財務金融委員会
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会
会議録情報#0
平成二十一年二月二十六日(木曜日)
午前九時三十分開議
出席委員
委員長 田中 和徳君
理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君
理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君
理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君
理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君
石原 宏高君 稲田 朋美君
越智 隆雄君 亀井善太郎君
後藤田正純君 佐藤ゆかり君
鈴木 馨祐君 関 芳弘君
土屋 正忠君 とかしきなおみ君
中根 一幸君 西本 勝子君
林田 彪君 原田 憲治君
平口 洋君 広津 素子君
松本 洋平君 三ッ矢憲生君
宮下 一郎君 武藤 容治君
盛山 正仁君 池田 元久君
小沢 鋭仁君 大畠 章宏君
階 猛君 下条 みつ君
鈴木 克昌君 古本伸一郎君
和田 隆志君 谷口 隆義君
佐々木憲昭君 野呂田芳成君
中村喜四郎君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 与謝野 馨君
内閣府副大臣 谷本 龍哉君
財務副大臣 竹下 亘君
財務大臣政務官 三ッ矢憲生君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 西川 正郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君
政府参考人
(財務省主計局次長) 木下 康司君
政府参考人
(財務省主税局長) 加藤 治彦君
政府参考人
(財務省理財局長) 佐々木豊成君
政府参考人
(財務省国際局長) 玉木林太郎君
政府参考人
(国税庁次長) 岡本 佳郎君
参考人
(経済アナリスト) 藤原 直哉君
参考人
(慶應義塾大学経済学部教授) 吉野 直行君
参考人
(東京大学法学部教授) 中里 実君
参考人
(日本銀行総裁) 白川 方明君
財務金融委員会専門員 首藤 忠則君
—————————————
委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
鈴木 馨祐君 武藤 容治君
とかしきなおみ君 土屋 正忠君
山本 有二君 西本 勝子君
同日
辞任 補欠選任
土屋 正忠君 とかしきなおみ君
西本 勝子君 山本 有二君
武藤 容治君 鈴木 馨祐君
—————————————
二月二十五日
消費税の大増税に反対することに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五一八号)
酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(伊藤信太郎君紹介)(第五一九号)
同(石田真敏君紹介)(第五二〇号)
同(高木毅君紹介)(第五二一号)
同(中井洽君紹介)(第五二二号)
同(柳本卓治君紹介)(第五二三号)
同(小野寺五典君紹介)(第五四三号)
同(北村茂男君紹介)(第五四四号)
同(棚橋泰文君紹介)(第五四五号)
同(谷畑孝君紹介)(第五四六号)
同(森喜朗君紹介)(第五四七号)
同(岡本芳郎君紹介)(第五六二号)
同(加藤勝信君紹介)(第五六三号)
同(平野博文君紹介)(第五六四号)
同(福井照君紹介)(第五六五号)
同(安住淳君紹介)(第五七六号)
同(金子恭之君紹介)(第五七七号)
同(河井克行君紹介)(第五七八号)
同(萩原誠司君紹介)(第五七九号)
同(平口洋君紹介)(第五八〇号)
同(福島豊君紹介)(第五八一号)
同(河本三郎君紹介)(第六二一号)
同(谷公一君紹介)(第六二二号)
同(盛山正仁君紹介)(第六二三号)
消費税の大増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二四号)
消費税大増税の反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第五二五号)
同(笠井亮君紹介)(第五二六号)
同(穀田恵二君紹介)(第五二七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五二八号)
同(志位和夫君紹介)(第五二九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五三〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五三一号)
同(吉井英勝君紹介)(第五三二号)
保険業法を見直し、団体自治に干渉しないことに関する請願(金田誠一君紹介)(第五四八号)
同(近藤昭一君紹介)(第五六六号)
消費税増税をやめることなど暮らしと経営を守ることに関する請願(筒井信隆君紹介)(第五七五号)
同(古賀一成君紹介)(第六二五号)
同(志位和夫君紹介)(第六二六号)
同(鈴木克昌君紹介)(第六二七号)
同(日森文尋君紹介)(第六二八号)
消費税増税に反対、所得税減税を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六一九号)
庶民大増税反対に関する請願(古賀一成君紹介)(第六二〇号)
保険業法改定の趣旨に沿って、自主共済の適用除外を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六二四号)
は本委員会に付託された。
—————————————
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案(内閣提出第四号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
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この発言だけを見る →午前九時三十分開議
出席委員
委員長 田中 和徳君
理事 江崎洋一郎君 理事 木村 隆秀君
理事 竹本 直一君 理事 山本 明彦君
理事 吉田六左エ門君 理事 中川 正春君
理事 松野 頼久君 理事 石井 啓一君
石原 宏高君 稲田 朋美君
越智 隆雄君 亀井善太郎君
後藤田正純君 佐藤ゆかり君
鈴木 馨祐君 関 芳弘君
土屋 正忠君 とかしきなおみ君
中根 一幸君 西本 勝子君
林田 彪君 原田 憲治君
平口 洋君 広津 素子君
松本 洋平君 三ッ矢憲生君
宮下 一郎君 武藤 容治君
盛山 正仁君 池田 元久君
小沢 鋭仁君 大畠 章宏君
階 猛君 下条 みつ君
鈴木 克昌君 古本伸一郎君
和田 隆志君 谷口 隆義君
佐々木憲昭君 野呂田芳成君
中村喜四郎君
…………………………………
財務大臣
国務大臣
(金融担当) 与謝野 馨君
内閣府副大臣 谷本 龍哉君
財務副大臣 竹下 亘君
財務大臣政務官 三ッ矢憲生君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 梅溪 健児君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 西川 正郎君
政府参考人
(内閣府大臣官房審議官) 湯元 健治君
政府参考人
(財務省主計局次長) 木下 康司君
政府参考人
(財務省主税局長) 加藤 治彦君
政府参考人
(財務省理財局長) 佐々木豊成君
政府参考人
(財務省国際局長) 玉木林太郎君
政府参考人
(国税庁次長) 岡本 佳郎君
参考人
(経済アナリスト) 藤原 直哉君
参考人
(慶應義塾大学経済学部教授) 吉野 直行君
参考人
(東京大学法学部教授) 中里 実君
参考人
(日本銀行総裁) 白川 方明君
財務金融委員会専門員 首藤 忠則君
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委員の異動
二月二十六日
辞任 補欠選任
鈴木 馨祐君 武藤 容治君
とかしきなおみ君 土屋 正忠君
山本 有二君 西本 勝子君
同日
辞任 補欠選任
土屋 正忠君 とかしきなおみ君
西本 勝子君 山本 有二君
武藤 容治君 鈴木 馨祐君
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二月二十五日
消費税の大増税に反対することに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第五一八号)
酒類小売業者の生活権を求める施策の実行に関する請願(伊藤信太郎君紹介)(第五一九号)
同(石田真敏君紹介)(第五二〇号)
同(高木毅君紹介)(第五二一号)
同(中井洽君紹介)(第五二二号)
同(柳本卓治君紹介)(第五二三号)
同(小野寺五典君紹介)(第五四三号)
同(北村茂男君紹介)(第五四四号)
同(棚橋泰文君紹介)(第五四五号)
同(谷畑孝君紹介)(第五四六号)
同(森喜朗君紹介)(第五四七号)
同(岡本芳郎君紹介)(第五六二号)
同(加藤勝信君紹介)(第五六三号)
同(平野博文君紹介)(第五六四号)
同(福井照君紹介)(第五六五号)
同(安住淳君紹介)(第五七六号)
同(金子恭之君紹介)(第五七七号)
同(河井克行君紹介)(第五七八号)
同(萩原誠司君紹介)(第五七九号)
同(平口洋君紹介)(第五八〇号)
同(福島豊君紹介)(第五八一号)
同(河本三郎君紹介)(第六二一号)
同(谷公一君紹介)(第六二二号)
同(盛山正仁君紹介)(第六二三号)
消費税の大増税反対に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第五二四号)
消費税大増税の反対に関する請願(石井郁子君紹介)(第五二五号)
同(笠井亮君紹介)(第五二六号)
同(穀田恵二君紹介)(第五二七号)
同(佐々木憲昭君紹介)(第五二八号)
同(志位和夫君紹介)(第五二九号)
同(塩川鉄也君紹介)(第五三〇号)
同(高橋千鶴子君紹介)(第五三一号)
同(吉井英勝君紹介)(第五三二号)
保険業法を見直し、団体自治に干渉しないことに関する請願(金田誠一君紹介)(第五四八号)
同(近藤昭一君紹介)(第五六六号)
消費税増税をやめることなど暮らしと経営を守ることに関する請願(筒井信隆君紹介)(第五七五号)
同(古賀一成君紹介)(第六二五号)
同(志位和夫君紹介)(第六二六号)
同(鈴木克昌君紹介)(第六二七号)
同(日森文尋君紹介)(第六二八号)
消費税増税に反対、所得税減税を求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第六一九号)
庶民大増税反対に関する請願(古賀一成君紹介)(第六二〇号)
保険業法改定の趣旨に沿って、自主共済の適用除外を求めることに関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第六二四号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
参考人出頭要求に関する件
財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案(内閣提出第四号)
所得税法等の一部を改正する法律案(内閣提出第六号)
————◇—————
田
田中和徳#1
○田中委員長 これより会議を開きます。
内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、経済アナリスト藤原直哉君、慶應義塾大学経済学部教授吉野直行君及び東京大学法学部教授中里実君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず藤原参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →内閣提出、財政運営に必要な財源の確保を図るための公債の発行及び財政投融資特別会計からの繰入れの特例に関する法律案、所得税法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
本日は、両案審査のため、参考人として、経済アナリスト藤原直哉君、慶應義塾大学経済学部教授吉野直行君及び東京大学法学部教授中里実君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
本日は、御多用中のところ本委員会に御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
次に、議事の順序について申し上げます。
まず、参考人各位からそれぞれ十五分以内で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
それでは、まず藤原参考人にお願いいたします。
藤
藤原直哉#2
○藤原参考人 皆様、おはようございます。経済アナリストの藤原直哉でございます。本日はお招きいただきまして、まことにありがとうございます。
私は、経済アナリストという立場から、大きな視点で、財政その他、国家の金融等の運営に関しますお話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、私の基本的な認識といたしましては、今の経済の状況は、やはり未曾有の経済危機と言ってよろしいと思います。百年に一度という言葉もございますが、それは、ただ単に不況だということを超えまして、構造的に今までの経済システムが成り立たない部分が出てきたというような意味におきまして、かなり深刻な問題だと私は受けとめております。
レジュメのところに三点ほど要点を書いてございますが、私は、まず直接的には、金融あるいは貿易が日本の経済を主導する時代は終わったのではないかなと思っております。
どういうことかと申しますと、皆様御案内のとおり、二年前にアメリカでサブプライム危機が発覚いたしまして、株の暴落あるいは金融機関の破綻その他がその後相次いでおります。それと同時に、昨年ぐらいから、製造業を中心といたしまして極めて深刻な需要の不足、すなわち、もう工場が動かない、仕事が余りにも少ないという状況が発生しているわけであります。
なぜ金融と輸出産業にかくも重大な変化が起きたのか、ここに今何が起きているかのすべての答えがあるわけでございますが、皆様御案内のとおり、これは震源地がアメリカでございますけれども、アメリカは約三十年ほど前から実は産業界の衰退というものが目に見えてきておりまして、今経営危機と言われております自動車産業は、もう三十年ぐらい前から実は経営が大変でございました。そこでアメリカ政府は、基本的には産業の立て直しをある意味ではあきらめたというふうに私は見ております。産業を立て直すよりも、中国、日本、ヨーロッパから物は輸入すればいいという経済体制にしまして、その分、金融を充実させまして、世界じゅうから資金を集めて国家を回す。だから、輸入大国、金融大国の道を選んだのが三十年前のアメリカだったと思います。
しかしそうやって、いい仕事がない、産業を衰退させますと、どうしても働いている人が十分な給与を得られません。そのため、この三十年間のアメリカ人の言ってみれば庶民の生活というのは、だんだん生活が追い詰められてまいりまして、いつ首になるかわからない、株を買ってもよく下がる。十年ぐらい前から、もう何かアメリカの庶民たちも本当に困りまして、いわゆる住宅バブルに乗っていったわけであります。
アメリカでは住宅の値段が右肩上がりで上がり続けるというのは余り前例がなかったことだと思いますが、十年ぐらい前から、とにかく住宅の値段が上がっていった。住宅さえ持っていれば、値上がりするから生活できるという、ある意味で非常に悲惨な方程式がアメリカの経済全体に広がっていたと思います。しかし、それが限界に達しまして、ついに住宅の値段の下落が始まり、限界的な借り手から破綻が始まったわけであります。
そうすると、アメリカはこの三十年ぐらい、借金をして、国も借金、庶民も借金、企業も借金をして投資をする、消費をするという体制を整えておりましたために、巨大な不良債権が発生したために、もう市場がお金を貸さない、銀行がお金を貸さないという状況になりまして、企業も庶民もお金を借りられなくなったわけであります。そのために、家と車、経済を支えております二本柱、これは全部ローンで普通買いますが、こういう買い物がばたりととまったわけでございます。そういたしますと、アメリカに物を輸出しております日本、ヨーロッパ、中国など、こういう国にもばったりと注文が入らなくなったわけでございます。
