高橋和夫の発言 (国際問題に関する調査会)

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○参考人(高橋和夫君) 答えのない質問をありがとうございました。
 やはり常識的に考えるとアメリカがイランを爆撃するというのは想定しにくいんですけれど、ですけれど、実際今ワシントンでいろんな人とお話ししますと、いや、もうアメリカはイラン爆撃できないよというのがコンセンサスですけれど、コンセンサスに乗っていない方が二人いて、ブッシュ大統領とチェイニー副大統領で、外交政策を決めるのはこの二人ですから、コンセンサスがあっても残念ながらその可能性は全然ないとは言い切れないと。可能性は高くはないが、否定はできないというところだと思います。
 そういう中で、やはり最近のブッシュ政権が言っていること、やっていることを見てみますと、一月の議会でのブッシュ大統領の新イラク政策の発表というのがありましたけれど、イラク政策に関しては三万人増派するという以外に何の新しさもなくて、新しかったのはこの地域にパトリオットミサイルの部隊を派遣するということで、アルカイダにしろ、スンニ派にしろ、シーア派にしろ、クルド人にしろ、アメリカと敵対しそうな人で弾道ミサイルを持っている人はだれもいないわけで、弾道ミサイルが必要なのは対イラン戦略でしかないわけで、突然イラク政策の中にパトリオットミサイルを持っていくと言うからにはアメリカはイラン攻撃の準備をしていると考えざるを得ないというのがイラン専門家の間に走った衝撃です。
 私が見るところ、現在航空母艦が二隻展開されています。一月に川崎汽船のタンカーがペルシャ湾のホルムズ海峡付近でアメリカの潜水艦と衝突するという事故が起こりました。あの潜水艦はソマリア情勢が緊張しているからだという説明があったんですけれど、ペルシャ湾というのはソマリアから見るとあさっての方向で、ソマリアのために行ったはずがないんで、潜水艦が行った理由はアメリカの航空母艦を守るため、あるいは巡航ミサイルを積んで、サウジアラビアやカタール、クウェート、バハレーンの基地を使わずにイランを攻撃する準備をするために派遣されていたと読む方が自然だと思います。台所にゴキブリが一匹いたら何十匹もいるといいますけど、潜水艦が一隻ぶつかったということは何十隻も沈んでいると考える方が常識的でして、アメリカは戦争をすると決めたわけでもないとは思いますけれど、いざやると決めたときに道具立てが足りないということだけはないようにという、準備だけはしておこう、宿題だけはしておこうという状況だと思います。
 こうした中で日本はどうするのかということなんですけど、基本的には、イランに対しては、ウラン濃縮というのは国際社会の猜疑心をあおるだけでイランの国益にはならないと説得し続けるしかないですし、アメリカに対しては、イラン爆撃というのはそれは解決策ではなくて新しい問題を生み出すだけですよと言うしかないんで、この厳しい作業を外交当局にはお願いするしかないと思います。ただ、状況は本当に厳しくて、イランはウラン濃縮はやめないと言っていますし、アメリカはそれは許さないと言っているわけです。
 ブッシュ大統領、チェイニー副大統領がそう言っているばかりではなくて、ヒラリー・クリントンにしろ、オバマさんにしろ、あるいはエドワーズ氏の民主党の三大有力大統領候補はみんなイランの核保有は許さないと言っていて、軍事オプションは取り下げないと言っています。
 つい最近の一番大きな事件は、共和党のタカ派でイラク政策を支持しているマケイン上院議員が、一部では報道されましたけれど、イランをどうするんだと言ったときに、バーバラ・アンというビーチボーイズの大昔のヒット曲を歌います。バーバラ・アン、バーバラ・アン、バーバラ・アンを早く言うとボム・イラン、ボム・イラン、ボム・イランと、イランを爆撃しろに聞こえるわけで、マケインは冗談を言ったつもりなんですけれど、イラン人は冗談に取らないと思います。
 よく覚えているのは、一九八〇年代初めに、レーガン大統領が大統領になったときにマイクが切れているものだと思って、今ソ連を攻撃する命令を出しました、五分後にアメリカ軍がソ連を爆撃開始しますと冗談を言ったら、それがそのまま流れて、ソ連側は本当にアメリカが攻撃してくるんではないかとおびえたという事件がありますけれど、こうした、何というか、アメリカ人の不注意な発言は不愉快で危険ではあるんですけれど、同時に、アメリカ人の心理にある、イランを攻撃するというオプションは常にあるんだというやっぱり心の風景が表に出た場面だったと思うわけです。
 そういう意味では私も寺島さんと同じ意見で、可能性は高くはないけれど否定できないという立場を取っております。

発言情報

speech_id: 116614308X00320070425_022

発言者: 高橋和夫

speaker_id: 16204

日付: 2007-04-25

院: 参議院

会議名: 国際問題に関する調査会