成島由美の発言 (少子高齢化・共生社会に関する調査会)
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○参考人(成島由美君) ベネッセコーポレーションの成島です。よろしくお願いします。(資料映写)
私の方からは、ベネッセにおける女性社員の活用であったり、会社の中で整えている両立支援の取組について御紹介できればと思っています。
お話しすることは、最初、どんな会社かとかいう紹介をさらっとしまして、ベネッセの女性活用について、あるいは女性の力とはといったような定義、最後に、今ベネッセもそうはいいましても課題を抱えていますので、課題とまとめをしていきたいと思います。
まず、私なんですけれども、ベネッセに入社して十八年、二〇〇三年にベネッセの中で部長職で初めて出産をして、二か月で戻り、キャリアをそれなりに積み上げ、今は執行役員として、小学生向けの、進研ゼミという約百七十万人の小学生に対してのサービスを提供している仕事をさせていただいています。
ベネッセなんですけど、本社は岡山の地方企業として生まれまして、ちょうど今年で五十五年の会社です。ほとんど物を作っている機能は東京都の多摩市、多摩ニュータウンのど真ん中に、駅からすぐのところに本部があるんですけれども、そこで物を作っています。
どんなサービス、物を作っているかというと、赤ちゃんから本当にお年寄りまで、皆さんも身近にあったサービスもあるのではと思うんですが、しまじろう、お孫さんとか、しまじろうの幼児教育であったり、あるいは小中高校生向けの通信教育、進研ゼミですね、大体四人に一人ぐらいのお客様が私たちのお客様です。
それから、高校時代に進研模試というのを受けられた方いらっしゃるかと思うんですけど、模試事業、あるいは、お母さんになる前に「たまごクラブ」、「ひよこクラブ」なんかを出版事業として作っていたり、介護事業ですね、ベネッセスタイルケアといったような介護事業、こういった幅広い教育、語学、生活、福祉といった領域で事業展開をしている会社です。
ちなみに、元々は福武書店と言ったんですけれども、社名を変更いたしまして、ラテン語の造語で良く生きるという意味がベネッセという言葉にはあります。
これは、たまKidsクラブといいまして、会社の一階に定員三十名の子供、お父さんかお母さんが子連れで出社をし、ここに子供を預けて一日仕事をして子供と一緒に帰宅するといったような施設があります。もうほぼ定員、今の時点でもう来春開始の子たちがいっぱいなんですけれども、社員にはとても有り難がられているサービスです。
ベネッセと女性活用の歴史なんですけれども、一九七〇年代から女性を活用してきました。これは、均等法よりも十年以上前から女性を相当積極的に活用している歴史がございます。
なぜ女性の活用にこだわったか。これは後で資料で触れますけれども、創業社長が、地方発だから、本当に有能な人はこんな小さな会社に来ない、だからこそ女に目を付けるんだといったような日記が見付かっていたりとか、女性の力というものに非常に早く目を付けて、女性の繊細さ、あるいは教育、育児への関心というところを、女性らしさを武器に会社がサービスとして組み立てていったという歴史があります。
八六年に育児休業制度をつくりまして、最近は会社、ダイヤモンド社調べで大卒女子の就職人気ナンバーワンということになったり、管理職の大体四割がベネッセの中では女性、四名の執行役員や一名監査役がいたりします。おかげさまで、二十年度に厚生労働大臣最優秀賞を受賞させていただいたりしました。
会社として女性を活用していくメリットは幾つかあると思っています。まず、やっぱり採用枠も女性の総合職だと非常に小さいので、やっぱり女性、新規大学生採用での企業イメージアップというところは、かなりの数採用しますし、入った後平等で、本当に同じように登用されていきますので、すごくイメージは女性、男性とらわれず上がっているなということとか、あるいは能力のある社員が集まってくる。
