日本国憲法に関する調査特別委員会

2007-04-27 参議院 全113発言

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会議録情報#0
平成十九年四月二十七日(金曜日)
   午後零時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     松岡  徹君     島田智哉子君
     仁比 聡平君     吉川 春子君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     近藤 正道君     福島みずほ君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         関谷 勝嗣君
    理 事
                岡田 直樹君
                中川 雅治君
                舛添 要一君
                広田  一君
                前川 清成君
                簗瀬  進君
                荒木 清寛君
    委 員
                岩城 光英君
                太田 豊秋君
                荻原 健司君
                木村  仁君
                佐藤 昭郎君
                櫻井  新君
                田中 直紀君
                中島 啓雄君
                中曽根弘文君
                野村 哲郎君
                山本 順三君
                大久保 勉君
                小林 正夫君
                芝  博一君
                島田智哉子君
                津田弥太郎君
                那谷屋正義君
                白  眞勲君
                藤末 健三君
                水岡 俊一君
                澤  雄二君
                山下 栄一君
                鰐淵 洋子君
                吉川 春子君
                福島みずほ君
                長谷川憲正君
   事務局側
       日本国憲法に関
       する調査特別委
       員会及び憲法調
       査会事務局長   小林 秀行君
   参考人
       社団法人日本新
       聞協会編集小委
       員会委員長    石井  勤君
       社団法人日本新
       聞協会編集小委
       員会副委員長   石野 伸子君
       社団法人日本新
       聞協会編集小委
       員会委員     大久保好男君
       社団法人日本雑
       誌協会編集倫理
       委員会委員長   山  了吉君
       社団法人日本雑
       誌協会個人情報
       ・人権問題特別
       委員会委員長   鈴木  哲君
       社団法人日本雑
       誌協会専務理事  勝見 亮助君
       社団法人日本民
       間放送連盟報道
       委員会委員・報
       道小委員長    渡辺興二郎君
       日本放送協会理
       事        石村英二郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○日本国憲法の改正手続に関する法律案(衆議院
 提出)
    ─────────────
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関谷勝嗣#1
○委員長(関谷勝嗣君) ただいまから日本国憲法に関する調査特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、仁比聡平君、松岡徹君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君、島田智哉子君が選任されました。
 また、本日、近藤正道君が委員を辞任され、その補欠として福島みずほ君が選任されました。
    ─────────────
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関谷勝嗣#2
○委員長(関谷勝嗣君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 日本国憲法の改正手続に関する法律案の審査のため、本日の委員会に社団法人日本新聞協会編集小委員会委員長石井勤君、社団法人日本新聞協会編集小委員会副委員長石野伸子君、社団法人日本新聞協会編集小委員会委員大久保好男君、社団法人日本雑誌協会編集倫理委員会委員長山了吉君、社団法人日本雑誌協会個人情報・人権問題特別委員会委員長鈴木哲君、社団法人日本雑誌協会専務理事勝見亮助君、社団法人日本民間放送連盟報道委員会委員・報道小委員長渡辺興二郎君、日本放送協会理事石村英二郎君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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関谷勝嗣#3
○委員長(関谷勝嗣君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
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関谷勝嗣#4
○委員長(関谷勝嗣君) 日本国憲法の改正手続に関する法律案を議題といたします。
 本日は、国民投票とメディア規制等について参考人から意見を聴取し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、石井参考人、山参考人、渡辺参考人、石村参考人の順にお一人十五分程度で順次御意見をお述べいただきまして、その後、各委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の方々の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、石井参考人からお願いいたします。石井参考人。
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石井勤#5
○参考人(石井勤君) 石井でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、全国の新聞、通信、放送、百三十九社で構成しております日本新聞協会を代表して意見を述べさせていただきます。
