北原國人の発言 (経済産業委員会)
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○北原参考人 おはようございます。
私は、ただいま紹介をいただきましたように、全国の家電販売店、中小の家電販売店の二万三千の組合員の組織を持ちます全国電機商業組合連合会の会長代行の北原でございます。今回、こうした席での私どもの陳述をさせていただけることを大変感謝申し上げるところであります。
私どもは、今回の独占禁止法の改正については基本的に賛成をさせていただきます。ただし、私どもの幾つかの経験の中から、運用に際しては、現実をまず直視していただいて、そして迅速な、適正な処理をお願いしたいということを申し添えさせていただきたいと思います。
私どもは小さなものの組織でありますので、ちょっと現実に即し過ぎるかもしれませんけれども、まず家電流通業界の実態を御理解いただきたいというふうに思って、お手元に差し上げた資料のような状況で私どもの電機業界というのは推移をしてきた、こういうことであります。
最近の量販店の台頭は、物すごい勢いで市場を席巻しております。そのはざまにあって、私どもの地域店が大変な苦境の中で商売をしているというのは、この数字に出ているとおりでございます。組合員の推移を見ましても、平成七年から十九年、この間に六千二百店余の店が閉めております。したがって、地域のインフラ等も考えながら、小回りのきく地域店の存在が危うい状態になってきているのも、この表でご覧のとおりでございます。
なお、流通チャンネルの状況を申し上げますと、量販店またはカメラ業界からの量販店を含めて市場のほぼ六二%、これは二〇〇七年の数字でございまして、最近の数字はもっと強いものになってきているわけであります。
そういう中で、地域で生業としてやっているような地域店を含めて、私たちは、二〇一一年の地デジの移行に関する役割、量販店でできない地域店の役割、それから高齢化社会が進んできております。この高齢化社会に対応するのに、地域の電気店の役割は大きいだろう。また、地域のインフラとも言えるような活動をしているのも地域店の存在であります。こうした店がなくなるような寡占化が進んでいるということを、まず皆さんに御理解をちょうだいしたなというふうに思います。
そうした中で、今の市場の価格というのは、余りにも量販店と地域店の格差が大きいということでございます。このことについて、私どもはいろいろの生き残り策を組織としてはやっておりますけれども、皆さんの資料の中にもありますような「漂流する地域店 量販店FCは救えるか」、これはある雑誌の広告でありますけれども、こういうようなことが現実の姿として、量販店の中に吸収されたり、ほかのルートからの仕入れルートで、地域店の存在が全く怪しげな状況になっているのが現状でございます。
そうした中で、家電ガイドラインというのを、十八年の六月二十九日、公正取引委員会さんが出していただきました。その資料も皆さんのお手元にあると思いますけれども、家電ガイドラインというのは、酒の業界それからガソリンの業界に次いで三番目に、家電業界の現況を憂えるというか、不当な競争がなされているという中で、地域店の存在すら危ないということで、公正取引委員会さんがこうしたガイドラインを発付されたわけであります。
それに対しては、その当時私どもは、大変ありがたい策であり、地域店の生き残りをかける守りになるかなというような思いでおりましたけれども、ここにもありますように、家電製品の流通においては、「近年、小売市場における家電量販店の成長が目覚しく、メーカーの家電量販店への販売依存度が高まる傾向にある中で、大手の家電量販店間の激しい低価格競争により、地域家電小売店の事業活動に与える影響が深刻化している。」、この文言で、私どもは、これに基づいて申告活動を行ってきたわけであります。
その申告活動の内容については、皆さんのお手元に資料があると思いますけれども、十八年度が百五十八件、十九年度が四百二十七件、二十年度は千二百三十四件、こうした公正取引委員会から注意を受けた実態が出ておりますけれども、私どもは、それに対する申告で、この程度の注意で終わるのかなということが一番の問題でございます。
というのは、私どもは、せっかくいいガイドラインを出していただいても、実行、それを適用してもらわなければ生きた法律にならないであろう。今回も、課徴金制度等を踏まえたいろいろの改善策をされて、基本的に賛成でありますけれども、私どもの業界のこのガイドラインに対する申告ですが、本当に適正に運用されているのかという疑いを持っている、不満を持っているところでありますので、今後、こうした新しい法に基づくものの運用をしっかりとやっていただきたいというのが、私どもが今これを述べている一番の問題であります。
不当廉売に関する運用で、要望がございます。
私どもは二十年度は二万数千件の申告をしておりますけれども、十九年度の回答は、まことに寂しい回答が公正取引委員会で出ております。実態に即さないような回答をいただいておるというのが実態でございます。それに対しては大変に不満です。
