前川清成の発言 (本会議)

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○前川清成君 民主党・新緑風会の前川清成です。
 まず冒頭、宮澤喜一元首相が御逝去されましたことにつき、衷心より哀悼の意を表します。
 そして、昨日、厚生労働委員会で、社会保険庁看板掛け替え法案と消えた年金について強行採決されましたことには強く抗議いたします。
 私は、本年五月十四日、この場所における国民投票法案の反対討論において、あたかも審議時間だけを積み重ねれば足りるかのごとき審議だけで、衆議院から送付された法案を丸のみしていたならば、参議院なんか要らないとの声が国民の間に沸き起こることは必至ですと申し上げました。私の予言が来月二十九日に現実とならないよう祈ります。
 さて、与党提出の政治資金規正法改正案につきましては、そのまま成立したとしても、何もかもが今までどおりまかり通ってしまい、ただ変えたという言い訳にすぎません。それゆえ、私は、今までどおりの言い訳に反対の立場から討論いたします。
 私は、自民党と官僚との二人三脚がある時期まで戦後政治に大きな功績を残したことを率直に評価しています。しかし、その陰で、自民党結党以来、黒い霧、田中金脈、ロッキード、ダグラス・グラマン、撚糸工連、リクルート、共和汚職、東京佐川急便、金丸脱税、ゼネコン汚職、日歯連などなど、正に枚挙にいとまがないほど自民党の歴史は政治と金をめぐるスキャンダルの歴史でもありました。その歴史に安倍内閣がまた一ページを追加してしまったのではないでしょうか。すなわち、佐田、伊吹、松岡大臣による事務所費、光熱水費疑惑です。
 自民党の佐田玄一郎衆議院議員は、昨年の自民党総裁選挙において、安倍晋三さんを支える会の会長を務め、その論功行賞としてでしょうか、安倍内閣発足時には行政改革担当大臣に就任しておられます。ところが、その佐田大臣の政治団体である佐田玄一郎政治研究会は、事務所所在地につき賃貸借契約が存在しないにもかかわらず、一九九〇年から二〇〇〇年までの十一年間に七千八百四十万円を事務所費として支出していたことが発覚し、佐田大臣は、昨年十二月二十七日、辞任を余儀なくされました。
 年が明けて本年一月十一日、同様に論功行賞として入閣したと報道されている伊吹文明文部科学大臣と故松岡利勝農林水産大臣に関して、ともに賃料を支払うことのない議員会館に事務所を置きながら、二〇〇一年から二〇〇五年までの五年間に、伊吹大臣の資金管理団体である明風会は二億二千六百九十五万円を、松岡大臣の資金管理団体である松岡利勝新世紀政経懇話会は一億四千二百七十五万円を事務所費として支出していたことが発覚しました。さらに、松岡大臣の資金管理団体は、議員会館においては電気料金や水道料金を負担することがないにもかかわらず、光熱水費として二〇〇一年から二〇〇五年までの五年間で二千八百八十一万円を支出していたことが発覚しました。
 安倍政権の中枢にあるこれらの政治家が費消した巨額の事務所費や光熱水費について、多くの国民は、おかしい、家賃がただやのに何で五年で二億円やねん、電気代も水道代も国が払うてるのに何が三千万円やねんと政治家と政治に対する不信感を増幅させるに至り、松岡大臣が口走った何とか還元水は瞬く間に人口に膾炙いたしました。
 そこで、私たち民主党は、この政治不信を払拭するべく、説明責任を果たすよう求め続けましたが、とりわけ松岡大臣は、三月七日の予算委員会だけでも適切に処理しているとだけ二十三回も繰り返したように、一切の具体的説明を拒否し続け、また安倍総理も、かかる松岡大臣の対応について法律どおりとかばい続けました。
 一方では、都合の悪いことは一切口をぬぐっておきながら、消えた年金については根拠も方法も説明することなく、ただ一年で解決しますと声高に叫んだところで、一体だれが信用するのでしょうか。
 これに対して、小沢一郎民主党代表は、その資金管理団体陸山会による不動産所有を指摘されるや、直ちに契約書や登記済証、固定資産税納税通知書に至るまで公開した上で、詳細を説明しています。自民党と民主党、どちらが説明責任を果たしていて、どちらが逃げ続けているのか、どちらが政治と金にまじめに取り組んでいるのか、もはや国民の目には明らかです。
 私たち民主党は、事務所費、光熱水費というブラックボックスをガラス張りにするための政治資金規正法改正案を既に本年三月六日には提出しています。
 これに対して、与党は政治活動の自由が確保できないとの牽強付会をもってブラックボックスの温存を図り、項目の細分化程度でお茶を濁そうとしましたが、先月二十八日、松岡大臣が自殺するに至って重い腰を上げざるを得ず、会期末を目前に控えた同月三十日に本法案を提出したものの、昨年末以降に顕在化した佐田問題、伊吹問題、松岡問題が一切射程に入っておらず、ざるの役割さえ果たしません。何もかもが今までどおりまかり通ってしまいます。
 というのも、第一に、与党案は、事務所費に関して領収書の添付を義務付ける政治団体を資金管理団体に限定しています。それゆえ、佐田問題に与党案を適用したとしても、佐田玄一郎政治研究会は資金管理団体ではなく単なる政治団体であるため、今までどおり領収書を添付する必要はありません。したがって、もしもその気になれば、事務所費だと偽ることで、違法、不当な支出をやみに隠すことも、政治資金で私腹を肥やすことも今までどおり可能です。
 これに対して、民主党案は、資金管理団体に限らずすべての政治団体について領収書の添付を義務付けようとしています。よって、民主党案であれば、佐田玄一郎政治研究会もざるから漏れることなく規制の対象となります。
 第二に、与党案は、領収書の添付を義務付ける経常経費から人件費を除外しています。ところが、伊吹大臣は、二億二千六百九十五万円の事務所費を計上した理由について、本年一月十日の記者会見で、どうしても必要な食料費、冠婚葬祭の費用など、政策集団の長となるとかなりある、領収書を取れないものは人件費と事務所費でしか処理できないと述べておられますが、この点が虚偽記載であるか否かはさておくも、ただ領収書の添付が義務付けられていないという理由で事務所費という項目が利用されていたならば、同様に領収書の添付が義務付けられていない人件費という抜け穴もふさぐ必要があるはずです。
 与党案では、今後は事務所費から人件費にブラックボックスの名前が変わるだけですが、民主党案では、人件費に関して、収支報告書に業務に従事した者の数を記載することで、プライバシーに配慮しながらも、同時に人件費についての透明性を確保しています。
 第三に、与党案は、事務所費に関して領収書を添付する範囲を五万円以上の支出に限定しています。この結果、五万円以上の支出も五万円未満に細分化すれば、やはり今までどおりのブラックボックスがまかり通ります。
 政治を金もうけの手段にはしません。私はこの当たり前のことを二〇〇四年の選挙を通じて、奈良県にお住まいの有権者の皆さんとお約束させていただきました。利権をあさる、公共工事の口利きをする、政治を金もうけの手段にする、そんな政治家はもう私たちのこの国に必要ありません。そのために、政治と金にまじめに真正面から向き合わなければならないことを訴えて、私の反対討論といたします。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 116615254X03920070629_014

発言者: 前川清成

speaker_id: 22257

日付: 2007-06-29

院: 参議院

会議名: 本会議