安倍晋三の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 草川昭三議員にお答えをいたします。
 法人税が増加した要因についてのお尋ねがありました。
 近年、企業収益の改善により法人税収が大幅な増収となっております。その要因は様々でありますが、主として、各般の構造改革への取組を通じて金融機関の不良債権問題が正常化してきたことに加え、企業部門における過剰雇用、過剰設備、過剰債務が解消するなど企業体質が改善する中、輸出や設備投資が回復するなど、民間需要中心の息の長い景気回復が続いてきたことがあります。
 増収の見通しと、歳出削減のみによるプライマリーバランス黒字化の実現可能性についてお尋ねがありました。
 今後の基礎的財政収支を考えるに当たっては、経済動向等により税収等は大きく変化し得ることなど、不確実性に十分注意する必要があります。また、御指摘のとおり、基礎年金国庫負担割合の引上げが予定されていることなども考慮すると、二〇一一年度までに基礎的財政収支を黒字化させることが歳出削減のみで確実に実現可能と現時点で判断することは適切ではないと考えております。
 ただ、いずれにせよ、経済成長を維持しつつ、歳出削減等を徹底して実施することがまずもって重要であり、それでも対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定的な財源を確保し、将来世代への負担の先送りを行わないようにいたします。こうした取組を進め、まずは二〇一一年度には国、地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させてまいります。
 企業から家計への波及についてお尋ねがありました。
 今回の景気回復は、企業部門の体質を強化する中での回復であったため、正規雇用の回復の遅れ、地域間での回復のばらつきなどの課題が残されていることは事実であります。こうした状況の下、雇用情勢の改善には広がりが見られるものの、賃金の伸びが緩やかなものとなっており、家計部門で景気回復の実感が乏しいと指摘される要因の一つにもつながっていると考えられます。今後、景気回復を持続させる中で、企業の経営環境の改善が更に進み、労働市場がタイトになることを通じて賃金が上昇していくことを期待をしています。
 現在、失業率、有効求人倍率の改善が見られる中で、ボーナス、初任給など、少し明るい兆しも現れてきました。今後、日本経済に新たな活力を取り入れ、現在の景気回復基調を更に息長く持続させることで、企業から家計へ、また日本全体に回復を力強く広げていくことが必要であります。
 地域間の格差解消と地方交付税改革についてお尋ねがありました。
 今後とも、財政力の弱い地域にあっても一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。また、地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指します。
 政策評価制度についてお尋ねがありました。
 政策評価によって、評価法施行後平成十七年度までの四年間で、公共事業等について百六十四事業、約三兆二千億円の事業が中止されるなど、重点化、効率化が行われてきております。引き続き政策評価の効果的活用により政策や事業の見直しを進め、効率的な行政の実現を図ってまいります。
 政策評価の結果を予算に反映させる仕組みをつくるべきではないかとの御指摘がありました。
 そうした仕組みの必要性については議員御指摘のとおりであると考えております。政府としては、予算、決算と政策評価の連携強化の観点から、予算書及び決算書の表示科目について見直しを行い、平成十八年度中に検討、検証を終え、平成二十年度予算をめどに新たな表示科目による予算編成を実施してまいりたいと考えています。
 政策評価書についてお尋ねがありました。
 国民への説明責任を果たす上で、政策評価の結果を分かりやすい内容とすることは重要であります。政策評価書においては、冗長を避けながら正確な情報を提供することはもちろんでありますが、これと同時に、簡潔で分かりやすく、かつ親しみが持てる要旨を公表するなど、国民にとって行政を身近なものとして説明するため更なる工夫を講じてまいります。
 京都議定書の目標達成についてお尋ねがありました。
 地球環境問題は、世界に冠たる環境先進国である我が国が積極的に世界をリードすべき大きな課題であります。中でも、地球温暖化問題は人類の生存基盤にかかわる最も重要な問題であると認識をいたしております。地球温暖化への取組として、まず京都議定書上の目標を確実に達成することが必要であります。新エネルギーの導入や徹底した省エネルギーの推進など、対策の加速化を図るとともに、目標達成計画の総合的な評価、見直しを進め、目標の確実な達成に向けて全力を挙げてまいります。
 二十一世紀環境立国戦略の内容についてお尋ねがありました。
 本戦略は、個別分野の政策方針にとどまらず、国内外挙げて取り組むべき環境政策全体の方向を明示する中期的な基本方針となるものであります。この戦略により、我が国として今後の世界の枠組みづくりに貢献をいたします。具体的な戦略の内容につきましては、六月までに十分議論を重ねて取りまとめます。
 京都議定書後の国際的枠組みづくりとG8サミットなどを通じた我が国の貢献についてお尋ねがありました。
 地球温暖化への対応には、米国、中国、インドを含む主要排出国による最大限の削減努力を促す実効性のある枠組みを構築することが何よりも重要であります。現在、国連の下では、米国を含むすべての国が参加する長期的協力に関する対話の実施など、将来の枠組みづくりに関する議論が本格的に始まっています。また、G8の関連でも気候変動に関する対話が実施されています。我が国としては、二〇〇八年の日本サミットに向けて、G8での議論に有意義な貢献を行い、そこでの議論が米国等の主要排出国も参加する国際的な将来の枠組みの形成につながるよう、主導的な役割を果たしていく考えであります。
