谷垣禎一の発言 (予算委員会)
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○谷垣委員 おはようございます。自由民主党の谷垣禎一です。
きょうから予算委員会の論戦が始まるわけですが、まず冒頭に、私はおわびしたいと思っております。
国会が召集されましてから一月ほどたつわけでございまして、内外、非常にいろいろなことがこの間にもございました。安倍総理の突然の辞任ということがございまして、その後のきちっとした政権の体制をつくっていくためにやむを得ざることとはいえ、この間、国会での議論ができませんでした。このことは深く国民におわびをしなければならないと思っております。
そして、御就任されました福田総理に、御就任のお祝いを心から申し上げたいと思っております。
私、この夏に、総理の選挙区でございます群馬県多野郡、今は町村合併して神流町というところに、休暇をとって民宿に泊まりました。その民宿に泊まりますと、かもいのところに総理の揮毫がかかっておりまして、光りて輝かさずというんでしょうか。しかし、総理の揮毫だけではなく、御父君赳夫先生の色紙もございまして、察するに、長い間福田党として福田総理をお支えになった、そういう民宿だったと思うんです。大変親切にしていただきましたけれども、今ごろきっと喜んでおられるだろうと思うんですね。
それと同時に、神流町、昔は中里村と言っていたと思いますが、大変な山村僻地でございます。このごろ限界集落という言葉もございますが、恐らく、あのあたりには限界集落に数えられるものもあるのではないかと。過疎化と高齢化に悩んでおられる、そういう地域でございました。
私が民宿の御主人に、こういうところに泊まりに来るのは一体どういう方かと聞きました。釣りの人かと聞いたら、いや、昔はそういう人もたくさんいたんです、でも、今は道路がよくなってくると、みんな車で日帰りで、民宿に泊まる人なんてほとんどいませんという御返事でした。
総理が、老人には安心を、そして若い方には希望をというようなことを標語にされて所信表明も行われましたけれども、恐らく、ああいう過疎と高齢化に悩む御自分の選挙区に対するまなざし、そうやって今まで政治姿勢を築いてこられた、そういうことが背景にあるのかなと思ったりもしたわけでございます。
ただ、お祝い申し上げましたけれども、総理がこれから臨まれる環境というのは、決して容易なものではございません。極めて厳しいものでございます。
それは、内外ともに取り囲む情勢が厳しいということもございますが、まずやはりこの間の参議院選挙の敗北というものが非常に重い、大きなものとして眼前にあるということは、これは間違いないだろうと思います。私どもも多くの同志をこの選挙で失いまして、今や、福田総理を支える与党は参議院では多数ではない、少数になってしまった。いわゆる衆参のねじれという現象があるわけでございます。
これをこのままにしておきますと、政府・与党の政策は衆議院では通るけれども参議院では通らない、また逆に、野党の皆さんの政策は参議院では通るけれども衆議院では通らない。こんなふうなことになりますと、現状が一歩も動かない、こういうことにもなりかねません。それでは、政治が国民に対する責任を果たしていくということはできないんだろうと思います。
したがいまして、総理も所信表明でおっしゃいましたように、誠実に野党の皆さんとも対話をする、それを積み重ねていくということがまず第一に必要なんだろうと思います。
世界の政治史を見てみますと、こういういわゆるねじれと言われるような現象は、今までいろいろな先進国の政治でも経験をしてきまして、それぞれ知恵を発揮してそういうところを乗り越えてきたということがございます。ですから、世界の国々でできていることを我々日本でできないはずはない、簡単に申し上げれば、私はそういうふうにも思っているんです。
しかし、日本には日本の特殊な事情もあるのではないかと思います。特殊と申し上げていいかどうかわかりませんが、大統領制の国であれば、議会がどういう形で、法案を通そうと通すまいと、大統領は任期の間は大統領である、そういう状態は続きます。しかし、議院内閣制のもとでは、政権、内閣総理大臣の地位というのは議会の信任にかかわっておりますから、こういうねじれの現象が直ちに政局への傾斜を生んでくるということは、これはなかなか避け得ない面があるわけでございます。
政局というものを中に含みながら政治が動いていくというのは日本の憲法構造である、これはやむを得ないところでありますけれども、同時に、国民生活に対する目配りを失って政局に対する思惑だけで行動するというようなことは、やはりあってはならないことだろうと思います。
そしてもう一つの問題は、仮に議院内閣制の国であっても、ねじれが生じた場合、そして政局的な現象が起きてきた場合でも、普通であれば、解散をすることによって国民の信を問うて、そうして、国民の信はここにあり、そういう形でもう一回政権をつくり直してやっていくということができるわけでありますが、我が国のこの二院制のもとにおいては、参議院は解散がございません。現在の参議院の状況を見ますと、六年間は恐らくこの状況が続くであろうと思います。したがいまして、解散で民意を問うたからといってすべての問題が解消するということは、これは望みにくいわけであります。
したがって、衆議院は一院でございますが、第一院と憲法上の規定というものがございますが、二院に全部第一院が合わせれば問題は解決するのかもしれませんが、それでは憲法構造上問題があるということになって、運用は非常に難しい、こういうことではないかと思います。
もちろん、日本の憲法もそういうことを想定して幾つか規定は置いていることは事実でございます。予算につきましては、衆議院が可決して三十日内に参議院が可決をしなければ衆議院の議決が国会の議決になるという規定がございます。法律におきましても、衆議院で通ったものが参議院で否決をされた場合には、衆議院でもう一回三分の二の多数で議決をすればそれが法律になる、こういう規定もあるわけでございまして、憲法は、そういう規定を活用して何とか道を打開せよ、こういうことなんでしょう。しかし、なかなかそれはそう簡単な話でもないと私は思うわけでございます。
こういう日本の言ってみれば憲法に内在している問題が、この間の参議院選挙によって顕在化してきた。ここをどう乗り越えて、与党も野党も国民の生活をきちっとしていくというその負託にこたえられるのか、これは、我々の知恵の出しどころではないかと思っております。
私どもも、野党の皆さんに誠実にいろいろな政策面での協議を呼びかけていくという努力をこれから徹底してやらなければなりませんし、まだそれがどういう形になるかは、私どもも先の展望が十分に開けているわけではありません。また、野党の皆さんも、こういう状況のもとでどう国民生活に責任を負っていくかということに対して、十分に絵が描けておられるわけではないんだろうと思います。野党の皆さんも、これからいろいろな試行錯誤をしていかなければならないな、このように思っておられるんだろうと思います。いろいろ誤りもあろうかと思いますけれども、こういう試行錯誤を繰り返して何とか道を見つけて国民の負託にこたえていかなければならない、こういう状況である、このように思います。
そして、こういう形で与野党の、総理のお立場からすれば野党の皆さんにも誠実に対話を呼びかけるということだろうと思いますが、その前提として、この間の参議院選挙、私どもは大きく批判を受けたわけでございます。この批判をどういうものとして受けとめて、どういう反省に立ってこれからの道筋を描いていくかということがなければ、この対話もなかなかうまく成り立たないのではないかな、このように思います。
そこで、まず最初に福田総理に、こういう参議院選挙の結果をどのように受けとめられて、何を反省点としてこの国会に臨んでいかれるのか、その御決意をお伺いしたいと思います。