山了吉の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)

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○参考人(山了吉君) 社団法人日本雑誌協会編集倫理委員長をやっております山了吉と申します。
 本日は、このような発言の機会をいただきましてありがとうございました。大変重要な法案だと思いますので、私だけではなくて、個人情報・人権問題委員長の鈴木哲委員長、それから日本雑誌協会の専務理事の勝見亮助、三人で参りました。それぞれ専門とするところとか得意とするところがございますので、質疑応答のときには私だけではなくて答えていただこうと思っております。
 私は、今回このような形で発言の機会をいただくことに関して唐突でしたので昨日打合せをしたりいろいろしたんですけれども、法案の細目についてまではいろんな形で論ずることはできませんでした。ただし、衆議院で昨年この三人のメンバーで意見表明をしたり質疑応答しておりますので、それに基づいてまた具体的にお答えしていければと思っています。
 まず最初に、お手元にあります日本雑誌協会の小さなパンフレットございますけれども、これの三十一ページに、日本雑誌協会とはどういう機構とどういう目的かという沿革及び機構が書いてあります。その中に、雑誌の出版を通じて文化の発展を期するため、出版倫理の向上を図り、その他雑誌共通の利益を擁護することを目的としてということであります。共通の利益を図るということは、共通の利害に立って団体として活動していくということなんですけれども、この趣旨というのは、その次の三十四ページにもあるんですけれども、雑誌倫理綱領にもあるんですけれども、先ほど新聞協会の方がおっしゃいましたように、現行憲法の二十一条に言論、出版の自由は、これを保障するという、保障という言葉を強く書かれている二十一条ございます。これ、例えば自由民主党の今度の新憲法草案を読みましても、はっきり出版というのは明記されております。
 ところが、後から申しますけれども、出版に対して、雑誌に対するいろんな考え方もあるんでしょうけれども、この間法律では何度も出版とか雑誌を入れてくれということを言いますと、大体はね付けられてきた経緯がございます。特に、個人情報保護法とか人権擁護法案あるいは青少年有害社会環境対策基本法とか、この辺はメディア規制三法と言われておりまして、我々の中ではこれに対して反対をずっとしてきておりますけれども、その論拠となることがこのいわゆる憲法二十一条なんですね。
 雑誌というのは、ごらんになったらお分かりのように、例えば「正論」という雑誌は日本国憲法の正体、「世界」はこういうようにあります。「サピオ」という雑誌なんかもあります。雑誌というのは、要するにいかなる意見も言論も、それは自由に交わしていいと。むしろ憲法改正賛成とか反対とかということを論議する場をなくすことが問題なんだということに立っております。
 これは皆さん、十分お分かりだと思うんですけれども、前回衆議院のときに、法案の中に、報道機関は虚偽の事実を報道、又は事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用し、国民投票の公正を害することないようにということで、報道基準の策定、報道に関する学識経験者を構成員とする機関の設置など、自主的な取組に努めるものとするという文言が入っていたんですね。それに対して、私どもだけではなくて、新聞協会、民放連あるいはNHK含めて、一体虚報、うその報道とは何を指すのかとか、あるいは事実を歪曲するとはどういうことかと、あるいは公正を害するとはどういうことなんだということで、大変疑義を呈しました。その結果、今回の国民投票法案にはその条項は落ちております。
 私どもも、憲法改正の手続法が、いつ作るか、今なぜこういう形でできるのかということに対しては、それぞれの立場上いろんな議論がありました。しかし、手続法はやっぱり手続法として作らざるを得ないだろうと。しかし、その中にメディア規制の条項があるということはどういうことなんだということです。雑誌なんかは、特にメディアとしてはぶれが大きいわけですね。極端に言えば、右から左まで自由な論調、識者の見解を載せるわけですね。
 そういう意味では、是非こういう形で規制を加えるような条項は外してくれということで前回衆議院では私申し上げました。そのとおり受け入れられて、そんなに深くは読んでおりませんけれども、新しい手続法案にはそこのところは外されております。
 雑誌協会全体の規定で、今回の国民投票法案の年齢の問題とか、あるいは投票率の問題とか、あるいは公務員とか教員の政治参加の問題とか、あるいは今度の国民投票法案を憲法に限るのか、それとも生命倫理とか統治機構なんかに及ぼすのかという議論がありますけれども、それぞれのことに関して統一的な見解は持っていませんし、これはもう雑誌協会としては持ちません、はっきり言って。といいますのは、もうそれぞれの出版社のそれぞれの雑誌の編集長の編集方針によって決まるものですから、それにゆだねております。
 それがゆだねられないという一点が先ほど申し上げました憲法二十一条なんですね。そこには出版という文字が入っております。それで、これに抵触するときには、先ほど言いましたように、個人情報保護法は反対のキャンペーンを張って、意見広告も出したりいろいろやっております。それで、最近では探偵業法、あるいは犯罪基本計画案ですかね、昨年、一昨年ですか、これにも声明文を出しております。
 ですから、前提となることが、やはり社会的にこの憲法二十一条に抵触するんではないかというときには利害を一致させて、正にこの会の目的に沿った形での反対表明活動を続けております。
 今回提出されております手続法案に関しましては、それぞれ各社いろんな意見があったりいろんな問題がありますけれども、私どもはそれに対する制約とかは全く加えておりません。もし、今日ここに参るまでに時間はなかったんですけれども、時間があったとしてもその辺については意思一致して統一見解を出すことはないと思います。
 最後に、立法府にこうやってお招きいただいたのでちょっと述べさせていただきますけれども、言論機関にとって、特に出版社にとって忘れられないのは、戦時中、戦争中に起こった横浜事件というのがございます。これは治安維持法違反で、当時の改造とか日本評論社とか中央公論の社員が捕まりまして、横浜で拷問の上、四人が亡くなり、一人がその後亡くなって、結局それは、治安維持法違反という法律だったんですけど、これが戦後なくなりましたので、いわゆる名誉回復のための訴訟を起こした。そのことに関しましては、免訴といって、もう法律がないからこれはもう外すということ。その後、控訴しましてもそれは退けられました。
 私どもは、出版人といたしましては非常に肝に銘じておかねばいけない事件でしたので、いまだにまだ最高裁の方で闘っておりますけれども、やはり一度法律ができて、その運用次第ではやはり言論機関というのは、当時の政権の目的に合わない場合にはこういう目に遭うんだということをやはり私どもは学んでおりますし、これをやはり繰り返してはいけないという立場は今後も貫いていきたいと思っております。
 これは別に国民投票法案とは関係ないかもしれませんけれども、言論の自由とか表現の自由というのが民主主義を支える基盤にあるということをくれぐれもやっぱり認識した上で、私どもも人権尊重しつつやっていきたいと思っております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 山了吉

speaker_id: 14223

日付: 2007-04-27

院: 参議院

会議名: 日本国憲法に関する調査特別委員会