井上信治の発言 (本会議)

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○井上信治君 自由民主党の井上信治です。
 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、ただいま議題となりました塩崎恭久君外四名提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案及び幹部国家公務員法案に賛成、内閣提出、国家公務員法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論いたします。(拍手)
 最初に、与党の法案審議の進め方に対し、改めて強く抗議をいたします。
 本法案は、国家の運営の根幹をなし、国民に大きな利害を及ぼす公務員制度の枠組みを決めるものです。本来であれば、自公政権当時の国家公務員制度改革基本法と同様、できる限り多くの与野党が合意をして成立させるべきものであります。
 ところが、審議当初から、鳩山総理は、自信を持って提案しているので修正に応じるつもりはないと、修正協議を真っ向から否定されました。これは、国民の代表である立法府を冒涜するものにほかならず、到底看過できません。
 その後の審議の中で、この鳩山総理のいつもながらの軽い言葉は撤回をされました。それにもかかわらず、与党は、野党提出の法案に対してほとんど質疑することもなく、修正協議にも誠意ある対応が全くなされないまま、内閣提出法案の成立ばかりを最優先に委員会を運営しました。その集大成が、きのうの強行採決であります。このような議会運営は、与党の数を頼んだ横暴であり、尋常ではありません。内閣委員長はもとより、与党の猛省を求めます。
 そもそも、政府・与党の法案は、昨年夏のマニフェストで民主党が掲げた最大の目玉であったはずの脱官僚や天下りの根絶、国家公務員の総人件費二割削減を完全に放棄した、全く逆方向の内容です。
 このことは、審議の中でも何度も問いただしてきました。しかし、仙谷大臣を初め政府側の責任者は、その場しのぎの極めていいかげんな答弁を繰り返すばかりでした。
 今や、鳩山内閣は、国民との約束を完全にないがしろにし、支持母体である公務員労組の言いなりに、公務員天国の実現に突き進もうとしております。
 なぜマニフェストに違反をするのか、なぜ与野党で合意した基本法に違反をするのか、なぜかつての主張と正反対のことをするのか。政権交代に期待した多くの国民に対して、恥ずかしくないのでしょうか。
 心ある与党議員からは、天下り根絶や人件費の削減の実効性に疑問の声も上がりました。しかし、残念ながら、それでも、政府・与党は、本法案の問題点に真摯に向き合おうとはしませんでした。
 このような愚かな法案を断じて成立させてはなりません。
 次に、法案の主な問題点を申し上げます。
 第一に、本法案は、天下りの根絶を完全に撤回し、天下りを温存するものです。
 かつての民主党は、官民人材交流センターを天下りバンクと呼んで厳しく批判し、即刻廃止すべきと唱えておりました。ところが、本法案では、これを名称を変えて焼け太りさせ、恒久化をしています。
 当初、仙谷大臣は、センターが天下りあっせんを行うのは組織改廃時の分限免職時のみと答弁しました。しかし、審議の過程で、またもやこの答弁を覆し、早期退職勧奨、いわゆる肩たたきの際にも再就職あっせんを行うと軌道修正をしたのです。これは、天下りあっせんを温存することにほかなりません。
 さらに、鳩山内閣が多くの裏下りを行っていることも明らかとなりました。
 かつて、民主党は早期退職勧奨の禁止を唱えていたはずですが、驚くべきことに、内閣発足以来、千二百二十一人もの職員に退職勧奨を行っていたのです。しかも、このうち、退職勧奨を拒絶したのはたったの二人だというのです。
 これはどういうことでしょうか。もし、天下りあっせんをセットでやらずに、ただ退職勧奨だけをやっているとしたら、ほぼ全員が退職勧奨を受け入れるなどということはあり得るでしょうか。国民目線で、常識で考えてください。水面下で天下りあっせんをやっている、いわゆる裏下りがなされていると言わざるを得ません。
 委員会審議では、まず、こうした実態を現行法の調査権限を行使して解明すべきことを強く要求しました。しかし、仙谷大臣は一切応じませんでした。なぜ実態解明をしないのか。都合の悪い事実、つまり、鳩山内閣で大量の裏下りを容認してきたことが明らかになってしまうからではないでしょうか。
 これは、天下りの全面解禁にほかなりません。鳩山内閣は、政権をとってから、よくよく勉強をしてみたら、やはり天下りは続けざるを得ないという結論に達したのでしょうか。それは国民に対する重大な裏切りです。
 第二に、同じくマニフェストで掲げた国家公務員の総人件費二割削減も、全く本気で実現しようと考えていないということが明らかになりました。
 本法案では、野党提出の法案と異なり、給与の削減、給与制度改革については一切触れられておりません。給与を下げずして、どうやって二割もの人件費を削減できるのでしょうか。
 仙谷大臣は何と答弁したか。給与の削減については、いずれ労働基本権を付与した後、労働組合と交渉をする、しかし、交渉してみないことには削減できるかどうかはわからないと答弁したのです。
 マニフェストで国民に約束しておいて、やってみなければできるかどうかはわからない。こんな無責任な閣僚たちに政権を任せておくことは、もはやできません。
 第三に、幹部の人事制度も、極めて危険な制度です。
 部長級以上のポストについては、客観的な能力・実績評価は事実上行わず、偽りの政治主導の名のもとに、政治家が全く恣意的に人事を行う制度になっています。
 鳩山内閣発足以降、既にあちこちで、政治家による情実人事が行われ、機能不全に陥っております。本法案は、こうしたお友達人事を法的に追認しようとするものなのでしょう。見識も責任感もない政治家が、みずからの都合と好みで人事を行えば、国家を憂う優秀な公務員ほど士気が下がり、ごますり役人が横行する結果となることは間違いありません。
 まだまだ問題点は尽きませんが、本法案は、官僚たちに丸め込まれて与野党で合意した基本法を骨抜き、先送りをし、選挙のために公務員労組の言いなりとなり、マニフェストで国民と約束したことを平気で破る、公務員天国実現法案と断ぜざるを得ません。
 最後に、心ある与党の皆さんが勇気を持ってこの法案に反対されることを、そして、公務員制度改革の進展を望むすべての議員が自民党、みんなの党の法案に賛成されることを強く願って、私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 117405254X02820100513_027

発言者: 井上信治

speaker_id: 7093

日付: 2010-05-13

院: 衆議院

会議名: 本会議