塩尻孝二郎の発言 (国際問題に関する調査会)
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○政府参考人(塩尻孝二郎君) 外務省官房長の塩尻でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、このような貴重な機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
私の方からは、在外公館の拡充の必要性と、それから地方の国際化に対する外務省としての取組について、お配りしました多極化時代における新たな日本外交というペーパーに基づきましてお話しさせていただきたいというふうに思います。
まず、ページを一枚めくっていただきたいと思います。在外公館の数の表が出ております。
在外公館は我が国の外交を支える基盤でございますが、在外公館の数は、ほかの主要国と比べるとまだまだ不十分であるというのが現状でございます。大使館の数で申しますと、主要国は軒並み百五十を超えております。我が国は、その左の、一番左の棒グラフのところでございますけれども、大使館の数では百十七にとどまっているということでございます。平成十九年度予算において六つの大使館の新設が認めていただいておりますけれども、更に増設していく必要があろうというふうに考えております。
二ページ目を開けていただきたいと思います。
外交におきましては、先生方御承知のとおり、相互主義の視点が非常に重要でございます。相手国が東京に大使館を設置しているにもかかわらず我が国の大使館が相手国の首都に設置されていないというところが、ごらんの二十三か国ということでございます。このように、大使館の数が十分でない結果として、外交上のいろいろな働き掛けにおいても様々な障害に直面しているというのが現実でございます。
一例を挙げますと、例えば昨年行われましたWHO、世界保健機関の事務局長選挙でございますけれども、我が国から立候補した候補者というのが中国の候補者に敗れるという結果に終わりました。その要因についていろいろあろうかと思います。そもそも秘密投票で行われたということで、確定的なことを申し上げるということはできないかと思いますけれども、一つ、我々としては、各国への働き掛けにおいて重要なところに大使館がなかったということがあろうかと思います。例えば、アフリカですけれども、アフリカで投票権を有していた国が七か国あります。そのうち我が国が大使館を有していたというのが二公館だけでございます。他方、中国はその七か国いずれにも大使館を有していたということでございます。
三ページ目を開けていただきたいと思います。現時点での大使館の未設置国の一覧表でございます。
ピンク色の枠で囲っている国、全部で六十八か国でございますけれども、ここには大使館が置かれていないということでございます。今、外交の新しい柱として推進しております自由と繁栄の弧、この主要の部分でありますのは左側にございます旧ソ連地域の十四か国ということでございますけれども、その中で大使館を設置しているのは、今年度リトアニアに大使館を造ることになりましたけれども、十四か国中五か国にすぎないという状況でございます。
四ページ目を開けていただきたいと思います。
在外公館が機能を十分に発揮するというためには、適正な人員が必要だということは御理解いただけるかと思います。特に、グローバル化が進展しております中で、いろいろな分野、例えば経済連携協定あるいは国際テロ対策といった新しい分野の業務も急に増えてきているということがあります。あるいはアジア外交、あるいは日米同盟の推進、それから特に国際的なルールメーキングという分野がますます重要になってきているという中で、こういった分野に的確に対応していくためにも人員の増強が必要だということでございます。
そこにほかの国との比較があります。日本の外務省と比べて二千人、あるいはアメリカの場合には四倍近い差があるということでございます。もとより、人を増やすという中で、外務省プロパーの職員だけではなくて、商社のOBあるいは青年海外協力隊のOBあるいはNGOの経験者等、海外経験の豊富な人材の採用を更に積極的に進めていきたいというふうに考えております。
資料には入っておりませんけれども、きめの細かい外交活動を展開していくという上で、これは地方レベルでの話になりますけれども、総領事館が果たす重要な役割というものも是非御理解をいただきたいというふうに思っております。
今、我が国は六十五の総領事館を有しております。総領事館の任務というのは、邦人保護を中心とした領事業務、それから日本について地元での理解を深めるという文化交流活動ということだけではなくて、各国各地域の特性に応じた政治的、経済面での重要な役割を果たしているということでございます。
一つの例を申し上げますと、日本企業に対する支援の取組がございます。例えば中国において、全国レベルの法律の運用というのが地方によってまちまちであるということがあります。それから、問題になっております知的財産権の関係での問題に直面しているという企業がたくさんあります。こうしたケースでは、その地元にあります総領事館がそれぞれの地方政府に働き掛けを行うというのが非常に重要でございます。
