竹花豊の発言 (内閣委員会)

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○参考人(竹花豊君) 私は、本法案が子供たちが置かれたインターネット社会の脅威を改善する上で力強い契機となることを期待する立場から、意見を申し上げたいと思います。
 私は、平成十五年六月、治安担当の東京都副知事を命ぜられまして、青少年問題にも深くかかわってまいりました。その当時、警察や学校現場から、携帯電話が子供たちを変えている、非行の原因ともなり非行を拡大、深化させている、何とかしてほしいという切実な声に直面をいたしてまいりました。何でもありの携帯電話の実態に驚愕し、対策の検討を迫られたわけでございます。
 その結果、激論を経て、平成十七年の三月、東京都青少年の健全な育成に関する条例を改正していただきまして、お手元に私の配付資料ということで、東京都青少年の健全な育成に関する条例の抜粋がございます。その十八条の七以降に記載をされておりますけれども、インターネット事業者にフィルタリングサービス提供の努力義務を課すとともに、保護者等にフィルタリングの利用の努力を促すというそうした責務を課すなどいたしました規定を新たに設けたわけでございます。当時、まだ携帯電話にはフィルタリングの機能がそもそも開発されていない時期でもございましたし、その開発を急いでいただきまして、平成十七年の十月からこの条例は施行をされました。
 しかしながら、この条例は、実はその後の調査によりまして、事業者にも言わば軽視をされるという状況が続きまして、こうした子供たちに向けたフィルタリングの装置が付け加えられるという事態がなかなか進まないという状況が続きまして、私といたしましては非常に失望をしたような状況がございます。
 しかしながら、その間にも子供たちのこの問題を介しての犠牲というものが膨大に積み重ねられていくという実態を目の当たりにいたしまして、平成十八年四月に、当時私が警察庁の生活安全局長を務めていた立場から、多数の有識者にお集まりいただきましてバーチャル社会の弊害から子どもを守る研究会というものを立ち上げ、携帯問題、ゲームの問題等につきまして現状と課題を整理していただきました。その最終報告書がお手元に配付されているかと存じます。
 私のこの問題についての考え方は、この最終報告書に述べられたものとほぼ同一でございまして、現在でもこの立場が正当性を保持しているというふうに考えておりますが、この最終報告書を作る過程でも、事業者の方々の御意見もお伺いしようということで来ていただきましたけれども、当時、どの程度子供たちにフィルタリングが付けられているのかという質問についても、個々の事業者からはお答えできない旨のお答えをいただくなど、なかなかこの問題を改善していくことの難しさを実感をさせられたわけでございます。
 この最終報告書のちょっと十一ページを御覧をいただきたいと存じますけれども、この十一ページの枠の付いたところでございますけれども、当時この研究会は、子供に携帯電話を持たせるかどうか、持たせるとしてもどのような機能の付いたものを持たせるかについて、保護者、学校等の議論を喚起し、携帯電話のもたらす弊害から子供を守るための方策についての社会的なコンセンサスづくりを早急に進める必要があること。
 その次のページ、十二ページでございますが、同じく括弧付きの中に、(2)、子供と携帯電話の関係についての社会的コンセンサスを背景として、携帯電話がもたらす危険性や子供に安全な携帯電話を持たせることの必要性等について子供や保護者の間での理解が深まるように取組を広範、緊急に進めるべきであると。
 さらに次のページ、(3)にございますが、携帯電話会社等に対し、子供を守るという取組方針の下、子供に携帯電話を提供する際には子供が違法・有害情報に触れないものを提供するなど、対策の格段の強化を求めていくべきである。
 その(3)の①のところに続けて書いてございますが、大手量販店も含め、携帯電話会社、販売店、代理店は、子供を守るという取組方針の下、携帯電話の販売時に利用者の年齢を確認し、子供に携帯電話を提供する際には、インターネット接続機能を有しないものやフィルタリングを設定した状態で販売することを基本とすべきであるといったような内容についてまとめたわけでございます。
 この最終報告書は十二月に出ておりますが、これは既に九月段階で中間的な報告としてまとめられ、公表されたわけでありますけれども、こうした研究会の検討と相前後いたしまして、国会においてこの問題がしばしば取り上げられるようになったということを承知をいたしておりまして、そのことがこの問題を大きく改善をすることになりつつあるという期待を私は非常に強く持っておりました。その後、総務省等におかれましても、事業者に対して取組の要請を行い、大きな前進が見られたわけでありまして、私としては、長くこの問題にかかわってきた者として、ようやく山が動き始めたと感じたものでございます。