 憲法改正にかかわる国民投票制度を創設すべきか否か、あるいは憲法を改正すべきか否かなどにつきましては、報道各社それぞれの社論がございます。新聞協会の見解として、これらについて統一的なものを取りまとめているということはございません。したがいまして、本日は国民投票制度とメディアの関係、専らその中でも報道、言論の自由という観点から意見を述べさせていただきます。
 日本国憲法は、二十一条で言論、表現の自由を規定し、保障しております。いかなる状況下におきましても報道の自由は確保されなければならず、法律をもって報道、論評の自由を制限することは憲法の精神にも反することであるというふうな、これが新聞協会の基本的な考え方でございます。しかも、国民投票制度が対象といたしますのは憲法に関する論議でございます。憲法は国民主権の根本にかかわる最高法規であり、憲法をどのように改正するのか、あるいは改正しないのかも含めまして、幅広く国民的な論議が求められるテーマであるというふうに考えております。そうした重要なテーマを国民的な議論といたすためには、自由で活発な意見表明、報道、論評がより以上に尊重され、保障されるべきであると新聞協会は考えております。これまでどおり自由な報道、論評活動を保障することが、活発な憲法議論につながるものと確信しております。
 論評の自由については強調して更に述べておきたいと思います。
 現在の新聞の取材、報道内容に関して、法律による規定はございません。新聞の発行も自由であると。新聞各社は、報道機関であると同時に言論機関でございます。自らの主張、意見を表明し、紙面に掲載しております。何をどう取り上げ報道するか、どう論評し主張するかは、報道各社の自主的な判断で行われております。そうした自由で独立した新聞が多数存在することが前提となりまして、どの新聞を購読し、どう受け止めるのか、読者の判断、選択にゆだねられているというふうに考えております。
 憲法に関する自由な論議を通しまして、国民は自ら憲法問題について考え、判断し、その自由意思の下で国民の合意が形成されていく必要があるというふうに考えております。そのためにも、報道機関には国民に幅広い情報、判断材料を提供していく責務があるというふうに考えております。
 公職選挙法に基づいた知事、市町村長あるいは議員の選挙報道と憲法改正に関する国民投票にまつわる報道とを結び付けて論じることにも無理があるというふうに考えております。
 公職選挙法は、候補者、政党を選択する選挙制度における公正さを確保するための法律でございます。一方、憲法改正に関する国民投票制度、手続は、国の今後の在り方を選択するための制度であると言えると思います。その目的、性格も異なり、憲法改正に関する報道は、論評を含めて自由でなければならないというふうに考えております。
 国民投票制度におきまして、報道、論評にかかわる法規制は持ち込むべきではないと、これが先ほど来申し上げていることです。あくまで報道機関の自主的な対応にゆだねる必要があると。
 新聞協会は、国民の知る権利にこたえるため、言論の自由の下、高い倫理意識を備えたメディア、あらゆる権力から独立したメディアが存在することの重要性を訴え、自らを厳しく律するために新聞倫理綱領を定めております。新聞協会加盟の報道各社は、この新聞倫理綱領の精神にのっとり、自主的、自律的に正確な報道、責任ある論評を展開しているというふうに自覚しております。
 新聞各社は、自主的な判断あるいは規律の下、国民に幅広く情報を提供し、国民の判断材料となる多様な情報を届けることを使命としております。自由な報道を通じまして、国民の間で活発な論議が展開される環境が欠かせないというふうに考えております。
 新聞各社は、新聞倫理綱領の精神にのっとるだけではなく、報道を対象にした第三者機関を各社で設けるなど、外部の意見を真摯に受け止める体制を整えております。お手元に参考資料がございます。各社の今の第三者機関の状況です。ごらんいただければと思います。
 そのようにして、外部の意見を真摯に聴く構えを取りながら日ごろの取材、報道を行っております。民主主義社会を構築し、守るために、日本社会は戦後、言論、報道の自由を保障し、法律によるのではなくメディアの自律的な対応にゆだねてきたと、誇るべき歴史を築いてきたと言えるのではないでしょうか。私ども報道各社は、憲法改正にかかわる報道、論評活動におきましても、報道、言論の自由の下、正確で公正な報道、責任ある論評を展開する所存でございます。
 以上、新聞協会としてはこのような意見を述べさせていただきます。
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関谷勝嗣#6
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、山参考人にお願いいたします。山参考人。
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山了吉#7
○参考人(山了吉君) 社団法人日本雑誌協会編集倫理委員長をやっております山了吉と申します。
 本日は、このような発言の機会をいただきましてありがとうございました。大変重要な法案だと思いますので、私だけではなくて、個人情報・人権問題委員長の鈴木哲委員長、それから日本雑誌協会の専務理事の勝見亮助、三人で参りました。それぞれ専門とするところとか得意とするところがございますので、質疑応答のときには私だけではなくて答えていただこうと思っております。
 私は、今回このような形で発言の機会をいただくことに関して唐突でしたので昨日打合せをしたりいろいろしたんですけれども、法案の細目についてまではいろんな形で論ずることはできませんでした。ただし、衆議院で昨年この三人のメンバーで意見表明をしたり質疑応答しておりますので、それに基づいてまた具体的にお答えしていければと思っています。
 まず最初に、お手元にあります日本雑誌協会の小さなパンフレットございますけれども、これの三十一ページに、日本雑誌協会とはどういう機構とどういう目的かという沿革及び機構が書いてあります。その中に、雑誌の出版を通じて文化の発展を期するため、出版倫理の向上を図り、その他雑誌共通の利益を擁護することを目的としてということであります。共通の利益を図るということは、共通の利害に立って団体として活動していくということなんですけれども、この趣旨というのは、その次の三十四ページにもあるんですけれども、雑誌倫理綱領にもあるんですけれども、先ほど新聞協会の方がおっしゃいましたように、現行憲法の二十一条に言論、出版の自由は、これを保障するという、保障という言葉を強く書かれている二十一条ございます。これ、例えば自由民主党の今度の新憲法草案を読みましても、はっきり出版というのは明記されております。
 ところが、後から申しますけれども、出版に対して、雑誌に対するいろんな考え方もあるんでしょうけれども、この間法律では何度も出版とか雑誌を入れてくれということを言いますと、大体はね付けられてきた経緯がございます。特に、個人情報保護法とか人権擁護法案あるいは青少年有害社会環境対策基本法とか、この辺はメディア規制三法と言われておりまして、我々の中ではこれに対して反対をずっとしてきておりますけれども、その論拠となることがこのいわゆる憲法二十一条なんですね。
