うけれども、例えば経済同盟に関してどういう軸になるものを持っているのかというと、既に韓国や中国までがアメリカと動き始めているようなFTA、つまり自由貿易協定のようなものさえ一つあるわけではなく、包括的な経済協定があるわけでもなく、今後やはり軍事関係においては日米の同盟関係を大事にしながらも適切な間合いという方向に向かっていく。
つまり、それは何を意味しているかというと、私のこれは一つの主張なわけですけれども、例えば地位協定をしっかりと見直して、九〇年代にドイツがやったように、つまりドイツにおける米軍基地の地位協定を見直していった、九三年に変えていったあの流れをつくり、段階的にであれ、つまり外国の基地がこの国の中に存在しているという状況でしょう。何もかつての反米とか嫌米なんという文脈ではなくて、段階的にもやっぱり基地を縮小していく、地位協定を日本の主体性を持って回復していくというゲームを組み立てないと、アジアの目線というときに、日本が主体的なアメリカに対して一つの主張を持っている国なんだろうかという目で見たときに、正にイラク戦争のときにそれを証明して見せたように、アメリカ周辺国ではないのかという印象を与えていることが僕は日本のこの五年間の国際社会における存在感を落としたということ、ASEANの外交官の人たちといろいろ議論していても、やはり残念ながらイラク戦争に、さっき高橋さんの話とつながるわけですけれども、日本が持っていた中東との関係、アメリカと中東との関係と日本と中東との関係は違うんですよね。
いかなる国にも武器輸出もしたことがない、軍事介入したことがないという唯一の先進国として、イラクの復興支援に適切な距離を取りながら参画するということはすごく大事だけれども、イラクを破壊し、攻撃した側に立ってイラク問題に関与するという姿勢から一歩距離を取れなかったのかというのが、例えばインドを始めとするアジアの国々の人たちの日本に対する目線だと思うんですね。
したがって、私が申し上げたいのは、軍事的には、段階的にであれ、日本の主体性を回復していくという問題意識をやっぱり強く持たなければ、国際社会の中で一かどの存在として認知されないということをまず考えなきゃいけないということと、経済関係においてはより踏み込んだ日米の関係をつくっていく、次々と構想を出していく、FTAからEPAでも結構なんですけれども、日米間にこそ、世界のGDPの四割を占めるわけですから、韓国や中国よりも先に自由貿易協定的なものを提示するぐらいの構想力が要るんじゃないかと。何も薄っぺらな意味での反米とか嫌米なんという次元の話じゃなくて、アメリカとの大人の関係というのはそういう文脈で発言しているんだということを、まあだらだらなるといけないので終わらせますけれども。
それから、集団的自衛権ですけれども、私は、いかなる国も自衛権を持ってない国なんというのはなくて、個別的だろうが集団的だろうが自衛権は持っていると。ただし、その自衛権をどういう形で発動するのかはそのときの正に国会を中心にした日本の政治的意思決定が判断すべきことで、ただ気を付けなきゃいけないのは、これは安倍政権が一体となってこのキーワードを使っているとは僕は思いませんけれども、例えば外務大臣が盛んに最近言われる日本外交のビジョンとして、自由と繁栄の弧という言い方をされていますよね、ビジョンとして。この話、非常に微妙で、聞きようによると、台頭するロシア、中国に対して自由と繁栄の弧で取り巻こうというふうなロジックにも見えてくるんですね、ある立場の人からすれば。
非常に微妙で、一番分かりやすく言うと、例えば台湾問題がこじれて、中国と台湾が軍事的に向き合うような瞬間が仮に起こったとした瞬間に、そうしたら日本外交はどういう価値判断で選択肢を取るだろうかと考えたときに、もし自由と繁栄の弧というんであれば、言うまでもなく自由な民主主義の仕組みを持っている台湾、それから繁栄を実現している台湾の側に立って日本は中国に対して向き合うというスタンスを取ろうとしているのかという文脈に受け止められますよね、自由と繁栄の弧ということをもし本当にその筋書どおり読むならばですよ。
となると、気を付けなきゃいけないのは、正についこの間まで、もう世界史的には結論が出た話だと思うんですけれども、ネオコンの人たちが言っていたロジックですね。つまり、アメリカの大事にする価値、自由と民主主義と経済的市場主義を世界に実現するために我々は戦うんだというあのネオコンの人が言っていたロジックと同じことを日本は言おうとしているのかという誤解さえ与えかねないですね。そうなってくると、下手間違うと、中国とロシアの連携機構である上海協力機構、それにインドがオブザーバー参加し、イランまでがオブザーバー参加しているようなユーラシアの新しいダイナミズムに対して、日米で連携して上海協力機構と向き合おうなんというようなことを言おうとしているのかなということを国際関係の世界で生きている人間はあの言葉の中にかぎ付けると思うんですね。
そういう中で、集団的自衛権なんということが議論されていくことが果たして選択肢を狭めないかということが私が申し上げたい論点だということだけで、お話をしておきたいと思います。
高
高橋和夫#15
○参考人(高橋和夫君) 御質問ありがとうございます。
まず、聞かれなかったことから申し上げたいんですけれども、私、実家が北九州でして、釜山と向かい合っているんですけれども、釜山に行きますともう本当に町じゅうが渋谷のように繁栄していましてどうしてかなと思わざるを得ないわけです。実は、どうしてかなと思った日本の港湾関係者がかなり多いようで、実名は出しませんけれども、ある市の港湾関係者がシンガポールの港湾関係者にコンサルを依頼して、お金を払って、どういうアドバイスがありますかといったら、シンガポール側はこうやってこうやってこうやってこうやれば日本の港も生き返りますよという案を出したら、日本側は、あっ、それは政治的にできないからもう結構ですという答えが返ってきたとシンガポールのある外務省の方がおっしゃっていましたけれども、かなりこれは政治的決断という部分があるのかなというような気がいたします。
承った質問の第一問目で、イスラムの過激派対策どうしたらいいのかということなんですけれども、まあもはや過激派になってしまった人たちは多分何をやっても心を入れ替えたりはしないと思うんで、問題はこれから過激派がどうやったら増えないかと、どうやったら過激派の宣伝が功を奏さないかということなんですけれども、いろいろあると思うんですが、一つはやはりパレスチナ問題だと思います。実際、アラビア語のアル・ジャジーラテレビを見ていますと、毎日毎日パレスチナの方がいじめられている、抑圧されているという映像が流れていて、イスラエルはひどいことをしているというのがアラブ、イスラム世界の共通認識で、何でこんなことがまかり通るんだというと、それはアメリカが支持しているからだと。ああ、じゃ、ビンラーディンの言うとおりだ、アメリカというのはひどい国だなということがすんなり中東の人たちの心の中に入っていくという構図があるわけで、もちろんこの問題の解決策が一朝一夜にして出てくるわけではないんですけれども、例えばクリントン大統領のときはかなりのところまでアメリカの努力の姿が見えて、そんなに状況は悪化しなかったということがあるんで、やはりこの問題をどうするかということが、これが片付けばすべて片付くという問題ではないんですけれども、かなり大きな問題かなというように思っております。
それから、イラクの情勢なんですけれども、確かにイラクという国、スンニ派、シーア派、クルド人、交ざって住んでいるところがありますから、イラクという国を割ってしまうとなればそこをだれが取るかということで大変な問題が起こってくるわけですけれども、同時に、このままではどうにもならないというのが現状でして、恐らく、まあ私の読みというのは当たったことがないんですけれど、私の読みは、民主党の大統領が出てくれば、オバマさんにしろクリントンさんにしろエドワーズさんにしろ、みんなイラクからある意味で、全面撤退とか即時撤退とかは言いませんけど、一部撤退とか段階的撤退とかいうことをおっしゃっていますから、アメリカはイラクが分裂していくという現実を受け入れざるを得ないんじゃないかなという気がします。
例えば今、台湾と中国、中華人民共和国政府と中華民国政府を見れば、もう明らかに台湾は実質上独立しているわけですけれど、みんなはそれは、台湾は独立していないというふりをして何とか世の中回っているわけで、イラクでも同じことで、クルド人、シーア派、スンニ派が三つの国に分かれて、でも一つの国のようなふりをして、だましだましやっていくということは私は可能性として十分可能なんじゃないかなというか、それ以外にオプションがなくて、結局そこに落ちていかざるを得ないんじゃないかなという、そんな印象を抱いております。
この発言だけを見る →まず、聞かれなかったことから申し上げたいんですけれども、私、実家が北九州でして、釜山と向かい合っているんですけれども、釜山に行きますともう本当に町じゅうが渋谷のように繁栄していましてどうしてかなと思わざるを得ないわけです。実は、どうしてかなと思った日本の港湾関係者がかなり多いようで、実名は出しませんけれども、ある市の港湾関係者がシンガポールの港湾関係者にコンサルを依頼して、お金を払って、どういうアドバイスがありますかといったら、シンガポール側はこうやってこうやってこうやってこうやれば日本の港も生き返りますよという案を出したら、日本側は、あっ、それは政治的にできないからもう結構ですという答えが返ってきたとシンガポールのある外務省の方がおっしゃっていましたけれども、かなりこれは政治的決断という部分があるのかなというような気がいたします。
承った質問の第一問目で、イスラムの過激派対策どうしたらいいのかということなんですけれども、まあもはや過激派になってしまった人たちは多分何をやっても心を入れ替えたりはしないと思うんで、問題はこれから過激派がどうやったら増えないかと、どうやったら過激派の宣伝が功を奏さないかということなんですけれども、いろいろあると思うんですが、一つはやはりパレスチナ問題だと思います。実際、アラビア語のアル・ジャジーラテレビを見ていますと、毎日毎日パレスチナの方がいじめられている、抑圧されているという映像が流れていて、イスラエルはひどいことをしているというのがアラブ、イスラム世界の共通認識で、何でこんなことがまかり通るんだというと、それはアメリカが支持しているからだと。ああ、じゃ、ビンラーディンの言うとおりだ、アメリカというのはひどい国だなということがすんなり中東の人たちの心の中に入っていくという構図があるわけで、もちろんこの問題の解決策が一朝一夜にして出てくるわけではないんですけれども、例えばクリントン大統領のときはかなりのところまでアメリカの努力の姿が見えて、そんなに状況は悪化しなかったということがあるんで、やはりこの問題をどうするかということが、これが片付けばすべて片付くという問題ではないんですけれども、かなり大きな問題かなというように思っております。