 そのような私の目から見ますと、今回の法案が提出され、これが成立をいたしますということになりますと、この問題に国として強く危機感を持っていることを示すことになり、一国民として強く支持をいたしたいというふうに存ずる次第でございます。
 この法案の内容は、この法の施行によって直ちにインターネット上の違法・有害情報がきれいさっぱりなくなりますとかというものを期待できるような内容ではないことはそうでありますけれども、しかしながら、様々な利害あるいは理念がこの問題をめぐってはあるわけでございまして、そうした対立を持ち込まずに、事業者を含め大多数のこの問題にかかわる方々が納得できる線を提示したものであり、インターネット有害情報の国全体での取組の手堅い基盤をつくり出すものであるというふうに私は考えております。国会の皆様方がよくこの法案をおまとめいただいたと、僣越ではございますけれども、非常に感謝を申し上げ、敬意を表したいというふうに存じております。
 ところで、私は、この内容についていろいろ争点があったことをお聞きをしておりますけれども、もはやこの段階でそこを蒸し返すというようなことではなくて、私がこの法案を施行する上で非常に大事だと思う点を次に申し上げたいというふうに存じます。
 一つは、この法案は、この問題にかかわっている様々な国民各層の参加を促すものでございます。したがって、社会全体での取組を大きくすること、そのための司令塔、コーディネーターの役割が非常に重要であるというふうに思います。それは国レベルでもそうでありますし、また、地域あるいは地方自治体のレベルでも同じであろうというふうに思います。
 この問題が多数の省庁にまたがる問題でありますので、こういう問題の性質上、絶えずどこかの省庁に、幾つかの省庁に責任が分散されますと、やや無責任な法の施行ということにもなりかねないということも懸念をしておかなければなりませんし、何よりもこの法律が議員立法であるということから、国会がなおこの法律の施行について継続して取組の全体をチェックするということが強く望まれる、そうしなければ作った法律が、言わば東京都の条例ではありませんけれども、軽視されるというようなことがないようにお願いをいたしたいというふうに存ずる次第でございます。
 二つ目は、この法律の施行に当たって大事なことは、この法律の施行の成果を確認するということであります。例えば、フィルタリングの設置が年齢別にどのように進んできたのかということをやはりきちっとチェックをする必要があろうというふうに思います。あるいは、こうした携帯電話を介して子供たちが様々な犯罪の被害に遭っている事例が減ったのかどうかといったことも重要な視点だろうというふうに思います。あるいは、そもそもインターネット上の違法・有害情報がどのように変化をしてきたのかということをとらえていくということがまた大事であろうというふうに思います。インターネット・ホットラインというものがございますけれども、これは現状をかなり正確に把握をしているというふうに思いますが、この法律の施行後、このホットラインの活動がどのように変化をしていくのかといったこともまたそうした成果を確認する上での一つのすべであろうというふうに思います。
 その際に、警察において検挙した事件、あるいは他の公的機関がこの種の問題にかかわることはあろうかと存じますけれども、もしそうした事案が、どのような理由で、だれに責任があって、こうした違法情報にどういう経緯で接触、アクセスをして、どうしてそこがとどめられなかったのかといったような点についても十分な検討を加えられた情報が提供されることが大事であろうと思います。同時に、インターネット関連事業者の方々がフィルタリングの設置の状況等について、率直な情報の提供が事業者ごとに行われるということも大事であろうというふうに存ずる次第でございます。
 三つ目でございますけれども、やはりそれに関連いたしまして、通信事業者、インターネット関連事業者の役割はこの法律を施行する上で非常に大きいものがあるというふうに思います。この方々の対応の仕方がこの法全体の言わば施行の、何といいますか、かぎであるというふうに思いますし、そうした対応の在り方がユーザーや保護者の多様な要求にこたえたものであることが必要であろうと思います。
 今携帯電話の中にもいろんな種類があるわけでございますけれども、もう電話機能だけでいいという方もおられますし、限られたメールのものだけでいいという方もおられるわけであります。そうした方々の要求、あるいはフィルタリングについてもいろいろな制度には多様なものがあっていいわけでありまして、そうしたものがどういうものであるかということがクリアに説明をされて、ユーザーや保護者の方々の選択にこたえられるようにしていただくことは非常に大きなことであろうというふうに存じます。