 雑誌というのは、ごらんになったらお分かりのように、例えば「正論」という雑誌は日本国憲法の正体、「世界」はこういうようにあります。「サピオ」という雑誌なんかもあります。雑誌というのは、要するにいかなる意見も言論も、それは自由に交わしていいと。むしろ憲法改正賛成とか反対とかということを論議する場をなくすことが問題なんだということに立っております。
 これは皆さん、十分お分かりだと思うんですけれども、前回衆議院のときに、法案の中に、報道機関は虚偽の事実を報道、又は事実を歪曲して記載するなど、表現の自由を濫用し、国民投票の公正を害することないようにということで、報道基準の策定、報道に関する学識経験者を構成員とする機関の設置など、自主的な取組に努めるものとするという文言が入っていたんですね。それに対して、私どもだけではなくて、新聞協会、民放連あるいはNHK含めて、一体虚報、うその報道とは何を指すのかとか、あるいは事実を歪曲するとはどういうことかと、あるいは公正を害するとはどういうことなんだということで、大変疑義を呈しました。その結果、今回の国民投票法案にはその条項は落ちております。
 私どもも、憲法改正の手続法が、いつ作るか、今なぜこういう形でできるのかということに対しては、それぞれの立場上いろんな議論がありました。しかし、手続法はやっぱり手続法として作らざるを得ないだろうと。しかし、その中にメディア規制の条項があるということはどういうことなんだということです。雑誌なんかは、特にメディアとしてはぶれが大きいわけですね。極端に言えば、右から左まで自由な論調、識者の見解を載せるわけですね。
 そういう意味では、是非こういう形で規制を加えるような条項は外してくれということで前回衆議院では私申し上げました。そのとおり受け入れられて、そんなに深くは読んでおりませんけれども、新しい手続法案にはそこのところは外されております。
 雑誌協会全体の規定で、今回の国民投票法案の年齢の問題とか、あるいは投票率の問題とか、あるいは公務員とか教員の政治参加の問題とか、あるいは今度の国民投票法案を憲法に限るのか、それとも生命倫理とか統治機構なんかに及ぼすのかという議論がありますけれども、それぞれのことに関して統一的な見解は持っていませんし、これはもう雑誌協会としては持ちません、はっきり言って。といいますのは、もうそれぞれの出版社のそれぞれの雑誌の編集長の編集方針によって決まるものですから、それにゆだねております。
 それがゆだねられないという一点が先ほど申し上げました憲法二十一条なんですね。そこには出版という文字が入っております。それで、これに抵触するときには、先ほど言いましたように、個人情報保護法は反対のキャンペーンを張って、意見広告も出したりいろいろやっております。それで、最近では探偵業法、あるいは犯罪基本計画案ですかね、昨年、一昨年ですか、これにも声明文を出しております。
 ですから、前提となることが、やはり社会的にこの憲法二十一条に抵触するんではないかというときには利害を一致させて、正にこの会の目的に沿った形での反対表明活動を続けております。
 今回提出されております手続法案に関しましては、それぞれ各社いろんな意見があったりいろんな問題がありますけれども、私どもはそれに対する制約とかは全く加えておりません。もし、今日ここに参るまでに時間はなかったんですけれども、時間があったとしてもその辺については意思一致して統一見解を出すことはないと思います。
 最後に、立法府にこうやってお招きいただいたのでちょっと述べさせていただきますけれども、言論機関にとって、特に出版社にとって忘れられないのは、戦時中、戦争中に起こった横浜事件というのがございます。これは治安維持法違反で、当時の改造とか日本評論社とか中央公論の社員が捕まりまして、横浜で拷問の上、四人が亡くなり、一人がその後亡くなって、結局それは、治安維持法違反という法律だったんですけど、これが戦後なくなりましたので、いわゆる名誉回復のための訴訟を起こした。そのことに関しましては、免訴といって、もう法律がないからこれはもう外すということ。その後、控訴しましてもそれは退けられました。
 私どもは、出版人といたしましては非常に肝に銘じておかねばいけない事件でしたので、いまだにまだ最高裁の方で闘っておりますけれども、やはり一度法律ができて、その運用次第ではやはり言論機関というのは、当時の政権の目的に合わない場合にはこういう目に遭うんだということをやはり私どもは学んでおりますし、これをやはり繰り返してはいけないという立場は今後も貫いていきたいと思っております。
 これは別に国民投票法案とは関係ないかもしれませんけれども、言論の自由とか表現の自由というのが民主主義を支える基盤にあるということをくれぐれもやっぱり認識した上で、私どもも人権尊重しつつやっていきたいと思っております。
 以上です。
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関谷勝嗣#8
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、渡辺参考人にお願いいたします。渡辺参考人。
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渡辺興二郎#9
○参考人(渡辺興二郎君) 本日は、発言の機会を与えていただき、誠にありがとうございます。
 私は、日本民間放送連盟で報道小委員長を務めておりますテレビ朝日の渡辺と申します。よろしくお願いいたします。
 我々民放連では、昨年の四月以降なんですが、何度かにわたりまして衆議院の憲法調査特別委員会に出席させていただきました。その中で、国民投票法案とメディアとの関連につきまして意見を申し述べてきた経緯がございます。本日も、その憲法改正の手続を定める国民投票法案の今回の修正法案について、放送メディアの立場から意見を申し上げたいと存じます。
 民放連が昨年の四月に意見を申し述べたときは、報道に対する規制を法案に盛り込むべきか否かというところが我々にとって大きな論点となっておりまして、そのことに対しては反対という立場で申し上げました。その折も何回か申し上げたことなんですけれども、憲法改正のための国民投票が行われる場合には、国民が何の束縛も受けずに自由に議論して、できるだけすべての人がその内容を十分理解して投票することが不可欠であろうと考えております。テレビや新聞、雑誌で憲法を変えるということについて連日のように報道が行われて、それこそあらゆる家庭や職場で多くの議論が闘わせる中で国民がその判断を下すときに初めて真の国民主権が実現するということになると考えております。
 こうしたことから見ますと、報道規制はあるべきではないということは言うまでもありません。その意味でも、いま一度我々は報道機関としまして、憲法改正という国の骨格を定める重要な問題につきまして、国民一人一人が熟慮して討議するために必要かつ十分な情報や論評を伝えることが不可欠であるという立場に立ちまして、憲法改正手続を考える際には、何よりも国民主権の原点に立ちまして自由な討議を通じて浮かび上がってきます国民の良識を信頼することが基本であろうと、そうした状況下において報道機関に対する一切の規制は不要だというのが我々の基本的な立場であるということをこの場で改めて申し上げたいと思います。