 中国の弾道ミサイル発射による人工衛星破壊についてお尋ねがありました。
 本件に関しては、我が国より中国側に対し宇宙の安全利用及び安全保障上の懸念を申し入れるとともに、事実関係及び中国側の意図について説明を求めました。これに対し、中国側からは宇宙において一回の実験を行ったとの説明はありましたが、事実関係についてはそれ以上の詳細な説明はありませんでした。中国側の説明は、破片についての御指摘の点も含め我が国の懸念を払拭するものではなく、引き続き中国側に透明性のある説明を求めてまいります。
 我が国の衛星が他国によって破壊された場合についてお尋ねがありました。
 御指摘のような事例は、事実関係によるもので、一概に申し上げることはできませんが、一般論としては宇宙条約等の国際的な基本ルールに合致しない可能性は高いものと考えています。また、武力攻撃事態対処法に言う武力攻撃とは我が国に対する外部からの武力攻撃を言いますが、特定の事例がこれに該当するかどうかについては、個別の状況に応じて慎重に判断すべきものと考えております。
 宇宙空間における人工衛星の破壊行為の禁止についてお尋ねがありました。
 宇宙空間において国際法に合致しない形で他国の衛星を破壊する行為は、国際社会としても懸念すべきものであると考えております。我が国としては、宇宙空間における軍備競争が行われないよう、様々な国際的な場での議論に積極的に参加してまいります。
 船舶油濁損害賠償保障法についてのお尋ねがありました。
 同法の改正により、社会問題となった放置座礁船に対する我が国独自の対策として、漁業被害等の流出油による汚染損害及び船骸撤去の費用について保険を義務付けたものであります。これ以上の保険の締結を求めることについては、国際的な動向を踏まえつつ適切に検討してまいります。
 人権擁護法案についてお尋ねがありました。
 人権擁護法案については、これまでも様々な議論がなされてきたところであります。まずはそうした議論を一つ一つしっかりと吟味しながら、慎重の上にも慎重な検討を行うことが肝要と考えております。
 いわゆる日本版SOX法、内部統制報告制度についてお尋ねがありました。
 金融資本市場の信頼性を確保するためには、上場企業の財務内容等が適正に開示されることが重要であります。内部統制報告制度については、来年四月以降開始する事業年度から実施することが法律で定められております。政府としては、企業の体制整備の状況に留意し、その周知徹底等に努め、各企業の準備が円滑に進むよう万全を期してまいります。
 三角合併の要件及び決議方法についてお尋ねがありました。
 三角合併は、敵対的買収を容易にするものではなく、企業の組織再編の選択肢を広げることにより、その競争力を高め、もって我が国が国際経済をより活力に満ちたオープンなものとするために設けるものであります。したがいまして、この制度については、基本的にその意義を生かす仕組みとすることが肝要であると考えます。かかる観点から、特別決議を原則とする我が国会社法の体系を踏まえて、三角合併の着実な実施に向け準備を進めてまいりたいと考えております。
 放課後子どもプランの推進についてお尋ねがありました。
 地域の大人の幅広い協力を得て、放課後等の子供の安全で健やかな居場所づくりを行う放課後子どもプランは、地域の教育力の再生を図る上で大変重要な施策であります。このため、平成十九年度予算案では、全国の小学校区での実施を目指し、所要の経費を盛り込んでおります。本プランの全国的な推進を始め、子供たちが地域社会の中で心豊かで健やかにはぐくまれる環境づくりに政府全体として全力で取り組んでまいります。
 テレビ放送の地上デジタル放送への移行についてお尋ねがありました。
 私も、昨年十二月一日に開催されました地上デジタル放送全国開始記念式典に出席をいたしました。地上デジタル放送への移行が着実に進展する中、受信機の多様化や価格の低廉化は着実に進んでいると認識をしております。視聴者にとって更に購入しやすい価格帯が実現されるよう、引き続き、受信機メーカー、放送事業者等、関係者とともに努力をしてまいります。また、その際、御指摘の社会的弱者と考えられる世帯への配慮の必要性についても慎重に検討していきたいと考えております。
 アナログ対応テレビの廃棄物への対応についてお尋ねがありました。
 アナログ対応テレビの廃棄物については、ここ数年増加傾向にあります。ただし、今後については、デジタルテレビやアナログ対応テレビが継続して活用できるデジタルチューナーの普及状況にもよることから、その予測は困難であります。いずれにせよ、廃棄されるテレビについては、家電リサイクル法に基づいてリサイクルを進めており、今後もリサイクルが適切に行われるよう対応してまいります。
 地方公務員の健康保険組合についてのお尋ねがございました。
 御指摘のように、一部の市町村の健康保険組合において事業主の保険料負担割合が高くなっていることは、地方公共団体の合理的な財政運営の観点などから適切とは言えず、住民の理解も得られないものと考えております。関係地方公共団体に対しては、保険料負担の見直しや共済組合への移行に向けた取組を早期に進めるよう強く求めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣尾身幸次君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116615254X00420070131_011

発言者: 安倍晋三

speaker_id: 26067

日付: 2007-01-31

院: 参議院

会議名: 本会議