 これまでもこうした事業者の方々は様々な努力をされてきたことを承知をしております。子供たちを守ることが事業者の社会的責任だ、今企業にはCSRということが強く求められているわけでありますけれども、そうしたことを御認識をされている事業者の方々も多いというふうに承知をいたしておりまして、そういう観点で更なる努力が進められることを私自身は強く期待をいたしておりますし、また国会におかれてもその点での激励、支援といったものが必要ではないかというふうに存ずるものでございます。
 四つ目でございますけれども、この法律はいろいろな取組が書かれているわけでありますけれども、中核を成す一つのものとしてフィルタリングを中心に子供たちの被害を防いでいこうということが非常に色濃く出ているようなものであろう、そういうふうに受け止められているというふうに思います。
 もちろん、そのことは非常に大事なわけでありますけれども、私、最近、最近といいますか、おやじ日本というボランティア団体を主宰をいたしておりまして、つい最近六月一日も埼玉で全国大会を全国のおやじの人たちと議論をしたわけでございますけれども、ちょっとお手元に私、おやじ日本のパンフレットの一部を抜粋したものをお持ちをいたしましたけれども、そこで議論されたことの中に、やはり携帯電話を子供たちに持たせるべきではないという議論もかなり強く主張されてきているということが感じ取ることができます。この法律を施行することが、もちろんそのフィルタリングを通じて害を少なくしていこうということを訴えていくのは正しい方向でありますけれども、子供たちの安全を守るためにそういういろいろな選択があるのだということも包含をしていただいてこの法律の施行を進めていただけるようにしていただければというふうに存じます。
 ちなみに、このおやじ日本は今年からインターネットセーフティー運動、iS運動というものを主唱いたしまして、全国のPTAの方々、それから関係の事業者の方々にも、それから全国のお父さん、お母さん方、あるいは学校の方々にこの運動を広げようということで今取組を始めております。iというのは小文字であります。子供たちをセーフティー、安全の中に包もうと、地域安全運動のインターネット版だというふうに私どもはとらえて、この問題を多くの御家庭の方々に携帯電話の問題についてどんな実態なのかを知ろうよ、そして子供たちと話そうよと。そして、子供たちというのはなかなか親の言うことを簡単には聞いてくれません。友達はみんなフィルタリング付いていない電話持っているんだと、こう言い張りますと、なかなか御家庭で子供を説得することが難しい。そういうことから、お父さんたちが手をつなごうよと。そして、あの家だってそうじゃないか、この家だってフィルタリング付けているよ、いや、持っていない家もあるよ、これは当たり前じゃないんだよということをお父さんたちが連帯して子供たちに言っていけるようにしようという運動として展開をしております。
 そういう取組しているのは私どもばかりではなくて、多くの地域の方々、ボランティアで進めておられるわけで、そうした動きをこの法律の中には推奨することが書かれておりますので、その点についても大きな期待を寄せているものでございます。
 最後に、五つ目でありますけれども、違法情報や有害情報が厳然と今あるわけでございまして、これへの取組についてでございます。これは附則の第四条に係る部分でございますけれども、違法情報、有害情報についてのインターネット・ホットラインセンターの取組から、私は次の二つの点を感じております。
 一つは、サイト管理者等において自発的な取組を支持する仕組み、これはこの附則の第四条が示唆をしている仕組みでありますけれども、これを実現をすることというのは、この問題についてかなり大きな改善を、大きな新しい局面をつくり出すことに寄与するであろうということを感じておりまして、是非ともこの問題について早めの措置をお願いできればというふうに存じます。
 あわせて二つ目に、今ホットラインセンターの指摘を受けてもしぶとく違法情報であっても削除をしないという管理者が結構あります。こういう方々に対しては新たな措置を考えていくことが必要であろうというふうに思います。この問題は非常に難しい問題ではありますけれども、警察に取締りをゆだねるだけではこの問題は解決をしないというふうに存じます。やはりネット社会らしい迅速で余り手が掛からない、しかし関係者の利害がうまくバランスが取れるという、そういう新たな仕組みが別途専門的に検討されるべきだろう。それは不可能なことではないというふうにも私は感じておりますけれども、それはこれからやはり専門的な研究が必要だろうというふうに思いますので、そうした点について検討を進めていただければ有り難いなというふうに存じております。
 時間になりましたので、以上で私の御説明を終わります。

発言情報

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発言者: 竹花豊

speaker_id: 23879

日付: 2008-06-10

院: 参議院

会議名: 内閣委員会