したがいまして、アメリカ人が借金できなくなった途端にアメリカで物が売れなくなって、アメリカに物を輸出している国の産業もとまってしまった。現状を簡単に申し上げれば、こんな状況ではないかなと思うんですね。
事の本質を掘り下げてみれば、三十年ぐらい前からアメリカがとにかく借金に借金を重ねて不均衡の上に巨大な需要を成り立たせていた部分、これが崩壊したわけでありますから、私は、アメリカを中心にとにかく金融を発展させ、輸入大国を続ければいいというアメリカの国策は事実上破綻したんじゃないかなというふうに思っております。
金融の問題等も、今回アメリカで金融破綻が起きておりますが、私は、見ていて非常に気がつきますことは、八十年前の世界大恐慌のときアメリカ政府は、もっと果敢に問題の本質追求をやっていたように思います。
委員の皆様御案内のとおり、八十年前の世界大恐慌のときにアメリカの上院でペコラ委員会という委員会ができまして、なぜこんな金融破綻が起きたのかという構造分析と、それからその後の対処を非常に積極的にスピーディーにやってまいりました。しかし、今のアメリカを見ておりますと、そういう本格的な金融、経済再建のための制度の見直しについての議論がなかなか進んでおりません。ああいうのを見ておりますと、随分衰退したなと私は思っている次第でございます。
こうなりますと、我々日本といたしましても、アメリカにお金の運用を任せればうまくいくというようなことはもう通用しないと思います。さらに、アメリカ型金融システムをそのまま導入してくればうまくいくということはもうないと思います。アメリカであれだけシステム的な問題が起きたわけでございますから、もう一回我々も考え直さなければならない。
さらに、特に貿易、これは非常に重大な問題でございます。委員の皆様御案内のとおり、つい昨年ぐらいまで我が国は、非常に長期にわたる景気回復を統計上していたわけでございます。しかし、それは輸出産業を中心とした景気回復であったことは否めなかったと思います。
したがいまして、輸出がとまった途端に、我が国のGDP成長率は先進国の中でも最も大きな落ち込み幅を示しております。世の中を見ておりましても、輸出産業の一部は調子がよかった、しかし、内需関連、サービス業その他は大変厳しい経済状況であったというのが、この五、六年の状況であったと思います。
日本経済は、昔から輸出依存体制が強過ぎるから、もっと内需中心の経済にしなければならないと言い続けられてきたわけでございますが、結果的にこの十年ほどの間、我が国は輸出産業に極めて偏重し、そして金融産業に極めて偏重した国家づくりになってしまっていたんだと思います。
それが今回、このようなアメリカ発の危機に陥りましてこんな状態になったわけでございますから、例えば税収一つとりましても、輸出産業頼みの税収では国家が回らないと思います、金融頼みの税収では回らないと思います。税金を国民の皆さんに払ってもらうためには、まず景気がよくなって、お金を稼いでもらわなければならないわけで、今回ばかりは小手先の対策ではどうにもならない。みんなが本当に、国民がお金を稼げる体制に国家としてもう一回システムをつくり直さない限り、これはもとに状況が戻るということはないんだろうというふうに私は思っております。
そして、政府というものの行動を考えた場合、私は二点あると思います。政府は、基本的に、当面の対策と抜本的政策という二つがやはり必要だと思います。
当面の対策というのは、絶望の回避と私はあえて言いたいと思います。
本当に、民間経済人はリスクがあるとは申しますけれども、それにいたしましても、この金融の物すごい混乱、さらには輸出産業の物すごい落ち込みは、多くの人の想像あるいは多くの経営者の実力を超えたものがあります。少なくともことし、来年ぐらいは何か政府が突っかい棒を入れてつぶれるものをとめないと、将来の産業の種火が消えてしまいかねない、それぐらいの状況でございます。
ですから、二年ぐらいは突っかい棒を入れて、とりあえず絶望を回避して、その間に、先ほど申しました、もう金融依存、輸出依存の体制が続けられないということであれば、やはり新しい国家ビジョンをつくるしかないんだろうというふうに思います。
委員の皆様も御案内のとおり、アメリカのオバマ政権は、グリーンインフラストラクチャーというような言葉を使いまして、新しい社会基盤をつくり直そうというようなことを言っております。私は、今国民が求めておりますのは、細かい部分の手直しではなくて、大きな、五十年先まで見通せるような国家ビジョンだと思います。
民間の企業でもそうなんですが、こういう厳しいときに小手先の対策を打っております会社はまずうまくいっておりません。やはり大きなビジョンのもとに積極的なリーダーシップを発揮するということが必要でございまして、これはもう、ここまで来ますと、経団連のような輸出系を中心としました会社の経営者に任せておきましても、なかなか物事ははかどらないと思います。あるいは、中小企業の経営者の自助努力だけでも問題ははかどらないと思います。やはり国家の指導者が、それはただ一人のだれかという意味ではなくて、政治全体がもう少し、こっちの方向に行くから皆さんついてきてくださいということをはっきり言ってほしいんだと思います。
それは海外も同じではないかなと思います。例えばアジア諸国は、今回の金融危機、経済危機、日本以上に厳しい状況になっているところもございます。日本なんかまだ余裕がある方でございます。したがいまして、世界各国からも日本のリーダーシップを皆さん求めているんだと思うんです。
やはり内需主体に、金融ももう少し、投機的な金融、ばくち型金融ではなくて、産業と金融が一体になったような形でこれはつくり直すべきなんだと思うんです。私は、アメリカが三十年ぐらい前から経済をゆがめていったということは、逆に言えば、三十年ぐらい前までの姿を少し思い起こしてみると答えは出やすいと思います。
例えば、今、貿易赤字が急速にふえております。貿易赤字がふえておるということは、今までのように、この三十年間のように、一方的な黒字がたまるということはないということでございます。一方的な黒字がたまるということでないということは、日本は金満大国の看板をいよいよおろさなければならないということであります。お金も、下手をすれば赤字になってしまう。黒字と赤字を行ったり来たりで必死になって金を国全体で稼ぐという、三十年前までの我々の先輩が直面していた現実に我々はいや応なく戻るんだと思います。
私は、最近の日本を見ておりまして、どうも現状認識が甘いような気がいたします。何か、怖い話をあえてしないような感じがいたします。それは、怖い話に遭遇して怖いことに直面しなくても、何となく豊かさがあるからやっていける、そんな感覚が官にも民にもみんな何かしみ渡ってしまったような感じがするんです。私は、それは大変危険なことではないかなと思うんです。
今、金融なんかに関しましても、年金の運用、退職金の運用、皆さん、貯蓄から投資へということで運用しておられます。しかし、もうかっている人というのはほとんど見ることがございません。やはりこれだけ厳しい世の中で老後の資産がなくなってしまったということは大変なことでございまして、ですから、これはその損失の責任という話もあるでしょうけれども、しかしそれ以上に、では、これから少子高齢化社会を生き抜く元手はどう確保するか、これはやはりもう一回、国の中で考え直さなければなりません。アメリカ頼みというわけにはもういかないわけでございます。それから、少子高齢化の中で人の数も減ってまいります。
したがいまして、我々は、過去十年間のとにかく引き締めに次ぐ引き締めをしていたこの時代をよく反省いたしまして、市場原理主義ではもうだめなわけでありますから、私は政治家の皆様に方針を変えるとはっきり言っていただきたいと思うんです。やはり、方針を変えると政治家の方に言っていただきませんと、民間企業も何となく昔の、グローバリゼーションだとか市場に任せておけばいいという頭から抜けられないわけでございます。それが民間の実情だと私は思っております。
そして、私は、この二年間ぐらいの間に新しい金融システムをぜひ政治主導で立て直していただきたいと思います。もう民間の金融機関だけでは未来をつくる大規模な投資ができないと思います。私は、こういうときこそ、十年、二十年、三十年のスパンで何十兆、何百兆円という投資を政治主導で行っていただきませんと、我が国の新しい形はできないと思います。
要するに、もう貸し渋り、貸しはがしがひどくて、これでは経済は縮小する一方なんです。そこに一歩勇気を持って、国民のお金をもう一回集めて、それは税金という形ではなくて、私は政策金融がよろしいと思っているわけでございますが、もう一回、こういう方向で国づくりをするからお金を出してくださいと言って、預金でも債券でもいいですから集めて、ぜひ大々的な投資をしていただきたいと思います。
とにかく、国がここは積極的な投資に動くということをしませんと難しい。それが日本版のいわゆるニューディール政策になるんだろうというふうに私は思っておりまして、短い時間ではございましたが、私の思ったところを述べさせていただいた次第でございます。
委員の皆様のますますの御活躍を御祈念申し上げて、お話とかえさせていただきます。どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私は、経済アナリストという立場から、大きな視点で、財政その他、国家の金融等の運営に関しますお話をさせていただきたいというふうに思っております。
まず、私の基本的な認識といたしましては、今の経済の状況は、やはり未曾有の経済危機と言ってよろしいと思います。百年に一度という言葉もございますが、それは、ただ単に不況だということを超えまして、構造的に今までの経済システムが成り立たない部分が出てきたというような意味におきまして、かなり深刻な問題だと私は受けとめております。
レジュメのところに三点ほど要点を書いてございますが、私は、まず直接的には、金融あるいは貿易が日本の経済を主導する時代は終わったのではないかなと思っております。
どういうことかと申しますと、皆様御案内のとおり、二年前にアメリカでサブプライム危機が発覚いたしまして、株の暴落あるいは金融機関の破綻その他がその後相次いでおります。それと同時に、昨年ぐらいから、製造業を中心といたしまして極めて深刻な需要の不足、すなわち、もう工場が動かない、仕事が余りにも少ないという状況が発生しているわけであります。
なぜ金融と輸出産業にかくも重大な変化が起きたのか、ここに今何が起きているかのすべての答えがあるわけでございますが、皆様御案内のとおり、これは震源地がアメリカでございますけれども、アメリカは約三十年ほど前から実は産業界の衰退というものが目に見えてきておりまして、今経営危機と言われております自動車産業は、もう三十年ぐらい前から実は経営が大変でございました。そこでアメリカ政府は、基本的には産業の立て直しをある意味ではあきらめたというふうに私は見ております。産業を立て直すよりも、中国、日本、ヨーロッパから物は輸入すればいいという経済体制にしまして、その分、金融を充実させまして、世界じゅうから資金を集めて国家を回す。だから、輸入大国、金融大国の道を選んだのが三十年前のアメリカだったと思います。
しかしそうやって、いい仕事がない、産業を衰退させますと、どうしても働いている人が十分な給与を得られません。そのため、この三十年間のアメリカ人の言ってみれば庶民の生活というのは、だんだん生活が追い詰められてまいりまして、いつ首になるかわからない、株を買ってもよく下がる。十年ぐらい前から、もう何かアメリカの庶民たちも本当に困りまして、いわゆる住宅バブルに乗っていったわけであります。
アメリカでは住宅の値段が右肩上がりで上がり続けるというのは余り前例がなかったことだと思いますが、十年ぐらい前から、とにかく住宅の値段が上がっていった。住宅さえ持っていれば、値上がりするから生活できるという、ある意味で非常に悲惨な方程式がアメリカの経済全体に広がっていたと思います。しかし、それが限界に達しまして、ついに住宅の値段の下落が始まり、限界的な借り手から破綻が始まったわけであります。
そうすると、アメリカはこの三十年ぐらい、借金をして、国も借金、庶民も借金、企業も借金をして投資をする、消費をするという体制を整えておりましたために、巨大な不良債権が発生したために、もう市場がお金を貸さない、銀行がお金を貸さないという状況になりまして、企業も庶民もお金を借りられなくなったわけであります。そのために、家と車、経済を支えております二本柱、これは全部ローンで普通買いますが、こういう買い物がばたりととまったわけでございます。そういたしますと、アメリカに物を輸出しております日本、ヨーロッパ、中国など、こういう国にもばったりと注文が入らなくなったわけでございます。
したがいまして、アメリカ人が借金できなくなった途端にアメリカで物が売れなくなって、アメリカに物を輸出している国の産業もとまってしまった。現状を簡単に申し上げれば、こんな状況ではないかなと思うんですね。
事の本質を掘り下げてみれば、三十年ぐらい前からアメリカがとにかく借金に借金を重ねて不均衡の上に巨大な需要を成り立たせていた部分、これが崩壊したわけでありますから、私は、アメリカを中心にとにかく金融を発展させ、輸入大国を続ければいいというアメリカの国策は事実上破綻したんじゃないかなというふうに思っております。
金融の問題等も、今回アメリカで金融破綻が起きておりますが、私は、見ていて非常に気がつきますことは、八十年前の世界大恐慌のときアメリカ政府は、もっと果敢に問題の本質追求をやっていたように思います。
委員の皆様御案内のとおり、八十年前の世界大恐慌のときにアメリカの上院でペコラ委員会という委員会ができまして、なぜこんな金融破綻が起きたのかという構造分析と、それからその後の対処を非常に積極的にスピーディーにやってまいりました。しかし、今のアメリカを見ておりますと、そういう本格的な金融、経済再建のための制度の見直しについての議論がなかなか進んでおりません。ああいうのを見ておりますと、随分衰退したなと私は思っている次第でございます。
こうなりますと、我々日本といたしましても、アメリカにお金の運用を任せればうまくいくというようなことはもう通用しないと思います。さらに、アメリカ型金融システムをそのまま導入してくればうまくいくということはもうないと思います。アメリカであれだけシステム的な問題が起きたわけでございますから、もう一回我々も考え直さなければならない。
さらに、特に貿易、これは非常に重大な問題でございます。委員の皆様御案内のとおり、つい昨年ぐらいまで我が国は、非常に長期にわたる景気回復を統計上していたわけでございます。しかし、それは輸出産業を中心とした景気回復であったことは否めなかったと思います。
したがいまして、輸出がとまった途端に、我が国のGDP成長率は先進国の中でも最も大きな落ち込み幅を示しております。世の中を見ておりましても、輸出産業の一部は調子がよかった、しかし、内需関連、サービス業その他は大変厳しい経済状況であったというのが、この五、六年の状況であったと思います。
日本経済は、昔から輸出依存体制が強過ぎるから、もっと内需中心の経済にしなければならないと言い続けられてきたわけでございますが、結果的にこの十年ほどの間、我が国は輸出産業に極めて偏重し、そして金融産業に極めて偏重した国家づくりになってしまっていたんだと思います。
それが今回、このようなアメリカ発の危機に陥りましてこんな状態になったわけでございますから、例えば税収一つとりましても、輸出産業頼みの税収では国家が回らないと思います、金融頼みの税収では回らないと思います。税金を国民の皆さんに払ってもらうためには、まず景気がよくなって、お金を稼いでもらわなければならないわけで、今回ばかりは小手先の対策ではどうにもならない。みんなが本当に、国民がお金を稼げる体制に国家としてもう一回システムをつくり直さない限り、これはもとに状況が戻るということはないんだろうというふうに私は思っております。
そして、政府というものの行動を考えた場合、私は二点あると思います。政府は、基本的に、当面の対策と抜本的政策という二つがやはり必要だと思います。
当面の対策というのは、絶望の回避と私はあえて言いたいと思います。
本当に、民間経済人はリスクがあるとは申しますけれども、それにいたしましても、この金融の物すごい混乱、さらには輸出産業の物すごい落ち込みは、多くの人の想像あるいは多くの経営者の実力を超えたものがあります。少なくともことし、来年ぐらいは何か政府が突っかい棒を入れてつぶれるものをとめないと、将来の産業の種火が消えてしまいかねない、それぐらいの状況でございます。
