吉野直行の発言 (財務金融委員会)

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○吉野参考人 ただいま御紹介いただきました吉野直行でございます。
 私だけたくさん資料を用意いたしまして、大部でございますが、表を使いながらまず御説明させていただきたいんです。
 大きな字で「バブル経済の発生と経済政策の対応」という紙がございます。それを一ページおめくりいただきますと、右の下に二ページと書いてございますが、きょうお話しさせていただきたい内容を一から三に掲げさせていただきました。
 一つは、世界的な金融危機が発生したわけですけれども、私は、今後ともこういう危機というのは発生するんじゃないか、では、なぜこういうことが発生したかということをまず最初に申し上げます。それから、一—五、一—六というところでは、民間の資金を用いたケインズ政策というのをもっと推進していただきたいというふうに思います。ケインズの時代は国債を発行しながらケインズ政策をするということだったわけですけれども、PPPとかさまざまなインフラボンドなどを活用しまして、今中国やインドでは、民間資金を用いていわゆる地方と中央を結ぶ道路や鉄道をつくろう、そういう動きがございます。それに関しても、日本に関しても同じように民間資金を活用した政策というのをお願いしたいと思います。
 それから二番目、二ページの下の方の二番目でありますが、やはり、アジアがこれからの一つのエンジン・オブ・グロースといいますか、成長の大きな源泉があると思います。中国やインドあるいはASEAN、こういう国々と日本がうまくタイアップしながら、その成長に対して日本が協力し、また日本がベネフィットを受けていく、こういうことが今後必要ではないかと思います。
 最後は、大量国債の発行と金利変動準備金の活用というのを御説明いたします。
 それでは、三ページをごらんいただきたいと思います。これがアメリカの急激な株価の下落で、御承知のように、二〇〇七年をピークに株価の下落が、左の数字を見ていただきますと、一一〇が六〇ぐらい、こういうふうに減ってきております。
 四ページは、ちょっと私間違えて、住宅価格と株価と同じだったんですけれども、住宅価格もほぼ同じような下落をいたしております。
 五ページをごらんいただきたいと思いますが、特に五ページの下の方ですけれども、二〇〇八年のサブプライムローンが急に起こりますと、やはり金利が非常に上昇いたします。それから、貸し出しが滞る。こういう金融市場への大きな影響があるというのが五ページ目でございます。
 次は、六ページ目の七と書いてありますが、こういうことによりまして、アメリカでは銀行業の、大分問題のある銀行がふえてきておりまして、短期的な政策としては、この銀行に対する公的資金の注入あるいは株式の資本注入、こういうものを行っております。
 次に、七ページをごらんいただきたいと思います。ちょっと見にくく三つ書いてございますが、では、日本では資金の循環がどうなっているかというのを見たものでございます。ここの三つの表をごらんいただきますと、一番上が八四年から九〇年のバブルの時期、真ん中が九〇年から二〇〇〇年、一番下が二〇〇〇年から二〇〇五年のところでございます。
 この図の見方は、左側の部門から右側にお金が流れるということを言っております。例えば、一番上の行をごらんいただきますと、金融機関からどういうところにお金が流れているかということでございます。金融から民間企業には、バブルのときには、年平均五十五・六兆円もお金が動いております。今度真ん中をごらんいただきますと、金融から民間企業にマイナス二・八兆円、つまり、金融機関から借りない、または金融機関が引き揚げている。一番下をごらんください。マイナス十六・九です。つまり、日本の企業がお金を借りて設備投資をするということをしていないということです。これは、やはり日本の成長にとってマイナスであるということがわかると思います。
 さらに、一番上の一番右ですけれども、今度は金融機関がどれくらいお金を全体で運用しているか。縦をごらんいただきます。金融機関全体では、お金を集めて運用して、百九十三兆円です。それから、上から三行目に民間企業、六十四兆円の資金を運用しております。それから、五行目の家計、一番右ですけれども、七十七・六兆円です。これくらいみんな活力があったわけです。次に、九〇年から二〇〇〇年をごらんください。特に三行目の民間企業、マイナス八・五兆円。これはお金を引き揚げているということであります。それから、家計をごらんいただきますと、一番上の右側ですが、家計は全体で七十七・六兆円運用しておりました。一九九〇年から二〇〇〇年の、真ん中の五行目の一番右、三十九・四兆円。それが一番下に行きますと十六・三兆円。こういうふうに、みんなが貧乏になってきてしまっているわけであります。
 結局、ではだれが一番お金を吸収しているかといいますと、四列目の縦のところをずっと見ていただきます。それの一番下の数字をずっと見ていただきますと、政府が一番お金を調達している。つまり、政府が一生懸命国債を発行してお金を調達して、それで国民の方々に分配していただいている、こういうことであります。