それというのは、注意をしたというような文書で返ってきているわけであります。疑いがあるので注意しましたということですが、その注意の仕方は口頭である。文書でなくて、口頭で行っている。何回同じことをやっても、それは注意で、口頭で終わっている。これはやはり、罪を犯した者を厳罰に処する、そういう公正取引委員会の本来の姿勢があらわれていない。せっかく地域店が、価格競争で大変な市況になって、不当差別対価があるという申告をしているのに、それを取り上げていただいていない。そして、実際には、調査も聞き取り調査であって、表面的な価格のみが表へ出て、本当の実態の価格の調査がされていないということに私どもは不満を持っているわけであります。
そして、何回か注意をすれば、当然それに対してはその上の警告であるとか排除命令というものが出るべきだというふうに私どもは思っておりますけれども、現実にはそれが運用されていない、そういうことに対する不満がある。どんな法でも、運用する公正取引委員会さんが厳格にその法の運用をしていただかなければ、形だけのものに終わってしまう、そしていい法律も生かされない、こういうことに私どもは不満を覚えているところであります。
さて、今、公正取引委員会に申告をしても、この市場というのは価格が動いております。非常にスピードの速い業界であります。生鮮食料品と同じような価格体系かと思われるくらい速いスピードで動いておりますので、これに対する公正取引委員会さんのこのガイドラインができたときの説明は、二カ月以内に必ず結論、申告書に返答するということでございましたけれども、三カ月、長期に至っては半年後でなければ返答が来ない、こういうような現状であります。
いろいろな事情はあるでしょうけれども、非常に、功をなさない、時間がたち過ぎている。今、家電製品は、一週間で価格がどんどん下がったり、どんどん変化をしております。それを六カ月たって回答をいただいても、やった業者はやり得というようなことで、業界は、血で血を洗うような競争をしている。
そのはざまにあって、大手と言われる日本の家電メーカーが、家電製品でほとんどのメーカーが赤字になっております。これは、地域店はメーカーの思うままの価格、量販店は毎週商談会が開かれ、そのたびに、卸価格はないにも等しい、メーカー同士の競争のもとで強要された、強要されたと言うと語弊があるかもしれませんけれども、競争場裏の中でどんどん安くなっている、地域店はそうした商談すらできない、メーカーの決められた価格で買っている、そこに格差が出てきてしまうわけであります。
私どものような業界は、耐久消費財でありながら、野菜と同じような市況の価格になっている。この実態を公取さんにぜひ調べていただきたい、聞き取りでなくて現実を調べていただきたいということをきょうの機会にお願いしておきます。ということは、今度の改正の法ができても、立派なのができても、運用や活用や思い切った踏み込みをしない限り法が生きてこないということを、私はきょうの機会にぜひお訴えをしておきたいというふうに思います。
なお、差別対価について先ほど少しく申し上げましたけれども、この差別対価というのは、私どもは、基本的には卸価格というものがあるわけであります。そして、今回二万件からの申告をしている中で、公取さんは、メーカーの、卸だけの表面的な価格しか聞いていないわけであります。したがって、これには差別対価はないというような報告をいただいているわけであります。現実を調べない、ここに、ある面、一生懸命申告をしている組合員からは、これは何のガイドラインなのよという声が聞かれるわけであります。
どうか、量販店それからメーカーの調査をしていただきたい。聞き取りであるならばメーカーは何も問題のない答弁をされるけれども、そういう実態がない。
皆さん方のお手元に資料として差し上げてある価格調査分析の結果でありますけれども、これについてちょっと説明をさせていただきます。
これは量販ごとに調査をした中の抜粋でございますので御理解をいただきたいと思いますけれども、一番下の欄のブルーの色のかかっている逆ざやの問題であります。
逆ざやというのは、地域店の卸価格で売ったら量販店の小売より高くなるという数字であります。私どもの仕入れの価格が、量販店が広告で出している価格、小売されている価格よりかも高い、量販店が五万で売るものを地域店は五万五千で仕入れている、六万で仕入れているという現実のものであります。したがって、これでは商売にならないわけであります。
もっと言えば、逆ざやは出なくても、卸と小売ととんとんならこの表の数字に出てきません。そういう考え方をしますと、半分以上の商品が、地域店は量販店と入り口の価格で対抗ができない、こういう状況になっているわけであります。
その実態を幾ら訴えても不当差別対価なしというような返答をいただいていることに地域の電気店はいたたまれなくなって、先ほど申し上げたこういう組織に入って、本来自営業でしっかりやらなきゃいけないものが、最近は量販店のFCというような形またはVCというような形で、量販店から仕入れた方が正規のメーカーから仕入れるより安い。この現実を一つ見ても、いかに差別対価が大きいかということを公取の皆さんに調べていただきたいというのが私どもの思いであります。
優越的地位の濫用があるかないかは別にして、全くかけ離れた価格で商売をされる。電気製品は、今、新製品が出た次の週から、卸値はないに等しい価格で商談が進んでいるのが実態であります。どうか、一度公取さんは、メーカーに対し、量販店に対し調査をしていただきたい。聞き取りでなくて、本当の意味の立入調査をしていただいたら実態がおわかりいただけるというふうに思っております。