ですから、二年ぐらいは突っかい棒を入れて、とりあえず絶望を回避して、その間に、先ほど申しました、もう金融依存、輸出依存の体制が続けられないということであれば、やはり新しい国家ビジョンをつくるしかないんだろうというふうに思います。
委員の皆様も御案内のとおり、アメリカのオバマ政権は、グリーンインフラストラクチャーというような言葉を使いまして、新しい社会基盤をつくり直そうというようなことを言っております。私は、今国民が求めておりますのは、細かい部分の手直しではなくて、大きな、五十年先まで見通せるような国家ビジョンだと思います。
民間の企業でもそうなんですが、こういう厳しいときに小手先の対策を打っております会社はまずうまくいっておりません。やはり大きなビジョンのもとに積極的なリーダーシップを発揮するということが必要でございまして、これはもう、ここまで来ますと、経団連のような輸出系を中心としました会社の経営者に任せておきましても、なかなか物事ははかどらないと思います。あるいは、中小企業の経営者の自助努力だけでも問題ははかどらないと思います。やはり国家の指導者が、それはただ一人のだれかという意味ではなくて、政治全体がもう少し、こっちの方向に行くから皆さんついてきてくださいということをはっきり言ってほしいんだと思います。
それは海外も同じではないかなと思います。例えばアジア諸国は、今回の金融危機、経済危機、日本以上に厳しい状況になっているところもございます。日本なんかまだ余裕がある方でございます。したがいまして、世界各国からも日本のリーダーシップを皆さん求めているんだと思うんです。
やはり内需主体に、金融ももう少し、投機的な金融、ばくち型金融ではなくて、産業と金融が一体になったような形でこれはつくり直すべきなんだと思うんです。私は、アメリカが三十年ぐらい前から経済をゆがめていったということは、逆に言えば、三十年ぐらい前までの姿を少し思い起こしてみると答えは出やすいと思います。
例えば、今、貿易赤字が急速にふえております。貿易赤字がふえておるということは、今までのように、この三十年間のように、一方的な黒字がたまるということはないということでございます。一方的な黒字がたまるということでないということは、日本は金満大国の看板をいよいよおろさなければならないということであります。お金も、下手をすれば赤字になってしまう。黒字と赤字を行ったり来たりで必死になって金を国全体で稼ぐという、三十年前までの我々の先輩が直面していた現実に我々はいや応なく戻るんだと思います。
私は、最近の日本を見ておりまして、どうも現状認識が甘いような気がいたします。何か、怖い話をあえてしないような感じがいたします。それは、怖い話に遭遇して怖いことに直面しなくても、何となく豊かさがあるからやっていける、そんな感覚が官にも民にもみんな何かしみ渡ってしまったような感じがするんです。私は、それは大変危険なことではないかなと思うんです。
今、金融なんかに関しましても、年金の運用、退職金の運用、皆さん、貯蓄から投資へということで運用しておられます。しかし、もうかっている人というのはほとんど見ることがございません。やはりこれだけ厳しい世の中で老後の資産がなくなってしまったということは大変なことでございまして、ですから、これはその損失の責任という話もあるでしょうけれども、しかしそれ以上に、では、これから少子高齢化社会を生き抜く元手はどう確保するか、これはやはりもう一回、国の中で考え直さなければなりません。アメリカ頼みというわけにはもういかないわけでございます。それから、少子高齢化の中で人の数も減ってまいります。
したがいまして、我々は、過去十年間のとにかく引き締めに次ぐ引き締めをしていたこの時代をよく反省いたしまして、市場原理主義ではもうだめなわけでありますから、私は政治家の皆様に方針を変えるとはっきり言っていただきたいと思うんです。やはり、方針を変えると政治家の方に言っていただきませんと、民間企業も何となく昔の、グローバリゼーションだとか市場に任せておけばいいという頭から抜けられないわけでございます。それが民間の実情だと私は思っております。
そして、私は、この二年間ぐらいの間に新しい金融システムをぜひ政治主導で立て直していただきたいと思います。もう民間の金融機関だけでは未来をつくる大規模な投資ができないと思います。私は、こういうときこそ、十年、二十年、三十年のスパンで何十兆、何百兆円という投資を政治主導で行っていただきませんと、我が国の新しい形はできないと思います。
要するに、もう貸し渋り、貸しはがしがひどくて、これでは経済は縮小する一方なんです。そこに一歩勇気を持って、国民のお金をもう一回集めて、それは税金という形ではなくて、私は政策金融がよろしいと思っているわけでございますが、もう一回、こういう方向で国づくりをするからお金を出してくださいと言って、預金でも債券でもいいですから集めて、ぜひ大々的な投資をしていただきたいと思います。
とにかく、国がここは積極的な投資に動くということをしませんと難しい。それが日本版のいわゆるニューディール政策になるんだろうというふうに私は思っておりまして、短い時間ではございましたが、私の思ったところを述べさせていただいた次第でございます。
委員の皆様のますますの御活躍を御祈念申し上げて、お話とかえさせていただきます。どうもありがとうございました。拍手
田
吉
吉野直行#4
○吉野参考人 ただいま御紹介いただきました吉野直行でございます。
私だけたくさん資料を用意いたしまして、大部でございますが、表を使いながらまず御説明させていただきたいんです。
大きな字で「バブル経済の発生と経済政策の対応」という紙がございます。それを一ページおめくりいただきますと、右の下に二ページと書いてございますが、きょうお話しさせていただきたい内容を一から三に掲げさせていただきました。
一つは、世界的な金融危機が発生したわけですけれども、私は、今後ともこういう危機というのは発生するんじゃないか、では、なぜこういうことが発生したかということをまず最初に申し上げます。それから、一—五、一—六というところでは、民間の資金を用いたケインズ政策というのをもっと推進していただきたいというふうに思います。ケインズの時代は国債を発行しながらケインズ政策をするということだったわけですけれども、PPPとかさまざまなインフラボンドなどを活用しまして、今中国やインドでは、民間資金を用いていわゆる地方と中央を結ぶ道路や鉄道をつくろう、そういう動きがございます。それに関しても、日本に関しても同じように民間資金を活用した政策というのをお願いしたいと思います。
それから二番目、二ページの下の方の二番目でありますが、やはり、アジアがこれからの一つのエンジン・オブ・グロースといいますか、成長の大きな源泉があると思います。中国やインドあるいはASEAN、こういう国々と日本がうまくタイアップしながら、その成長に対して日本が協力し、また日本がベネフィットを受けていく、こういうことが今後必要ではないかと思います。
最後は、大量国債の発行と金利変動準備金の活用というのを御説明いたします。
それでは、三ページをごらんいただきたいと思います。これがアメリカの急激な株価の下落で、御承知のように、二〇〇七年をピークに株価の下落が、左の数字を見ていただきますと、一一〇が六〇ぐらい、こういうふうに減ってきております。
四ページは、ちょっと私間違えて、住宅価格と株価と同じだったんですけれども、住宅価格もほぼ同じような下落をいたしております。
五ページをごらんいただきたいと思いますが、特に五ページの下の方ですけれども、二〇〇八年のサブプライムローンが急に起こりますと、やはり金利が非常に上昇いたします。それから、貸し出しが滞る。こういう金融市場への大きな影響があるというのが五ページ目でございます。
次は、六ページ目の七と書いてありますが、こういうことによりまして、アメリカでは銀行業の、大分問題のある銀行がふえてきておりまして、短期的な政策としては、この銀行に対する公的資金の注入あるいは株式の資本注入、こういうものを行っております。
次に、七ページをごらんいただきたいと思います。ちょっと見にくく三つ書いてございますが、では、日本では資金の循環がどうなっているかというのを見たものでございます。ここの三つの表をごらんいただきますと、一番上が八四年から九〇年のバブルの時期、真ん中が九〇年から二〇〇〇年、一番下が二〇〇〇年から二〇〇五年のところでございます。
この図の見方は、左側の部門から右側にお金が流れるということを言っております。例えば、一番上の行をごらんいただきますと、金融機関からどういうところにお金が流れているかということでございます。金融から民間企業には、バブルのときには、年平均五十五・六兆円もお金が動いております。今度真ん中をごらんいただきますと、金融から民間企業にマイナス二・八兆円、つまり、金融機関から借りない、または金融機関が引き揚げている。一番下をごらんください。マイナス十六・九です。つまり、日本の企業がお金を借りて設備投資をするということをしていないということです。これは、やはり日本の成長にとってマイナスであるということがわかると思います。
さらに、一番上の一番右ですけれども、今度は金融機関がどれくらいお金を全体で運用しているか。縦をごらんいただきます。金融機関全体では、お金を集めて運用して、百九十三兆円です。それから、上から三行目に民間企業、六十四兆円の資金を運用しております。それから、五行目の家計、一番右ですけれども、七十七・六兆円です。これくらいみんな活力があったわけです。次に、九〇年から二〇〇〇年をごらんください。特に三行目の民間企業、マイナス八・五兆円。これはお金を引き揚げているということであります。それから、家計をごらんいただきますと、一番上の右側ですが、家計は全体で七十七・六兆円運用しておりました。一九九〇年から二〇〇〇年の、真ん中の五行目の一番右、三十九・四兆円。それが一番下に行きますと十六・三兆円。こういうふうに、みんなが貧乏になってきてしまっているわけであります。
結局、ではだれが一番お金を吸収しているかといいますと、四列目の縦のところをずっと見ていただきます。それの一番下の数字をずっと見ていただきますと、政府が一番お金を調達している。つまり、政府が一生懸命国債を発行してお金を調達して、それで国民の方々に分配していただいている、こういうことであります。
ですから、今の金融の危機のときには仕方ないですけれども、将来的にはやはり上の姿に戻らなければ、日本経済の回復はないということであります。それをするためには、やはり私は、アジアと共存しながら、日本のメリットを生かして、それで日本がアジアにいろいろお手伝いをし、それからそこでいい形で回転していくということが重要だと思います。
では、それができているかというのが八ページでございます。これは、東アジアの資金の流れをあらわしております。ちょっと汚いので申しわけないんですけれども、一番左側、真ん中、右側、三つの円グラフがございます。
まず一番左側は、東アジアの諸国が、高い貯蓄率なんですが、どこに投資をしているかということです。アメリカに四二%投資をしております。ヨーロッパに三七%投資をしております。アジア域内では、一番左が八・二%しかありません。つまり、アジアで集められた貯蓄のほとんどは、アメリカやヨーロッパに主に長期の債券として流れております。
では、今度真ん中をごらんいただきまして、どこからアジアにお金が来ているかといいますと、アメリカから三七%、ヨーロッパから三〇%、これが株式とか短期資金で戻ってくるわけです。つまり、せっかくアジア人が貯蓄したものを、失礼な言い方をしますと、テラ銭をアメリカやヨーロッパに稼がせて、それで結局短期のお金ですぐ入ってきたり出ていったりする。ですから、せっかくまじめにアジア人が貯蓄をしたものがうまく活用されていない。どうやったらアジアの中で我々のお金が回るかということも、今後はぜひ考えていただきたい大きな問題だと思います。
では、なぜこのようにアメリカに行くかといいますと、一つは、アメリカにたくさん金融商品がありました。このために、アメリカにまず一度行って、それからアメリカの資金が戻るというのが一番目です。それから二番目は、これまでやはりアメリカの債券というのは非常に信用度が高かったわけであります。それで、アメリカあるいはヨーロッパに流れました。それから三番目は、皆様もニュースでごらんになりますと、なかなかアジアの情報というのは入りません。大体ニュースで出るのは、ユーロと円の関係、円とドルの関係、アメリカの株、ヨーロッパの株、これくらいしかありませんから、アジアの情報が余りありません。そういう意味では、もっとアジアの情報をお互いに交換する、それからアジアの中でいろいろな債券のようなものをつくっていく、こういうことが必要だと思います。
八ページの一番右側をごらんいただきますと、ヨーロッパはヨーロッパ域内で六五・五六%も回っております。ですから、ヨーロッパは自分たちの中でお金を回しているわけです。だから、アジアがやはりこういうふうになっていかなくてはいけないと思いますが、そのためには四つぐらいのレベルのいろいろな方策が必要だと思います。
一つは、政治家の先生方の間での、政治レベルでのアジアとの協調が第一番目であります。それから二番目は、政府の間での、政府間のさまざまな結びつき、これが二番目です。三番目が、ビジネスの間での結びつき。それから四番目が、学者とかいろいろなところを通じた学問的な交流。この四つがうまくバランスをとりながら、アジアとの共存ということがぜひ必要ではないかと思います。
日本では、三番目のビジネスの動き、これは非常にアジアと結びつきがございます。これは、製造業が円高の中でアジアにどんどん出ていきました。そして、アジアの生産ネットワークができたわけであります。ところが、一、二、四がまだまだこれからだと思います。ぜひ、先生方も含めて、アジアとの共存を図り、その中からアジアで資金を回し、さらにアジアの活力を日本と一緒に享受していくということが必要だと思います。
次は、九ページをごらんいただきたいと思います。
先ほど、アジアの資金がアメリカに流れ、それからアメリカから日本あるいはアジアにたくさん資金が流れると申し上げましたが、九ページは、東京証券取引所の、どういう人たちが売買をしているかというのをフローで見たものであります。
ごらんいただきますと、二〇〇八年の中ごろは、半分以上、六五%ぐらいですね、七〇%近く外国人が取引をしているわけです。つまり、日本の証券市場ですら外国人のシェアが多い。最近ですと五三・八%と下がってきておりまして、これが日本の株価の下落にもつながっているわけであります。もう少し日本の国内でうまく回す、それからアジアで回すということが必要ではないかと思います。
次に、十ページをごらんいただきたいと思います。
今、特別会計の積立金を取り崩しながら、これからの景気対策にしばらく使っていこう、こういうことでございますが、これはやはり、百年に一度の景気の悪化でございますので、ある程度こういう積立金を使うということは必要であると思います。ただ、もっと重要なことは、長期的には民間の資金をさまざまな政策のために調達していただきたいと思います。それは最後に申し上げます。
この特別会計の積立金の中では大きいものが三つございますが、一つは年金の積立金。これは大体百五十四兆ぐらいございますが、これは将来のお年寄りのためにとっているわけですから、この積立金を取り崩すことは絶対できないと思います。それから二番目の外国為替特別会計の積立金。これも、これまでためてきた黒字の資金でありますけれども、これは為替レートが変動したり金利が変動するときに大きく動きます。この外為の大半は、アメリカの国債を買っているというのが現状でございます。さらに最近の円高で、もし時価で評価しますと、残念ながらこの積立金はほとんどないというのが現状でございます。そうしますと、使えるのは三番目の財政投融資の特別会計の積立金ということになります。
財投の場合、なぜこういう積立金を持っているかと申し上げますと、財政投融資が自立採算で、自分の中で集めた資金を中小企業あるいは海外のために貸し出す、こういうのが財政投融資のやり方であります。そして、一番最後に書いてありますけれども、万一金利の変動があっても、自分のところである程度留保を積んでおいて、絶対に外からは借り入れをするようなことがないようなやり方の規律づけをつけるためにこういう積立金を積んでおります。
ところが、これまで千分の百というのがあったんですが、それを五十まで減らすということになりました。これは、シミュレーションしますと、三千本のうちの大体三本程度がこれですと赤字になる可能性があるということであります。