 そうしたことを踏まえますと、昨年来、国会の場で皆様方の真摯な御議論を経て、このたび衆議院で可決されました国民投票法案の併合修正案には、我々放送メディアとしては看過できない点が散見されますので、以下、具体的に意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず最初に、今回の案文で新たに加わった第百四条についてでございます。
 ここでは一般放送事業者等、これは民間放送のことを言いますが、一般放送事業者等に対して、「国民投票に関する放送については、放送法第三条の二第一項の規定の趣旨に留意するものとする。」という条項が新たに加わっております。この条項につきましては、これまでの国会審議の中でも、また昨年十二月に与党、野党の双方から示されました修正方針の中でも集中的な議論や具体的な論議があったものではないというふうに記憶しております。我々にとりましては余りに唐突であり、違和感を否めないというのが正直なところでございます。
 昨年の国会審議の中で既に何度も申し上げましたけれども、放送事業者は放送法に基づいて既に自律的な取組を行っており、新たな規定を設ける必要は全くなく、たとえそれと同じことが国民投票法案に盛り込まれるとしても、それは看過できないということを申し上げたいと思う次第でございます。
 改めて申し上げるまでもございませんけれども、この放送法の三条二の一の規定というのは、一般的には番組編集準則と呼ばれているものでございます。四項目ございます。公安及び善良な風俗を害しない、公序良俗ですね、それから政治的に公平である、報道は事実を曲げない、それから最後に、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにせよ、これは多角的論点の提示でございます。これに基づいて、我々放送事業者は、放送法三条の三に規定されます番組基準をそれぞれが自主的に定めて公表しまして、常に番組の適正化を図ることによって、自律することが保障され、かつ求められているというふうに受け止めております。
 国民が憲法改正の是非を自由に議論する雰囲気をつくり上げるためにも、一方に偏らない放送を心掛けていくということは、放送法の規定をまたずとも、我々放送事業者には当然のことでございます。したがいまして、あえて国民投票法案の中に、たとえそれと同じ趣旨の条項が盛り込まれることについても、それは不要であろうというふうに考えております。
 これにつきまして、発議者の一人である衆議院の船田先生ですが、今月十七日の特別委員会におきまして、新たに規制をするということではない、現行法にのっとった上でそれを遵守してほしいという正に留意事項である、新たな法規制を設けたものではないとおっしゃっております。であるならば、設ける必要は逆にないのではないか。私どもは、既に放送法によって、国民投票に関する放送だけではございません、あらゆる事象について留意しておりまして、国民投票に関する放送についてあえてこのような規定を設ける必要はないということを繰り返し申し上げておきたいと思います。
 また、法案にございます趣旨に留意するという文言につきましても、どのような意味なのかと。例えば、法案で想定されております国民投票広報協議会が放送の内容について何らかのチェックを行うようなことがあるのかないのか、また現行の放送法との関係等々、さらに、放送番組の内容について公権力が介入して判断を下すことに問題はないかなど、様々な側面で危惧を抱かざるを得ないというのが正直なところでございます。
 さらにもう一点付け加えますれば、この規定が一般放送事業者、つまり私ども民間放送事業者だけに限定されているということにつきましても違和感がございます。放送法第三条の趣旨は、御案内のように、民放、NHKを問わず、あらゆる放送事業者に共通する考え方でございます。この条文によって民放だけにこの規定を留意せよというのは、やはり我々としては、番組編集の自由の観点から看過できない問題だというふうに考えております。NHKに対してと同様に、我々民放に対してもこのような規定を適用すべきではないと考えております。
 我々放送メディアの使命と申しますのは、一つ一つの社会事象に対して多様な多角的な論点から考えるための材料を分かりやすく伝えるということにあると思います。一方、我々のメディアは、放送法によりまして自律することが保障され、自主的に番組基準を策定して、自浄努力をもって運用しております。NHKとともにBPOという第三者機関も設置しております。番組の内容に関する日常的なチェックなどの業務も様々留意、配慮をしながら実際の放送に結実させているところでございます。もちろんこれは完璧とは言えず、これまでも様々なおしかり、御批判をいただくことは決して少なくございませんでした。しかし、そうした我々の努力に今後とも御理解をいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
 したがいまして、憲法改正に関する放送、報道活動全般につきましては、放送法によって既に完備されている放送事業者の自主自律による番組編集の自由と、これまでの放送の長い歴史の中で培われたノウハウにゆだねていただきたいということを改めて強く申し上げたいと思います。百四条を盛り込むことにつきましては、是非とも慎重な御審議を重ねていただきたいと思います。
 もう一点、国民投票運動のための広告放送の制限に関する条項について意見を述べさせていただきます。
 昨年の国会審議の段階では、国民投票運動のための広告放送を投票日前の七日間は禁止するとされておりました。これについては、昨年六月の衆議院での特別委員会、十一月での小委員会でも私ども民放連が申し上げましたとおり、投票日直前の期間における広告放送であっても法律によって禁止する規定を国民投票法案に盛り込むことについてはやはり反対させていただきました。
 その際の我々の主張のポイントなんですが、放送メディアの使命、役割を考えると、広告放送であっても報道と同様に法律で規制されるべきではない、民放各社は番組基準を定めて視聴者保護の観点から広告の品質管理を自主的に行っている、さらに、憲法改正の賛否に関する意見広告の場合に、出稿されるCM全体の中でバランスを図ることになりますけれども、公平公正の確保への配慮は放送の自律に任せるべきであるというものでありました。
 しかしながら、今回の法案では、百五条で広告放送の禁止期間が二週間、十四日に拡大されております。我々は、時間の長短というよりも、このような規制が盛り込まれること自体、反対との立場は変わっておりません。
 その理由は、投票直前は憲法改正に関する議論が最も活発になされるべきであって、主権者たる国民の関心も最も高まる時期であること、さらに、テレビやラジオが国民の情報取得の大きな手段であることを考えたときに、これを利用した広報活動の一切を禁止するということは主権者たる国民の正しい判断の道を著しく損ねることになりかねないからであります。その意味で、この条項が削除の方向で検討されるのではなくて逆に期間が延ばされたということにつきましては、率直に申し上げて残念でなりません。
 取りあえず、民放連からはこのように見解を表明させていただきます。
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関谷勝嗣#10
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 次に、石村参考人にお願いいたします。石村参考人。
