谷垣禎一の発言 (予算委員会)
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○谷垣委員 今総理から、反省点として、国民の気持ちから離れた、そのことによって国家の権威を失墜するようなこともあった、それからまた、いわゆる改革の光と影というんでしょうか、改革は必要だけれども、影の部分のようなところについても一つ一つ丁寧な対応が必要だというお話がございまして、私も全くそのとおりだと思います。
改革という言葉にちょっとみんな疲れちゃったところがないわけでもないと思うんですが、やはり私も改革は必要だろうと思います。
それは、結局、あるとき適切であると思われた政策でありましても、このようにグローバル化も進んでいる、あるいは少子高齢化、人口減少も進んでいく、こういう状況の中で、必ずしもかつての政策が所期の効果を発揮しない、こういうようなことはよくあるわけでありまして、これだけの財政の厳しいときでもありますから、もう少しやはり資源の効率的な配分というものを考えていかないと、日本自体が世界の中で孤立することにもなりかねないし、また、それをほっておくと変な既得権みたいなものも生じてしまう。そういう既得権みたいなものを打破して無駄を排除していくということは、これからも引き続き求められることだろうと思います。
しかし、そうやって無駄を省き省きと、こうやっていきますと、確かに所得再分配機能みたいなものも少し働かなくなるかなとか、いろいろな問題点が生じてきている、それに対して一つ一つ丁寧に対応していかなければならない、そのとおりだろうと思います。
総理が御自分のキャッチフレーズとして自立と共生という言葉を使われたのも、やはり、改革を進めることで自立を促していかなければならないけれども、同時にそれは、ばらばらの個人がばらばらでその人生に向き合っているようじゃいい国にならない、共生という考えも必要だ、こういうことだろうと思います。
私も実はきずなという言葉をよく使っておりまして、こういう影の部分に光を当てていくためには、やはり家庭のきずなというものがしっかりしないとみんな人間がうまく安心して生きていけないだろう。それから、それに加えて、地域社会のきずなというものもなければだめだろう。そういうものをどうやってこれから、競争や改革を進めながらも、そういう家庭のきずなや地域社会のきずなをどうつくっていくかというのは我々の課題なんだろうと思いますし、家庭のきずなと地域社会のきずなだけでも足らないところがありまして、やはり国と国民の信頼のきずなというものがもう一つその上になければいけないんだろうと思っております。
きょうは、私は、政治と金の問題については後で細田博之さんにやっていただきますので私は多くは触れませんが、国と国民の信頼のきずなをきちっともう一回つくっていく上でも、この政治と金の問題の解決は極めて重要だと思っております。与党としても、一つの考え方、民間でできることぐらい我々はやらなきゃいけないじゃないかという考え方を基礎にして案を持っているわけでございますが、これは政治家の自己規律の問題でございまして、与党、野党の対立するという性格の問題では私はないと思います。
したがいまして、それぞれ皆、案をお持ちでございますから、ぜひこういうものをきちっと討議して形あるものにしていかなければならない、こんなふうに思っているわけでございます。
次に、歳入歳出一体改革と申しますか、財政の問題についてお伺いをしたいと思います。
いろいろ改革を積み重ねなければならない要因の一つに、やはり財政の状況が非常に悪いということがあるわけですね。
財政の危機的状況という言葉はもう何度も繰り返されているわけでありますが、ことしの平成十九年度の予算規模で見ますと、歳出は約八十三兆弱ですね。それから、税収はそれに対して五十三・四兆か五兆か、そのぐらいのものでしょう。したがって、その足らず前は借金をしている。つまり、国債を発行して、これが二十五・四兆ぐらいになるわけですね。要するに、一年間の予算の三割は借金で賄っているという状況でございます。
この間、これを改善しようという努力を随分積み重ねてきまして、平成十六年、このときは三十六・六兆発行しておりましたから、その平成十六年に比べると十一兆強、国債を発行する額も減らしてくることができたわけでありますが、まだ三割というのは極めて大きな量でございます。
それから、今までずっと発行してきましたから、残高も相当なものに上っている。これは国、地方を合わせますと、長期債務残高はGDPの一五〇%近くになんなんとしておりまして、本年度末で七百七十三兆と、先進国の中では一番芳しくない状況にある。これはもうさんざん言われたことでございます。