なぜそんな積み立てが必要かと申し上げますと、これまでは長期で貸して、それで短期でお金を集めておりましたので、その資金のミスマッチというところがあります。それから、現在は、長期の貸し出した資金がありますので、金利が低いですから収益が上がっているわけです。ところが、これが逆転しますとこの積立金も赤字になって、だんだん減ってくる、そういう可能性がございます。だから、そういう意味では、現在、この一部を景気対策に使うということは必要だと思いますが、長期的にはやはり千分の五十のあたりまで戻す必要があると思います。
最後に、こちらの図を使いながら、世界的な金融危機とそれから今後の日本というのを少し御説明させていただきたいと思います。
資料と書いてございまして、カラーの図がございますが、まず一番下をごらんいただきたいと思います。下の方に、一ページから、一番最後が五ページと書いてございます。
これは日本の図でございますけれども、赤いところは銀行の貸し出しでございます。日本の一つの問題点は、やはりバブルで銀行の不良債権が大きくなり、それで五百兆円あった銀行の貸し出しが四百兆まで減った、これくらい、百兆円も銀行の貸し出しが減ったところに、日本の景気回復がおくれたところがございます。アメリカはこれを回避するために、公的資金を非常に短い期間に入れております。ですから、そういう意味ではアメリカ、ヨーロッパは、日本の経験を踏まえ、金融機関、特に銀行の貸し出しが滞らないようにするという短期の政策は今のところ成功していると思います。
下の図は、地価と株価の変動でございます。
時間の関係で、三ページをごらんいただきたいと思います。
三ページの下の方に、これは中国の上海の株価でございます。これもごらんいただきますと、中国も約三分の一程度まで株価がピークと比べると下がっております。ところが、中国と日本の違いは、三ページの一番下ですけれども、銀行部門は中国は傷んでおりません。日本の場合は、先ほど一ページにありましたように、五百兆円あった貸し出しが四百兆になる、こういうふうに減ってきたわけですが、中国の銀行が傷んでいない理由は、一つは、銀行が株式を持っていない。それからもう一つは、地価の下落を中国政府が抑えておりまして、高どまりさせております。そういう二つの理由で、中国の株式の下落は銀行に影響を与えていないということでございます。
最後に、四ページ、五ページでございますが、短期の政策と中長期の政策というのがあると思います。現在、各国では、短期の政策としまして金融機関の援助というのをしております。
最後の五ページをごらんいただきたいと思います。これが私がきょう申し上げたい、民間の資金を活用したケインズ政策というのをぜひ今後日本でもどんどん進めていただきたいと思います。
では、どういうようにやるかということですが、五ページの図がございますが、例えば高速道路だったといたします。そこから料金収入が入ります。例えば、現在ですと、高速道路の建設などはすべて国の資金、財投の資金でやっているわけですけれども、一番下のように、三〇%程度は税金あるいは国債のお金で調達いたします。しかし、上の、七〇%は民間の資金を集めます。高速道路から集まってきた料金を民間の投資家に配分する、こういうやり方であります。これがいわゆる、民間の資金を一部持ってきて、それによって公的な仕事をするというやり方です。
このいいところは、民間の投資家に配当の率がわかります。そうしますと、効率のいい道路であれば、この配当の率が高くなる。そして、効率の悪い道路であれば、配当の比率が低くなる。さらに、余りにも悪い道路であれば、民間の資金が来ない。こういうように民間から、ある程度公的な仕事に対してもチェックができるということであります。
実は、これは中国でお話ししましたところ、中国はこれを使いながら地方と中央の間の鉄道とかあるいは高速道路網をつくろうということを考えております。インドでも始めております。そういう意味では、アジアでこういうことが始まっておりますので、日本でも、先生方のお知恵を拝借しながら、どういう事業にこういうものができるのかということをぜひ考えていただければと思います。
ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →私だけたくさん資料を用意いたしまして、大部でございますが、表を使いながらまず御説明させていただきたいんです。
大きな字で「バブル経済の発生と経済政策の対応」という紙がございます。それを一ページおめくりいただきますと、右の下に二ページと書いてございますが、きょうお話しさせていただきたい内容を一から三に掲げさせていただきました。
一つは、世界的な金融危機が発生したわけですけれども、私は、今後ともこういう危機というのは発生するんじゃないか、では、なぜこういうことが発生したかということをまず最初に申し上げます。それから、一—五、一—六というところでは、民間の資金を用いたケインズ政策というのをもっと推進していただきたいというふうに思います。ケインズの時代は国債を発行しながらケインズ政策をするということだったわけですけれども、PPPとかさまざまなインフラボンドなどを活用しまして、今中国やインドでは、民間資金を用いていわゆる地方と中央を結ぶ道路や鉄道をつくろう、そういう動きがございます。それに関しても、日本に関しても同じように民間資金を活用した政策というのをお願いしたいと思います。
それから二番目、二ページの下の方の二番目でありますが、やはり、アジアがこれからの一つのエンジン・オブ・グロースといいますか、成長の大きな源泉があると思います。中国やインドあるいはASEAN、こういう国々と日本がうまくタイアップしながら、その成長に対して日本が協力し、また日本がベネフィットを受けていく、こういうことが今後必要ではないかと思います。
最後は、大量国債の発行と金利変動準備金の活用というのを御説明いたします。
それでは、三ページをごらんいただきたいと思います。これがアメリカの急激な株価の下落で、御承知のように、二〇〇七年をピークに株価の下落が、左の数字を見ていただきますと、一一〇が六〇ぐらい、こういうふうに減ってきております。
四ページは、ちょっと私間違えて、住宅価格と株価と同じだったんですけれども、住宅価格もほぼ同じような下落をいたしております。
五ページをごらんいただきたいと思いますが、特に五ページの下の方ですけれども、二〇〇八年のサブプライムローンが急に起こりますと、やはり金利が非常に上昇いたします。それから、貸し出しが滞る。こういう金融市場への大きな影響があるというのが五ページ目でございます。
次は、六ページ目の七と書いてありますが、こういうことによりまして、アメリカでは銀行業の、大分問題のある銀行がふえてきておりまして、短期的な政策としては、この銀行に対する公的資金の注入あるいは株式の資本注入、こういうものを行っております。
次に、七ページをごらんいただきたいと思います。ちょっと見にくく三つ書いてございますが、では、日本では資金の循環がどうなっているかというのを見たものでございます。ここの三つの表をごらんいただきますと、一番上が八四年から九〇年のバブルの時期、真ん中が九〇年から二〇〇〇年、一番下が二〇〇〇年から二〇〇五年のところでございます。
この図の見方は、左側の部門から右側にお金が流れるということを言っております。例えば、一番上の行をごらんいただきますと、金融機関からどういうところにお金が流れているかということでございます。金融から民間企業には、バブルのときには、年平均五十五・六兆円もお金が動いております。今度真ん中をごらんいただきますと、金融から民間企業にマイナス二・八兆円、つまり、金融機関から借りない、または金融機関が引き揚げている。一番下をごらんください。マイナス十六・九です。つまり、日本の企業がお金を借りて設備投資をするということをしていないということです。これは、やはり日本の成長にとってマイナスであるということがわかると思います。
さらに、一番上の一番右ですけれども、今度は金融機関がどれくらいお金を全体で運用しているか。縦をごらんいただきます。金融機関全体では、お金を集めて運用して、百九十三兆円です。それから、上から三行目に民間企業、六十四兆円の資金を運用しております。それから、五行目の家計、一番右ですけれども、七十七・六兆円です。これくらいみんな活力があったわけです。次に、九〇年から二〇〇〇年をごらんください。特に三行目の民間企業、マイナス八・五兆円。これはお金を引き揚げているということであります。それから、家計をごらんいただきますと、一番上の右側ですが、家計は全体で七十七・六兆円運用しておりました。一九九〇年から二〇〇〇年の、真ん中の五行目の一番右、三十九・四兆円。それが一番下に行きますと十六・三兆円。こういうふうに、みんなが貧乏になってきてしまっているわけであります。
結局、ではだれが一番お金を吸収しているかといいますと、四列目の縦のところをずっと見ていただきます。それの一番下の数字をずっと見ていただきますと、政府が一番お金を調達している。つまり、政府が一生懸命国債を発行してお金を調達して、それで国民の方々に分配していただいている、こういうことであります。
ですから、今の金融の危機のときには仕方ないですけれども、将来的にはやはり上の姿に戻らなければ、日本経済の回復はないということであります。それをするためには、やはり私は、アジアと共存しながら、日本のメリットを生かして、それで日本がアジアにいろいろお手伝いをし、それからそこでいい形で回転していくということが重要だと思います。
では、それができているかというのが八ページでございます。これは、東アジアの資金の流れをあらわしております。ちょっと汚いので申しわけないんですけれども、一番左側、真ん中、右側、三つの円グラフがございます。
まず一番左側は、東アジアの諸国が、高い貯蓄率なんですが、どこに投資をしているかということです。アメリカに四二%投資をしております。ヨーロッパに三七%投資をしております。アジア域内では、一番左が八・二%しかありません。つまり、アジアで集められた貯蓄のほとんどは、アメリカやヨーロッパに主に長期の債券として流れております。
では、今度真ん中をごらんいただきまして、どこからアジアにお金が来ているかといいますと、アメリカから三七%、ヨーロッパから三〇%、これが株式とか短期資金で戻ってくるわけです。つまり、せっかくアジア人が貯蓄したものを、失礼な言い方をしますと、テラ銭をアメリカやヨーロッパに稼がせて、それで結局短期のお金ですぐ入ってきたり出ていったりする。ですから、せっかくまじめにアジア人が貯蓄をしたものがうまく活用されていない。どうやったらアジアの中で我々のお金が回るかということも、今後はぜひ考えていただきたい大きな問題だと思います。
では、なぜこのようにアメリカに行くかといいますと、一つは、アメリカにたくさん金融商品がありました。このために、アメリカにまず一度行って、それからアメリカの資金が戻るというのが一番目です。それから二番目は、これまでやはりアメリカの債券というのは非常に信用度が高かったわけであります。それで、アメリカあるいはヨーロッパに流れました。それから三番目は、皆様もニュースでごらんになりますと、なかなかアジアの情報というのは入りません。大体ニュースで出るのは、ユーロと円の関係、円とドルの関係、アメリカの株、ヨーロッパの株、これくらいしかありませんから、アジアの情報が余りありません。そういう意味では、もっとアジアの情報をお互いに交換する、それからアジアの中でいろいろな債券のようなものをつくっていく、こういうことが必要だと思います。
八ページの一番右側をごらんいただきますと、ヨーロッパはヨーロッパ域内で六五・五六%も回っております。ですから、ヨーロッパは自分たちの中でお金を回しているわけです。だから、アジアがやはりこういうふうになっていかなくてはいけないと思いますが、そのためには四つぐらいのレベルのいろいろな方策が必要だと思います。
一つは、政治家の先生方の間での、政治レベルでのアジアとの協調が第一番目であります。それから二番目は、政府の間での、政府間のさまざまな結びつき、これが二番目です。三番目が、ビジネスの間での結びつき。それから四番目が、学者とかいろいろなところを通じた学問的な交流。この四つがうまくバランスをとりながら、アジアとの共存ということがぜひ必要ではないかと思います。
日本では、三番目のビジネスの動き、これは非常にアジアと結びつきがございます。これは、製造業が円高の中でアジアにどんどん出ていきました。そして、アジアの生産ネットワークができたわけであります。ところが、一、二、四がまだまだこれからだと思います。ぜひ、先生方も含めて、アジアとの共存を図り、その中からアジアで資金を回し、さらにアジアの活力を日本と一緒に享受していくということが必要だと思います。
次は、九ページをごらんいただきたいと思います。
先ほど、アジアの資金がアメリカに流れ、それからアメリカから日本あるいはアジアにたくさん資金が流れると申し上げましたが、九ページは、東京証券取引所の、どういう人たちが売買をしているかというのをフローで見たものであります。
ごらんいただきますと、二〇〇八年の中ごろは、半分以上、六五%ぐらいですね、七〇%近く外国人が取引をしているわけです。つまり、日本の証券市場ですら外国人のシェアが多い。最近ですと五三・八%と下がってきておりまして、これが日本の株価の下落にもつながっているわけであります。もう少し日本の国内でうまく回す、それからアジアで回すということが必要ではないかと思います。
次に、十ページをごらんいただきたいと思います。
今、特別会計の積立金を取り崩しながら、これからの景気対策にしばらく使っていこう、こういうことでございますが、これはやはり、百年に一度の景気の悪化でございますので、ある程度こういう積立金を使うということは必要であると思います。ただ、もっと重要なことは、長期的には民間の資金をさまざまな政策のために調達していただきたいと思います。それは最後に申し上げます。
この特別会計の積立金の中では大きいものが三つございますが、一つは年金の積立金。これは大体百五十四兆ぐらいございますが、これは将来のお年寄りのためにとっているわけですから、この積立金を取り崩すことは絶対できないと思います。それから二番目の外国為替特別会計の積立金。これも、これまでためてきた黒字の資金でありますけれども、これは為替レートが変動したり金利が変動するときに大きく動きます。この外為の大半は、アメリカの国債を買っているというのが現状でございます。さらに最近の円高で、もし時価で評価しますと、残念ながらこの積立金はほとんどないというのが現状でございます。そうしますと、使えるのは三番目の財政投融資の特別会計の積立金ということになります。
財投の場合、なぜこういう積立金を持っているかと申し上げますと、財政投融資が自立採算で、自分の中で集めた資金を中小企業あるいは海外のために貸し出す、こういうのが財政投融資のやり方であります。そして、一番最後に書いてありますけれども、万一金利の変動があっても、自分のところである程度留保を積んでおいて、絶対に外からは借り入れをするようなことがないようなやり方の規律づけをつけるためにこういう積立金を積んでおります。
ところが、これまで千分の百というのがあったんですが、それを五十まで減らすということになりました。これは、シミュレーションしますと、三千本のうちの大体三本程度がこれですと赤字になる可能性があるということであります。
なぜそんな積み立てが必要かと申し上げますと、これまでは長期で貸して、それで短期でお金を集めておりましたので、その資金のミスマッチというところがあります。それから、現在は、長期の貸し出した資金がありますので、金利が低いですから収益が上がっているわけです。ところが、これが逆転しますとこの積立金も赤字になって、だんだん減ってくる、そういう可能性がございます。だから、そういう意味では、現在、この一部を景気対策に使うということは必要だと思いますが、長期的にはやはり千分の五十のあたりまで戻す必要があると思います。
最後に、こちらの図を使いながら、世界的な金融危機とそれから今後の日本というのを少し御説明させていただきたいと思います。
資料と書いてございまして、カラーの図がございますが、まず一番下をごらんいただきたいと思います。下の方に、一ページから、一番最後が五ページと書いてございます。
これは日本の図でございますけれども、赤いところは銀行の貸し出しでございます。日本の一つの問題点は、やはりバブルで銀行の不良債権が大きくなり、それで五百兆円あった銀行の貸し出しが四百兆まで減った、これくらい、百兆円も銀行の貸し出しが減ったところに、日本の景気回復がおくれたところがございます。アメリカはこれを回避するために、公的資金を非常に短い期間に入れております。ですから、そういう意味ではアメリカ、ヨーロッパは、日本の経験を踏まえ、金融機関、特に銀行の貸し出しが滞らないようにするという短期の政策は今のところ成功していると思います。