それから、イラクの情勢なんですけれども、確かにイラクという国、スンニ派、シーア派、クルド人、交ざって住んでいるところがありますから、イラクという国を割ってしまうとなればそこをだれが取るかということで大変な問題が起こってくるわけですけれども、同時に、このままではどうにもならないというのが現状でして、恐らく、まあ私の読みというのは当たったことがないんですけれど、私の読みは、民主党の大統領が出てくれば、オバマさんにしろクリントンさんにしろエドワーズさんにしろ、みんなイラクからある意味で、全面撤退とか即時撤退とかは言いませんけど、一部撤退とか段階的撤退とかいうことをおっしゃっていますから、アメリカはイラクが分裂していくという現実を受け入れざるを得ないんじゃないかなという気がします。
例えば今、台湾と中国、中華人民共和国政府と中華民国政府を見れば、もう明らかに台湾は実質上独立しているわけですけれど、みんなはそれは、台湾は独立していないというふりをして何とか世の中回っているわけで、イラクでも同じことで、クルド人、シーア派、スンニ派が三つの国に分かれて、でも一つの国のようなふりをして、だましだましやっていくということは私は可能性として十分可能なんじゃないかなというか、それ以外にオプションがなくて、結局そこに落ちていかざるを得ないんじゃないかなという、そんな印象を抱いております。
末
喜
喜納昌吉#17
○喜納昌吉君 新緑風会の喜納昌吉と申します。
寺島参考人にお聞きしたいんですけど、配付資料九ページのロシアのエネルギー帝国主義化は、エネルギー需給の安定化に向けて、ロシアとの関係は重大だ、深慮と正面から向き合う覚悟が求められると強調しています。誠にもっともなことと思いますが、ならば、日本にとっての長年の懸案である北方領土返還問題は、今後の対ロ外交交渉上どのように位置付けるべきなのか。領土問題を事実上、一時棚上げしてまでエネルギーの供給源をロシアに確保すべきなのか、それとも領土問題に拘泥しつつエネルギー確保を目指すのか、いずれの政策がよいのか。
また、同じ論文の十一ページ、中国への対応、省エネと環境は、中国を牽制する上で対欧関係が極めて重要との指摘があります。そのとおりですが、日本の現在の対欧外交は対米外交と比べて弱過ぎると思います。今後の対欧関係強化にどのような重点政策が必要なのか、この点で踏み込んだ意見をまず聞きたい。
そして、アメリカを国際社会から孤立させない、そして中国を国際ルールに引き込んでいくことに日本はどのような歴史的アイデンティティーと国際的ビジョンを持てばいいんでしょうか。
その流れの中で、特に沖縄の安全保障、あるいは経済、沖縄の役割はどういうものになるのか、寺島さんに聞きたいと思っています。よろしくお願いします。
それから高橋参考人には、四十八ページに、自衛隊が駐屯地としてイラク南部を選んだのは、日本の財界がイラク南部の石油開発利権の獲得を目指しているためとの見方が紹介されています。この点を掘り下げて説明してください。
〔会長退席、理事加納時男君着席〕
それからあと一つは、インターネットで流れている、九・一一はアメリカの自作自演であるということもひとつ説明していただければと思っております。よろしくお願いします。これだけです。
この発言だけを見る →寺島参考人にお聞きしたいんですけど、配付資料九ページのロシアのエネルギー帝国主義化は、エネルギー需給の安定化に向けて、ロシアとの関係は重大だ、深慮と正面から向き合う覚悟が求められると強調しています。誠にもっともなことと思いますが、ならば、日本にとっての長年の懸案である北方領土返還問題は、今後の対ロ外交交渉上どのように位置付けるべきなのか。領土問題を事実上、一時棚上げしてまでエネルギーの供給源をロシアに確保すべきなのか、それとも領土問題に拘泥しつつエネルギー確保を目指すのか、いずれの政策がよいのか。
また、同じ論文の十一ページ、中国への対応、省エネと環境は、中国を牽制する上で対欧関係が極めて重要との指摘があります。そのとおりですが、日本の現在の対欧外交は対米外交と比べて弱過ぎると思います。今後の対欧関係強化にどのような重点政策が必要なのか、この点で踏み込んだ意見をまず聞きたい。
そして、アメリカを国際社会から孤立させない、そして中国を国際ルールに引き込んでいくことに日本はどのような歴史的アイデンティティーと国際的ビジョンを持てばいいんでしょうか。
その流れの中で、特に沖縄の安全保障、あるいは経済、沖縄の役割はどういうものになるのか、寺島さんに聞きたいと思っています。よろしくお願いします。
それから高橋参考人には、四十八ページに、自衛隊が駐屯地としてイラク南部を選んだのは、日本の財界がイラク南部の石油開発利権の獲得を目指しているためとの見方が紹介されています。この点を掘り下げて説明してください。
〔会長退席、理事加納時男君着席〕
それからあと一つは、インターネットで流れている、九・一一はアメリカの自作自演であるということもひとつ説明していただければと思っております。よろしくお願いします。これだけです。
寺
寺島実郎#18
○参考人(寺島実郎君) それでは、北方領土なんですけれども、私、ワシントンに六年以上仕事をしているところに、ちょうど北方領土問題に関連して、サミットのアジェンダに、北方領土への共同宣言の中に北方領土問題を入れるかどうかというのは宮澤内閣のときの大変なテーマだったということであります。
宮澤さんはワシントンからサミットに行こうとしたときに、メディアの人たちは、ブレアハウスという彼が滞在している周りを取り巻いて、北方領土問題がサミットの共同宣言のアジェンダに入るかどうかがサミットが成功したかどうかのかぎだというような形で問い詰めて、日本は必死になって共同宣言の中に北方領土問題を入れる努力をした、事実入った。だけど、その後、じゃ、北方領土問題がサミットの共同宣言に入ったからといって何か進展があったかといったら、さっきの高橋さんのおっしゃったとおり一向に進展がなかった。
つまり、日本の外交の次元、今、ちょうど先生がおっしゃった質問のすべてに共通する、私の心の中にある問題意識なんですけど、日本の外交の次元をいい意味で進化させて上げていくという努力が我々自身にも必要だろうなと。主張する外交ということで、果敢に、うずくまっていたんでは駄目で、主張した方がいいんだという意見が最近多くて、例えばそれが拉致問題であったりあるいは北方領土問題であったり、主張する外交は大変重要なんですけれども、それを国際社会の中で思い込みだとか偏狭な自己主張だというふうに取られられない努力というのが物すごく重要だと思うんですね。
したがって、拉致問題を主張することが日本外交の目的みたいになったんではいけないんで、やはり東アジアの安定だとか、あるいは世界の大きな新しいルールづくりですね、様々な意味での。つまり、分かりやすく言うと、国境を越えた組織犯罪のようなテロだとか人道に対する犯罪を歴史の中でどういうふうに処理していくんだと。
ようやく僕も実はほっとしているんですけれども、ICCのような、国際刑事裁判所のような仕組みに日本もようやく入るという方向に踏み込んできたということが僕は一つのポジティブな状況だと思いますけれども、そういうたぐいのことに、要するに、世界の問題解決の仕組みに対して日本が貢献するというところから自己主張しないと、北方領土の問題も、あるいは拉致の問題も、ひたすら目が真っ赤になって主張しているけれども、その場では理解と共感を示してくれたとしても、解決のための仕組みが見えてこないというもがきの中に落ち込んでいくと思うんですね。
したがって、私が申し上げたいのは、ここは日本外交の次元を一つ上げて、二十一世紀の世界秩序というのはどうあるべきなのか。例えば、核の拡散についてどういうルールをもって対応していくべきなのか、IAEAにどういう視点でかかわっていくべきなのかという、そういう視点からの外交の構想力というものが問われてくるんじゃないかと。それがおっしゃった話のすべてにつながる僕は問題意識です。
それで、その中で沖縄の話に触れられたわけですけれども、沖縄が日本の防衛、安全保障の矛盾が集約している地域になっているということに関連して、先ほど申し上げたような問題意識が正につながるんですけれども、アメリカの方がはるかに柔らかい日米間の例えば同盟関係の将来の選択肢について議論しているということを、僕はここのところワシントンに行っていろんな人と議論して痛感するんですね。
どういう意味かというと、例えばハワイ、グアムの線までいわゆる前方展開兵力を引き下げたとしても、日本が日米安保の仕組みを柔らかく再設計して、六千五百億円ぐらい負担している駐留米軍経費を例えばある期間負担してくれれば、いわゆる緊急派遣軍的な対応で東アジアの安全保障のために日米の安保体制というものを柔らかく再設計するような構想というのはどうだろうかなんて質問を受けたりすることがあるんですけれども。
それは何を言いたいかというと、ホスト・ネーション・サポートで駐留米軍経費の七割をホスト・ネーションである日本側が負担しているなんていう仕組みはアメリカにとってはまれに見る条件の海外基地ですから、軍のビューロクラットという発想からすれば、できるだけそれを日本に展開しておきたいという気持ちを持つのは理の当然なんですけれども、そこを、今僕が申し上げたような、ピンを外して柔らかく考え直して、沖縄の基地を段階的に縮小していっても東アジアに軍事的な空白が起こらないような仕組みを構想できないだろうかというようなことで、例えば日米安保の将来を柔らかく検討し直すだとか、そういう柔らかい議論というのが日米の戦略的対話という中で行われるような状況を作り出していかなければいけないんじゃないかというのが一つの問題意識です。
〔理事加納時男君退席、会長着席〕
それと同時に、沖縄の産業ということでいえば、東アジア連携にとって沖縄のロケーションというのは非常に魅力的なところにありますので、いろんな意味合いにおいて、産業論的視点からいっても、今後、例えば金融だとか、あるいは省エネルギーに関する技術協力の基点だとか、そういう意味合いにおいて沖縄が果たしていくべき役割あるいは果たせる役割は大変に大きいと思っていまして、そういう枠組みの構想というものの議論にもいろんな形で参画しておりますので、沖縄は大変関心の中にあるということだけ申し上げて、トータルにパッケージにしてお答えしちゃいましたけれども、私の答えとさせていただきたいと思います。
この発言だけを見る →宮澤さんはワシントンからサミットに行こうとしたときに、メディアの人たちは、ブレアハウスという彼が滞在している周りを取り巻いて、北方領土問題がサミットの共同宣言のアジェンダに入るかどうかがサミットが成功したかどうかのかぎだというような形で問い詰めて、日本は必死になって共同宣言の中に北方領土問題を入れる努力をした、事実入った。だけど、その後、じゃ、北方領土問題がサミットの共同宣言に入ったからといって何か進展があったかといったら、さっきの高橋さんのおっしゃったとおり一向に進展がなかった。
つまり、日本の外交の次元、今、ちょうど先生がおっしゃった質問のすべてに共通する、私の心の中にある問題意識なんですけど、日本の外交の次元をいい意味で進化させて上げていくという努力が我々自身にも必要だろうなと。主張する外交ということで、果敢に、うずくまっていたんでは駄目で、主張した方がいいんだという意見が最近多くて、例えばそれが拉致問題であったりあるいは北方領土問題であったり、主張する外交は大変重要なんですけれども、それを国際社会の中で思い込みだとか偏狭な自己主張だというふうに取られられない努力というのが物すごく重要だと思うんですね。
