安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 野上浩太郎議員にお答えをいたします。
今後の少子化に対する本格的な戦略についてのお尋ねがありました。
子供は国の宝であり、安心して結婚し、子供を産み育てることができる日本とするとともに、家族のすばらしさや価値を再認識することも必要であります。
今後、児童手当の乳幼児加算の創設、育児休業給付の引上げ、延長保育など多様なニーズへの対応、長時間の時間外労働を抑制するための取組の強化といった政策に加え、すべての子供、すべての家族を大切に、を基本的な考え方に置き、制度、政策、意識改革などあらゆる観点からの効果的な対策の再構築、実行を図るため、子供と家族を応援する日本という重点戦略を打ち立てます。
児童・家族関係給付についてのお尋ねがありました。
平成十九年度予算におきましては、極めて厳しい財政状況の中で、出産前後や乳幼児期の経済的支援の充実を始め、働き方の見直し、若者の自立支援、地域子育て支援の充実など、児童・家族関連施策の充実を盛り込んだところであります。今後、これらの政策を実行に移すとともに、先ほど申し上げた新しい重点戦略の策定を行います。
家族の価値や地域社会のきずなを再生していくことの重要性と、その具体策についてお尋ねがありました。
少子化対策を進めるためには、生命を次代に伝えはぐくんでいくことや家族の大切さ、すばらしさが理解されることが重要であります。子供を家族がはぐくみ、家族を地域社会が支える、そのような社会であってこそ各種の支援策が効果を発揮するのであります。このためには社会全体の意識改革も必要です。
御指摘の家族・地域のきずなを再生する国民運動などを積極的に推進してまいります。御指摘の国民運動においては、家族の日や家族の週間を定め、家族がともに過ごす時間を増やしていくことなどを呼び掛けてまいります。あわせて、多世代が参加し、家族や地域での交流の喜びが実感できるような行事等も積極的に開催してまいります。
教育基本法改正の意義と教育の理念等についてお尋ねがございました。
新しい教育基本法は、道徳心、自律心、公共の精神など、我が国の未来を切り開く教育が目指すべき目的や理念を明示することにより、国民の共通の理解を図りつつ、社会総掛かりで教育改革を推進するための第一歩となるものであります。
現在、いじめを始めとして子供たちのモラルや学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下などの問題が指摘されています。こうした教育に関する課題の解決などに向け、新しい教育基本法の理念の下、教育再生会議の議論を踏まえつつ、教育改革の具体的な取組を進めてまいります。教育は個人の多様な可能性を開花させ、志ある国民を育てるものであり、これがひいては品格ある「美しい国、日本」をつくることにつながるものと考えております。
いじめ問題への政府としての緊急対応策についてお尋ねがございました。
いじめ問題への対応に当たっては、問題を隠すことなく、学校を挙げていじめの早期発見、早期対応に取り組むことが重要です。関係機関の協力の下、出席停止措置を含め毅然とした対応を行う必要がある場合もあると考えています。この対応については、教育再生会議の提言も踏まえて、速やかに通知を発出いたします。また、いじめの定義の見直しなどを行い、的確な実態把握を進めるほか、夜間、休日でも子供の悩みを受け止めることのできる電話相談の全国実施や、スクールカウンセラー等による集中的な教育相談を行います。
教育改革の具体策についてお尋ねがございました。
改正教育基本法や教育再生会議の第一次報告を踏まえ、関係法律の改正案を今国会に提出することに加えて、教育振興基本計画の早期策定など、教育再生に向けて全力で取り組むことが必要です。具体的には、学習指導要領の見直しなど、すべての子供が必要な学力を身に付ける機会を保障し、また、教育免許の更新制の導入や適正な評価の実施などを通じて教員の質の向上を図り、さらには、教育に対する責任の所在を明確にし、国民から信頼される教育行政の体制を構築することなど、教育再生に向けて全力を挙げて取り組みます。
政府の景気判断についてのお尋ねがありました。
二〇〇二年初めから始まった今回の景気回復は息の長いものとなっておりますが、地域別や企業規模別、業種別の回復のばらつきなどの課題が残されていることは事実であります。その一方で、失業率、有効求人倍率の改善が見られる中で、ボーナス、初任給など、少し明るい兆しも見えてまいりました。
今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に、また日本全体に回復を力強く広げていくことであります。景気判断に当たりましても、地域別の賃金や失業率の動向、企業規模や業種別の業況など、ミクロの動向にもきめ細かく注意を払いながら分析を強化してまいります。
景気回復をどのように地方経済、中小零細企業、家計に波及させていくのかについてお尋ねがありました。
日本経済の現状を見ると、企業規模や地域間の回復にばらつきが見られるものの、全体としては少し明るい兆しも現れてきております。今後重要なことは、日本経済に新たな活力を取り入れ、安定した経済成長を続けることによって、経済社会の各層に雇用拡大や所得の増加という形で経済成長の成果を広く行き渡らせることであると考えております。
このため、まずはオープンな経済とイノベーションを通じて成長力の強化を進め、経済全体の底上げを図ってまいります。また、今般取りまとめた再チャレンジ支援総合プランなどを通じて、パート労働者の正規労働者との待遇の均衡化、正規雇用の転換等に取り組み、だれでも再チャレンジが可能な社会の実現を目指します。同時に、しっかりしたセーフティーネットの構築を進め、最低賃金制度がセーフティーネットとして十分に機能するよう必要な見直しなどを行うとともに、働く意欲を引き出す就労支援を図ります。
さらに、雇用情勢が特に厳しい地域に重点を置いて、雇用に前向きに取り組む企業を支援するほか、地域資源を活用した中小企業の新事業展開への支援、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムや農業の戦略産業化等を進めてまいります。
アジア・ゲートウェイ構想についてのお尋ねがございました。
アジアなど海外の成長や活力を日本に取り入れることは二十一世紀における持続的な成長に不可欠です。そのためにも、アジアや世界の人材や情報などが日本に集まり、日本から世界に発信されていく開放的で魅力ある日本をつくっていくことが重要です。
このため、私は総理就任に際し、人、物、金、文化、情報の流れにおいて日本がアジアと世界の懸け橋となり、ともに成長していくアジア・ゲートウェイ構想を打ち出しました。現在、五月の取りまとめに向けてその具体化を進めているところであります。この構想においては、我が国のそれぞれの地域がアジアとの結び付きを強めることも重要課題として位置付けており、御指摘の環日本海構想のような地方独自の取組や魅力ある地方を創出する観点からも極めて重要であると考えます。
整備新幹線についてお尋ねがありました。
整備新幹線は、累次の政府・与党申合せに基づき着実に整備を推進してきたところであり、今後とも、平成十六年政府・与党申合せに基づき、整備新幹線の着実な整備を推進してまいりたいと考えています。
地方自治体に向けての必要な財源確保についてお尋ねがありました。
地方の活力なくして国の活力なしとの考えの下、地方分権改革を徹底して進めてまいります。その際、財政力の弱い地域にあっても一定水準の行政サービスを提供することができるよう、地方交付税などにより適切に対応してまいります。
また、地方分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担や国の関与の在り方の見直しを行います。その上で、交付税、補助金、税源配分の見直しの一体的な検討を進めるとともに、地方公共団体間の財政力の格差の縮小を目指します。
さらに、地方の魅力を生かして活力を引き出すため、頑張る地方応援プログラムを四月よりスタートさせ、前向きに取り組む地方公共団体を地方交付税により積極的に支援してまいります。(拍手)