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石村英二郎#11
○参考人(石村英二郎君) 日本放送協会の石村です。報道担当の理事を務めております。
 憲法改正に関する国民投票制度について、主としてメディアとのかかわりの観点から意見を述べさせていただきたいと思います。
 このテーマに関しましてはこれまでに私自身衆議院の特別委員会で二度ほど参考人として意見を述べていまして、重複する部分もあると思いますけれども、御了承願いたいと思います。
 憲法九十六条に規定されている憲法改正の手続のための法律がこれまで整備されておらず、法整備を議論すること自体は大変意義のあることと考えております。ただ、どのような内容で、どのようなタイミングで仕上げていくか、これはもう当然のことながら立法府である国会で十分議論して決めていただければと思っております。
 まず、NHKの基本姿勢なんですが、NHKとしては、公共放送として、また報道機関として、自主自律の立場で公平公正に様々な情報を的確に分かりやすく放送しております。また、番組の編集に当たりましては、放送法に示された基本的な考え方やNHKの国内番組基準と新放送ガイドラインに基づいて質、量ともに多角的な放送に取り組んで国民視聴者の要望にこたえていると考えております。こうした基本的な姿勢を踏まえて幾つか考えを述べさせていただきたいと思います。
 まず、国民投票運動とテレビの影響力についてですが、現代社会の中でマスメディアの影響力、とりわけテレビの影響力が大きいことは我々放送事業者としては十分に認識しております。とりわけNHKに対するこうした問題に対する期待が強いことも感じております。
 それらのことを十分踏まえつつ、仮に憲法改正が発議されて国民投票運動が行われる場合には、事前の段階はもとより、運動期間中でも報道は原則として自由であるということをやっぱりきちんとするということが望ましいと考えております。
 NHKを含めました放送事業者に関しては、放送法に様々な規定が設けられてあります。先ほど渡辺さんからもありましたけれど、放送法の三条二の一項では、国内放送の放送番組の編集に当たって四つの基本的な準則を示しております。一つ、公安及び善良な風俗を害しないこと、二つ、政治的に公平であること、三つ、報道は事実を曲げないですること、四つ、意見が対立している問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにすること、以上四点です。NHKはこれまでもこれら四つの規定を遵守して取材、制作、放送に当たっております。今後とも堅持してまいる考えでございます。
 また、放送法の規定を受けて、国内番組基準を定めて公表しております。この中では、全国民の基盤に立つ公共放送の機関として、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を守って、放送による言論と表現の自由を確保し、豊かで良い放送を行うことによって公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くすことを表明しております。その上で、政治上の諸問題は公正に扱うこと、意見が対立している公共の問題についてはできるだけ多くの角度から論点を明らかにして公平に取り扱うことなどを定めて日々放送に取り組んでおります。
 それから、投票運動の百四条関連について、私の方からも一言申し上げたいと思います。
 放送法の三条二の第一項の規定の趣旨に留意するという条文が与党の修正案に盛り込まれております。参議院のこの特別委員会の議事録を読みますと、この規定を追加したことについて与党の発議者の答弁では、マスコミ規制は国民投票活動を活発に行うためにはなるべくない方が望ましい。しかし、一部の報道において番組内容が捏造される事態も起きている。事実と違う内容を伝えたり意見が分かれているときに一方的なコメントをしたりすることは良くない。新たな規制ということでなく念のための措置として設けた。放送事業者があくまで自主的に対応してほしいという趣旨である。おおむねこのような発言をされております。
 もちろん、事実の捏造などということがあってはならないことは言うまでもないことです。こうした問題が発生した際には、まず当該放送局自らが問題の全貌を早急に把握して公表し、併せて再発防止に向けた対策も発表することが第一だと考えております。自浄能力を発揮できないようであれば、視聴者の信頼を失うことは明らかだと思います。NHKは、こうしたことはないよう常に緊張感を持って日々の報道に当たっております。
 国民投票法案の中に放送事業者だけを取り上げて報道に関する規定を置く必要性があるのかどうか。放送法の規定で十分足りているのではないかと私は思っております。
 次に、有料の広告放送の規制についてです。
 まず、テレビとラジオのメディアにおける意見広告、有料の広告放送をどの程度認めるかという点です。
 我々は、報道機関として表現の自由、報道の自由を守るべきであると申し上げております。報道は原則自由であるとの立場からいえば、一般論として有料の広告放送も原則自由であると思います。ただ、NHKの場合は公共放送で、放送法四十六条で他人の営業に関する広告放送は禁止されています。この点、民間放送とは全く違う立場です。
 その一方で、資金量によって放送される賛否の量が著しく偏るようなことがあれば、これまた好ましくない状態になろうと思います。こうした点も踏まえて、衆議院の特別委員会で民主党が出された修正案では、憲法改正の発議の後の有料広告は全面禁止という規定になっていたと承知しております。
 諸外国の例を見ますと、広告等を放送できる期間に一定の歯止めを掛けている例もあるようですが、賛否の放送量がなるべく同じくらいになるよう工夫することも含めて、民間事業者を交えた形で自主的な取組として更に検討すべき点があるんじゃないかと思っております。
 それから、投票日の十四日前から広告放送を制限することについてですが、十四日前とした理由について、与党の説明では、期日前投票が始まる期日に合わせる形で規定したと述べられています。この制限規定は、一般の放送事業者、つまりNHK以外の民間放送に関する規定であると理解していますので、余り主体的に申し上げることはないかと思いますけれども。
 ただ、常識的に考えて、これは取材するマスコミの記者の一人として考えてみますと、投票二週間前というのは投票日に向けて盛り上がってくる時期に当たると思います。その時期に一切の広告放送が禁止されることが本当に国民にとって適切なことなのかどうか。国民の知る権利にこたえることになれるのかどうか。あくまで報道機関として一般論として述べれば、原則に返って、報道は原則自由であるとの法案の趣旨を踏まえて、放送事業者の自主的、自律的な判断と対応を是非尊重していただけるよう審議の中で議論していただきたいと思います。
 それから、政党と政党が指名する団体に無料放送を認めることについて一言申し上げます。
 与党の修正案では、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、憲法改正案に対する賛成又は反対の意見を無料で放送することができる、NHKや一般放送事業者は、政党等が録音、録画した意見をそのまま放送しなければならないとの趣旨が規定されています。あわせて、政党等は、両議院の議長が協議して定めるところにより、当該放送の一部を、指名する団体に行わせることができると規定しております。