したがって、拉致問題を主張することが日本外交の目的みたいになったんではいけないんで、やはり東アジアの安定だとか、あるいは世界の大きな新しいルールづくりですね、様々な意味での。つまり、分かりやすく言うと、国境を越えた組織犯罪のようなテロだとか人道に対する犯罪を歴史の中でどういうふうに処理していくんだと。
ようやく僕も実はほっとしているんですけれども、ICCのような、国際刑事裁判所のような仕組みに日本もようやく入るという方向に踏み込んできたということが僕は一つのポジティブな状況だと思いますけれども、そういうたぐいのことに、要するに、世界の問題解決の仕組みに対して日本が貢献するというところから自己主張しないと、北方領土の問題も、あるいは拉致の問題も、ひたすら目が真っ赤になって主張しているけれども、その場では理解と共感を示してくれたとしても、解決のための仕組みが見えてこないというもがきの中に落ち込んでいくと思うんですね。
したがって、私が申し上げたいのは、ここは日本外交の次元を一つ上げて、二十一世紀の世界秩序というのはどうあるべきなのか。例えば、核の拡散についてどういうルールをもって対応していくべきなのか、IAEAにどういう視点でかかわっていくべきなのかという、そういう視点からの外交の構想力というものが問われてくるんじゃないかと。それがおっしゃった話のすべてにつながる僕は問題意識です。
それで、その中で沖縄の話に触れられたわけですけれども、沖縄が日本の防衛、安全保障の矛盾が集約している地域になっているということに関連して、先ほど申し上げたような問題意識が正につながるんですけれども、アメリカの方がはるかに柔らかい日米間の例えば同盟関係の将来の選択肢について議論しているということを、僕はここのところワシントンに行っていろんな人と議論して痛感するんですね。
どういう意味かというと、例えばハワイ、グアムの線までいわゆる前方展開兵力を引き下げたとしても、日本が日米安保の仕組みを柔らかく再設計して、六千五百億円ぐらい負担している駐留米軍経費を例えばある期間負担してくれれば、いわゆる緊急派遣軍的な対応で東アジアの安全保障のために日米の安保体制というものを柔らかく再設計するような構想というのはどうだろうかなんて質問を受けたりすることがあるんですけれども。
それは何を言いたいかというと、ホスト・ネーション・サポートで駐留米軍経費の七割をホスト・ネーションである日本側が負担しているなんていう仕組みはアメリカにとってはまれに見る条件の海外基地ですから、軍のビューロクラットという発想からすれば、できるだけそれを日本に展開しておきたいという気持ちを持つのは理の当然なんですけれども、そこを、今僕が申し上げたような、ピンを外して柔らかく考え直して、沖縄の基地を段階的に縮小していっても東アジアに軍事的な空白が起こらないような仕組みを構想できないだろうかというようなことで、例えば日米安保の将来を柔らかく検討し直すだとか、そういう柔らかい議論というのが日米の戦略的対話という中で行われるような状況を作り出していかなければいけないんじゃないかというのが一つの問題意識です。
〔理事加納時男君退席、会長着席〕
それと同時に、沖縄の産業ということでいえば、東アジア連携にとって沖縄のロケーションというのは非常に魅力的なところにありますので、いろんな意味合いにおいて、産業論的視点からいっても、今後、例えば金融だとか、あるいは省エネルギーに関する技術協力の基点だとか、そういう意味合いにおいて沖縄が果たしていくべき役割あるいは果たせる役割は大変に大きいと思っていまして、そういう枠組みの構想というものの議論にもいろんな形で参画しておりますので、沖縄は大変関心の中にあるということだけ申し上げて、トータルにパッケージにしてお答えしちゃいましたけれども、私の答えとさせていただきたいと思います。
高
高橋和夫#19
○参考人(高橋和夫君) 自衛隊がなぜサマワを選んだかという点に関しては、私は何かいろいろ疑問に思う点があって、いろいろ聞いて回って今いるところです。
実は、非常に書き方が、一部にはこういった、石油が欲しいからここを選んだという見方も一部では存在している。で、私には確認できないと引いた書き方をしているのは確認が取れないからで、お名前は出せませんけど、財界とか石油専門の方で、自衛隊は南部に行くべきだとおっしゃっている方がいらしたというのは事実なんですけれど。
実際、最近何人かのこの決断にかかわった外交官の方のお話を聞きましたけれど、受けた説明は、アラブ人の地域で活動したかったと。だから、安全なクルド人の地域では行く意味がないというか、クルド人でなくてアラブ人のために活動したかったということと、もう一つは、アメリカからの打診はバグダッドはどうかという、非常に危険な地域が打診されたんで、自衛隊の隊員の安全を守りやすいサマワということで選んだんだということで、石油のセの字も実は出てこないんですね。だからといって、石油がなかったのかどうかというのはまだ申し上げることはできないんですけれど、石油が理由であるというのは言えないというところでございます。
それから、九月十一日のテロが、二〇〇一年アメリカでの同時多発テロ直後から、アラブ系のメディアを始め、あれはユダヤ人が仕組んだんだとかアメリカ政府が仕組んだんだと、アメリカは戦争をしたいからああいうのをでっち上げたんだと。インターネットを見ると今でも結構流れていますけれど、基本的には私は自作自演説は取りません。
というのは、アメリカというのはいろんな問題を抱えた国ではありますけれど、あんなひどいことをして隠し通せるほど密な社会ではなくて、議会もあるし新聞記者もいるし、どこかでだれかがしゃべってしまうんで、あれほどの事件を政府がやって、で、戦争の言い訳にしたという説は実は取らないわけです。
実は、ただ、この説非常に広く流布していまして、いろんなところで講演なんかしますと、でも、あれはアメリカが自分でやったんでしょうというような質問をかなり受けます。ユダヤ人は一人も死ななかったんでしょうとか、ユダヤ人はあの日は一人も出勤してないんでしょうというような質問を受けるんですけど、ただ実際ニューヨークに行って追悼式典を見ますと、もちろん、ユダヤ人のお父さん、お母さんが息子の名を呼んで泣き暮れるというシーンはありますし、この陰謀説を主張する方は本当に亡くなった三千名の方に一人もユダヤ人がいなかったということを証明する義務があると思うんですけれど、そんなことをなさる方は一人もいないということで、結論は同じです。この説は私は取りません。
この発言だけを見る →実は、非常に書き方が、一部にはこういった、石油が欲しいからここを選んだという見方も一部では存在している。で、私には確認できないと引いた書き方をしているのは確認が取れないからで、お名前は出せませんけど、財界とか石油専門の方で、自衛隊は南部に行くべきだとおっしゃっている方がいらしたというのは事実なんですけれど。
実際、最近何人かのこの決断にかかわった外交官の方のお話を聞きましたけれど、受けた説明は、アラブ人の地域で活動したかったと。だから、安全なクルド人の地域では行く意味がないというか、クルド人でなくてアラブ人のために活動したかったということと、もう一つは、アメリカからの打診はバグダッドはどうかという、非常に危険な地域が打診されたんで、自衛隊の隊員の安全を守りやすいサマワということで選んだんだということで、石油のセの字も実は出てこないんですね。だからといって、石油がなかったのかどうかというのはまだ申し上げることはできないんですけれど、石油が理由であるというのは言えないというところでございます。
それから、九月十一日のテロが、二〇〇一年アメリカでの同時多発テロ直後から、アラブ系のメディアを始め、あれはユダヤ人が仕組んだんだとかアメリカ政府が仕組んだんだと、アメリカは戦争をしたいからああいうのをでっち上げたんだと。インターネットを見ると今でも結構流れていますけれど、基本的には私は自作自演説は取りません。
というのは、アメリカというのはいろんな問題を抱えた国ではありますけれど、あんなひどいことをして隠し通せるほど密な社会ではなくて、議会もあるし新聞記者もいるし、どこかでだれかがしゃべってしまうんで、あれほどの事件を政府がやって、で、戦争の言い訳にしたという説は実は取らないわけです。
実は、ただ、この説非常に広く流布していまして、いろんなところで講演なんかしますと、でも、あれはアメリカが自分でやったんでしょうというような質問をかなり受けます。ユダヤ人は一人も死ななかったんでしょうとか、ユダヤ人はあの日は一人も出勤してないんでしょうというような質問を受けるんですけど、ただ実際ニューヨークに行って追悼式典を見ますと、もちろん、ユダヤ人のお父さん、お母さんが息子の名を呼んで泣き暮れるというシーンはありますし、この陰謀説を主張する方は本当に亡くなった三千名の方に一人もユダヤ人がいなかったということを証明する義務があると思うんですけれど、そんなことをなさる方は一人もいないということで、結論は同じです。この説は私は取りません。
谷
谷合正明#20
○谷合正明君 公明党の谷合です。
寺島、高橋両参考人に同じ質問をさせていただきます。それは、中東のイランの情勢についてでございます。
言うまでもなく、我が国の原油の九〇%以上が中東から来ているというわけでございまして、特に経済的にもあるいは外交史的にも、このイラン情勢について我が国が的確に正確にとらえていくことは非常に大事であろうと思っております。
アメリカが対イランに対して空爆をするのではないかという、うわさというか話はインターネットの世界でも、今月、四月にもあるんじゃないかというのはよく流れている話でございます。仮にあったとすれば、日本というのは非常にこのイラク戦争以上のもののインパクトは日本にあるということはどの方もおっしゃるわけでございます。
しかしながら、常識的にはイラン攻撃というのはないと見るのが常識なのかなと私は思っております。アメリカもイラクに対して今、実際米軍がこれほどまでにうまくコントロールできてないという状況もありますし、イランに対して攻撃するのが、アメリカにとってそれがデメリットの方が大きいだろうと私も思うわけでありますが、しかし攻撃がないとはいえ危機は高まるであろうと。例えば、先月も英兵が拘束されるという事案もございました。そういう危機は実際今でもあるでしょうし、これからも高まるかもしれない。
そういったときに日本はどういう対応をするのかということなんですが、まずお二人に聞きたいのは、イランへの核施設の空爆の可能性というのはどのように認識されているのかということと、我が国が対アメリカ、そして対イランに対して具体的にどういうことをするのが大事なのかという点について御見解を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →寺島、高橋両参考人に同じ質問をさせていただきます。それは、中東のイランの情勢についてでございます。
言うまでもなく、我が国の原油の九〇%以上が中東から来ているというわけでございまして、特に経済的にもあるいは外交史的にも、このイラン情勢について我が国が的確に正確にとらえていくことは非常に大事であろうと思っております。