下の図は、地価と株価の変動でございます。
時間の関係で、三ページをごらんいただきたいと思います。
三ページの下の方に、これは中国の上海の株価でございます。これもごらんいただきますと、中国も約三分の一程度まで株価がピークと比べると下がっております。ところが、中国と日本の違いは、三ページの一番下ですけれども、銀行部門は中国は傷んでおりません。日本の場合は、先ほど一ページにありましたように、五百兆円あった貸し出しが四百兆になる、こういうふうに減ってきたわけですが、中国の銀行が傷んでいない理由は、一つは、銀行が株式を持っていない。それからもう一つは、地価の下落を中国政府が抑えておりまして、高どまりさせております。そういう二つの理由で、中国の株式の下落は銀行に影響を与えていないということでございます。
最後に、四ページ、五ページでございますが、短期の政策と中長期の政策というのがあると思います。現在、各国では、短期の政策としまして金融機関の援助というのをしております。
最後の五ページをごらんいただきたいと思います。これが私がきょう申し上げたい、民間の資金を活用したケインズ政策というのをぜひ今後日本でもどんどん進めていただきたいと思います。
では、どういうようにやるかということですが、五ページの図がございますが、例えば高速道路だったといたします。そこから料金収入が入ります。例えば、現在ですと、高速道路の建設などはすべて国の資金、財投の資金でやっているわけですけれども、一番下のように、三〇%程度は税金あるいは国債のお金で調達いたします。しかし、上の、七〇%は民間の資金を集めます。高速道路から集まってきた料金を民間の投資家に配分する、こういうやり方であります。これがいわゆる、民間の資金を一部持ってきて、それによって公的な仕事をするというやり方です。
このいいところは、民間の投資家に配当の率がわかります。そうしますと、効率のいい道路であれば、この配当の率が高くなる。そして、効率の悪い道路であれば、配当の比率が低くなる。さらに、余りにも悪い道路であれば、民間の資金が来ない。こういうように民間から、ある程度公的な仕事に対してもチェックができるということであります。
実は、これは中国でお話ししましたところ、中国はこれを使いながら地方と中央の間の鉄道とかあるいは高速道路網をつくろうということを考えております。インドでも始めております。そういう意味では、アジアでこういうことが始まっておりますので、日本でも、先生方のお知恵を拝借しながら、どういう事業にこういうものができるのかということをぜひ考えていただければと思います。
ちょっと時間をオーバーしてしまいましたけれども、以上でございます。ありがとうございました。拍手
田
中
中里実#6
○中里参考人 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、ありがとうございます。そこに簡単なレジュメをお配りいたしましたけれども、その順番でお話をいたします。
ちょっとテクニカルになりますけれども、まず、改正案全体に対する所見でございます。
現下の我が国の経済は、明らかに景気後退局面に入っておりまして、今後、下降局面が長期化、深刻化するおそれが、先ほどのお話にもありましたように指摘されているわけです。こうした危機的な経済状況から脱するためには、もちろん、持てる政策手段を総動員して、景気回復に向けて取り組む必要があることは言うまでもございません。
しかし、他方、少子高齢化やグローバル化といった経済社会の構造変化の中で、我が国の直面するさまざまな課題を解決するために、税制の抜本改革を行うことが緊急の課題であるということも忘れるわけにはまいりません。とりわけ、社会保障の安定財源の確保は、国民の安心を確保するために、決して避けて通ることのできない問題でございます。
こうした中、今回、本委員会において審議が行われております平成二十一年度税制改正案においては、私がざっと見ただけでも、過去最大規模の住宅ローン減税や省エネ等に関する投資促進税制など、随分と思い切った政策税制が盛り込まれております。また、これらのほか、外国子会社からの配当を益金不算入とする制度の導入など、これまでの政府税制調査会における議論等を踏まえた税制改正も盛り込まれているわけでございます。
そして、何よりも重要な点として、本年の改正税法の附則におきまして、今後の税制抜本改革に関する道筋が示されている、この点が注目に値するわけです。これは、一昨年における政府税制調査会の答申「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」を踏まえたものでございまして、私、これを画期的なものとして高く評価している次第でございます。本年度の税制改革に盛り込まれた種々の政策税制とあわせまして、こうした将来の税制改正のあり方を一体的に示すことは、国庫を預かる政府といたしまして、その責任を示すものではないかと考えております。
この中で、私は、国際課税に関する改正、さらに消費税を含む税制の抜本的な改革について所見を述べたいと思います。
まず、国際課税に関する改正でございますが、今般の法案に盛り込まれております外国子会社に関する外国税額控除制度の見直しについて触れたいと思います。
進展するグローバル化や事業形態の複雑化、多様化のもとで、クロスボーダーの経済活動に対する課税については、我が国の適切な課税権の確保と経済活動に配慮いたしまして、日本の経済の活性化とのバランスを保つ必要がございます。この観点を踏まえ、本法案におきましては、国際的な二重課税排除の制度について、外国税額控除制度の大枠を維持しつつ、親会社が外国子会社から受ける配当を益金不算入とする制度を導入する改正が盛り込まれました。
配当還流につきましては、一定の分野に使途を制限するといった政策税制的な観点ではなく、企業の判断によって配当を戻すタイミングや使途をみずから選べるということ、すなわち、企業の配当政策に対する税制の中立性という観点が重要でございます。また、間接外国税額控除制度につきましては、これは法科大学院等で講義していると頭が痛くなるほど制度が複雑でございますし、また実務的にも書類提出の煩雑さが言われておりましたが、この制度が導入された結果として制度を大幅に簡素化できるということで、望ましい改革ではなかったかというふうに思っております。
次に、消費税を含む税制の抜本的な改革の道筋についてでございますけれども、この法案で最も注目される附則第百四条に規定された消費税を含む税制の抜本的な改革に関し所見を申し述べます。
税制の抜本改革の必要性については、私も特別委員として参加しております政府税制調査会において、一昨年、集中的な議論が行われました。ここで指摘されたのは、我が国における経済社会の全般にわたる激しい構造変化、すなわち、主要先進国の中で例を見ないほどの速さで急速に進行している少子高齢化と、経済のグローバル化の急速な進展という疑いもできない事実でございます。
少子高齢化は、年金、医療、介護などの社会保障給付の増大を必然的に招いているわけでございますが、これを賄う財源のうち、公費負担につきましては、現在、その約三分の一程度を将来世代へのツケ回しということで、それに依存している状況です。国、地方の債務残高は、二〇〇九年度では対GDP比一五〇%を超えることが見込まれておりまして、こうした状況が続くならば、社会保障制度の持続可能性に対する国民の不安感、これを惹起するばかりか、国際的にも我が国経済への信認を損ないかねません。
他方、経済のグローバル化の進展やバブル経済崩壊後の我が国の経済停滞と軌を一にして、都市と地方、大企業と中小企業、あるいは正規雇用と非正規雇用といった、さまざまな側面で格差の問題が指摘されるようになったことも重大な変化でございます。
こうした問題意識から、政府税制調査会におきまして、一昨年の十一月に税制の抜本改革に関する網羅的な答申を取りまとめまして、政府に対しては、適切な時期にこれを実施していただくよう求めてまいりました。また、昨年十一月の答申においては、さらに一歩進みまして、当時、政府において議論が進められていた中期プログラムにつきまして、政府税制調査会の提言内容が同プログラムに十分に反映されるとともに、その実施時期が明示されるよう強く求めていたところでございます。
今回の改正税法附則の内容は、中期プログラムを踏まえまして、抜本改革の実施時期及び基本的な考え方を明示したものであると理解しております。具体的には、消費税を含む税制の抜本的な改革について、経済状況の好転を前提として、税制抜本改革が遅滞なく実施できるよう、必要な法制上の措置を二〇一一年までに講ずることとされておりまして、こうした道筋が法制上明確化されたことは実に大きな進歩ではないかと考える次第でございます。
次に、税制抜本改革の基本的な考え方でございますが、今般の附則第百四条の第三項におきまして、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うに当たって、具体的にどのような基本的方向性で各税目の改正を行うのかといった具体的な論点が実は掲げられております。
まず、個人所得課税につきましては、所得再分配機能の回復の観点から、高所得者の税負担の引き上げと、中低所得者世帯の負担の軽減の検討が述べられております。政府税制調査会における議論でも、我が国の所得税は、これまで幾たびかにわたる税制改正によって、勤労意欲や事業意欲を阻害しないようにとの観点から所得税の累進緩和が行われてきた結果、その財源調達機能や所得再分配機能が低下しているとの認識でございまして、私も、社会保障制度とともに所得再分配を担う存在として、所得税の役割を適切に発揮させていくことは重要な課題であると考えている次第でございます。
なお、附則で、給付つき税額控除を今後検討することとされている点について一言所見を述べさせていただきます。
いろいろお考えはあるでしょうけれども、この制度は、税金を支払った者に税金をお返しするというのみならず、支払っていない方々についても給付を行うというものでございます。仮にこれを我が国で実施する場合には、特に執行面で相当大きな壁を乗り越える必要があるものと考えます。
端的に言いますと、税務署は、お金持ちについての情報は持っていますが、そうでない方に対する情報は余り持っていないということでございます。適正な給付を行うためには、現在所得税を納めていない者も含めて、所得を正確に捕捉する必要がございますが、我が国において、徴収の大部分を源泉徴収に頼っており、また納税者番号制度も整備されておりません。今般の附則においても、「歳出面も合わせた総合的な取組の中で」ということにされておりますけれども、少なくとも実行可能な制度が仕組まれるよう、今後、幅広い観点からの検討が行われる必要があると考えております。
法人課税につきましては、政府税制調査会の議論においては、経済のグローバル化の進展に伴い、国境を越えた経済活動が活発に行われるようになってきている中で、企業の税負担面での国際的なイコールフッティングを図るべきであり、法人課税の国際的な動向に照らすならば、法人実効税率の引き下げが必要であるとの意見が強かったかと記憶しております。
他方で、課税ベースや社会保険料負担を考慮した企業負担を考えてみますと、これは国際的に見て日本は必ずしも高い水準にあるわけではないとの試算も行われました。こうした中で、今後の検討に当たっては、厳しい財政事情も踏まえまして、今般の附則にもあるように、課税ベースの拡大といったものについて検討が行われるべきなのではないかというふうに思うわけです。
消費税についてですが、政府税調におきましても、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく、世代間の公平の確保に資するといった観点から、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしいとの認識でこれは一致しております。
消費税につきましては、低所得者の負担が相対的に大きいとの指摘があるわけでございますが、再分配政策を語る上では、一つの税目の負担のみに着目するというのは誤りでございまして、ほかの税目や社会保険料を含む負担全体、さらには社会保障給付等における受益全体をも考慮に入れた議論が行われる必要があると考えます。
仮に、消費税収のすべてを社会保障給付として還元するのであれば、当然のことでございますけれども、社会保障の所得再分配効果が結果として高まるということになります。したがいまして、社会保障の受益は一般的に低所得者で大きいということがあるわけですから、逆進性の議論についても、受益と負担を通じて考えればさほど重要な問題とはならないという指摘も理論的には可能でございます。
附則におきましては、複数税率の検討についても述べられておりますが、この点に関し、政府税調におきましては、再分配効果や制度の簡素化、中立性、事業者の事務負担、執行コスト等を考慮すれば、極力単一税率が望ましいとの結論でございます。また、社会保障の安定財源として一定規模の税収確保が必要となることを考えますと、軽減税率による減収分だけ標準税率を高くせざるを得なくなるというような心配もあるということに留意する必要があります。
附則では、また、複数税率の検討について、「歳出面も合わせた視点に立って」「総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討する」という形で、非常に注意深い規定ぶりとなっておりますが、これはこれまで私が申し上げたような視点を踏まえたものと解しております。
相続税につきましては、所得税と同じく、最高税率の引き下げを含む税率構造の見直しが行われてきたことに加え、基礎控除の水準が引き上げられてきた結果、年間死亡者数のうち相続税の課税が発生する割合が四%程度まで減少するということで、資産の再分配機能が低下しているという議論が税調では行われました。
こうした状況に加え、相続税をめぐる今日的な課題として、格差の固定化の防止や老後扶養の社会化の進展への対処が挙げられます。つまり、相続を機会に高齢者世代内の資産格差が次世代へ引き継がれる可能性が増してきているのではないかといった点や、公的な社会保障制度が充実し、老後の扶養を社会的に支えていることを踏まえ、被相続人世代が生涯にわたり社会から受けた給付の一部を相続税という形で社会に還元することを求めることができないかといった議論がなされているところでございます。
以上のような点も踏まえ、今後、相続税の税率構造や課税ベースを見直していくことが必要であると思います。
以上、平成二十一年度改正税法に関する所見を述べてまいりましたが、今般の税制改正には現下の危機的な経済状況に対し政策的な処方せんを示したものが非常に多く含まれておりまして、これが所期の効果を発揮するためには、平成二十一年度予算とあわせて年度内に法律として成立し施行される必要がどうしてもございます。もたもたしている暇はございません。
将来行われる税制改正の検討の基本的方向性をこのように法律の形で具体的に示すというのは、恐らく初めての試みなのではないかと思います。その意味で、今回示された基本的な方向性は、政府税制調査会が一昨年に示しました答申であります「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と軌を一にするものであって、この答申の取りまとめに参加した一員として、ぜひ今後こうした方向性で議論が先生方により熱心に進められることを強く希望するものでございます。
ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →ちょっとテクニカルになりますけれども、まず、改正案全体に対する所見でございます。
現下の我が国の経済は、明らかに景気後退局面に入っておりまして、今後、下降局面が長期化、深刻化するおそれが、先ほどのお話にもありましたように指摘されているわけです。こうした危機的な経済状況から脱するためには、もちろん、持てる政策手段を総動員して、景気回復に向けて取り組む必要があることは言うまでもございません。
しかし、他方、少子高齢化やグローバル化といった経済社会の構造変化の中で、我が国の直面するさまざまな課題を解決するために、税制の抜本改革を行うことが緊急の課題であるということも忘れるわけにはまいりません。とりわけ、社会保障の安定財源の確保は、国民の安心を確保するために、決して避けて通ることのできない問題でございます。