 衆議院の特別委員会では、国会に議席を有する政党だけが無料で放送を使うことが適当なのかどうか、更に議論していただきたいと私は述べました。その上で、政党以外に認めない場合の合理的な理由、政党以外に認める場合の判断基準について更に具体的な検討が必要であるとも述べました。
 指名する団体が追加されたということは、賛否を含めた意見表明の幅が広がるという意味では一歩前進という側面があるかと思います。ただ、両議院の議長が協議して定めるところはどういう規定になるのかはっきりしていません。また、政党が指名する団体が、政党と同じような主張をするのであれば幅が広がるとは言えないというふうに感じております。
 最後に、折しももう来月は憲法施行六十年目の節目に当たります。NHKは、国民的な議論、判断の材料になるニュースや番組をなるべく丁寧に多角的に伝えて、幅広く情報を提供していきたいと考えております。
 御清聴ありがとうございます。
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関谷勝嗣#12
○委員長(関谷勝嗣君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、大変恐縮でございますが、各委員の質疑時間は限られておりますので、簡潔に御発言いただきますようお願い申し上げます。
 質疑のある方は順次御発言願います。
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木村仁#13
○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。
 皆様には、大変超御多忙の中を御出席をいただきまして貴重な御示唆をいただきまして、心から御礼を申し上げます。
   〔委員長退席、理事中川雅治君着席〕
 まず、石村参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、再三言葉が出てまいりますように、NHKは公共放送として、国会に設けられます国民投票広報協議会、これが行います広報宣伝とある意味ではタイアップをしながら、国民に広く改正憲法案の十分な周知徹底を図るという役割も果たしていかれるのではなかろうかと思いますが、その面について、自主、自由な放送との関連もありますけれども、どのような態度で臨まれるか、その点をお尋ねいたしたいと思います。
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石村英二郎#14
○参考人(石村英二郎君) 木村委員おっしゃっているとおり、当然報道機関として、もし仮に憲法改正が発議されれば、それを周知するための様々な報道機関としての報道の仕方等もあると思います。あわせて、国民に周知していくという役割も、そうした報道機関としての本来の立場をきちんと伝える中でやっていきたいと。それ以外に、これからどうなるか分かりませんけど、公職選挙法みたいな政見放送のような形での、いろんな形での立法府のいろいろ御決定が出て、そっちの方の部分が出てくれば、そちらの方もしっかり法律で決まればNHKとしてその部分もきちんと伝えるという話になるんじゃないかなと思っております。
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木村仁#15
○木村仁君 渡辺参考人に御質問いたしますけれども、一般の民放はもちろん独自の判断で番組を組まれていくわけでありますけれども、やはりその公共性ということはあろうと思いますから、この広報協議会の活動と言わば呼応する形で、国民に改正原案の内容を十分知らせるという役割も積極的に果たしていただいたらいいなと。視聴率等の関係でNHKだけ皆見るわけでもありませんので、そういうことを期待いたしたいと思いますが、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
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渡辺興二郎#16
○参考人(渡辺興二郎君) 木村先生にお答え申し上げます。
 報道機関としての基本的なスタンスは、先ほどNHKの石村さんがおっしゃったこととベースは同じでございます。憲法改正という極めて重要な問題を、先ほど申し上げたんですが、議論をするときに、やはり報道機関、テレビの持つ役割は極めて大きいということは自覚しております。これも申し上げましたけれども、できるだけたくさんの意見を多角的な論点から提供して有権者、国民の皆様に御判断を仰ぐという、その役割を果たしているのが我々だというふうにも認識しておりますので、仮にそういう事態になったときにはそういった方向で報道活動をしていきたいというふうに考えております。
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木村仁#17
○木村仁君 憲法改正が発議されるということになると、これは国民的な非常に大きな言わば歴史をつくっていく過程でございますから、公共放送、民放を問わず一つのやはり国民的義務というものを果たしていっていただきたいなという気持ちでございます。
 それから、新聞の関係につきまして一つお尋ねいたしますけれども、我々も主要な新聞が、この新聞は憲法改正賛成である、この新聞はどうも反対らしいということを何となく承知をいたしております。そして、実際に発議になって報道されるということになると、やはり先ほど御説明がありましたように、そのそれぞれのメディアの主張される部分と、それから客観的に報道される部分と、それからいろんな分野で賛成、反対の論者に場所を提供される部分、そういうものがあろうかと思います。
 むしろ、私どももかつて経験いたしましたけれども、ヒラリー・クリントンがニューヨークに出てきて上院議員に立候補したときに、ニューヨーク・タイムズは、この候補者はカーペットバッガーであるからこの候補者に投票してはならないということを明確に宣言して報道をしておられました。そうしますと、我々はそれを読んで、その新聞の主張する部分と、それから客観的な報道の部分ということを読み分けることが可能でございます。
 憲法改正という、大きなイベントと言うといけませんが、歴史的な事態に対して、各新聞はそのような明瞭な立場をお取りになってはどうかと思いますが、日本の新聞の場合、そういうことが許されるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
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石井勤#18
○参考人(石井勤君) お答えいたします。
 新聞の場合には、報道機関としての役割、それから言論機関としての役割と両面あるというふうに考えております。報道の場合には、事実を偏りなく、ゆがみなく、ありのままに伝えるということを努力いたします。言論機関の役割としては、自らの社論というものが先ほど先生がおっしゃったようにございます。そのほかに、世の中の言論、これを多様に、多角的に伝えるその器としての役割というものがあるというふうに考えております。