アメリカが対イランに対して空爆をするのではないかという、うわさというか話はインターネットの世界でも、今月、四月にもあるんじゃないかというのはよく流れている話でございます。仮にあったとすれば、日本というのは非常にこのイラク戦争以上のもののインパクトは日本にあるということはどの方もおっしゃるわけでございます。
しかしながら、常識的にはイラン攻撃というのはないと見るのが常識なのかなと私は思っております。アメリカもイラクに対して今、実際米軍がこれほどまでにうまくコントロールできてないという状況もありますし、イランに対して攻撃するのが、アメリカにとってそれがデメリットの方が大きいだろうと私も思うわけでありますが、しかし攻撃がないとはいえ危機は高まるであろうと。例えば、先月も英兵が拘束されるという事案もございました。そういう危機は実際今でもあるでしょうし、これからも高まるかもしれない。
そういったときに日本はどういう対応をするのかということなんですが、まずお二人に聞きたいのは、イランへの核施設の空爆の可能性というのはどのように認識されているのかということと、我が国が対アメリカ、そして対イランに対して具体的にどういうことをするのが大事なのかという点について御見解を伺いたいと思います。
寺
寺島実郎#21
○参考人(寺島実郎君) 私、このイラン問題には大変深く、人生を左右されるぐらいかかわってきていまして、七九年のいわゆるイラン革命、ホメイニ革命が起こった後、私が長いことかかわってきた三井グループがイランで巨大な石油化学のプロジェクトを展開していて、これはもうカントリーリスクの典型的なプロジェクトとして、ハーバード・ビジネススクールでも革命と戦争に襲われたのろわれたようなプロジェクトというケーススタディーになっているわけですけれども、その関連でもってずっとイラン問題、ウオッチしてきていますけれども、一言で言うとこういうことだと思うんですね。
アメリカの中東における最も大切な同盟国であるサウジアラビアとイスラエルにとっても、アメリカが今イラクでやっていることというのは、ぎょっとなるような、腰が引けるような展開になってきたわけですね。
どういう意味かというと、アメリカが何とシーア派のイラクをつくろうとしているというか、サウジアラビアにしてみれば、イラン・イラク戦争のときにサダム・フセインを後ろから応援してまで向き合っていたイランが、つまりシーア派主導のイランが、限りなく影響力を高めていくイラクを何とアメリカがつくろうとしているというパラドックスに映るといいますか、したがって、今、アメリカとサウジアラビアの関係、もう非常に複雑になってきています。
二十二年間ワシントンでサウジアラビアの大使をしていたバンダラ王子というのが約十六、七か月前にアメリカから戻ったんですけれども、二十二年ぶりに。新たに赴任した大使がわずか十五か月で帰任するなんというようなことが起こって、つまりサウジにしてみれば、ペルシャ湾の北側に巨大なシーア派のゾーンをつくろうとしているアメリカみたいに見えると。
アメリカはつまり今何をやろうとしているかというと、限りなくイランの影響力を抑えながらシーア派主導のマリキ政権を支えていかなければいけないという複雑なゲームになっちゃっているわけですね。そうなると、イランの影響力を抑えるときの最大のポイントが、イランが国際社会に突き付けてきているのが北朝鮮と同じように核というカードなわけですけれども、この核というきばを抜く必要があると。そのためには、シンボリックにこの核施設を攻撃するというようなことさえ考えられるというのがおっしゃっている文脈の背景にあるストーリーなんですけれども。
気を付けなきゃいけないのは、七九年にイラン革命が起こって以来、テヘランのアメリカ大使館が占拠されていた事件というのを思い出されると思いますけれども、アメリカはイランとの正式な国交関係を一切持たずに今日まで来ています。そこから日本とイランの関係とアメリカとイランの関係の違いがあるわけですけれども、今日現在も日本はイランに堂道大使を始めとする正式の大使館をずっとこの間も配置し続け、国交を保ってきています。ビジネスの分野でもイランに対して張り出しています。
そういう流れの中で、事イランに関する情報についていえば、ワシントンでいろんな人と議論して感じますけれども、日本のイランに関する情報の厚みというのは大変なものなんですね。したがって、イランとアメリカとの関係の中で日本が果たし得るし、果たさなければいけない役割というのは大変にあるというふうに僕は思います。
そういう中で、正におっしゃったように、イランというものが核施設攻撃なんというものを受けるなんということの事態が起これば、僕も、おっしゃるとおり、蓋然性としては九割九分あってはならないし、ないシナリオだろうと思うのです。だけれども、アメリカのイランに対する、ペンタゴンのちょっと屈折した気持ちというのは、七九年の後に人質救出作戦に失敗して以来、驚くほどイランに対する憎悪と屈折した怒りみたいなものを共有していますから、冷静な判断ができるかどうかということは疑問な部分が残ります。
そういう意味で日本が果たす役割も大きいという意味なんですけれども、ペルシャ湾とかホルムズ海峡ということになってくると、日本の国民の多くはイラク問題は若干対岸の火事的な部分もあったわけですけれども、イランということになるとそういうわけにはいかないということで、俄然、中東に対する石油依存度の高さがペルシャ湾、ホルムズ海峡ということになると日本にとって大きくのし掛かってくると。したがって、このシナリオを避けるための努力、それから中東に新しい秩序を回復するための努力というのが大変求められると。
その文脈の中で安倍さんもこのゴールデンウイークに掛けて行かれるんだろうというふうに認識していますけれども、その際、一言だけ申し上げたいのは、アメリカと利害を共有して中東問題にかかわるという選択肢を取るのか、アメリカともある種の適切な距離感を取りながら日本独自のスタンスで中東というものとかかわるのかというのを僕は世界は注目しているだろうというふうに思います。アメリカとの関係も大事にしながら、中東に対して日本が蓄積してきた今までの良好な関係というものをどう生かすのかがかぎになるだろうというふうに思います。
この発言だけを見る →アメリカの中東における最も大切な同盟国であるサウジアラビアとイスラエルにとっても、アメリカが今イラクでやっていることというのは、ぎょっとなるような、腰が引けるような展開になってきたわけですね。
どういう意味かというと、アメリカが何とシーア派のイラクをつくろうとしているというか、サウジアラビアにしてみれば、イラン・イラク戦争のときにサダム・フセインを後ろから応援してまで向き合っていたイランが、つまりシーア派主導のイランが、限りなく影響力を高めていくイラクを何とアメリカがつくろうとしているというパラドックスに映るといいますか、したがって、今、アメリカとサウジアラビアの関係、もう非常に複雑になってきています。
二十二年間ワシントンでサウジアラビアの大使をしていたバンダラ王子というのが約十六、七か月前にアメリカから戻ったんですけれども、二十二年ぶりに。新たに赴任した大使がわずか十五か月で帰任するなんというようなことが起こって、つまりサウジにしてみれば、ペルシャ湾の北側に巨大なシーア派のゾーンをつくろうとしているアメリカみたいに見えると。
アメリカはつまり今何をやろうとしているかというと、限りなくイランの影響力を抑えながらシーア派主導のマリキ政権を支えていかなければいけないという複雑なゲームになっちゃっているわけですね。そうなると、イランの影響力を抑えるときの最大のポイントが、イランが国際社会に突き付けてきているのが北朝鮮と同じように核というカードなわけですけれども、この核というきばを抜く必要があると。そのためには、シンボリックにこの核施設を攻撃するというようなことさえ考えられるというのがおっしゃっている文脈の背景にあるストーリーなんですけれども。
気を付けなきゃいけないのは、七九年にイラン革命が起こって以来、テヘランのアメリカ大使館が占拠されていた事件というのを思い出されると思いますけれども、アメリカはイランとの正式な国交関係を一切持たずに今日まで来ています。そこから日本とイランの関係とアメリカとイランの関係の違いがあるわけですけれども、今日現在も日本はイランに堂道大使を始めとする正式の大使館をずっとこの間も配置し続け、国交を保ってきています。ビジネスの分野でもイランに対して張り出しています。
そういう流れの中で、事イランに関する情報についていえば、ワシントンでいろんな人と議論して感じますけれども、日本のイランに関する情報の厚みというのは大変なものなんですね。したがって、イランとアメリカとの関係の中で日本が果たし得るし、果たさなければいけない役割というのは大変にあるというふうに僕は思います。
そういう中で、正におっしゃったように、イランというものが核施設攻撃なんというものを受けるなんということの事態が起これば、僕も、おっしゃるとおり、蓋然性としては九割九分あってはならないし、ないシナリオだろうと思うのです。だけれども、アメリカのイランに対する、ペンタゴンのちょっと屈折した気持ちというのは、七九年の後に人質救出作戦に失敗して以来、驚くほどイランに対する憎悪と屈折した怒りみたいなものを共有していますから、冷静な判断ができるかどうかということは疑問な部分が残ります。
そういう意味で日本が果たす役割も大きいという意味なんですけれども、ペルシャ湾とかホルムズ海峡ということになってくると、日本の国民の多くはイラク問題は若干対岸の火事的な部分もあったわけですけれども、イランということになるとそういうわけにはいかないということで、俄然、中東に対する石油依存度の高さがペルシャ湾、ホルムズ海峡ということになると日本にとって大きくのし掛かってくると。したがって、このシナリオを避けるための努力、それから中東に新しい秩序を回復するための努力というのが大変求められると。
その文脈の中で安倍さんもこのゴールデンウイークに掛けて行かれるんだろうというふうに認識していますけれども、その際、一言だけ申し上げたいのは、アメリカと利害を共有して中東問題にかかわるという選択肢を取るのか、アメリカともある種の適切な距離感を取りながら日本独自のスタンスで中東というものとかかわるのかというのを僕は世界は注目しているだろうというふうに思います。アメリカとの関係も大事にしながら、中東に対して日本が蓄積してきた今までの良好な関係というものをどう生かすのかがかぎになるだろうというふうに思います。
高
高橋和夫#22
○参考人(高橋和夫君) 答えのない質問をありがとうございました。
やはり常識的に考えるとアメリカがイランを爆撃するというのは想定しにくいんですけれど、ですけれど、実際今ワシントンでいろんな人とお話ししますと、いや、もうアメリカはイラン爆撃できないよというのがコンセンサスですけれど、コンセンサスに乗っていない方が二人いて、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領で、外交政策を決めるのはこの二人ですから、コンセンサスがあっても残念ながらその可能性は全然ないとは言い切れないと。可能性は高くはないが、否定はできないというところだと思います。
