湯浅誠の発言 (予算委員会公聴会)

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○公述人(湯浅誠君) ありがとうございます。
 私が九五年にホームレスの方の支援を始めたときは、ほぼ七、八割方はやっぱり日雇の方が多かったと思います。それは何でかというと、例えば一九六〇年に中学卒業して金の卵とかと言われて都会に来て、道路造ったり、橋造ったり、ビル造ったりしていた人が、九五年には五十歳ですね。なので、やっぱりそこら辺になると、ちょっと労災とか高血圧とか怖いから、まあちょっとおっちゃん遠慮してくれやという感じで仕事からだんだんあぶれていくようになって、それで野宿の人たちが町中で徐々に徐々に目立ち始めた。あれが九〇年代半ばだったと思うんですね。
 私たち、二〇〇一年から「もやい」という団体で相談活動を受けていますが、当初は、ですから相談に来る方というのは元野宿の方あるいは母子世帯の人たちですね、DV被害を受けているような人が多かったです。外国籍の方とか、日本籍の方ももちろんですが、多くて、元日雇の野宿の人あるいはDV被害の母子世帯の人、大体これが我々のところに相談に来る人というイメージだったんですけど、二〇〇〇年代に入ってから変わってきたなと思ったのは、まず若い人たちが増えたですね。二十代、三十代で、あとは一般世帯が増えていきました。両親そろっているんだけど食っていけないという。
 それは、私の感じからいうと、ずっと日雇とか母子世帯の人たちが、私、元祖ワーキングプアと言っているんですけど、その人たちが貧困がずっと続いているのの、それを一階部分だとしたら、そこの二階部分に乗っかってきたという感じですかね、若い人とか一般世帯の人が。それがしばらく、これまでどんどんどんどん増え続けていて、昨年暮れからは、今度は派遣切りの被害者のような人がばんと三階部分に乗ってきたという感じで、前の人たちも減らないけど、更にそこに積み上がっていくという感じですかね。そういう感覚を持っています。
 これは居住形態の面からいうと、元々野宿とかあるいはDVで逃げてきて、着のみ着のまま逃げてきて、取りあえず女性シェルターに駆け込んだ人とか、そういう人が相談のメーンだったんですけど、そのうちネットカフェで暮らしている人とかそういう人に広がっていって、しまいには、アパート住んでいるんだけど食っていけないという人に広がってきたという感じですね。
 そうすると、最初私はホームレス問題をやっているんですと答えていたんですけど、アパート住んでいるけど食っていけない人ってこれはどこからどう見てもホームレスじゃないですからね。もう自分はホームレス問題をやっていますと言えなくなっちゃって、それで自分がやっているのは貧困問題なんだと言うしかなくなっちゃったということです。なので、私の実感ベースで言うと、同じような活動をずっとやってきているんですが、やっているうちに世の中がこう落ちてきちゃったという感覚を持っています。
 それはいろんな要因があるんだと思うんですが、やっぱり一つには企業福祉が縮小していったということが一つ大きいと思うんですね。雇用の流動化が進んでいって賃金がだんだん低賃金化していきますと、やっぱり生活の不安定な人が増えていきます。そういう中で、今までは企業に支えられない人は今度は家族が支えるんだということで、もう一方に家族福祉があったわけだと思うんですが、これもだんだん世帯主とか稼ぎ頭がやっぱり収入減っていく中で家族もだんだんだんだん支え切れなくなってきますから、しかも私以降の世代は基本的に核家族ですからね。余り地域でというか、地域ぐるみで、あるいは大家族の中でいろいろやるということもできなくなっちゃって、家族の福祉も縮小してきた。そういう中で、今までは企業福祉、家族福祉がそれなりに大きかったから、箱の中に風船があるようなもので、ある程度風船が大きいと押し合ってすき間って小さくなるわけですけど、企業福祉も縮小して家族福祉も縮小してくる中で底が見えやすくなっちゃった。そういう社会になってきたと思うんですね。
 だとすると、やっぱり社会保障、公的な社会保障の風船を今までよりはもうちょっと増やして膨らましていかないと、なかなかこのすき間は埋まらなくて、そこが、もちろん財源の問題等いろいろあるのは承知していますが、何らかの形で手当てしないとこのすき間に落ち込んじゃう人の問題というのはどうしても解決できないんじゃないかなと思っています。
 以上です。

発言情報

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発言者: 湯浅誠

speaker_id: 20793

日付: 2009-03-17

院: 参議院

会議名: 予算委員会公聴会