時間の都合もありますので、公取さんは、量販店と地域店の平均的な価格差は一四・七%から三%の事実開きがありますということを書かれておりますけれども、これは大きな数字のあやであります。
今、ポイント政策というのが量販店ではやっておりますけれども、ポイントとは何ぞやといったら、これはまさしく、公正取引委員会さんは値引きであるという法解釈をされております。私どもは、ポイントというのはおまけであるというふうに理解をしておったところでありますし、そういう性質のものではないでしょうか。多額なポイントがどんどんつけられることによって、消費者は、必要以上の高いお金を払って、後は拘束された金でその企業から買わなければならないようなポイント政策になっている。このたび出たエコ・アクション・ポイントはそれに似たような誤解を受けやすい状況にもなっておるというのが、今の家電業界のポイント政策であります。
どうか、この省エネポイント政策もうまく活用して、景気浮揚になったり、または消費者のプラスになったり、エコの推進ができれば私ども業界としては大変ありがたいわけでありますけれども、ある意味では、そのエコポイントすら、量販店の大きな二〇、三〇というようなポイントが出てくれば五%のエコポイントは影が薄くなる、そういうことを心配している私どもでございますので、その辺も御理解をいただければ大変ありがたいと思います。
最後に、この価格格差、今、実態の仕入れ価格との差もしかりでありますけれども、いま一つ大きなのは、派遣員というヘルパーでございます。メーカーが量販店に出しているヘルパーは、想像を絶する数が出ておるわけであります。毎週土日は当たり前であります。これは、優越的地位濫用に基づいたところの、公正取引委員会さんからあるメーカーには排除、注意文書が出ました。
ところが、その反面、出た後で、またまた、これはメーカーが使ってくれと言っているんだ、メーカーが商売を伸ばすために使ってくれと言うから、私どもは優越的地位の濫用じゃない、メーカーがもうかるためにやっているんだというような、そんな反論すら出てきているようなこの家電業界でございます。
これはまさしく、皆さん方のところに資料が行っていると思いますけれども、百貨店法に基づくところの運用の、「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」の中で、「納入業者の従業員等の不当使用等」ということが出ております。これには、「自己等の業務に従事させるため、納入業者の従業員等を派遣させ、又は自己等が雇用する従業員等の人件費を負担させることを原則として禁止。」しているというこの項目であります。
この原則として禁止しているものを、百貨店の例えば化粧品売り場のようなところと同じような感覚で家電業界に派遣を認めていること自体がおかしい、私はこういうふうに思いますので、この辺についても公取さんにいろいろな面で研究をいただきたいということであります。
というのは、デパートへ出てくるところの化粧品会社等は、実際には自分の売り場が決まっているわけであります。そこで自分のブランド品を売るわけでありますけれども、家電の場合は、ずらっと並んだ中で、例えばパナソニック、シャープが出ていっても、自分の商品の説明だけではないんです。よその商品も、聞かれればそれを説明して売っているのが現状であります。まさしく量販店のバイイングパワーにつながる、大きな仕入れ格差につながる要素を持っておりますが、今のところ、これは非常に計算が難しいということもあるでしょうけれども、公正取引委員会さんは現下の差別対価には見ておらないのが実態であります。こういうものも、難しくても禁止をするべきであって、それを対価の計算ができないからといって外すべきものではないというふうに僕は思っております。
したがって、大型量販店が、優越的地位の濫用はなくても、商談の中で大きな力でメーカーさんにぶつかっていく。メーカーは、シェア競争の中でその言い分を聞かざるを得ない。毎週のように開かれる商談会がくせ者であります。
こういうことを独禁法の中でいま一度見直していただくことができれば、私どもの小さな店が社会的に貢献をしていける場がなくならないように、ひとつ、法の適正な運用、そして適正な、迅速な処理を最後にくれぐれもお願いをする次第であります。
どんないい法律でも、これを実行しなければ死んだものになってしまいます。私どもがガイドラインに大変な期待をかけているだけに、今、組合員からの大変な不満が起きて、組織すら危なくなるような状況にあります。量販店の寡占化はますます進んでいる。この寡占化でどうすることもできないかどうか知りませんけれども、私どもは、力がない者は負ければいい、そういう理論でなくて、これからの高齢化社会に地域で一生懸命やる電気店の存続のためにも、この法律の適用を厳正、迅速に行っていただくことをお願い申し上げまして、少しくきょうの議論とも外れているかもしれませんけれども、私どもの業界の実態をお訴え申し上げて、私の説明を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)