そういう中で、やはり最近のブッシュ政権が言っていること、やっていることを見てみますと、一月の議会でのブッシュ大統領の新イラク政策の発表というのがありましたけれど、イラク政策に関しては三万人増派するという以外に何の新しさもなくて、新しかったのはこの地域にパトリオットミサイルの部隊を派遣するということで、アルカイダにしろ、スンニ派にしろ、シーア派にしろ、クルド人にしろ、アメリカと敵対しそうな人で弾道ミサイルを持っている人はだれもいないわけで、弾道ミサイルが必要なのは対イラン戦略でしかないわけで、突然イラク政策の中にパトリオットミサイルを持っていくと言うからにはアメリカはイラン攻撃の準備をしていると考えざるを得ないというのがイラン専門家の間に走った衝撃です。
私が見るところ、現在航空母艦が二隻展開されています。一月に川崎汽船のタンカーがペルシャ湾のホルムズ海峡付近でアメリカの潜水艦と衝突するという事故が起こりました。あの潜水艦はソマリア情勢が緊張しているからだという説明があったんですけれど、ペルシャ湾というのはソマリアから見るとあさっての方向で、ソマリアのために行ったはずがないんで、潜水艦が行った理由はアメリカの航空母艦を守るため、あるいは巡航ミサイルを積んで、サウジアラビアやカタール、クウェート、バハレーンの基地を使わずにイランを攻撃する準備をするために派遣されていたと読む方が自然だと思います。台所にゴキブリが一匹いたら何十匹もいるといいますけど、潜水艦が一隻ぶつかったということは何十隻も沈んでいると考える方が常識的でして、アメリカは戦争をすると決めたわけでもないとは思いますけれど、いざやると決めたときに道具立てが足りないということだけはないようにという、準備だけはしておこう、宿題だけはしておこうという状況だと思います。
こうした中で日本はどうするのかということなんですけど、基本的には、イランに対しては、ウラン濃縮というのは国際社会の猜疑心をあおるだけでイランの国益にはならないと説得し続けるしかないですし、アメリカに対しては、イラン爆撃というのはそれは解決策ではなくて新しい問題を生み出すだけですよと言うしかないんで、この厳しい作業を外交当局にはお願いするしかないと思います。ただ、状況は本当に厳しくて、イランはウラン濃縮はやめないと言っていますし、アメリカはそれは許さないと言っているわけです。
ブッシュ大統領、チェイニー副大統領がそう言っているばかりではなくて、ヒラリー・クリントンにしろ、オバマさんにしろ、あるいはエドワーズ氏の民主党の三大有力大統領候補はみんなイランの核保有は許さないと言っていて、軍事オプションは取り下げないと言っています。
つい最近の一番大きな事件は、共和党のタカ派でイラク政策を支持しているマケイン上院議員が、一部では報道されましたけれど、イランをどうするんだと言ったときに、バーバラ・アンというビーチボーイズの大昔のヒット曲を歌います。バーバラ・アン、バーバラ・アン、バーバラ・アンを早く言うとボム・イラン、ボム・イラン、ボム・イランと、イランを爆撃しろに聞こえるわけで、マケインは冗談を言ったつもりなんですけれど、イラン人は冗談に取らないと思います。
よく覚えているのは、一九八〇年代初めに、レーガン大統領が大統領になったときにマイクが切れているものだと思って、今ソ連を攻撃する命令を出しました、五分後にアメリカ軍がソ連を爆撃開始しますと冗談を言ったら、それがそのまま流れて、ソ連側は本当にアメリカが攻撃してくるんではないかとおびえたという事件がありますけれど、こうした、何というか、アメリカ人の不注意な発言は不愉快で危険ではあるんですけれど、同時に、アメリカ人の心理にある、イランを攻撃するというオプションは常にあるんだというやっぱり心の風景が表に出た場面だったと思うわけです。
そういう意味では私も寺島さんと同じ意見で、可能性は高くはないけれど否定できないという立場を取っております。
この発言だけを見る →やはり常識的に考えるとアメリカがイランを爆撃するというのは想定しにくいんですけれど、ですけれど、実際今ワシントンでいろんな人とお話ししますと、いや、もうアメリカはイラン爆撃できないよというのがコンセンサスですけれど、コンセンサスに乗っていない方が二人いて、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領で、外交政策を決めるのはこの二人ですから、コンセンサスがあっても残念ながらその可能性は全然ないとは言い切れないと。可能性は高くはないが、否定はできないというところだと思います。
そういう中で、やはり最近のブッシュ政権が言っていること、やっていることを見てみますと、一月の議会でのブッシュ大統領の新イラク政策の発表というのがありましたけれど、イラク政策に関しては三万人増派するという以外に何の新しさもなくて、新しかったのはこの地域にパトリオットミサイルの部隊を派遣するということで、アルカイダにしろ、スンニ派にしろ、シーア派にしろ、クルド人にしろ、アメリカと敵対しそうな人で弾道ミサイルを持っている人はだれもいないわけで、弾道ミサイルが必要なのは対イラン戦略でしかないわけで、突然イラク政策の中にパトリオットミサイルを持っていくと言うからにはアメリカはイラン攻撃の準備をしていると考えざるを得ないというのがイラン専門家の間に走った衝撃です。
私が見るところ、現在航空母艦が二隻展開されています。一月に川崎汽船のタンカーがペルシャ湾のホルムズ海峡付近でアメリカの潜水艦と衝突するという事故が起こりました。あの潜水艦はソマリア情勢が緊張しているからだという説明があったんですけれど、ペルシャ湾というのはソマリアから見るとあさっての方向で、ソマリアのために行ったはずがないんで、潜水艦が行った理由はアメリカの航空母艦を守るため、あるいは巡航ミサイルを積んで、サウジアラビアやカタール、クウェート、バハレーンの基地を使わずにイランを攻撃する準備をするために派遣されていたと読む方が自然だと思います。台所にゴキブリが一匹いたら何十匹もいるといいますけど、潜水艦が一隻ぶつかったということは何十隻も沈んでいると考える方が常識的でして、アメリカは戦争をすると決めたわけでもないとは思いますけれど、いざやると決めたときに道具立てが足りないということだけはないようにという、準備だけはしておこう、宿題だけはしておこうという状況だと思います。
こうした中で日本はどうするのかということなんですけど、基本的には、イランに対しては、ウラン濃縮というのは国際社会の猜疑心をあおるだけでイランの国益にはならないと説得し続けるしかないですし、アメリカに対しては、イラン爆撃というのはそれは解決策ではなくて新しい問題を生み出すだけですよと言うしかないんで、この厳しい作業を外交当局にはお願いするしかないと思います。ただ、状況は本当に厳しくて、イランはウラン濃縮はやめないと言っていますし、アメリカはそれは許さないと言っているわけです。
ブッシュ大統領、チェイニー副大統領がそう言っているばかりではなくて、ヒラリー・クリントンにしろ、オバマさんにしろ、あるいはエドワーズ氏の民主党の三大有力大統領候補はみんなイランの核保有は許さないと言っていて、軍事オプションは取り下げないと言っています。
つい最近の一番大きな事件は、共和党のタカ派でイラク政策を支持しているマケイン上院議員が、一部では報道されましたけれど、イランをどうするんだと言ったときに、バーバラ・アンというビーチボーイズの大昔のヒット曲を歌います。バーバラ・アン、バーバラ・アン、バーバラ・アンを早く言うとボム・イラン、ボム・イラン、ボム・イランと、イランを爆撃しろに聞こえるわけで、マケインは冗談を言ったつもりなんですけれど、イラン人は冗談に取らないと思います。
よく覚えているのは、一九八〇年代初めに、レーガン大統領が大統領になったときにマイクが切れているものだと思って、今ソ連を攻撃する命令を出しました、五分後にアメリカ軍がソ連を爆撃開始しますと冗談を言ったら、それがそのまま流れて、ソ連側は本当にアメリカが攻撃してくるんではないかとおびえたという事件がありますけれど、こうした、何というか、アメリカ人の不注意な発言は不愉快で危険ではあるんですけれど、同時に、アメリカ人の心理にある、イランを攻撃するというオプションは常にあるんだというやっぱり心の風景が表に出た場面だったと思うわけです。
そういう意味では私も寺島さんと同じ意見で、可能性は高くはないけれど否定できないという立場を取っております。
大
大門実紀史#23
○大門実紀史君 今日は、お忙しいところ、ありがとうございます。日本共産党の大門です。ちょっと経済のことに絞ってお聞きしたいと思います。
寺島参考人にお伺いしますけど、私もアジア、特に東アジアでの連携というのはもう必要、必然だと思っております。参考人のレジュメの一番最後のところをもう少し聞きたかったんですけれども、東アジア共同体との関係ですが、一つだけ、もう時間がないんでお聞きしますけど、この中に、金融での協力、東アジア共同体への段階的接近法というところがありまして、金融等々書いてございます。
先ほどもありましたけれども、マネー経済化している中で、この金融抜きにこういう連携とか協力はもうあり得ないと思っているんですけれども、ただ、実際には、日本も、先ほどのレジュメにもありましたけど、アメリカの米国債を買っている、中国もこの間増やしていると。マネーはやっぱりアメリカに流れているという関係がございますね。その一方で、日本の財務省も頑張って、チェンマイ・イニシアチブとかアジア債券市場というのもまた一方でやっています。
お聞きしたいのは、やっぱりこの為替問題がネックになって、外貨準備でドルを買っちゃいますと売るに売れないと。売ると円高になってしまうと。このくびきを付けられての中でどうやっていけばこの金融面といいますか、アジア資金がアジアの中に還流していくという、もちろん実体経済が膨らめばというのもあると思いますが、金融的にといいますか、為替的にどの方向に進めばそういうことが可能になるのかなと。例えば通貨協力とか、そういうことを進めれば方向が見えてくるのかどうか、御所見があれば伺いたいと思います。
高橋参考人には、これもちょっと素朴な疑問なんですけれども、素朴なお聞きしたいことなんですが、九・一一の前に既にブッシュ・ドクトリンとかアメリカのネオコンの人たちは、中東のイスラム社会に金融も含めたグローバリゼーション、マーケット、市場経済を広げるんだということを言っておりました。
ただ、中東のイスラムの世界というのは非常に原理的なところがありまして、コーランでは金利を、利息を取っちゃいけないとか、いろいろございますよね。文化の問題がございますよね。本当に中東のイスラム社会でそういうグローバルな市場経済というのは浸透していくものなのかどうか、常々疑問に思っているんですけど、お詳しいと思いますのでお聞きしたいというふうに思います。
以上です。
この発言だけを見る →寺島参考人にお伺いしますけど、私もアジア、特に東アジアでの連携というのはもう必要、必然だと思っております。参考人のレジュメの一番最後のところをもう少し聞きたかったんですけれども、東アジア共同体との関係ですが、一つだけ、もう時間がないんでお聞きしますけど、この中に、金融での協力、東アジア共同体への段階的接近法というところがありまして、金融等々書いてございます。