私は、世界経済の状況を見ますと、いろいろ懸念する材料というのはたくさんあるんですね。たくさんありますが、恐らくアメリカの経常収支、それから財政収支、いわゆる双子の赤字の問題と、それから、中国がこの十数年、毎年一〇%を超えるような成長を続けて、今は北京なんかに参りますと、これは一九九〇年代の六本木あたりのような感じじゃないかなと思うこともあるわけですね。これがやはり安定した形になっていくかどうかという問題。それに加えまして、日本がこの財政赤字をどうコントロールしていくのかということが恐らく、ヨーロッパにももちろん問題はございますけれども、世界経済、特にアジア太平洋地域で見ますと、主要な問題はこういうことになるんじゃないかと私自身は思っているわけです。
そして、進行する少子高齢化、あるいは、そういう中でこのままほっていきますと、負担は後の世代に先送り、受益と負担の不均衡は拡大の一途をたどるということになるわけでございます。従来、それを打開しようとしていろいろな改革を積み重ねてきたことは、これはもう間違いないところでございまして、財投を改革するとか特会を改革するとか、あるいは独法を改革するとか、それから公務員定数を削減する、あるいは入札の方法ももっと合理化できないか、いろいろなことをやってきたわけでございます。
今、何を目標にしてやっているかといいますと、これは小泉政権が発足してきたときからの継続でございますが、二〇一一年にいわゆるプライマリーバランスを黒字化しよう、つまり、その年にいただいた税金でその年の政策を打っていこう、その限りにおいてツケを後の世代に先送りしないようにしようじゃないかという目標でやってきたわけですね。
それで、二〇〇六年のいわゆる骨太の方針ではその大きな方向を示しまして、大体、今からある程度成長もしていくだろう、それでまたその成長を推し進めなければいけない、しかし、社会保障等々の費用の増大もあるだろう、そうすると、二〇一一年にプライマリーバランスを回復するためには、対応する必要額、十六・五兆、やはり何らかの形で埋めなきゃいけない。そのうちの主な部分は、できるだけやはり無駄を排除することで片づけていこうじゃないか。十六・五兆のうち、十一・四兆から最大十四・三兆まで、何とか歳出削減でできないかという計画を立てて、それだけやってもなかなかうまくいかないところは、まあ、いろいろ税制改革や何かにもまたお願いをしなければならないというのがあらあらの方向でございます。
先般、総理の所信表明演説でも、この二〇一一年、プライマリーバランスの回復ということを堅持するとおっしゃったわけであります。
しかし、削る削るという一方で、なかなかまた必要なものもあるわけですね。基礎年金を、今三分の一税金で賄っておりますけれども、安定させるためには二分の一まで税金で持っていく必要があるんじゃないか、これは三年前の年金法改正の中で書き込まれていることでございます。
それから、今般の福田内閣の発足に伴いまして、公明党との政権合意の中でも、高齢者医療制度の負担増みたいなものをやはり凍結していく必要があるんじゃないか、あるいは母子家庭に対する児童扶養手当のようなものも凍結する必要があるんじゃないか。これは今まで、改革の基本的な方向性は必要ではあるけれども、少しスピードが速くて、息が切れてきたところがあるなという認識がやはり広くあるんだろうと思いますね。そうしますと、なかなか歳出カットでやるやるといっても、これは簡単ではないんだろうと思います。
それで、どういうふうにして無駄を見つけ出して無駄な歳出を削っていくかというのは、これは内閣を挙げて取り組んでいただかなければなりませんが、しかし、主として、やはり財務大臣、額賀さんが知恵を発揮して、目ききの目をもって、どこに一体削れるところがあるのかというところで、大いに頑張っていただかなければならないんだろうというふうに思います。
私は、これはなかなか、今申し上げたことは、どこに無駄があるか探してくることはそう簡単ではないよ、よっぽど目ききの目でもってよく精査しないといかないよということを申し上げたんですが、私はやはり、これは広くいろいろな知恵を参考にするというのも大事なことなんだと思うんですね。
そこで、民主党のマニフェストを拝見しますと、民主党の方も、私どもの方も十一・何兆から十四・何兆まで何とか無駄を削減しようということでやっているわけですが、民主党さんも、いろいろな政策をやっていくために、十五・三兆、無駄を排除して、無駄を見つけて、そこで新たな政策経費の余地を見出していくということなんです。私はこういうことができれば非常にいいなと思うんですが、見てみると、なかなか簡単じゃないんじゃないかなという気もするんです。
額賀財務大臣に、この表をごらんになってそのあたりどうお感じになるか、そして、どこに額賀さんとしては無駄を見出してプライマリーバランスを回復していく道筋をつけようとしているのか、その御所見を承れればと思います。