こうした中、今回、本委員会において審議が行われております平成二十一年度税制改正案においては、私がざっと見ただけでも、過去最大規模の住宅ローン減税や省エネ等に関する投資促進税制など、随分と思い切った政策税制が盛り込まれております。また、これらのほか、外国子会社からの配当を益金不算入とする制度の導入など、これまでの政府税制調査会における議論等を踏まえた税制改正も盛り込まれているわけでございます。
そして、何よりも重要な点として、本年の改正税法の附則におきまして、今後の税制抜本改革に関する道筋が示されている、この点が注目に値するわけです。これは、一昨年における政府税制調査会の答申「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」を踏まえたものでございまして、私、これを画期的なものとして高く評価している次第でございます。本年度の税制改革に盛り込まれた種々の政策税制とあわせまして、こうした将来の税制改正のあり方を一体的に示すことは、国庫を預かる政府といたしまして、その責任を示すものではないかと考えております。
この中で、私は、国際課税に関する改正、さらに消費税を含む税制の抜本的な改革について所見を述べたいと思います。
まず、国際課税に関する改正でございますが、今般の法案に盛り込まれております外国子会社に関する外国税額控除制度の見直しについて触れたいと思います。
進展するグローバル化や事業形態の複雑化、多様化のもとで、クロスボーダーの経済活動に対する課税については、我が国の適切な課税権の確保と経済活動に配慮いたしまして、日本の経済の活性化とのバランスを保つ必要がございます。この観点を踏まえ、本法案におきましては、国際的な二重課税排除の制度について、外国税額控除制度の大枠を維持しつつ、親会社が外国子会社から受ける配当を益金不算入とする制度を導入する改正が盛り込まれました。
配当還流につきましては、一定の分野に使途を制限するといった政策税制的な観点ではなく、企業の判断によって配当を戻すタイミングや使途をみずから選べるということ、すなわち、企業の配当政策に対する税制の中立性という観点が重要でございます。また、間接外国税額控除制度につきましては、これは法科大学院等で講義していると頭が痛くなるほど制度が複雑でございますし、また実務的にも書類提出の煩雑さが言われておりましたが、この制度が導入された結果として制度を大幅に簡素化できるということで、望ましい改革ではなかったかというふうに思っております。
次に、消費税を含む税制の抜本的な改革の道筋についてでございますけれども、この法案で最も注目される附則第百四条に規定された消費税を含む税制の抜本的な改革に関し所見を申し述べます。
税制の抜本改革の必要性については、私も特別委員として参加しております政府税制調査会において、一昨年、集中的な議論が行われました。ここで指摘されたのは、我が国における経済社会の全般にわたる激しい構造変化、すなわち、主要先進国の中で例を見ないほどの速さで急速に進行している少子高齢化と、経済のグローバル化の急速な進展という疑いもできない事実でございます。
少子高齢化は、年金、医療、介護などの社会保障給付の増大を必然的に招いているわけでございますが、これを賄う財源のうち、公費負担につきましては、現在、その約三分の一程度を将来世代へのツケ回しということで、それに依存している状況です。国、地方の債務残高は、二〇〇九年度では対GDP比一五〇%を超えることが見込まれておりまして、こうした状況が続くならば、社会保障制度の持続可能性に対する国民の不安感、これを惹起するばかりか、国際的にも我が国経済への信認を損ないかねません。
他方、経済のグローバル化の進展やバブル経済崩壊後の我が国の経済停滞と軌を一にして、都市と地方、大企業と中小企業、あるいは正規雇用と非正規雇用といった、さまざまな側面で格差の問題が指摘されるようになったことも重大な変化でございます。
こうした問題意識から、政府税制調査会におきまして、一昨年の十一月に税制の抜本改革に関する網羅的な答申を取りまとめまして、政府に対しては、適切な時期にこれを実施していただくよう求めてまいりました。また、昨年十一月の答申においては、さらに一歩進みまして、当時、政府において議論が進められていた中期プログラムにつきまして、政府税制調査会の提言内容が同プログラムに十分に反映されるとともに、その実施時期が明示されるよう強く求めていたところでございます。
今回の改正税法附則の内容は、中期プログラムを踏まえまして、抜本改革の実施時期及び基本的な考え方を明示したものであると理解しております。具体的には、消費税を含む税制の抜本的な改革について、経済状況の好転を前提として、税制抜本改革が遅滞なく実施できるよう、必要な法制上の措置を二〇一一年までに講ずることとされておりまして、こうした道筋が法制上明確化されたことは実に大きな進歩ではないかと考える次第でございます。
次に、税制抜本改革の基本的な考え方でございますが、今般の附則第百四条の第三項におきまして、消費税を含む税制の抜本的な改革を行うに当たって、具体的にどのような基本的方向性で各税目の改正を行うのかといった具体的な論点が実は掲げられております。
まず、個人所得課税につきましては、所得再分配機能の回復の観点から、高所得者の税負担の引き上げと、中低所得者世帯の負担の軽減の検討が述べられております。政府税制調査会における議論でも、我が国の所得税は、これまで幾たびかにわたる税制改正によって、勤労意欲や事業意欲を阻害しないようにとの観点から所得税の累進緩和が行われてきた結果、その財源調達機能や所得再分配機能が低下しているとの認識でございまして、私も、社会保障制度とともに所得再分配を担う存在として、所得税の役割を適切に発揮させていくことは重要な課題であると考えている次第でございます。
なお、附則で、給付つき税額控除を今後検討することとされている点について一言所見を述べさせていただきます。
いろいろお考えはあるでしょうけれども、この制度は、税金を支払った者に税金をお返しするというのみならず、支払っていない方々についても給付を行うというものでございます。仮にこれを我が国で実施する場合には、特に執行面で相当大きな壁を乗り越える必要があるものと考えます。
端的に言いますと、税務署は、お金持ちについての情報は持っていますが、そうでない方に対する情報は余り持っていないということでございます。適正な給付を行うためには、現在所得税を納めていない者も含めて、所得を正確に捕捉する必要がございますが、我が国において、徴収の大部分を源泉徴収に頼っており、また納税者番号制度も整備されておりません。今般の附則においても、「歳出面も合わせた総合的な取組の中で」ということにされておりますけれども、少なくとも実行可能な制度が仕組まれるよう、今後、幅広い観点からの検討が行われる必要があると考えております。
法人課税につきましては、政府税制調査会の議論においては、経済のグローバル化の進展に伴い、国境を越えた経済活動が活発に行われるようになってきている中で、企業の税負担面での国際的なイコールフッティングを図るべきであり、法人課税の国際的な動向に照らすならば、法人実効税率の引き下げが必要であるとの意見が強かったかと記憶しております。
他方で、課税ベースや社会保険料負担を考慮した企業負担を考えてみますと、これは国際的に見て日本は必ずしも高い水準にあるわけではないとの試算も行われました。こうした中で、今後の検討に当たっては、厳しい財政事情も踏まえまして、今般の附則にもあるように、課税ベースの拡大といったものについて検討が行われるべきなのではないかというふうに思うわけです。
消費税についてですが、政府税調におきましても、経済の動向や人口構成の変化に左右されにくく、世代間の公平の確保に資するといった観点から、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしいとの認識でこれは一致しております。
消費税につきましては、低所得者の負担が相対的に大きいとの指摘があるわけでございますが、再分配政策を語る上では、一つの税目の負担のみに着目するというのは誤りでございまして、ほかの税目や社会保険料を含む負担全体、さらには社会保障給付等における受益全体をも考慮に入れた議論が行われる必要があると考えます。
仮に、消費税収のすべてを社会保障給付として還元するのであれば、当然のことでございますけれども、社会保障の所得再分配効果が結果として高まるということになります。したがいまして、社会保障の受益は一般的に低所得者で大きいということがあるわけですから、逆進性の議論についても、受益と負担を通じて考えればさほど重要な問題とはならないという指摘も理論的には可能でございます。
附則におきましては、複数税率の検討についても述べられておりますが、この点に関し、政府税調におきましては、再分配効果や制度の簡素化、中立性、事業者の事務負担、執行コスト等を考慮すれば、極力単一税率が望ましいとの結論でございます。また、社会保障の安定財源として一定規模の税収確保が必要となることを考えますと、軽減税率による減収分だけ標準税率を高くせざるを得なくなるというような心配もあるということに留意する必要があります。
附則では、また、複数税率の検討について、「歳出面も合わせた視点に立って」「総合的な取組を行うことにより低所得者への配慮について検討する」という形で、非常に注意深い規定ぶりとなっておりますが、これはこれまで私が申し上げたような視点を踏まえたものと解しております。
相続税につきましては、所得税と同じく、最高税率の引き下げを含む税率構造の見直しが行われてきたことに加え、基礎控除の水準が引き上げられてきた結果、年間死亡者数のうち相続税の課税が発生する割合が四%程度まで減少するということで、資産の再分配機能が低下しているという議論が税調では行われました。
こうした状況に加え、相続税をめぐる今日的な課題として、格差の固定化の防止や老後扶養の社会化の進展への対処が挙げられます。つまり、相続を機会に高齢者世代内の資産格差が次世代へ引き継がれる可能性が増してきているのではないかといった点や、公的な社会保障制度が充実し、老後の扶養を社会的に支えていることを踏まえ、被相続人世代が生涯にわたり社会から受けた給付の一部を相続税という形で社会に還元することを求めることができないかといった議論がなされているところでございます。
以上のような点も踏まえ、今後、相続税の税率構造や課税ベースを見直していくことが必要であると思います。
以上、平成二十一年度改正税法に関する所見を述べてまいりましたが、今般の税制改正には現下の危機的な経済状況に対し政策的な処方せんを示したものが非常に多く含まれておりまして、これが所期の効果を発揮するためには、平成二十一年度予算とあわせて年度内に法律として成立し施行される必要がどうしてもございます。もたもたしている暇はございません。
将来行われる税制改正の検討の基本的方向性をこのように法律の形で具体的に示すというのは、恐らく初めての試みなのではないかと思います。その意味で、今回示された基本的な方向性は、政府税制調査会が一昨年に示しました答申であります「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と軌を一にするものであって、この答申の取りまとめに参加した一員として、ぜひ今後こうした方向性で議論が先生方により熱心に進められることを強く希望するものでございます。
ありがとうございました。拍手
田
田
稲
稲田朋美#9
○稲田委員 自由民主党の稲田朋美でございます。
財務金融委員会での初めての質問が三先生に対する参考人質疑であることを光栄に思っております。大変有益なお話をありがとうございます。
藤原先生には、小手先の政策ではなくて大きな国家ビジョンを語るべきだと言われました。大変共鳴を覚えました。また、吉野先生には、民間の資金を活用すべきだという非常に画期的な提言をいただきました。また、中里先生からは、消費税の議論など有益なお話を伺いました。
私は、まず、この委員会でも大変議論になっております消費税の問題について、中里先生にお伺いをいたしたいと思っております。
当委員会でも、今、百年に一度と言われる経済危機において思い切った景気対策をしなければならない、そのときになぜ附則で消費税の増税のことについて書くのだ、これはまるでアクセルとブレーキを同時に踏むものではないか、そういった批判もあったわけであります。しかしながら、私は、やはり責任ある立場としては、景気回復の後には財源の手当てというものは、伸び行く社会保障費の中で必要ではないかと前向きに考えております。
特に、社会保障の経費が、税負担分と保険料負担分を合計いたしますと毎年毎年約二兆円の伸びがございます。これに対して、例えば行革ですとか無駄を排除すべきであるという議論がありまして、地元に帰りまして、国民の皆さん方の、地元の方々の意見を伺いますと、消費税を増税する前にまずやるべきことがあるんじゃないか、無駄を排除すべきではないか、もっと改革を進めるべきではないかという御指摘があるんです。
しかし、冷静に考えますと、毎年毎年二兆円の伸びの社会保障経費、そしてそれを賄うために二兆円ずつ無駄を排除していくとしますと、ことしは二兆円、来年は四兆円、その次の年は六兆円と膨大な無駄の削減が必要になると思うんですけれども、こういった点について、中里先生はどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →財務金融委員会での初めての質問が三先生に対する参考人質疑であることを光栄に思っております。大変有益なお話をありがとうございます。
藤原先生には、小手先の政策ではなくて大きな国家ビジョンを語るべきだと言われました。大変共鳴を覚えました。また、吉野先生には、民間の資金を活用すべきだという非常に画期的な提言をいただきました。また、中里先生からは、消費税の議論など有益なお話を伺いました。
私は、まず、この委員会でも大変議論になっております消費税の問題について、中里先生にお伺いをいたしたいと思っております。
当委員会でも、今、百年に一度と言われる経済危機において思い切った景気対策をしなければならない、そのときになぜ附則で消費税の増税のことについて書くのだ、これはまるでアクセルとブレーキを同時に踏むものではないか、そういった批判もあったわけであります。しかしながら、私は、やはり責任ある立場としては、景気回復の後には財源の手当てというものは、伸び行く社会保障費の中で必要ではないかと前向きに考えております。
特に、社会保障の経費が、税負担分と保険料負担分を合計いたしますと毎年毎年約二兆円の伸びがございます。これに対して、例えば行革ですとか無駄を排除すべきであるという議論がありまして、地元に帰りまして、国民の皆さん方の、地元の方々の意見を伺いますと、消費税を増税する前にまずやるべきことがあるんじゃないか、無駄を排除すべきではないか、もっと改革を進めるべきではないかという御指摘があるんです。
しかし、冷静に考えますと、毎年毎年二兆円の伸びの社会保障経費、そしてそれを賄うために二兆円ずつ無駄を排除していくとしますと、ことしは二兆円、来年は四兆円、その次の年は六兆円と膨大な無駄の削減が必要になると思うんですけれども、こういった点について、中里先生はどのようにお考えでしょうか。
中
中里実#10
○中里参考人 稲田先生のように国家の将来を憂えて選挙民に必ずしも受けがいいとも思えないことをおっしゃるということは、非常に志の高い話ではないかというふうに感動いたしております。
アクセルとブレーキとおっしゃいましたけれども、人間の体も、交感神経と副交感神経で、一方に偏らないように両方使ってバランスをとっていくということ、これは常に必要でございます。景気対策、これも必要です。しかし、社会保障財源の充実、これも必要でございまして、そこに、こうすればみんながハッピー、景気がよくなって笑いがとまらないというような打ち出の小づちは残念ながら存在しない。苦しい中を何とか狭いすき間をすり抜けていく、その中に多少の負担の問題というのも入ってこざるを得ないわけですね。こういう状況の中で、バラ色の未来だけを語るというわけにはいかないんだろうと思います。
そうやって狭いすき間をうまく通り抜けていけば、日本人は、黒船がやってきたときも、関東大震災があったときも、それからB29の爆撃にさらされたときも、そういうすべての場合に何とかこれをすり抜けてきたということがあるわけですから、自信を持っていけば何とかなるんじゃないかというふうに思っています。
過度に悲観的にならず、過度にバラ色の夢もばらまかず、中庸でいくということなんじゃないかというふうに思っております。