 ですから、報道機関としての報道、自らの社論の提示、それから世の中の幅広い言論の紹介というものを分かりやすく、交ぜることなく読者に提供すると、読者が誤解なくそれを受け止めるということを各社心掛けております。それが公平で公正な報道と、あるいは報道の論評の自由の裏付けということになるというふうに考えておりますので、そこはこれからも、憲法改正というような議論になりました場合には、更により慎重にそこを踏まえていくということになるというふうに理解しております。
 以上です。
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木村仁#19
○木村仁君 私ども、一般的な印象として、社説はもうその新聞の主張であると、それから明瞭な、書いた人の、記者名が入った記事、これはある程度そういうものであろうと思う。ところが、そうでない本当の報道記事の中にかなり我々を惑わすような記事があることも事実でございまして、憲法改正の議論においてはそこ辺りをもう少しはっきりと、これは報道である、これは主張である、これはその新聞という場所を人々に提供した言論の場であるというようなことが分かるようになればいいなという希望を申し上げる次第でございます。
 山参考人に一つだけ、参考人のお仕事の背景に関連してお尋ねしたいと思いますが、十八歳以上の方が投票権を持つ、これらの方がいろんな報道に対して関心を持つことは、持たない人も大変多いかと思いますけれども、持つことは当然でありますけれども、その十八歳未満の、高校生で十八歳に達しない人とか、あるいは中学、小学校、こういう子供たちも、憲法改正という大きな歴史的事態において、それのいろんな形で関心を持ち認識を深めていくことは非常に日本の将来にとっては重要だと思いますが、数多くある雑誌の中でそういった年齢層に焦点を当てた雑誌があるとするならば、その方々があるいは自主性を失わない範囲で話し合ってそういう教育のキャンペーンを取られたらどうかなという気持ちがしておりますが、ちょっと御所見をお願いしたいと思います。
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山了吉#20
○参考人(山了吉君) 年齢の問題について今の御意見、確かに雑誌の種類によっては、例えば私どもの会社でやっている学年雑誌なんかについても、小学校五年生、六年生になりますとやっぱり社会的なかかわりをどうやって持つかということで、具体的な社会とのかかわりの記事あるいは考えるべき内容を提起していったりしておりますし、年齢というのが、まあ少年法の改正とつながるとは思うんですけれども、一般総合雑誌においても年齢については様々な意見がございますので、年齢については各誌それぞれの編集長の判断というのが正直なところでありまして、なるべく今の世の中にとってこの年齢ということを余りこだわらないで、それぞれがやはり果たすその年齢年齢の役割といいますか、ある程度知っておかなきゃいけないこと、あるいは考えておかなきゃいけないことがあると思いますので、その辺のところは今の御意見を参考にして、十分考えて編集長あるいは雑誌協会で取り上げていきたいと思っております。
 ありがとうございました。
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木村仁#21
○木村仁君 以上、各参考人のお話を聞いて、多分我々が立法過程においてやや心配するような事柄もそれほど心配することはなく、恐らく国民の議論を大いに盛り上げる役割を言論界の皆様が果たしていただけるものと、そう思っておりますので、次に、若干私見を交えて専門家としての皆様の御感触をお尋ねしておきたいと思います。
 広報協議会の構成でありますとかその活動の内容について、この委員会でも様々な議論がございます。我々が常識で考えるところは、この広報協議会というのは本当に中立公正の立場で、そして賛成意見、反対意見を十分に国民に知らせるための活動をするものだと、そういうふうに考えるわけで、それが円満な物の考え方だろうと思います。
 ただ、もう少し考えてみますと、三分の二という大変なバリアを越えて国民の代表である国会が意思決定をいたして発議をするわけでございます。この意思決定を行って国会の意思が決定したということは、それが国会としては貫徹していかなければいけないというのが本当は議論であろうと思うんですね。
 例えば、首相を参議院と衆議院とが別々の人を指定した場合には両院協議会が行われる。そのときの参議院の代表は、参議院が指名した候補者に投票した人たちだけが参加するわけでありまして、衆議院は、衆議院が指名した候補者に投票した人だけがその委員になるわけでございまして、そういう形で院の意思というのが貫徹されていくわけです。
 そうしますと、広報協議会というのは何よりもまず、国会が発議する憲法改正案の内容を十分に国民にお知らせをして、そして承認してもらうということが一つの使命ではないかなと思います。
 憲法九十六条というのは大変あいまいな書き方をしておりまして、三分の二で議決をして発議し、国民に提案してその承認を得なければならないと書いてあるんです。発議して提案するということは、どうぞ御自由に議論をしていただいて、修正があればどんどん修正して決定してほしいという意味だと思いますが、承認を受けるというのは、自分たちが正しいと思うことを持ち出して、これを認めてほしいというのが承認であります。
 したがって、法律の書き方としては、三分の二により議決し、国民の投票に付してその承認を得なければならないと書けば非常に分かりやすいんでありますけれども、そういう意味で、例えば広報協議会は多数派も少数派も同じ数だけ出さなければいけないとか、そういう議論があります。でも、私どもはそれには反対でありますが。
 時間がありませんから、そういう面について石井参考人、ひとつ御感想をお尋ねいたします。
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石井勤#22
○参考人(石井勤君) 最初に申し上げました、制度の具体的な中身につきまして、新聞協会として統一した見解を持たないということが前提になります。
 ただ、三分の二で発議する、国民の代表が決めるということになりますので、その広報協議会がどういう形になるかと、これはこの場で先生方に十分に審議をしていただいて決めていただくというのが正しいのではないかということだけは言えると思います。
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木村仁#23
○木村仁君 時間がございませんので、以上で終わります。
 ありがとうございました。
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那谷屋正義#24
○那谷屋正義君 民主党・新緑風会の那谷屋正義でございます。本日は、お忙しいところ本当に急な御招致にもかかわらず御参加いただきまして、そしてまた貴重な御意見をありがとうございました。