それから、株主たちからも非常に毎年のように、もっと管理職が増えないのかとかいう質問も出てくるんですけれども、やっぱりいつも女性の味方の株主はいて、その辺を目を光らせていらっしゃる方もいるので、こういう女性の力を使ってサービスを拡大したり磨いたり、業績も伸ばしたり、そして、本当に見せかけだけではなく、能力のある女性を活用していくことで、様々な方面へのイメージアップというところが今生まれているんではないかなと思っています。
これが今の実績なんですけれども、大体管理職の四割ぐらいが女性です。入ったとき、入る新卒は実は八対二ぐらいで女性が多く、全体では六対四ぐらいで女性、男性の割合の社員構成なんですけれども、管理職となるとその辺が逆転して、女性が四割、男性が六割といったような形に収まります。
これが創業社長の朝礼の方針発信というものを一冊にベネッセでまとめているものなんですけれども、これが、なぜ女性を使うのかといったところが一番創業社長の気持ちとして表れているなと思って、引用してまいりました。
進研ゼミをここまで伸ばしてきたというのはやっぱり女性社員の力によるところが大きい。他社が余り採用しないから、優秀な人材が宝庫として余って、うちみたいな小さな企業でも来ると。女性はきめ細かく対応ができて、熟練度も早くて、半年もすればプロになると。
そういったいい面と、それから一方で、ただ、すぐ辞めてしまうとか、いざというと結婚とかほかのものに逃げ込む場所も実際あるので、能力がせっかくあるんだから甘えは許されない、会社も覚悟して女性を本当に対等に使うからには、やっぱり責任を持って仕事に向かってほしいといったような女性社員についてのエッセーが社史に残っていたりします。
ベネッセの女性を引き出す風土なんですけれども、なぜここまで女性活用を促進したのかという、これは別に女性活用のための風土ではなくて、これがベネッセの風土だと思っていただければいいんですけれども、男女を問わず個人ごとの違いを重視します。どちらかというと、年功序列よりは能力重視です。男でも女でも、若くても何でもできる人を採用する、あるいはできる人にチャンスを与えるといったような会社です。
なので、若いときから仕事を任せたり、自分で選択をしていく。それは福利厚生もそうだし、それから、自分がこの仕事に就きたいというふうに思ったら、自由に手が挙げられる制度がベネッセの中では豊富にあります。そういった選択型というものを多数導入しているような風土が元々あったり、余り固定概念にとらわれない、あるいは違いを認める、そういった風土が元々にあった。
それから、創業社長のコメントを引用したように、経営戦略、地方発の本当にディスアドバンテージみたいなものがありましたので、それを払拭して成長するには、やっぱり女性を経営戦略として位置付けようといったようなものが根底にあったのではないかというふうに思っています。
ベネッセの人財部というのは、材料の材ではなくて財産の財という字を書くんですけれども、あくまでも社員を人財としてとらえて、その力を引き出すこと、そして、成長を支援していくことなしで事業、事業も成長させるには人も成長させなきゃいけないという、人の成長とともに事業を成長させるといったような経営の意思が根底にあるというふうに考えています。
これが幾つかの御紹介したい両立支援の制度なんですけれども、母性保護の施策とかあるいは休職、柔軟な就業時間。育児時短制度は、うちは勤務形態は七時間が通常勤務なんですけれども、時短は六時間コースと五時間コース二つあります。五時間コースを取っている社員が今二十人ぐらいいるんですけれども、自分の子供と時間を取りたい、家族と時間を多く過ごしたい時期にはこういった選択制度が九歳まで認められていると。
それから、子育てだろうと、していない本当に普通のひとり者だろうと、スーパーフレックス制度というのがあって、午前中歯医者さんへ行って午後から仕事をするとか、あくまでも九時—五時といったような決まった形で仕事をするのではなく、大体、普通の開始時間が多摩センターは九時半、岡山、神保町が十時という時差通勤辺りを認めて七時間ということなんですけれども、人によってそういったライフスタイルに合わせて、こういったフレックスを導入しています。