 ですから、今の金融の危機のときには仕方ないですけれども、将来的にはやはり上の姿に戻らなければ、日本経済の回復はないということであります。それをするためには、やはり私は、アジアと共存しながら、日本のメリットを生かして、それで日本がアジアにいろいろお手伝いをし、それからそこでいい形で回転していくということが重要だと思います。
 では、それができているかというのが八ページでございます。これは、東アジアの資金の流れをあらわしております。ちょっと汚いので申しわけないんですけれども、一番左側、真ん中、右側、三つの円グラフがございます。
 まず一番左側は、東アジアの諸国が、高い貯蓄率なんですが、どこに投資をしているかということです。アメリカに四二%投資をしております。ヨーロッパに三七%投資をしております。アジア域内では、一番左が八・二%しかありません。つまり、アジアで集められた貯蓄のほとんどは、アメリカやヨーロッパに主に長期の債券として流れております。
 では、今度真ん中をごらんいただきまして、どこからアジアにお金が来ているかといいますと、アメリカから三七%、ヨーロッパから三〇%、これが株式とか短期資金で戻ってくるわけです。つまり、せっかくアジア人が貯蓄したものを、失礼な言い方をしますと、テラ銭をアメリカやヨーロッパに稼がせて、それで結局短期のお金ですぐ入ってきたり出ていったりする。ですから、せっかくまじめにアジア人が貯蓄をしたものがうまく活用されていない。どうやったらアジアの中で我々のお金が回るかということも、今後はぜひ考えていただきたい大きな問題だと思います。
 では、なぜこのようにアメリカに行くかといいますと、一つは、アメリカにたくさん金融商品がありました。このために、アメリカにまず一度行って、それからアメリカの資金が戻るというのが一番目です。それから二番目は、これまでやはりアメリカの債券というのは非常に信用度が高かったわけであります。それで、アメリカあるいはヨーロッパに流れました。それから三番目は、皆様もニュースでごらんになりますと、なかなかアジアの情報というのは入りません。大体ニュースで出るのは、ユーロと円の関係、円とドルの関係、アメリカの株、ヨーロッパの株、これくらいしかありませんから、アジアの情報が余りありません。そういう意味では、もっとアジアの情報をお互いに交換する、それからアジアの中でいろいろな債券のようなものをつくっていく、こういうことが必要だと思います。
 八ページの一番右側をごらんいただきますと、ヨーロッパはヨーロッパ域内で六五・五六%も回っております。ですから、ヨーロッパは自分たちの中でお金を回しているわけです。だから、アジアがやはりこういうふうになっていかなくてはいけないと思いますが、そのためには四つぐらいのレベルのいろいろな方策が必要だと思います。
 一つは、政治家の先生方の間での、政治レベルでのアジアとの協調が第一番目であります。それから二番目は、政府の間での、政府間のさまざまな結びつき、これが二番目です。三番目が、ビジネスの間での結びつき。それから四番目が、学者とかいろいろなところを通じた学問的な交流。この四つがうまくバランスをとりながら、アジアとの共存ということがぜひ必要ではないかと思います。
 日本では、三番目のビジネスの動き、これは非常にアジアと結びつきがございます。これは、製造業が円高の中でアジアにどんどん出ていきました。そして、アジアの生産ネットワークができたわけであります。ところが、一、二、四がまだまだこれからだと思います。ぜひ、先生方も含めて、アジアとの共存を図り、その中からアジアで資金を回し、さらにアジアの活力を日本と一緒に享受していくということが必要だと思います。
 次は、九ページをごらんいただきたいと思います。
 先ほど、アジアの資金がアメリカに流れ、それからアメリカから日本あるいはアジアにたくさん資金が流れると申し上げましたが、九ページは、東京証券取引所の、どういう人たちが売買をしているかというのをフローで見たものであります。
 ごらんいただきますと、二〇〇八年の中ごろは、半分以上、六五%ぐらいですね、七〇%近く外国人が取引をしているわけです。つまり、日本の証券市場ですら外国人のシェアが多い。最近ですと五三・八%と下がってきておりまして、これが日本の株価の下落にもつながっているわけであります。もう少し日本の国内でうまく回す、それからアジアで回すということが必要ではないかと思います。
 次に、十ページをごらんいただきたいと思います。
 今、特別会計の積立金を取り崩しながら、これからの景気対策にしばらく使っていこう、こういうことでございますが、これはやはり、百年に一度の景気の悪化でございますので、ある程度こういう積立金を使うということは必要であると思います。ただ、もっと重要なことは、長期的には民間の資金をさまざまな政策のために調達していただきたいと思います。それは最後に申し上げます。
 この特別会計の積立金の中では大きいものが三つございますが、一つは年金の積立金。これは大体百五十四兆ぐらいございますが、これは将来のお年寄りのためにとっているわけですから、この積立金を取り崩すことは絶対できないと思います。それから二番目の外国為替特別会計の積立金。これも、これまでためてきた黒字の資金でありますけれども、これは為替レートが変動したり金利が変動するときに大きく動きます。この外為の大半は、アメリカの国債を買っているというのが現状でございます。さらに最近の円高で、もし時価で評価しますと、残念ながらこの積立金はほとんどないというのが現状でございます。そうしますと、使えるのは三番目の財政投融資の特別会計の積立金ということになります。