この発言だけを見る →アクセルとブレーキとおっしゃいましたけれども、人間の体も、交感神経と副交感神経で、一方に偏らないように両方使ってバランスをとっていくということ、これは常に必要でございます。景気対策、これも必要です。しかし、社会保障財源の充実、これも必要でございまして、そこに、こうすればみんながハッピー、景気がよくなって笑いがとまらないというような打ち出の小づちは残念ながら存在しない。苦しい中を何とか狭いすき間をすり抜けていく、その中に多少の負担の問題というのも入ってこざるを得ないわけですね。こういう状況の中で、バラ色の未来だけを語るというわけにはいかないんだろうと思います。
そうやって狭いすき間をうまく通り抜けていけば、日本人は、黒船がやってきたときも、関東大震災があったときも、それからB29の爆撃にさらされたときも、そういうすべての場合に何とかこれをすり抜けてきたということがあるわけですから、自信を持っていけば何とかなるんじゃないかというふうに思っています。
過度に悲観的にならず、過度にバラ色の夢もばらまかず、中庸でいくということなんじゃないかというふうに思っております。
稲
稲田朋美#11
○稲田委員 ありがとうございます。
さらに中里先生にお伺いをいたしますが、少子高齢化社会、世界一の水準とスピードで高齢者は年々ふえております。また一方で、勤労世代が年々減っております。社会保障経費の多くの部分が高齢者にかかっているということを考えますと、そういった減り行く所得課税、所得税収とか法人税収で賄うには、勤労世代一人当たりの所得課税負担率がどんどん高くなってくるのではないかと思っております。
こういった点から、消費税についてどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →さらに中里先生にお伺いをいたしますが、少子高齢化社会、世界一の水準とスピードで高齢者は年々ふえております。また一方で、勤労世代が年々減っております。社会保障経費の多くの部分が高齢者にかかっているということを考えますと、そういった減り行く所得課税、所得税収とか法人税収で賄うには、勤労世代一人当たりの所得課税負担率がどんどん高くなってくるのではないかと思っております。
こういった点から、消費税についてどのようにお考えでしょうか。
中
中里実#12
○中里参考人 意見の非常に対立する問題でございまして、これだけが唯一正しいというようなことを申し上げることはできないわけでございますけれども、常識的に考えまして、政府は財源の手当てなくお金をばらまくということはできないわけです。それをもしやりたいのであれば、日本が基軸通貨国になって借金の証文と円をやたら印刷して外国にばらまくという方式もないわけではないでしょうけれども、今の日本ではそれはできませんし、そういう国家が今後出てくるかどうかも非常になぞなわけですよね。
そうしますと、消費税については、かつて大平総理がなさったように、国民に理解を求めていくという方向をとらざるを得ないのではないかというふうに思っています。
ここの問題をしくじりますと、赤字だけがどんどんたまっていく。どんどん借金ができるのであればいいんですが、私、金融取引の課税を専門としておりますが、どんどん借金はできないのでありまして、いつか国債が暴落する、借金ができなくなるときが来るわけでございまして、そうならないためにも、要するに日本が国家破産に陥らないためにも、一定程度の財政規律を保っていくということが必要だろうというふうに思っております。
この発言だけを見る →そうしますと、消費税については、かつて大平総理がなさったように、国民に理解を求めていくという方向をとらざるを得ないのではないかというふうに思っています。
ここの問題をしくじりますと、赤字だけがどんどんたまっていく。どんどん借金ができるのであればいいんですが、私、金融取引の課税を専門としておりますが、どんどん借金はできないのでありまして、いつか国債が暴落する、借金ができなくなるときが来るわけでございまして、そうならないためにも、要するに日本が国家破産に陥らないためにも、一定程度の財政規律を保っていくということが必要だろうというふうに思っております。
稲
稲田朋美#13
○稲田委員 それから、先ほど先生のお話の中で、所得税についても改革を考えるべきだというふうなお話があったんですが、今よりもやや累進課税を強くする、そういった考えについてはどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →中
中里実#14
○中里参考人 地方税、国税合わせた最高税率が五〇%を超えるというのは、それは極力避けた方がいいことなんだろうと思います。ただ臨時的に、この不景気を脱するための財源措置として、そういうことも場合によってはあり得るかもしれません。
一番大切なのは、高所得者についてだけ税率を上げても税収はさほど上がらないという点でございまして、みんなから千円ずつでも一万円ずつでもよろしいんですけれども、ほんのちょっとずつ集めることによって、多くの人に広く薄く負担していただくことによって、必要な税収も確保できる。それ以外に方法はないわけでございまして、天からお金が国に降ってくるわけではございませんので、所得税も聖域化しないで一つの議論の対象に加え、消費税とのバランスを考えていくということです。
普通の私の理屈からいうと五〇%を超えるのはちょっとと思うんですけれども、しかし、臨時的な措置としてはいろいろなことを考えないと、国民の納得を得られないということでございます。
この発言だけを見る →一番大切なのは、高所得者についてだけ税率を上げても税収はさほど上がらないという点でございまして、みんなから千円ずつでも一万円ずつでもよろしいんですけれども、ほんのちょっとずつ集めることによって、多くの人に広く薄く負担していただくことによって、必要な税収も確保できる。それ以外に方法はないわけでございまして、天からお金が国に降ってくるわけではございませんので、所得税も聖域化しないで一つの議論の対象に加え、消費税とのバランスを考えていくということです。
普通の私の理屈からいうと五〇%を超えるのはちょっとと思うんですけれども、しかし、臨時的な措置としてはいろいろなことを考えないと、国民の納得を得られないということでございます。
稲
稲田朋美#15
○稲田委員 広く薄くということ、私も同感をするんですけれども、これ以上所得税を低中所得者の方から取るということはなかなか難しいんじゃないかなというふうにも思います。
消費税は一%で二・五兆円と非常に規模も大きく、また高齢者の中で消費余力のある人にはしっかりと負担をしていただくことで、所得はない豊かな高齢者に負担をしてもらいやすいという意味から、世代間の公平も図れるのではないかと思っておりますし、また、所得税と違って、執行方法も非常に公平感があるのかなということを思っておりますが、そういった点からはどのようにお考えでしょうか。
この発言だけを見る →消費税は一%で二・五兆円と非常に規模も大きく、また高齢者の中で消費余力のある人にはしっかりと負担をしていただくことで、所得はない豊かな高齢者に負担をしてもらいやすいという意味から、世代間の公平も図れるのではないかと思っておりますし、また、所得税と違って、執行方法も非常に公平感があるのかなということを思っておりますが、そういった点からはどのようにお考えでしょうか。
中
中里実#16
○中里参考人 ヨーロッパ流の厚い福祉というのを前提とする国家運営を考えるのであれば、消費税の税率五%というのはあり得ない水準ということになります。所得税で集められる税収、相当今集めていますけれども、それよりは消費税の方がいろいろな意味で不公平性が少ないということもそのとおりだと思います。
しかし、この国会の中でそれに反対する先生方が非常に多くいらっしゃいますので、これは先生方が御判断なさる話でございまして、消費税の税率を上げる苦渋の選択を国会が、すぐとは申しませんけれども、近い将来できるかできないか、これが志の問題でございまして、それができないならば日本国の将来は相当苦しい、厳しいことになるのではないか。バラ色の未来を根拠なく語るということに関しては、非常な抵抗感を持つものでございます。
この発言だけを見る →しかし、この国会の中でそれに反対する先生方が非常に多くいらっしゃいますので、これは先生方が御判断なさる話でございまして、消費税の税率を上げる苦渋の選択を国会が、すぐとは申しませんけれども、近い将来できるかできないか、これが志の問題でございまして、それができないならば日本国の将来は相当苦しい、厳しいことになるのではないか。バラ色の未来を根拠なく語るということに関しては、非常な抵抗感を持つものでございます。
稲
稲田朋美#17
○稲田委員 ただ、この委員会の中でも非常に議論になっていたのが、中低所得者に対して逆進性なのではないかという議論です。それに対して、この間与謝野大臣は、社会保障費を充実させればその逆進性が反対になるのでということもおっしゃいました。
先ほど中里先生もそういった点をおっしゃったんですけれども、セーフティーネットを強化することによって中低所得者に対して有利だから、消費税を上げるということも必ずしも中低所得者に対して逆進性ばかりではないんだということを、もっともっとアピールすべきではないかなということを感じているんですけれども、そういった点をもう少し詳しくお話しいただけないでしょうか。
この発言だけを見る →先ほど中里先生もそういった点をおっしゃったんですけれども、セーフティーネットを強化することによって中低所得者に対して有利だから、消費税を上げるということも必ずしも中低所得者に対して逆進性ばかりではないんだということを、もっともっとアピールすべきではないかなということを感じているんですけれども、そういった点をもう少し詳しくお話しいただけないでしょうか。
中
中里実#18
○中里参考人 高齢者とか非正規雇用に従事している若い人たちのことを考えますと、なかなか理屈だけで世の中のことをあれこれ提言するというのは厳しいものもあるわけですけれども、逆進性云々というのを局部的にとらえるというのは、これは間違っているだろうというふうに思います。この税目だけ考えて逆進的だとか、そういう話ではございませんで、税制トータルでどうなっているかということを考えなきゃいけませんし、また税制だけじゃなくて、社会保障負担も考えてどうなっているのかということを考えなきゃいけませんし、さらには受益も考えてどうなっているかということを考えるということでございます。
そのトータルで考えますと、逆進性の問題というのはかなりの部分解決できるのではないか、その程度のノウハウは我々も理論的にも持っておりますし、それからいろいろな専門家がそれをするやり方というのは心得ているんじゃないかというふうに思っておりますので、先生のおっしゃるとおりだと思います。
この発言だけを見る →そのトータルで考えますと、逆進性の問題というのはかなりの部分解決できるのではないか、その程度のノウハウは我々も理論的にも持っておりますし、それからいろいろな専門家がそれをするやり方というのは心得ているんじゃないかというふうに思っておりますので、先生のおっしゃるとおりだと思います。
稲
稲田朋美#19
○稲田委員 ただ、先生が先ほどお話しになった中で、唯一複数税率については消極的な御意見なのかなと伺ったんですけれども、私は、食料自給率を上げたりそれから日本の食文化を守るという点から、例えばお米に関してだけ消費税率を下げるというようなことも考えるべきではないかなということを、ちょっと先生のお話の中で一点だけ指摘をしたいと思っております。
次に、吉野先生に、景気対策の財源についてお伺いをいたしたいと思います。
先ほど民間資金の活用という非常に画期的なお話もあって、そのことを私も大変もっともっと聞きたいなと思ったんですが、今回、この法案に関連をいたしましては、財政投融資特別会計の積立金を取り崩すという点について、先生先ほど少しお話がありましたけれども、私は、こういったいわゆる埋蔵金の取り崩しというのは、毎年毎年できるものでもないし、緊急避難的に行うべきものではないかな、そしてまた、今の段階でこの埋蔵金を取り崩してしまうことが、やはり将来世代にツケを回すことにもなるし、借金返済に本来なら回すべきものではないかなと思っているんですけれども、この点について先生のお考えを伺いたいと思います。
この発言だけを見る →次に、吉野先生に、景気対策の財源についてお伺いをいたしたいと思います。
先ほど民間資金の活用という非常に画期的なお話もあって、そのことを私も大変もっともっと聞きたいなと思ったんですが、今回、この法案に関連をいたしましては、財政投融資特別会計の積立金を取り崩すという点について、先生先ほど少しお話がありましたけれども、私は、こういったいわゆる埋蔵金の取り崩しというのは、毎年毎年できるものでもないし、緊急避難的に行うべきものではないかな、そしてまた、今の段階でこの埋蔵金を取り崩してしまうことが、やはり将来世代にツケを回すことにもなるし、借金返済に本来なら回すべきものではないかなと思っているんですけれども、この点について先生のお考えを伺いたいと思います。
吉
吉野直行#20
○吉野参考人 今御指摘のございましたように、これだけ財政が大変な状況でございます。
まず一つは、国債にうんと頼ることがなぜいけないかということをちょっと申し上げますと、日本の国債の大半は民間の金融機関が保有しております。外国人とか個人の保有というのは数%ずつにすぎません。そういう意味では、国債がこれからますます発行されますと、銀行あるいは保険会社がそれを持ちますから、貸し出しが減るということになります。
先ほど、民間の企業に対する資金が随分細ってきたと申し上げましたけれども、現在、なぜこれだけの大量国債が非常にうまく消化できたかといいますと、それは貸し出しがなかなか需要がなくて、その分金融機関は国債を持っていたので、ちょうどこれが保てたというのがぎりぎりだと思います。
民間の金融機関の方にお聞きしますと、もう今、国債をたらふく食べたという感じである、これ以上国債が来るとすると、国債の金利を上げてもらわないと買えないと言うわけです。ですから、ほかの金融資産よりも高い金利にして国債を売る。そうしますと、今度は国債の、国家の財政の金利負担がふえることになります。だから、そういう意味では、なるべく国債に依存しない形で何とか急場をしのがなくちゃいけないということだと思います。
それで、この積立金の千分の百というのを千分の五十まで引き下げ、さらにそれを一時的に引き下げるということですけれども、では、財政投融資の特会がなぜこういう準備金を持っているかといいますと、これは別に眠っているお金じゃないんです。実は、この準備金の部分は中小企業なんかの貸し出しに回っているんです。だから、負債の側としては準備金と書いてありますけれども、資産の側では中小企業なんかに回っていますから、別にそこにたまっているお金ではありません。まず、それは御認識いただきたいと思います。
それから、では、今余分があるからこれを少し取り崩しましょうということですけれども、今ちょうど運がいいのは、長期で貸したお金が少し高い金利で残っております。短期の金利は非常に低い金利ですから、その部分のさやがありますので、少し準備金を抑えても、今のところは大丈夫そうです。しかし、これが今度逆に金利が上がってきますと、長期の金利は変わりませんから、逆転することがあります。そうしますと、この準備金が、余り下げますと赤字になってしまう。
では、赤字になったときどういうことが困るかといいますと、財政投融資というのは特別会計で、その中で全部自前でやっていこうという会計ですから、ある程度バッファーを持ちながら、金利の変動あるいは期間のミスマッチというのがございまして、それに対応するという制度です。ですから、今はもうこれだけの危機ですから仕方がない、だからその部分を少し下げましょうということはいいことだと思いますけれども、長期的には千分の五十程度、ある程度まで確保しないといけないと思います。
それより、私がさっき申し上げました、これからいろいろ政策をしていただく場合には、国のどこかにあるお金というばかりじゃなくて、何とか民間の資金を持ってきて、それを合わせた形でできないだろうか。まさに中国やインドは、彼らは税収はそんなにないわけです。ところが、田舎というか地方が全然都会と結ばれていない。彼らの経済成長のためには、鉄道、インフラをもっと敷きたい。そのためには民間資金をもっと持ってこようと。その民間資金も、国内の民間資金ばかりじゃなくて、日本人の貯蓄とか海外からの資金も持ってきて頑張ろう、そういうことですから、うまい形で日本の地方に対しても民間の資金を一部持ってきて、そこで活力をつけた形でいい事業をしていくということをぜひ考えていただきたいと思います。