先ほど御紹介したような託児施設であったり、カフェテリアプラン、大体十七万円弱の補助をシッターに使ったりとか、それから保育園に使ったりとか、学資保険に積み立てたりとか、人それぞれ使い方はいろいろなんですけれども、それも自分で決めて、会社が自由なチケットを配付するといったような仕組みを持っています。
形だけ制度をつくって、実は運用されていない会社って結構あったりするらしいんですけれども、ベネッセは相当使われていて、制度の利用状況もかなりたくさん使われていますし、最近顕著なのは男性が育児休職を取るようになってまいりました。男性はさすがに一か月前後というケースが多いんですけれども、それでも、お父さんが生まれたての赤ちゃんと一緒に過ごす、これがだんだん定着してまいりました。あと、介護休職制度とか、さっき申し上げました時短勤務、大体こういった利用者構成になります。
ベネッセの女子力を引き出す風土なんですけれども、制度面以外の成功要因としては、経営者が本当にトップの意思として取り組みました。創業社長だけではなくて二代目も同じ意思で取り組みましたし、現社長も同じような、職場にとって女性を活用していくこと、多少休んで会社としてはコストも上がるんだけれども、それは倍になって返ってくるんだという信念を持って取り組んでいることというのがあると思います。
それから、もうかなりの規模で、休んで戻ってきている休んで戻ってきている女性社員がたくさん会社の中にうようよいますので、ノウハウの積み重ねができているんですね。どこのシッター会社さんはいいよとか、どこに頼むと突然でも預かってくれるよとか。私も、自分で産んで、六年前にそういう経験をしたんですけれども、かなりお姉さん社員たちの知見とか経験に基づいた実感ベースのアドバイスというのは参考になりました。
それから、女性がにこにこ、その自分の家庭もきちんと守りながら生きがいを持って両立している社会、会社というのは、男性も居心地がいいんですね。なので、女性が働きやすい会社というのは男性も働きやすいねと、こういう議論を社内で、うちの部なんかは年に一回ぐらい、どう思うか、ワークライフについてとか、時短社員をどう扱うかみたいな話をするときに、男性からもプラス面があるよねという話は出てきたりします。
それから、すべてが産んだ経験のある女性とか、それから結婚した女性ばかりではないんですけれども、いつかは自分もなるだろうとか、それから自分の姉もそうだったみたいな意識で、管理職にかなり理解があるということが一つ挙げられるかなと思っています。
それから、先ほど、会社の本部、物を作っている本部は多摩にありますというふうに申し上げたように、職住接近しているという環境がとても大きいかなと。子連れでもし会社に一緒に託児に行くにしても、座っていけるんですね、下りなので。なので、ぎゅうぎゅう詰めに乗らないとか。それから、やっぱり多摩のそばに戸建てなりマンションを買っている社員が非常に多いので、そういう職住近接という環境は非常に今プラスに働いているかなと思っています。
後でも触れるんですけれども、やっぱりいいことばかりではなくて、多少バッファー人材を多めに抱えながら事業をやっていかなければいけないので、投資というふうな判断をしながら、それでも産んだ経験、子供を育てた経験、それに基づいていい商品を作ってくれるということがうまくサイクルとして動いている中で、やっぱりこういう女性力というのを引き出しているんじゃないかなと思っています。もちろん、時代の流れも背中を押してくれている気がします。
私が考えている女性の力、もちろん男性にもすばらしい力はあるんですけれども、うちの会社、編集とか子育て系の畑でいうと、やっぱりいろんな、四月号、五月号、六月号とか一気に並行して走っていくので、そういった組合せとか、横並びで、ながら仕事が非常に女性だと上手とか、メンタルも男性よりも女性はなる割合が低いです。
柳に雪折れなしという言葉があるように、非常にしなやかで、怒られてもへこたれない、何か明るく怒られるみたいな、そういう出過ぎず手抜きせず、しなやかなんだけど実はしたたかみたいな、そういうソフトなコミュニケーションを持ちながら、きめやかな気配りもできるんだけど強さも持っているみたいな、そういう気質があるんじゃないか。