先ほどもありましたけれども、マネー経済化している中で、この金融抜きにこういう連携とか協力はもうあり得ないと思っているんですけれども、ただ、実際には、日本も、先ほどのレジュメにもありましたけど、アメリカの米国債を買っている、中国もこの間増やしていると。マネーはやっぱりアメリカに流れているという関係がございますね。その一方で、日本の財務省も頑張って、チェンマイ・イニシアチブとかアジア債券市場というのもまた一方でやっています。
お聞きしたいのは、やっぱりこの為替問題がネックになって、外貨準備でドルを買っちゃいますと売るに売れないと。売ると円高になってしまうと。このくびきを付けられての中でどうやっていけばこの金融面といいますか、アジア資金がアジアの中に還流していくという、もちろん実体経済が膨らめばというのもあると思いますが、金融的にといいますか、為替的にどの方向に進めばそういうことが可能になるのかなと。例えば通貨協力とか、そういうことを進めれば方向が見えてくるのかどうか、御所見があれば伺いたいと思います。
高橋参考人には、これもちょっと素朴な疑問なんですけれども、素朴なお聞きしたいことなんですが、九・一一の前に既にブッシュ・ドクトリンとかアメリカのネオコンの人たちは、中東のイスラム社会に金融も含めたグローバリゼーション、マーケット、市場経済を広げるんだということを言っておりました。
ただ、中東のイスラムの世界というのは非常に原理的なところがありまして、コーランでは金利を、利息を取っちゃいけないとか、いろいろございますよね。文化の問題がございますよね。本当に中東のイスラム社会でそういうグローバルな市場経済というのは浸透していくものなのかどうか、常々疑問に思っているんですけど、お詳しいと思いますのでお聞きしたいというふうに思います。
以上です。
寺
寺島実郎#24
○参考人(寺島実郎君) 金融ということでいえば、最近実感しているのが、世界の金融、大きく流れ変わってきていると。一つは、ロシアのオイルマネーと中東のオイルマネーがアメリカ及び欧州、特にロンドンの金融市場に流れ込んでいて、それが必要以上のドル高とかあるいはポンド高というものの背景にある構図になっていると。
それから、中東のオイルマネー、アジアの例えばマレーシア、シンガポール辺りにイスラム金融という仕組みの中で流れ込んできていると。そういう流れが金融という世界をかなり変えていると。
おっしゃるように、為替、特に中国の元が非常に大きなかぎだと思いますけれども、中国、次第に国際金融の世界に目覚めてきていて、ポートフォリオのバランスからいって、ここのところへ来て、ユーロに外貨準備のあれをシフトし始めているというような動向も確認できますし、段階的にやっぱり理解が深まってきているんだなという部分がありますけど、我々、今中国と向き合っていて、元をただ輸出のために安く持ちこたえていりゃいいというものじゃないんだと。ちょうど石油価格の高騰というのが、元を必要以上に安く持ちこたえているものだから、中国にとってもボディーに効いているんですね、そのことが。
したがって、日本の教訓として、七三年、七九年の石油危機を乗り切れた理由というのは、産業力を付けて、円という通貨の国際的な価値を高めていったから、それによって単位当たりの購買力を高めたから、要するに、石油危機というもののインパクトを吸収できたんだという部分と、それから省エネルギーということを蓄積したからだということをきちっと説明して、中国の人たちも最近そういうことについて大きく理解が一歩前に出てきているなというのが最近の実感です。
そういう中で、おっしゃるように、アジアでの金融連携というのはなかなか容易ではないんですけれども、私はやっぱりマニラのアジア開発銀行なんていうのが日本がやっぱり大変な影響力を持っている大変重要な国際機関であって、あそこでアジアの広域の利害につながるようなプロジェクトを具体的にしっかり提示し推進することによって、それだったならばその仕組みの中に参画しようという機運を盛り上げて、さっき話題にした韓国、日本、中国でもって二兆ドルを超す外貨準備というやつの資金が健全な意味でやっぱりアジアに還流するような努力をしなきゃいけないんじゃないか。それから、国際機関の役割と、そのアジア還流の仕組みづくりというのは非常に重要であって、その前にやっぱり明快なプロジェクトというものを見せていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
この発言だけを見る →それから、中東のオイルマネー、アジアの例えばマレーシア、シンガポール辺りにイスラム金融という仕組みの中で流れ込んできていると。そういう流れが金融という世界をかなり変えていると。
おっしゃるように、為替、特に中国の元が非常に大きなかぎだと思いますけれども、中国、次第に国際金融の世界に目覚めてきていて、ポートフォリオのバランスからいって、ここのところへ来て、ユーロに外貨準備のあれをシフトし始めているというような動向も確認できますし、段階的にやっぱり理解が深まってきているんだなという部分がありますけど、我々、今中国と向き合っていて、元をただ輸出のために安く持ちこたえていりゃいいというものじゃないんだと。ちょうど石油価格の高騰というのが、元を必要以上に安く持ちこたえているものだから、中国にとってもボディーに効いているんですね、そのことが。
したがって、日本の教訓として、七三年、七九年の石油危機を乗り切れた理由というのは、産業力を付けて、円という通貨の国際的な価値を高めていったから、それによって単位当たりの購買力を高めたから、要するに、石油危機というもののインパクトを吸収できたんだという部分と、それから省エネルギーということを蓄積したからだということをきちっと説明して、中国の人たちも最近そういうことについて大きく理解が一歩前に出てきているなというのが最近の実感です。
そういう中で、おっしゃるように、アジアでの金融連携というのはなかなか容易ではないんですけれども、私はやっぱりマニラのアジア開発銀行なんていうのが日本がやっぱり大変な影響力を持っている大変重要な国際機関であって、あそこでアジアの広域の利害につながるようなプロジェクトを具体的にしっかり提示し推進することによって、それだったならばその仕組みの中に参画しようという機運を盛り上げて、さっき話題にした韓国、日本、中国でもって二兆ドルを超す外貨準備というやつの資金が健全な意味でやっぱりアジアに還流するような努力をしなきゃいけないんじゃないか。それから、国際機関の役割と、そのアジア還流の仕組みづくりというのは非常に重要であって、その前にやっぱり明快なプロジェクトというものを見せていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思っています。
以上です。
高
高橋和夫#25
○参考人(高橋和夫君) アメリカのブッシュ政権第一期目のネオコンの人たちが自分たちのプランを持っていたのは確かなんですけれども、ただ、アメリカ国民の方は、もう冷戦は終わったし、そんなことはしたくないというのが実際のところで、アメリカはかかわりたくないと、世界のことにというのが国民の世論だったと思います。
ですから、クリントンの八年間というのはその世論を映していたと思うんですけれども、だから、ブッシュ政権一期目は、中東を変えるという計画は持っていたんですけれども、国民の方に売り込むことができなかったと。だれが売り込んでくれたかというと、ビンラーディンであったということだと私は思っております。
それから、二つ目のイスラム金融の件。イスラムは利子を禁じているというようなお話でございますけれども、確かにそうなんですけれども、日本社会もそうかもしれませんけれども、イスラム社会も本音と建前というのがありまして、この距離が若干あり過ぎるようなところもあって、例えばクウェートとかサウジアラビアのお金持ちがアメリカの財務省証券を買って、イスラムが利子を禁じているからアメリカに利子を返したという話は聞いたことがありませんので、やはり、それはそれ、これはこれで、教えは教えだけれども、まあ取りあえずお金をもうけてからという方はかなりいらっしゃると。
実は、イスラム金融ということがはやり出したのはつい最近のことで、これだけお金があるんだから自分たちでイスラム的なシステムができるんじゃないかと思い出したからで、それまではしっかり日本の銀行にお金を預けて利子を取ったりしていたわけで、世の中、イスラム社会というのは一番難しい、分かりにくいということになっていますけれども、私に言わせると一番分かりにくいのは日本のイスラム解説でして、あの人たちの建前だけの話を本当に受けていると中東の人は本当に建前だけで生きているような気がしますけれども、現実に行くと余り人間というのは変わらないという深い共通認識に至ると思います。
この発言だけを見る →ですから、クリントンの八年間というのはその世論を映していたと思うんですけれども、だから、ブッシュ政権一期目は、中東を変えるという計画は持っていたんですけれども、国民の方に売り込むことができなかったと。だれが売り込んでくれたかというと、ビンラーディンであったということだと私は思っております。
それから、二つ目のイスラム金融の件。イスラムは利子を禁じているというようなお話でございますけれども、確かにそうなんですけれども、日本社会もそうかもしれませんけれども、イスラム社会も本音と建前というのがありまして、この距離が若干あり過ぎるようなところもあって、例えばクウェートとかサウジアラビアのお金持ちがアメリカの財務省証券を買って、イスラムが利子を禁じているからアメリカに利子を返したという話は聞いたことがありませんので、やはり、それはそれ、これはこれで、教えは教えだけれども、まあ取りあえずお金をもうけてからという方はかなりいらっしゃると。
実は、イスラム金融ということがはやり出したのはつい最近のことで、これだけお金があるんだから自分たちでイスラム的なシステムができるんじゃないかと思い出したからで、それまではしっかり日本の銀行にお金を預けて利子を取ったりしていたわけで、世の中、イスラム社会というのは一番難しい、分かりにくいということになっていますけれども、私に言わせると一番分かりにくいのは日本のイスラム解説でして、あの人たちの建前だけの話を本当に受けていると中東の人は本当に建前だけで生きているような気がしますけれども、現実に行くと余り人間というのは変わらないという深い共通認識に至ると思います。
田
田中直紀#26
○会長(田中直紀君) ありがとうございました。
予定の時間が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
一言ごあいさつ申し上げます。
寺島参考人及び高橋参考人におかれましては、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。
両参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼といたします。ありがとうございました。拍手
両参考人は退席していただいて結構でございます。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
この発言だけを見る →予定の時間が参りましたので、参考人に対する質疑はこの程度といたします。
一言ごあいさつ申し上げます。