ごく最近も、青島のある日本企業が青島市当局から工場の立ち退きを求められたという事案があります。市当局に働き掛けを行った結果、適切な代替地の提供に向けて話合いが進み始めているという例が最近起きております。
ちなみに、青島には約千五百の日本企業が進出しております。約三千人の日本人がおります。領事サービスについても、潜在的なニーズというのが極めて大きいものがございます。しかしながら、残念ではございますけれども、総領事館が設置されておりません。そのために、先ほどお話しした例でございますけれども、大体五百五十キロメートル離れた北京から大使が駆け付けて話合いに入ったということで、そういうような限界がございます。日ごろからやはり総領事館があって、市当局との間で関係を構築することができれば、更にきめの細かい効果的な企業支援を行えるというふうに思っております。
以上のとおり、外交力の強化に当たりまして、大使館だけではなくて総領事館を戦略的に新設していくということが非常に重要であるというふうに考えております。
それから、我が国自身の地方の活力を外交に生かしていくという視点からも重要であると考えております。この調査会、新潟に訪問されたというふうに承知しておりますけれども、その観点からもこの機会に、我々昨年来から特に重要視しております地方との連携強化について簡単に御紹介させていただきたいと思います。五ページ目を開けていただきたいと思います。
地方自治体、これ現在、従来型の姉妹都市交流のみならず、輸出促進、観光誘致等、経済交流、国際協力といったいろいろな活発な活動をされております。外交のプレーヤーとして、我々としても非常に重要な一翼を担っていただいているというふうに考えております。このような地方自治体の国際活動を当省としても支援するというか、連携して一緒にやっていきたいと、地方の活性化にも資すると。それから、何よりも外交のすそ野を一層広げると、オールジャパンで総合的に外交力を強化することにもなると、そのためにもこういった関係を更に強めるということが急務であるということで、外務省として取り組んできております。
その下の方の丸に書いてございますけれども、そういう中で地方連携推進室というのを外務省の中に設けております。今までばらばらだった窓口を一本化したということでございます。
その次のページ、六ページ目でございます。
前のページにもちょっと書いてございますけれども、地方自治体の代表の方ともいろいろ会議を持ちまして、タイアップ会議というものをやりまして、地方のニーズをいろいろ組み込んだ形で、進んで地方との連携強化を進める具体的なアクションを取っております。その具体的な例を四つほどここに取り上げております。
左上でございますけれども、大使公邸の積極的な開放ということでございます。その右の方に出ていますけれども、地方自治体が海外で輸出振興あるいは観光誘致、投資誘致を目的とするレセプション、こういったものを大使館でやると。左上の写真でございますけれども、これは四月十八日、新潟市が経済交流を目的として北京事務所を設立されておりますけれども、その際の設立記念祝賀レセプションを中国の大使館公邸で開催したときの写真でございます。この催しは人民日報でも取り上げられたということで、注目されたということでございます。その下でございますけれども、五月には倉吉市長のブリガリア訪問というのがございました。そのときに、これも同じく日本大使公邸で倉吉市の特産展を大使館と倉吉市が共催して行っております。ブルガリアでも反響を呼んだということでございます。
このように、大使公邸という施設を利用するというのは、要人のイメージを高めるという意味でも、あるいは人脈を利用して要人を招待すると、大使館の人脈形成を利用して要人を招待できるということで、非常に有意義であるというふうに考えております。
右側の大使、総領事の地方訪問ということでございますけれども、これは赴任している大使あるいは総領事が用務帰国で一時帰国したときに、その機会に地方に行ってもらい、交流を深めるという話でございます。つい先日、温家宝中国総理が訪日しましたけれども、そのときには例えば宮本中国大使が福岡県に訪問しまして、講演会を行って、時差のない情報提供を行ったということでございます。
それから、左下でございますけれども、地方の国際観光博への出展というものが出ております。これは、国際観光博だけに限らず、諸外国でもいろいろなこういう博覧会が行われております。そのときに、なかなか直接、地方公共団体から出ていくというのはなかなか難しいという点があろうかと思います。そのときに、外務省あるいは在外公館が間に入ってそのプロモーションを、プロモーターを行うという試みでございます。
それから、右下でございますけれども、外国人の地方訪問の促進ということでございます。
これまでの積み重なった人物交流で外国の要人の方々もいろいろなところに行かれています。むしろ、これまでだれも行っていないような地方に行きたいという要望が多々ございます。そういう中で、外務省の方とそれから地方公共団体が協力しましていろいろな訪問地のリストあるいは訪問するプログラムというようなものを作って、各国の要人を地方に訪問していただくというようなことに更に積極的に取り組んでいきたいというふうに思っております。
以上、在外公館の話と、それと地方との連携の話について御説明させていただきました。
ありがとうございました。