前川清成の発言 (法務委員会)
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○前川清成君 基本的には今の裁判のやり方に何の問題もないにもかかわらず、呼出し状一枚で国民の皆さん方を法廷に引きずり出して、いつ終わるかも知れない裁判員裁判に参加させると、こんな大改革がなされたとは私は思っていないんです。
それは、大臣の周りにいらっしゃる最高裁から法務省に出向してきた皆さん方とかあるいは法務省の皆さん方は、今までの裁判には何の問題もありませんと、こうおっしゃいますよ。
大臣、一九八三年に免田事件というのが起こりました。御存じないかもしれませんが、要するに、死刑判決が確定していた免田栄さんという方が再審の結果無罪だという判決が言い渡されて、その後、島田事件、財田川事件、松山事件、一九八〇年代に四人の死刑判決が確定していた方々に対して再審の結果実は無罪だったと、何の罪もなかったということが判明しました。驚くべきことに、この四人の皆さん方はすべて捜査段階で自白しておられたんですよ。何で死刑になるかもしれない自白をするんですかね。そこが大臣の常識に照らしてどのように御判断されるかですよ。
そのような事態について、きっと大臣の奥様も刑事訴訟法を勉強するときにお読みになったと思うんですが、平野龍一さんという刑事訴訟法の大家がいらっしゃった。この方が一九八五年、昭和六十年に団藤重光博士の古希祝賀論文集の中に、「現行刑事訴訟法の診断」という文章をお載せになっている。その中の、平野先生は締めくくりに、我が国の刑事裁判はかなり絶望的であると。犯人と思われる、警察がこいつが犯人だと思った人を捕まえてきて、二十三日間、自分の手元に勾留しておく、何が何でも自白を取る、山のような自白調書を取って、法廷で真相を明らかにするんではなくて、法廷は単なるセレモニーで、裁判官が自宅に帰ってその調書を読み込むことによって真相を発見したかのように自信過剰になっている、その現状を改めなければならないと。何といっても最大の人権侵害こそ冤罪ですから。
そういう問題意識があって私はこの裁判員制度というのが導入されるのではないかと、そう思っているんです。今まで何の間違いもありませんでしたと、最高裁はそうおっしゃいますよ。法務省もそうおっしゃいますよ。それにもかかわらず、いつ終わるかも知れない裁判員に引きずり出されなければならない国民の苦労を、大臣、少しはお考えいただけたらと、私はそう思います。
それで、来年五月二十一日から施行されるわけですけれども、この施行までの準備について大臣はどのような説明を受けておられるのか、お聞きしたいと思うんです。法務省の役所の皆さん方から、準備はもう完璧に終わりました、大臣もう大丈夫です、あとはテレビコマーシャルするだけですと、こう言っていただいているのか、いやいや、大変なことになりますよ、このままなったら第二の後期高齢者医療制度になりますよというような説明を受けておられるのか、どちらですか。