寺島参考人及び高橋参考人におかれましては、長時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。
両参考人のますますの御活躍を祈念いたしまして、本日の御礼といたします。ありがとうございました。拍手
両参考人は退席していただいて結構でございます。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
田
田中直紀#27
○会長(田中直紀君) 速記を起こしてください。
引き続きまして、政府から報告を聴取した後、質疑を行います。
議事の進め方でございますが、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、まず外務省から在外公館の拡充及び地方の国際化に対する外務省の支援について、次に防衛省から安全保障を中心とした防衛省の新たな役割について、それぞれ十五分程度報告を聴取した後、午後五時ごろまでをめどに質疑を行いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、初めに外務省から報告を聴取いたします。塩尻大臣官房長。
この発言だけを見る →引き続きまして、政府から報告を聴取した後、質疑を行います。
議事の進め方でございますが、「多極化時代における新たな日本外交」のうち、まず外務省から在外公館の拡充及び地方の国際化に対する外務省の支援について、次に防衛省から安全保障を中心とした防衛省の新たな役割について、それぞれ十五分程度報告を聴取した後、午後五時ごろまでをめどに質疑を行いたいと存じます。
なお、御発言は着席のままで結構でございます。
それでは、初めに外務省から報告を聴取いたします。塩尻大臣官房長。
塩
塩尻孝二郎#28
○政府参考人(塩尻孝二郎君) 外務省官房長の塩尻でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の方からは、在外公館の拡充の必要性と、それから地方の国際化に対する外務省としての取組について、お配りしました多極化時代における新たな日本外交というペーパーに基づきましてお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、ページを一枚めくっていただきたいと思います。在外公館の数の表が出ております。
在外公館は我が国の外交を支える基盤でございますが、在外公館の数は、ほかの主要国と比べるとまだまだ不十分であるというのが現状でございます。大使館の数で申しますと、主要国は軒並み百五十を超えております。我が国は、その左の、一番左の棒グラフのところでございますけれども、大使館の数では百十七にとどまっているということでございます。平成十九年度予算において六つの大使館の新設が認めていただいておりますけれども、更に増設していく必要があろうというふうに考えております。
二ページ目を開けていただきたいと思います。
外交におきましては、先生方御承知のとおり、相互主義の視点が非常に重要でございます。相手国が東京に大使館を設置しているにもかかわらず我が国の大使館が相手国の首都に設置されていないというところが、ごらんの二十三か国ということでございます。このように、大使館の数が十分でない結果として、外交上のいろいろな働き掛けにおいても様々な障害に直面しているというのが現実でございます。
一例を挙げますと、例えば昨年行われましたWHO、世界保健機関の事務局長選挙でございますけれども、我が国から立候補した候補者というのが中国の候補者に敗れるという結果に終わりました。その要因についていろいろあろうかと思います。そもそも秘密投票で行われたということで、確定的なことを申し上げるということはできないかと思いますけれども、一つ、我々としては、各国への働き掛けにおいて重要なところに大使館がなかったということがあろうかと思います。例えば、アフリカですけれども、アフリカで投票権を有していた国が七か国あります。そのうち我が国が大使館を有していたというのが二公館だけでございます。他方、中国はその七か国いずれにも大使館を有していたということでございます。
三ページ目を開けていただきたいと思います。現時点での大使館の未設置国の一覧表でございます。
ピンク色の枠で囲っている国、全部で六十八か国でございますけれども、ここには大使館が置かれていないということでございます。今、外交の新しい柱として推進しております自由と繁栄の弧、この主要の部分でありますのは左側にございます旧ソ連地域の十四か国ということでございますけれども、その中で大使館を設置しているのは、今年度リトアニアに大使館を造ることになりましたけれども、十四か国中五か国にすぎないという状況でございます。
四ページ目を開けていただきたいと思います。
在外公館が機能を十分に発揮するというためには、適正な人員が必要だということは御理解いただけるかと思います。特に、グローバル化が進展しております中で、いろいろな分野、例えば経済連携協定あるいは国際テロ対策といった新しい分野の業務も急に増えてきているということがあります。あるいはアジア外交、あるいは日米同盟の推進、それから特に国際的なルールメーキングという分野がますます重要になってきているという中で、こういった分野に的確に対応していくためにも人員の増強が必要だということでございます。
そこにほかの国との比較があります。日本の外務省と比べて二千人、あるいはアメリカの場合には四倍近い差があるということでございます。もとより、人を増やすという中で、外務省プロパーの職員だけではなくて、商社のOBあるいは青年海外協力隊のOBあるいはNGOの経験者等、海外経験の豊富な人材の採用を更に積極的に進めていきたいというふうに考えております。
資料には入っておりませんけれども、きめの細かい外交活動を展開していくという上で、これは地方レベルでの話になりますけれども、総領事館が果たす重要な役割というものも是非御理解をいただきたいというふうに思っております。
今、我が国は六十五の総領事館を有しております。総領事館の任務というのは、邦人保護を中心とした領事業務、それから日本について地元での理解を深めるという文化交流活動ということだけではなくて、各国各地域の特性に応じた政治的、経済面での重要な役割を果たしているということでございます。
一つの例を申し上げますと、日本企業に対する支援の取組がございます。例えば中国において、全国レベルの法律の運用というのが地方によってまちまちであるということがあります。それから、問題になっております知的財産権の関係での問題に直面しているという企業がたくさんあります。こうしたケースでは、その地元にあります総領事館がそれぞれの地方政府に働き掛けを行うというのが非常に重要でございます。
ごく最近も、青島のある日本企業が青島市当局から工場の立ち退きを求められたという事案があります。市当局に働き掛けを行った結果、適切な代替地の提供に向けて話合いが進み始めているという例が最近起きております。
ちなみに、青島には約千五百の日本企業が進出しております。約三千人の日本人がおります。領事サービスについても、潜在的なニーズというのが極めて大きいものがございます。しかしながら、残念ではございますけれども、総領事館が設置されておりません。そのために、先ほどお話しした例でございますけれども、大体五百五十キロメートル離れた北京から大使が駆け付けて話合いに入ったということで、そういうような限界がございます。日ごろからやはり総領事館があって、市当局との間で関係を構築することができれば、更にきめの細かい効果的な企業支援を行えるというふうに思っております。
以上のとおり、外交力の強化に当たりまして、大使館だけではなくて総領事館を戦略的に新設していくということが非常に重要であるというふうに考えております。
それから、我が国自身の地方の活力を外交に生かしていくという視点からも重要であると考えております。この調査会、新潟に訪問されたというふうに承知しておりますけれども、その観点からもこの機会に、我々昨年来から特に重要視しております地方との連携強化について簡単に御紹介させていただきたいと思います。五ページ目を開けていただきたいと思います。
地方自治体、これ現在、従来型の姉妹都市交流のみならず、輸出促進、観光誘致等、経済交流、国際協力といったいろいろな活発な活動をされております。外交のプレーヤーとして、我々としても非常に重要な一翼を担っていただいているというふうに考えております。このような地方自治体の国際活動を当省としても支援するというか、連携して一緒にやっていきたいと、地方の活性化にも資すると。それから、何よりも外交のすそ野を一層広げると、オールジャパンで総合的に外交力を強化することにもなると、そのためにもこういった関係を更に強めるということが急務であるということで、外務省として取り組んできております。
その下の方の丸に書いてございますけれども、そういう中で地方連携推進室というのを外務省の中に設けております。今までばらばらだった窓口を一本化したということでございます。
その次のページ、六ページ目でございます。
前のページにもちょっと書いてございますけれども、地方自治体の代表の方ともいろいろ会議を持ちまして、タイアップ会議というものをやりまして、地方のニーズをいろいろ組み込んだ形で、進んで地方との連携強化を進める具体的なアクションを取っております。その具体的な例を四つほどここに取り上げております。
左上でございますけれども、大使公邸の積極的な開放ということでございます。その右の方に出ていますけれども、地方自治体が海外で輸出振興あるいは観光誘致、投資誘致を目的とするレセプション、こういったものを大使館でやると。左上の写真でございますけれども、これは四月十八日、新潟市が経済交流を目的として北京事務所を設立されておりますけれども、その際の設立記念祝賀レセプションを中国の大使館公邸で開催したときの写真でございます。この催しは人民日報でも取り上げられたということで、注目されたということでございます。その下でございますけれども、五月には倉吉市長のブリガリア訪問というのがございました。そのときに、これも同じく日本大使公邸で倉吉市の特産展を大使館と倉吉市が共催して行っております。ブルガリアでも反響を呼んだということでございます。
このように、大使公邸という施設を利用するというのは、要人のイメージを高めるという意味でも、あるいは人脈を利用して要人を招待すると、大使館の人脈形成を利用して要人を招待できるということで、非常に有意義であるというふうに考えております。
右側の大使、総領事の地方訪問ということでございますけれども、これは赴任している大使あるいは総領事が用務帰国で一時帰国したときに、その機会に地方に行ってもらい、交流を深めるという話でございます。つい先日、温家宝中国総理が訪日しましたけれども、そのときには例えば宮本中国大使が福岡県に訪問しまして、講演会を行って、時差のない情報提供を行ったということでございます。
それから、左下でございますけれども、地方の国際観光博への出展というものが出ております。これは、国際観光博だけに限らず、諸外国でもいろいろなこういう博覧会が行われております。そのときに、なかなか直接、地方公共団体から出ていくというのはなかなか難しいという点があろうかと思います。そのときに、外務省あるいは在外公館が間に入ってそのプロモーションを、プロモーターを行うという試みでございます。