 財投の場合、なぜこういう積立金を持っているかと申し上げますと、財政投融資が自立採算で、自分の中で集めた資金を中小企業あるいは海外のために貸し出す、こういうのが財政投融資のやり方であります。そして、一番最後に書いてありますけれども、万一金利の変動があっても、自分のところである程度留保を積んでおいて、絶対に外からは借り入れをするようなことがないようなやり方の規律づけをつけるためにこういう積立金を積んでおります。
 ところが、これまで千分の百というのがあったんですが、それを五十まで減らすということになりました。これは、シミュレーションしますと、三千本のうちの大体三本程度がこれですと赤字になる可能性があるということであります。
 なぜそんな積み立てが必要かと申し上げますと、これまでは長期で貸して、それで短期でお金を集めておりましたので、その資金のミスマッチというところがあります。それから、現在は、長期の貸し出した資金がありますので、金利が低いですから収益が上がっているわけです。ところが、これが逆転しますとこの積立金も赤字になって、だんだん減ってくる、そういう可能性がございます。だから、そういう意味では、現在、この一部を景気対策に使うということは必要だと思いますが、長期的にはやはり千分の五十のあたりまで戻す必要があると思います。
 最後に、こちらの図を使いながら、世界的な金融危機とそれから今後の日本というのを少し御説明させていただきたいと思います。
 資料と書いてございまして、カラーの図がございますが、まず一番下をごらんいただきたいと思います。下の方に、一ページから、一番最後が五ページと書いてございます。
 これは日本の図でございますけれども、赤いところは銀行の貸し出しでございます。日本の一つの問題点は、やはりバブルで銀行の不良債権が大きくなり、それで五百兆円あった銀行の貸し出しが四百兆まで減った、これくらい、百兆円も銀行の貸し出しが減ったところに、日本の景気回復がおくれたところがございます。アメリカはこれを回避するために、公的資金を非常に短い期間に入れております。ですから、そういう意味ではアメリカ、ヨーロッパは、日本の経験を踏まえ、金融機関、特に銀行の貸し出しが滞らないようにするという短期の政策は今のところ成功していると思います。
 下の図は、地価と株価の変動でございます。
 時間の関係で、三ページをごらんいただきたいと思います。
 三ページの下の方に、これは中国の上海の株価でございます。これもごらんいただきますと、中国も約三分の一程度まで株価がピークと比べると下がっております。ところが、中国と日本の違いは、三ページの一番下ですけれども、銀行部門は中国は傷んでおりません。日本の場合は、先ほど一ページにありましたように、五百兆円あった貸し出しが四百兆になる、こういうふうに減ってきたわけですが、中国の銀行が傷んでいない理由は、一つは、銀行が株式を持っていない。それからもう一つは、地価の下落を中国政府が抑えておりまして、高どまりさせております。そういう二つの理由で、中国の株式の下落は銀行に影響を与えていないということでございます。
 最後に、四ページ、五ページでございますが、短期の政策と中長期の政策というのがあると思います。現在、各国では、短期の政策としまして金融機関の援助というのをしております。
 最後の五ページをごらんいただきたいと思います。これが私がきょう申し上げたい、民間の資金を活用したケインズ政策というのをぜひ今後日本でもどんどん進めていただきたいと思います。
 では、どういうようにやるかということですが、五ページの図がございますが、例えば高速道路だったといたします。そこから料金収入が入ります。例えば、現在ですと、高速道路の建設などはすべて国の資金、財投の資金でやっているわけですけれども、一番下のように、三〇%程度は税金あるいは国債のお金で調達いたします。しかし、上の、七〇%は民間の資金を集めます。高速道路から集まってきた料金を民間の投資家に配分する、こういうやり方であります。これがいわゆる、民間の資金を一部持ってきて、それによって公的な仕事をするというやり方です。
 このいいところは、民間の投資家に配当の率がわかります。そうしますと、効率のいい道路であれば、この配当の率が高くなる。そして、効率の悪い道路であれば、配当の比率が低くなる。さらに、余りにも悪い道路であれば、民間の資金が来ない。こういうように民間から、ある程度公的な仕事に対してもチェックができるということであります。
 実は、これは中国でお話ししましたところ、中国はこれを使いながら地方と中央の間の鉄道とかあるいは高速道路網をつくろうということを考えております。インドでも始めております。そういう意味では、アジアでこういうことが始まっておりますので、日本でも、先生方のお知恵を拝借しながら、どういう事業にこういうものができるのかということをぜひ考えていただければと思います。
 ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 吉野直行

speaker_id: 16667

日付: 2009-02-26

院: 衆議院

会議名: 財務金融委員会