シドニー・ブレナーの発言 (沖縄及び北方問題に関する特別委員会)

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○参考人(シドニー・ブレナー君)(通訳) 委員長、ありがとうございます。
 私、発言のメモを通訳者に渡しました。そして、ゆっくりと英語で発言させていただきます。同時通訳者が付いてこられるようにゆっくりと発言をいたします。
 本日は、この委員会に出席して議員の皆様方に沖縄科学技術大学院大学について説明する機会を得ましたことは、大変光栄であります。
 私が理事長を、そしてバックマン博士が理事を務める基盤整備機構は、過去数年間、この機構を設置した法律に定められた目標を達成するために精力的な努力を重ねてまいりました。
 この機構に与えられた目標を確認したいと思います。一つは、沖縄で高いレベルの学際的な科学研究を開始し、またそれを振興させるということ、二つ目が大学院大学の開学の準備を行うということでありました。この二つの目標は、沖縄の自立的経済発展を振興するという目的の下に追求されているものであります。
 私どものこれまでの数多くの大きな成果を語るのが本日の目的ではありません。ただ、一言申し上げさせていただければ、私どもは与えられた目標を完全に達成いたしました。主任研究者も二十人を数えております。その過半は海外から来ております。また、幾つかの研究領域を確立しております。その幾つかの領域においては、既に国際的な評価を得ております。これは、我々のプログラムあるいはワークショップに対する応募者の水準にも表れています。
 本日は、過去にこだわるのではなく将来を見据えてお話ししたいと思っております。この法案が採択されれば、新しい大学院大学を沖縄につくるという取組の新段階に入ることになります。二〇一二年までに、私どもは、科学者や研究者をそろえ、すべての施設の建設を完了し、学長を任命し、主要な事務職に人材を配置し、数多くの学生を獲得し、そして最先端の研究教育機関に必要な複雑な運営体制を確立するということを目標としております。
 この先やらなければならないことはまだまだたくさんあります。しかしながら、その多くに関しては既に取組を開始しております。しかし、それを実行に移していくためには法案の成立が必要です。この困難な事業に立ち向かっていくに当たって、我々が確信を持って取り組んでいけるように皆様方の強い支援が必要であります。また、沖縄の県民の皆様、沖縄の各機関、そして日本国民全体の揺るぎない支持が必要であります。
 さて、このプロジェクトは、沖縄や日本にとってのみ重要なのではなく、世界全体にとっても重要であると考える理由を説明させてください。
 私がこのプロジェクトの立ち上げに参加した理由は二つあります。
 一つは、日本は科学のイノベーションの能力を十分に生かしていないと感じたからであります。大学教育研究の制度の下で、若い科学者に独自の研究をさせる機会が十分に与えられていないと考えました。私ども年寄りもまだ熱心に科学に取り組んでおりますが、やはりイノベーションというのは若い人たちの力を解き放つことで生まれるわけです。
 それから、二つ目の理由といたしましては、新しいアイデアというのは旧来からの様々な分野の学際的なところでいつも生まれるものだからです。この学際的な分野で新しいアイデアが生まれるという事例は、生命科学の分野で五十年間何が起きたか御覧いただければ分かることと思います。生命科学の新しい発見は、化学、物理、数学、そして計算科学の融合する分野で生まれたのでした。
 大学というのは通常厳格な学部体制がしかれておりまして、このように多様な科学者のグループ同士のやり取りを融合していくことが難しいことが多いのです。そしてまた、既得権益によって壁ががっちりと用心深く守られてしまっています。したがって、旧弊あるいは旧制度を脱却して全く新しいものを融合してつくっていくということが非常に重要な課題になるのではないか、そしてやりがいがあることではないかと考えた次第です。
 かなりこの方向性で既に進捗が見られておりまして、今回、将来の発展に有益な条項を盛り込んだ本法案が可決すれば、その作業を進める上で制度的な基盤が整備されることと思っております。
 本構想プロジェクトの最も重要な点は沖縄とのつながりです。多くの人たちが、沖縄という場所では科学技術大学院大学のような先端的機関を設立するには開発が不十分な場所ではないかとお感じのようです。しかし、私の考えでは、研究プロジェクトからまず始め、そして主要な中心地から離れて、その既存の体制の言わば遺産から離れたところで活動を始めれば、我々独自の文化あるいは風土づくりができるのではないかと考えた次第です。若い苗木は古い大木の林の中では日陰になってしまって育たないからです。また、私たちの使命は沖縄の経済的自立に貢献することであると重々承知をしております。これは将来的にますます重要になってくるでしょう。
 この先、本学の活動を重ねる中で、私たちの研究から経済的な価値を生み出せるようにしてまいりたいと考えております。そして、そのためには質に重点を置いてまいります。本学の科学者の質、そして私たちが育てる人材の質に重きを置くことで達成していきたいと思っております。
 そして、なかんずく重要な点としては、科学の国際舞台においてきちんと認められ、そして国際的な科学者のネットワークの重要な位置を占めてまいりたいと思っております。一部の分野で既にこれは達成をしております。本学の募集ポストへの応募人材の質にも見られますし、本学ワークショップに参加する生徒の質にも反映されております。そして、さらに厳格に高い水準を維持しハイレベルのイノベーションを維持すれば、産業界にも来ていただける、そして沖縄にそれによって裨益できると思います。
 このように、垂範率先することによりまして生まれる新しい文化が是非広まることを私としては期待しております。私たちの教育、そして発信内容の中には、多くの問題を抱える世界にとって科学技術が重要な役割を果たすのだということも訴えたいと思っております。
 沖縄発のこの試みが日本中に広がればうれしく思いますし、新しいアジア太平洋の科学者のコミュニティーが世界に広まれば、この上なくうれしく存じます。
 以上です。御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: シドニー・ブレナー

speaker_id: 3067

日付: 2009-06-19

院: 参議院

会議名: 沖縄及び北方問題に関する特別委員会