それから、右下でございますけれども、外国人の地方訪問の促進ということでございます。
これまでの積み重なった人物交流で外国の要人の方々もいろいろなところに行かれています。むしろ、これまでだれも行っていないような地方に行きたいという要望が多々ございます。そういう中で、外務省の方とそれから地方公共団体が協力しましていろいろな訪問地のリストあるいは訪問するプログラムというようなものを作って、各国の要人を地方に訪問していただくというようなことに更に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上、在外公館の話と、それと地方との連携の話について御説明させていただきました。
ありがとうございました。
この発言だけを見る →本日は、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の方からは、在外公館の拡充の必要性と、それから地方の国際化に対する外務省としての取組について、お配りしました多極化時代における新たな日本外交というペーパーに基づきましてお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、ページを一枚めくっていただきたいと思います。在外公館の数の表が出ております。
在外公館は我が国の外交を支える基盤でございますが、在外公館の数は、ほかの主要国と比べるとまだまだ不十分であるというのが現状でございます。大使館の数で申しますと、主要国は軒並み百五十を超えております。我が国は、その左の、一番左の棒グラフのところでございますけれども、大使館の数では百十七にとどまっているということでございます。平成十九年度予算において六つの大使館の新設が認めていただいておりますけれども、更に増設していく必要があろうというふうに考えております。
二ページ目を開けていただきたいと思います。
外交におきましては、先生方御承知のとおり、相互主義の視点が非常に重要でございます。相手国が東京に大使館を設置しているにもかかわらず我が国の大使館が相手国の首都に設置されていないというところが、ごらんの二十三か国ということでございます。このように、大使館の数が十分でない結果として、外交上のいろいろな働き掛けにおいても様々な障害に直面しているというのが現実でございます。
一例を挙げますと、例えば昨年行われましたWHO、世界保健機関の事務局長選挙でございますけれども、我が国から立候補した候補者というのが中国の候補者に敗れるという結果に終わりました。その要因についていろいろあろうかと思います。そもそも秘密投票で行われたということで、確定的なことを申し上げるということはできないかと思いますけれども、一つ、我々としては、各国への働き掛けにおいて重要なところに大使館がなかったということがあろうかと思います。例えば、アフリカですけれども、アフリカで投票権を有していた国が七か国あります。そのうち我が国が大使館を有していたというのが二公館だけでございます。他方、中国はその七か国いずれにも大使館を有していたということでございます。
三ページ目を開けていただきたいと思います。現時点での大使館の未設置国の一覧表でございます。
ピンク色の枠で囲っている国、全部で六十八か国でございますけれども、ここには大使館が置かれていないということでございます。今、外交の新しい柱として推進しております自由と繁栄の弧、この主要の部分でありますのは左側にございます旧ソ連地域の十四か国ということでございますけれども、その中で大使館を設置しているのは、今年度リトアニアに大使館を造ることになりましたけれども、十四か国中五か国にすぎないという状況でございます。
四ページ目を開けていただきたいと思います。
在外公館が機能を十分に発揮するというためには、適正な人員が必要だということは御理解いただけるかと思います。特に、グローバル化が進展しております中で、いろいろな分野、例えば経済連携協定あるいは国際テロ対策といった新しい分野の業務も急に増えてきているということがあります。あるいはアジア外交、あるいは日米同盟の推進、それから特に国際的なルールメーキングという分野がますます重要になってきているという中で、こういった分野に的確に対応していくためにも人員の増強が必要だということでございます。
そこにほかの国との比較があります。日本の外務省と比べて二千人、あるいはアメリカの場合には四倍近い差があるということでございます。もとより、人を増やすという中で、外務省プロパーの職員だけではなくて、商社のOBあるいは青年海外協力隊のOBあるいはNGOの経験者等、海外経験の豊富な人材の採用を更に積極的に進めていきたいというふうに考えております。
資料には入っておりませんけれども、きめの細かい外交活動を展開していくという上で、これは地方レベルでの話になりますけれども、総領事館が果たす重要な役割というものも是非御理解をいただきたいというふうに思っております。
今、我が国は六十五の総領事館を有しております。総領事館の任務というのは、邦人保護を中心とした領事業務、それから日本について地元での理解を深めるという文化交流活動ということだけではなくて、各国各地域の特性に応じた政治的、経済面での重要な役割を果たしているということでございます。
一つの例を申し上げますと、日本企業に対する支援の取組がございます。例えば中国において、全国レベルの法律の運用というのが地方によってまちまちであるということがあります。それから、問題になっております知的財産権の関係での問題に直面しているという企業がたくさんあります。こうしたケースでは、その地元にあります総領事館がそれぞれの地方政府に働き掛けを行うというのが非常に重要でございます。
ごく最近も、青島のある日本企業が青島市当局から工場の立ち退きを求められたという事案があります。市当局に働き掛けを行った結果、適切な代替地の提供に向けて話合いが進み始めているという例が最近起きております。
ちなみに、青島には約千五百の日本企業が進出しております。約三千人の日本人がおります。領事サービスについても、潜在的なニーズというのが極めて大きいものがございます。しかしながら、残念ではございますけれども、総領事館が設置されておりません。そのために、先ほどお話しした例でございますけれども、大体五百五十キロメートル離れた北京から大使が駆け付けて話合いに入ったということで、そういうような限界がございます。日ごろからやはり総領事館があって、市当局との間で関係を構築することができれば、更にきめの細かい効果的な企業支援を行えるというふうに思っております。
以上のとおり、外交力の強化に当たりまして、大使館だけではなくて総領事館を戦略的に新設していくということが非常に重要であるというふうに考えております。
それから、我が国自身の地方の活力を外交に生かしていくという視点からも重要であると考えております。この調査会、新潟に訪問されたというふうに承知しておりますけれども、その観点からもこの機会に、我々昨年来から特に重要視しております地方との連携強化について簡単に御紹介させていただきたいと思います。五ページ目を開けていただきたいと思います。
地方自治体、これ現在、従来型の姉妹都市交流のみならず、輸出促進、観光誘致等、経済交流、国際協力といったいろいろな活発な活動をされております。外交のプレーヤーとして、我々としても非常に重要な一翼を担っていただいているというふうに考えております。このような地方自治体の国際活動を当省としても支援するというか、連携して一緒にやっていきたいと、地方の活性化にも資すると。それから、何よりも外交のすそ野を一層広げると、オールジャパンで総合的に外交力を強化することにもなると、そのためにもこういった関係を更に強めるということが急務であるということで、外務省として取り組んできております。
その下の方の丸に書いてございますけれども、そういう中で地方連携推進室というのを外務省の中に設けております。今までばらばらだった窓口を一本化したということでございます。
その次のページ、六ページ目でございます。
前のページにもちょっと書いてございますけれども、地方自治体の代表の方ともいろいろ会議を持ちまして、タイアップ会議というものをやりまして、地方のニーズをいろいろ組み込んだ形で、進んで地方との連携強化を進める具体的なアクションを取っております。その具体的な例を四つほどここに取り上げております。
左上でございますけれども、大使公邸の積極的な開放ということでございます。その右の方に出ていますけれども、地方自治体が海外で輸出振興あるいは観光誘致、投資誘致を目的とするレセプション、こういったものを大使館でやると。左上の写真でございますけれども、これは四月十八日、新潟市が経済交流を目的として北京事務所を設立されておりますけれども、その際の設立記念祝賀レセプションを中国の大使館公邸で開催したときの写真でございます。この催しは人民日報でも取り上げられたということで、注目されたということでございます。その下でございますけれども、五月には倉吉市長のブリガリア訪問というのがございました。そのときに、これも同じく日本大使公邸で倉吉市の特産展を大使館と倉吉市が共催して行っております。ブルガリアでも反響を呼んだということでございます。
このように、大使公邸という施設を利用するというのは、要人のイメージを高めるという意味でも、あるいは人脈を利用して要人を招待すると、大使館の人脈形成を利用して要人を招待できるということで、非常に有意義であるというふうに考えております。
右側の大使、総領事の地方訪問ということでございますけれども、これは赴任している大使あるいは総領事が用務帰国で一時帰国したときに、その機会に地方に行ってもらい、交流を深めるという話でございます。つい先日、温家宝中国総理が訪日しましたけれども、そのときには例えば宮本中国大使が福岡県に訪問しまして、講演会を行って、時差のない情報提供を行ったということでございます。
それから、左下でございますけれども、地方の国際観光博への出展というものが出ております。これは、国際観光博だけに限らず、諸外国でもいろいろなこういう博覧会が行われております。そのときに、なかなか直接、地方公共団体から出ていくというのはなかなか難しいという点があろうかと思います。そのときに、外務省あるいは在外公館が間に入ってそのプロモーションを、プロモーターを行うという試みでございます。
それから、右下でございますけれども、外国人の地方訪問の促進ということでございます。
これまでの積み重なった人物交流で外国の要人の方々もいろいろなところに行かれています。むしろ、これまでだれも行っていないような地方に行きたいという要望が多々ございます。そういう中で、外務省の方とそれから地方公共団体が協力しましていろいろな訪問地のリストあるいは訪問するプログラムというようなものを作って、各国の要人を地方に訪問していただくというようなことに更に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上、在外公館の話と、それと地方との連携の話について御説明させていただきました。
ありがとうございました。
田