それから、どこかに、男も女が産んでいるよねぐらいの強さがあったりとか、あと、男性だと派閥にちょっとこだわったりとか、今だれの決裁がはやっているんですかねみたいな、そういうことを結構気にする子もいるんですけど、女性はやっぱり、いざとなれば辞める、これは無責任にもつながるんですけど、しがらみがなかったり、一番結構会議で言いたいことを言ってくれるのは女性のリーダーが多かったりもします。
あとは、サービスを考える、組み立てる、企画にする際に、女性のその生活実感、金銭感覚、これが結構男性以上に女性はシビアで、そういう人を感じたりお金を感じたりする力というのも女性は仕事に生きている気がいたします。
いい話も結構してきたんですけれども、課題はまだあるなと思っていて、我々、子育て期の支援策というのは大分整備してきたんですけれども、今後人口動態が変わっていく中で、お一人様対応とか、結婚しない方も男性、女性に限らず結構ベネッセの中にもいたり、あるいは親の介護、これがもう団塊世代が管理職を卒業して、今社長とか経営陣にいるんですけれども、次の私たちぐらいの親を、今は平均年齢三十六歳ぐらいなんですけど、会社の平均年齢が四十歳を超えてくると、今度、子育てではなくて介護対応といったことをベネッセでも真剣に検討しなければいけないんじゃないかと。子供は九歳までとか六歳までとか結構期限が見えるんですけど、介護というのはなかなかそこが分からないので、そこは会社としても今から考えねばならない課題だとは思っているんですけど、難しいテーマとして今挙げています。
これは資料を後で見ておいていただきたいんですけれども、ワーキングマザーが今本当に増えていて、いい意味で定着しているし制度を使ってくれているんだけれども、一般社員との残業差が非常に大きくなってきているとか、あるいは会社としても、若手女子が二〇一八年度ぐらいまでに子供を産むだろう、産むのがピークだろうということで、四億から六億ぐらいの幅でコストバッファーを持つということを今覚悟をしています。
女性活用をまとめますと、進めていく上で努力しなければいけないことというのは企業側、社員側、両方にあると思っていまして、阻害要因はそれなりに本当に社会の風も吹いて払拭されつつあると思うんですけれども、これは短期ではなかなかやっぱり決着は付かず、ベネッセも二十年、三十年近く掛けて今の結果があるわけで、時間を掛けて粘り強く、規模が規模をつくり出す回路をつくっていかなければならないと思っています。
企業側は、やっぱりトップを始めとする強い意思とか信念が必要だろうな、そして周囲への理解とか制度の準備。私も、今の社長に、実は妊娠しましたと言いに行ったときに、いつ戻るのと言われるだろうなと思ったんだけど、妊娠中は無理絶対するなよというのを最初に言ってもらって、二か月で戻ってみようという決心をしました。なので、やっぱり人を使おうじゃなくて人を生かそう、そういうトップの思いというのは重要だと思います。
社員側も、会社が制度を用意しないとか前例がないとか、そういう文句ばかり言っているんじゃなくて、前例は自分がつくるんだぐらいの意識がやっぱり要ると思っています。そして、規模が本当に規模を呼んでいるんですけど、大事なことは、おかげさま感を持つ。私が今休めていること、私が子供と一緒に暮らせていて仕事もできることは若手の頑張りがあるからなんだよな、だから若手を育てなきゃとか、あるいは、自分一人がサボったりしたら、その割れ窓でもう二度と女性社員が信用されなくなってしまう、その割れ窓を絶対につくっちゃいけないんだと。
こういう研修を私も社内で年に一回必ずするんですけど、当たり前と思わず、権利と思わず、やっぱり必死で美しいキャリアも自己実現も子供も夫もという、そういう側面も見せながらシンクロの足かきのように必死で努力する、それは両方必要なんじゃないかな、女性社員側にもというふうに思っています。
最後、幾つかまとめていますが、長い時間を掛けて風土の中で醸成したり、トップの意思、そして制度、こういったものがそろって、本人たちの覚悟と会社の制度、両輪あって実現することではないかということで、ベネッセの一例をお話しさせていただきました。
以上で私の説明を終了いたします。ありがとうございました。