 メディア規制というか、メディアにかかわりまして今日論議が行われているわけでありますけれども、やはり憲法改正というふうなことが行われる際には、やはり国民がしっかりと、本当にその項目なりなんなり、意味をしっかり理解しなきゃいけない。ところが今、国民の生活の中では、余り憲法というものが日常の中にないわけでありまして、それを喚起さして、そしてそれを理解さして、そしてそれについて判断をするという、そういうふうなことにおいては、正にメディアの皆さんの仕事というのは本当に重要なことではないかなというふうに思うわけであります。
 しかし、こうしたメディア規制がしかれているということの中には、一つの考え方としては、先ほど、例えばテレビ等においてはそれぞれの自浄努力等をしっかりやっていく中で事実を伝えるというふうな話がありましたけれども、ついこのタイミングを、まあ偶然かどうか分かりませんけれども、せんだって捏造の番組等々が出る中で、やはりこうした問題が本当に、それが本当に働いているのかという、そういう疑義の中にあるというふうにも思います。
 しかし、その一方で、今与党というか、閣議決定をされている新しい放送法というのがありますけれども、この中身を見ると、正に憲法二十一条に抵触するのではないかという、そういう疑義のあるそういったものまでも含まれているという、そういうはざまの中でこの法案が今審議されているということで、正に私自身もこの部分については本当に慎重に議論をしていかなきゃいけないなというふうにもまず考えているところであります。
 その中で一つまずお聞きしたいのは、有料広告の部分で、よく言われるのが、そうなるとやはり金を持っている人の方が有料広告をやることによって、その意見を強く国民に印象を与えることができるのではないかという、こうした声が多くあるわけでございますけれども、それにつきまして渡辺さんにお聞きをしたいなというふうに思います。よろしくお願いします。
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渡辺興二郎#25
○参考人(渡辺興二郎君) 先生の御質問にお答えいたします。
 先ほども一部出たと思うんですけれども、憲法改正にかかわる有料の意見広告につきましては、衆議院の特別委員会の議論の中でもいろんな御議論が出たというふうに理解しております。資金力が多い少ないで広告出稿できる政党、団体に偏りが生じると、結果的に公正を、公平を担保することはできない、不公平になるだろうという意見もありました。それから、別の意見では、放送時間の短いいわゆるスポットのCMだと正確なメッセージがどこまで伝えられるのかと。つまり、これは非常に十五秒、三十秒と短いわけですけれども、国民の感情に訴えることになって冷静な判断を失わせるんじゃないかといった御意見が相次いだのも存じております。全面的に禁止すべきであるという議論があったことも我々は承知しております。
 確かに、こうした意見広告の、我々で言いますと、考査、審査というんですけれども、そういう業務を実際に運用していくには、我々放送業界としてもクリアしなければならない課題が多々あるのは事実でございます。
 具体的に言いますと、一つは国民投票運動にかかわるCMの内容が憲法改正案に賛成か反対かと、これを視聴者に問う形でございます。これまでに例を見ないストレートな内容になることが想定されるということです。こうしたCMが実のところ放送媒体になじむのかどうかということ、これは今申し上げました十五秒、三十秒という短い枠で国民にとって最も重要な問題のメッセージを本当に伝え切れるのかどうかということもあると思います。
 次に、こうした意見広告のいわゆる広告主の範囲をどういうふうに考えるのかということもあります。政党だけなのか、市民団体とか有識者の先生たちも想定するのかという、そういうこともあります。さらには、意見広告の放送時期をどのように線引きしていくか、憲法改正法案が発議される前のそれぞれの政党の日常的な政治活動としての意見広告はどうするのかと、そういったあらゆるケースを想定した検討が必要になってくると思います。
 ただ、私が一言申し上げたいのは、今後想定される憲法改正のための意見広告を、これは当然ですけれども、我々としてはビジネスチャンスにしようなどという考えは毛頭ございません。むしろ報道活動、広告活動を含めた放送メディアすべての側面において、国民が議論して判断するための正確な情報を多角的に提供するんだ、国民の信頼を獲得するんだという観点から、総合的に判断されるのが筋であろうと、そのように考えております。
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那谷屋正義#26
○那谷屋正義君 もう一つ渡辺参考人の方にお尋ねいたしますけれども、いわゆるその広告ということの中で、広告代理店又は広告主の意向によって出演者の選択が行われるというふうな形でそれによって報道内容の中立性の担保が損なわれるのではないかという、そういう疑問というか不安な部分を持っている部分がありますけれども、それについてはどのようにお考えでしょうか。
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渡辺興二郎#27
○参考人(渡辺興二郎君) お答えいたします。
 これは一般論でお答えしますと、例えば現在でもやっているのは、ちょっと形は違うんですが、政党のスポットというのがございます。これは各政党から随分出稿していただいているという現実もございます。そのときに、特定のグループ、特定のところから何か圧力が掛かって云々ということは現実問題としてはございません。
 それから、社内的にもCM審査というのがありまして、ここが社内のルールないしは民放連の準則に基づいた考査、CM考査活動をしておりますので、先生御指摘の御心配というのはないというふうに我々は判断しております。
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那谷屋正義#28
○那谷屋正義君 次に、過日、この委員会で地方公聴会を行いまして、名古屋の方の派遣報告を見ますと、雑誌等々の中で周知期間というのがありまして、発議されてからの周知期間が六十日から百八十日というふうになっておりますけれども、その期間ではそういった出版などを考慮すると非常に短いのだというようなお話があって、最低でも一年は必要だというような御意見も出されているところでありますけれども、その辺について山参考人にお尋ねをしたいと思います。
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山了吉#29
○参考人(山了吉君) この周知期間につきましても、本当、本来ならば私どもで議論をしておかなければいけないとは思うんですけれども、個人的には少し意見はありますけれども、正直なところ、日本雑誌協会ではこの周知期間についての議論はしておりません。
 恐らく、見解としては憲法改正に賛成か反対かということの、論者によっては、ある雑誌によってはこの周知期間をもっと長くすべきなんだという立場の方もいらっしゃるだろうし、これで十分だという立場の雑誌もあると思います。だから、その辺については雑誌協会としての周知期間についての規定は決めておりませんし、これから決めることもないと思います。
 以上です。
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