この発言だけを見る →まず一つは、国債にうんと頼ることがなぜいけないかということをちょっと申し上げますと、日本の国債の大半は民間の金融機関が保有しております。外国人とか個人の保有というのは数%ずつにすぎません。そういう意味では、国債がこれからますます発行されますと、銀行あるいは保険会社がそれを持ちますから、貸し出しが減るということになります。
先ほど、民間の企業に対する資金が随分細ってきたと申し上げましたけれども、現在、なぜこれだけの大量国債が非常にうまく消化できたかといいますと、それは貸し出しがなかなか需要がなくて、その分金融機関は国債を持っていたので、ちょうどこれが保てたというのがぎりぎりだと思います。
民間の金融機関の方にお聞きしますと、もう今、国債をたらふく食べたという感じである、これ以上国債が来るとすると、国債の金利を上げてもらわないと買えないと言うわけです。ですから、ほかの金融資産よりも高い金利にして国債を売る。そうしますと、今度は国債の、国家の財政の金利負担がふえることになります。だから、そういう意味では、なるべく国債に依存しない形で何とか急場をしのがなくちゃいけないということだと思います。
それで、この積立金の千分の百というのを千分の五十まで引き下げ、さらにそれを一時的に引き下げるということですけれども、では、財政投融資の特会がなぜこういう準備金を持っているかといいますと、これは別に眠っているお金じゃないんです。実は、この準備金の部分は中小企業なんかの貸し出しに回っているんです。だから、負債の側としては準備金と書いてありますけれども、資産の側では中小企業なんかに回っていますから、別にそこにたまっているお金ではありません。まず、それは御認識いただきたいと思います。
それから、では、今余分があるからこれを少し取り崩しましょうということですけれども、今ちょうど運がいいのは、長期で貸したお金が少し高い金利で残っております。短期の金利は非常に低い金利ですから、その部分のさやがありますので、少し準備金を抑えても、今のところは大丈夫そうです。しかし、これが今度逆に金利が上がってきますと、長期の金利は変わりませんから、逆転することがあります。そうしますと、この準備金が、余り下げますと赤字になってしまう。
では、赤字になったときどういうことが困るかといいますと、財政投融資というのは特別会計で、その中で全部自前でやっていこうという会計ですから、ある程度バッファーを持ちながら、金利の変動あるいは期間のミスマッチというのがございまして、それに対応するという制度です。ですから、今はもうこれだけの危機ですから仕方がない、だからその部分を少し下げましょうということはいいことだと思いますけれども、長期的には千分の五十程度、ある程度まで確保しないといけないと思います。
それより、私がさっき申し上げました、これからいろいろ政策をしていただく場合には、国のどこかにあるお金というばかりじゃなくて、何とか民間の資金を持ってきて、それを合わせた形でできないだろうか。まさに中国やインドは、彼らは税収はそんなにないわけです。ところが、田舎というか地方が全然都会と結ばれていない。彼らの経済成長のためには、鉄道、インフラをもっと敷きたい。そのためには民間資金をもっと持ってこようと。その民間資金も、国内の民間資金ばかりじゃなくて、日本人の貯蓄とか海外からの資金も持ってきて頑張ろう、そういうことですから、うまい形で日本の地方に対しても民間の資金を一部持ってきて、そこで活力をつけた形でいい事業をしていくということをぜひ考えていただきたいと思います。
稲
稲田朋美#21
○稲田委員 ありがとうございます。何か非常に元気の出るお話だったと思います。
ただ、今、その積立金の取り崩しに引き続いて最近議論をされていることに、例えば政府紙幣を刷るとか、また無利子国債の発行をしたらどうかという議論が活発に行われております。私は、まるで空気から札束を生み出すような、そんなうまい話があるのかなというような気持ちでその議論を聞いてはいるんですけれども、国民の皆さん方にも非常にアピールをしている議論でもあります。この政府紙幣とかそれから無利子国債を発行するという考えについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
この発言だけを見る →ただ、今、その積立金の取り崩しに引き続いて最近議論をされていることに、例えば政府紙幣を刷るとか、また無利子国債の発行をしたらどうかという議論が活発に行われております。私は、まるで空気から札束を生み出すような、そんなうまい話があるのかなというような気持ちでその議論を聞いてはいるんですけれども、国民の皆さん方にも非常にアピールをしている議論でもあります。この政府紙幣とかそれから無利子国債を発行するという考えについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。
吉
吉野直行#22
○吉野参考人 景気対策といいますか、結局、政府の財政というのはどこから主に入ってくるかといったら、やはり税金で入ってきて、それを支出するわけですから、どこかから打ち出の小づちでお金が出てくるというわけではない。それで、税金で足りない部分を国債を発行しながらしのいでいくということなわけです。
国債は、現状では税金が少ない中で国債が発行できますが、アメリカ人の考え方は、国債で頼っているということは将来世代に負担を残しているんだ、こういう意識が強いと思います。
そういう中で日本では、では国債で、ゼロ金利の国債を発行したらいいではないかということですけれども、もしそれを民間金融機関が今のように買うとしますと、ゼロで買うことになります。ということは、預金金利はゼロにしないと、金融機関は買えません。ですから、ゼロ金利の国債というのは、例えば特定の目的でやるというのであればいいですけれども、一般に販売したとしても、普通の方は買わないというふうに思います。
それから、政府紙幣の発行ですけれども、これはやはり、余り間違えますと、紙幣を乱発して、結局はインフレを起こしてしまうということになりますので、我々が考えなくちゃいけないことは、財政を最終的にはバランスさせて歳出と歳入を合わせていくということをしませんと、一時しのぎで何かやろうということになりますと、後で必ずそのツケは回ってくるというふうに思います。
この発言だけを見る →国債は、現状では税金が少ない中で国債が発行できますが、アメリカ人の考え方は、国債で頼っているということは将来世代に負担を残しているんだ、こういう意識が強いと思います。
そういう中で日本では、では国債で、ゼロ金利の国債を発行したらいいではないかということですけれども、もしそれを民間金融機関が今のように買うとしますと、ゼロで買うことになります。ということは、預金金利はゼロにしないと、金融機関は買えません。ですから、ゼロ金利の国債というのは、例えば特定の目的でやるというのであればいいですけれども、一般に販売したとしても、普通の方は買わないというふうに思います。
それから、政府紙幣の発行ですけれども、これはやはり、余り間違えますと、紙幣を乱発して、結局はインフレを起こしてしまうということになりますので、我々が考えなくちゃいけないことは、財政を最終的にはバランスさせて歳出と歳入を合わせていくということをしませんと、一時しのぎで何かやろうということになりますと、後で必ずそのツケは回ってくるというふうに思います。
稲
田
古
古本伸一郎#25
○古本委員 おはようございます。民主党の古本伸一郎と申します。
きょうは、参考人の皆様、委員会にお越しをいただきまして、ありがとうございます。
まず最初に、お三方、学者でいらっしゃる前に、おうちに帰れば、それぞれ一消費者でいらっしゃると思います。先ほど来、消費税の話が随分出ておりましたが、いわば税金を上げるということは、消費税に限らず、所得税でもいかなる税でもそうだと思いますが、お父さん、もうちょっと残業して頑張って稼いできてよと言われているようなものだと思うんです。他方、家に随分へそくりがあれば、そのへそくりがまずあるじゃないか、こういう思いもあると思うんですね。
今、我が国のお財布の状況を家計になぞらえて少し全体を鳥瞰していただいて、今、さらにアルバイトに行ってこいよと言われて、行ってきますという気になれる状況かどうか、つまりは、消費税の増税をただいま議論できる状況かどうかということについて、それぞれお願いいたします。
この発言だけを見る →きょうは、参考人の皆様、委員会にお越しをいただきまして、ありがとうございます。
まず最初に、お三方、学者でいらっしゃる前に、おうちに帰れば、それぞれ一消費者でいらっしゃると思います。先ほど来、消費税の話が随分出ておりましたが、いわば税金を上げるということは、消費税に限らず、所得税でもいかなる税でもそうだと思いますが、お父さん、もうちょっと残業して頑張って稼いできてよと言われているようなものだと思うんです。他方、家に随分へそくりがあれば、そのへそくりがまずあるじゃないか、こういう思いもあると思うんですね。
今、我が国のお財布の状況を家計になぞらえて少し全体を鳥瞰していただいて、今、さらにアルバイトに行ってこいよと言われて、行ってきますという気になれる状況かどうか、つまりは、消費税の増税をただいま議論できる状況かどうかということについて、それぞれお願いいたします。
藤
藤原直哉#26
○藤原参考人 お答え申し上げます。
私は、今の段階で消費税率の引き上げを政府が言うことは非常に不見識であると思っております。
税金は、国民が所得を得ればちゃんと払います。それほど日本人は納税意識が低くないと思います。払えないわけであります。年金も払えない、健康保険料も払えない、果ては給料も払えない。そういう状況で、どうやったらお金がもうかって生活が安定するのかもわからない前に、いただきますという話を政治がするのは、国家の財政運営の前に、国家のリーダーシップとしては甚だ不見識なことだと、私は正直言って思っております。
私は、もっと積極的な話をしていただきたいと思うんです。ただ単に無駄を省くだけではなくて、どうやったらみんな財布に金が入ってくるか、その算段を政治にしていただきまして、お金がもうかってから、いただくものはいただくというお話をしていただきたい、かように思っている次第でございます。
この発言だけを見る →私は、今の段階で消費税率の引き上げを政府が言うことは非常に不見識であると思っております。
税金は、国民が所得を得ればちゃんと払います。それほど日本人は納税意識が低くないと思います。払えないわけであります。年金も払えない、健康保険料も払えない、果ては給料も払えない。そういう状況で、どうやったらお金がもうかって生活が安定するのかもわからない前に、いただきますという話を政治がするのは、国家の財政運営の前に、国家のリーダーシップとしては甚だ不見識なことだと、私は正直言って思っております。
私は、もっと積極的な話をしていただきたいと思うんです。ただ単に無駄を省くだけではなくて、どうやったらみんな財布に金が入ってくるか、その算段を政治にしていただきまして、お金がもうかってから、いただくものはいただくというお話をしていただきたい、かように思っている次第でございます。
吉
吉野直行#27
○吉野参考人 私は、やはり長期的には、財政というのはバランスさせないといけないと思います。
ヨーロッパでユーロができるときに、イタリアは非常に赤字だったわけです。そのときに、残高で六〇%以上、マーストリヒトの取り決めがありますけれども、それでイタリアは、こんなことでは我々はEUの中に入れない、そういう形で、やはり長期的に財政をバランスさせていこう、そういう努力があったと思います。そういう意味では、私は、日本においても、将来の子供たちあるいは孫に負担を残さないということはぜひ必要なことだと思います。
ただ短期的に、こういう非常に、百年に一度とかいう危機のときに税金をすぐ上げていいかどうかというのは、私は、こういうときはやはりしっかりとした景気対策をするということがまず重要だと思います。
それから、やはり先ほど申し上げましたが、では、景気対策も全部国債でやるのかということではなく、できるところはPPPという民間の資金を用いながらやっていくということがぜひ必要だというふうに思います。
この発言だけを見る →ヨーロッパでユーロができるときに、イタリアは非常に赤字だったわけです。そのときに、残高で六〇%以上、マーストリヒトの取り決めがありますけれども、それでイタリアは、こんなことでは我々はEUの中に入れない、そういう形で、やはり長期的に財政をバランスさせていこう、そういう努力があったと思います。そういう意味では、私は、日本においても、将来の子供たちあるいは孫に負担を残さないということはぜひ必要なことだと思います。
ただ短期的に、こういう非常に、百年に一度とかいう危機のときに税金をすぐ上げていいかどうかというのは、私は、こういうときはやはりしっかりとした景気対策をするということがまず重要だと思います。
それから、やはり先ほど申し上げましたが、では、景気対策も全部国債でやるのかということではなく、できるところはPPPという民間の資金を用いながらやっていくということがぜひ必要だというふうに思います。
中
中里実#28
○中里参考人 これは難しいですね。今の経済状況で税金を上げるというのは非常に難しいと思います。
ただ、国会の改正案の方で、将来的にそれを考えなきゃいけないという警笛を鳴らした、このことに非常に大きな意味があるのではないかというふうに思っています。
具体的にどの時期にどれだけということに関しては、今後こちらで先生方が御議論なさってお決めになる話だと思いますけれども、いずれにせよ、国債をふやし続ければ国債価格が暴落する、金利が異常に上がるということでございますから、その時期がおわかりになるのであればその時期までになさればよろしいのでしょうけれども、そうならないための予防措置というのを常に考えておくという意味で、消費税等に関して考えておくということは、国民にとっても非常に意味のある話ではないかと。
経済が破綻してしまえば、国家が破産してしまえば、税金がゼロになったところで意味はないのであるということです。
この発言だけを見る →ただ、国会の改正案の方で、将来的にそれを考えなきゃいけないという警笛を鳴らした、このことに非常に大きな意味があるのではないかというふうに思っています。
具体的にどの時期にどれだけということに関しては、今後こちらで先生方が御議論なさってお決めになる話だと思いますけれども、いずれにせよ、国債をふやし続ければ国債価格が暴落する、金利が異常に上がるということでございますから、その時期がおわかりになるのであればその時期までになさればよろしいのでしょうけれども、そうならないための予防措置というのを常に考えておくという意味で、消費税等に関して考えておくということは、国民にとっても非常に意味のある話ではないかと。
経済が破綻してしまえば、国家が破産してしまえば、税金がゼロになったところで意味はないのであるということです。
古
古本伸一郎#29
○古本委員 先日、与謝野大臣が、中川前大臣の時代からも継続して御説明されておりますけれども、実は今回の定額給付金は一種の給付つき税額控除である、こういう御説明をなさっているんですね。これは参考人からもお話があったように、納税をなさっておられない課税点以下の方についても何がしかの給付をするという意味では、給付つき税額控除の一つの理念だと思うんですけれども、そのことを少し前倒ししているんだというようなお話がございました。与党の先生方からもその御主張はあるようでございます。
少し疑問に思いますのは、政府税調の特別委員でもいらっしゃる中里先生におかれましては、所得の再分配機能が少し低下しているんではないか、少し税がフラット化し過ぎたんじゃないか、累進性が少し緩み過ぎたんじゃないか、こういうお話もあったわけですが、給付つき税額控除というのは元来、所得の再分配機能をならす役割がもしあるのであれば、今回の定額給付金というのは、実は所得の再分配機能には当たらないんですよね。なぜならば、財源は財投特会の切り崩しでありまして、再分配にはならないと思うんですね。
このことについて、まずは中里さんにお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →少し疑問に思いますのは、政府税調の特別委員でもいらっしゃる中里先生におかれましては、所得の再分配機能が少し低下しているんではないか、少し税がフラット化し過ぎたんじゃないか、累進性が少し緩み過ぎたんじゃないか、こういうお話もあったわけですが、給付つき税額控除というのは元来、所得の再分配機能をならす役割がもしあるのであれば、今回の定額給付金というのは、実は所得の再分配機能には当たらないんですよね。なぜならば、財源は財投特会の切り崩しでありまして、再分配にはならないと思うんですね。
このことについて、まずは中里さんにお伺いしたいと思います。